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「-CROSS OVER THE BEAST 1-落涙の獣-」


作者:本スレ 1-710様

374 :-CROSS OVER THE BEAST 1-落涙の獣-:2012/06/02(土) 12:20:45

本スレ1-710です。
本スレ1-091様のお子様とうちの子のスピンオフな二次SSの第1話を仕上げましたので、
お知らせします。
以下、属性表記です。
 ・本スレ1-091様(本スレ1-866)の設定と、うちの子の設定(設定スレ1-036)を足した
  現代風ファンタジーな世界観での二次SSです
 ・前回の「-CROSS OVER-」と同設定で展開する後日談的ストーリーですが、
  一応、これだけでも読めるはず
 ・エロあり、ただし、ひとりH、暴力描写、痛覚に触れる描写も少々
 ・ストーリーは長めで、続きあり、今後も多分、ご都合主義的展開あり
 ・登場キャラクター&CPは、柳様×エイシアです
 ・設定準拠ではない表記を若干含みます
 ・キャラ&設定が1-091様の公式設定から外れている可能性あり
 こんな感じですがよろしかったらどうぞ

375 :-CROSS OVER THE BEAST 1-落涙の獣:2012/06/02(土) 12:22:47

青年は、その男の前で、躊躇いなど、ひとつも見せずに衣服を脱いだ。
ただ、彼は、自らの衣服に手をかけている合間もずっと、自らのアイスブルーの瞳の目線
を相対する男の方へと合わせ、鋭い視線をもって、相手を見据えていた。

「随分と横柄な態度で、望むものだな。
 お前の主から聞いていたのとは、少々態度が異なるようだが」

「失礼いたしました、柳様、ただ、僕が、
 今、この場において、貴方に従順であるようにと、言い渡されているのは事実ですし、
 貴方に逆らう気持ちなどは、僕には今のところ、全くないんですが」

相対する漆黒の髪と緑闇色の瞳の男から投げかけられた言葉に対し、青年は、彼の知的水
準の高さが伺い知れる、流暢な日本語で返事を返し、笑顔でそう言った。
引き続いて、彼は、既に自らの手で完全に衣服を取り去っていた上半身だけではなく、自
らの腰の辺りへと手を遣ると、下肢についても同様に身につけていた服の釦を外しながら、
それを脱いでいく。

そうして、これも、もう、全くあたり前の行為なのだといった風情で、青年は、自らの手
を全く止める事なく、自らが着ていた衣服を完全に脱ぎ去る。
同時に、既に素足になっていた、青年の足元には、軽く乾いた音を立てて、身につけてい
た、最後の衣服が落ちた。

「これで良いでしょうか? 柳様」

全ての衣服を脱ぎ終えた青年は、目の前の男へと再び視線を合わせて微笑みながら、そう
言った。
男の目の前に映る青年は、17、8歳という年齢に対しては、若干不釣り合いにも思える
品の良い、ダークグレーの上質な生地によって仕立てられた、スリーピースのスーツを全
て脱ぎ去り、自らの裸身を臆することなく晒している。
その青年の裸身は、美しいと言って、全く差し支えないものだった。

青年は、短く整えられた白銀の髪と、アイスブルーの瞳に彩られた、どちらかと言えば、
怜悧と評するのに合い相応しい、知性と品格をあわせもった聡明な印象をも与える整った
面差しをしていた。
また、この17、8歳の年頃の青年としては、申し分のない、均整の取れた柔らかな筋肉
の付いた、滑らかな身体付きは、目にする誰の視線を奪う程の魅力に満ちたものだ。

ただ、この男、柳からすれば、更なる美しき者――人ならざる魔人であり、弥終と呼ばれる
世界に住まう漆黒の髪と黒曜石のごとき瞳を持つ魔性の青年、繊の存在を知っているだけ
に、それに及ぶものではなかったのだが。
それでも、目の前のこの青年は、繊とはまた、異なる魅力を持っている事だけは、確かだ
った。

