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  • Justiφ's ―それでも―

オリロワVRC @ ウィキ

Justiφ's ―それでも―

最終更新:2024年01月16日 05:16

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――さあ、英雄譚をはじめよう。


〇

正義の味方
それは誰もが知っている単語でありながら、定義は人によって違う

極端な例を挙げるならば、ザ・ボーイズのようにヒーローがゲスとして描かれることもあるし。
そうでなくても、アカメが斬るのセリューのようにイカれた正義狂もいる。

もちろん、法に則り公平な判断を行う機関がヒーローとして描かれることもあれば。

自称・邪悪の王が民のために。人々のために王道を突き進むモノもある。

ヒーローなんて。正義の味方なんて本当に人それぞれだ。

ジャンルで言うならば仮面ライダーやウルトラマン、戦隊や牙狼などが有名どころか。
これらのジャンルの作品群には、基本的に怪人などが居て、それらと戦う。

まあ今の時代はダークライダーも多いし、ホラーは人間に憑依するし、戦隊の怪人も人間が変化するパターンもあるのだが……。

ヒーロー側が人殺しをする描写がある作品は、あまりない。
怪人を退治することはあれど、直接的に人殺しするような作品は、おそらく少数側なのだ。

555のオルフェノクは元々人間だろ?と言われたらまあそうなのだが……そういう作品が多数派ではない、ということで。

そして赤崎愛奈ことセイントヴァルキリー・フレイヤは“正義の味方”に憧れている。
だから、彼女は真白を守った 。閻魔という
巨悪と戦うことが出来た。

だが、正義のヒーローに憧れが強く。
そして彼女自身、殺人という行為に強い嫌悪感を持つがゆえに。
この殺し合いの場でも、閻魔を“倒す”決意は出来ても“殺す”覚悟は出来なかった。

フレイヤの憧れるヒーローの一人。
――乾巧は、罪を背負う覚悟を決めた。
戦うことが罪なら、俺が背負ってやる――と。
護るために、戦う。オルフェノクを――元々人間だった彼らを、殺す。

フレイヤはそんな彼の勇姿を――仮面ライダー555を知っている。
しかし、それでも……他人を殺すという覚悟を決められなかった。

――「『殺す気』のねぇやつが、あたしに勝てるわけねぇだろうがよぉ!」

閻魔が彼女に放った言葉は、間違いなく正論だ。何故ならこれは命懸けの殺し合いなのだから。
ただぶっ飛ばすだけじゃ、悪は倒れない。息の根を止めない限り、彼らは不滅だ。

フレイヤや真白を助けることには成功したが、未だに閻魔は生き残っている。そして彼女は生きてる限り、この殺し合いで暴れ回ることだろう。

〇

「はぁ、はぁ……」

拳を血に染め、赤き衣装のヒーロー――フレイヤは眼前の敵を眺める。
もう、何度も拳を振るった。真白も純白の剣が真っ赤に染まるほど、斬撃を与えた。

だというのに、目の前の男は一向に敗退しようとしない。
後ろに控えた女道化共々、不敵な笑みを浮かべている。

「そんなものか」

長身の男――アルカードは無力な参加者共を嘲笑う。
フレイヤはかなり強い。それはアルカードも認めるが、殺し合いで肝心の殺意が何も感じられなかった。

そして自分には優れた再生能力がある。生半可な攻撃は意味を成さないし、心臓を狙わない限り不死身。ゆえに殺意なき相手には滅法強い。

「セイントヴァルキリー・フレイヤよ。正義の味方(ヒーロー)も、ここで終わ――」
「終わらせ、ない……!」
「ぐはっ――」

嘲笑うアルカードの顔面を、フレイヤが思いっきり殴る。……とはいえ、殺意を伴わない一撃だが。

「――なんて言うと思ったか?死ね!」

アルカードは踏ん張ることでその身を大地に固定し、フレイヤの一撃でも揺らぐことなく。
そして手にした杭を彼女の顔面目掛けて――

「させない……っ!」

杭の一撃を真白が刀身で咄嗟に防ぐ。
間近で繰り出された杭の一撃。それも圧倒的な身体能力で放たれたモノは、フレイヤ一人だと対処は難しかっただろう。

「真白さん……!ありがとう!」

ゆえに真白に感謝して、心から嬉しさを噛み締めて――アルカードに頭突きを放つ。

「~~っ」

痛みはあるが、まだだ。
まだ、この程度で倒せる相手じゃない!

