天原創と哀野雪菜、月影夜帳と犬山はすみ。
目的は同じ人探しでありながら、その方向性は正反対である二組は
互いに警戒しあいながらも、共通の目的地である村役場へ向かっていた。
商店街の東口を通り過ぎ、役場まで目と鼻の先と言える距離まで迫った時、
それは始まった。
商店街から立て続けに銃声が響き渡った。しかも一向に収まることなく、断続的に続いている。
それが意味するところは素人の雪菜や月影らにも明白だった。
複数人による大規模な銃撃戦。それがほんの100m程度しか離れていない至近距離で行われているのだ。
「み、みなさん大丈夫ですか!?」
「何てことだ。これは、かなり近いんじゃないんですか」
建物の陰に身を隠しながら、はすみと月影が呻く。
はすみは勿論のこと、危険人物である月影も、銃弾の飛び交う中に身を置いた経験などない。
動揺を隠すことはできなかった。
その様子を見て、天原は思考を巡らす。
(挙動から推測できてはいたが、この2人はやはり戦闘経験は少ないか。
信用はできない相手だが、こんな状況で余計なことをするほど愚かでもないはずだ)
幸いこの付近に着弾は無い。天原は決断した。
「流れ弾はこちらには来てません。今のうちに役場に逃げ込みましょう」
■
役場1階のロビーに4人がなだれ込む。ひとまず銃撃に巻き込まれる心配は無くなったが、まだ危険は続く。
ここにはかなりの数のゾンビが蠢いていた。
地震の対応の為に集まった役場職員や、救助を求めに訪れた村民だろう。
見たところ殺害された、もしくは拘束されたゾンビはいない。
つまり、特殊部隊や危険人物などはまだ訪れていない、と天原は判断する。
ロビーにはブルーシートが敷かれ、その上に救急用具や非常食、古着に毛布などが置かれていた。
地震発生直後、防災担当の楯山総務課長が指揮を執り、
家を失った住民や避難所に配布する為集めたものだ。
その総務課長も、今や敢えなくゾンビとなり廊下を彷徨っている。
侵入者の存在を感知するゾンビ達。だが、彼らが動き始めるより前に天原が先に動いていた。
「ゾンビを無力化します。そこで待っていてください」
制圧を開始する。商店街で戦ったゾンビのように、人並み外れた巨体であったり、武器を持ったりしている者はいない。
これなら、話は早い。
男のゾンビを足払いや投げ技で次々と倒し、
ブルーシートの上に合ったシーツをロープ代わりに使い拘束、
力が弱く体重も軽い女や子供のゾンビは、まとめて部屋に押し込んでそのまま封鎖する。
体術のみでの制圧に見せ掛けてはいるが、実際は『細菌殺し』の異能も併用しているからこその迅速な処理である。
格闘技や制圧術の心得があれば、天原が何かトリックを使っていることに感づいたかもしれないが、
そういったものが無い月影とはすみの眼には、
天原が恐ろしいほどの手際でゾンビの群れを片付けていくようにしか映らなかった。
はすみが思わず感嘆する。
「なんか凄いわね~。君、中学生くらいでしょ?」
「こんな年ですが、多少訓練を受けています。
こんな状況ですので、僕の指示に従ってくれませんか」
ただの中学生と言うには無理がある言動をしていることは天原も自覚していた。
ここは少し素性を明かした方がかえって良いだろう。
自分がプロだと認識したなら、目下の危険が去るまでこの2人は安易な行動には移らないはずだ。
「天原君! 誰か来た!」
その時、外を警戒していた雪菜が声を上げた。
雪菜が見ている方向に目を向けると、
古民家群の路地裏を、2人の女性がまっすぐこちらに向かって駆けてきていた。
そして、その1人は、はすみが決して見誤ることはない人間だった。
「うさぎ!! それに…… ひなたちゃん!!」
「――なんですって!?」
月影が思わず叫ぶ。
密かに策謀を重ねて来た吸血鬼、その思惑を覆しかねない2人の来訪だった。
■
袴田邸を出たひなたとうさぎは、
うさぎが召喚したイノシシの嗅覚を頼りに進み、
村を南北に走る道路に出た。
2人はそこで、異様なものを見た。
眉間を撃ち抜かれた、痩せた青年男性の死体が転がっている。
それから少し離れたところに、派手に飛び散ったおびただしい血痕に、赤色と肌色、灰色が混ざった何かがあった。
“それ”が何かを悟った瞬間、
うさぎは口を押えながら反対側の路肩に走り、胃の中身を一気に吐き出した。
「う、うさぎちゃん、大丈夫!?」
「すっ、すみませっ…… うえっ」
うさぎがこうなるのも無理はない。
それは、原形をとどめないほど破壊された人間の死体だったのだから。
その周囲の地面には、無数の弾痕が残っている。
つまり、この人間は、10発や20発ではとても足りないほどの無数の銃撃を受けて殺されたのだ。
死体を破壊し尽さなければ晴らせない程の恨みをこの人間に抱いていたのか、
あるいは死体の損壊自体に何か快感でも見出したのか。いずれにしろ正気の沙汰ではない。
うさぎを落ち着かせると、ひなたは生理的嫌悪感に耐えつつ、その死体に近付き始めた。
正直なところ、見なかったことにしてここを離れたい。だが、やらなければならないことがある。
「ひ、ひなたさん…… 何する気ですか?」
「この人が誰か確認しないと。知り合いかもしれないし。
うさぎちゃんは先に行ってはすみさんを追って」
うさぎの召喚したイノシシははすみの臭いに反応した様子を見せていないので、
はすみや月影ではないとは思うが、所詮は動物のやることである。
それに、袴田邸で一緒だった誰かの可能性もあるのだ。
「は、はい…… 任せてしまってすみません……」
うさぎは何とか立ち上がると、イノシシと共によろよろと道の先に向かっていった。
すぐにでも離れたい気持ちを抑えながら死体を見聞すると、人間の頭らしいものが目に入った。
特徴的なパーマの掛かった茶髪から、自分の知り合いではないと判断。
(誰かは知らないけど、何もしてあげられない。ごめん)
手を合わせると、踵を返してうさぎを追う。
そう離れていないところに、更に別の死体があった。
男の警察官だ。こちらは後頭部を撃ち抜かれて死んでいる。
(この人って…… 銃キチ警官?)