まず、青年は、柳から最初に与えられた指示どおりに、自らの衣服を脱ぎ去っていたが、
その流麗な所作は、恐らくは、この青年が、こうして、人前で衣服を脱ぐという行為に慣
れているのだという事を差し引いても、これからの行為への期待を抱かせるのに充分な立
ち振舞いだった。

加えて、青年が折に触れて垣間見せる、目線の送り方や立ち振舞いには、相手に対して、
媚を売るような風情は一切、見出せなかったが、その所作の一つひとつからは、まるで、
猫科の大型動物が見せるような、どこか蠱惑的な様が見て取れた。

それは、この青年が、欧州連合という他国の組織において、新たに開発された、「魔獣」
という名の人ならざる存在である故の事であったのかもしれないが。
青年は、獣の血筋を交雑させた上で、生成される白銀の豹へと変幻する能力を持つ、人工
生命体だった。

しかし、白き槍と称される退魔組織の幹部であるこの男――柳にとっては、目の前の青年が
持つ、世間の一般的な概念において、人を惹きつける魅力に満ちた容姿や雰囲気などは、
どうでも良い事だった。
柳にとっては、青年が半人半獣の人工生命体であるという時点で、特に性的な意味での食
指を全くと言って良い程に感じていなかったからだ。

彼は欧州連合という他国の組織が投げかけてきた提案に応じて、この高級ホテルの一室に
足を運んでいただけだった。
そして、今は、自らの目の前に佇む青年――エイシアの身体を以って、魔獣という、新たな
人工生命体が、戦場などの極限の状態にあっても、人間の欲望を従順に受け止めるだけの
存在足り得るのかという点が確認できれば、それで良いと考えていたのだ。

「其処で、自分自身が達するまで慰めろ。勿論、後ろも使ってな」
「わかりました。貴方のご命令のとおりに」

そんなのは、容易い事だ。
青年は、そう言いたげな表情を残しつつも、従順に返事を返して微笑んだ後に、まるで何
の抵抗感も無いかのように、柳の見ている目の前で、豪奢なクッションが幾つも並べられ
たベッドの上へと腰を降ろした。
それから、ベッドの上で、相対する男――柳を目の前にして上半身を起こした、その体勢の
まま、両膝を軽く折り曲げ、自らの上半身の方へと僅かに引き寄せる。

そうした姿勢を取れば、自らの局部が――今はまだ、欲情した証を微塵も見せていない彼の
性器と、後々、相手のものを受け入れていく事になるのであろう、薄桃色に色付く後孔――
彼の秘部の様子が目の前の相手へと露わになるのだという、その事を良く理解した上での
所作だろう。
青年は、そんな姿勢を取った後も、目の前の漆黒の髪と緑闇色の瞳の男――柳の事を再び
鋭いアイスブルーの瞳で見据えていた。

程無く、青年は、利き手である左手指を自らの口元に当てると、そのまま、自身の指を2
本程、口腔内へと運び、咥え込んだ。
青年は、咥え込んだ指をわざと濡れた音を立てるようにして、自らの舌で、ゆっくりとし
た速度で弄るように舐め上げてゆく。

その仕草は、まるで、青年自らのそうした有様を以って、目の前に相対する男の欲情を煽
る為の行為のようにも思えたが、その真意は、柳にも解らなかった。
今、柳が思い当たる記憶といえば、つい先日、この白銀の髪の青年のほかに、残り2体の
青年魔獣を加えて対峙した時のものだけだ。

あの時、柳が相対していた残り2体の魔獣は、長い墨色の髪とトパーズブルーの瞳が印象
的な精悍な顔つきの青年と、緩やかに波打つ黄金色の髪と碧眼を持つ秀麗な容姿の青年だ
った。
魔獣共を視た際に、柳が受けた印象が確かであれば、残り2体の魔獣は、それぞれが共に、
今、この場に居る、エイシアという名の白銀の髪の魔獣に対して、それなりの感情を抱い
ているようにも見えた。

察するに、このエイシアという名の白銀の髪とアイスブルーの瞳の青年魔獣は、残り2体
の青年魔獣から、こうした行為に関する手解きを受けている可能性が極めて高い。
柳は、自分自身の直感も考慮に入れた上で、そんな風に推察していた。

