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霊夢3
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■霊夢3
前回書いた霊夢ものの続き2です。
あらすじはこの前の「まとめてエピローグ」にて紹介してしまったので目新しい部分は無いのが申し訳ないですが、
とりあえずお送りします。
第3話にあたる今回の話ですが、非常に長いです。
現在確認できているだけでも、このAパートからEパートまでの5話分以上は軽くかかることが確認されてます。
読んで下さる方、どうかお覚悟とご理解の程を。
あと、真面目なこーりんが好きとおっしゃっておられた239氏スマソ。こーりんの出番は今回望み薄です。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「号外ー、号外だよー。
幻想郷一早くて確かな真実の泉、『文々。新聞』の号外だよー」
幻想郷の冬の朝に、そんな声が響く。
寒さに負けじとばかりに響くその声とともに、ばら撒かれる新聞。
いつものごとく、天狗が書き連ねる真実の割合10%未満(推定)の新聞。
その新聞が、騒ぎの絶えない幻想郷の、今日の騒ぎの種火であった。
「これを読まないと、あなたに明日は無いよー」
元気な声とともに振ってくるその号外のうち、神社に落ちてきた一部を小さな手が掴み取る
「へぇ…これは面白いことになるかも♪」
そう言った声の主は、楽しそうに笑うと、その号外ごと薄れて消えた。
まるで、初めからそこに誰もいなかったかのように。
後日、とある関係者は言う。
「むしろあれを書いた奴と読んだ連中のせいで、俺は明日をなくしかけた」と…。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
今、俺は追われている。
「くそっ…なんだってこんなことに…」
どうにか、相手の猛攻から逃れ、今は神社のそばにある森の中にいる。
「あの目は…確実に殺る気の眼だったぞ…」
そう、「彼女」は本気だった。
「体勢を…立て直さないと…」
鍛えていたおかげで、体力にはまだ若干の余裕がある。だが精神的にはそうもいかない。
「次は…殺られる…!」
とにかく今は、生き抜かねば。
俺は、持っていた小太刀…を模した2本の木刀を握り直すと、両腕のリストバンドの内側に仕込んだ計3枚のスペルカードを
確認する。
そして呼吸を整え、そのまま「彼女」の動きを待った…。
こうなったのはあまりにも唐突だった。
というか…いや、マジで訳が分からん。
確か今日は妖夢に稽古をつけてもらってたんだよな…。
「せいっ…はぁっ!」
気合の声とともに振るわれる俺の木刀。
多少うぬぼれてもいいのなら、そのスピードは(俺の世界の)一般的なレベルに比べても、それなりの域に達していることだろう。
だが、そんな俺の剣を、目の前の相手はあっさりとかわし、捌き、いなしていく。
当然だろう。この幻想郷では、この程度のレベルではやっていけない。
冒険を始めたてのひよっこ戦士が、いきなり物語中盤から終盤のフィールドに放り出されるようなものだ。
考えてみればよく馬車にいるだけでレベルアップできるなあのゲーム。ああいうシステムが現実にもほしいよ。いや、マジで。
「ほら、剣筋が乱れてきてますよ! もっと集中して!」
「応!」
相手役である半人半霊、魂魄妖夢(こんぱくようむ)の叱咤が飛ぶ。
いかんいかん。今は真面目にやらねば。
冥界で、白玉楼という屋敷の庭師の仕事をしている彼女。そこの主である西行寺幽々子(さいぎょうじゆゆこ)の護衛でもある
二刀使い。
俺は彼女に無理を言って、たまに剣術の指導をしてもらっていた。
今日は忙しい中わざわざ時間をとってもらったんだ、この中で出来るだけ学び取らないと…。
しばし、風切り音と木刀の打ち合う音が、神社のそばの森に響く。
俺が事故でこの世界、幻想郷に迷い込んでからかれこれ一月と十日。
その間、俺は暇を見てはなるべく鍛えるようにしていた。
ここは基本的に弱肉強食の世界といえる。力が無ければあっさり妖怪に食われるし、だからこそ生き抜いている者の平均レベルが
非常に高い。
外の世界で凡人レベルだった俺は、つまりここでは最底辺ということで、もしも霊夢に神社で保護してもらってなかったら多分
とっくの昔に誰かの腹の中だったろう。
俺のようなケースは実は珍しく無いと、俺を最初に保護してくれたとある式神さんは言っていた。
で、おとなしく保護された人もいれば…錯乱した挙句飛び出し、お決まりのコース一直線だった人も…いた。
定員オーバーのために俺だけがここ、博麗神社に回されたが、幻想郷の台風の目とも言うべきこの神社。そのおかげで図らずも
多くの知り合いができ、妖夢のように親身になって協力してくれる人に合えたわけで、そういう意味では、俺はかなり運がよかった
といえる。
少なくとも、ただ護られるだけのお荷物ではなく、自分の身を自分で護れる程度の力を得る機会には恵まれたわけだから。
「はい、では今日はここまでにしましょう」
「押忍! ありがとうございましたーっ!」
ビシッという音でも聞こえてきそうな礼をする。と、妖夢がなにやら渋面をしている。
「…その体育会系のノリはどうにかなりません?」
「いやまあ、何と言うか、気を引き締めるというか…」
少し赤面し、頬を掻く俺。妖夢は苦笑して、
「いいですけどね。私もおじい様に学んでいた頃はあなたほどじゃないけどそんな感じでしたし」
「そういってくれると助かる。」
しゃべりながら木刀を片付ける。
ちなみに4本、俺と妖夢がそれぞれ2本ずつ使った。
もともと俺は一刀流だったのだが、どうにも違和感がぬぐえず、物は試しと妖夢の真似をしてみたら意外としっくりきたので
それからは二刀で通している。
もっとも妖夢のように「太刀」と「脇差」(…と言えばいいのか?)の二本なのではなく、どこぞの漫画キャラのような「小太刀」の
二刀流だ。
…そのせいで本当に剣術を学ぶというより「戦い方」を学ぶ感じが強くなった。まあ明らかに流派が違うし。
ちなみに、実際の剣道では二刀流は大学生以上しか許可されておらず、内訳も太刀と脇差(小太刀)の組み合わせだそうで、
小太刀の二刀流というのはどちらかというとスポーツチャンバラとかで見られるタイプなんだとか。
しかもこちらも正式な試合では太刀と小太刀の組み合わせが基本らしい。
…俺ってひねくれてる?
なお、俺が剣道を学んだのは学校の体育でのことなので、知識に誤りがあるかもしれない点に注意のこと。
「どうしたんです? いきなり押し黙って…」
「え? いやちょっとトリビアを…」
「?」
キョトンとする妖夢に、とりあえずお茶を濁す俺。
とはいえさして興味があったわけでも無いらしく、すぐ話が変わる。
「まあ、それはともかく。○○はこのあとどうするんです? 私は幽々子様のお世話があるので、一旦神社に顔を出したらすぐ
戻りますけど…」
「んー…、俺はとりあえず…霊夢の手伝いかな」
「そうですか」
「ああ、ありがとな、時間作ってもらって」
「いえ、私もいい修行になりました。人に教えるのって、自分でも基本を再確認することになるから意外とためになるんですよ」
「へぇー」
などと話しながら家路(?)につく。
神社では、霊夢がコタツに入ったまますやすやと寝ていた。
「コタツムリ…」
「あはは…」
幸せそうに惰眠をむさぼるその姿に、なんとなく苦笑する俺たち。
まあ、いつものことだし、俺が霊夢なら多分寝てたな、やっぱり。
「じゃあ私はこれで、霊夢によろしく言っておいてください」
「ああ。って、もう行くのか?お茶くらい飲んでったって…」
「気持ちだけいただきます。いい加減戻らないと幽々子様が「おなかすいたー」って言って暴れだしちゃうんで」
食欲王ユユコンガーZ恐るべし。その胃袋は鉄の城か?
