光の勇者と闇の番犬
僕はVTuber『すぎの葉ショウマ』のファンとして、動向は誰よりも掴んでいる自信があった。
なにせ運営会社の人のアカウントまで全部観察している。
何ならプライベートな別名のSNSアカウントまで、うまいことこちらも仮名を使ってフォロワーとして観察していたりも。
なにせ運営会社の人のアカウントまで全部観察している。
何ならプライベートな別名のSNSアカウントまで、うまいことこちらも仮名を使ってフォロワーとして観察していたりも。
ファンとしても過剰だとは思ってる。悪いことなのかもしれないとも思ってる。
でも心のスイッチが入るとどうしても止められない。
心の中で悪いとかまずいとか思う感情は時々沸くけど、それでも駄目なんだ……。
でも心のスイッチが入るとどうしても止められない。
心の中で悪いとかまずいとか思う感情は時々沸くけど、それでも駄目なんだ……。
実はものすごい努力家なのわかって、この人は今は辛いかもしれないけどもっと成功してほしいと思った。
でもそれに対して疲れを感じてることも分かって、最初のころ何も考えずに頑張れとメッセージを送ったことを後悔したり。
狐火が飛び交う配信の内容も、ヤマトライブの他のメンバーに負けず劣らずの独特の世界観があって好きだ。
実は狐火のエフェクトの操作はショウマが殆ど自力でプログラムを組んで配信上で適宜作動コマンドを入力していると知った時、
努力家の一面との繋がりが強く見えてより好きになったっけ。
音楽は普段から聴くようなタイプじゃないけど、ショウマが演奏したり歌ったりする曲はダウンロードして何回も聴いている。
こんなこと言ったらちょっと失礼だけど、視聴者がそこまで多くないからコメントも拾ってくれることが多いのが嬉しかったりも。
でもそれに対して疲れを感じてることも分かって、最初のころ何も考えずに頑張れとメッセージを送ったことを後悔したり。
狐火が飛び交う配信の内容も、ヤマトライブの他のメンバーに負けず劣らずの独特の世界観があって好きだ。
実は狐火のエフェクトの操作はショウマが殆ど自力でプログラムを組んで配信上で適宜作動コマンドを入力していると知った時、
努力家の一面との繋がりが強く見えてより好きになったっけ。
音楽は普段から聴くようなタイプじゃないけど、ショウマが演奏したり歌ったりする曲はダウンロードして何回も聴いている。
こんなこと言ったらちょっと失礼だけど、視聴者がそこまで多くないからコメントも拾ってくれることが多いのが嬉しかったりも。
そうして……どうやらVRChatのもうすぐ公開されるというバトルロワイアルのワールドに彼が参加するらしいことを掴んだ。
その様子を間近で見たい。いや直に関わるのは怖いけど。でも。
昔からのファンというのを隠してなら。
共闘したり対決したりなんかできたらきっと最高かも。
一方でこれをしたら、完全なストーカーの一線を越えてしまう気がして怖い。
悩む一方で、参加する準備についてや参加したらどう動くかとかを考えることが抑えられない。
その様子を間近で見たい。いや直に関わるのは怖いけど。でも。
昔からのファンというのを隠してなら。
共闘したり対決したりなんかできたらきっと最高かも。
一方でこれをしたら、完全なストーカーの一線を越えてしまう気がして怖い。
悩む一方で、参加する準備についてや参加したらどう動くかとかを考えることが抑えられない。
本当ならそれ専用のユーザーとアバターとかも作りたいけど時間も資金もないから、今の『あずきしらたま』で行こう。
あ。デスクトップで参加してるから、フルトラの器用に動ける人とは絶対勝負にならないか。
いやでも……やっぱり……いやこれを逃したらもうないかもしれないんだ。
あ。デスクトップで参加してるから、フルトラの器用に動ける人とは絶対勝負にならないか。
いやでも……やっぱり……いやこれを逃したらもうないかもしれないんだ。
思い切って初回が始まる頃を狙って、ワールドへ参加してみることにした。
スキルや創造武具なんかも作れるらしいけど、詳しく考える暇がない。
ただ単純に……ファンとしてショウマのことをもっと知りたいからいろんなデータが見れたらいいなと、
その程度で思ってとりあえず入ることにした。
ただ単純に……ファンとしてショウマのことをもっと知りたいからいろんなデータが見れたらいいなと、
その程度で思ってとりあえず入ることにした。
デスクトップの画面が貼り付くような不思議な感覚。
視界がワールドの中の世界に埋もれて没入していく。
そうしてフルトラを飛び越して、VRCユーザー"あずきしらたま"は完全なフルダイブの世界へ飛び込まされた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ゲームマスターの説明らしき声が聴かせられる。
それを耳に入れる余裕がない。
聴かなきゃいけないのに。でも。
聴かなきゃいけないのに。でも。
嗅覚が……!
よくわからないけど、周りの臭いが強烈に鼻を刺す。
詳しくは何もわからないけど、人間の臭いを近くで嗅ぐのを大量に混ぜた感じで、不快で。
よくわからないけど、周りの臭いが強烈に鼻を刺す。
詳しくは何もわからないけど、人間の臭いを近くで嗅ぐのを大量に混ぜた感じで、不快で。
目を開けて周りを見回すと、右のレンズを通した目からだけものすごい量の数値や文字列が目に入って。
皆の不安の気持ちが増大していくかのように、大きく変動していく数値は大きく真っ赤に見えて恐ろしくて。
皆の不安の気持ちが増大していくかのように、大きく変動していく数値は大きく真っ赤に見えて恐ろしくて。
助けて。
血の匂い。
動画を見るだけでは体験できないリアルな血の匂い。
動画を見るだけでは体験できないリアルな血の匂い。
やめて……。
色々な動画を見てきたから、ゴア描写にも耐性はあるはずなのに。
そんなこと考えてるのがギリギリなくらい現実には辛いんだ……。
臭い。鼻の奥を刺して、そのまま脳まで破壊していくような辛さ。
そんなこと考えてるのがギリギリなくらい現実には辛いんだ……。
臭い。鼻の奥を刺して、そのまま脳まで破壊していくような辛さ。
ーーーー駄目だ……もう……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ーーーーーーーー
タブレットを開きマップを見ながら、大きな建物の方へ向かって歩いていく勇者風のアバターが一人。
勇者リチャードはこのような状況でも全く狼狽えることなく、現状を冷静に分析する。
勇者リチャードはこのような状況でも全く狼狽えることなく、現状を冷静に分析する。
自分がするべきことはこの殺し合いを強要され、絶望と暗澹に塗れた世界にて人々を纏め導くことだ。
警視総監の息子としてしっかり教育を受け身分も保証され、生徒会長として人々を導いた自分が動かず誰が動くんだ。
自分こそがこの状況を解決に導くことができる人材だ。
警視総監の息子としてしっかり教育を受け身分も保証され、生徒会長として人々を導いた自分が動かず誰が動くんだ。
自分こそがこの状況を解決に導くことができる人材だ。
この殺し合いはどうやって引き起こされているのだろうか?
父の警視総監としての収入はそれほどでもないが、家族経由で他での収入が結構入るため家はそれなりに広大で警備もしっかり付いている。
巷をにぎわせている怪盗ナイトシャークなんぞに侵入されて、万一にでも警察関連資料を盗まれる足掛かり等にされても困るという名分もある。
VRCをプレイしているときは周りの様子が分かりにくくなるとはいえ、今は家に家族もいるはずだし自分に直に接して何か細工をされたというのは考えにくい。
『ななし』のリアルでの姿を写された時も特に周りに特異な仕掛けなどは無く、自分のと似たグレードのVR機器しか付けていなかった。
そうなると俄かには信じ難いが……超常の技術を以って精神をフルダイブさせられているという方がしっくり考察できてしまうのだ。
父の警視総監としての収入はそれほどでもないが、家族経由で他での収入が結構入るため家はそれなりに広大で警備もしっかり付いている。
巷をにぎわせている怪盗ナイトシャークなんぞに侵入されて、万一にでも警察関連資料を盗まれる足掛かり等にされても困るという名分もある。
VRCをプレイしているときは周りの様子が分かりにくくなるとはいえ、今は家に家族もいるはずだし自分に直に接して何か細工をされたというのは考えにくい。
『ななし』のリアルでの姿を写された時も特に周りに特異な仕掛けなどは無く、自分のと似たグレードのVR機器しか付けていなかった。
そうなると俄かには信じ難いが……超常の技術を以って精神をフルダイブさせられているという方がしっくり考察できてしまうのだ。
リアルでの自分はどうなっているのだろう。意識を失って倒れていたりするのだろうか。
家族を心配させないためにも帰還する必要を強く感じてしまう……。
帰還するために提示されている路は、配布された端末によると最後の一人まで生き残ること。
しかしGMはハッピーエンドなゲームクリアを目指すために、首輪を解除し開発者に逆らう必要があると言った。
家族を心配させないためにも帰還する必要を強く感じてしまう……。
帰還するために提示されている路は、配布された端末によると最後の一人まで生き残ること。
しかしGMはハッピーエンドなゲームクリアを目指すために、首輪を解除し開発者に逆らう必要があると言った。
ハッピーエンドとはどういうことなのだろう。
警察官の息子として様々な事件や犯人をネットや本で見てはいるけど、誰もが幸せになることができるハッピーエンドなどありはしないと思うけれど。
おそらく主催者はそこまで深く考えてなくて、このゲームを開催した自分こそが悪でそれを参加者が打ち倒すのがハッピーエンドだとでも自惚れているんだろう。
その前提なら、主催者を打ち倒しても参加者が帰還できないならそれはハッピーエンドではなくビターエンドとでも呼べるものになってしまう。
よって主催者を打倒するというルートでも、生き残った参加者は帰還できると考えるのが自然だと思う。
何ならそれに加えて本来は優勝者が得られる願いを叶える権利も横取りできる可能性もあるかもしれない。
警察官の息子として様々な事件や犯人をネットや本で見てはいるけど、誰もが幸せになることができるハッピーエンドなどありはしないと思うけれど。
おそらく主催者はそこまで深く考えてなくて、このゲームを開催した自分こそが悪でそれを参加者が打ち倒すのがハッピーエンドだとでも自惚れているんだろう。
その前提なら、主催者を打ち倒しても参加者が帰還できないならそれはハッピーエンドではなくビターエンドとでも呼べるものになってしまう。
よって主催者を打倒するというルートでも、生き残った参加者は帰還できると考えるのが自然だと思う。
何ならそれに加えて本来は優勝者が得られる願いを叶える権利も横取りできる可能性もあるかもしれない。
VRCをやっているようなユーザーは、趣味だったり現実ではちょっと足りないものを埋めようとしてたりする一般人が大半だ。
いくら殺し合いゲームという恐怖があろうと、すぐに殺し合いを始めるような精神の持ち主は非常に少ないと思う。
さらには開発者に反抗するという道が用意されている以上、協力してそれに縋ろうとするユーザーが最も多いのだろう。
精神破綻者を参加者として意図して多く集めている可能性も無くはないが、それはまだ置いておく。
ならば自分が良い解決のために取るべき方針は……もちろん参加者を纏めて主催者に反抗することだ。
行動は出来るだけ早いほうが良い。首輪の解除や運営側の棲家の把握に役立つ能力の持ち主が消えていくほど難易度は高くなる。
いくら殺し合いゲームという恐怖があろうと、すぐに殺し合いを始めるような精神の持ち主は非常に少ないと思う。
さらには開発者に反抗するという道が用意されている以上、協力してそれに縋ろうとするユーザーが最も多いのだろう。
精神破綻者を参加者として意図して多く集めている可能性も無くはないが、それはまだ置いておく。
ならば自分が良い解決のために取るべき方針は……もちろん参加者を纏めて主催者に反抗することだ。
行動は出来るだけ早いほうが良い。首輪の解除や運営側の棲家の把握に役立つ能力の持ち主が消えていくほど難易度は高くなる。
もう一つ次善として、反抗が失敗しそうな場合は思想を共有したユーザーとともに協力し優勝を目指し、優勝者が願いとして殺し合いの犠牲者たちの蘇生を望むこと。
アバターと現実の姿を入れ替えられるほどの現象を起こすことが可能な技術があるならば、死者の蘇生も可能だろう。
願いを叶えるというのが嘘という可能性も考えられるけど、そうとは思っていない。
開発者の犯罪心理として、これだけの大きい仕組みを作ったら再利用して同様のデスゲームを行って楽しみたいはずなのではないだろうか。
それなら開発者側へ害を及ぼさないような内容の願いは通らないだろうけど、
願いを叶える保証がないと次回以降の参加者が自暴自棄になったり全員で開発者に反抗してゲームが不成立になる可能性も高くなるしそれは開発者も望まないだろう。
アバターと現実の姿を入れ替えられるほどの現象を起こすことが可能な技術があるならば、死者の蘇生も可能だろう。
願いを叶えるというのが嘘という可能性も考えられるけど、そうとは思っていない。
開発者の犯罪心理として、これだけの大きい仕組みを作ったら再利用して同様のデスゲームを行って楽しみたいはずなのではないだろうか。
それなら開発者側へ害を及ぼさないような内容の願いは通らないだろうけど、
願いを叶える保証がないと次回以降の参加者が自暴自棄になったり全員で開発者に反抗してゲームが不成立になる可能性も高くなるしそれは開発者も望まないだろう。
どちらにしても自分が多くの参加者を纏めることこそが重要となる。多くのユーザーと遭えるように行動を考える必要がある。
しかし闇雲にこのワールド内を歩いても、そう簡単に人に会えるわけではない。
だからタブレットの地図を見て、最も近くにあり人も寄ってきそうな施設を目指すことにした。
しかし闇雲にこのワールド内を歩いても、そう簡単に人に会えるわけではない。
だからタブレットの地図を見て、最も近くにあり人も寄ってきそうな施設を目指すことにした。
準備ができていない状態で、自分も事件資料で知った犯罪者達のような短絡的に殺しに走るようなユーザーと遭ったりするのは避けたい。
ある程度身を隠しながらも直線的に進んでいく。
一応自分には戦闘の心得はかなりある。
警察官の息子として多くの武道や格闘技、何なら射撃技術まで叩きこまれてきた。
今の高校は優良校なので不良生徒が暴れるようなことは非常に少ないけど、外で女性が悪漢共に襲われているようなことがあれば率先して割り込んだ。
父のコネで日本最強の剣術家と言われる若い女性警察官に訓練をつけてもらいビシバシしごかれたようなこともあった。
そして今回のワールド内で活用できる創造武具も、やるからには勝ちたいからと非常に戦闘向けな物を制限覚悟で設計していた。
よほど戦闘特化した相手でない限り正面切っての対決なら負けない自信はある。
ある程度身を隠しながらも直線的に進んでいく。
一応自分には戦闘の心得はかなりある。
警察官の息子として多くの武道や格闘技、何なら射撃技術まで叩きこまれてきた。
今の高校は優良校なので不良生徒が暴れるようなことは非常に少ないけど、外で女性が悪漢共に襲われているようなことがあれば率先して割り込んだ。
父のコネで日本最強の剣術家と言われる若い女性警察官に訓練をつけてもらいビシバシしごかれたようなこともあった。
そして今回のワールド内で活用できる創造武具も、やるからには勝ちたいからと非常に戦闘向けな物を制限覚悟で設計していた。
よほど戦闘特化した相手でない限り正面切っての対決なら負けない自信はある。
それでも現実世界じゃ自分が敵わないような能力の持ち主はいくらでもいるし、そういう奴らが自分と同等の戦闘向け能力を習得していた場合は正面切っては勝てないだろう。
だからこそ協力して戦える仲間は必要だし、それを補助する支給品は必要だし、さらには準備を整えるための拠点も必要だ。
だからこそ協力して戦える仲間は必要だし、それを補助する支給品は必要だし、さらには準備を整えるための拠点も必要だ。