だが、柳は今この段階においては、自らが了知していた、その事実を敢えて、エイシアへ
と告げる事はしなかった。
彼は、表情一つ変える事無く、ベッドの目の前に置かれた椅子へと腰掛けると、エイシア
が自慰行為を始めてゆくその様を眺めていた。

一方のエイシアの方も、相対する柳の見せる表情に構う事無く、自慰行為を続けていく。
この男の目の前で、自らが、相手にとって解りやすい形で、少なくとも一度は、達しない
限り、この場から解放される事はない。そして、彼には、その現実が良く解っていた。

エイシアは、舐め上げた左手指を、自分自身の感情が昂り始めたのにあわせて、ほんの少
しずつではあるが、徐々に膨らみを増し、形を変えつつあった、自らの性器へと、宛がっ
ていった。

この男の目の前で、自らが行う、はしたない行為を想うと、泣きたくなりそうになる気持
ちを抑えながら、彼は、ただ、純粋にその行為へと没頭していくようにと、自らを仕向け、
その場所を刺激していく。

「……ん、はあっ……」

自らが施す行為によって、エイシアの口からは、次第に艶めいた吐息が零れ始める。
その行為にあわせて、彼の雄の証たる男性器の先端からは、少しずつ、熱く潤む液体が滲
み始めた。

これまでにも、自分は、こういう行為を幾度となく、経験してきている。
でも、今までに、ここまで、冷静さを保ったままの男の前で、こうした行為をした事など、
一度も無かった。

たとえ形式はそれぞれに異なっていようとも、今までに自分が情交を交わしてきた相手は、
少なからず、何らかの情をもって、自分の事を愛してくれていたのだ。
自分は、これから、今、この時点に至って、初めて、互いに情愛など、全く感じていない、
この相手と、性交を交わす事になるのだろう。

「ふ、あぁ! ぁ……あ、ぁ……」

エイシアが自ら施す所作にあわせて、彼の口元からは、この行為に彼自身が感じ入ってい
るのだという有様を、より一層、明らかにするような声があがる。
だが、今、この場において、エイシア自身には、こうした声を敢えて抑えるつもりは、全
く無かった。
この類の声を抑えるという行為は、現時点においては、全くの逆効果にしかならないもの
だと良く判っていたからだ。

これは、仕事だ。
自分を含めた身内の3人のうちの誰かが引き受けざるを得なかった、断るという選択肢の
無かった仕事だ。

自分が、自分自身が一番、適任だと考えたからこそ、引き受けたに過ぎない。

自らの口元から、艶めいた吐息を零しながら、エイシアは、自分自身が当初から抱いてい
た、そんな意識を改めて、噛みしめるように、思い返した。
それから、柳からの冷めた視線を敢えて意識する事なく、今度は、自らの右手指を先程と
同じように一度、口に含ませてから、自らの後孔へと宛がう。

「ん……あ、く……ぁ!!」

今、こんな感情を抱えたままの状態で、其処に指を差し入れたとて、心地良い筈など、全
く無かった。ただ、目の前の男が命じた課題をこなさなければ、これは終わらないから。
それだけの意図をもって差し入れただけだ。

「……ぅ、く、あぁっ!」

自らの指であるにも拘わらず、エイシアの其処は、引き攣るような痛みと共に、それを拒
もうとして、緊張を強める。
それは、彼自身が、自らの身体を震わせる程に、酷く敏感な反応を返しながら、感じ入っ
ゆくような、結果へと直につながっていくものだった。
そんな自分自身が招いた、鋭敏な反応によって、エイシアの身体は、不本意にも、自らが
無理矢理、差し入れた2本の指を更に強く締め付けていた。

「あっ! は、ん、ぁあっ……!」
「自らが差し入れた指の所為で、其処まで、悦がるとはな、良い様だな、魔獣」

柳は、エイシアが目の前で見せていたその様子から、今、この青年が、その後孔の部分で
は、全くと言って良い程に純粋な快楽を感じていない事を承知の上で、敢えて冷静な声色
をもって、感情を一切乗せずに、そう、言葉をかけた。