「そういうことならしょうがないか…。分かった、じゃあまたな」
「ええ、では」
そういって冥界に帰っていく妖夢。
しばらく彼女を見送った後、俺は自分の木刀を袋に入れて背に負うと、ほうきを取り出して庭を掃き始めた。すると…、
「…見つけた」
上空から声がした。
「?」
見上げてみると、そこにいたのは…
「…あれ? 確か…アリス・マーガトロイド…だっけ?」
魔法の森に住む魔法使い、人間の魔理沙と違い、種族そのものが魔女。…まあ、魔理沙の話では正確にはほんの少し違うらしいが。
そのいでたちや、人形を用いた魔法を得意とすることなどから、ついたあだ名が「七色の人形遣い」
その彼女が、なにやら紙束のようなものを握り(潰し)つつ、上空からこちらを睨みつけるように見下ろしている。
…俺、何かしたか?
「久しぶりね、○○。…この前の宴会以来かしら?」
「ああ、そうだな…で、何の用だ? 霊夢なら…」
「いいえ、今日はあなたに用があってきたのよ、○○。来たときには見かけなかったからどこへ行ったのかと思ったけど」
応える彼女の声はやはりどこか怒りのようなものを孕んでいる。間違いない、怒ってる。
「ああ、今日は妖夢に稽古をつけてもらってたから…。で、…用件は?」
正直聞きたくないのだが、聞かないと話が進まないので聞く。
…ひょっとして、イエローゾーン?
「ええ…ちょっとごみ掃除をね」
「…はい?」
「思えばあの時排除しておけばよかった…。そうすれば魔理沙もこんな奴に…」
「あのー、話が見えないんですけど…」
「そう、白を切るのね。霊夢だけで飽き足らず、魔理沙まで…なのに…」
…いかん、これはイエローゾーンどころじゃない、これはむしろ…。
俺は持っていたほうきをその場に置き、背の木刀袋を確認する。
「あんたが…魔理沙を…」
「おーい、アリスー?」
ニゲローニゲロードアヲアゲロー…って、ドア無いし。…いや落ち着け俺、ここはとにかくどうにかして彼女を落ち着かs
「アンタガマリサヲォォォォォッ!!!!!」
WARNING! WARNING! WARNING!
思わずロッ○マンエッ○ス・ゼ○シリーズのあの演出が脳内にこだまする。つーか続編まだかなぁ。
「とか言ってる場合じゃねぇぇぇぇっ!!!」
とっさにバックステップする。直前まで俺がいた位置に特大弾が着弾、穴が開く。ああ、せっかく掃除してたのに…。
などと現実逃避をする間も惜しく、即座にスペルカードを起動、風をまとい、ホバー移動モードに入る。
「こ、こらアリス、殺す気か!? 今のは洒落にならんぞ、マジで!」
「当然デしョ、殺巣気だmono。さ亜、大人死苦当たリなsai!」(当然でしょ、殺す気だもの。さあ、大人しく当たりなさい!))
「レオノフ入ってるーっ!?」
そりゃ確かにあいつも「パペットマスター」だけどさぁ…。
…とか言っている間に見る見るうちに展開されていく人形達。いかん、囲まれる。
「ちっ!?」
これ以上神社を荒らすわけには行かない。この場を乗り切っても霊夢に殺される。
何より上を取られている以上こちらが圧倒的に不利。ここは…逃げの一手!
俺はアリスの方を向いたまま、近くの…さっきまで稽古をしていた森へとダッシュをかけた。
「待血na砕!」(待ちなさい!)
アリスの声とともに一斉に弾を放つ人形達。しかし、運よく(?)すべてが自機狙いだったらしく、移動している俺には当たらない。
そのまま俺は森へと逃げ込み、さらにいくらか移動して…冒頭のシーンに至るのであった。
「一体全体何なんだ? …良くも悪くもあいつとは交流がほとんど無かったから、俺が何かしたって訳でも無いだろうに…
いや、魔理沙がどうとか言っていたから魔理沙がらみか? あいつは魔理沙と親しそうだったからな…
だが別に俺は何もして無いぞ? せいぜい外世界の…例えばゲームの魔法の話とかしたくらいで」
適当な木の陰に潜伏しつつ、あの暴走の原因を考える俺。どうにかして糸口を見つけないことには死あるのみだからだ。
まともに戦ったところで彼女に歯がたつわけは無い。
当然だろう、彼女はかつて魔理沙や霊夢と何度もやり合い、時には手を組んで戦ったこともあるとか。
つまり、幻想郷でもかなりのクラスの相手ということだ。
そんな相手に、幻想郷でもやっと一般人レベルになれたかどうかの俺が敵うものかよ。
長期戦はもってのほか。隙をうかがう前にこっちの精神がまいりかねないし、カードに蓄積された魔力にも限りがある。
ほかの妖怪に食われるかもしれないことも考えれば、ほとぼりが冷めるまで身を隠すこともできない。
というわけで、どうにかして彼女を落ち着かせ、おそらく誤解であろうそれを解くことが急務となる。
「一体、何がアリスをここまで…」
「アリィスハァネェ、カァミキレミテタァノ!」
「カミキレミテター」
…?
「…えっと?」
「ソォシタラ、ブゥルブルフルェタァノ!」
「カオマッカダッタノー」
いやそうではなく、とりあえず直接の原因がその紙…多分、あの時握ってたあれだろうことは分かったが、それよりもまず…
「…君達は? 確か…」
「シャンハーイ!」
「ホラーイ!」
そう、上海人形と蓬莱人形だ。アリスのお気に入りの。
「で、二人は何してるの?」
「ヒトォサガシテェタ!」
「ヒトサガシー」
「…誰を?」
「「○○-!」」
二人そろってうれしそうに俺をビシッと指差す。うん、失礼に当たるから気をつけようね。
「そ、そーなのかー。じゃあ、俺は二人に見つかっちゃったんだねー」
「ウン! ミツケェタ!」
「ミツケター」
「ホォライ、ァリィスニシラセヨォ!」
「アリスニシラセルー」
「ああストップストップ! ちょっと待ってくれ!」
今ここで彼女を呼ばれたら非常にまずい! つーか終わる!
この場は何とかしてこの二人を説得し、報告を思いとどまらせるしかない!
「ナァニィ?」
「ナニー?」
首をかしげながらこっちを見る。
よし、止まってくれた!