進み続ける。
やがてやや大きな建物が見えてきた。木造の2階建てで広い敷地に大きく佇んでいる。
昭和中期ごろまでによく建てられていたという雰囲気の木造学校校舎。
近くは昭和期の田舎の街並みも再現されて、公園やよろず屋のような店、古風な木造家屋も並んでいる。
現代高校生の自分にとっては全くリアルでは見たこともなく、今後も見ないであろう風景。
しかしVRCならば今は失われてしまったこのような風景を疑似体験して、更には当時の子供になりきって遊ぶようなこともできるということ。
単純にこういうVRCという技術の側面も、興味深いし面白いと思う。
田舎出身の母方の祖父母なんかはこの風景を懐かしいと感じたりするんだろうかなんて。
見せたら喜ぶだろうか。当時を経験した人の解説付きでワールドを歩いたりしたら面白いだろうか。
やがてやや大きな建物が見えてきた。木造の2階建てで広い敷地に大きく佇んでいる。
昭和中期ごろまでによく建てられていたという雰囲気の木造学校校舎。
近くは昭和期の田舎の街並みも再現されて、公園やよろず屋のような店、古風な木造家屋も並んでいる。
現代高校生の自分にとっては全くリアルでは見たこともなく、今後も見ないであろう風景。
しかしVRCならば今は失われてしまったこのような風景を疑似体験して、更には当時の子供になりきって遊ぶようなこともできるということ。
単純にこういうVRCという技術の側面も、興味深いし面白いと思う。
田舎出身の母方の祖父母なんかはこの風景を懐かしいと感じたりするんだろうかなんて。
見せたら喜ぶだろうか。当時を経験した人の解説付きでワールドを歩いたりしたら面白いだろうか。
とまあ感心こそするけど、もちろん楽しく散策したりするようなつもりはない。
学校という建物ならば広く様々な設備もあるため人が集まるだろうと考えて、最初の目的地にここを選んだんだから。
ここからはすでに誰かがいる可能性も考えて、創造武具を発動しながら向かおう。
学校という建物ならば広く様々な設備もあるため人が集まるだろうと考えて、最初の目的地にここを選んだんだから。
ここからはすでに誰かがいる可能性も考えて、創造武具を発動しながら向かおう。
剣型の創造武具"エターナルエクスカリバー"を構える。
最初だから勝手がわからないし、直立して武具の名前を強く想像し鎧のイメージを思い浮かべた。
その瞬間、剣が強い光を発する。
最初だから勝手がわからないし、直立して武具の名前を強く想像し鎧のイメージを思い浮かべた。
その瞬間、剣が強い光を発する。
身体を光が纏っていき、徐々に強みを増す。
そして一つの形を作っていくと落ち着いていき、後には黄金の全身鎧となった。
重さはほとんど感じていない。黄金の鎧は元が光だから重さはほとんど存在しない。
それでも適度に身体と接してしっかり護ってくれている感覚があり、胴着を着るように戦闘態勢に入った気分を高めてくれる。
体格は現実世界とほぼ変わらないから、違和感はまったくない。
そして一つの形を作っていくと落ち着いていき、後には黄金の全身鎧となった。
重さはほとんど感じていない。黄金の鎧は元が光だから重さはほとんど存在しない。
それでも適度に身体と接してしっかり護ってくれている感覚があり、胴着を着るように戦闘態勢に入った気分を高めてくれる。
体格は現実世界とほぼ変わらないから、違和感はまったくない。
建物の影に入りつつ少しずつ進む。
身体能力が強化されているため、短距離の移動なら足に力を込めてステップで一瞬だ。
感覚も少しは強化されているが、その上でも動くものの気配はない。
身体能力が強化されているため、短距離の移動なら足に力を込めてステップで一瞬だ。
感覚も少しは強化されているが、その上でも動くものの気配はない。
学校校舎の建物に近づいてきた……。
建物の壁に寄りかかってユーザーがいるのが見える。
ネームプレートは……『あずきしらたま』。
名前の通りの少し紫がかった体色を持つ、2足歩行の犬キャラのアバターだ。
アバターは寄りかかって動かない。
建物の壁に寄りかかってユーザーがいるのが見える。
ネームプレートは……『あずきしらたま』。
名前の通りの少し紫がかった体色を持つ、2足歩行の犬キャラのアバターだ。
アバターは寄りかかって動かない。
最初に接触するユーザーだ。とりあえず明らかな危険人物では無いとは思う、接触はしておきたいし何なら味方に引き入れたい。
しかし誰かに遠隔攻撃を受けていたり、当人やそれ以外の誰かが人を釣る囮にしている可能性も考慮してすぐには接近しない。
しかし誰かに遠隔攻撃を受けていたり、当人やそれ以外の誰かが人を釣る囮にしている可能性も考慮してすぐには接近しない。
警戒しながら少しずつ近づく。
何も反応はない。
何も反応はない。
アバターの前までたどり着いた。
やはりこちらに反応する様子がない。
やはりこちらに反応する様子がない。
触れてみると息も脈もある。
気絶しているのか……?
気絶しているのか……?
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ーーーーーーーー
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
VRCのユーザー「あずきしらたま」はデスクトップ勢、すなわちVRセットを用いずログインしているユーザー。
デスクトップだけではVRCの機能の半分も楽しめないとも云われているけど。
VR機器を購入したい欲はあっても、他の事に金を使うモチベーションがいってしまう。
推しの配信者やクリエイターへの、サブスクやコミッションや投げ銭。
デスクトップだけではVRCの機能の半分も楽しめないとも云われているけど。
VR機器を購入したい欲はあっても、他の事に金を使うモチベーションがいってしまう。
推しの配信者やクリエイターへの、サブスクやコミッションや投げ銭。
でも自分はだいぶ病んでいてきっと面倒なファンなのだとは思う。
ファンとしての自分を認知してほしいと思う一方で、
自分を認知してしまったら相手の創作活動に自分が入り込んで相手が変わってしまうんじゃないかという心配もある。
だから自分のパーソナルを排除して、推しごとに本体と違うコテハンを使って自分のパーソナルを隠して応援する。
ファンとしての自分を認知してほしいと思う一方で、
自分を認知してしまったら相手の創作活動に自分が入り込んで相手が変わってしまうんじゃないかという心配もある。
だから自分のパーソナルを排除して、推しごとに本体と違うコテハンを使って自分のパーソナルを隠して応援する。
今一番推しとして投げ銭しているVTuber『すぎの葉ショウマ』に対しては、
リスナー名として『やぶつるあづき』を名乗って応援している。
微妙にVRCでの名前を捩ったような繋がりがあるアカウント名なのは、
相手が自分に興味を持ってちゃんと調べるくらいになったら他のアカウントに気付かれるかもしれないし、
それは良いのかもという思いがちょっとあるからだったりするけど。
リスナー名として『やぶつるあづき』を名乗って応援している。
微妙にVRCでの名前を捩ったような繋がりがあるアカウント名なのは、
相手が自分に興味を持ってちゃんと調べるくらいになったら他のアカウントに気付かれるかもしれないし、
それは良いのかもという思いがちょっとあるからだったりするけど。
何よりもダメなのは推しのパーソナルを、心のスイッチが入ると可能な限り調べ上げてしまうこと。
あの絵には作者のこういう過去が反映されてるんだなとか、
あれは友達とのやり取りをモデルにしてるんだろうなとか、そういう解釈をするのが楽しくて。
あとはメッセージを送るとき地雷を絶対踏まないように気を付けたかったり。
でもそれって普通の人なら自然とできちゃったりするんだと思うから、やっぱり自分が異常なんだろう。
あの絵には作者のこういう過去が反映されてるんだなとか、
あれは友達とのやり取りをモデルにしてるんだろうなとか、そういう解釈をするのが楽しくて。
あとはメッセージを送るとき地雷を絶対踏まないように気を付けたかったり。
でもそれって普通の人なら自然とできちゃったりするんだと思うから、やっぱり自分が異常なんだろう。
そんな自分を自虐している一方で、それこそが自分でありそこから逃れることはできないという感情もあって。
ネットで好きになったアバター製作者に匿名で、自分のキャラ性を反映するようなアバターをモデリングしてもらった。
ネットで好きになったアバター製作者に匿名で、自分のキャラ性を反映するようなアバターをモデリングしてもらった。
ネットで見る獣人の自作着ぐるみ界隈のキャラのように頭や手、下半身が大き目の体型。
モノクルを掛けたたれ耳の二足歩行の犬キャラのアバターだ。
流石に人間アバターにすると生々しいし、獣人ならデフォルメで可愛くなると思って。
服のデザインが大変なので、獣人なら服が無くてもいいという実用的な面もなくはない。
モノクルを掛けたたれ耳の二足歩行の犬キャラのアバターだ。
流石に人間アバターにすると生々しいし、獣人ならデフォルメで可愛くなると思って。
服のデザインが大変なので、獣人なら服が無くてもいいという実用的な面もなくはない。
体色は小豆色に近い褐色と白、それに栗色の髪。好物の栗の入った白玉ぜんざいをモデルにしている。
体格は丸め。現実でも甘いものを食べすぎるせいで、体格はぽっちゃりしている。
モノクルを付けた犬なのは、ネットで他人を観察し嗅ぎ回ってしまう自分の性質の比喩。
自分が大好きな信頼する製作者に頼んだこともあって、自分をイメージしたと思えないほど可愛くなった。
体格は丸め。現実でも甘いものを食べすぎるせいで、体格はぽっちゃりしている。
モノクルを付けた犬なのは、ネットで他人を観察し嗅ぎ回ってしまう自分の性質の比喩。
自分が大好きな信頼する製作者に頼んだこともあって、自分をイメージしたと思えないほど可愛くなった。
でも、すぎの葉ショウマは企業VTuberだからアバターを盗用される恐れもあるVRCに現れることはまずない。
じゃあ最初は誰がためにVRCを始めたのかというと……歌い手『吸血姫ティアラ』の追っかけとしてだった。
じゃあ最初は誰がためにVRCを始めたのかというと……歌い手『吸血姫ティアラ』の追っかけとしてだった。
人外の怪物である美少女を模したような代理キャラ、そして薄暗い中に尊大で世界観に引き込まれるような歌い方。
カバー曲もオリジナル曲も動画も、全てが独特の世界観を構築してた。
内面に独自の世界観を作り上げているようなクリエイターは、自分に無いものを見れるから本当に好きだった。
VRC内でも時々その歌声は披露されるし、時々ライブのように歌っていることもある。
僕はそれを多くのファンたちや野次馬の中に紛れてたくさん聴くのだ。
ティアラがトランシルバニアっていうグループの一員だってことはもちろん知ってるけど、
僕のような弱小デスクトップユーザーがそこに入るのはおこがましいし、あまりに距離が近くなりすぎるのも怖い。
直接話すようなことはせず、アイドルの追っかけみたいなことをしてた。
もちろんお金を使うこともちゃんとしていた。
配信チャンネルのサブスクには複数アカウントで加入した。
ネット販売されたアルバムも、複数アカウント使って何個も買った。
応援や感想のコメントは匿名でたくさん送った。
カバー曲もオリジナル曲も動画も、全てが独特の世界観を構築してた。
内面に独自の世界観を作り上げているようなクリエイターは、自分に無いものを見れるから本当に好きだった。
VRC内でも時々その歌声は披露されるし、時々ライブのように歌っていることもある。
僕はそれを多くのファンたちや野次馬の中に紛れてたくさん聴くのだ。
ティアラがトランシルバニアっていうグループの一員だってことはもちろん知ってるけど、
僕のような弱小デスクトップユーザーがそこに入るのはおこがましいし、あまりに距離が近くなりすぎるのも怖い。
直接話すようなことはせず、アイドルの追っかけみたいなことをしてた。
もちろんお金を使うこともちゃんとしていた。
配信チャンネルのサブスクには複数アカウントで加入した。
ネット販売されたアルバムも、複数アカウント使って何個も買った。
応援や感想のコメントは匿名でたくさん送った。
でもある頃からちょっと風合いの違う歌がレパートリーに混ざるようになってきた。
世界の残酷さ、それへの怨嗟を連ねた歌、またはそこにある被害者の苦しみ、そしてそれを勇気づけるような歌。
そういう曲自体はつらい人の気持ちがしっかり伝わってくるようでとても好きだったし、自分も共感するとこもあったけど。
でも何かあったのか気になって気になって、昔からちょっとずつ調べていたティアラのパーソナルをもっと深く調べたいスイッチが入った。
世界の残酷さ、それへの怨嗟を連ねた歌、またはそこにある被害者の苦しみ、そしてそれを勇気づけるような歌。
そういう曲自体はつらい人の気持ちがしっかり伝わってくるようでとても好きだったし、自分も共感するとこもあったけど。
でも何かあったのか気になって気になって、昔からちょっとずつ調べていたティアラのパーソナルをもっと深く調べたいスイッチが入った。
一時期大きな話題となった女子高生集団輪姦事件の犠牲者の一人の苗字と、
ティアラのSNSの別名アカウントや知り合いを何重にも辿って調べ上げたリアルの苗字が一致した。
そしてティアラの歌う歌の方向性が少し変わった時期と、事件が進行していた時期も一致した。
被害者のSNSアカウントにも姉妹がティアラだということは直には言ってなかったけど、
ティアラ周りを調べ上げてあらゆる情報を纏めた後ならば、洞察できる程度には状況証拠が見つかった。
歌の上手い姉がいて、自分もあんなにかっこよくはなれないけど自分の歌を作ってみてるとかも書かれてた。
ティアラのSNSの別名アカウントや知り合いを何重にも辿って調べ上げたリアルの苗字が一致した。
そしてティアラの歌う歌の方向性が少し変わった時期と、事件が進行していた時期も一致した。
被害者のSNSアカウントにも姉妹がティアラだということは直には言ってなかったけど、
ティアラ周りを調べ上げてあらゆる情報を纏めた後ならば、洞察できる程度には状況証拠が見つかった。
歌の上手い姉がいて、自分もあんなにかっこよくはなれないけど自分の歌を作ってみてるとかも書かれてた。
そういうことだったんだと腑に落ちてしまった。
ティアラは歌に、自分自身が被害者遺族として世界の残酷さを恨む気持ちを込めている。
そして事件の被害者やその関係者たちを思って作って勇気づけるような歌も必死に歌ってる。
何なら姉として自分だけが知ることのできた妹の作りかけの歌を、
馴染みの作曲家達と協力して完成させた曲もあるのかもしれない。
ティアラは歌に、自分自身が被害者遺族として世界の残酷さを恨む気持ちを込めている。
そして事件の被害者やその関係者たちを思って作って勇気づけるような歌も必死に歌ってる。
何なら姉として自分だけが知ることのできた妹の作りかけの歌を、
馴染みの作曲家達と協力して完成させた曲もあるのかもしれない。
僕は……これ以上掘り進めるべきではないとは思いつつ、でも調べたいという知識欲のスイッチは入り続けたままで。
そして、調べていくと遂に見てはいけないものを発見してしまった。
ダークウェブ経由で流出した、事件の加害者が被害者を辱める様子を記録した動画。
そして、調べていくと遂に見てはいけないものを発見してしまった。
ダークウェブ経由で流出した、事件の加害者が被害者を辱める様子を記録した動画。
自分だって中学時代虐められてきた。
最初はぽっちゃりしている体型を弄られて、
太った動物やキャラに例えられて揶揄われたり贅肉を抓られたりするくらいだったのにどうしてああなってしまったのか。
悪口とかはいくらでも耳に入ってくるし、ネットで自分について調べればその度に辛くなるけどやめられなくて。
太った動物やキャラに例えられて揶揄われたり贅肉を抓られたりするくらいだったのにどうしてああなってしまったのか。
悪口とかはいくらでも耳に入ってくるし、ネットで自分について調べればその度に辛くなるけどやめられなくて。
「俺がお前から物盗んだって? 知るかよ?