「……ぅ!」

自分自身が自らの身体に施した、その行為の所為で、先程よりも更に情けない声が漏れて
いた事を認識していたエイシアは、相手からのその言葉を受けて、自らの身体を更に羞恥
に染め、小さく震わせる。

――こんな事、もうしたくない……。

エイシアは、自らの後孔に差し入れた、自分自身の指を今、すぐに、引き抜く事さえ出来
ない状況にあることをしっかりと認識していた、その筈だった。
それでも、彼は、今、この時点に至って、自分の心の内側に、ふいに生じ始めたそんな感
情に対する、更なる戸惑いを隠す事ができなかった。

その感情を改めて認識した瞬間に、エイシアは、自らのアイスブルーの瞳に涙を溜めなが
ら、憂いを帯びた表情を一層強く垣間見せる。
今までに経験してきた、この行為の最中に、彼が、こんな風に、それをしたくないとまで
感じた事は、殆どと言って良い程、無かった。

「……ん、あ、あぁ!」

それでも、エイシアは、そんな自分の感情も、柳から受けた言葉も全て、自らの意識の外
へと押しやるようにして、自らの認識を新たにすると、後孔への刺激をこれ以上、敢えて
強めない代わりに、既に熱を帯びて硬く張りつめ、勃ちあがる自分自身の性器への刺激を
更に強めた。

今までに、自らの左手でもって、与え続けていた刺激によって、その先端から、温かな蜜
を零していた彼の性器は、先程よりも、強められた行為にあわせて、より一層の熱を帯び、
先端の敏感な部分を更に潤ませながら、卑猥な水音を立てていく。

それは、彼自身が自ら成す、この行為によって、快楽を伴う、あの感覚に、深く感じ入り
始めたことを、目の前の男へと、更に明確に伝えていく事に他ならなかった。

だが、エイシアには、そうでもしないと、今、この場において、一番思い出したくなどな
い、自らが親愛の情を傾けている青年2人と、それぞれに交わした、情愛を伴う、あの行
為の残像がより鮮明に、自分自身の脳裏に浮かぶ事が判っていた。
だから、彼は、今、現時点に至るまで、自分自身がその左手によって、自らの雄の証に施
し続けていた、その行為を止めては、いない。

「は、あ……くっ、あぁ……あぁっ!」

施し続ける行為にあわせて、エイシアのアイスブルーの瞳からは、無意識のうちに、一筋
の涙が零れ落ちていった。
それが、頬へと伝わっていく様を感じながら、エイシアは、自らの脳裏に、大切にしたい
と、切に想い希う、青年2人の慈しみに満ちた表情を思い浮かべた。

――ウィル、アル、俺は、やっぱり……
                この男と、こんなこと、するの……嫌だったんだ……。

今、これ以上、この場で、彼等の事を思い出すのだけは、絶対に嫌だ。
目の前で相対するこの男、柳に、自らのこの想いを悟られれば、悟られる程に、多分、
この後に強いられる行為はきつくなる。

それは、後々、自らが大切に想う、彼等の立場を危うくする事にさえ、繋がりかねない。
だから、彼等の事を今は、もう、これ以上、思い出したくなど、ない。
この男――柳は、もう、既に、自分とアルやウィルの間に、何らかの情愛を伴う関係性が
在る事位は、悟っているのだろう。

こうした行為に、自らの身体が比較的素直に反応するように出来ている事を踏まえると、
恐らくは、それを完全に隠すことなど、出来はしない。
でも、その事が。
自らが大切に想う、彼等と交わした情交の有様が、断片的にこの男に知られてゆく度に、
大切な青年等を悲しませていく事になるのは、間違いない。

今もなお、自分自身の身体の奥深くに刻まれている、自らが信頼している青年等から受け
た、あの甘美な感覚に満ちた行為を、この緑闇色の瞳の男からも施され、なおかつ、その
全てを打ち消されるようにして、異なる形で塗り替えられるのだけは、嫌だったのに。