この警官――薩摩圭介は、猟友会でも悪名高い男であった為、
他人の顔と名前を覚えることが苦手なひなたも彼のことは知っていた。
ヒグマ対策に手配したライフルが猟友会に届いたとき、
どこからかそれを聞きつけた彼が一升瓶片手に猟友会を訪れ、
内緒でライフルを撃たせてくれなどとのたまい、
滅多なことでは怒らない六紋名人が本気で一喝したと聞いた。
そのまま通り過ぎるつもりだったが、ふと閃くものがあった為、
死体の周辺を少し見渡してみる。
すると思った通り、彼が使っていたであろう拳銃が落ちていたので、回収する。
予想される危険人物との遭遇を考えれば丁度良い武器だ。
そして。これが噂通りの『銃キチ』の物なら、弾も持っているはず。
改めて薩摩の死体を見ると、上着やズボンのポケットが不自然に膨らんでいた。
探ってみてば予想通り、呆れるほどの数の銃弾がそこにあった。
さすがに全部は持てないので、ひなたは弾薬ケースを2つだけ貰っていくことにした。
「ごめんなさい。これ、使わせてもらいます」
ひなたは薩摩に一礼すると、改めてうさぎを追った。
放送室の前で、ひなたはうさぎに追いついた。
「ごめん、待たせた! はすみさん見つかった!?」
「すみません、ウリヨちゃんがこの先って言ってるんですが、まだ…… あっ、ウリヨちゃん!」
召喚時間が終わり、イノシシの姿が消えていく。
これで2人ははすみの後を追う手段を失った。
ここで見つけられなければまずい。
イノシシが最後に示した道の先、役場方面に目を向けたその時。
その方向から、銃声が響いた。
「っ!!」
ひなたは息を呑んだ。
距離は遠く、流れ弾の心配は恐らくない。
だが、このままはすみを追跡するなら、否応なしに射撃元に近付くことになる。
どうすべきか、と躊躇していると、隣のうさぎが叫んだ。
「……お姉ちゃんっ!!」
「えっ!?」
「はい! 役場の前っ!」
そう言われて気付いた。
何人かが、恐らくは銃撃から逃れようと、役場に駆け込もうとしている。
顔を判別できる距離ではない為、ひなたには分からなかったが、
うさぎはその内の1人がはすみであると直感的に気付いていた。
「はすみさんいたの!?」
「はい! 役場に入っていきました!!」
「分かった。道路は危ないから、こっちの路地裏を行こう。
一気に走り抜けるから頑張って!!」
「は、はいっ!」
2人は役場に向かい、古民家群の端の小道を駆けはじめた。
■
ひなたとうさぎの姿を見た月影は狼狽した。
(あの2人、何故ここに。まさか恵子さんを見つけたのか?
そうであったとしても、私達がここにいることを何処で知った!?
幾らなんでも早すぎる…… それに……)
「犬山さん、あの2人は?」
「天原君、あれはさっき話した、烏宿ひなたさんと私の妹のうさぎです!
危険な人じゃないです! 入れてあげてください!」
天原とはすみのやり取りを横目に、月影は歯噛みする。
はすみは自分の眷属になり、自分に都合の良い価値観に基づいた言動をするようにはなったが、
他人への献身や妹に向けた情愛といった本質部分は変わっていない。
袴田邸で行った隠蔽工作のことを忘れているのか、
そのまま迎え入れろなどと言っている。
自分一人だけ反対すれば、天原と雪菜は当然何故かと追及してくるだろう。
――それに、自分自身も、この場で本気で2人の麗しき乙女を切り捨てる覚悟があるかというと、
正直なところ迷いがあった。貪欲な吸血鬼は自分の欲望を捨てきれない。
「私からもお願いします。彼女達を助けてあげてください」
「月影さんっ……!」
そう申し出る月影に、はすみが感激の眼差しを送る。心地良い快感に気分が高揚すると共に、月影は腹を括った。
天原と雪菜が入口のガラス戸を開く。
その数秒後、ひなたとうさぎが飛び込んできた。
「お姉ちゃああああんっ!!」
「ちょっ、うさぎ!?」
その勢いのまま、うさぎははすみの胸に飛び込み、ひしっと抱きついた。
それは、姉と妹と感動的な再会、のようにも見えたかもしれない。
だが、その瞬間。
「ーーーーっ!?」
電流のような刺激が、はすみの神経を貫いた。
■
吸血鬼の傀儡に堕ちたはすみは、袴田邸で月影に護符を近づけられた時に判明したように、
聖なる力に対し拒絶反応を起こすようになっていた。
そんな彼女が、怪異に汚染されていない純粋な犬山の血を宿すうさぎと抱き合うなどしたらどうなるか。
全身に回った吸血鬼の血が苦悶の悲鳴を上げ、全身の痛覚がそれに反応する。
その苦痛から逃れようと、はすみの身体が反射的に動き――
うさぎを、思い切り、突き飛ばした。
「お、姉ちゃん……?」
尻餅をついたうさぎは、困惑の眼ではすみを見上げていた。
「え…!? うさぎ……? え、えっと、私……」
そしてはすみの方も、何故自分がこんなことをしてしまったのか分からないと言った様子で眼を泳がせていた。
そこに、顔面蒼白となった月影が割り込む。
「だ、駄目じゃないですかはすみさん! そんな乱暴な!