「やぁああああ!」

相手を“殺さない”程度の出力でスキルを発動。
心の強さで出力は変わるが、弱めるだけならば関係ない。
焔を蹴りに纏わせ、相手の腹を思いっきり蹴りつけ――アルカードの体勢が僅かに崩れる。

「まだ、まだぁ!」

フレイヤは腹を蹴った反動で後ろへ跳躍すると――ライダーキックの構え。真白に当たらないような位置に掌を翳し、炎を噴射。
その反動でフレイヤの身体は前に押し出され、飛び蹴りがアルカードに炸裂する。

「ぐ、ぉおおおお!!」

凄まじい痛みに、アルカードが絶叫をあげる。この一撃は堪え切ることも出来ないのか、無様に吹っ飛ぶ。
その光景を見て、真白は冷や汗を拭った。

「……やっぱりフレイヤちゃんは、すごいね」

強さがどうとかじゃなくて、心が強い。
決して諦めず、ヒーローで在り続けようとする、その魂が――真白にとって眩くもある。

「そんなことないですよ。私が勝てたのは、真白さんのおかげです」
「え~?私は何もしてないけどなぁ」

フレイヤの言葉が嬉しくて、真白は微笑む。
彼女の支えになれてることが、嬉しくて。

「ううん。さっきの一撃は、真白さんが受け止めてくれなかったら――」

「術式 解放」

「――退いて、フレイヤちゃん!」

ドン、と――真白はフレイヤの身体を押して強引に彼女を弾き飛ばした。


〇

あれ?
真白さん――?

どうして、真白さんが私を――。

「ちっ!邪魔をされたか」

さっき倒したハズの吸血鬼の声――。

でも、あの吸血鬼は最初に会った人みたいに倒したは、ず――?

「はぁ、はぁ、はぁ――」
「真白さん……!?どうしてそんな怪我を……!」

わからない。
私はあの吸血鬼を倒して――ない?
それに真白さんの脇腹から血が出てる……。

手当しなきゃ。
助けなきゃ。
あの吸血鬼を倒せなかったのは、私の責任だから。私が傷付けば良かったのに、どうして真白さんが……!

「教育してやろう。吸血鬼の闘――」
「う、ぁあああああ!!」

自然と拳に力が入る。さっきまでより拳の炎が、燃え盛ってる。
許さない。この吸血鬼だけは許さない!
真白さんは、私が守るんだ。絶対に殺させない、から!

「心火を燃やして――」

だから――この吸血鬼は!

「ぶっ潰す!」

シンプルな正拳突き。
だけど基礎的や攻撃だから、何度も練習していた一撃。それを吸血鬼のにやけヅラに――!

「ぐ、ふぅうう!」

吸血鬼が吹っ飛ぶ。
でも今度はもう、油断しない。

「フレイヤちゃん……」
「真白さんは、ここで待っててください」

私は真白さんに一言伝えると、全速力で――走ろうとしたところを、真白さんに止められた。
私の手を握って――真白さんが、見つめてくる。

「フレイヤちゃん。顔、怖いよ?」

もう片方の手でツン、と私の鼻をつついて。

「ヒーローらしくない。そんな悪役みたいな顔……フレイヤちゃんには、してほしくないかな」

「それは……ごめんなさい……」

真白さんは優しい。
この暖かさを、温もりを。私は、守りたい。

「でも……」

だから、真白さんにヒーローじゃないって言われても。
それでも、私は――

「でも、じゃないの。セイントヴァルキリー・フレイヤは――悪役じゃないでしょ?」
「それは……そうですけど……。真白さんを守れないなら、ヒーロー失格です。だから、行かせてください――!」

