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『ヤマオリ』
『ミナサキ』
その言葉を記憶の隅に留め、より真相を求めて研究所を進んでいく。

けれども、素人がたった一人で研究所を制圧するプロの部隊を欺き続けることなどできるものか。
誰かの足音が廊下にわずかに反響する。
それを聞くや否や、すぐそばのゴミ箱とゴミ箱の間に潜り込み、身を隠した。

「E研究棟フロアB。ターゲット、全員処理完了しました」
「E研究棟フロアC。こちらも同じく、処理完了」

前方から歩いてくるのは防護服を着た三人の軍人である。
一人はボイスチェンジャー、もう一人は女性と思われる声。
そして、いずれも防護服のあらゆる箇所に返り血を浴びており、殺した数が一人や二人でないことは明らかである。

「ご苦労様です。
 Ms.Columbine。先ほどの交戦で、変声機のスイッチが落ちていませんか?」
「あっ……!」
「作戦中は常に自身の状態にも気を配るように。
 試用期間中の行動如何では、以前の部隊に戻っていただくこともあります。
 ああ、それと別に能力の否定というわけではありませんから、気にする必要はありませんよ。
 この段階においては、ほぼほぼ向き不向きの問題ですからね」
「了解しました! 教官殿!」
「Ms.Wisteria。君も、他人のミスだとは思わないようにね。
 他者に起こることは自身にも起こりうると考えてください」
「了解しました」
「以前の部隊でも言われていたことだとは思いますので、これはお節介ですけれどね」

(columbineにwisteria。
 植物がコードネームかしら?
 噂に聞く、Self-Defense ForcesのSpecial Operations Group――『SOG』?)
正体不明の部隊、とはいえ日本国でこれほど大規模な行動ができる秘密結社がそうそうあるとも思えない。
オーストラリアとの合同訓練でその実態の一部が明かされたSOG――自衛隊の特殊作戦群であれば、その統制の取れた動きも納得できる。

「さて、そこで聞き耳を立てている子猫ちゃんがいます」
(!?)
バレていた。
おそらく二人の上官と思われるその隊員は、いとも簡単に身を潜めていた侵入者の存在を看破する。
部下と思われる二人の女性隊員が、上官の男性隊員の言葉を待たずに自らが隠れているゴミ箱の間へと銃を向けた。

「あーあー、そういうのはいいですから。
 うん、そうだな……。
 迷子の迷子の子猫ちゃん♪ あなたのお名前なんですか? What's your name?」

剽軽な口調ではあるが、やはりその防護服にはべったりと血が付いていて、何人も殺害してきたことは明らかである。
取って付けたような英語を挟んでくるのは、当てつけだろうか。
陽気に、軽薄に、有名な童謡を口ずさみながら問いかけてくるその男性の得体が知れない。

「さて、名前を聞いても分からない。
 だまってばかりの子猫ちゃんだねえ」
「教官。怖がっているだけです。
 あと、教官がそれを言うと、ハラスメントです」
「えっ、そうなの?
 怖がらせないようフレンドリーに話しかけたつもりなんだけど……」
「スレトニングハラスメントです。
 ハラスメント研修を受け直してください」
「そんなハラスメントありましたっけ」
「今作りました」

血塗れの防護服に身を包み、銃器を構えながら、学校の休み時間のように軽口を叩く彼らは異様である。
テロリストよりもこちらのほうがよほど得体が知れない。

「あー、こほん。テロリストたちによって引き起こされた凄惨な光景に、身も竦む思いだろう。
 だが、我々が来たからにはもう安心です。
 丁重に送り返して差し上げなさい。
 『狂犬』のお巡りさんに見つかると大変だよ?」
「その言い方はまた怒りを買うかと思いますが……」

我々が来たからには安心? どこが?
彼らが来たからこそ、不安で不安で仕方がない。
顔を出せば、それが最後、額を撃ち抜かれてジエンド。
そのイメージを拭えない。

「もしかして、秘密を知った者は生かしてはおけない! とかいう物語でよくあるアレを心配していますか?
 映画の見過ぎですねえ。心配はいりません。
 最奥部はすでに先行部隊が制圧済みで、部外者が侵入したなどの報告も受けていません。
 Ms.Wisteria、我々N班の任務はなんですか?」
「テロリストから逃げ惑っていた無辜の民の保護と、テロリストの残党の制圧であります」
「そういうことです。
 というわけで天才探偵ちゃん。パートナーくんも君を心配していたよ?
 Ms.Columbine、彼女を自衛隊の詰め所まで丁重に送って差し上げなさい。
 アナウンスを流してもらえば、引き取りに来るでしょう」
「了解しました!」

SOGと思われる特殊部隊の教官は、身元などとっくに特定していたらしい。
言外に、機密事項を知れば処理するというニュアンスを、
そしてお前は今回の事件の表層を浚っただけだというニュアンスを滲ませ、教官の男がタイムアップを告げる。