うさぎさんも! 気持ちは分かりますが他人に勢いよくぶつかりすぎです!!」
その月影の言葉を聞いて、うさぎは自分がはすみを傷つけてしまった可能性を悟った。
「そ、そっか。どこか変なところに当たっちゃったんだよね。
ごめんなさい、お姉ちゃん」
「い、いや、手が出ちゃった私も悪いですし~。
私を心配しててくれたのに、こんなことになっちゃって、こっちこそ本当にごめんなさいっ」
姉妹は自分の非を謝罪しあうと、互いに微笑みあった。
そう、これは事故。どちらが一方的に悪いというものではない。
お互いこれからは注意しようね。仲良し姉妹の間では、もう、これで終わり。
だが、はすみが、倒れたうさぎを立たせようと手を差しのべることはなかった。
2人の様子を見て、月影は安堵の息を吐いた。
(なんとか誤魔化せたか。今のは本気で冷や汗を搔きましたよ。
ですが、むしろ本番はこれからか。ああ、本当に勘弁してほしい。胃が痛む)
天原と雪菜、はすみと自分の双方を観察しながら、
何かを言いたげにしているひなたの様子を見て、月影は溜息を付いた。
■
場の空気が落ち着いたところで、初対面の天原・雪菜とひなた、うさぎがそれぞれ簡単に自己紹介する。
それがひと段落すると、月影の推測通り、ひなたが口を開いた。
「月影さん。それにはすみさんもいいですか。私達、これ見ました」
取り出したのは、はすみが袴田邸に残した書置きであった。
「恵子ちゃんと一緒に宇野さんって人のとこに行くって書いてますよね。
でも、私たちはあの家で見ました。恵子ちゃんが殺されてるのを」
全員の間に再び緊張が走った。
「恵子さんが…… 死んでいたですって?」
月影は、さも今初めて知ったかのように答えた。
「何でこれを書いたのか、正直に答えてくれませんか?
私はてっきり、恵子ちゃんを殺した危険人物がはすみさんを脅して書かせたと思ったんですけど。
そこのお2人はそんな人じゃないみたいですし」
「え、え~と、それは……」
「はすみさん、そこは私から説明します」
正念場が来た。はすみに余計なことを話すな、と視線で合図を送ると、
月影は深呼吸し、語り出した。
「まず、農家の宇野さんが来たことは本当です。
ひなたさんや哉太君達を待ってもよかったのですが、
緊急を要するとのことでしたので、書置きを残し、
私とはすみさん、恵子さん、宇野さんの4人で袴田さんの家を出ました」
のっけから大嘘だ。はすみが変なことを言い出さないかと心配したが、
こちらの意図を受け取ったようで、特に反応も見せず黙っている。
まずは幸先良し。
「ですが、数分ほど歩いたところでしょうか。
私とはすみさんが、ふと目を離した隙に……」
ここで、言い淀むような仕草。そして、自分でも信じられない、という声色で。
「恵子さんと宇野さんの2人が『消えた』んです」
その言葉には、ひなたはもちろん、傍で聞いている天原と雪菜も眉をひそめた。
「信じられませんか。まあ、当然ですね。
ただ、思い当たる節はありました。
実はですね、私は、VHが始まってから明け方まで、宇野さんと同行していたのです。
ですが、ある時宇野さんは、もう一人同行していた女の子……リンというのですが、
その子と一緒に消えてしまいました。
あの時は、単にはぐれただけかと思っていましたが」
「…………」
聞き手のひなたは、厳しい顔を崩さない。
「宇野さんに悪意があるのか無いのか、その時の私達には判断が付きませんでした。
とにかく宇野さんの家に行ってみようと、彼の住所を調べにここに来たわけです。
一刻を争う恐れがあることも考えると、
戻って書置きを直すという発想には至れませんでした。
でも、まさか恵子さんが…… 彼女を守ることが出来ず、申し訳ございませんでした」
そういって月影は頭を下げたが、ひなたの表情は変わらない。
「…………それを信じろっていうんですか、月影さん」
「事実がこうなのですから、こればかりは信じて下さいとしか言えません。
そうですね、はすみさん」
ここで、はすみに話を振った。
「そうね。例えばひなたちゃん、私たちは言葉を話して、しかもワニと合体したようなヒグマと戦ったけど、
何も知らない人がそんなこと聞かされても、とても信じられないでしょ?」
「それはまあ、そうだけど……」
「恵子ちゃんのことは本当に残念だけど、今は私に免じて信じてちょうだい。お願い」
そう言ってはすみは頭を下げた。
その時、商店街から大量の紫色の煙が立ち上がりはじめた。
続いて、何か重量物が激突したような音が響く。
これ以上時間は取れない、と判断した天原は3人の話を遮る。
「そこまでにしましょう。まずは上に行って、外の戦いの様子を見ます。それでいいですね?」
ひなたは納得できないという感情を隠そうともせず、憮然としているが、
状況が分からないわけではない。黙って首を縦に振った。
救急用具ほか、ロビーにある使えそうなものも幾つか回収し、6人は移動を始めた。
移動の途中、月影は再びひなたに声を掛けた。
「……ああ、最後に一つだけ聞かせてください。ひなたさん。
恵子さんはどのように亡くなられていたのですか?」
ひなたは一瞬考えた後、答えた。
「……血を吸われて、殺されたみたいだった」
「血を吸われて? 刺されたとか撃たれたとかではなく?