自分は、何処か、心の奥底の最後の部分では、彼等だけのもので在りたかったんだろう。
でも、多分、もう、そんな浅慮に満ちた希いは叶わない。

エイシアは、そんな想いを抱えながらも、相手から受ける視線には、一切、構う事なく、
自らの勃ちあがった、その最も敏感な先端の部分をただ、ひたすら、自分自身を絶頂に導
く為に、先走りによって、濡れた音を立て続ける其処を、ただ、一層、激しく、刺激して
ゆく。

「……あ、あ、っあ! も、い……いくっ、ぁあっ!!」

程無く、エイシアは、しなやかな線を描く背中を弓なりに大きく反らせ、一際、艶やかな
声をあげると、自分自身の後孔に指を差し入れた、そのままの状態で、自らを絶頂に追い
込み、果てていった。

「ん、あ、あっ!! ……あぁっ……」

エイシアは、絶頂を迎えると同時に、自らの性器の先端から、絶頂へと達した証でもある、
粘り気の強い、白濁液を振り零しながら、幾度か小さく身体を震わせていた。
また、その都度、自らの後孔に差し入れたままの自分自身の指をきつく締め付け、其処か
ら受ける感覚に、エイシアは、僅かに身悶えるようにして、身を捩る。

「くっ、あ!」

身体の内側を通して伝わる鋭い感覚を受け入れながら、エイシアは、自らの後孔に差し入
れていた右手指を抜き、その場所から一度、外した。
彼は、間を置かずに、外した右手の掌をそのままベッドの上へと置き、その場に倒れ込み
そうになる自らの身体を支えていた。
そうして、エイシアは、その体勢を保ったまま、目の前の男へと改めて声をかける。

「……っは、あ、さあ、柳様、僕は、これから、貴方の為に何をすれば良い?」

エイシアは、未だに荒い息を零しながらも、白濁に塗れたままの左手の掌を上へと向けた
まま、緑闇色の瞳を持つ男――柳の方へと、自らの左腕を伸ばすように、そっと差し出す。
その仕草とともに、エイシアが目の前の相手を見据えるアイスブルーの瞳の視線は、当初
から持ち合せていた鋭さを失ってなどいない。

彼は自らが持ち合せている気位の高い、猫科の動物としての気質を漂わせながら、相手の
方へと鋭い輝きに満ちた視線を送っていた。
一度、相手の方へと差し向けていた左手を自らの許へと戻したエイシアは、その指先を口
元へと運び、白濁に塗れた自分自身の指と、指の間を舐め上げていく。

柳は、そんなエイシアの様子を、先程、ベッドの近くに在った椅子に座ったまま、唯一度、
エイシアの事を煽る言葉をかけて以来、一言も発する事無く、ただ、冷徹な表情で見つめ
ていただけだった。

どうやら、このエイシアという名の魔獣の置かれている立場は、自分自身が推測していた
ものと、そうは違わないようだ。
エイシアが一人で行っていた一連の行為を冷徹な表情で眺めながら、柳は、この状況をそ
んな風に捉えていた。

この白銀の髪の青年魔獣は、先般、白き槍の施設を訪れ、繊を奪取していた、残り2体の
青年魔獣共と、精神的にも、恐らくは、それを超えた関係においても、深い繋がりがある
のだろう。

特に、あの長い墨色の髪とトパーズブルーの瞳の青年魔獣は、今、この場所で、目の前
に居る白銀の髪の魔獣が、自分を相手に、この行為に及ぶ事になるのを了知していたの
だろうか。

もし、了知しているのだとすれば、それは、幾ら此方側が、現時点において、この白銀
の髪の青年魔獣を屠る事が出来ないのだ、という事を踏まえての判断だとしても、随分
と相手を見縊った行為だ。

また、逆に、この事をあの青年魔獣共が了知していないのだとしたら、この白銀の髪の青
年魔獣を極限に近い所まで穢し、傷付けるという事が、此方側からのどれ程、効果的な意
趣返しになる事か。
更に、今、自分の許に身を置いている、この白銀の髪の青年魔獣の方も、此方側の思考を
ある程度、読んでいるのだ――。