俺はそのまま二人を手招きし、顔を近づける。いわゆる内緒話の体勢だ。
「いや、アリスに知らせる前に少し相談に乗ってもらえないかと思ってね、うん」
「ソォダァン?」
「ソーダンー?」
キョトンとする二人。
「ああ…ちょっとアリスのことについて聞きたくてね…。今日の彼女、何か様子がおかしくないか?
俺が知ってる限り、いつもの彼女はあんな感じじゃないと思うんだが…」
「ソォダネェ」
「ヘンダネー」
二人が顔を見合わせる。やはりこの二人はかなり高度かつ独立した思考能力を持っているらしい。
ちゃんとアリスの変化に気づいていたみたいだ。
「だろ? …で、なにやら紙切れを見てたらああなったという事らしいけど…ほんと?」
「ゥン!」
「ソダヨー」
なるほど。と、なると…。
「んー…で、彼女の言葉も含めて考えると…、その紙に、俺が原因、かつ魔理沙がらみで、アリスが怒り出すような何かが
書いてあったわけだ。…どんなことが書いてあったか分かる?」
「シラナァイ」
「ミテナーイ! ナンデー?」
首を振る二人。まあ、最初にその紙を読んでからずっと持ってたようだし、無理も無いか。
「そっか…いや、それが分かれば謝るなり誤解を解くなりできたのにな…とか思っただけ。…手詰まりか…」
「ンゥ」
「コマッタネー」
三人そろって腕を組む。が、文殊の知恵は降りてこず、解決策はでなかった。
「…はあ、しょうがない。もっと手がかりを探すしかないか。…あ、ところで二人とも、俺のことをアリスに伝えるのはもう少し
待ってくれない? 今の彼女に見つかったら確実に殺されちゃうかr」
「ァリィス、ィタヨー」
「アリスー、イター」
「お約束っつーかドライだね君らぁぁぁぁっ!!(脱兎)」
再び始まる鬼ごっこ。
俺はとにかく走りまくった。今を生き抜くために。
ちょうどその頃、神社のほうに、もう一人来客が来ていた…。
「…で、突然現れたと思ったら何よ一体? ○○ならまだ妖夢と稽古でもしてるんじゃないの?」
「そう…彼にも話を聞いておくつもりだったんだけど、吹き飛ばされる前に申し開きの機会ぐらいは与えてあげるつもりだったから」
「だから一体何なの? さっきから聞いててチンプンカンプンなんだけど。後なんだか目がイってるわよ、あなた」
「気にしないで」
そういいながらお茶を飲んでいるのは魔女のパチュリー・ノーレッジ。
吸血鬼が住まう館「紅魔館」の一角を占める大魔法図書館の主である。
私、こと博麗霊夢は、突然やってきたこの魔女にせっかくの至福の時間を邪魔されてしまった。
コタツの中でまどろむのは気持ちがいいのに…。
「いいから事情を説明しなさい。くだらない事で叩き起こしたってんならそれなりの対応をするわよ」
ちょっとだけ殺気を籠めて言ってみる。するとパチュリーは怪訝な顔でこちらを見つめ返した。
「…知らないの? 今幻想郷中を騒がせている話なんだけど」
「だから何なのよ」
知らないから聞いてるんでしょうが。まったく。
「つまり見てないのね、今日の号外」
「号外? またあの『文々。新聞』?」
「ええ。…これよ」
言いつつパチュリーが件の紙切れを見せる。そこには…、
「な…何よこれぇぇぇぇぇっ!!?」
あとがき――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
こんにちは、37です。
「3話目」の「Aパート」をお送りします。(マテ
つか霊夢がほとんど出て無い…こんなんで大丈夫か自分。
文でなく妖夢のほうが本格的に出てきてましたね。予告を守れんですみませんorz
とりあえずBパートに続きます…
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
霊夢もの第3話、Bパートです。
本格的な戦闘描写に入ります。
…大丈夫かなぁ…(汗)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
突然だが、今俺は追われている。
いわれの無い(少なくとも俺にとってはだが)疑いでアリスに追い掛け回されているのだ。
あれから一進一退の状態が続いている。
平たく言うと、追いつかれては煙に巻き、また追いつかれ…という繰り返しが続いているわけだ。
「いい加減に観念しなさい!」
(言葉だけは)まともに戻ったアリスが、息つく間もなく攻撃を繰り出してくる。
槍を持った人形が飛び出し、乱れ突きを放ってくる。
「観念なんてできるかっ!」
俺は手にした2本の木刀に土の加護を、自分の腕に風の強化を施し、その乱撃を捌く。
妖夢に稽古をつけてもらって、何より弾幕ごっこに備えて動体視力の訓練(?)をつんでいなかったらできなかったであろう芸当だ。
もっとも完全に捌けるはずもなく何発かは食らうが、基本的に掠めるだけで致命的なものは何とか防げている。
そうこうしているうちに俺の左右に剣を持った人形が配置される。回転斬りか? 突進か?
槍を持った人形が下がり、剣の人形が寄ってくる。構えは…突進!
「させっかっ!」
俺はすかさず両手の木刀に風をまとわせ、左右の人形に投げ放つ。木刀は上手い具合に人形達を牽制し、突進をキャンセルさせた。
「余所見は危ないわよ!」
「!?」
いつの間にか前に出ていたアリスが、そのまま蹴りを繰り出す。まずい、木刀を手放した俺に迎撃の手は無い!
俺はとにかくよけようと動き、そして…
「いってぇ~っ!」
…情け無い話だが、運に助けられた。
どうにかアリスの蹴りをよけようと体をのけぞらせたとき、思いっきり足を滑らせたのだ。
が、これのおかげで蹴りをよけることができたばかりか、そのままゴロゴロ後ろに転がった事で距離をとる事もできた。
…すぐ後ろの木に頭をぶつけて、今後頭部を押さえてるところだけど。
そんな俺のところに、投げた木刀がまとった風に導かれるようにして戻ってきた。
すっこ~ん!
