オリジナルキャラ・バトルロワイアル2nd(ver.2)まとめwiki

嵐のような愛を込めて

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嵐のような愛を込めて ◆HanipoIC3g


「くそ!なんだここは!」

目を覚ました片嶌俊介は誰もいない建物の中を走り回っていた。
ヨルグとかいうよくわからん奴が殺し合いをしろとかふざけたことを
抜かしやがったが、どうやら白昼夢じゃなかったらしい。
ああ、本当にふざけている。
俺が日々トレーニングしているのも、
ポイントガードとしてゲームメイクの研究を欠かさないのも、
すべては所属しているバスケ部を全国へ導く為だ。
こんな意味のない殺し合いをする為なんかじゃない。

「何者かしらないが、絶対ぶっ潰してやるからな!
 ん?あれは……まさか!」

廃材が散乱する建物の広間にたどりついた片嶌はそこの中央に佇む小柄な人影を発見する。
綿花のような桃色の短い髪、チャーミングな泣きぼくろ、透き通るような大きな瞳。
あれはまさしく。

「祢音!無事だったのか!」

「……片嶌さん。あなたまでここに。」

椎名祢音。俺が諸事情で三ヵ月の部活停止処分を受けている間にコーチを頼まれていた
小学校のミニバス部に所属する女の子。その小柄な体格に似合わない俊敏な動きとセンスには
高校生のほれぼれとするものだった。その為謹慎が解けた今でも週末に俺の家の庭で個人的に
指導を続けている。

畜生、なんでこの子までこんな殺し合いに――!

「……片嶌さん。あなたまでここに……え?ふぇ!?」

思わず、その華奢な体を抱きしめてしまった。

「良かった。すぐ見つかって。」

こうなってしまっては仕方がない。
祢音のバスケセンスは素晴らしいものがあるがとても殺し合いなんてできるとは思えない。

「怖かったか?もう大丈夫だよ。君は俺が守ってあげるから。」

それがこの娘の保護者代理としての義務。
しかし、祢音は俯いたまま抱きついた手を振りほどき、表情を変えずに冷淡に告げる。

「……無理ですよ。あなたじゃ。」

「はは、あんまし俺の覚悟を見くびってもらっちゃ困るな。
 君を助けるためなら、あの野郎のいいなりになるのは癪だが人殺しだって。」

「……片嶌さんがそんなことしてるの見たくないです。」

祢音が寂しそうにつぶやく。この娘は優しいから無理もないか。
しかし、うかうかしていられない。いつ変な奴が現れるか分からないからな。
取り敢えず準備の為にディバックの中身でも確認しようと思い祢音から目を離した、その時。

パサリと布が落ちるような音がした。

「祢音?……んなぁ!?」

「……片嶌さん。」

上着を脱ぎ捨て、生まれたままの姿になった祢音の肢体が、月光に照らされ白く輝いていた。
所々に交通事故が原因と聞いた手術跡が痛々しく残っているが、むしろアクセントになって
より妖美な雰囲気を醸し出している。一瞬我を忘れて見とれていたが気を取り直す。

「なにやってんだ!?」

「怖いんですよ。死んじゃうかもしれないから。」

そのまま、片嶌にもたれかかってきた。

「お願いです、私としてください。」

「馬鹿!もっと自分を大事にしろ!そういうのは将来好きな人が出来たときに……!」

「本当に、私に将来なんてあるんですか?」

「……うっ。」

なにも答えることはできない。そもそも脱出する方法なんて分からないし、
現実問題只の一般人の俺たちが生き残れる可能性なんてほぼ絶望的だ。
絶対守ってやると言ったがそこに責任が取れる根拠を自分は何も持ち合わせていなかった。
なら、俺がこの娘に今してやれることは。

「それに、その答えはそっくりそのまま返しますよ。
 ……好きです、片嶌さん。」

祢音の柔らかい体のぬくもりが服越しからも伝わる。
おかしいな、俺は巨乳派だと思いこんでたんだけどな。
正直、もう限界だった。

「祢音!」

「んぷ!?うむぅぅ?」

強く抱きしめて唇を奪った。手から伝わるすべすべした感触が最高に心地いい。
まったく、小学生の体は最高だな。

「……ごめんな、俺なんかで良ければ。」

「……うん。よろしくね。」

そのまま、床に押し倒した。


◆ ◆ ◆


「さて、と。」

体を拭き、服を着替えなおした椎名祢音は
疲れてぐっすり眠っている片嶌俊介に優しい目を向ける。
恐らくこれで見納めになるだろうからしっかり目に焼き付けておこうと思った。

ぴしぴしと、祢音の体中の縫合跡から音がする。
――この娘には彼女にとっての日常の象徴であるこの男には知らせていない裏の顔がある。

「学校の男子は変身ヒーローだのなんだのたまに盛り上がってるけどさ、
 私はそんなんじゃないよ。私は大好きな友達が幸せになってほしいだけだし。
 だから安心して、片嶌さんは何が何でも絶対に助けてあげるからね。」

体から翼と爪が生え、まるでハリウッドのファンタジー映画に出てくるガーゴイルのような
シルエットが闇夜に浮かび上がる。そのまま翼をはためかせ、

「さようなら。」

別れを告げ、夜空へ向かって飛び立った。

【一日目・深夜/E-2 学校】
【椎名祢音】
【状態】健康 、変身中
【装備】なし
【スキル】『変身』
【所持品】基本支給品
【思考】
1.片嶌俊介以外全員殺す
※現在飛行して移動中です。不明支給品は片嶌俊介に渡しました。

【片嶌俊介】
【状態】健康 、睡眠中(覚醒間近)
【装備】なし
【スキル】なし
【所持品】基本支給品 、不明支給品2~4 (未確認)
【思考】
1.……祢音?



01:逆さまの運命 時系列順 03:ボクと魔王
01:逆さまの運命 投下順 03:ボクと魔王
椎名祢音 17:片手だけつないで
片嶌俊介 05:素晴らしき哉、人生


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