この白銀の青年魔獣によって、魔獣という存在の特性を確認するという、単調な作業に対
しても、こんな風に愉しみに満ちた、過程を付け加えるとはな。

お前の主は、随分と良い趣味と品位に欠ける趣向を併せ持った男だな……。
まあ、お前の主人が用意したこの機会をせいぜい利用させてもらうとしようか。

やがて、柳は、そんな風に考察する事を一旦、止めてから、相手のアイスブルーの瞳から
送られていた鋭い視線に対して、殊更に残忍な微笑みを浮かべながら、自らの緑闇色の瞳
で、憐れむような一瞥を送った。

直後に、彼は、今まで座っていた椅子から立ち上がると、そのまま、ベッドの上へと身を
置いていたエイシアの柔らかい白銀の髪を強く掴んだ。
それから、柳自身の腰の辺りへとエイシアの頭を強引に引き寄せ、ベッドの上で両手をつ
いて跪くような体勢にさせる。
柳は、自分自身がベッドの真横に立った、そのままの体勢から、手許に引き寄せたていた
エイシアを見降ろし、言い放つようにして、その言葉を告げた。

「見かけに違う事無く、お前には聡い部分があるようだ。
 どうやら、お前のその様を見届けるに留めようと思っていた私の方も、趣向を変えざる
 を得ないようだ。お前の望む、その先の行為へと付き合ってやろう。
 さあ、まずは、私のものをお前の持つ技量の全てを使って、慰めろ」

「……っ! 柳さ……ま、貴方の望むままに……」

相手から髪を掴まれたままのエイシアは、その場で、一度、小さく息を詰めたが、それで
も、自分に対して、新たな命令を下してきた柳に対して、従順な返事を返した。

――ああ、やはり。
俺は、これから、情愛など欠片も感じない、この男と、最後まで、あの行為を交わす事に
なるんだ。この先、恐らく、アルとウィルを裏切るような行為をしていく事になるんだ。

そんな当初から解かり切っていた事を改めて考え、再び涙を零しそうになったエイシアは、
自らの感情をかろうじて抑え込みながら、それ以上の言葉を一切、口にしなかった。
この場に及んで、自ら無駄な口を利くことで、事態を更に悪化させたくは無かったからだ。

ベッドの上に、白銀の髪を掴まれるようにして、横たわるような形で身を置いていたエイ
シアは、その返事から、あまり間を置くこと無く、無理矢理引き寄せられた、柳の腰の辺
りへと、緩やかな動作で自らの手を添わせてゆく。

彼は、その場で小さく息を吸い込むと、自分自身の気持ちを切り替えながら、柳の下肢の
性器を露わにする為に、自らの手指を伸ばす。
先程、自らの衣服を脱ぎ棄てた時と比べると、随分と覚束ない動作で、エイシアは、相手
の衣服にかかるベルトと、その部分の釦をひとつ、ひとつ、外していった。

エイシアは、自らの所作によって、既に半ば勃ちあがっていた柳のそれを、露わにさせる
と、そっと手を添え、自らの口元を其処に寄せる。
熱を帯び勃ちあがり始めていた柳の性器に躊躇いひとつ見せる事なく、エイシアは、それ
をそのまま、自らの口に含んだ。

「ん……ふうっ……」

エイシアは柳の熱を帯びた性器を口に含むと、それを根元に近い位置まで、できる限り深く、
自らの口腔内の限界に至る場所まで咥え込んでいく。

「……は、ぁ、う……ぐ……」

柳のそれを根元に近い位置まで、咥えたエイシアの口元からは、苦しげな吐息が漏れた。
その直後にも、エイシアは、自らの所作を止める事は無かった。
彼は、一度、自分の口腔内の奥深い、その限界に至る場所まで咥え込むと、今度は、それ
を手前側へと、ゆっくりと引き戻す動作を施し始める。
同時に、エイシアは、自らの舌を絡め、濡れた音を立てながら、徐々に、更なる熱をもっ
て、張りつめていく、柳の性器へと丁寧な愛撫を加えていった。

それは、自分が、常日頃から、こうした行為を相手から求められる度に繰り返してきた、
ただの行為にすぎない。
エイシアは、自分自身にそう言い聞かせながら、心の何処かに、冷静な感情を残したまま、
柳の雄の部分へと快楽を与える為に、その行為を繰り返し、施していく。

