(こいつに与えられたのは、創造武具ではなくスキルの方か)
スキルは創造武具と違い、形状を持たないゆえにどんなものか予想するのが難しい。
(格好を見る限り、勇者に関係するスキルの可能性が高いか……?)
ズダ袋を被った大男が脳裏に過ぎる。
彼はその巨躯に相応しい創造武具を備えていた。ゆえにアバターは創造武具やスキルを知るヒントになるかもしれない、と考える。
彼はその巨躯に相応しい創造武具を備えていた。ゆえにアバターは創造武具やスキルを知るヒントになるかもしれない、と考える。
ショウのアバターはどう見ても勇者を意識していた。わざわざこんな格好をするのだから、何か特別な理由や想いがあるのだろう。
(こいつは武器を持たない。勇者だとしても、剣は使わないのだろう。……ならば、スキルは魔法か?)
魔法を得意とするのは主に賢者だが、魔法が得意な勇者が居てもおかしくない。
魔法を使えるなんて現実では馬鹿げた話だがここはVRC。なんでもありだ。
魔法を使えるなんて現実では馬鹿げた話だがここはVRC。なんでもありだ。
そして勇者という単語から考えられるのは、やはりファンタジー系のスキルである。
(だが魔法を使えるならば、オレが主導権を握る際に抵抗も出来たはずだ。何故、使わなかった……?)
「ところでアンタのことはなんて呼べばいいんだ?ネームプレートにはT.A.S.って表示されてるけど……タス?」
「適当に付けた名前だ。拘りはない。好きに呼ぶといい」
「適当に付けた名前だ。拘りはない。好きに呼ぶといい」
ニックネームなど、所詮はニックネームだ。T.A.S.からしたら、なんと呼ばれても気になるものじゃない。
それに最終的に死ぬ相手からどんな呼ばれ方をしようがどうでもいい。
それに最終的に死ぬ相手からどんな呼ばれ方をしようがどうでもいい。
「そうか。アンタの創造武具やスキルってどんなやつなんだ?」
「……」
「……」
副次機能はなるべく隠しておきたいが、そうするとバレた時に厄介だ。なぜ教えなかったという話になり、不和を生む。
ゆえに創造武具を教えるなら、正直に教えた方が良いだろう。創造武具の機能がショウに露呈しようとも、圧倒的な技術を駆使して何ら問題なく殺せるはずだ。
それにこれは良い機会。
創造武具やスキルを聞くということは、相手も自分に教える気があるのかもしれない。
創造武具やスキルを聞くということは、相手も自分に教える気があるのかもしれない。
もしそうならば、無駄に考察せず相手の能力が把握出来るのでT.A.Sとしても助かる。
「情報交換だ。貴様が教えるなら、俺も教えよう。互いに能力を理解していた方が、連携もしやすい」
もっともらしい理由を並べて、ショウからスキルを聞き出そうとする。
ショートソードを渡した件で信用は得ている。タイミング的にもスキルを聞き出す好機と踏んだ。
ショートソードを渡した件で信用は得ている。タイミング的にもスキルを聞き出す好機と踏んだ。
「俺のスキルはレグルス。出したい時に勇気を出せるスキルだ」
(勇気――)
(勇気――)
一般的に勇気とは、感情の部分に関する単語だ。
しかしそんなものが出るだけのスキルなど有り得るだろうか?そんな露骨なハズレスキルを与える意味がわからない。
しかしそんなものが出るだけのスキルなど有り得るだろうか?そんな露骨なハズレスキルを与える意味がわからない。
「勇気。勇者の気弾、ということか」
「違う。本当に勇気を出すだけのスキルだ」
「そのような無能極まりないスキルを与えるはずがない。それが本当ならば、貴様は能力を持たない一般人と何ら変わらないことになる」
「そんなこと言われても、本当なんだから仕方ないだろ。そういうアンタの能力はなんだよ」
「コレだ」
「コレだ」
「強過ぎるだろ、アンタの創造武具……」
「どうやら貴様のスキルは、本当にハズレだったようだな」
ハズレスキル。
そんなド直球の侮辱をぶつけられるが、何も言い返せない。
何故ならショウ本人も、自分のスキルがハズレだと思ってしまったから。
そんなド直球の侮辱をぶつけられるが、何も言い返せない。
何故ならショウ本人も、自分のスキルがハズレだと思ってしまったから。
「まあ良い。戦闘はオレがなんとかする」
「勇者なのに、守ってもらうのか……」
「勇者なのに、守ってもらうのか……」