「さあ、かくれんぼはおしまい。保護者のところへ戻りなさい」

せめてもの抵抗に、部下の女性隊員二人の顔をマスク越しに確認する。
まるで精巧な日本人形のような、ぞっとするほど容貌の整った女性。
そちらと比べればいくぶん現実的な、かわいらしい容姿の女性。
けれどどちらも腕力はまったくかわいくなく、その気になれば素手で首を圧し折れるだろう。
物腰柔らかな口調ながら、決して逆らえない力でがっちりと腕を固定されてしまう。

「sorry、えーと、自衛隊の特殊部隊の皆さん?」
「テロ対策部隊の突入救助班ですね。
 メディアのみなさんにはそれで通ります」
こんな血と暴力に塗れたの救助班があるか。
そう言いたいところだが、本当の部隊名も所属も秘匿され、真相は何もかも闇の中。
二つのキーワードと引き換えに、研究所施設から退出せざるを得なかった。

すれ違いざまに見た教官の男は、穏やかに笑っていた。
血に塗れた姿で、穏やかに穏やかに笑っていた。


※*※*※*※*※*※*※*※*※*※*※*※*※*※*※*※*※*※*※*※*※*※*※*※*



「うわあああああっ!!!!」

全身から冷や汗を流し、誠吾は飛び起きる。
未だ外は暗く、そして外の喧騒も収まってはいない。


通称『山折村関わってはならないリスト』というものがある。
大層な名前だが、製作者がそう呼んでいるだけにすぎない。
実態は役場から学校に配送される要注意人物リストだ。
都会の大学でも不審者出没情報という名前でPDF化して配られている類の資料である。
端的に言えば、役場にクレームが入りまくる人間をまとめた注意喚起の資料であり、特筆することはほぼない。
――隅のほうに小さな文字でヅカパイこと飯塚太蔵が入っていたのは製作者の意趣返しであろう。
――おかげで飯塚先生の裏のあだ名は教師の間でもヅカパイである。

嫌がらせは横においておき、リスト掲載者はいずれも早々たるメンツ。
『トリガーハッピー』薩摩圭介。
『神の遣い』鴨出真麻。
『人型暴力』範沢勇鬼。
『山折スケバン』山上美々子。
『高潔なヤクザ』木更津組の面々。

教師たちの間でもA級村人などの隠語で呼ばれる彼らを抑えてトップに立つS級村人こそ、
『太った赤ちゃん』気喪杉禿夫である。


女の子と自らの幸福以外に思考リソースを割く気がない誠吾をして、五感に刻み込まれるそのキャラクター性。
耳が腐る、鼻が腐る、目が腐る。
何かがまかり間違って、飛び散る汗が口にでも入ろうものなら、舌どころか細胞一つ一つが壊死することだろう。
そんな有害物質から放たれる騒音を子守唄に眠ったところで、夢に見るのは悪夢だと相場は決まっている。


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一度やってみたかった、大都会六本木の最高級風俗店。
身分証を受付に提示し、嬢の情報を口外しないという誓約書にサインし、30万の大金を支払って得た二時間。
リクエストしたのは、本業は元華族の資産家の一族という、まさに住む世界が違う一番人気の嬢である。

ホテルマンのような立ち振る舞いの案内人に導かれ、高級な金の装飾で彩られた木製の扉の前に立つ。
極上の女の子をこの身で抱きしめることを思い浮かべながら、その秘密の扉を開けると……。
『ブモオオオオオオオオオオオオ!!!』
そこにいたのは、ゴスロリドレスに身を包んだ三人の気喪杉禿夫であった。

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というような本人には致命傷、それ以外には激しくどうでもいい夢に脳みそ丸ごとシェイクさせられた誠吾は、交番の洗面所へと駆け込んだ。

「うえっ、おええええ!!」
流し台で口をゆすぎ、悪夢の残滓をすべて水に洗い流す。
交番前の老人の死体にも、交番の中の大林巡査部長の死体にも嫌悪感はあった。
明るい場所の死体って気持ち悪いなあ、と尊厳もクソもない感想を抱き、シートをかけて視界から遮ったが、
女装の気喪杉など夢でありながら現実をはるかに上回る嫌悪感である。
嫌悪感も何も好きになれる要素もなにひとつないが。
それもこれも、外で当の本人がIQの低い悲鳴をあげて暴れまわっているせいであろう。
耳から侵入した音が夢にまで入り込んだのだ。
まさに事故そのものであろう。


円華が小動物のようなかわいい顔を、羅刹女のそれに変える前にとんずらこいたまではよかった。
やれ前方彼方を4メートルもある謎の生物が地響き立てて横切っていくわ、
やれその十数分後には高校のほうから水を張り湛えた田園を超えて銃声が届いてくるわ、
やれ当面の向かい先と決めていた住宅街で爆発炎上の大戦争が起こっているわ、
何もしていないのにどっと疲れた。

交番で休んでいた間にも絶え間なく聞こえてきたのは、
鼓膜を震わす原付のエンジン音、爆発音に炎上音、そして爆破解体のような騒音オーケストラ。
軍隊を出す異能でも持っているやつがいるのかと聞き紛うほどの大騒音である。