「☆*■※⑨…!」
いや、おれ今後頭部に手が行ってたから! 受け取れないから! ね!?(錯乱)
「……」
あ、アリスが何かバカにしたような哀れむような目で見てる。
畜生、どーせ俺は三枚目ですよ。
額を直撃した木刀はとりあえず足元に落ちたようで、俺はじんじんくる頭の痛みをこらえつつ木刀を拾い上げ、構える。
それを見たアリスはふわりと優雅なバックステップを見せ、俺からさらに距離をとった。
「…なんだかんだと言っても、ここまで粘るなんてね。森の中だから接近戦の方が良いかと思ったけど…
素直に弾幕で行った方が良かったわ」
言いながらゆっくりと浮かび上がるアリス。
よく言うよ、本気でかかられたら確実に最初の一撃でアウトだっただろうに。
少し前の俺では気づかなかっただろうが、アリスはなんだかんだ言いながら実はかなりの手加減をしていた。
本当に殺す気なら最初の一撃にもっと力か速さを籠めるだけで、俺はあっさり吹き飛ばされて事は成っただろうし、
先の人形による攻勢にしても、槍の攻撃はゆるかったし、もっと多くの人形で四方八方からいっせいに斬りかかられたら
確実に殺られていただろう。
聞く所によれば、アリスは戦い…主に弾幕ごっこにおいて、なかなか本気を出さない傾向にあるらしい。
今回の場合も、俺の実力をある程度読み取って、その上で俺を消せる最低限のレベルの力を振るっているのだろう。
馬鹿にされているのではあろうが、俺にしてみればむしろそれはありがたい話だった。
そのおかげで、とりあえず生き残れているのだから。
だが、いい加減彼女が焦れた様子を見せた事で、そうも言ってられなくなってきた。
少なくとも、これでアリスがギアを上げた可能性が大きいからだ。
「魔法とか霊力とかも使えないあんたがよくまあここまでがんばったものね、魔理沙の言ってた特製スペルカードのおかげかしら?」
「たぶんな」
俺は、自分のリストバンドの中のカードをに目を向ける。
魔理沙が、俺のために知り合いの魔女…とある魔法図書館の主、パチュリー・ノーレッジにたのんで作ってもらったというカード。
それは、充電機能を持ち、単一の属性に特化した汎用スペルカードであった。
基本的に、スペルカードというものは効果がカードごとにある程度決まっている。
しかし、例えば魔理沙の『ブレイジングスター』のように、基本は攻撃だが使おうと思えば移動補助にもなる。といった、
複数の使い道を持ちうるカードというのも無いではない。
汎用性に優れたカードは、効力こそ他のカードに比べて弱いことが多いが、汎用性があるというそれだけで上級に分類されうる。
それはなぜか、何のことは無い。できる内容のレベルが、それでも十分高いからだ。
というより、簡単なことなら自前の魔法でどうにかなるので、わざわざそんなカードを作る必要が無く、作るとしたらそれなりに
高度な術式の補助として用いられる場合が多いからである。
…が、それは力があるものの話。
俺のように魔力の魔の字も無いような人間には、そもそもその『簡単なこと』すらできない。
しかし、ここ幻想郷にいる以上、そんなことではいつ妖怪に食われるとも分からないので、見かねた魔理沙が骨を折ってくれた
結果が、今俺の持っている3枚のカードなのである。
魔法の術式に疎い俺のために、イメージで効力を規定できるようなシステムを構築し、そもそも俺には魔力が無いことを考慮して、
他者の魔力を蓄積(要は充電)し、それを用いて効果を発揮できるように調整してくれた。
結果、そちらにポテンシャルを割いた事で汎用性がやや低下したが、それでも初心者の俺には十分すぎるだけのカードに仕上がった。
3枚あるその属性はそれぞれ風、土、そして雷の3つ。
魔力の有無にかかわらず存在するという属性との相性を調べた結果こうなった。
ちなみに、作ってくれたパチュリーに礼を言ったら、
「久しぶりに初心に帰って作ってみたら、なんかいいアイディアが浮かんできたのよ、おかげで研究が一つまとまったわ。
こっちこそありがとう」
と言ってくれた。いい人だ。
人じゃないか。
「…さて、そろそろ覚悟を決めてもらうわよ」
とか何とか考えている間に、人形に囲まれていた。ぴーんち。
「まさかスペルカードまで使う事になるなんてね…。褒めてあげるわ、…さよなら」
右手の木刀は乱れ突きの特にヤバ目のを捌いたりしたのでボロボロ、左手のはまだましだがまず一本では意味を成すまい。
頭の痛みのほうはまあどうにか我慢できそうなレベルなのがせめてもの救いか。
とりあえず邪魔になる右手のほうだけ腰のベルトの後ろにさしておく。
如何にかしてこの状況から抜け出さないとならない。しかし四方八方を人形に囲まれたこの状況では…。
…人形?
「……」
試してみる価値はあるか。
人形達の手に魔力がみなぎり始めてきた。
…来る!
「蒼符『博愛の仏蘭西人gy」
「うりゃっ!」
その瞬間を狙って右手を突き出す。
一瞬閃光で視界が満たされ、雷光が網目のようにスパークする。
「っ!!?」
わずかにひるむアリス。さすがに宣言の真っ最中に攻撃を食らうと言うのは…意外にあるかな? まあとにかく。
俺はその『効果』を見届けると即座にその場を離れる。
…とりあえず『死』は先送りにできた。
「く…最後の最後まで悪あがきを…!」
閃光にくらんだ目がようやく慣れてくる。
気づいてみればあいつを追いかけ初めてからかなり経っているようで、すでに日は傾き始めていた。
まったく、手加減してやっていたとはいえここまで粘るとは、生き汚いと言うか何と言うか。
「まあ、それもここまでなのだけど」
とりあえず人形達に号令をかける。今度こそあの『魔理沙と私の敵』に引導を渡してやらねば。
そして…
「…? あなた達?」
人形達の動きがぎこちない。いつもなら号令一つですぐ応えるのに。
と言うかそれぞれがなんともギクシャクしている。
腕が動かない子もいれば、足が動かない子も。
「どうしたの? …っ!? こ、これってまさか…!?」
糸が、切られている。人形達の操り糸が。
何故?
誰かが切ったから。
誰が?
多分あいつが。
何時?
おそらく逃げる直前。
どうやって?
考えるまでも無い。
「あの一瞬の雷は…ただの目くらましじゃなかったってこと…!」
……拝啓、魔界のお母さん。
私、何か今すごく悔しい気持ちがわいてきてます。
思いっきり殺っちゃっても…いいですか?
心の中のお母さんは、アホ毛も凛々しく私に向かいぐーに親指を立てて応援してくれた。
ありがとう。アリスは殺るわ、お母さん。
「上海! 蓬莱!」
「ハーイ!」
「デバンデバンー!」
「行くわよ!」
これよりわれらは修羅に入る!
「「アリスーっ!」」
「え?」
かけられた声に振り向くと、そこにいたのは…
あとがき――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
こんにちは、37です。
「3話目」Bパートです。
ちなみに○○(主人公)のスペルカードには特に名前がありません。
形状はカードというよりお札で、左手のリストの下に風と土の2枚が、右手のほうに雷の符が入ってます。
今回の戦闘描写はどうだったでしょうか、この作品の場合、外から来た一般人の主人公があんまり強すぎても微妙な気がするし、
さりとて弱すぎれば瞬殺されるし…正直に言ってバランスのとり方がよく分かりません。
今回はやや強くしすぎた感があります。
先日のエピローグではこのエピソードの後ルーミアにコテンパンにされる事になっていたのですが…どうやって!?
色々気を使ってはいるんですが…厳しいです。
CMの後もまだまだ続く!(マテ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
霊夢もの第3話、Cパートです。
新聞のあたりは黙認してくれるとうれしいです。
暴走メンバー追加! さてどうなる事やら。
…本当に大丈夫かなぁ…(汗)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
アリスとの(俺だけ一方的に)命をかけた鬼ごっこを始めて、かれこれどれだけ経ったやら。
いい加減なんで追い掛け回されてるのか理由が知りたいところなんですがどうでしょう。
…今俺はまたもどうにか彼女を振り切り、落ち着いたところである事を試していた。
「…ふむ、即席にしては良くできたほうか」
俺は、『たった今作ったばかりの』新しい剣の使い心地を試している。
と言っても何のことは無い。土の符の力を借りて、石から木刀ならぬ『石刀』を作っただけの話だ。
土くれや石から武器を作るのは、実は前々から考えていたアイディアで、今回はそのお試しと言うわけである。
…いきなり実戦投入とは思ってなかったが。
まあ、最初に持っていた木刀が2本ともかなりボロく(内1本は致命的)なっているので、仕方ないと言えば仕方ないが。
ちなみにその木刀は、もったいないので腰にさしている。…いや、実は使い道のネタがあってね?