「ダメ。フレイヤちゃんがそんな顔をするくらいなら……私が戦う」

真白さんは、何かを覚悟したようにそう言うと――私を張り倒して全速力で飛んだ。

「真白、さん……」

これはきっと、真白さんの優しさなんだよね。
でも――私は、真白さんを諦めない。守りたい。助けたい。
早くあの吸血鬼を倒して、真白さんの手当てがしたい。

だから、ごめんなさい。
私は真白さんの優しいを踏みにじります。

――紅き正義の味方が、天使を追い掛ける


〇

さあ――時は来た
寂しさでも悔しさでも怒りでも全てをベットして――
如何様の世界で 選ばれるのなど待つなよ こちらから勝ち取ってやれ

ほら。今、スタートの合図だ
走れよ――

――――――――『正解不正解』/CIVILIAN


〇

「話は終わったか」
「うん。……わざわざ待ってくれるなんて、随分余裕ね?アーカードさん」

「アルカード、だ。まあアーカードと呼ばれるのも悪い気はしないがな、馬鹿にされなければ。……私は正義の味方(ヒーロー)殺しを期待して待ってたのだが、貴様が来るとは思わなかったぞ」

私が追い掛けた男――アルカードは、満面の笑みを浮かべていた。
この人のことは、VRCで少しだけ知ってる。ヘルシングのアーカードの真似をして、ロールプレイを徹底してる変人。

……シエルがぼっちの集いに入れたがってたけど、本人が来たことは一度もないから、会うのは初めてだった。
でもフレイヤちゃんと私を見て嬉しそうに襲いかかって来たから、ぼっちの集いに誘わなくて正解だったみたい。

「私だと物足りなかったかな?」
「いや――天使狩りというのも、面白そうだ」

瞬間――アルカードの胸から黒犬が生えた。
さっきと同じ攻撃。でも私だけなら、これを躱せる!

「芸が少ないよ!」

――純白の羽で、なんとか避けれた。……少しだけ、早く動けるようになった気がするのは、気のせい?

「流石は天使、だが――!」

不敵な笑みを浮かべるアルカードから、コウモリの群れ。
きっとこれは……1匹1匹が、それなりの破壊力を持ってる。相手は最強の吸血鬼、アーカードがモチーフの男性。侮れない!

「すごい数……。でも……」

――諦めない!
私は生きる。

フレイヤちゃんのために、いのりのために、ぼっちの集いのために。
そしてみんなの闇を受け止めて……それでも、なんとか前を向きたいから。

「は、ぁあああ!」

純白の剣を振り回す。
……幸い、多少の剣術ならVRCのゲームで習得済み。
それに何故か、心の底から力が溢れ出る!

「ほう。やるな、天使」

コウモリ達を打ち落とされても、アルカードは、楽しそうだった。
この殺し合いを心から楽しんでるようで……私には理解出来ない。はっきり言って、不気味。

ただ一つわかるのは、こんな参加者が居たらみんなに危険が及ぶということ。

それにこの不死性は、本気で殺し合いに臨めないフレイヤちゃんには何よりも厄介で……止める方法が、殺すしかないこと。

「私は、天使なんかじゃないよ」

フレイヤちゃんを見て。閻魔と戦って、わかった。
みんなを守るために、必要な覚悟。――それは、私自身が穢れても良いという想い!

だから。
私は今から――最悪のことを、する。

本当はやりたくない。逃げ出したい。
でもこのしつこい吸血鬼は、このまま野放しに出来ない。

フレイヤちゃんも、いのりも、ぼっちの集いのみんなも。
みんな、みんな――私が守る。傷付けさせない。


『真白ちん。お前はすっげぇ優しいけどさ――いざという時にガチで戦える勇気はある?』


――今なら、あるよ。


『んー。強いかどうかってのは、魂(ここ)が決めるもんだぜ?だから真白ちんもいつか――ダチやいのりのために本気で向き合える時が来たらいいなっ!」


――シエル。この殺し合いで、やっとその言葉の意味が……心から理解出来たよ。


「いいや、貴様は天使だ!人間風情が私とここまで戦えるはずがない!」
「違うよ、アルカード。人間だから――」

穢れを知らない天使は、誰も殺さない。罪を背負わない。
だって天使は、純白の存在だから。

……リアルで社会の闇を見てきた私は、VRCくらい潔白で在りたいと思った。
陰口に付き合わされ、言いたくもないことを言わされて。上司の機嫌を損ねないために、時には無関係の人を悪く言って。