ゾンビの群れ、村に降り立ったヒグマ、目覚めた異能、謎の巨大生物、住宅街大戦争。
建築会社付近のボーナスショットこそ誠吾の耳に届くことはなかったが、どれを取っても今年の大ニュースでぶっちぎりの一位を取れる大騒動。
それらを目の当たりにして、誠吾が思ったことは。

(あ~あ~やだやだ、早く街に帰りたいよ。
 生徒も村も、もういいから、バックレようかなあ)

徹頭徹尾自分の心配であった。

『かわいい生徒に安心して朝までぐっすり眠っていただくため、ここが胸突き八丁正念場、
 不審人物を警戒して朝まで見回りしてたんだよ』
そんな円華への言い訳ストーリーを真実にしてしまおうかと思ったが、パトランプ赤信号を思い出して断念。
せめて心機一転しようと棚を探れば、ご当地限定カップラーメン『山オヤジのくそうめぇ~カップ麺 せうゆ味』があるではないか。、
アニカママだのなんだの、外から聞こえてくるIQの底が抜けた言葉の数々にはため息しか出ないものの、麺は表題の通りくそうまい。
熱々の麺をずるずると啜り、コクのあるスープを胃に流し込み、人気店を再現したその味に舌鼓を打つ。
そしてまどろんだ矢先に最低の悪夢である。
腹の中が本当に気持ち悪くなった。

起き抜けに見た交番の壁掛け時計は、微睡む前の長針/短針共に3の字過ぎの時点から、今では短針が4の字を過ぎようとしていた。
外からは『ぐぎゃああああああああす』という明らかに日本の原生生物ではない雄たけびが聞こえ、
一方で気喪杉のウシガエルと豚をミックスしたような声は未だ収まらず。


げんなりしながら非常持ち出し袋に入っていたミントタブレットを弐錠取り出して噛み砕き、
直火型エスプレッソマシンに水を入れ、粉を入れ、火にかける。

新聞配達の時刻だが、配達員など来るはずないので、代わりに読むのは机の上に置かれていた逮捕令状だ。
ホシの名は月影夜帳。
最近村を騒がせていた、若い女性を殺しては血を吸ってた変態殺人犯。
職務上、夜には決して出歩かないようにと生徒に注意をしていた例の件だが、内心では犯人は侮蔑の対象である。


少し愛が重ければ、バレンタインのチョコレートに血を入れてくることくらい日常茶飯事。
消化のできない髪の毛を練り込んで、『一生あなたと一緒に添い遂げられるチョコ』なんてのを渡してくる女の子だっているわけで。
血を吸いたいなら、正面から仲良くなればいいのだ。
わざわざ殺人などというリスクを取る意味もなければ、それで逮捕令状まで出ているとなればお笑い草としか言えない。

イイ感じに染み出してきた熱々のモーニングコーヒーをカップに注ぎ、アロマを楽しむ。
熱々のコーヒーをすすり、味わいと風味を楽しむ。
全身にカフェインを染み渡らせ、やはり一日の始まりはコーヒーに限るね、と意識の高い持論を噛み締める。
外の様子を聞き取るに、徹夜の迷惑行為もたけなわといったところだ。
汚い悲鳴が聞こえ、どうやらクライマックスも通り過ぎたらしい。


『碓氷参戦!!』など断固拒否だが、
かといって死闘直後に何食わぬ顔でのこのこ参上したところで、胡散臭さのメーターは振り切れてオーバーフローするだろう。

一晩戦争していたなら、終戦後は当然どこかで休む。
その拠点を見つけだし、何食わぬ顔をして合流するのが最もリスクが低い。

声は三手に分かれたようだが、狙うべきは当然大人数グループ。
他のグループと鉢合わせないように警戒しながら、行き先にあたりを付け、誠吾も交番を発つ。
ちょうど朝日が昇ってきたことで、惨状は明確となり、戦いの激しさも相応に推測できる。
あたりにまき散らされたゾンビの肉片を遠目に、しかしあまり見すぎないように、誠吾もまた高級住宅街へと進入する。
周辺のゾンビはすべて気喪杉禿夫によって叩き潰されたか、山折圭介が連れていったために、行く手を遮るものも何もない。

その約15分後、小田巻真理が環円華を犠牲に八柳藤次郎から逃げおおせ、無人の交番に到着した。
遺体にかけられたシーツに、まだ熱の冷めていないエスプレッソマシン、そして追っ手の姿が背後に見えないことを確認すると、
備品の警棒を拝借して、彼女もまた住宅街へと分け入っていった。
朝5時前のことである。


木更津閻魔を始末した月影夜帳は、セーフハウスを出立し、そこで朝日を浴びる。
朝日を浴びれば灰になるのではという不安が一瞬だけ過ぎったが、杞憂だったようだ。
真祖のようでなおのこと心地よい。
自己肯定感が上がっていく。

次なる目的地は、少女たちの花園である。
山で行方不明になった子供の捜索の定番は、やはり数にモノを言わせた人海戦術であろう。
山(折村)狩りを始めるのだ。
探索、趣味、どちらにしろ、いると分かっている女の子軍団に接触しない選択はない。