反対の手にはもう一本、表面がざらざらの砂地のような質感の剣がある。これまた小細工の作品だ。
割とエネルギーを使うようでもあるし、とりあえずここまでにしておく。
こうなったら、これでどうにかこの場を切り抜け、霊夢に助けを求めるしかなさそうだ。
次にアリスにつかまったら、生存率はかなり減るだろうから。
「…って、もう来たのか…」
何かが飛んでくる気配を肌で感じる。こんなものまで読める様になるとは、俺も少しは強くなれたんだなぁ。
…こういう形で実感したくは無かったが。
「相当怒ってるな…」
気配の主はかなりのご立腹のようで、怒りの気配がビンビンに伝わってくる。
どうやら最後に逃げたときの小細工がかなり頭に来たようだ。感じるパワーはまるで今までの3倍以上。
と言うか3つに増えてるようにも感じる。紅い角付きもびっくりだ。
「…って、増えてる?」
俺が疑問を感じ、問題の方向を見上げると、そこには…
「○○! 見つけたわよ!」
「……マジかよ……」
霊夢がいた。
アリスと、さらにはパチュリーまで従えて。
…さっきまでのアリスと、同じ目で。
「これは…死んだか…?」
頼みの綱が敵だしなぁ…どないしよ。
あー、頭痛い。
続く。
…とか言ってると続編では墓の下になってそうなんでサクサク行こう。
「現実逃避はすんだかしら?」
「まあ大体は」
つか今でも夢であってほしいんですけど。
「何か申し開きはあるかしら?」
「その前に状況を説明してもらえないものかね」
パチュリーもなんかイッた目をしてる…
「白を切る気? この期に及んで姑息なことね」
「姑息とか以前に基本的なものが欠落してませんか?」
アリスは相変わらずだな。
「どうもよく分からんのだが…、俺は結局なんで皆に命を狙われなきゃならんのだ?」
「だから白を切るなと…!」
「アリス、待って」
再び爆発しそうになるアリスを抑えたのはパチュリーだった。
「何よ」
「…彼、本当に知らないみたい」
「え?」
キョトンとするアリスに、パチュリーが説明をする。
「あの号外を読んでないようなのよ。彼」
「ええ。私もさっきパチュリーに見せてもらって知ったわ」
「ええ?」
霊夢の補足に、さらに驚いた顔のアリス。
なにやら雲行きが変わり始めたか?
「あー、よく分からんが、少なくとも俺は今回何ゆえお前らがそこまで暴走するのかまったく理解出来ん。
ついては何ゆえこんな事態になったのかの、説明を要求したいのだが…。つか号外って何?」
「これよ」
パチュリーが答えとともに何かの紙束を投げ落とす。
…その紙束は俺のところに落ちる前に、風に舞って飛んでいってしまった。
「…」
「…」
「…」
「…」
いやな沈黙。
全員がその紙束の飛んでいったほうを一瞬見…、
コホン、と一つ咳払いした。
「アリス、お願い」
「あー、そうね…上海、届けて」
「ハーイ」
「そうだよな、そこは流すよな…」
「あんたは黙ってなさい」
ややあって、上海人形から渡された紙束は、号外と言う言葉から予想できた通りの『文々。新聞』だった。
で、その内容は…
『黒白・紅白・三角関係!?』
巷で有名な博麗神社の巫女、博麗霊夢と、魔法の森のお騒がせ魔法使い、霧雨魔理沙が、ある一人の男性をめぐって三角関係の
状態にあることが某日発覚した。
話題の男性は、最近博麗神社で居候をしている○○さん(人間)。事故により外の世界からやってきたという彼の話は割と有名だが、
彼に対して、家主であるところの博麗霊夢さんが、どうやら並々ならぬ、おそらくは好意と呼べるものを持っているらしいこと。
さらには、外の世界に興味を持っていたという霧雨魔理沙さんが、彼から外の世界の話を聞くためにちょくちょく博麗神社に
通っていたと言うことはあまり知られていない。
私自身も実はいつものようにお茶を飲みに行っていると思っており、まったくのノーマークであった。
~中略~
この件について、実験等で忙しい中、件の魔理沙さんに話を聞くことができた。
魔理沙さんは「ああ? ○○のことか? ああ、結構好きだぜ。あいつといると楽しいしな。あ、実験中なんでこれで」と、
今回の件を一部肯定する返答を返してくれた。
ほかにも…
~以下略~
( ゚д゚)…。
(つд⊂)ゴシゴシ
(;゚д゚)……。
(つд⊂)ゴシゴシ
_, ._
(;゚ Д゚)……!?
「(;゚ Д゚)ハァ? ネタか?」
思わずそう突っ込んでしまうほどにわけの分からん内容がそこにあった。
読み終えた記事によると、俺は霊夢と一緒に暮らしていくうちに好意を持つが、同時に霊夢もまた好意を持っているらしい。
前半部は一応正しいし、これだけなら願っても無い話だが、問題はその次だ。
魔理沙が神社に来るのは俺が好きだから? 確かに外の話はよくするし、ちょくちょく聞きに来るが、それだけだろ?
俺のほうもまんざらでなさそう? そもそもそんなことにまるで気づいて無い人間がどうまんざらじゃないんだよ!
本人の証言にしたって、好きの種類が恋愛か友情か分かんねぇだろそれじゃ!
つかこれじゃまるで俺は二人の女の子の恋心をもてあそぶ大罪人のように読めるのだが?