でも家畜は勉強しなくていいし人間のもの要らないし丁度良かったな!」
「逃げるぞ! 狙い撃ちにしてやろうぜ!」
「こんなもの食えないだって! デブなら何でもおいしいと思えよ! 文句言うな!」
「うわ、こいつ吐きやがった! 汚え!」「待てよ、お前そのまま綺麗にしてみろよ」
でも家畜は勉強しなくていいし人間のもの要らないし丁度良かったな!」
「逃げるぞ! 狙い撃ちにしてやろうぜ!」
「こんなもの食えないだって! デブなら何でもおいしいと思えよ! 文句言うな!」
「うわ、こいつ吐きやがった! 汚え!」「待てよ、お前そのまま綺麗にしてみろよ」
物を盗まれたり勝手に捨てられたり。
狩りの的のように物を沢山投げつけられて、血を流したり泣いたりしたらそれも嘲笑われたり。
ゴミやら雑巾やら汚物やら入った給食を食わされたり。
テープで腕と足を縛られ腹を殴られて嘔吐したら、床に溢したそれを綺麗に嘗めさせられたり。
それらを動画に撮影されてグループチャットに流されたり。
他にも、すぐには思い出せないけど本当に辛い色々なことがあった。
狩りの的のように物を沢山投げつけられて、血を流したり泣いたりしたらそれも嘲笑われたり。
ゴミやら雑巾やら汚物やら入った給食を食わされたり。
テープで腕と足を縛られ腹を殴られて嘔吐したら、床に溢したそれを綺麗に嘗めさせられたり。
それらを動画に撮影されてグループチャットに流されたり。
他にも、すぐには思い出せないけど本当に辛い色々なことがあった。
この世の地獄を見てきたと思ってた。
太った犬とか猫とかなら普通に可愛いとだけ言われるのに。
人間として生きるのに向いてないのに人間で、ごめんなさい。
自分も動物だったら良かったのに。
太った犬とか猫とかなら普通に可愛いとだけ言われるのに。
人間として生きるのに向いてないのに人間で、ごめんなさい。
自分も動物だったら良かったのに。
でも。
地獄の底は見えてなかった。
そんな易しいものじゃなかった。
地獄の底は見えてなかった。
そんな易しいものじゃなかった。
言葉で言い表せないような人間性を否定する所業が記録された映像。
自分が味わった以上の地獄が自分の割と身近なところにあるなんてと、驚いたり心が苦しくなったりする。
でも苦しいのは何故? 複雑な感情だった。
自分の経験してきた自分の人格を構成する地獄こそが本当に最悪だと思ったのに、それ以上を見て嫉妬するような不思議な感覚とか。
僕の地獄なんてそうひどいものじゃないんだよと言われた気がして、それを否定したくなる感じなんだろうか。
自分が味わった以上の地獄が自分の割と身近なところにあるなんてと、驚いたり心が苦しくなったりする。
でも苦しいのは何故? 複雑な感情だった。
自分の経験してきた自分の人格を構成する地獄こそが本当に最悪だと思ったのに、それ以上を見て嫉妬するような不思議な感覚とか。
僕の地獄なんてそうひどいものじゃないんだよと言われた気がして、それを否定したくなる感じなんだろうか。
最も更新日が新しくて広まってなさそうなのは遺体処理に関する画像や動画だった。
放置されてネズミや虫に食われて体表や身体のやわらかい部分が食われてなくなり、蛆も沸いた女の子の遺体。
自分の身体にまで蛆が這っているような錯覚を覚えそうになる。
酸かアルカリの入った水槽に入れられて、ぶよぶよになって内臓が徐々に露になって浮き上がっていく遺体。
そしてそれをつついて、ぐずぐずになっていくのをあざ笑う男性。
それ以外にもいろいろ。
思い出しても震え上がらなくなるまで、何日も時間がかかった。
放置されてネズミや虫に食われて体表や身体のやわらかい部分が食われてなくなり、蛆も沸いた女の子の遺体。
自分の身体にまで蛆が這っているような錯覚を覚えそうになる。
酸かアルカリの入った水槽に入れられて、ぶよぶよになって内臓が徐々に露になって浮き上がっていく遺体。
そしてそれをつついて、ぐずぐずになっていくのをあざ笑う男性。
それ以外にもいろいろ。
思い出しても震え上がらなくなるまで、何日も時間がかかった。
でもやっぱり全体通してビデオの中の一幕が一番強く心に残った。
加害者が被害者の飼い犬らしき犬を連れてきて、薬剤を打たせ正気を失わせて被害者たちと交尾させたり生きたまま被害者の肉を喰わせたりするのだ。
残酷という言葉で言い表せないような姿。ペットと人の絆を破壊してあざ笑う人たち。
加害者が被害者の飼い犬らしき犬を連れてきて、薬剤を打たせ正気を失わせて被害者たちと交尾させたり生きたまま被害者の肉を喰わせたりするのだ。
残酷という言葉で言い表せないような姿。ペットと人の絆を破壊してあざ笑う人たち。
ビデオの中では犬について詳しい情報は語られなかったけど、動画中の細かいセリフを纏めたり、
被害者の周辺情報やSNSアカウントをを調べたりした結果被害者の一人の飼い犬らしいことが分かった。
川に捨てられていたところから拾って、家族の一員として大事に育てていた犬なのに。
日々の成長を喜んだり、何気ない日常の可愛い一幕に癒されてる様子がSNSでも伺えていたのに。
加害者の人間達が自分で人間を殺したいがために、この仔が被害者たちの直接の死因にまでは関わらなかったのは僅かな救いなのだろうか。
被害者の周辺情報やSNSアカウントをを調べたりした結果被害者の一人の飼い犬らしいことが分かった。
川に捨てられていたところから拾って、家族の一員として大事に育てていた犬なのに。
日々の成長を喜んだり、何気ない日常の可愛い一幕に癒されてる様子がSNSでも伺えていたのに。
加害者の人間達が自分で人間を殺したいがために、この仔が被害者たちの直接の死因にまでは関わらなかったのは僅かな救いなのだろうか。
ーーそしてその仔。僕にとっては見た感じが何故かした。
連想していた。模様のパターン、耳や尾の形なんかが僕のVRCのアバターとの共通点が多くて。
毛色は褐色だったけれど、暗いところだと黒紫がかるからそれが僕のアバターの毛色と被る。
そんなことって。
毛色は褐色だったけれど、暗いところだと黒紫がかるからそれが僕のアバターの毛色と被る。
そんなことって。
ティアラもきっと犬が関わったことも知っているだろうし、何なら動画の存在も知っているだろう。
自分が自分のアバターで出会うこと自体がティアラを傷付けてしまう。
もちろんアバターを変えればいいのだけど今のアバターへの思い入れが大きいし、
それ以上を作ろうとするのは資金的にも愛着を作り上げる時間的にも大変だ。
更にはアバターを変えようとずっと使ってきたアバターだから、
ティアラと会うたび僕のほうが犬を連想して気分が落ち着かなくなると思う。
自分が自分のアバターで出会うこと自体がティアラを傷付けてしまう。
もちろんアバターを変えればいいのだけど今のアバターへの思い入れが大きいし、
それ以上を作ろうとするのは資金的にも愛着を作り上げる時間的にも大変だ。
更にはアバターを変えようとずっと使ってきたアバターだから、
ティアラと会うたび僕のほうが犬を連想して気分が落ち着かなくなると思う。
ーーーーでもそれ以上に嫌なのは自分自身だ。
こんなビデオを見て恐れ慄きながらも、その一方でどこか興味津々となって何度もビデオを見返してしまう。
被害者に感情移入して辛いと思うような気持ちは頑張って想像しないと不思議と無い。
共感性が低いんだろうな。やっぱり僕は虐められるのに理由がある異常者だったんだって感じてしまう。
人を嫌いになったり恨んだりするのは苦手だけど、それは僕が優しいからなんかじゃなくて心がおかしいからだ。
こんなことをする加害者達に憎悪の感情がわかないことにぞっとする。
自分を虐めていた加害者達に恨みの感情が湧いてないのと同じだけど、
それ以上のことをしてる奴らにも感情が湧かないのはおかしい。
自己嫌悪に陥る。被害者やその関係者の人たちに合わせる顔がない。
自分も自分を虐めていた奴らと同類かそれ以上に悪辣なんだろうか。
こんなビデオを見て恐れ慄きながらも、その一方でどこか興味津々となって何度もビデオを見返してしまう。
被害者に感情移入して辛いと思うような気持ちは頑張って想像しないと不思議と無い。
共感性が低いんだろうな。やっぱり僕は虐められるのに理由がある異常者だったんだって感じてしまう。
人を嫌いになったり恨んだりするのは苦手だけど、それは僕が優しいからなんかじゃなくて心がおかしいからだ。
こんなことをする加害者達に憎悪の感情がわかないことにぞっとする。
自分を虐めていた加害者達に恨みの感情が湧いてないのと同じだけど、
それ以上のことをしてる奴らにも感情が湧かないのはおかしい。
自己嫌悪に陥る。被害者やその関係者の人たちに合わせる顔がない。
自分も自分を虐めていた奴らと同類かそれ以上に悪辣なんだろうか。
本当に考えれば理由はいくらでも出てくるくらい色々あるのだけど、
とにかく素直にティアラを推すことが出来なくなった。
心残りはあったけど、思い出すたびに不快な気持ちが連なってついてくる。そんなことを繰り返す。
でもそんな日々も永久に続くわけではなく、徐々に思い出す頻度が減ってそのまま薄れていった。
とにかく素直にティアラを推すことが出来なくなった。
心残りはあったけど、思い出すたびに不快な気持ちが連なってついてくる。そんなことを繰り返す。
でもそんな日々も永久に続くわけではなく、徐々に思い出す頻度が減ってそのまま薄れていった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ーーーーーーーー
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
目が覚めた。
ここはどこだろう。
木でできた天井。
ふわふわとした感触が体を受け止める。
首を横に向ける……どこかの建物の中のベッドの上だった。
木でできた天井。
ふわふわとした感触が体を受け止める。
首を横に向ける……どこかの建物の中のベッドの上だった。
ーーーー気絶する前の血の匂いはまだ脳に焼き付くように残ってる。
嫌なことをいっぱい思い出す。
気を失ってる間に出てきた辛い記憶に、身体を縮こめる。
他のことを考えてようとしても、においがこびりついたように意識が時々そっちに呼び戻されてその度不快になる。
人のことだとあんなに傍観的になれてしまったのに、いざ自分が直に関わるとこんな風になるんだ。
自分はやっぱり自己中心的でひどい人間なんだ。
嫌なことをいっぱい思い出す。
気を失ってる間に出てきた辛い記憶に、身体を縮こめる。
他のことを考えてようとしても、においがこびりついたように意識が時々そっちに呼び戻されてその度不快になる。
人のことだとあんなに傍観的になれてしまったのに、いざ自分が直に関わるとこんな風になるんだ。
自分はやっぱり自己中心的でひどい人間なんだ。
少しでも臭いを忘れよう、薄めようと、自分の腕で鼻を覆い尽くした。
毛皮のふわふわの感触が鼻に触れる。
もちろんこんな感触は初めて味わう感覚。
毛皮のふわふわの感触が鼻に触れる。
もちろんこんな感触は初めて味わう感覚。
ーーアバターの姿になっている?