今、この時点にあっては、エイシアは、柳に対して、普段よりも、殊更丁寧な愛撫を施し
ていたかもしれない。
でも、目の前のこの男――柳に対する情愛などは、全く無かった。
こうして、この男のものを自らの口に含んでいる間は、失敗など許されなかったから、慎
重になさらざるを得なかっただけだ。

「随分と丁寧に事を運ぶんだな……ほら、これが好きか?」
「ん、ぐっ!」

柳が発した言葉とともに、エイシアは、それを自分自身が施していた間隔とは全く異なる
形で、自らの口腔内の奥へと挿し込むようにして、いきなり強く動かされた挙句、思い切
り、上顎の内側へと突き上げるようにして、押し付けられた。
その動作によって、思わず反射的に、それを口元から外し、吐き出しそうになるのを、エ
イシアは、やっとの思いで堪える。

「……ん、はっ、ぁ、ぁ……」

「苦しいか? だが、この方が、
 先程から、お前が私に施していた緩慢な所作よりも、余程、感じるぞ」

後頭部を掴まれ、そのまま、相手から乱暴に前後に揺すぶられるようにされたエイシアは、
その動作にも、自らの目尻に涙を一杯に溜めながら耐えた。
自分自身の口腔内に差し入れられたままのそれに、歯を立てる訳には、絶対にいかない。
エイシアは、そう思いながら、相手から与えられる激しい動きに、懸命にあわせていく。
そして、その動きに合わせて、灼い熱を帯びて勃ち上がる柳の性器に自らの舌を這わせ、
相手の其処へと快楽を伴う感覚を与え続ける。

「ん! ……ぐ、ふっ、んっ、うぅっ!!」

やがて、柳の熱を帯びて硬く張りつめた性器が、より一際激しく、エイシアの口内に打ち
つけられると、それと同時に、エイシアの口腔内は、柳の白濁で一杯に満たされていった。

エイシアは、息苦しさを伴う感覚の中で、反射的に肩を小さく震わせながら、限界まで耐
えて、堪える。
それは、全て自らの口腔内に放たれたその粘り気のある白い液体を、吐き出さないように、
なお且つ、未だに差し挿れられたままにされている、熱を帯びた性器にも傷を付ける事も
ないようにする為だ。

そんなエイシアの方を見下すような視線をもって眺めながら、柳は自らのものを口腔内か
ら、ゆっくりと引き抜いた。
相対するエイシアの方は、涙の滲むアイスブルーの瞳で、柳の方をただ、見上げるように
していだけだ。
エイシアは、柳の成す行為に全く抵抗を見せる事なく、ただ、相手の方を見据えていた。

「……ふ、っ……く……」

相手の雄の部分が、自らの唇の端から、粘り気のある白銀の液体の糸を引きつつ、完全に
引き抜かれるのを待って、エイシアは、口元から僅かに零れそうになった白濁液を拭おう
と、自分自身の左手を添える。
それから、彼は、添えた左手をそのまま、自らの顎の方へと流れるような所作でずらして
いった。
その所作の後に、エイシアは自らが添えた左手を支えにして、喉を鳴らしながら、柳から
与えられた白濁液を残す事無く飲み込んだ。

「……あ、ぅっ! うっ、あぁ!!」

白濁を飲み込む所作を終えた直後に、柳の掌がエイシアの右頬へと、乾いた音を立てて、
強く打ち据えられた。
柳から思い切り、頬を張り飛ばされた瞬間に、今までの所作を終えて、息を切らせてい
たエイシアは、呆気なく、自らの体勢を崩し、ベッドの上へと横倒しの状態で強く押さ
えこまれるようにして、倒れ込んだ。

「誰が、それを飲み込んで良いと言った?
 もっとも、お前は、私が目にした事のある、あの長い墨色の髪と青い瞳の青年魔獣に
 こうして、これを飲み込むようにと、仕込まれているのだろう?
 当然といえば、当然のことか」

「……っ!」

相手の口から、直接的な名前が告げられた訳ではない。
それでも、柳の口からその言葉が述べられた瞬間に、エイシアの心に何とも言い難い、胸
を突き刺すような鋭い痛みを伴った感情がはしった。