ご丁寧に俺と魔理沙が手をつないで見つめ合っているような写真まで添付されている。
いやこれこの前の充電のときだろ、あれは…
「ネタか? じゃ無いわよ! あんた魔理沙をもてあそんでおいてよくもそんなこと言えるわね!」
「魔理沙の頼みだからあなたにカードをあげただけ、恩に着せる気は無かったけど…これが所謂、仇で返されると言う奴かしら?」
「あ・ん・た・はぁぁぁぁーーーーっ!」
何かみんなヒートアップしてます。特に霊夢マテ、ときに落ち着けって。
「てゆーかさ、お前ら落ち着け。これあの天狗が書いたんだろ? 記事にする前に事実関係思いっきり改変してそうなあの天狗が」
「…それで?」
声が届いたか祈りが通じたか、霊夢が少し落ち着いた声でそう聞いてくる。
別にあの天狗が意図的に歪めてるとは言わないが、ゴシップ好きという天狗達の性格は散々聞かされている。
近所のおばちゃん達の井戸端会議が往々にして思いっきりおかしな方向へ飛躍するのと同様、これだって記事にする前にいろいろと
誤解の洗礼を受けていると見えて、ぶっ飛びすぎているのは確かなわけで。
「いやだから、こうして俺どころか霊夢の所にも行ったのなら、魔理沙の所にだって行けばいいだろうが。事実確認ぐらいしてから
ここに来てるんだろうな?」
「何言ってんのよ、そんなことできるわけ無いでしょ?」
「なぜ?」
即答するアリスに問うと、代わりにパチュリーが答えて曰く
「そんなことで魔理沙の研究の邪魔をして御覧なさい、下手に失敗なんてことになったら私達が嫌われちゃうわ」
人の生き死ににかかわる重大事をそんなことで片付けないでいただきたい。
「それは明らかに問題だぞおい! つかそれで人をぶっ飛ばそうとすんなよ!」
「うるさいわねぇ…。 分かったわ、なら魔理沙に聞く必要があるかどうか、多数決で決めましょ」
「いや多数決って、明らかにこっちが不利じゃん!」
「大丈夫よ、決めるのは私たち3人でも、あなたでも無いから」
「?」
「では、『魔理沙に聞きに行くまでもなく、ここで○○を殲滅でOK』という陪審員は手を上げて」
ばばばばばっ(←挙手)
「満場一致で即時殲滅に決定しましt」
「おーいこらぁ! 陪審員ってみんなお前の人形じゃないか、んなのありかゴルァァァァァァァァァッ!!!!」
「民主的な決定ね」
「うん、一部のすきも無いわ」
「穴だらけじゃぁぁぁぁっ!」
つか霊夢まで何故に!? まさか…
「他の二人は分かるが霊夢、まさかお前今から魔理沙の家にいくと寒いからだとかじゃねぇよな、反対理由」
「さ、判決はでたわ。覚悟しなさい」
「答えろぉぉぉっ!?」
何か俺今日叫んでばっかしだ…
と嘆くまもなく、足元に突き刺さる霊夢の針。
「グダグダ言わない、もうこれは決定事項よ、魔理沙をどうたぶらかしたか知らないけど、女の敵は殲滅するわ」
「そうね、覚悟はいい?」
「これで魔理沙も目が覚めるでしょ」
もう突っ込む気も起きないや…
「…一応、俺は悪くないし、この記事に書いてあるのは誤解だ。といっておく」
「…そう、でも、それを私達が信じると?」
ゆっくり剣を構えながら言う俺に、アリスが人形を展開させつつ問う
「まさか、一応、と言ったろ? 期待しちゃいないよ…。ただ、自分が正しいと思ってるから、抵抗はさせてもらう。
まあ、今まで逃げ回るのに結構頑張ってたから、体力的にもその他的にも次がラストだろうがね」
「好きにしなさい」
腰を低くしつつ、三人のほうを見据えながら答える俺に、パチュリーが魔力を高めながら言い放つ
「…勝ったとしてもホームレス、負けたなら言うまでも無く、運命って残酷だねぇ」
「自業自得でしょ…バカ」
ため息をつく俺に、そんな声をかける霊夢。
さて、ではそろそろ始めるか、この『悪の女たらし懲らしめ劇』を
「行きなさい!」
アリスの号令とともに、上海と蓬莱が弾幕を放つ。
それを皮切りに、魔力弾が、お札が、襲い来る。
「はぁっ!」
構えを取りつつカードに残った風の力を解放、バリア代わりにする。
初めの、おそらくは牽制であろう弾幕がその弾道をそらされていく。
「そんなもの!」
「上海! 蓬莱!」
パチュリーが大きめの魔力弾を形成し、放ってくる。
さらには人形達のレーザーのおまけつきだ。まともにくえば終わるだろう。
が、しかし、こっちは別にバリアで篭城するつもりでこんなものを出したわけではない。
「ぐっ…!」
あわやというタイミングでなんとか魔力弾をかわすも、レーザーに片足を焼かれる。
痛みを通り越した感があるが、とりあえずは如何にか持ちこたえ、踏みとどまって両手の剣を投げ放つ体制をとる。
それぞれの剣に、特に右手の石刀に、バリアだったはずの風が集まってくる。
…さすがに無理をさせすぎたようで、もはや両手がかなり悲鳴をあげている。しかし、止まるわけにはいかない。
「落ちなさい!」
霊夢の針が盛大に体を掠める。目のそばを切った。大丈夫、腕はまだ動く。
「さてと、行こうか…!」
何とはなしに、浮かぶもの。
このつたない最後の抵抗に、ちょっとした、名前を。
「行け…!」
双魔飛刀『風岩・雷砂』
おそらくは最後の力で放たれたのであろう2本の剣は、しかしまったく見当はずれな方向へ飛んでいく。
「っ…!? どっちをめがけて…?」
「気をつけて二人とも! あいつの剣は踊るわ!」
「踊る…? なるほど!」
アリスの警告を理解するが速いか、風をまといブーメランと化した剣が急角度で死角から飛んでくる!
「この程度!」
私はそれを危なげない動きでかわす。伊達に当たり判定が小さいわけじゃない!
「素人にしては面白い使い方だけどね…」
パチュリーもそう呟き、かわしたり捌いたりしている。ちょっと障壁をはって軌道をそらしてやればなんて事は無いようだ。
「その手は何度も見てるのよ!」
アリスもアリスで、優雅に回避運動。とはいえ、○○を攻撃しながら相手するにはちょっと厄介な感じなので、
みんな攻撃の手が少しゆるむ。下では○○が延々と、緩んだとはいえまだまだ激しい私達の攻撃をかわしていた。
…いや、何発か当たってはいるが、すぐ体勢を立て直しているようだ。ガッツあるのね…。
意外と長続きするわね、あいつもこのスペルも…。
「おっとぉ!?」
さらにもう1本の剣が飛んでくる。難易度が上がった? まあかわせるけど。
観察してみると、2本の石の刀を飛ばすスペルのようだ。片方の、滑らかな石でできた方は強い風をまとっており、勢いもあるし、
よく動く。
私たち3人の間を縫うようにして飛ぶそのさまはまるで鳥のようだ。
あとから加わった砂っぽいほうはそう強い風をまとっているわけではないようで、動きは単調。でもよく見るとぱりぱりと
放電しているのが分かる。まともに食らったら気絶するかも? 何気に上手く2本の連携が取れているし。
かわせるけどね。
…よくそんな詳しく分かるなって? 弾幕ごっことかしてると動体視力が良くなるのよ。
そうして2本をかわし続け、回転がゆるくなり始めた頃…
「あつっ!」
不意にアリスが顔を覆って痛がりはじめる。
「くっ!?」
続いてパチュリーまで、でもどうして? 別に刀にぶつかったわけでも、放電に触れたわけでも無いのに。
不意に、こっちに飛んでくる2本目の刀が目に入る。
かなり回転がゆるくなっている様子のそれは、ざらざらした表面が空気摩擦で均されたのか、所々きれいな表面を
さらしているようだった。
そう、まるで『木目のような』表面を。
「…まさか…っつぅっ!?」
突然の目の痛みに思わず顔を手で覆う。やっぱりそういうことか…っ!
素人にしては強力な攻撃、しかしただかわせばいいだけのスペル…に見せかけて、実はそれさえも布石。
この攻撃の目的は私達の撃墜ではなく…!
涙目でどうにか半目を開き、あいつを探す。そこには…
「おおおおああああっ!!」
3人の動きが止まり、攻撃がやむとともに、唯一腰に残したボロボロの木刀を手に取る。
ここから先は時間との勝負、向こうが回復する前に落とす!