『ゾンビの襲撃で、三人の同行者……木更津閻魔さん、宇野和義さん、リンちゃんの三人とはぐれてしまったのです。
 袖触れ合うもと言いますか、赤の他人とはいえ、このまま死なれても寝覚めが悪い。
 もし見かけたら、保護とご一報をいただけませんでしょうか。
 特に宇野さんはリンちゃんを自身の子と重ねているため、見ていて危なっかしいのです。
 私とて医療関係者の端くれです。
 リンちゃんと宇野さん、お二方の今後のためにも、二人が落ち着くまでは引き離しておきたい』

慣れないながらも、それらしきストーリーを即興で組み立てていく。
なにしろこの男、仕事以外で若い女性と話したことなどほとんどなく、それどころか男性の友人もいない。
人生は挑戦の連続だと言われるが、複数少女との交渉など殺人よりもはるかに難易度の高い挑戦だから、準備は入念に必要である。


もっとも、複数人で力を合わせ、巨大な怪物に立ち向かっていた乙女だ。
ならば人一倍正義感が強く、可憐で清純で高潔な美少女に違いない。
閻魔は突っぱねられるだろうが、そこは日ごろのおこないの弊害である。慈悲はない。
逆にリンは率先して『保護』してくれるだろう。

そして、戦闘という激しい運動をおこなった直後の少女だ。
全身から芳香を発して、嗅覚を通じて脳をダイレクトに狂わそうとしてくるだろう。
肥料を吸いすぎて枝をたわめた瑞々しい果実のような素肌は、一突きすれば倍の弾力で押し返してくるに違いない。
不足した酸素を一分子でも多く吸い込もうとするその呼吸はなまめかしく、そこから漏れ出す声は聖書の詩を思い起こされる透明なソプラノボイスと相場は決まっている。
耳で、鼻で、目で、指で、そして味で楽しむナマ少女夢の120分フルコースだ。

(いけませんね、思わず勃牙してしまいました。
 平常心、平常心……)

夢想が過ぎたかもしれない。
平常心と強く念じて、滾った牙を元に戻す。
牙が伸びすぎてサーベルタイガーのようになった男など、どれだけ寛容な女性でも顔を合わせた途端に踵を返して逃げ出してしまうのだから。


日が昇ったことで、戦いの痕跡もより鮮明となる。
日の光を浴び、あちこちに浮かび上がるは、赤黒い血の足跡だ。
気喪杉禿夫が虐殺し、山折圭介が使い捨てた無数のゾンビたち。
道路にまき散らされたその血を踏み付ければ、靴底に血の跡がべったりと貼り付く。
臓物ならばまだしも、暗がりの交戦の中、まき散らされた血を踏まない芸当などまず不可能。
気喪杉禿夫というS級の問題児を前にして、一歩ごとに足元を確認する余裕などない。
それをおこなえるのは、『目』を持ち、かつ普段から痕跡を嫌う一級エージェントの田中花子のみであろう。
逆説的に、少女たちの行き先は容易く推測が可能なのである。
この十数分後に交戦地跡に訪れた大田原源一郎とて、
和幸たちとの遭遇がなければ、そちらを追っていたことは想像に難くない。

ほどなくして、隠れ家と思わしき住宅は見つかった。
高級住宅街の南端近くにある、窓ガラスが大きく割られた一軒家だ。
周辺にはゾンビもいないのに大小いくつもの足跡が折り重なり、大勢がここに出入りしたのだと一目で分かる。
そして、夜帳が追ってこられるということは、他人もしかり。
先客の存在である。

「うげ……っ!」

厭悪が胸元からあふれ出たかのようなダミ声を耳にして、夜帳はその歩みを止めた。
玄関の扉を開け、屋内を伺っていたのはライフル銃を背負った猟師風の男だ。

(これは……どうしましょうか?)
皆が皆、閻魔のように状況も理解できない愚か者ばかりであろうはずがない。
背後を取っているとはいえ、銃持ちに素手で襲撃するのはあまりに分が悪い賭けである。

日頃猛獣と対峙する猟師であれば、肝も据わっていることだろう。
脅しと恐怖で動きを止めることなどできようものか。


だが、猟師の恰好をした男――碓氷誠吾は時が止まったかのように動かない。
怪訝に思い、一歩ずつ慎重に近づいても、まるで反応はない。
屋内を誠吾の背中越しに覗いたことでその疑問は氷解した。


(なるほど。……むごい)
連続殺人犯の夜帳を以ってして、その感想に集約される。

まき散らされた臓物とおびただしい量の血の跡が、廊下を赤黒く染めている。
靴箱の取っ手には何かの臓器が引っかかってぷらぷらと揺れており、
廊下に転がっているイモムシのような物体は、引きちぎられた人間の指である。
桃色のカーペットの上にぶちゃりと乗せられている黒いもじゃもじゃは、毛髪ごと剥ぎ取られた人間の頭皮だろう。
あまりに部位がバラけすぎており、犠牲者の数すら不明だ。
現場検証の技能など夜帳にも誠吾にもない。
ただし、人間のおこないでないことだけは誠吾にも夜帳にも分かった。
玄関に残された20センチほどの赤黒い肉球跡とツメの跡である。

(山の猛獣? この足跡はクマですか?
 人食い熊が村に降りてきたのだとすれば、由々しき事態だな)