それはまた、奇妙な」
月影は軽く合点がいかぬ、という仕草をして、そこで話を打ち切った。
(何とか、首の皮一枚繋がりましたか)
月影も、自分の言い訳に無理があるところは承知していた。
早朝に起こった宇野とリンの不可解な消失から適当に話をでっちあげ、
後ははすみの善性を盾にして信用させるしかなかった。
幸い、はすみのフォローも完全なアドリブにしては上出来だった。
あのタイミングで天原に話が止められたのもこちらにツキがあった。
そして、ひなたとの最後のやり取り。
ひなたの方から非現実的な言葉を出させることで、
月影達の言い分が実は本当なのかもしれない、という疑念が彼女の中で起きることを期待した。
今できることはこのくらいだろう。
無論、ひなたから、そして天原・雪菜から自分に向けられている疑念が健在であることは承知の上。
長くは誤魔化しきれまい。どこかで勝負に出ねばなるまい。
吸血鬼は、チャンスを待つ。
その態度に現れている通り、ひなたは月影をまだ疑っている。
自分が敢えて口に出さなかった情報もある。例えば袴田邸の地下の状況。
恵子の死体を隠すかのように配置が変えられていたが、
部外者の宇野に、そんなことをする余裕があったとは思えない。
相手が月影一人だったら、もっと強く問い質していただろう。
だが、はすみの存在がノイズになっていた。
実妹であるうさぎはもちろん、ひなたもはすみは信用できる大人と認識していた。
ただでさえ近場で戦いが行われている現状、
その善人の擁護を押しのけてまで、2人を追及するつもりにはなれなかった。
まさかはすみが吸血鬼の傀儡に堕ちているとは夢にも思わない。
はすみが自らの『敵』であるという正解に辿り着くことができない。
「鳥宿さん」
「あっ、へっ?」
色々考えている最中に突然声を掛けられたので、間抜けな声が出てしまった。
声を掛けてきたのは、今初めて出会った男の子。
「ん、えーと、天原君だっけ? なに?」
「つかぬことをお聞きしますけど、もしかして、鳥宿暁彦さんの娘さんですか?」
「そうだけど? え、もしかしてキミ、お父さんの知り合い?」
「……まあ、そんなものです。変なことを聞いてすみません」
(この人が、鳥宿暁彦の……)
自分の記憶を奪った因縁の相手。その娘が目の前にいることが、天原創にはなんとも信じられなかった。
(それにしても、何というか、イメージと全然違うな)
鳥宿暁彦の、全てを焼き尽くさんとする焔のような瞳が、天原の記憶には焼き付いている。
だが、目の前の鳥宿ひなたはというとだ。
新種を発見したというから研究者肌、下手すればマッドサイエンティストのようなタイプかと予想していたが、
山登りの装備に身を包み、ライフルを背負ったその姿は、まるで猟師だ。
先ほどの月影とのやりとりからも、真っ直ぐで嘘が付くことが苦手な、正義感の強い少女という印象を受けた。
鳥宿暁彦とは完全に真逆と言っていい。
(何にせよ、状況が落ち着いたら鳥宿暁彦について知っていることを聞き出してみよう)
――最も、実際のひなたには相当マッドなところはあるのだが、初対面の創がそこまで読み取ることはできなかった。
■
6人は役場2階、北側に面した執務室に入った。
商店街の戦闘は激化しているようで、先ほど聞こえた重量の激突音が何度も響いている。
「僕が様子を見ます。絶対に窓から上に頭を出さないでください」
天原はそう言うと、誰かの机の上にあった卓上ミラーを手に取り、窓際に身を寄せると、
手にした鏡を窓に伸ばし、戦場の様子を写し見た。
「見えました。複数名が、先ほど発生した煙のやや東で戦ってます。
防護服を着た1名と、村人何名かが戦っているようです。
防護服を着ているのは特殊部隊かと」
「村人で誰が戦っているかは分かりますか?」
「商店が影になってて、顔などは分かりません。
ですが、戦闘力のある者が複数いるのは確かです」
特に目に付くのは、特殊部隊と同じ防護服を着た人間だ。
肉体強化の異能でも持っているのか、人間離れした力で大暴れしており嫌でも目に入る。
それも、暴力だけではなく、特殊部隊級の戦闘技術まで持ち合わせている。
相手の特殊部隊員と同じ防護服を着ているのが気になるが、
まさか特殊部隊が組織を裏切るということはあるまい。
自分と同じエージェントが、肉体強化の異能を得て、
別の特殊部隊員を倒し、装備を奪ったと考えるのが妥当だろうか、
「じゃあ、特殊部隊は倒せそうなの?」
ひなたが多少の期待を込めて問いかける。だが、天原は厳しい顔を崩さない。
「……どうでしょうか」
防護服を着た人間の他に、エージェント級の実力者があと何名かいるのは確かだ、
だが、村人側の動きに、どこか精彩を欠いた印象を天原は得ていた。
いくら特殊部隊相手とは言え、相手は一人。
しかも、殺害せずとも、防護服を壊すという選択もある中で、
いまだ仕留め損なっているなどということはあるだろうか。
その時、特殊部隊員が東に向けて一気に移動し始めた。
アーケード東口を出て、そのまま道路を越え、古民家群に入ろうとしている。
村人の集団もそれを追って道路に出る。
これで障害物がなくなった。村人の顔と人数を確認しようと、天原が目を凝らす。
そこに居たのは。
「山折圭介さんに、日野光さん!?」
思わず、驚きの声を上げてしまう。
上月みかげが『自分の恋人』と標榜していた人物と、クラスメートである日野珠の姉。
何の因果か、VH発生直後に合流していながら、早朝の混乱で離れ離れになってしまった2人の縁者の姿があった。
さらに驚くべきは、山折圭介の傍らに立つ青髪の女性。
(師匠……!)