取り出した剣の柄に、右手のリストバンドの下から取り出した『雷』のカードを押し付ける。
そのまま左手でカードごと握りこむように柄頭を持ち、ちょうど一刀流の持ち方で『八相の構え』をとる。
柄頭の符から剣先にめがけて雷が走り、そのまま伸びて巨大な雷の剣と化す。
そのさまは、まるで話に聞く禁忌『レーヴァティン』の炎の剣のようだった。…まあ俺自身ははそのカードのことは知らなかったが。
「ぐうぅぅぅぅ!」
雷の大剣を構えた両腕が更なる悲鳴を上げる。だがあと少し、この一撃だけもってくれ!
準備ができるとほぼ同じく、回復したのか3人が動き始める! …今しかない! 3人まとめてなぎ払う!
「ぅらあぁぁぁぁぁっ!!!!」
俺は、最後に残った渾身の力で、大剣を振るった。
そしてその直後、衝撃とともに意識を失った。
最後に思った事は、「ああ、俺くだらないことで命張ってんなー」だった。
…誰か愛をください。
あとがき――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ダンザイ・バーストォ!
藪から棒にすみません。37です。
「3話目」Cパートでした。戦闘シーンはここで一応の一区切り…かな?
霊夢ものの割に霊夢があんまり出てこないと言うか目立たないのがどうにも…(;--)
ちなみに、主人公の戦闘スタイルには元ネタがあります。
一つは気付いた方も多いかもしれませんが、「Fate」のアーチャーです。
もう一つはセガサターン・プレイステーション用RPG「ルナ2・エターナルブルー」の主人公
「ヒイロ」だったりします。
彼の技に「クロスブーメラン」と言う、風に乗せて2本のブーメランを投げ放ち一体にダメージを与えるものがありまして、
○○の剣投げはそれを大きな元ネタにしてます。
最後の一つは…このあとがき最初のアホ発言がヒントです。かなりマイナーらしい格ゲーからです。
もっとも最後の技のイメージネタにしか使ってませんが。
後、風岩・雷砂についてですが、攻撃名でなく実は武器名で、オリジナルだったりします。あんまり関係ないけど。
では、Dパートへどうぞ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
霊夢もの第3話、Dパートです。
一応戦闘もひと段落、ほっと一息です。
…まだまだ先は長いけどねorz
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「…っと、お……さい! ねぇ、ちょっと! …きな…いってば! ねぇ!」
「う…?」
頭がガンガンする。両腕が痛い。
だが、何か暖かいものに包まれているような感覚。
聞き覚えのある誰かの呼ぶ声に導かれるまま、俺はその目を開いた…。
「…あれ?」
目覚めてみれば森の中、目の前になぜかアリスとパチュリー。ちなみに俺は横になっているようだ。
混乱する頭が目覚め、記憶がはっきりするとともに、現状がゆっくりと、理解できて来た。
「そか…だめだったか、結局」
ポン、と片手を額に置く。
まあ、仕方が無いといえば仕方が無い。むしろあそこまでやれたのが奇跡に近いんだ。
次また同じようにやれと言われても、絶対できない。断言できる。
「ええ…そうね」
パチュリーがそういいつつしゃがみ込み。俺と目の高さが近くなる。
彼女のつむいだ次の言葉は、俺の思考を止めた。
「でも多分…私達の負けよ」
「…は?」
いや、訳が分からん。
俺の最後の一発は結局かわされたんじゃないのか? だから反撃で俺は気を失ったんじゃ…
「訳が分からないって顔ね」
アリスの苦笑しながらの言に、コクリと頷く俺。
「あの時あんたの剣は、確かに直撃コースだったのよ。しかも3人全員にとっての」
「ところが、一番近かった私にあたると思った次の瞬間、剣がふっと消えたの」
「何事かと思ってみれば、あんたが倒れ臥してた訳」
「つまり、すんでの所で私達は、あなたの体力切れに救われたって訳ね」
「試合に勝って勝負に負けたって所かしら?」
やれやれ、と肩をすくめるパチュリーとアリス。いや待てマジかそれ、俺が勝ってた? この3人相手に?
「…冗談にしては笑えんな…」
「冗談じゃないわよ。て言うか、起きたならとっととどいてくれない?」
「え?」
言われて声の方…つまり、俺の真上を見る。
そこには、むすっとした顔の霊夢がいた。って言うか、これってまさか…
「ひひひひひひひひ膝枕っ!?」
叫びとともにあわてて飛びのく俺。
だが、そんな俺の反応が気に障ったのだろう、霊夢がさらにむすっとした顔になった。
「何よそれ…」
「あ…。い、いやすまん。ついその、びっくりしたと言うか、予想外すぎたと言うか…」
「…いいわよ」
そう言ってそっぽを向く霊夢。
(つД`)アチャー、だいぶ怒ってるよ。
って、こっちも殺されかけたんだっけ…
「…で、結局俺はどうなるんだ? この状況からすると、とりあえずあんたらの考え次第ってことになるだろうけど」
とりあえずそう、パチュリーに聞いてみる。
たとえ勝てていたとしても、結局倒れたのは俺だしな。
これが普通の妖怪との戦いだったらとっくに食われてる。
「…ごめんなさいね、あんなことして」
「は?」
思考停止2。つーか今度は何言い出すんだこの人は。
「あー、話の展開が読めないんだが、どゆこと?」
「…あなたが気絶したあとね、私達、揃いも揃ってちょっと呆けてたのよ」
「で?」
「そうこうしてるうちになんだか頭が冷えてきて…何やってるのかな私達はって、なんだか思えてきちゃって」
続けて言うアリスに、そっぽを向いたままの霊夢。
あー、それは要するに…
「…つまり、許す許さないはともかくなんだか馬鹿馬鹿しくなってきたからやーめた、と」
「そういうことともちょっと違うけど…」
「いや、まあいいさ。とりあえず命の危機は去ったようだし。…これで誤解も解けたら言う事無いんだがね」
「その事なんだけど…! ちょっと待って」
何かを言いかけた(多分改めて事実確認をしようとしたんだろう)パチュリーだったが、何かに気づいて止まる
「どうした?」
「…念話が…リトルから…」
「司書さんのほう?」
コクリと頷くパチュリー。
ここで紹介しておこう。
リトルというのは、紅魔館内においてパチュリーが館長を勤める大魔法図書館に住む、小悪魔の姉妹の名前だ。
もっとも、本当の名前では無いらしい。『悪魔は基本的に本名を使わない』というのは、悪魔関連の初歩の知識だそうだ。
本名を知られてしまうとその悪魔の行動に重大なペナルティが科せられるらしいが…よく分からん。
彼女らが図書館にいる理由だが、何でも、パチュリーが、お手伝いさんを募るつもりで召喚したのだが、このときちょっとした
事故があり、目的の存在におまけがついてきたのだそうだ。
姉のほうは、物静かで真面目な、働き者の女の子、悪魔というにはイメージがやや離れすぎたというか、少なくとも普段の彼女を
見る限りは、羽をつけ間違えた天使の様にも思える子である。パチュリーは最初この子のみを呼ぶはずだったらしい。
妹のほうは、元気でやんちゃな、いたずら好きの女の子。姉をそのまま小さくしたような外見だが、行動の節々からして、こっちの
ほうがなるほど『小悪魔』チックに見える。事故でこの子がついてきた。
召喚事故に気付いたのが、契約の『名付けの儀式』の後だったらしく、『召喚されたもの』に対して行われた『名付け』は、
結局姉妹二人ともに有効とみなされてしまった。
まあ、妹は姉から離れたがらなかったし、姉は姉で妹をひとり残すのが心配ではあったようなので、ある意味結果オーライと
言えなくは無かったらしい。
結果、姉は司書としてパチュリーの補佐をする事となったが、妹は…いたずらをするようになった。
しかし、変化の少なかった当時の紅魔館においては、彼女の『活躍』はちょっとした変化をもたらし、退屈を吹き飛ばしたため、
心労こそ増えたものの、おおむね歓迎されたのだった。
「で、何だって?」
「今、つなぐのよ…」
どうでもいいけど…なぁ~んかいや~な予感がするんだがなぁ…。
リトルからの突然の念話に、私はいやな予感を感じた。
こういうときの念話は、いい事であったためしが無いからだ。
たいていは悪いほう、それも、クリティカル(致命的)な。
(どうしたの? リトル)
(パチュリー様…大変です…妹様が…フランドール様が…)
「妹様が? 何があったの!?」
怪我でもしているのか、かすれた声で途切れ途切れに話すリトルの言葉は、少なくとも私のいやな予感を肯定するには十分だった。
妹様がかかわる話となると…最高にクリティカルだ。
(妹様が…図書館に残しておいた号外のもう片方を…)
「…読んじゃったの!?」
最悪だ。
冷えた頭でもう一度彼の証言を聞こうと思っていた矢先にこの展開とは。
暴走の報いだろうか? まったく魔理沙は…いつもいつも人を散々引っ掻き回すんだから…。(←今回は微妙では?)作者は
黙ってなさい。…作者って誰?