クマは臆病な動物だ。
よほど腹の虫が悪くない限り、人間に出会ったらまず警戒から入るだろう。
クマに出会ったら狩りの本能を刺激させないよう、背中を向けずにゆっくりと後退するべきだと言われている。
だが、もしクマもゾンビとなり本能のままに襲ってくるとすれば、それは惨劇の序章であろう。
人食い熊であれば同じくその顛末は惨劇でしかないだろう。
異能を持った人食い熊など、どれほど危険な存在なのか、その脅威度は計り知れない。

(そして背後から近づいた私をクマと勘違いしたことで、異能が発動した、というわけですか。
 なるほど、なるほど)

強いて言えば、誠吾はタイミングが悪すぎた。
後ろからやってきた足音の主と、獰猛なヒグマを想像の中でリンクさせてしまった。
足跡の主に恐れを抱いた誠吾の肉体は『威圧』の異能により、完全に硬直していた。
クマと人間の足音が同じはずはないのだが、そんなことはヒグマの足音を実際に聞いたことがなければ分かるはずもない。

極限状態における恐怖体験による硬直。
クマによる惨状はさておき、異能の原理としては肝試しレベルであるが、一つ有用な使い方が見つかったのは事実だ。

(今なら殺すのは容易いですが……。
 まずい血を飲むくらいなら、リンちゃんの動向でも訪ねてみますか?)

停止しているのが美少女ならばとるべき行動は決まっているが……。
残念ながらどこからどう見てもオスである。

「あの、すみませ……」
「すみません! そちらの方、猟友会の方ですよね!?」
「うわあっ!?」

そして夜帳の思考は、一切の気配もなく背後から現れたさらなる訪問者により、強制的に打ち切られた。
無から湧き出してきた声に肝が縮み上がる。
夜帳もまた、肝試し失格組であったのだ。
そして背後から近づいていたのがクマではないと認識したところで、誠吾の硬直も解ける。

「ふう、死んだと思ったよ……。
 やあ、おはようお嬢さん。
 うーん、猟友会って僕のこと言ってる?
 ごめんね、これ恰好だけで、僕は猟友会じゃないんだよ」

嵐山岳と同じ集団に所属しているなら、話を聞いてくれるハードルは格段に下がる。
小田巻真理のそんなちょこざいな未来予想は、
紛らわしい恰好してんじゃねええええよおおお!!! という心の叫びと共に、のっけから崩れ去った。



「信じてくださって、感謝します。
 最悪、デマを垂れ流すよそ者扱いも覚悟していましたので」
「いやいや、こんなかっこかわいい子の話を信じないだなんて、男としてどうかと思うよ?
 ところでさ、VHが終わったら、時間ある?
 この村って狭いから出会いもなくてさ。
 せっかくだし、お茶でもどうかなと思うんだよね」
「……は? ああ、いえ、結構です」
「ナンパしてる場合じゃないでしょう。早く離れましょうよ。
 ヒグマが追って来たなら、撃つのは碓氷さんですからね?」
「いやいや、軽い冗談じゃないですか。
 月影さんも、ギスギスッッ! ってしてるよりはマシでしょ」
「あの、声かけられたの私なんですけど!?」
「ごめんごめん、ほら、そんなスネないで、ね?」
「別にスネてませんよ。あ、そこを左。
 足跡はあっちの一軒家のほうにまで続いてますね」
「はぁ、大体そっちは出会いなんて職場でいくらでもあるんじゃないですか?」
「いや、生徒をナンパはさすがにまずいでしょ。常識と良識を持とうよ」
「あの、二人とも今の状況本当に分かってます? マ・ジ・で、分かってます?
 あと、私を飛び越えてゲスな話するのやめてくれません?」

血ィ吸うたろかワレェ……という本心を飲み込み、
ド頭カチ割ったろか男ども……というイラつきを押し込み、
頭のてっぺんまで真っ赤っかだな……という疑念を隠しとおし、
三人は連れ立っていく。

数は力、そして信用は命綱。
未成年女子軍団の砦に向かおうとしているまさにそのときなのだ。
人権ラインを上回る身長のイケメン高校教師。
こんなプラチナフリーパスを手放すのは、夜帳も真理も憚られる。

『何者だ!?』
『イケメン高校教師です』
これだけでよし通れとはならないにしても、連合を組むまでのハードルは相当下がる。

些細なことで押し問答する時間があるならば?
一人でも多くの人間に藤次郎の危険を伝えたい。
一人でも多くの少女のふところに入り込みたい。
一人でも多くの手駒を手元に確保しておきたい。

そして、細かい話に時間を割きたくないのは、相手方の見張りに対してだけではない。
同行者に対しても同様だ。

教師がどこで猟師の恰好をして、そのとき同行者がいたのかなど明らかにする必要はない。
夜帳が女性ばかりを狙って殺した連続殺人犯であることなど、糾弾する必要はない。
猟師小屋までは追ってきていたはずの藤次郎を、小屋から住宅街までの一本道で真理がどうやって撒いたのかを問いただす必要はない。
吸血鬼垂涎、怪異もかくやという真理の隠形術が、異能によるものなのか生来の特技なのかを今すぐ尋ねる必要はない。