そんな生活に嫌気がさしてたから、VRCに癒しを求めた。

ぼっちの集いは、みんないい子だった。
いのりは、私にとって誇りと思える妹だった。
もみじもすごくいい子で。……私に何かあっても、あの子にいのりを任せられる。

――「……まあ、仕方ねぇよな。てめぇの『家族』も同じ穴のムジナ。救いようのねぇ『クソ野郎』だからなぁ?」

違う。
今なら、ハッキリと言える。

私の家族も、フレイヤちゃんも――クソ野郎なんかじゃない。

みんな、それぞれ闇を抱えてるかもしれないけど。それでも必死に生きてる、いい子達で。

――だから、みんなのためなら私は堕天出来る!

「私は人間だから――貴方を、殺す!」
「……ほう、堕天使か」

真白の髪が、桃色から黒へ変化する。
――純白の羽が漆黒に染まるのを見て、アルカードは嗤った


〇

弾丸の如き速度で、真白がアルカードに肉薄する。
苛烈に振り回す剣は、VRCで鍛えられた剣術通りに放たれる。我流ではなく、武術に則った真面目な攻撃。

ぼっちの集いは皆、我が道を往く傾向にあるが。真白はどこまでも真面目で、普通で、一般的な感性の持ち主だ。

「ぐ、ぅうう!」

だがその動きは、アルカードのような荒事に慣れてない素人には効果覿面である。
幾度となく斬撃を受け、その度に超速度で再生してゆく。

創造武具が“堕天”という分岐点に進んだ真白の身体能力は、天使の頃よりも上がっている。想いの強さが、渇望が――創造武具を高みに導くのだから。

「なんだよ、あの女……」

人間に許された領域を遥かに超越した、化け物同士の戦いをタケピィーは後方から眺めている。
タケピィーはアルカードを信用している。ゆえに彼が勝つと確信していた。

だが真白が堕天し、更なる次元へ到達したことには冷や汗を垂らすしかない。人間を名乗っているが、アレは正しく堕天使だ。

(このままだとヤバいか……?でも、俺があそこに行っても、足でまといにしかならないよな……)

アルカードと過ごした時間こそまだ短いが、タケピィーは彼を気に入っている。
自分と一緒に行動して、愉快に笑ってくれる存在。それは夏樹武が心のどこかで探していたモノなのだから。

だがあの戦いに介入しようとしても、きっと自分は何も出来ない。
この時ばかりは、自分の創造武具が殺し合いに向いてないことを恨んだ。

「がんばれ、アルカード……」

だからタケピィーは。
夏樹武は、二人の戦いを見て――友人の勝利を願う。今の彼には、それしか出来ないのだから。


〇

「認めてやろう、堕天使。貴様は強い!」

幾重にも斬撃を浴びせられ、その度に再生してゆく。
最初は凄まじい斬撃の嵐に気圧されていたが、次第に慣れてきた。
アルカードは手にした杭を、真白の胸に目掛けて突き込んだ。

「……ぁあっ!」

杭を右足で蹴り、向きを変える。
しかしアルカードは腐っても吸血鬼。その剛腕で振るわれた杭を弾くだけでも、衝撃で骨が軋むような激痛が走る。

そしてアルカードは、その隙を逃さず――左手で手刀を繰り出す。
真白の胸に、ポッカリと穴が空き――アルカードは愉快そうに笑った。

「ワハハハ!私の勝ちだ、堕天使!」

真白の胸から、大量の血が溢れ出る。
これは間違いなく勝った、とアルカードは確信した。
堕天使を討ち滅ぼす吸血鬼。なんとも画になる構図だと、自画自賛する。

――アルカードは、この殺し合いを愉んでいる。
それは思う存分、ロールプレイを全力で楽しめるからだ。

ゆえに敵を殺したと確信した瞬間、気が緩む。
アバターと違って中身はただの素人だし、あくまでロールプレイを楽しんでるだけであるがゆえ。

「堕天使を討ち取ったぞ、タケピィー!