『最強』のエージェントであり、自分の師匠、青葉遥がそこに居た。
「圭介君に光ちゃんがいるの!? ちょっと見せてもらえる!?」
そう言って、はすみが鏡を覗き込む。
「間違いない、あの2人だわ。それに浅葱さんとこの碧ちゃんまで!
なんて無茶を……」
はすみは呆然となって天を仰ぐ。
(それにしても、師匠がいるなら猶更不自然だ。
相手も確かに超一流だ。だが、師匠とあの防護服の人。
この2人で連携を取れば……って、え?)
その光景を見て、思わず天原も目を丸くした。
村人側の戦力の一角である防護服の人間が、
突如電池が切れたかのように倒れ込んだのだから。
誰しも必ず体力切れは起こすものだ。だが、プロ級の戦闘技術を持つ人間が、こんな状況でこんな倒れ方をするだろうか?
その直後、その彼か彼女かの胴体は特殊部隊の狙撃で撃ち抜かれた、
その弾丸はそのまま後方に飛び、日野光の肩を砕いた。
(光さん……っ! ……えっ!?)
その光景を見た時、天原は恐ろしいことに気付いた。
「ああ! 光ちゃ……!」
悲鳴を上げかけたはすみの口を抑えながら、今自分の見たものを反芻する。
日野光の眼には、意志の光が宿っていなかった。
(――まさかっ!!)
その予感は的中した。
見れば、赤髪の少女・浅葱碧も、そして、師匠の青葉遥も、意志を失ったゾンビでしかなかった。
「……なんて、ことだ……」
全てを察した天原は思わず呻いた。
村人側で正気なのは、山折圭介ただ一人だけ。
師匠は今、間抜けにも弾切れした銃の引鉄を引き続けている。
浅葱碧はまだ戦っているが、指揮しているのが素人の圭介なら、最早結果は見えている。
「ど、どうしたの、天原君」
異変を察した雪菜が声を掛ける。
「……防護服の人だけは確認できませんでしたが、
圭介さん以外の、光さん達3名はゾンビでした。
……多分、圭介さんが異能で彼らをコントロールしていたのかと」
その言葉を聞いて、うさぎが声を上げた。
「それって、圭介くんが光ちゃん達を操ってるってこと!?」
「恐らくは」
「そんな……」
うさぎは、早朝に会った時の2人の様子を思い出す。
当時は状況が状況だったため気に止めなかったが、
光はほとんど反応を見せず口も開いていなかった。まさかゾンビだったとは。
もう、何の言葉も出すこともできなかった。
■
ターン。…………ターン。
戦いの終わりを告げる2つの銃声が、やけに軽く響き渡った。
天原は鏡を下ろすと、そのまま俯いた。
その様子から、最早結果は明らかであったが、はすみが声を絞り出した。
「あ、天原君、どうなったの?」
「……村人側の敗北です。山折圭介さんと青髪の女性は敗走。特殊部隊は彼らを追っています。
役場に入ってくる様子は、ありません」
「……光ちゃんと碧ちゃんは?」
「……残念ですが……」
執務室の中を、重苦しい雰囲気が包む。
見かねて、今まで黙っていた月影が声を上げた。
「皆さん。厳しいことを言うようですが、終わったことはどうしようもありません。
今は我々が生きることを考えなければ。
特殊部隊がこちらに気付いていないなら、逆の方向に逃げることは出来るんじゃないですか」
「月影さん、それは、圭介君を見捨てるということですか」
「はすみさん。分かるでしょう。今はそんなことを言っている場合ではないことを」
月影は、はすみの力のない言葉にきっぱりとNOを突き付ける。
うさぎ、はすみ、ひなたは、知り合いの死によるショックに加え、
そして圭介のゾンビ部隊という戦術――
村の為の必要な犠牲とも、逆に村人への背信とも取れる所業を、
どう受け取っていいのか分からず、黙りこくっていた
雪菜だけは、じっと考え込んでいる。
「意見が無いなら、私が決めます。役場を脱出し、特殊部隊からできるだけ離れ……」
「いえ、ここは討って出るべきです」
誰かがぼそりと、だが力強く、呟いた。
雪菜が、はすみが、月影が、ひなたが、うさぎが。はっと顔を上げ、
その声の主……天原創の顔を見た。
天原の眼には決意の炎が燃えていた。
■
「天原君…… 君は何を言っているのか分かっているんですか!?」
月影が思わず声を荒げるが、天原は表情も変えず応える。
「はい。まず、圭介さん達が負けたのは、個々の力を扱いきれなかったのが原因です。
ですが、こちらには特殊部隊にとって初見殺しとなる異能が、6人分も揃っている。
それを組み合わせれば、十分に勝機はあります
それに、あちらも勝ったとはいえ、あんな人数相手に立ち回った後だ。
疲労もしているはずです。
何より、これ程の銃撃戦を行ったにも関わらず、応援の来る気配がない。
つまり、他の隊員は近くにいないということです。