ここが夢の世界なのかVRの世界なのかもわからないけど、直感的にそう理解できた。
ここが夢の世界なのかVRの世界なのかもわからないけど、直感的にそう理解できた。
丸く大きく柔らかい雰囲気の通り、感触も弾力があってもちもちしていて腕の方が鼻の形にくぼんでいく。
鼻の中を通る匂いは単純化して、数個の要素だけになった。
他も少しあるけど、強く意識しないと感じることがほとんどできないくらいになった。
新しい匂いが来ることもない。嗅覚に意識を乱されることは取り敢えず無くなったかもしれない。
鼻の中を通る匂いは単純化して、数個の要素だけになった。
他も少しあるけど、強く意識しないと感じることがほとんどできないくらいになった。
新しい匂いが来ることもない。嗅覚に意識を乱されることは取り敢えず無くなったかもしれない。
ティアラに関すること……自分にとってはVRCの悪い思い出になってしまってるけど、VRC自体が悪いとは全然思えない。
むしろ僕の心の癒やしとしての部分も、今のVRCにはあったりもするから。
むしろ僕の心の癒やしとしての部分も、今のVRCにはあったりもするから。
『ふたばちゃん』さんとはいつ出会ったんだっけ。
そうそう、VRCを始めようと考えた頃やっぱりいきなり初めての場所に踏み込むのが怖いから、
マナーやら雰囲気やら文化やら技術情報やら沢山ネットで調べ上げてたんだったな。
そうやって日本人の多そうなのパブリックワールドや、初心者案内用の招待制ワールドのURLなんかの情報を頑張って探し当てて。
それで意を決して入ってもだいぶコミュ障寄りだし人と共通の趣味なんかも無くて話せなくて事務的に対応されるだけだったり……。
更にはそんな自分が居た堪れないし恥ずかしいからアカウントを作り直したりなんてことをしていて。
そうそう、VRCを始めようと考えた頃やっぱりいきなり初めての場所に踏み込むのが怖いから、
マナーやら雰囲気やら文化やら技術情報やら沢山ネットで調べ上げてたんだったな。
そうやって日本人の多そうなのパブリックワールドや、初心者案内用の招待制ワールドのURLなんかの情報を頑張って探し当てて。
それで意を決して入ってもだいぶコミュ障寄りだし人と共通の趣味なんかも無くて話せなくて事務的に対応されるだけだったり……。
更にはそんな自分が居た堪れないし恥ずかしいからアカウントを作り直したりなんてことをしていて。
それを何度か繰り返していたころ会ったのがふたばちゃんさんだった。
アバターを見てネットのVRC関係の匿名掲示板やTwitterで何度か見たあの人だってのは分かった。
絵も描いているし小説も書いているし3Dモデルも作っているし、本当に色々面白そうなことをしている人だとは思っていたんだっけ。
ネット上でも話し方は掲示板の文化に沿ったテンプレ的だったり言葉数が少なかったりもするんだけど、
質問なんかには投げやりじゃなく詳しく答えたりして人の好さは感じて。
ちょっとしたきっかけで話して、フレンド登録もしたけどお互い話すのが下手だから会話は続かない。でも居心地も悪くない。
でもまたアカウントを作り直すのは疲れたし、この人との縁が無くなるのはもったいないし嫌だとも思った。
アバターを見てネットのVRC関係の匿名掲示板やTwitterで何度か見たあの人だってのは分かった。
絵も描いているし小説も書いているし3Dモデルも作っているし、本当に色々面白そうなことをしている人だとは思っていたんだっけ。
ネット上でも話し方は掲示板の文化に沿ったテンプレ的だったり言葉数が少なかったりもするんだけど、
質問なんかには投げやりじゃなく詳しく答えたりして人の好さは感じて。
ちょっとしたきっかけで話して、フレンド登録もしたけどお互い話すのが下手だから会話は続かない。でも居心地も悪くない。
でもまたアカウントを作り直すのは疲れたし、この人との縁が無くなるのはもったいないし嫌だとも思った。
ふたばちゃんさんがイラスト書いたりモデルを作るたびにVRCでそのことについて感想を話したりしてるうち、
ふたばちゃんさんも最初は不愛想ながらに喜んでくれてたのが少しずつ調子が上がって素直な感情っぽくなって仲良い感じになったっけ。
僕が色々質問しても丁寧に答えてくれるし、それがちゃんと役立っているのを見るのも地味だけど嬉しそうで。
やっぱり普段の趣味とかはも違うから会話がないときは全然ないんだけれど、でもこの人の作風についてはとても好きになっていった。
ふたばちゃんさんはイラストやモデルを販売して商売を始めようかって考えているらしいんだけど、まだまだ自分なんてって言って踏み出せていない。
いつか納得できるようなものが作れたり、誇れるような技術を身に着けたりできるように僕もずっとささやかに応援している。
本人はカッコつけてVRCでは言ってないけど、匿名掲示板の書き込みとか追ってると引きこもりで働けていないのが辛いみたいなことも言ってるから。
いつかそういうコンプレックスを克服して幸せになって欲しい。
商売を始めたら僕が匿名で第一顧客になって、火付け役を果たして見せるつもりだったりもする。
ふたばちゃんさんも最初は不愛想ながらに喜んでくれてたのが少しずつ調子が上がって素直な感情っぽくなって仲良い感じになったっけ。
僕が色々質問しても丁寧に答えてくれるし、それがちゃんと役立っているのを見るのも地味だけど嬉しそうで。
やっぱり普段の趣味とかはも違うから会話がないときは全然ないんだけれど、でもこの人の作風についてはとても好きになっていった。
ふたばちゃんさんはイラストやモデルを販売して商売を始めようかって考えているらしいんだけど、まだまだ自分なんてって言って踏み出せていない。
いつか納得できるようなものが作れたり、誇れるような技術を身に着けたりできるように僕もずっとささやかに応援している。
本人はカッコつけてVRCでは言ってないけど、匿名掲示板の書き込みとか追ってると引きこもりで働けていないのが辛いみたいなことも言ってるから。
いつかそういうコンプレックスを克服して幸せになって欲しい。
商売を始めたら僕が匿名で第一顧客になって、火付け役を果たして見せるつもりだったりもする。
同じくらい初めのころ知り合ったのは『うつオオカミ』さん。
アバターをアップロードできるようになって、少しずつ雰囲気にも慣れて入りやすいパブリックワールドが色々分かってきたころ、
僕が獣アバターなのを見てそこに興味を持って話してくれたっけ。
こちらはふたばちゃんさんと違って結構喋る人でちょっと気遅れしたけど、ここから僕のフレンドの輪も一気に広がったと思う。
本業は陸上自衛隊なんだとか、休日以外はまともに遊べなくて大変だとかいろいろ聞いたっけ。
ペタペタ耳とか尻尾とか触ってコミュニケーション取ってくるの、悪い気はしないしアバターを褒められてることになるから僕も嬉しいし。
逆に僕もうつオオカミさんのアバターの耳とか尻尾とか触りたかったけどデスクトップだから上手く行かなくて、
平日はこっちもデスクトップだから気持ちはわかるとか色々聞いたなあ。
デスクトップモードでの上手いアバターの動かし方とかも、自分で調べられないことはだいたいこの人から教わった。
本当なら今回のバトロワワールドにも自衛隊としていいとこ見せるため参加したかったらしいけど、予定が入って没になってしまったらしい。
アバターをアップロードできるようになって、少しずつ雰囲気にも慣れて入りやすいパブリックワールドが色々分かってきたころ、
僕が獣アバターなのを見てそこに興味を持って話してくれたっけ。
こちらはふたばちゃんさんと違って結構喋る人でちょっと気遅れしたけど、ここから僕のフレンドの輪も一気に広がったと思う。
本業は陸上自衛隊なんだとか、休日以外はまともに遊べなくて大変だとかいろいろ聞いたっけ。
ペタペタ耳とか尻尾とか触ってコミュニケーション取ってくるの、悪い気はしないしアバターを褒められてることになるから僕も嬉しいし。
逆に僕もうつオオカミさんのアバターの耳とか尻尾とか触りたかったけどデスクトップだから上手く行かなくて、
平日はこっちもデスクトップだから気持ちはわかるとか色々聞いたなあ。
デスクトップモードでの上手いアバターの動かし方とかも、自分で調べられないことはだいたいこの人から教わった。
本当なら今回のバトロワワールドにも自衛隊としていいとこ見せるため参加したかったらしいけど、予定が入って没になってしまったらしい。
うつオオカミさんから繋がった獣人アバターの人たちの中には僕と同じようにリアルでの生き辛さを抱えているような人もそこそこいて、
傷を舐めあうようなってのは極端だけどとりあえず色々な人と話しても悪い感じはしなかった。
傷を舐めあうようなってのは極端だけどとりあえず色々な人と話しても悪い感じはしなかった。
そんな中うつオオカミさんからの伝手で知り合った『しろくママ』さん。
学校でつらい思いをしてきたことは僕の話の所々から漏れていたけど、それで気にしてくれたみたいなことだったっけ。
VRCではあまり見かけない見上げるくらい大きいアバターだから最初はちょっと驚いたけど、屈んでちゃんと目線を合わせてくれて。
学校でつらい思いをしてきたことは僕の話の所々から漏れていたけど、それで気にしてくれたみたいなことだったっけ。
VRCではあまり見かけない見上げるくらい大きいアバターだから最初はちょっと驚いたけど、屈んでちゃんと目線を合わせてくれて。
少しずつ優しげな雰囲気に心を許し始めて、しばらくたって僕が辛そうにしていたある日のこと。
絶対に誰にも言わないから、辛いことは何でも話してみてって言われたんだ。
自分とはリアルで全く無関係な人だったから、
中学時代いじめで辛かったこととか少しずつだけど思い出しながら話していった。
僕が誰も嫌いになれないし怨むこともできない性格なのを知ってか知らずか、
虐めてきた相手のことを貶すようなこともせずただただ辛かったねと受け止めてくれた。
何を話しても優しくしてくれて、君が自分を嫌いでも生きてることに嘘なんてないし意味はあるって。
絶対に誰にも言わないから、辛いことは何でも話してみてって言われたんだ。
自分とはリアルで全く無関係な人だったから、
中学時代いじめで辛かったこととか少しずつだけど思い出しながら話していった。
僕が誰も嫌いになれないし怨むこともできない性格なのを知ってか知らずか、
虐めてきた相手のことを貶すようなこともせずただただ辛かったねと受け止めてくれた。
何を話しても優しくしてくれて、君が自分を嫌いでも生きてることに嘘なんてないし意味はあるって。
気がついたら泣いていた。
やがて目が痛くなってきて、デスクに伏せて声を上げながらずっと泣いた。
そんな僕を見て、しろくママさんはアバターを子供を看るように抱きしめてくれる。
デスクトップだからそれを上手く感じ取ることは出来なかったけど、
気持ちが伝わってきてそれに体を委ねて泣くだけ泣いて、疲れて眠ってしまったっけ。
やがて目が痛くなってきて、デスクに伏せて声を上げながらずっと泣いた。
そんな僕を見て、しろくママさんはアバターを子供を看るように抱きしめてくれる。
デスクトップだからそれを上手く感じ取ることは出来なかったけど、
気持ちが伝わってきてそれに体を委ねて泣くだけ泣いて、疲れて眠ってしまったっけ。
高校でも僕は虐められそうな雰囲気が周りから出始めていたけど、しろくママさんが相談によく乗ってくれた。
何か学校で役立つ得意なことがあると周りから認められるはずというから、
VRCのプログラミングやモデリングにも役立つ数学と物理学の勉強を詳しく教えてもらったっけ。
何か学校で役立つ得意なことがあると周りから認められるはずというから、
VRCのプログラミングやモデリングにも役立つ数学と物理学の勉強を詳しく教えてもらったっけ。
元々どちらもそんなに得意じゃなかったけど、基礎から全部しっかり筋道立てて教えてくれたから少しずつ出来るようになって。
やがて教えてくれなくても、自力でどんどん教科書を読んで内容を理解できるようになっていって。
そうして数学と物理だけは学年でトップ層の成績にになったし、
ちゃんと基礎から勉強したからクラスメートに教えることも出来るようになって一目置かれるようになった。
クラスのグループの輪にはやっぱりちゃんと溶け込めなかったけど、
VRCの人とのつながりで心が満たされるから無理やりクラスで自分からコミュニケーション取りに行って酷く失敗するようなことも無くなって、
いい感じに付かず離れず嘲笑もされずみたいな立ち位置になれたと思う。
やがて教えてくれなくても、自力でどんどん教科書を読んで内容を理解できるようになっていって。
そうして数学と物理だけは学年でトップ層の成績にになったし、
ちゃんと基礎から勉強したからクラスメートに教えることも出来るようになって一目置かれるようになった。
クラスのグループの輪にはやっぱりちゃんと溶け込めなかったけど、
VRCの人とのつながりで心が満たされるから無理やりクラスで自分からコミュニケーション取りに行って酷く失敗するようなことも無くなって、
いい感じに付かず離れず嘲笑もされずみたいな立ち位置になれたと思う。
こんな家庭教師みたいなことただでしてもらって良いのかと思ったけど、
VRCで得意分野を活かせて人と繋がれることが嬉しいからいいんだよなんて言ってくれて。
本当に優しい親が子供に向けるような無償の愛情を感じていた。
VRCで得意分野を活かせて人と繋がれることが嬉しいからいいんだよなんて言ってくれて。
本当に優しい親が子供に向けるような無償の愛情を感じていた。
……しろくママさんみたいな大きい雌の白熊のキャラのNSFWアートを見つけて、
だいぶ興奮してどんどん同じような画像を探してしまって本当にこれでいいのかと思ったりしたこともあった……。
しろくママさんのアバター、今までの事はそれはそれとして、脳の性欲のスイッチが入ってる時に見るとちょっと刺激がある。
都合よく獣人大好きなうつオオカミさんの掌で僕の嗜好を転がされてるような気もして、ちょっと自嘲したなあ……。
だいぶ興奮してどんどん同じような画像を探してしまって本当にこれでいいのかと思ったりしたこともあった……。
しろくママさんのアバター、今までの事はそれはそれとして、脳の性欲のスイッチが入ってる時に見るとちょっと刺激がある。
都合よく獣人大好きなうつオオカミさんの掌で僕の嗜好を転がされてるような気もして、ちょっと自嘲したなあ……。
そんな中でしろくママさんのSNSの別アカウントも、興味本位で探し当てたことがあった。
しろくママさんの本業は学校教師だった。
僕の中学時代のいじめを無視するような教師と違って、子供たちのことをよく考えていた。
酷い家庭環境で育ってきたから、自分の指導する子供達には辛い思いをさせたくないって強く思って動いていたり。
僕のようないじめられてる子だけじゃなく、いじめてる方の子の側の問題もしっかり考えて解決しようとしてたり。
それでも多くの生徒からは舐められたり嫌われてたりして上手く行かなくて、日々悩み苦しんでいたり。
自分なんてだめな人間だ、本当にどうしようもないんだって僕と同じような弱音を出してたり。
そういう時母という概念のようなものに愛されたい、助けられたいと願うように縋っていたり。
僕の中学時代のいじめを無視するような教師と違って、子供たちのことをよく考えていた。
酷い家庭環境で育ってきたから、自分の指導する子供達には辛い思いをさせたくないって強く思って動いていたり。
僕のようないじめられてる子だけじゃなく、いじめてる方の子の側の問題もしっかり考えて解決しようとしてたり。
それでも多くの生徒からは舐められたり嫌われてたりして上手く行かなくて、日々悩み苦しんでいたり。
自分なんてだめな人間だ、本当にどうしようもないんだって僕と同じような弱音を出してたり。
そういう時母という概念のようなものに愛されたい、助けられたいと願うように縋っていたり。