――ぜぇ、ぜぇ……。

肩で息をして、必死に命を繋ぎ止めてるだけの哀れな堕天使を無視して、自身の勝利をタケピィーに報告する。
相手はもう虫の息だ。トドメは、タケピィーの前で刺してやろうと考えた。

「フハハハ!やはり私こそ――が、!?」

――その油断が。慢心が。ロールプレイという遊び半分で戦場を渡り歩いたのが、致命的となる。


〇


それでも、と―――
それだけが、意味ある言葉。無意味であること、勝ち目のないことを、打ち倒されることを、何もかもを承知して。
それでも、と。
拒絶するならば――

――――――――『コミュ -黒い竜と優しい王国-』/暁WORKS


〇

足と胸が、痛い……。
視界が少し、ボヤけてる。
意識も……気を抜いたら、手放しちゃいそうで。
それでも――

(フレイヤちゃん。いのり。もみじ。仔猫ちゃん。シエル――)

みんなの顔を、思い浮かべる。
このまま……死ねない。
私には、生きる理由がある。……私が死んだら、みんなが悲しむから。

それに……この吸血鬼を。アルカードを、野放しにしたら……みんなが犠牲になる。
アルカードは変な人だけど……強い。それにしぶとい。
ここで、私が殺さなきゃ……。

みんなを守るために……この手を汚すって。
堕天するって、決めたから……。

「堕天使を討ち取ったぞ、タケピィー!」

アルカードが後ろを振り向いて、仲間を呼ぼうとしてる。
この人は……本当に殺し合いを、娯楽としか思ってないのかな。気が狂ってるとしか、思えない。

でも、これでやっと――隙が出来た。

私は漆黒に染まった剣を、アルカードの心臓に突き刺す。
この人の再生能力はすごい。どこを斬っても、すぐに再生してきた。
でも……心臓にはまだ、攻撃してなかったはず……。

これは殺し合いだけど……デスゲームだと主催者は言ってた。
ゲームなら……きっと、どんな敵にも弱点はあるはず……。

「が、はぁ!」

アルカードが、口から大量の血を撒き散らす。心臓から流れた血液も……止まり気配がなく、出血してる。
私の予想は、当たってたみたい。

「おのれ!堕天使風情が!!」

心臓に刺さった剣を引き抜いて、アルカードが杭を振り翳す。やっぱりこの人は、しぶといらしい……。

ぼやける視界の中。
朦朧とした意識の中。

――それでも、と。

私は漆黒の剣を強く握り締めて――杭を弾く。

「アルカード……。あなたの弱点が、やっとわかったよ……」
「だから、どうし――ぬがぁ!」

憤慨するアルカードの心臓を、一突きしようとして――ギリギリのタイミングで、直撃は避けられた。
弱点は、本人自身も知ってる……ということだね……。

「まだ、まだぁ!!」

何度も剣を、突き刺す。
弱点が心臓なら、斬撃より刺突の方が向いてる。……長年培ってきたゲームの経験が、ここで活きた。

「が、ぁあああ!」

それでもアルカードは、必死に心臓だけは避ける。
いや……きっと、多少は当たってる。直撃だけを、なんとか避けてる。

私が万全の状態なら、もっと早く攻撃も出来たけど……この朦朧とした意識だと、限界がある。
だけど、諦めない。みんなの、ために……!

「アルカード!」

パァン!

――玩具のような軽快な声が、何度も鳴り響いた


〇

「堕天使を討ち取ったぞ、タケピィー!」

高らかに勝利宣言するアルカードの声を聞いて、タケピィーはガッツポーズした。

一時はどうなるかと思ったが……アルカードの勝利に胸を撫で下ろす。
遠目に見ても、堕天使はもう虫の息。あとは死ぬのを待つだけだろう。

(……死ぬのは流石に、可哀想だけどな……)

良心を捨て切れないタケピィーは、真白のことを少し哀れに思う。
赤の他人とはいえ、誰かが死ぬのは気持ち良いものじゃない。

(でもこれはVRだし……まさかSAOみたいな技術があるわけじゃないし……)

誰かが死にそうな場面に直面して、焦る。
これで本当に真白が死んだなら、アルカードは……夏樹武の友達は、人殺しということになってしまう。
それはあまりにも、あんまりだ。

だからこれはVRゲームであり殺し合いじゃないと、現実逃避したくなる。

そんな思いを抱きながら、彼はアルカードの待つ場所へ向かう。
兎にも角にも、アルカードと合流するのが先だ。

「フハハハ!やはり私こそ――が、!?」

――アルカードの苦悶の声が鳴り響く。
彼は不死身だとタケピィーも思っていたが……たった今、堕天使から受けた攻撃は例外だと認識。
友達になれそうな男の窮地に自然と足が早まる

(クソッ……!俺が行って、何が出来るんだよ!)