こんなチャンスはもう無いと僕は思います」
「……相手はあの人数に相手にも勝てる、特殊部隊ですよ。それが分かって言っているんでしょうね」
「あの」
雪菜が手を上げた。
「天原君は、さっき商店街で、特殊部隊とも渡り合っていました。
それに、逃げ回っていても追い詰められるだけ。
生き残る為には、どこかで戦わなきゃいけない。そうですよね」
そう言って、雪菜は天原に微笑みかけた。
(……ありがとう、哀野さん)
天原も心の中で雪菜に感謝する。
「皆さん。矢面に立つのは僕だけで構いません。
なんなら、僕が戦っている間に逃げてもいい。
ただ、この戦いの準備だけは全面的に協力してほしい。お願いします」
そう言って、天原は他の5人に向かって頭を下げた。
「……分かった。賛成」
まず手を上げたのは、ひなただ。
「……そうね。光ちゃんと、碧ちゃんを殺した相手を、このままにしてはおけないかな」
「……うん」
続けて、犬山姉妹も手を上げる。
(…………)
月影は悩んでいた。逃げるべきだとは思うが、雪菜の言うことも確かなのだ。
幾ら逃げたところで、特殊部隊の数を減らさねば残った村人も次々と殺害され、いずれ自分も追い込まれる。
そもそも、自分も天原を特殊部隊にぶつけるつもりではあったのだ。
「……分かりました、やりましょう」
その時が来たのであろう、止むを得まい。月影も腹をくくった。
■
時間がないため、迅速に作戦を立案する。
まずは特殊部隊に有効と思われる武器の選定が行われた。
「相手は凄腕の銃使いのようでした。
できれば接近戦を挑みたい。ナイフみたいなものはありますか?
「う~ん、じゃあ、これは使えますかね~」
はすみが取り出したのは、柳葉包丁だった。
「包丁ですか。すみませんが、これでは防護服は破れないと思います」
月影とはすみが目を合わせた。
「すみません、ちょっとお待ちを」
2人は部屋の隅に行き、ぼそぼそと何かを相談すると、戻ってきた。
「じゃあ、はすみさん、お願いします」
「はい。じゃあ、行きます」
はすみは包丁に使って、異能を使用した。
「はすみさん。これは?」
「私の、物体を強化する異能です。……ふぅ~~」
壁に試し斬りをしてみると、確かに、強度や切れ味が大きく上がっている。
防護服を軽々切り裂く、とまでは行かないが、
力を込めれば破れるだけの力はありそうだ。
「これならいけそうです。ありがとうございます、って、大丈夫ですかはすみさん!」
はすみはぐったりと倒れていた。
「天原君、彼女の異能は生命力を消費するのです。
私の異能は次の戦いには役に立ちそうにないので、彼女を介抱します。
後はよろしくお願いします」
そう言うと、月影ははすみと共に執務室を出ていった。
■
(ふう、なんとかなりましたね)
隣の休憩室にはすみを寝かせながら、月影は息を付いた。
はすみの異能は、強化に加え、怪異への特効を持たせるものだが、
吸血鬼の眷属となったはすみが使用し、能力がそのままだった場合、最悪自爆する恐れがある。
そこで、包丁に異能を使う前に、普通のボールペンにほんのわずかにだけ異能を使わせてみた。
結果、拒絶反応が起こらなかった為、異能の使用を許可した。
はすみ本人の談によると、『吸血』の効果に変質したらしい。
自分が吸えるわけではないので、月影本人にとっては魅力的な効果ではないが、
対特殊部隊としては有用な効果だろう。
「まあ、本当に頑張ってください。
君が特殊部隊員を倒すことを、掛け値なしに期待していますからね、天原君」
吸血鬼は静かに笑った。
■
執務室では、まだ作戦会議が続いていた。
「鳥宿さん、そのライフルは使えますか?」
「ごめん、もう弾は無いんだ。でもこっちは使えるよ?」
と、薩摩から回収した拳銃を見せる。
「残念ですが、そのタイプでは防護服は破れないと思います」
「……弾を加速させたらどうかな?」
「弾を加速?」
ひなたは、自分の異能で弾丸を加速させ、ヒグマを撃退したことについて話した。
「……なるほど。
でも、どのくらい加速するか分からないから何とも言えません。
やるにしても、本当に最後の手段にしてください」
「うん、分かった」
「……そろそろ、やることやったかな」
ひなたが声を付く。
あまり時間をかけると圭介が危ない。もうそろそろ限界だろう。
「……すみません、皆さん。僕の我儘に突き合わせてしまったかもしれない」
突然、3人に向かって創が頭を下げた。
「どういうこと?」
ひなたが訝しむ。
「僕は、特殊部隊に不覚を取り、スヴィア先生を攫われました。
そして今、光さん―― 僕のクラスメート、珠さんのお姉さんを、