エイシアは、自らの心の内側へと、溢れるように生じてくる、激しく、深い哀しみを帯び
た感情を遣り過ごそうと、アイスブルーの瞳の目元から零れ落ちそうになる涙を必死に堪
え、無意識のうちに、手許のシーツを強く掴み込んだ。

――ウィル、アル……俺……は、……もう、護れそうにない、から……。

「私に、こうした仕打ちを受けるという事が、それ程、悔しいか?」

柳から投げかけられた声に対して、エイシアは、ベッドに顔を伏せたまま、緩く左右に首
を振る事で応えた。
そんな否定の意図を帯びた反応を見せれば、この相手から余計に酷くされるのが解ってい
るにも拘わらず、エイシアには、もう、それを気に留める余裕は無かった。

エイシアが無意識のうちに、ベッドの上に顔を伏せ、軽く嗚咽に咽ぶ様子になど、全く構
う事無く、その行為は続けられていく。
まず、最初に、エイシアは、その柔らかな白銀の髪を強く引き掴むようにして、柳の手に
よって、頭部を幾分横向きにさせられながら、ベッドへと強く押さえ付けられた。

続いて、エイシアのしなやかな線を描き、相対する男から見ると、幾分華奢にも思える身
体は、その上から、柳の身体に伸し掛るようにして押さえ込まれる。
そんな一連の行為を流れるような動作で、柳から受けていく都度、エイシアの口からは、
哀しみに満ちた、切ない声色の吐息が零れた。

その体勢を強いられてから、間を置くこと無く――いや、ほぼ同時といった間合いをもっ
て、何の前触れもなく、エイシアの後孔には、柳の熱を帯びた欲望の証が強く、突き挿れ
られる。

「ひ、ぅっ、あぁ!」

最初の行為が成し遂げられた、その瞬間、エイシアが息を詰めたその直後にも、もう、柳
からの次の仕打ちは、与えられてゆく。
エイシアの身体が相手からの最初突き上げにも、まともに耐えきれずに、激しく揺さぶら
れるようにして動かされた直後に、彼の左手は、柳によって掴まれ、自ら頭上の方へと掲
げさせられて、ベッドの上へ強く押し付けられる。

程無く、柳が自らの上着の懐から取り出した、小さなナイフによって、エイシアの左手は、
手の甲を上にした状態のまま、ベッドへと思い切り、刺し貫かれ、その場で完全に固定さ
れていた。

「う、あ゛あ、ああぁあぁ!!」

同時に、エイシアの口元からは、今までの中で、一際、悲痛な声色を帯びた、悲鳴にも近
しい、叫び声が零れた。

俺が、今、一番許せないのは、自分自身の弱さなんだよ。
貴方から受ける、この行為とか、痛み自体なんて、もう本当に、どうでも良いんだ。

――俺が、本気で感じるのはね、大好きな奴からの行為だけなんだよ。

自分自身が悲鳴を上げた、瞬間に、エイシアの脳裏には、ほんの一瞬、以前、大切な青年
等らと交わした、熱く激しい想いと、愛しさに満ちたあの感情と、大きな充足感を併せ持
つ、あの行為の後に、自らが相手へと告げた、そんな言葉がよぎった。

だが、柳から受ける、この熱く激しい行為は、これからも、そんなエイシアの心の琴線に
は全く触れる事なく、ただ、快楽と痛みだけを伴う行為として、続けられてゆく。
それだけは、今、現時点に至って、もう、避ける事など出来ない現実だった。

【 続く 】

お付き合いいただき、ありがとうございました!
エイシアさんが、徐々に感情的に追い詰められていく様子も含めて、
お楽しみいただけると幸いですw

しかし、エロって、書くの楽しいけど、本当に難しい…

※wiki収録後に、一部修正を加えました。
※続きは、創作してもらうスレ 1-444
※この設定で書かれたクロスSSは創作してもらうスレ 1-265368
※設定スレ1-036のSSは、創作してもらうスレ 1-172194



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最終更新:2012年09月05日 10:18