自分に与えられた創造武具は、ネタにしか使えないハズレスキルだ。
こんなものじゃアルカードを助けられない。堕天使をどうこうするなんて、無理だ

(俺は弱いんだぞ、クソッタレが!……でも、アルカードを見捨てたくない……!!)

だから、走る。
対抗手段は何も無い。勝ち目はない。
そんなことわかってるのに、足が止まらない。

(とにかく、出来るだけのことをやってやる!)

――『不思議で愉快な玩具袋!(ビックリ・ドッキリ・クロス)』

そこから取り出すのは、玩具のピストルだ。
引き金を引くと、紙吹雪と旗が出る。同時に、パァンという音も鳴り響く。

この音を鳴らすために、走りながらピストルを何度も撃つ


――パァン、パァン、パァン
銃声と呼ぶにはあまりにも軽々しく、どう考えてもバラエティ番組などで使われそうな音。
それは戦場に相応しくないが、真白を警戒させるには十分だった。

「アルカード!」

アルカードの名を呼ぶと、彼はタケピィーを見て一瞬、驚いたような表情をした
この状況で無力な雑魚が現れるなど、どうかしてる。
それに……アルカードは今まで、ここまで本気で人付き合いされたことはない。

まさかタケピィーが果敢に突っ込んでくるとは思わなかった。不利だとわかれば、逃げると思っていた。

「ぐ、ぅ……!どうしたのだ、タケピィー」

アルカードが、タケピィーに問う。
どうして貴様はここに来たのだ、と。

同時に真白は、後ろに跳躍することで一度距離を取り相手の様子を窺った。……手を汚す覚悟が鈍ったわけじゃないが、あの女ピエロはそれほど悪人に見えなかったから。

アルカードは殺すべきだが、ピエロをどうするべきか迷う。もちろんアルカードのように他者に攻撃を与えるなら容赦なく殺す覚悟は決めているが……。

それにピエロの創造武具は未知数。一度、距離を置き――息を整える。

「俺も、戦うよ。お前が死んだら嫌だから」
「フッ、仮面(ロールプレイ)を辞めたか」

ピストルの銃口を、堕天使に向ける。
だが真白は知っている。彼のピストルは役立たずだ。音を鳴らしまくってる時に、チラりと見てそれは理解した

(ブラフ、かな……)

だから真白はタケピィーのソレを、創造武具ではなくブラフだと考える。
当然だ。創造武具とは戦いを左右するほど、重要な要素。こんなしょうもない、子供騙しの道具であるはずがない。

ゆえにその攻撃は――必中となる

「う、ぁあああ――!!」

絶叫と共に、引き金を引く。
自分は今、誰かを殺そうとしている。そんな事実から目を逸らしたくて、でも逃げられそうにないから――叫ぶ。


そして――本物の銃弾が、射出される

(ブラフじゃない――!)

FPSやVRゲームで卓越した洞察力。堕天使に変身したことで格段と上がった動体視力。
それらがタケピィーの弾丸を捉え、頭を逸らすことで間一髪――なんとか回避する。

弾丸が頬を掠り、ヒリヒリと痛むが……この程度の痛みは、大したことない。
むしろこれだけで済んで良かったとすら思う。いくら堕天使化した真白と言えど、脳天を貫かれたら危なかった。

なお真白が回避出来た理由は彼女のスペックもあるが……それ以上にタケピィーが精神的に動揺していたこと。そして素人であることが大きい。
どの道、脳天は狙えてなかったのだ。