(VHを収束させるにしても、もう少し楽しませてもらいたいものですね。
 ヤクザの男の不味い血を飲んだだけで夢が終焉に向かうのは、ちょっといただけない。
 それとは別に、危険生物や危険人物への対策は怠るべきではありません。
 ヒグマはまだ理解できますよ。せっかくの少女たちを殺して回る八柳藤次郎は、一体何を考えているんだ?
 あまりに、あまりに非道がすぎますよ)
(女王感染者をさっさと見つけ出して、収束させたいよね。
 けれど、ヒグマに剣道の先生だっけ?
 こっちは僕がのこのこ出ていったところで、どうなるよ?
 適材適所、そういうのは荒事専門の人に任せるよ)
(SSOGの方針も気になるけど、あの剣鬼だけは協力者を募らないとどうにもならない。
 碓氷さんと月影さんがいるから多少は話もしやすいだろうけど、悪い噂が広がってたらすぐに退散するしかないわよね。
 お願いだから、あの女生徒が私の噂を広げていませんように!)

バカみたいなやんやの会話はすべてが仮面。
一刻も早く大人数グループに紛れ込み、各々の目的を果たす。
その一点で、はからずも三人の中で一致していた。
故なる臨時パーティである。


末席とはいえ、特殊部隊員たる真理が素人の痕跡を見逃すはずがない。
『光』を目視できる誠吾が、物陰に隠れた正常感染者から漏れる光を見落とすこともない。
アニカたち六人が『買い取った』別荘へ、迷いなく進んでいく。

そして、逃げ隠れもせずまっすぐに向かってくる集団が見逃されるはずもなく。

「こんなに堂々とこの家に向かって来られたら、正面から対応するしかないだろ」
「心配はいらないわ~。
 碓氷先生と月影さんは私もよく知っていますし、もう一人は村外の方のようだから。
 内外入り混じっているからこそ、みなさん危険性は低いと思うわ」
「俺は三人とも知らないんだが、どういう人たちなんだ?」
「碓氷先生は妹の担任の先生ね。
 近年赴任してきたから、哉太君は面識はないかもしれないけれど、私は施設課のお仕事なのでたまにお見かけするのよ~。
 月影さんも同じ。診療所の薬剤師の方で、薬を融通もしてもらってるわ~」
「薬を? はすみさん、アンタどこか具合でも悪いのか?」
「そういうのはプライバシーにかかわる場合もあるから、あまりずけずけ聞かないようにね。
 私のはそういうのじゃないからいいけど。
 役場勤めっていうのはね~、色々ストレスがたまるんですよ~」

毎週の恒例行事と化している、胃薬やサプリメントの処方による顔合わせ。
妹の担任かつ平時の業務における窓口担当。
かくして、知己であるがゆえに、犬山はすみは三人を通す。
『八柳藤次郎』が『嵐山岳』を殺害したという情報を持った、『特殊部隊員』と『連続殺人犯』を家へと招き入れる。


「哉太くん、そんなに警戒しなくても大丈夫よ。
 先ほど言ったように、二人とは面識があるから。
 いつも妹がお世話になっております~。
 いつもお薬の処方ありがとうございます~」
「やあ、犬山さん。相変わらずお美しい。
 お互い、こんなことに巻き込まれて災難だよね。
 そうだ、これが解決したら景気づけに、合コンでもどう?
 役場の女性陣と学校の教師陣で。虎尾さんとかも誘ってさ」
「えっ……あ~、個人的には乗り気ですけどぉ。今返事するのはちょっと……」
「おいちょっと待ておっさん、合コンってなんだよ、てかなんで茶子姉が出てくるんだよ」
「ん? 弟さん?
 はは、場をほぐすためのちょっとした大人のトークだよトーク。
 虎尾さんはたまに犬山さんと一緒にお仕事関係でお見かけするし……。
 教師と保護者とかお仕事先の関係のまま話しても堅苦しくて気を遣っちゃうでしょ」
「弟じゃねえよ、てか冗談とかウソつけ、絶対本気で言ってたろ!」
「はは、ご想像にお任せするよ。
 見たところ、君ももうすぐ大人(※18歳)だろ?
 もうちょっと余裕をもってどっしり構えてみたらどうだい?」
「あの、皆さん、それより本題に入りませんか?」
「ごほん!」
おしぼりで右腕の汚れを拭きながら、若干キレた咳払いをする真理。
ブレークしたアイスが若干フリーズアゲインした。

「みなさんに余裕があるのは分かりましたから、もういいでしょうか?」
テメェのせいだぞおっさん!
いや君も同罪だろ?
そんな二人の目線会話をジト目で見る二人。
少なくとも、真理以外のアイスはブレークしたようだ。

「小田巻です。
 すみませんが、自己紹介などは後回しにさせていただければと。
 私がここに来た目的は二つ。
 VHの収束案の共有――これは猟友会の嵐山さんから拝聴した推論ですが、試す価値はあります。
 それと、ゾンビも含めた全生存者の殺害を目論む危険人物についての情報連携をしに来ました」