目の前で死なせてしまった。
勝ち目がある、というのは決して嘘じゃないけど、
もしかしたら、僕の恨みに付き合わせてしまったんじゃないかって」
(――それに、師匠を助けに行きたい、という気持ちも、正直、あるかもしれないんだ)
と、3人に向かって詫びる。
「そんなことーー」
「じゃあ、やっぱり勝たなきゃいけないよね」
きっぱりと言い切ったのは、雪菜だった。
「その、珠さんって人は、まだ生きてるかもしれないんだよね。
悪いと思ってるならこそ、天原君は生きなきゃいけない。
死んじゃえば、謝ることもできないんだよ」
「……哀野さん」
「だからさ」
そう言って、雪菜が天原の左腕を掴んだ。
力が沸いてくる。雪菜が、親友から受け継いだ異能『線香花火』により、
身体能力が活性化していく。
さっき、傷を治したものとはケタ違いの力だ。
「勝って。生きて帰ってきて。
自分の為にも、謝らなきゃいけない人の為にも。
君に私と同じ間違いはしてほしくないんだ。
『……私は、謝ることが出来なかったから』」
何故か、最後の言葉だけ、もう1人の声が重なったように聞こえた。
■
雪菜、ひなた、うさぎは天原を見送ると、執務室に戻った。
「じゃあ、さっき話した通り、天原君が危なくなったら最悪私も行くから。
もし私までダメだったら、うさぎをお願いーーって、哀野さん!?」
雪菜が、ばったりと倒れ込んでいた。
「ちょ、大丈夫ですか!?」
「……ごめんなさい、天原君には黙ってたけど、これ、かなり消耗する異能なの」
「はすみさんと同じってことか。じゃあ、栄養補給して安静に……って、ちょちょちょいとお!!」
ひなたが、素っ頓狂な声を上げた。
「よく見たらキミ、傷だらけじゃん! 切り傷だらけで! スカートもこんなに破けちゃって!
あと、この肩とお腹の傷とか、何!?」
「えと、こ、これは、銃で撃たれて……」
「はああぁ!?」
雪菜の視界が、ひなたの顔のどアップで埋められた。
「あーもう! 消毒だけでもやんないと! うさぎちゃん、手伝って!!」
「は、はいっ!」
ひなたとうさぎがワタワタと手当の準備をし出す。
(ああ、本当に、私も無駄にカッコつけすぎちゃってたのかな)
その2人の姿を見て、雪菜は、少し自分を反省した。
雪菜の手当をしている途中、ひなたは気付いた。
新しい傷とは別に、至る所に古い傷や火傷の跡がある。
そしてひなたは、それと同じような傷を見たことがあった。
(恵子ちゃんと、同じだ……)
ただ、恵子と雪菜には明確な違いがあった。
それは眼だ。雪菜は、例え一人でも生きていこうという強い瞳をしている。
恵子も、自分自身で立つことが出来るようになれたなら、この子みたいになったのかな、
と、なんとなく、思った。
うさぎは、ふとはすみのことを思い起した。
役場でのあの不可解な衝突。仲直りした態度を取ってはいたが、
その後も、明らかに自分とどこか距離を置いている。
……何よりも、あの眼だ。
自分を突き飛ばしたとき、彼女の眼にあったのは、困惑、そして恐怖と嫌悪だった。
あんな眼をしたはすみは見たことが無かった。
神社の巫女と、吸血鬼の下僕。姉妹でありながら、今の2人は水と油、N極とS極。
互いに情愛を抱きながら、決して混ざらず、反発し、傷つけあう存在となっていることを
今のうさぎは知る由もない。
「……お姉ちゃん」
誰に聞かせるということもなく、うさぎはぽつりとつぶやいた。
■
(ごめん、珠さん。俺、君のお姉さんを守れなかった)
天原創は、今どこにいるかも分からない友人に詫びていた。
(泣かれるだろう。殴られてもいい。君の悲しみを癒すためなら何だってする。
それだけしかもう、俺にはできないから)
(だから、生きていてほしい。例え何があったとしても。
俺も生きる。生きる為に、目の前の敵を倒してみせる)
無力な己に対する怒り。
友人の姉を死なせた無念。
恩人を拉致し、殺しを続ける特殊部隊への恨み。
師匠すらゾンビに堕ちたという絶望。
そして、それでもなお、自分を信じてくれている者達の祈り。
それら全てを冷徹さに変え、最年少エージェント・天原創は死闘に臨む。
「――落とし前は付けてもらうぞ、特殊部隊」
【F-6/役場1階・ロビー/一日目・日中】
【
天原 創】
[状態]:異能理解済、記憶復活(一部?)、犬山はすみ・月影夜帳への警戒(中)、異能『線香花火』による肉体活性化
[道具]:???(青葉遥から贈られた物)、ウエストポーチ(青葉遥から贈られた物)、デザートイーグル.41マグナム(3/8)、柳刃包丁(強化済、吸血効果・神聖弱点付与)
[方針]
基本.パンデミックと、山折村の厄災を止める