この人にとってVRCって、もう一つの世界としてとっても大事なんだって思った。
しろくママさんと仲の良いフレンドは僕以外にも何人もいるけど、
やっぱり僕もその世界を成り立たせている一員だと思うと逆に僕の方からしっかりお礼をしなきゃとも思った。
しろくママさんと仲の良いフレンドは僕以外にも何人もいるけど、
やっぱり僕もその世界を成り立たせている一員だと思うと逆に僕の方からしっかりお礼をしなきゃとも思った。
そうして言葉だけじゃなくてもっとちゃんとお礼がしたいって言ったら、不思議なことを頼まれたな。
しろくママさんが大きいアバターが使いにくいところで使う白熊の仔熊のアバターを、
僕がしろくママさんがいつも使う大きい白熊のアバターで抱きしめて欲しいって。
ちょっと戸惑ったけど、いざアバターを着替えて抱きしめる動作をするコマンドを入力すると、
しろくママさんが逆に子供みたいになって見上げたり顔を埋めたりしてくるのが可笑しくて可愛くて、
そしてこんなことでも僕がしろくママさんを喜ばせることが出来たと思って嬉しくて少し泣いたんだっけ。
しろくママさんが大きいアバターが使いにくいところで使う白熊の仔熊のアバターを、
僕がしろくママさんがいつも使う大きい白熊のアバターで抱きしめて欲しいって。
ちょっと戸惑ったけど、いざアバターを着替えて抱きしめる動作をするコマンドを入力すると、
しろくママさんが逆に子供みたいになって見上げたり顔を埋めたりしてくるのが可笑しくて可愛くて、
そしてこんなことでも僕がしろくママさんを喜ばせることが出来たと思って嬉しくて少し泣いたんだっけ。
泣いたときのこと……思い出してたら、自然と気持ちが同調して涙が出ていた。
鼻孔が鼻汁で詰まって、周りの臭いも殆ど感じられない。
そうなると感覚のインプットはなくなって思考を邪魔しなくなる。
鼻孔が鼻汁で詰まって、周りの臭いも殆ど感じられない。
そうなると感覚のインプットはなくなって思考を邪魔しなくなる。
そうなると無性に自分の過去も、今の僕が巻き込まれた状況もすべてがとても悲しく辛く思えて。
僕は泣いた。
静かに声を上げながら。
しゃくり上げながら。
涙で顔の毛が全部ぐしゃぐしゃになっても。
目の周りが腫れて痛くなってきても。
いつに収まるかもわからず、感情が溢れるままずっと。
ーーーーーー泣けるだけ泣いた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「落ち着いてきた? 大丈夫かな?」
優しい若そうな男の人の声。
顔を上げて声のしたほうを見やる。
顔を上げて声のしたほうを見やる。
優しげで、どことなく心配もしてくれるような表情で見つめている人がいる。
ポカンとしたまま見つめてしまう。
ポカンとしたまま見つめてしまう。
癖がなく適度にかっこよい、誠実さと優しさを感じさせるような顔。
爽やかさもあって、アニメやゲームの穏やかなタイプの主人公みたいなイメージ。
爽やかさもあって、アニメやゲームの穏やかなタイプの主人公みたいなイメージ。
「あ、あの……」
鼻が詰まった声で話そうとするけど、初対面の人に何を話していいかわからず声が続かない。
「良かった。話はできるかな。
僕はリチャード。君と同じこのワールドの参加者さ」
僕はリチャード。君と同じこのワールドの参加者さ」
ワールドの参加者……殺し合いという話がフラッシュバックする。
ちょっと怯えたからシーツで顔を隠すように手繰り寄せる。逃げ出すような元気はない……。
ちょっと怯えたからシーツで顔を隠すように手繰り寄せる。逃げ出すような元気はない……。
「あ……怯えさせてすまない。
君をどうしようというつもりはないし、僕はゲームマスターの言っていた殺し合いに乗るつもりもない。
怯えるのもわかるけど落ち着いて話させてくれないかな」
君をどうしようというつもりはないし、僕はゲームマスターの言っていた殺し合いに乗るつもりもない。
怯えるのもわかるけど落ち着いて話させてくれないかな」
リチャードはーー椅子にかけたまま僕の方を向いて優しく語りかけてくる。
本当に、少なくとも今すぐには何もする気はないんだろう。
そうとわかると少し安心した。そして目を合わせるのもちょっと恥ずかしいので下を向いて話す。
本当に、少なくとも今すぐには何もする気はないんだろう。
そうとわかると少し安心した。そして目を合わせるのもちょっと恥ずかしいので下を向いて話す。
「あずきしらたま君ね。長いししらたま君で良いかな?」
「大丈夫ですリチャードさん。みんな僕のことしらたまって呼ぶんで」
「ありがとう。
そうだ顔を洗いなよ。毛がぐしゃぐしゃじゃないか。
このまま乾く前にちゃんと整えたほうが良いよ」
「大丈夫ですリチャードさん。みんな僕のことしらたまって呼ぶんで」
「ありがとう。
そうだ顔を洗いなよ。毛がぐしゃぐしゃじゃないか。
このまま乾く前にちゃんと整えたほうが良いよ」
そうだ。このアバターは僕の大好きな制作者さんに作ってもらったものだ。
好き勝手泣いたあとの顔はきっと荒れていると思う。
好き勝手泣いたあとの顔はきっと荒れていると思う。
「ありがとうございます」
お礼を言って体を持ち上げてベッドから動こうとする。
リアルの自分も短足だけど、このアバターはもっと短足だからちょっとぎこちない。
僕のアバターが短足なのを見たのか手を貸してくれようとするけど、さすがにそこまでは頼りたくなくて先に自力でストンと降りる。
リアルの自分も短足だけど、このアバターはもっと短足だからちょっとぎこちない。
僕のアバターが短足なのを見たのか手を貸してくれようとするけど、さすがにそこまでは頼りたくなくて先に自力でストンと降りる。
「気づいているかもしれないけどここは、保健室の中だよ。
ワールドの中に学校があってその中にあったんだ。
洗面台もあっちにあるから使いなよ」
ワールドの中に学校があってその中にあったんだ。
洗面台もあっちにあるから使いなよ」
リチャードに言われた方には洗面台があって、そっちに向かう。いかにも昔のようなとくすんだ陶器と白いプラスチックの台だ。
顔を洗って手や腕を洗う。涙や鼻汁の塩気が残らないように丁寧に流していく。
……鼻をかむことはしなかった。また嗅覚が敏感になって意識を乱されて話すのに支障が出ても困るから。
顔を洗って手や腕を洗う。涙や鼻汁の塩気が残らないように丁寧に流していく。
……鼻をかむことはしなかった。また嗅覚が敏感になって意識を乱されて話すのに支障が出ても困るから。
指の……肉球の感覚でだいたい綺麗になってきたことが感じられた。
水を止めて備え付けのタオルで拭いていく。
でもタオルはすぐに水浸しになってしまった。
どこかにあるタオルを探そうと振り返る……と、リチャードが足りないと気づいていたのか何枚もタオルを持ってきてくれていた。
お礼を言って有り難く使わせてもらう。
櫛とブラシを使って各部の毛をいい感じのよく見た毛並みに整えていく。
胸毛も髪もちょっとぐしゃぐしゃになっていたので整える。
水を止めて備え付けのタオルで拭いていく。
でもタオルはすぐに水浸しになってしまった。
どこかにあるタオルを探そうと振り返る……と、リチャードが足りないと気づいていたのか何枚もタオルを持ってきてくれていた。
お礼を言って有り難く使わせてもらう。
櫛とブラシを使って各部の毛をいい感じのよく見た毛並みに整えていく。
胸毛も髪もちょっとぐしゃぐしゃになっていたので整える。
だいたい整ったと思うので、鏡の前でくるくる回転して体の様子を観察する。
こうして見るとやっぱり自分の身体がアバターと同一化していると理解できる。
尻尾がぶらぶらと遠心力で振り回される感覚もしっかりある。
犬キャラのアバターで服がないからちょっと落ち着かない感じもあるけど、そのうち慣れるかな。
こうして見るとやっぱり自分の身体がアバターと同一化していると理解できる。
尻尾がぶらぶらと遠心力で振り回される感覚もしっかりある。
犬キャラのアバターで服がないからちょっと落ち着かない感じもあるけど、そのうち慣れるかな。
あと……もう一つ落ち着かないことがある。だいぶ大事なこと。
アバターの姿には、人間の男の股間にあるはずのものが存在しない。もちろん感覚も存在しない。
服着てないアバターだから、あったとしても丸見えで困るのはそうだけれど。
尿意とかは今のところ全く無いけど、さっき顔洗うついでに水を飲んだりはできたし逆に出すもの出すときはどうなるのか気になる。
……まあ今は考えないことにしよう。
アバターの姿には、人間の男の股間にあるはずのものが存在しない。もちろん感覚も存在しない。
服着てないアバターだから、あったとしても丸見えで困るのはそうだけれど。
尿意とかは今のところ全く無いけど、さっき顔洗うついでに水を飲んだりはできたし逆に出すもの出すときはどうなるのか気になる。
……まあ今は考えないことにしよう。
「お疲れさま。まだちょっと目も顔も赤いけど、もう少しで可愛い顔になると思うよ」
「あっ……ありがとうございます」
「あっ……ありがとうございます」
僕を気遣うリチャード。でもアバターを可愛いと言われてるようでちょっと嬉しくなる。
「そっちの長椅子とテーブルへ行こう。
まだ難しいかもしれないけどさ、何とか元気出していこう」
まだ難しいかもしれないけどさ、何とか元気出していこう」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ーーーーーーーー
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
リチャードは気絶して倒れていた僕を保健室まで運んでくれたらしい。
目覚めたときは保健室にいなかったけど、その時は2階からここに近づいてくる人がいないか定期的に確認していたタイミングだったみたいだ。
リチャードは優しいだけじゃなくてもこんな時でもとても冷静に状況を判断していて、考えたことをしっかり話してくれる。
タブレット端末をリチャードの説明を受けながら見たら、最初にちゃんと聞けなかったことも含めてしっかりルールを理解できた。
自己紹介もそこまで深いとこまではいかない程度にやった。
リチャードは僕と同じ高校生だけど、僕が1年生でリチャードは3年生だから先輩だ。
お父さんが警察官だから、影響で色々な事件について触れたり機密に触れない程度に捜査の手伝いをしてるからこういうことにも頭が回るんだって。
頭がいいし性格も優しいからもしかして生徒会長とかでもやってるのって聞いたら、気恥ずかしそうにそうだって言う。
目覚めたときは保健室にいなかったけど、その時は2階からここに近づいてくる人がいないか定期的に確認していたタイミングだったみたいだ。
リチャードは優しいだけじゃなくてもこんな時でもとても冷静に状況を判断していて、考えたことをしっかり話してくれる。
タブレット端末をリチャードの説明を受けながら見たら、最初にちゃんと聞けなかったことも含めてしっかりルールを理解できた。
自己紹介もそこまで深いとこまではいかない程度にやった。
リチャードは僕と同じ高校生だけど、僕が1年生でリチャードは3年生だから先輩だ。
お父さんが警察官だから、影響で色々な事件について触れたり機密に触れない程度に捜査の手伝いをしてるからこういうことにも頭が回るんだって。
頭がいいし性格も優しいからもしかして生徒会長とかでもやってるのって聞いたら、気恥ずかしそうにそうだって言う。
2人だけだから気を使ってくれてるんだとは思うけど、本当に話しやすい雰囲気を出してくれてありがたかった。
どうしようもない状況ではあったけど、色々今後のことを考えられるくらいには知識も得られたし充分落ち着けた。
どうしようもない状況ではあったけど、色々今後のことを考えられるくらいには知識も得られたし充分落ち着けた。
リチャードは開発者を打倒してハッピーエンドを目指すことこそが最も良い方法だと考えていることを理路整然と説明するから、
僕もそれについて十分納得してこの学校を拠点としてリチャードの仲間として動くことにした。
自分で判断して適当に動いていたらどうなっていたか……考えるとぞっとする。
最悪の場合は優勝を目指すってことも聴いたけど……その場合リチャードを残すために僕はどこかで一度死ぬのかな。
怖いけどリチャードはやっぱり頼りにしたいし、方針に頷きながらも今のところその可能性は考えないようにする。
僕もそれについて十分納得してこの学校を拠点としてリチャードの仲間として動くことにした。
自分で判断して適当に動いていたらどうなっていたか……考えるとぞっとする。
最悪の場合は優勝を目指すってことも聴いたけど……その場合リチャードを残すために僕はどこかで一度死ぬのかな。
怖いけどリチャードはやっぱり頼りにしたいし、方針に頷きながらも今のところその可能性は考えないようにする。
スキルと創造武具についてもお互い説明した。
リチャードは参加前からしっかり考えてスキルを組んだようだけど、僕はそんなに考えてない状態で参加してしまったから扱いが難しいんじゃないかと思う。
過敏にいろいろ感じてしまうことに関しては、モノクルはいつでもすらしてかけたり外したりすればいい。鼻については辛いけど、鼻栓でしのぐことにした。
リチャードは急がなくていいというけど、色々話してると甘えていちゃいけないという気持ちがどんどん強くなる。
とにかく慣れていって使いこなせるようにならなきゃいけない。
リチャードは参加前からしっかり考えてスキルを組んだようだけど、僕はそんなに考えてない状態で参加してしまったから扱いが難しいんじゃないかと思う。
過敏にいろいろ感じてしまうことに関しては、モノクルはいつでもすらしてかけたり外したりすればいい。鼻については辛いけど、鼻栓でしのぐことにした。
リチャードは急がなくていいというけど、色々話してると甘えていちゃいけないという気持ちがどんどん強くなる。
とにかく慣れていって使いこなせるようにならなきゃいけない。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
話の区切りもついて、リチャードが見回りに出かけようとして僕は能力になれる訓練をしようとする。
でもまずは話の内容の整理をつけるため端末で確認できることを穴が開くくらい読もうとした。
あれ? いつの間にかタブレット端末の名簿機能が明るくなってる。
押してみると……使えるようになってる。
リチャードを追いかけて呼び止めて、そのことを伝えて二人で内容を確認していく。
でもまずは話の内容の整理をつけるため端末で確認できることを穴が開くくらい読もうとした。
あれ? いつの間にかタブレット端末の名簿機能が明るくなってる。
押してみると……使えるようになってる。
リチャードを追いかけて呼び止めて、そのことを伝えて二人で内容を確認していく。
結構知り合いの名前がある……。
みんな殺し合いをしなきゃいけないというなら絶望だけど、リチャードの方針を皆が聞いてくれたらそうはならないだろう。
でも……もしそれが上手くいかなかったら結局本気で殺し殺され合うわけだからやっぱり恐くなる。
リチャードも名簿をよく見つめているから、どうやら知り合いがいるらしい。
みんな殺し合いをしなきゃいけないというなら絶望だけど、リチャードの方針を皆が聞いてくれたらそうはならないだろう。
でも……もしそれが上手くいかなかったら結局本気で殺し殺され合うわけだからやっぱり恐くなる。
リチャードも名簿をよく見つめているから、どうやら知り合いがいるらしい。
「ショウマ……あとつばきさんも。同じヤマトライブだから一緒に来たのかなあ」
「その2人はVTuberとかかな?」
「うん。ショウマは僕が大好きなVTuberなんです。
本当なら一緒に参加して嬉しくなるところだけど、こういう殺し合いなんかに一緒に巻き込まれたら喜べないよ……」
「そうなんだね……気持ち、理解するよ。2人はどんな人柄だろう?