「VHの収束案? もう解決方法が分かったのか、すげえ早いな。
 はすみさん、嵐山って人は、誰なんだ?」
「最近村に戻ってきた猟師さんですね~。
 確か生物学の学位を持っていたはずです。
 その割には姿が見えませんけど……」
「それについても、話の中で触れます」
「すみません、ちょっとアニカを呼んできたほうがいいですかね?」
「寝て起きてじゃちょっとかわいそうよ。
 だから~、後で私たちから伝えればいいと思うわ。
 代わりに、ちゃんとメモを取っておきましょうね」
「分かりました。ただ、見張りのほうは……」
「僕がやるよ。そういう異能だし、道中で概要は聞いたからね」
「話はまとまったでしょうか。ではまず、VHの収束案から……」


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(カナタうるさぁい。一度寝とけって自分で言ってたくせに、なんでこんなに騒いでるの?
 目が覚めちゃったじゃない……)
怖い夢が中断されたのはいいことだ。
だが、15分も経っていないのに叩き起こされることになったのは立腹に足る。
ふかふかふわふわのベッドならばともかく、居間の硬い床の上で、毛布で雑魚寝。
緊急時にすぐに飛び起きられるメリットはあるが、外があまりにうるさければ当然強制的に覚醒させられる。

ひなた、勝子、恵子は肉体的にも精神的にもあまりに疲労が蓄積していたがゆえに、目覚めたのはアニカだけであったが。
ひとつ文句でも言ってやろうと、ふらふらと廊下へと足を進める。


「信じられないのはそちらの勝手だけれど、私はウソはついていないわ。
 あの人は既に100人弱の村人を斬り殺しているのよ。嵐山さんもね」
「信じられるわけないだろ!!
 爺ちゃんが村を滅ぼす!? 婆ちゃんを真っ先に斬り殺した!?
 絶対に何かの間違いだ!」

「哉太くん、抑えて! 落ち着いて!」
「小田巻さんもほら、もっとオブラートに、オブラートにいきましょう。
 ここでケンカしたって、ええと、いいことないでしょう、ね?」

はすみと夜帳が双方をなだめようとするが、二人は引かない。
藤次郎による虐殺の証言など、哉太からすれば濡れ衣そのもの。
見知らぬ女が根も葉もない虚言で大切な家族をハメようとしているようにしか思えない。
かつての友たちとの仲を引き裂き蹂躙した冤罪――
アニカのおかげで潔白こそ証明されたが、そもそも何故、傷害事件として処理されたのかは未だ不明の濡れ衣――
あれと同じことが、今再びおこなわれようとしているとしか思えないのだ。

だが真理本人に藤次郎との面識がある。
真理にとっては、彼が虐殺をおこなっているのは動かしようのない事実だ。

哉太が最も嫌う冤罪と、真理が最も嫌う大義のない異常虐殺者。
はすみと夜帳の静止で口論は止まらない。

「これが落ち着いてられるかっ!!!!
 ……爺ちゃんは村のヒーローなんだぞ!!
 友達でもない、知り合いでもない、それどころか村人でもない、昨日今日会ったばかりの人間に爺ちゃんの何が分かるってんだ!」
「私だって、聞き間違いや見間違いで済ませられるようなことを言ってるわけじゃないの。
 お孫さん? それはお気の毒。
 あの人はあなたも迷いなく斬るわよ。
 大人げない? そうかもね。けれど、事実は事実。
 受け入れられないなら、死を以って思い知ることになるでしょうね」
「な、なんで私が赤の他人の仲裁など……。
 そんなことをしに来たわけではないのに……」
「ええっ! ちょっと夜帳さん、しっかりしてください!
 碓氷先生! 碓氷先生!」
「いや、そっち行ってもいいけど、見張りだって大事でしょ?
 僕の異能ってそういうタイプの異能だしさ」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」


(カナタと誰かが、言い争ってる?
 えっ、知らない人だよね……? でも知ってる気がする?)

夢の続きがフラッシュバックする。
マスク越しに見た顔と、そこにいる女の顔がリンクして、明確な像を結び……。



「あんたが爺ちゃん相手に返り討ちに遭って、罪をおっかぶせて回ってるって考えるほうがよっぽど自然だろ。
 その、手の形してる不自然な火傷だってそうだ。
 案外、早まって村人襲ったところでも爺ちゃんに見られたんじゃねえの?」

哉太が生まれる前から数十年からずっと、活人剣を村の子供たちに指導し、
顔役の一人として大勢の村人に慕われていた藤次郎が、なぜ今さら村を滅ぼそうとするのか。
友との仲を引き裂き、村への憎悪を植え付けたあの事件は、哉太の心に大きな影を落としている。
やさぐれた彼に喝を入れ、稽古のとき以上に厳しく、けれども特別の愛情を以って接してくれた。
せめて村外の高校でやり直せるようにと、ありとあらゆる伝手を駆使してくれた。
極端、村には二度と戻らずとも暮らせるようにと色々と融通してくれたのが他でもない藤次郎である。
あり得ないことなどあり得ない。それでも、藤次郎の乱心などあり得ない。
異能という人知を超えた力がある以上、真理の言う可能性がゼロではないことくらい心の隅っこで自覚している。
ただ、認められない。認められないのだ。