「そうだ。貴様のハズレスキルではそれが精一杯だろう。勇者らしくそのショートソードで立ち向かってもいいが、命の保証はしない」
今はショウが必要だ。
主催者に対抗する集団を作る上で、こういう弱者は居た方がいい。弱者を守ることで、周囲からの信用を勝ち取る算段だ。
主催者に対抗する集団を作る上で、こういう弱者は居た方がいい。弱者を守ることで、周囲からの信用を勝ち取る算段だ。
ショートソードは自衛のために渡したが、無謀な行動に出ないことを願う。
もっともショウが死んでも殺し合いに乗らない者など、他にいくらでも代わりはいるだろう。彼が死んだら、その時はその時だ。
もっともショウが死んでも殺し合いに乗らない者など、他にいくらでも代わりはいるだろう。彼が死んだら、その時はその時だ。
「畜生……!」
一歩だけ進んだ勇者は、周りとの強さの差を知り悔しそうに唇を噛み締めた。
(しかし不可解だ。何故、こんなハズレスキルを与え一般人と同等のプレイヤーを生み出した……?)
運営に何か企みでもあるのか、と。
真面目なT.A.Sは、このハズレスキルの存在に何か意味があるんじゃないかと考えていた。
真面目なT.A.Sは、このハズレスキルの存在に何か意味があるんじゃないかと考えていた。
【H-4/一日目/早朝】
【ショウ】
[状態]:健康、精神的疲労(小)、悔しさ
[装備]:レグルス@スキル、ショートソード
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~3(確認済み)
[思考・状況]基本方針:殺し合いに反抗する
1:T.A.Sと協力して、対主催者の集団を作る。
2:誰か(レオンハート)は知らないけど、一歩を踏み出す機会をくれてありがとう。
3:ハズレスキルか……
[備考]
T.A.Sからマキシムとエクスキューショナーの情報を得ました。
※T.A.Sの創造武具を知りました
【ショウ】
[状態]:健康、精神的疲労(小)、悔しさ
[装備]:レグルス@スキル、ショートソード
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~3(確認済み)
[思考・状況]基本方針:殺し合いに反抗する
1:T.A.Sと協力して、対主催者の集団を作る。
2:誰か(レオンハート)は知らないけど、一歩を踏み出す機会をくれてありがとう。
3:ハズレスキルか……
[備考]
T.A.Sからマキシムとエクスキューショナーの情報を得ました。
※T.A.Sの創造武具を知りました
【T.A.S】
[状態]:健康
[装備]:無銘剣フィン@創造武具
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2
[思考・状況]基本方針:主催者込みで皆殺し
1:出来得る限り効率よく殺していく
2:まずは殺し合いに乗っていない者達を集めて、乗った者達を始末していく。
3:当分は殺し合いに乗った者は出来るだけ殺さない(第一回放送まで、以降は状況次第)
[備考]
マキシム及びエクスキューショナーと交戦しました
エクスキューショナーの創造武具だかスキルだかの能力を、『処刑刀の重量を増す』ものだとしました
※ショウのスキルを知りました
[状態]:健康
[装備]:無銘剣フィン@創造武具
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2
[思考・状況]基本方針:主催者込みで皆殺し
1:出来得る限り効率よく殺していく
2:まずは殺し合いに乗っていない者達を集めて、乗った者達を始末していく。
3:当分は殺し合いに乗った者は出来るだけ殺さない(第一回放送まで、以降は状況次第)
[備考]
マキシム及びエクスキューショナーと交戦しました
エクスキューショナーの創造武具だかスキルだかの能力を、『処刑刀の重量を増す』ものだとしました
※ショウのスキルを知りました
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輝くために | ショウ | これはVRであって現実(リアル)ではない |
輝くために | T.A.S | これはVRであって現実(リアル)ではない |