1.特殊部隊員(成田三樹康)を倒す。
2.スヴィア先生を取り戻す。
3.スヴィア先生と自分の記憶の手がかりを探す。
4.月影夜帳らからの情報はあまり信頼できないが、現状はそれに頼る他ない。
5.珠さん達のことが心配。再会できたら圭介さんや光さんのことを話す。
6.「Ms.Darjeeling」に警戒。
7.烏宿ひなたから烏宿暁彦について知っていることを聞きたい。
8.ゾンビ化した師匠が気に掛かる
※上月みかげは記憶操作の類の異能を持っているという考察を得ています
※過去の消された記憶を取り戻しました。
※山折圭介はゾンビ操作の異能を持っていると推測しています。
※他にも雪菜、ひなた、うさぎの異能による支援を受けているかもしれません。
詳細は後の書き手にお任せします。
【F-6/役場2階・執務室/一日目・日中】
【
哀野 雪菜】
[状態]:異能理解済、強い決意、肩と腹部に銃創(簡易処置済)、全身にガラス片による傷(簡易処置済)、スカート破損、二重能力者化、月影夜帳への不快感(大)、犬山はすみへの不信感(大)、異能『線香花火』使用による消耗
[道具]:ガラス片、バール、
スヴィア・リーデンベルグの銀髪
[方針]
基本.女王感染者を探す、そして止める。
1.絶対にスヴィア先生を取り戻す、絶対に死なせない。絶対に。
2.天原さん、生きて帰って。
3.月影夜帳の視線が気持ち悪い。何か、品定めしているみたい……。
4.犬山はすみはまるで昔の母を見ているようで何一つ信用できない。
5.烏宿ひなたと犬山うさぎを守る。
[備考]
※叶和の魂との対話の結果、噛まれた際に流し込まれていた愛原叶和の血液と適合し、本来愛原叶和の異能となるはずだった『線香花火(せんこうはなび)』を取得しました。
【
犬山 うさぎ】
[状態]:感電による熱傷(軽度)、蛇再召喚不可、困惑
[道具]:ヘルメット、御守、ロシア製のマカノフ(残弾なし)
[方針]
基本.少しでも多くの人を助けたい
1.どうしちゃったの、お姉ちゃん……
【
烏宿 ひなた】
[状態]:感電による全身の熱傷(軽度・手当て済)、肩の咬み傷(手当て済)、疲労(小)、精神疲労(中)、恵子を殺した人間に対する怒り、犬山はすみへの警戒(小)、月影夜帳への警戒(中)
[道具]:夏の山歩きの服装、リュックサック(野外活動用の物資入り)、ライフル銃(0/5)、銅製の錫杖(強化済)、ウォーターガン(残り75%)、拳銃、弾薬ケース2個、救急箱
[方針]
基本.出来れば、女王感染者も殺さずに救う道を選びたい。異能者は無理でもうさぎの召喚した動物の解剖がしたい。
1.天原と特殊部隊との戦いを見守る。状況によっては助太刀する。
2.生きている人を探す。出来れば先生やししょーとも合流したい。
3.……お母さん、待っててね。
【F-6/役場2階・休憩室/一日目・日中】
【
月影 夜帳】
[状態]:異能理解済、『威圧』獲得(25%)、『雷撃』獲得(75%)
[道具]:医療道具の入ったカバン、双眼鏡、不織布マスク、モデルガン、金槌
[方針]
基本.この災害から生きて帰る。
1.はすみと協力して、乙女の血を吸う
2.和義を探しリンを取り戻して、彼女の血を吸い尽くす。
3.はすみに和義の現住所を探させる。
4.天原創から哀野雪菜を引き離し、彼女の血を吸い尽くす。
5.天原創は自分や少女たちを守る為に利用する。
[備考]
※哉太、ひなた、うさぎ、はすみの異能を把握しました。
※犬山はすみを眷属としています。
※袴田伴次に異能『威圧』の50%分の血液を譲渡していましたが、彼の浄化に伴い、消失しました。
※犬山はすみに異能『威圧』の25%分の血液を譲渡しています。
※天原創の異能が強力な戦闘向けの異能だと思っています。
【
犬山 はすみ】
[状態]:異能理解済、眷属化、価値観変化、『威圧』獲得(25%)、異能使用による衰弱(大)
[道具]:医療道具、胃薬、不織布マスク、スタンガン、水筒(100%)、トートバッグ、お菓子
[方針]
基本.うさぎは守りたい。
1.夜帳さんの示した大枠の指針に従う。
2.女性生存者を探して夜帳さんに捧げる。
3.安遠真実のデスクから宇野和義の住民基本台帳を探す。
4.夜帳さんに哀野さん、ひなたさんを捧げたい。
5.天原くんの処遇は夜帳さんに任せる。
6.………………うさぎ。
[備考]
※月影夜帳の異能により彼の眷属になりました。
それに伴い、異能の性質が神聖付与から吸血効果・神聖弱点付与に変わりました。
※天原創の異能が強力な戦闘向けの異能だと思っています
最終更新:2023年12月12日 21:03