腕の火傷の件は二度目の指摘だ。
結局のところそれはそれで、これはこれというしかないのだが、
二度目の指摘に真理が反論する機会は訪れなかった。


精神に過負荷をかけられた夜帳とはすみに、まわりへの注意力など残っているはずもない。
我関せずと外敵の警戒を続ける誠吾が、内部に注意を払うはずがない。
口論する二人はバチバチと火花を散らしている。

だから、顔色をさっと変えて廊下から侵入してきたアニカには誰も気付かず。
だから、その口から発せられる次の言葉など誰も予測できず。


「カナタ離れて! その女、特殊部隊!」


先ほどまでの騒ぎはどこに行ったのか、喧騒は静寂へと切り替わる。
一人を除く全員の視線が一点に集中し、その視線の先、真理の額から一筋の汗が流れ落ちた。

【D-4/道沿いの一軒家/一日目・早朝】
天宝寺 アニカ
[状態]:全身にダメージ(小・回復中)、顔面に腫れ(回復中)、頭部からの出血(回復中) 、疲労(大)、精神疲労(中)
[道具]:催涙スプレー(半分消費)、スタンガン、八柳哉太のスマートフォン、斜め掛けショルダーバッグ、包帯(異能による最大強化)
[方針]
基本.このZombie panicを解決してみせるわ!
1.まずいわ! 特殊部隊じゃない!
2.休んだらここにいる皆からHearingするわよ。
3.Ms.チャコが地下研究施設について何かを知ってるかもしれないわね。
4.私のスマホどこ?

※異能の存在に気がつき、任意で発動できるようになりました。
※他の感染者も異能が目覚めたのではないかと考えています。
※虎尾茶子が地下研究施設について何らかの情報を持っているのではないかと推理しました
※異能により最大強化された包帯によって、全身の傷が治りつつあります。


八柳 哉太
[状態]:全身にダメージ(中・再生中)、臓器損傷(再生中)、全身の骨に罅(再生中)、疲労(大)、精神疲労(極大)、山折圭介に対する複雑な感情
[道具]:脇差(異能による強化・中)、打刀(異能による強化・中)、双眼鏡
[方針]
基本.生存者を助けつつ、事態解決に動く
1.???
2.このバカ(アニカ)を守る。
3.休憩後、アニカの推理を手伝う。
4.ゾンビ化した住民はできる限り殺したくない。
5.爺ちゃんが虐殺なんてしてるわけないだろ! ないよな……?
6.圭ちゃん……。

※自分の異能を知りました。
※脇差と打刀が異能により強化され、怪異及び異形に対する特効を持ちました。


【犬山はすみ】
[状態]:疲労(大)、異能使用による衰弱(大)、ストレス(大)
[道具]:救急箱、胃薬
[方針]
基本.うさぎを探したい。
1.???
2.今は自分とここにいる子供達のことを考えて、休憩する。
3.生存者を探す。
4.ありがとう、勝子さん。

※自分の異能を知りました。


月影 夜帳
[状態]:ストレス(大)
[道具]:医療道具の入ったカバン
[方針]
基本.この災害から生きて帰る。
1.???
2.和義の情報を得て、少女の誰かの血液を吸う
3.和義を探しリンを取り戻して、リンの血を吸い尽くす

※己が異能を理解しました
※吸血により木更津閻魔の異能『威圧』を獲得しました。


小田巻 真理
[状態]:疲労(中度)、右腕に火傷、精神疲労(中)
[道具]:ライフル銃(残弾5/5)、血のライフル弾(10発)、警棒、???(他に武器の類は持っていません)
[方針]
基本.女王感染者を殺して速やかに事態の処理をしたい、が、迷いが生じている。
1.生存を優先する
2.八柳藤次郎を排除する手を考える
3.結局のところ自衛隊はどういう方針で動いているのか知りたい

※まだ自分の異能に気づいていません


碓氷 誠吾
[状態]:健康
[道具]:災害時非常持ち出し袋(食料[乾パン・氷砂糖・水]二日分、軍手、簡易トイレ、オールラウンドマルチツール、懐中電灯、ほか)、ザック(古地図、寝袋、剣ナタ)
    山歩き装備、暗視スコープ、ライフル銃(残弾5/5)、双眼鏡
[方針]
基本行動方針:他人を蹴落として生き残る
1.この中の誰かを手駒にする
2.捨て駒を集める

※夜帳が連続殺人犯であることを知っています。
※真理が円華を犠牲に逃げたと推測しています。
※己の異能はおおよそ理解していますが、他人には光が見えるとしか伝えていません。

061.野獣死すべし 投下順で読む 063.End Dream→Starting Nightmare
時系列順で読む
朝が来る 天宝寺 アニカ 情操ネゴシエーション
八柳 哉太
犬山 はすみ
パニックハウス 月影 夜帳
山折村血風録・序 小田巻 真理
お前はウソをついている 碓氷 誠吾

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最終更新:2023年03月27日 01:12