VTuberだから、本当の人格とは違うん可能性もあるけれど」
「うん。ショウマは僕が大好きなVTuberなんです。
本当なら一緒に参加して嬉しくなるところだけど、こういう殺し合いなんかに一緒に巻き込まれたら喜べないよ……」
「そうなんだね……気持ち、理解するよ。2人はどんな人柄だろう?
VTuberだから、本当の人格とは違うん可能性もあるけれど」
2人のことを思い起こす。定期的に楽しく見ていたライブや動画のこと、SNSアカウントのこと。
「ショウマは白い狐耳で穏やかな性格の男の人。自然な感じで優しさを感じて見てると癒されるんです。
盛り上げ上手なとこもあって、派手に配信で狐火のエフェクトを飛ばしたりもしてるけれど。
もしかしたら能力も狐火に関するものなのかも? あんな狐火をリアルで見れたらすごいなあ。
でも本当はとてもストイックな努力家で、誰よりも努力して技量を身に着けているVTuberなんだ!」
「なるほど。詳しい説明で君がファンなのが伝わるよ。もう一人のほうは?」
盛り上げ上手なとこもあって、派手に配信で狐火のエフェクトを飛ばしたりもしてるけれど。
もしかしたら能力も狐火に関するものなのかも? あんな狐火をリアルで見れたらすごいなあ。
でも本当はとてもストイックな努力家で、誰よりも努力して技量を身に着けているVTuberなんだ!」
「なるほど。詳しい説明で君がファンなのが伝わるよ。もう一人のほうは?」
リチャードはにこやかにほほ笑んで続きを促す。僕もちょっと嬉しくて。
「つばきは……なんだかとても不思議な人。狸耳の女の子。
キャラへのなりきり度がものすごく高いというか、あれが本気ならちょっと狂気もある気がします。
変化が得意で人をだますのが好きだけど、騙されやすくてコラボではそれが一連の流れになっていましたっけ。
中身がどんな性格なのかも、あまり掴めてこない……」
「なるほど……結局2人とも殺し合いというリアルにリンクした状況でどんなふうに動くかは想像はつかないな」
キャラへのなりきり度がものすごく高いというか、あれが本気ならちょっと狂気もある気がします。
変化が得意で人をだますのが好きだけど、騙されやすくてコラボではそれが一連の流れになっていましたっけ。
中身がどんな性格なのかも、あまり掴めてこない……」
「なるほど……結局2人とも殺し合いというリアルにリンクした状況でどんなふうに動くかは想像はつかないな」
その通りだけど、僕はショウマを信じたい。殺し合いを止める側に立って一緒に協力したいと思っている。
リチャードの指摘は正しいから口をはさめないけれど……。
リチャードの指摘は正しいから口をはさめないけれど……。
「あとはしろくママさんにレオンハートさんも知ってます……。
しろくママさんは大きい白熊のアバターで母性愛に溢れた優しい人で僕のリアルでの悩みの相談にも優しく対応してくれたし、
とても殺し合いを始めるような性格じゃないと思います。
レオンハートさんは大きいライオン獣人のアバターで、ちょっと血の気が多くて対戦ゲーム大好きな人だけどそこまで悪い人じゃないと思います」
しろくママさんは大きい白熊のアバターで母性愛に溢れた優しい人で僕のリアルでの悩みの相談にも優しく対応してくれたし、
とても殺し合いを始めるような性格じゃないと思います。
レオンハートさんは大きいライオン獣人のアバターで、ちょっと血の気が多くて対戦ゲーム大好きな人だけどそこまで悪い人じゃないと思います」
確かレオンハートさんがVRCを初めて初期にフレンドになったのが、うつオオカミさん。
レオンハートさんはアバターワールドとかで色々アバターを試してたけど、中々自分のイメージに合う獣人のアバターがなかったらしい。
デフォルメの強いライオン、リアルすぎるライオンなんか色々試してる中、
いい感じの獣人アバターを使っていてよくパブリックにも現れる日本人のうつオオカミさんに助けを借りることにしたらしい。
その縁で僕もレオンハートさんとは一応フレンド登録している。
尻尾をいじられて怒ったりしてた印象があるけど、うつオオカミさん曰く本人が気に入ったアバターだから本当は嬉しいはずで照れ隠しなんじゃないかって。
僕はそこまで人の気持ちを察することは出来ないからよくわからない。
レオンハートさんはアバターワールドとかで色々アバターを試してたけど、中々自分のイメージに合う獣人のアバターがなかったらしい。
デフォルメの強いライオン、リアルすぎるライオンなんか色々試してる中、
いい感じの獣人アバターを使っていてよくパブリックにも現れる日本人のうつオオカミさんに助けを借りることにしたらしい。
その縁で僕もレオンハートさんとは一応フレンド登録している。
尻尾をいじられて怒ったりしてた印象があるけど、うつオオカミさん曰く本人が気に入ったアバターだから本当は嬉しいはずで照れ隠しなんじゃないかって。
僕はそこまで人の気持ちを察することは出来ないからよくわからない。
うつオオカミさんとレオンハートさんは人型寄りの体格の獣人で、アバターのモデルを作った人が同じらしい。
しみうさって人……名簿に名前のある人が同じ作者のアバターを改変したものを使ってるんじゃないかって話も聞いたっけ。僕は直接の知り合いじゃないからよくわからない。
僕のアバターは確か緑茶龍って人が使ってる龍のアバターも同じ作者で、デフォルメの利いた動物キャラの作風だ。
しみうさって人……名簿に名前のある人が同じ作者のアバターを改変したものを使ってるんじゃないかって話も聞いたっけ。僕は直接の知り合いじゃないからよくわからない。
僕のアバターは確か緑茶龍って人が使ってる龍のアバターも同じ作者で、デフォルメの利いた動物キャラの作風だ。
リチャードは僕の話から分析する。
「僕が知ってるのはそれくらいです」
「ありがとう。VRCの世界も広いし、数人でも知り合いで情報が得られるのは良いことだよ」
「ありがとう。VRCの世界も広いし、数人でも知り合いで情報が得られるのは良いことだよ」
あいにく僕から話せそうな人はもういなくなった。
ーーーー僕が昔ファンだったティアラの名前。
そして輪姦事件の唯一の生き残りがビデオで発していた、セイントヴァルキリー・フレイヤ。
僕自身の暗部に触れたくないから、それらからは目を逸らして話さなかった。
多分向こう側も僕を知らないんじゃないかと思うから、向こうから知ってる前提で話されて戸惑うような事態も無いとは思う。
ーーーー僕が昔ファンだったティアラの名前。
そして輪姦事件の唯一の生き残りがビデオで発していた、セイントヴァルキリー・フレイヤ。
僕自身の暗部に触れたくないから、それらからは目を逸らして話さなかった。
多分向こう側も僕を知らないんじゃないかと思うから、向こうから知ってる前提で話されて戸惑うような事態も無いとは思う。
「じゃあ僕の知り合いも話そうか。風凪とイナバ辻さんユーザーは僕のリアルでも付き合いのある友人だ。
風凪はちょっと性欲が強すぎて問題のある男なんだけど……一応人並みの常識はあるから僕の名前を聞けば味方になってくれるだろうとは思う」
風凪はちょっと性欲が強すぎて問題のある男なんだけど……一応人並みの常識はあるから僕の名前を聞けば味方になってくれるだろうとは思う」
名簿を説明するため指を動かしながら話すリチャード。
僕だって人に言えないような問題は抱えてるし、そういう人が増えたところで気になりはしない。
僕だって人に言えないような問題は抱えてるし、そういう人が増えたところで気になりはしない。
「イナバ辻さんはね……あまり本人の居ないところで言うのも良くないけど、こんな状況だから君にも伝える。
彼女は若くして癌ににかかって入院中で、今は出歩くことも辛いらしい。治る見込みも薄いらしいんだ」
「そんな……」
「VRCなら現実で身体があまり動けなくても世界を体験できるから、VRCを始めてね。
だからもしかしたら、アバターの健全な体で現実に帰ることを望んで優勝を目指す可能性も考えなきゃならない」
「開発者の技術ならこんな殺し合いなんかさせずに、直してあげれるはずなのに。ひどい……」
彼女は若くして癌ににかかって入院中で、今は出歩くことも辛いらしい。治る見込みも薄いらしいんだ」
「そんな……」
「VRCなら現実で身体があまり動けなくても世界を体験できるから、VRCを始めてね。
だからもしかしたら、アバターの健全な体で現実に帰ることを望んで優勝を目指す可能性も考えなきゃならない」
「開発者の技術ならこんな殺し合いなんかさせずに、直してあげれるはずなのに。ひどい……」
僕まで話を聞いて、共感とかは出来なくても少し哀れみを覚える。
「だから開発者を打倒することが出来たら、技術を上手く奪って彼女の身体も治して現実に帰らせてやりたいと思っている」
「リチャードさん……勝手なこと言えないけど、頑張りましょう」
「リチャードさん……勝手なこと言えないけど、頑張りましょう」
リチャードがハッピーエンドを目指すのは自分や皆のためだけじゃなくて、身近な友人のためでもあるんだ。
天の上の人って印象からちょっとリチャードが近くなった気がした。
天の上の人って印象からちょっとリチャードが近くなった気がした。
「輝月さんはVRCのフレンドで、イナバ辻さん経由で知り合ったんだ。
明るくて好奇心旺盛でノリが良くてネット文化に詳しい人だ。多分君とも仲良なれると思う。
ちょっと好奇心旺盛すぎて行動が危ういところがあるから気を付ける必要はあるけど……」
明るくて好奇心旺盛でノリが良くてネット文化に詳しい人だ。多分君とも仲良なれると思う。
ちょっと好奇心旺盛すぎて行動が危ういところがあるから気を付ける必要はあるけど……」
確かに好奇心旺盛ってのは、色々調べたがる僕の性質に近いのかも。
あんまり自分のこと探られるのは嫌だけど、それ以外なら仲良くなれそう。
あんまり自分のこと探られるのは嫌だけど、それ以外なら仲良くなれそう。
「マキシムもよくありそうな名前だけれど、僕のフレンドの可能性があると思う。
僕の知ってるマキシムは日本に興味のあるロシア人の男性ユーザー。
ちょっとロシア語使えるからね、色々日本のことについて話して教えてあげたんだ。
最近は日本に住んでるらしくて、どんどん日本語が上手くなって殆ど違和感なく話せるくらいですごい人だなと思ったな」
「え、ロシア語って本当? 何でもできるんですねリチャードさん!」
「家の教育方針の関係でね。だから別に褒められるようなことじゃない。
VRCでは好奇心があって面白い人だけど、何だかVRでも動きがちょっと格闘家とかそういう系で只物じゃない気がする。
リアルの人柄までは分からないから、どう動くかは僕にもわからないな。
仲間にできれば心強いけど、敵対したらかなり覚悟しなきゃならないかもしれない」
僕の知ってるマキシムは日本に興味のあるロシア人の男性ユーザー。
ちょっとロシア語使えるからね、色々日本のことについて話して教えてあげたんだ。
最近は日本に住んでるらしくて、どんどん日本語が上手くなって殆ど違和感なく話せるくらいですごい人だなと思ったな」
「え、ロシア語って本当? 何でもできるんですねリチャードさん!」
「家の教育方針の関係でね。だから別に褒められるようなことじゃない。
VRCでは好奇心があって面白い人だけど、何だかVRでも動きがちょっと格闘家とかそういう系で只物じゃない気がする。
リアルの人柄までは分からないから、どう動くかは僕にもわからないな。
仲間にできれば心強いけど、敵対したらかなり覚悟しなきゃならないかもしれない」
もう一つ指を動かして説明を続けた。
「赤音は僕の剣術の師匠の一人の警察官が、VRCで名乗っているユーザー名だったはず。
ただ強すぎるからか心の奥ではものすごく好敵手との戦いを求めているような人で、ちょっと唆されたりしたら欲望のまま殺し合いに乗りかねない。
たぶん向こうは僕のVRCでの名前は知らないだろうけど、警戒は必要だと思う」
ただ強すぎるからか心の奥ではものすごく好敵手との戦いを求めているような人で、ちょっと唆されたりしたら欲望のまま殺し合いに乗りかねない。
たぶん向こうは僕のVRCでの名前は知らないだろうけど、警戒は必要だと思う」
この何でもできそうなリチャードでも警戒の必要がある相手も複数いたんだ……だから仲間が必要なんだな。
リチャードは続けて指を動かしながら話す。
リチャードは続けて指を動かしながら話す。
「そうだ。ぼっちの集いってグループ、知ってるかな? 確かこの4人はそのグループのメンバーだ。
メンバーと話したことがあるけど、リアルでぼっちだからこそVRCでは人と触れ合って、そして暖かみを得て仲良く過ごしている優しい人たちのグループさ。
たぶん仲間たちを想って殺し合いに乗ることはないだろうと思う」
メンバーと話したことがあるけど、リアルでぼっちだからこそVRCでは人と触れ合って、そして暖かみを得て仲良く過ごしている優しい人たちのグループさ。
たぶん仲間たちを想って殺し合いに乗ることはないだろうと思う」
「まあ説明できるのはそれくらいかな……。
ティアラとか痴漢さんとかはVRCでも有名だから知ってるけど、君も多分知ってるよね」
「うん。知ってます。痴漢さんが参加してるってことは実在するんですね……。