タケピィーは本物の銃弾が出ると、確信していたから――それゆえに動揺した。

創造武具の変化は、術者本人はすぐに理解出来る。
偽りの仮面を被っていたタケピィーは、それに相応しい創造武具を与えられた。道化らしい、ふざけた創造武具を。

だがアルカードと本物の友達になれそうだと思い、仮面を脱ぎ捨てることで――創造武具で取り出したピストルもまた“本物”に変化した。

その上で本物として使うか、玩具として使うか任意に選択出来る。創造武具の名に恥じぬ、厄介な性能の武器と化したのだ

「もう一発だ!当たるまで、やってやる!」

――バン、バン、バン。
何発も銃弾が発射されるが、真白はそれを難なく避け、剣で弾く。

先程はブラフだと思っていたが、本物だとわかってるなら今の真白にとって対処は容易い。

(仕方ない。この人も……!)

そして真白は、タケピィーの右腕を斬ろうとして――アルカードの杭が、それを防いだ。

「今だ、タケ――何!?」

一瞬の隙が出来るはずの、好機を――真白は与えない。
流れるような動作で空に羽ばたく。
アルカードとタケピィーは一瞬、標的を見失い――

「やぁああああ!」

まずは再生力のないタケピィーから、と。
上空からの斬撃をタケピィーに与え――何の耐性も。再生力も。身体能力のないタケピィーは、あっさりと切り裂かれる。

(あ、俺――死ぬ、のか……)

そんなの嫌だ、なんて考える暇も与えられず。
上から下まで真っ二つに、タケピィーは両断された


「え――」

一瞬のうちに起こった出来事に、驚き。そしてタケピィーを失ったことだけは、理解出来て。アルカードの素が、現れる。

「お前ェ!よくも、よくも、よくも――」

アルカードは憤怒する。
流石の彼でも、目の前で仲間が殺されたらロールプレイする余裕すら失う。

その姿を哀れに感じながらも――真白は彼の心臓目掛けて剣を突き刺そうとした。

「お前だけは!絶対に許さん!!」

瞬間――真白が吹っ飛ぶ。

(いきなり、速くなった――!)

アルカードが放ったのは、蹴りだ。
圧倒的な速さで、真白の剣が届くより早く蹴りを放った。
咄嗟に漆黒の翼でガードしたか、それでも威力は殺し切れず――口から血が滴り落ちる。

もしも真白が“堕天使”という人外の領域に足を踏み入れてなければ、今の一撃で死んでいたかもしれない。
胸に穴が空いてもなお、なんとか生きてることからわかるように――今の彼女の生命力は異常だ

もっともアルカードには遠く及ばず、再生力もないので早急に治療が必要な状況ではあるが……それを達成するには、アルカードを倒すしかない。

「地獄でタケピィーに詫びろ!」

再びアルカードの蹴りが襲う。
杭を使わないのは、もうロールプレイに拘らず……本気になった証拠である。

杭はたしかに便利であるが、元からそういうものを扱うことに慣れてるわけじゃない。
それに今のアルカードは、タケピィーを失い激昂したことにより、スキルの出力が上がり――身体能力が上昇している。

この状態ならば、素手で堕天使を嬲り殺すことも不可能じゃないのだ。
ゆえに使い慣れぬ武器は捨て、徒手空拳に切り替えた。そもそも武器を使った戦闘では、しっかりと剣技を鍛えている真白の方が上手だというのもある。

(私は、ここまでなのかな――)

咄嗟に剣を盾に蹴りを受け止めるが、反動で吹っ飛ぶ。
フレイヤに出会い、自分なりに頑張ってきたが。
だが今のアルカードは、堕天使以上の化け物だ。弱点がわかったとはいえ、再生力も健在。
このままではもう勝ち目がなく……どうしようもない無力感に襲われる

(悔しいなぁ……)

吹っ飛びながら、真白は涙を流した。
この化け物は――自分ではもう、どうしようもない。
今ここで、自分が死ぬ。フレイヤにあんな強がりを言って、置いてきたのに――なんとも情けない。

「ごめんね、フレイヤちゃん――」

彼女に詫びの言葉を告げて――。
それでも、自分は最期まで足掻き続けようと決めたなら――。


「――真白さん!!」


――紅き正義の味方が、堕天使の身体を受け止める。

→ Justiφ's ―Burst Dream―
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