あとはメモリーのあくまって人とみっちゃんって人も、SNSでバズった動画の関係かなんかでちょっと見た気がします」
ティアラとか痴漢さんとかはVRCでも有名だから知ってるけど、君も多分知ってるよね」
「うん。知ってます。痴漢さんが参加してるってことは実在するんですね……。
あとはメモリーのあくまって人とみっちゃんって人も、SNSでバズった動画の関係かなんかでちょっと見た気がします」
ティアラの名前が出てちょっと驚いたけど、まあリチャードが知ってても不思議じゃないかな。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
参加者に関しての情報交換が終わって、やっと能力の訓練を始める。
鼻栓を外す。
改めて、自分の身体の匂いを腕から思いっきり嗅いでみる。
僕の獣人の身体から発している匂いがだいぶ分かってきたし、それはもう慣れてきて意識しなくても良くなった。
逆に涙の匂いなんかはおとんど感じなくなった。あ、涙の匂いが分かった。
改めて、自分の身体の匂いを腕から思いっきり嗅いでみる。
僕の獣人の身体から発している匂いがだいぶ分かってきたし、それはもう慣れてきて意識しなくても良くなった。
逆に涙の匂いなんかはおとんど感じなくなった。あ、涙の匂いが分かった。
……嗅覚を構成する要素がいくつか分かったきたと思う。
この感覚に必要なこと。あるものをあるものとして理解して受け入れる。つまり「慣れ」。
この感覚に必要なこと。あるものをあるものとして理解して受け入れる。つまり「慣れ」。
空間の匂いを嗅ぐ。ごちゃごちゃしてよくわからないし心が落ち着かないけど、でも要素要素に分けて理解しようとする。
この要素は木材の匂いかな。壁の木材を舐めてみる。うんきっとそうだ。
この要素は虫の匂いだ。蜘蛛とかゴキブリとかかな? ……口に入れられたことがあるからわかる。
この匂いは……外っぽい? 窓を開ける……色々混じってて分からない! 思考がこんがらがる。
でも、なんとなく中で感じられる匂いと外の匂いの判別は……つかめそうな気がする。
廊下と窓近くを往復して……何かわかってきた気がする。
この要素は木材の匂いかな。壁の木材を舐めてみる。うんきっとそうだ。
この要素は虫の匂いだ。蜘蛛とかゴキブリとかかな? ……口に入れられたことがあるからわかる。
この匂いは……外っぽい? 窓を開ける……色々混じってて分からない! 思考がこんがらがる。
でも、なんとなく中で感じられる匂いと外の匂いの判別は……つかめそうな気がする。
廊下と窓近くを往復して……何かわかってきた気がする。
もっと物の匂いを色々調べよう。
そうだ、犬みたいに鼻を湿らせてくっつけていけば直接感じ取れるかも……。
そうだ、犬みたいに鼻を湿らせてくっつけていけば直接感じ取れるかも……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ある程度色々なものの匂いを覚えた。
あと……時間をかけたからなのか、分からない匂いも慣れによってある程度無視が効くようになった。
嗅覚は一応もう大丈夫だと思う。
あと……時間をかけたからなのか、分からない匂いも慣れによってある程度無視が効くようになった。
嗅覚は一応もう大丈夫だと思う。
じゃあ……モノクルを掛けてみる。
Object 石 重さ、劈開の方向、硬さ……色々。
目を凝らす……石の部位ごとにそれらが細かく表示されていく。
ーーーーだめだ。情報が多すぎる。数値やら文字列やらが大量に、大小様々、様々な色で。
目を凝らす……石の部位ごとにそれらが細かく表示されていく。
ーーーーだめだ。情報が多すぎる。数値やら文字列やらが大量に、大小様々、様々な色で。
腕を動かしてそこを見てみる。
常に変動する隣り合った3組の値……自分から見た3次元の座標らしきもの……たぶん。
トラッカーがある場合と仮定したときの座標かな?
ずっとずっと目を凝らすと……何か個々の毛の長さとか靡き方の値らしきものも見えてきた。
やろうと思えばきりがないけど、どこまでも情報は見えるみたいだ。
常に変動する隣り合った3組の値……自分から見た3次元の座標らしきもの……たぶん。
トラッカーがある場合と仮定したときの座標かな?
ずっとずっと目を凝らすと……何か個々の毛の長さとか靡き方の値らしきものも見えてきた。
やろうと思えばきりがないけど、どこまでも情報は見えるみたいだ。
鏡に自分を映すと、頭の上にはユーザー名が見える。
いろいろアバターの周りに表示されるパラメータ。数値はよくわからないけど……文字列はわかる。
登録してるメールアドレスの文字列、誕生日、アバターの製作者の名前なんかがある。
いろいろアバターの周りに表示されるパラメータ。数値はよくわからないけど……文字列はわかる。
登録してるメールアドレスの文字列、誕生日、アバターの製作者の名前なんかがある。
ん、メールアドレスの隣の文字列……ログインパスワードだ。
ハッシュ化して保存されてるから中のデータからは復元できないはずなのに、なんか出てきてる。
このワールドの運営は現実世界にも干渉できるから、現実世界の情報も少し引っ張って中に持ち込んできたのかも……?
ハッシュ化して保存されてるから中のデータからは復元できないはずなのに、なんか出てきてる。
このワールドの運営は現実世界にも干渉できるから、現実世界の情報も少し引っ張って中に持ち込んできたのかも……?
感情の値らしきものも頭の辺りを目を凝らすと読めてくる。
よくわからない。一番数値が大きいのは不安とかなんだろうか。
少しずつ能力の勝手が分かってきて安心してるからなのか、値は僅かずつ下がっている。
よくわからない。一番数値が大きいのは不安とかなんだろうか。
少しずつ能力の勝手が分かってきて安心してるからなのか、値は僅かずつ下がっている。
あと少し目立つ文字列……『データ掘り犬(スヌーピング・ドギー)』。
僕のスキルの名前だ。自分で考えたわけじゃないけど、心の底の思いが反映されて作られたものだ。
詳しい効果の説明は出てきてないけど……まあ見れたら便利だけどそれは贅沢かな。
僕のスキルの名前だ。自分で考えたわけじゃないけど、心の底の思いが反映されて作られたものだ。
詳しい効果の説明は出てきてないけど……まあ見れたら便利だけどそれは贅沢かな。
もしかしたら、慣れていってさらに鍛えることもできればパスワード以外に本名とか所属とかSNSのアカウントも見えたりして。
スキルとか能力の説明も見えたらいいな。
スキルとか能力の説明も見えたらいいな。
でもまだまだだ。こっちの能力も、見なくていいものを見ないようにする、慣れが必要だと思う。
辞書の1ページを開いて目当ての単語を高速に探すような、効率化をできるようにならなくちゃ……。
推しのパーソナルは何でも知りたいから、何でも情報が見えたらいいなって単純に思っただけなのに。
目は疲れるから休み休みだけど、やらなきゃいけないことが見えてきて良かった。
辞書の1ページを開いて目当ての単語を高速に探すような、効率化をできるようにならなくちゃ……。
推しのパーソナルは何でも知りたいから、何でも情報が見えたらいいなって単純に思っただけなのに。
目は疲れるから休み休みだけど、やらなきゃいけないことが見えてきて良かった。
リチャードの役に立って一緒にここから生きて帰りたい。
だから能力に慣れて、色々なことを見抜けるようになりたい。
だから能力に慣れて、色々なことを見抜けるようになりたい。
僕はリチャードの傍に立つ番犬になろう。
軍用犬のように戦えはしないけど、警察犬や探知犬のように人を補助するんだ。
軍用犬のように戦えはしないけど、警察犬や探知犬のように人を補助するんだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ーーーーーーーー
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
勇者リチャードは改めて思考する。
充分思考したしあずきしらたま君と話もしたって……?
それは建前としての、正義感溢れる人格をエミュレートした思考。一応は本心でもあるけど。
それは建前としての、正義感溢れる人格をエミュレートした思考。一応は本心でもあるけど。
いつからそうなったんだっけ。
気付いたのは子供のころ、飼い犬が死んだ時だったっけ。
母と姉はとても悲しんでいた。僕もとても悲しく難じた。
……不思議な思考だった。その一方で、そういう感情を感じている自分を一歩引いて見て感心している自分がいる。
人間を色々見たりするのは子供のころから好きだったけど、それまではまだ明確じゃなかった。
気付いたのは子供のころ、飼い犬が死んだ時だったっけ。
母と姉はとても悲しんでいた。僕もとても悲しく難じた。
……不思議な思考だった。その一方で、そういう感情を感じている自分を一歩引いて見て感心している自分がいる。
人間を色々見たりするのは子供のころから好きだったけど、それまではまだ明確じゃなかった。
それからは自分の中に沸いてくる感情とかを全部、置いておいて俯瞰したかのように見れるようになった。
これを表と裏と僕は定義した。裏の自分の思考指針は、人間をたくさん観察すること。
表ての自分の幸せも、裏の自分の幸せもどっちもちゃんと僕の幸せ。でも裏の方がやっぱり強い。
普段見れないような人間の姿を観察するほど、満足感が得られていく。
これを表と裏と僕は定義した。裏の自分の思考指針は、人間をたくさん観察すること。
表ての自分の幸せも、裏の自分の幸せもどっちもちゃんと僕の幸せ。でも裏の方がやっぱり強い。
普段見れないような人間の姿を観察するほど、満足感が得られていく。
父は明らかに褒められた人間じゃない汚職警官だった。そして姉と自分の教育方針は違った。
子供の僕に楽しいだろうってリアルな色々な犯罪や事件の情報を、残酷なことまで余さず教えてくれた。
それが影響して今の自分の精神性があるんだろうか? いや元々の素質もあるんだろうな。
今では表では完全に、僕は正義感あふれる優しい警察官の息子の生徒会長だ。
このワールドでの創造武具は、もちろんは表の自分の人格を体現して作ったものさ。
子供の僕に楽しいだろうってリアルな色々な犯罪や事件の情報を、残酷なことまで余さず教えてくれた。
それが影響して今の自分の精神性があるんだろうか? いや元々の素質もあるんだろうな。
今では表では完全に、僕は正義感あふれる優しい警察官の息子の生徒会長だ。
このワールドでの創造武具は、もちろんは表の自分の人格を体現して作ったものさ。
さて、最初にいきなり反抗して主催者を倒そうとした馬鹿なユーザー『ななし』。感謝してるよ。
誰も何も動かなければ自分が主催者を逆撫でしない程度に質問しようと思っていたから、
ああいう結果になってまでこちらの見本になってくれて良かった。
無様な死に方を見て少し満足感が得られてスッキリした。
誰も何も動かなければ自分が主催者を逆撫でしない程度に質問しようと思っていたから、
ああいう結果になってまでこちらの見本になってくれて良かった。
無様な死に方を見て少し満足感が得られてスッキリした。
本当ならここの参加者たちが争い果てていく姿も、詳しく観察して見てみたい感じがある。
しかし自分が参加者である以上、出来るだけ生き残りの可能性の高い方へ賭けるのが真理だ。
だからしらたま君に提案した2つの方針は全くもって嘘じゃあない。
しかし自分が参加者である以上、出来るだけ生き残りの可能性の高い方へ賭けるのが真理だ。
だからしらたま君に提案した2つの方針は全くもって嘘じゃあない。
嘘はついてないけれど、隠して言っていないルートがもう一つある。
僕が対主催者でまとめきった陣営を開発者にようやく近づけたといういざというところで裏切って、開発者の方に取り入ってやるという方法。
これも追い詰められた開発者の打開ポイントになるだろうし、成功率は結構あると思っている。
本当なら僕はこういうゲームの主催者側になって、好きなだけ普段と違う状況に置かれた人間たちのすることを沢山見ていたいんだから。
僕が対主催者でまとめきった陣営を開発者にようやく近づけたといういざというところで裏切って、開発者の方に取り入ってやるという方法。
これも追い詰められた開発者の打開ポイントになるだろうし、成功率は結構あると思っている。
本当なら僕はこういうゲームの主催者側になって、好きなだけ普段と違う状況に置かれた人間たちのすることを沢山見ていたいんだから。
しらたま君は僕が知りも想像もしないであろうようなしっかりした人格のある一回の人間だったし、
これでわずかに考えていた、僕だけを対象として誘拐して催眠によってこの世界を見せられているという可能性はほぼ完全に潰せた。
リアルの人間を巻き込んで殺し合いを起こさせる技術、本当に最高すぎるよね。
これでわずかに考えていた、僕だけを対象として誘拐して催眠によってこの世界を見せられているという可能性はほぼ完全に潰せた。
リアルの人間を巻き込んで殺し合いを起こさせる技術、本当に最高すぎるよね。
あれ、なんで僕みたいなのがVRCをしてるかって?
もちろん友人付き合いもある。表の自分はフレンドとのかかわりあいをそれなりに楽しんでいる。
でも裏の自分としての目的は……リアルで孤立してVRCなんかをやってるユーザーをオフに誘い出して、人身売買の市場に流してしまうことさ。
でも裏の自分としての目的は……リアルで孤立してVRCなんかをやってるユーザーをオフに誘い出して、人身売買の市場に流してしまうことさ。
若年層になるほど人との出会い、触れ合いをを求めてるユーザーは多い。
VRCでの触れ合いだけじゃ満足できず、オフ会などで会いたがるようなユーザーが結構いる。
でもそれが安全だという保証は一体誰がするんだろう?
危機意識の弱い奴等は僕等のような悪党に誘導されて捕まって、
撮影されたり肉体関係を強要されたり、最悪は奴隷として金持ちに売られることになる。
VRCでの触れ合いだけじゃ満足できず、オフ会などで会いたがるようなユーザーが結構いる。
でもそれが安全だという保証は一体誰がするんだろう?
危機意識の弱い奴等は僕等のような悪党に誘導されて捕まって、
撮影されたり肉体関係を強要されたり、最悪は奴隷として金持ちに売られることになる。
そういう人間を売り払う人身売買のネットワークっての、ちゃんと存在するし協力者もSNS全盛の時代なら簡単に集められる。
うちの父も裏社会との繋がりが強いから一枚噛んでて、父と信頼しあってる僕もそこに参加して取引することができるわけさ。
家に入ってくる収入の割合としては、父の職業収入よりこっちのほうが多い場合すらある。
ネットワークで外国語を使う必要がある場合も多いから、ロシア語とかいくつかの外国語を少し話せるようになった。
優等生としての箔付けにもちょっとこれは役立ったな。
うちの父も裏社会との繋がりが強いから一枚噛んでて、父と信頼しあってる僕もそこに参加して取引することができるわけさ。
家に入ってくる収入の割合としては、父の職業収入よりこっちのほうが多い場合すらある。
ネットワークで外国語を使う必要がある場合も多いから、ロシア語とかいくつかの外国語を少し話せるようになった。
優等生としての箔付けにもちょっとこれは役立ったな。
しらたま君も裏の自分はなんかそういう目で見てしまうんだよなあ。
小柄で小太りの男子ってのはね、女性からの需要も一部の男色家からの需要もあって何なら供給も少ないから普通の女子よりも結構高く売れる。
性奴隷としての需要もあるけど、最も極まってる奴は脂肪が適度に乗ったその身体を解体して食して楽しむんだよな。
自分としては味わうこと自体に強い興味はないけど、映像を楽しむのは好きだ。
人間が生きたまま解体され枝肉にされる動画なんて観物だ。
肉になる間の恐怖、絶望、痛みに歪む顔や声も良いし、それを顧客の人が味わう時の普通じゃ見せないような喜びや満足の様子を見ると、
こちらも仕事を成し遂げた喜びや共感で幸せな気持ちになる。
小柄で小太りの男子ってのはね、女性からの需要も一部の男色家からの需要もあって何なら供給も少ないから普通の女子よりも結構高く売れる。
性奴隷としての需要もあるけど、最も極まってる奴は脂肪が適度に乗ったその身体を解体して食して楽しむんだよな。
自分としては味わうこと自体に強い興味はないけど、映像を楽しむのは好きだ。
人間が生きたまま解体され枝肉にされる動画なんて観物だ。
肉になる間の恐怖、絶望、痛みに歪む顔や声も良いし、それを顧客の人が味わう時の普通じゃ見せないような喜びや満足の様子を見ると、
こちらも仕事を成し遂げた喜びや共感で幸せな気持ちになる。
しらたま君、家の近くまで会いに行くとか推しアーティストのイベントのついでに会おうとか言えば断ることは絶対さそうだし。
もし偶然普通にVRCで出会っていたら、きっと君は僕の獲物候補のリストに入っていただろうな。
ぼっちの集いのメンバーを僕が把握してるのも、市場に流せる獲物を求めてからのことだったりする。
意外とメンバーはVRC上で限定した結束がかなり強くて、手を出すのは難しそうだったから最近は引いて見ているけど。
もし偶然普通にVRCで出会っていたら、きっと君は僕の獲物候補のリストに入っていただろうな。
ぼっちの集いのメンバーを僕が把握してるのも、市場に流せる獲物を求めてからのことだったりする。
意外とメンバーはVRC上で限定した結束がかなり強くて、手を出すのは難しそうだったから最近は引いて見ているけど。
でも一応、逆に酷い環境で家出したような子が奴隷としてもらわれて、そっちの待遇のほうが良くて幸せに暮らしてるような事例もある。
それもそれで別に悪い気分にはならないし、時々その後を観察して面白く眺めていたりすることもある。
それもそれで別に悪い気分にはならないし、時々その後を観察して面白く眺めていたりすることもある。
一般的な人間の目線から見て自分はおかしいように見えるようけど、
自分自身では自分はとにかく色々な方向性でやっぱり人間が好きなんだろうと解釈している。
幸せになる話ってのは世に溢れているから、被害者の出る不幸な話の方を沢山見たいような傾向が強いけれど。
自分自身では自分はとにかく色々な方向性でやっぱり人間が好きなんだろうと解釈している。
幸せになる話ってのは世に溢れているから、被害者の出る不幸な話の方を沢山見たいような傾向が強いけれど。
被害者の出る話と言えば……この前起きて世間をにぎわせた女子高生集団輪姦事件の首謀者は、僕だ。
僕のもとに集まった加害者たちが人間の心もないといわれるような所業を繰り返して。
自分でも全く思いつかないような残虐な手段を色々見ることができて本当に楽しかったのさ。
被害者がどんどん壊れていくのも面白かったが、加害者の人格もどんどんおかしくなっていくのも僕にとっては見物だった。
僕のもとに集まった加害者たちが人間の心もないといわれるような所業を繰り返して。
自分でも全く思いつかないような残虐な手段を色々見ることができて本当に楽しかったのさ。
被害者がどんどん壊れていくのも面白かったが、加害者の人格もどんどんおかしくなっていくのも僕にとっては見物だった。
風凪あいつ、被害者に謝りながら性行為したり、残虐行為自体は嫌でも死姦とかどんなに残虐な死体にもしたりするんだよなあ。
善人ぶったやつが情動を抑えられないってのはまあよくあるけど、こいつは本当にちぐはぐで影響されやすいから何するか分からなくて面白い。
イナバ辻は、事件発覚後にVRCで遭ったら事件のことに絶対触れたがらない。何なら記憶も封印してるかのよう。
病状は日に日に悪化していくから、墓場まで持ってくつもりなのかな。罪悪感も投げ捨てれば楽になりそうなものなのに。
せっかく友人なんだしVRCを使った誘拐にでももっと関わらせてやろうかなとか思っていたりしたっけな。
善人ぶったやつが情動を抑えられないってのはまあよくあるけど、こいつは本当にちぐはぐで影響されやすいから何するか分からなくて面白い。
イナバ辻は、事件発覚後にVRCで遭ったら事件のことに絶対触れたがらない。何なら記憶も封印してるかのよう。
病状は日に日に悪化していくから、墓場まで持ってくつもりなのかな。罪悪感も投げ捨てれば楽になりそうなものなのに。
せっかく友人なんだしVRCを使った誘拐にでももっと関わらせてやろうかなとか思っていたりしたっけな。
そうそう、もちろん被害者の中にも僕がVRCでオフに連れ出したユーザーがいたりもするんだ。
フレイヤがその被害者の生き残りのただ一人だということは分かっている。
リスクは承知だったけれど心が壊れた人間がどんな行動をするのだろうか気になって、放置している。
もしかしたらこの中でも対面することになるのかもしれない。危険は冒すだろうが本当に楽しみ。
まあ向こうは勇者リチャード=宮倉伸史が首謀者なことはもちろん知らない。
リスクは承知だったけれど心が壊れた人間がどんな行動をするのだろうか気になって、放置している。
もしかしたらこの中でも対面することになるのかもしれない。危険は冒すだろうが本当に楽しみ。
まあ向こうは勇者リチャード=宮倉伸史が首謀者なことはもちろん知らない。
さらなる有利要素もある。
人身売買の関係で知り合った、輪姦に参加して主に荒事を担当したガイって男が鍵。
彼には輪姦事件関係者の親族友人の情報をわかる限りで全部渡している。
被害者も……加害者の中で気の弱そうな奴らも。
いざとなればガイが動いて犯罪仲間を集め、大量の人質を一度に生み出すこともできる。
人身売買の関係で知り合った、輪姦に参加して主に荒事を担当したガイって男が鍵。
彼には輪姦事件関係者の親族友人の情報をわかる限りで全部渡している。
被害者も……加害者の中で気の弱そうな奴らも。
いざとなればガイが動いて犯罪仲間を集め、大量の人質を一度に生み出すこともできる。
しらたま君……泣けるうちはまだ全然地獄じゃない。
涙も感情も枯れる本当の絶望はこの世にしっかり存在している。
君はこの殺し合いの中でいつまで正気を保っていられるだろう?
涙も感情も枯れる本当の絶望はこの世にしっかり存在している。
君はこの殺し合いの中でいつまで正気を保っていられるだろう?
いや希望だって残っているじゃないか。
君のスキルはとにかく色々な情報を見ることに特化している。
君の精神は、きっと色々なことを好奇心のまま知りたいんじゃないか?
吹っ切れて"こっち側"に来てもっと沢山楽しめるようになってしまってもいいんだよ。
君が僕の味方でいるうちは、完全に壊れない程度には色々助けるつもりだからさ。
犬は子供のころから、色々と、本当に色々な意味で好きな動物だしさ。
君のスキルはとにかく色々な情報を見ることに特化している。
君の精神は、きっと色々なことを好奇心のまま知りたいんじゃないか?
吹っ切れて"こっち側"に来てもっと沢山楽しめるようになってしまってもいいんだよ。
君が僕の味方でいるうちは、完全に壊れない程度には色々助けるつもりだからさ。
犬は子供のころから、色々と、本当に色々な意味で好きな動物だしさ。
せいぜい一緒にこの殺し合いを生き延びて行こうじゃないか。
君の能力は鍛えれば、仲間になりうるユーザーの査定なんかにとても役立つだろう。
なんなら上手いこと一緒に生還できたら、その後も友達でいようじゃないか。
僕を裏切ったら君も人身売買に流さなきゃいけないのが残念なところだけどね。
君の能力は鍛えれば、仲間になりうるユーザーの査定なんかにとても役立つだろう。
なんなら上手いこと一緒に生還できたら、その後も友達でいようじゃないか。
僕を裏切ったら君も人身売買に流さなきゃいけないのが残念なところだけどね。
裏の自分は、しらたま君だろうと他のワールドの参加者だろうと各々がハッピーエンドを迎えられるよう願ったりなんてすることはない。
僕が最も優先するのは、僕にとってのハッピーエンドなのだから。
僕が最も優先するのは、僕にとってのハッピーエンドなのだから。
【E-4・学校/一日目/深夜】
【勇者リチャード】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[装備]:創造武具「エターナルエクスカリバー」
[思考・状況]
基本:人々を集めて主催に対抗する。無理なら優勝して全員を生き返られる願いを叶える。
裏:主催者にうまく取り入ることができたら良いんだけど。
1:学校を拠点として仲間を集める。
2:しらたまくんがスキルをまともに使えるようになるまで見守ろう。
3:輪姦事件の関係者、このワールドでどんな行動取るのか見物だな。
【勇者リチャード】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[装備]:創造武具「エターナルエクスカリバー」
[思考・状況]
基本:人々を集めて主催に対抗する。無理なら優勝して全員を生き返られる願いを叶える。
裏:主催者にうまく取り入ることができたら良いんだけど。
1:学校を拠点として仲間を集める。
2:しらたまくんがスキルをまともに使えるようになるまで見守ろう。
3:輪姦事件の関係者、このワールドでどんな行動取るのか見物だな。
[備考]
※あずきしらたまと情報交換しました。
※あずきしらたまと情報交換しました。
【あずきしらたま】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[装備]:
[思考・状況]
基本:リチャードの方針に従って、無事に帰還することを目指す。
1:スキルを使いこなせるように鍛える。
2:リチャードを補佐して助けになる存在になりたい。
3:参加者の中のフレンドや、ショウマやつばきが心配。合流したいなあ。
4:吸血姫ティアラ、セイントヴァルキリー・フレイヤ……できれば遭いたくない。
[状態]:健康
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[装備]:
[思考・状況]
基本:リチャードの方針に従って、無事に帰還することを目指す。
1:スキルを使いこなせるように鍛える。
2:リチャードを補佐して助けになる存在になりたい。
3:参加者の中のフレンドや、ショウマやつばきが心配。合流したいなあ。
4:吸血姫ティアラ、セイントヴァルキリー・フレイヤ……できれば遭いたくない。
[備考]
勇者リチャードと情報交換しました。
勇者リチャードと情報交換しました。
施設紹介
- 学校と昭和の田舎の町並み
古風な2階建て木造校舎と、そのまわりの木造の家屋や店舗、公園、空き地などが集まっている。
マップを流れる川とも調和して、いい雰囲気を醸し出す。
どれもこれも昭和風なので、現代的なアイテムを拾って手に入れるすることはできないだろう。
現実のVRChatにも似たようなワールドがいくらかある。
マップを流れる川とも調和して、いい雰囲気を醸し出す。
どれもこれも昭和風なので、現代的なアイテムを拾って手に入れるすることはできないだろう。
現実のVRChatにも似たようなワールドがいくらかある。
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017:ツキアカリのミチシルベ | 投下順 | 019:追跡する者達 |
017:ツキアカリのミチシルベ | 時系列順 | [[]] |
前話 | 登場人物 | 次話 |
GAME START | 勇者リチャード | データや数値じゃわからないこともある |
GAME START | あずきしらたま | データや数値じゃわからないこともある |