(妹(リトル)が読ませてしまったみたいで…)
(あの子は…。それで? 二人はどうなったの?)
(妹はその…吹き飛ばされて盛大に目を回してます。今も目を覚ましません。フランドール様は…)
(どうしたの? はっきり言って!)
(その…『○○って奴を壊してくる』と言って…外に出てしまわれました!)
「なぁっ!?」
そんなバカな! 今にも沈みそうとはいえ太陽はまだ輝いている。そんな中を飛び出したら…。
「妹様が飛び出した!? それでどうなったの! 妹様は無事!? 咲夜や門番は何してたの!」
(それが…日光の下なのに平気な顔で…それどころか、いつもならかなりてこずられていた咲夜さんたちお二人のタッグを、
今日に限ってあっさり秒殺してしまわれまして…)
「うそ…」
(おそらく、能力を使用して自分に降り注ぐ日光、もしくは『吸血鬼は日光に弱い』という法則を破壊されたか、あるいは…
『太陽光克服者(デイウォーカー)』の能力に目覚められたのでは…)
「……」
開いた口がふさがらない。
妹様のことだから、おそらく原因は号外の…魔理沙のところだろう。
私でさえ周りが見えなくなったくらいだから、いわんや妹様をや…と思い、隠していたはずなのに…。
愛はいろいろなものを超えると言うけど、もうここまで来るとデタラメだ。
『欲するもの、常に最悪を心がけよ。事態は常に、その斜め上を行く』
何かの本で読んだ内容だが、まさしくその通りだと思った。見事に斜め上を行ってくれた。
(とにかく、フランドール様は最大戦速でそちらに急行中です。急いで対策を…)
「わ…分かったわ。ありがとう、リトル」
そういって念話を切る。とにかくこのメンバーに警告しないと。
「なあ…妹様が飛び出したってどういうことだ?」
「え!?」
何で○○がその事を!? まさか念話の内容を読んだの!?
「いや、声に出てた」
「あ…」
思わず赤面する。しまったわね、この私とした事が。
「で、どういうこと?フランドールが飛び出したって」
「あの傍迷惑な妹が外に出たの?」
霊夢とアリスも問い詰めてくる。それはそうだろう、この二人…特に霊夢は妹様の力を良く知ってる。
外には出せないレベルの強力な存在であると言う事を。
「つかさ…そもそもその…フランドール? って誰?」
場の時間が止まる。ああ、そういえば彼は会った事はなかったわね。うん。
「天中殺か? 今日は…」
話題のフランドールなる人物の事を聞いていてそう思った。
フランドール・スカーレット。
吸血鬼が住まう真紅の館、紅魔館の主にして、500年を生きる吸血姫、レミリア・スカーレットの妹にあたり、
姉を超えるほどの潜在能力と深遠なる狂気を併せ持つ『悪魔の妹』
495年を生きる吸血鬼であるが、その時間の多くを紅魔館の地下で過ごしてきた少女。
去年の暮れごろ、人数が少ないながらも行った宴会で見かけた、あの見た目は少女だが存在感やプレッシャーはとにかくすごく
感じた姉。
その時起こったハプニングのせいで恐怖はだいぶ払拭され、むしろ親しみやすさを感じるようになった彼女だが、もしもそれが
無かったら、あるいは彼女に何らかのトラウマでも植え付けられたかもしれないな。
そんな彼女さえも警戒する『妹様』が、今俺を狙っている。
…あの号外のせいで。
…あの天狗め…化けて出てやる…。
「とにかく、私は妹様を探してみるわ。アリス、悪いけど手伝ってくれる?」
「え!? わ、私? あー…。…仕方ないわね…分かったわ」
そういって飛んでいくパチュリーとアリス。
とりあえずこっちもなんか準備しないとだめかな?
と言ってもすでに満身創痍なんだがな…
「あ、霊夢、俺の剣とかどこ行ったか知らないか?」
「飛び回ってた奴ならあんたが倒れてすぐ魔力切れになったみたいでどっか行っちゃったわよ。最後に振るってた奴なら…そこ」
そういって指差した先にあったのは…炭と灰だった。
「あー…」
「ま、あれだけ激しい雷を纏わせてたらねぇ…。心配しなくても符のほうは無事だから、はい」
そういって符を渡されるが、受け取ろうと手を伸ばしたとたん激痛に襲われる。
「っぐ…」
「ちょ、ちょっと、大丈夫!?」
「あー、まあ、昼ごろから無理のし通しだったからなー」
「そんなのんきに言ってる場合じゃないでしょ! ああもう!」
どうにか手当てをしようとわたわたする霊夢。ありがたいけどちょっと笑える。
「なによ」
睨まれた。
「はぁ…。まあいいわ。神社に行って薬箱持ってくるから、ここにいなさい。変なとこ行っちゃだめよ!」
霊夢はそういうと、お札で簡易結界を構築しその中に俺を放り込んだ。
「出ちゃだめよ!」
「はいはい」
霊夢の念押しに苦笑しつつ答えると、まだ気になるのかこちらをちらちら見ながら飛んでいった。
さっきまで張り倒そうとしていたくせに、妙に心配性だな。まったく。
「よっ…と。…あ痛つ」
張ってもらった結界はそんなに狭いものでもないようで、とりあえず立ち上がる事ぐらいはできる。
そんなわけで、不測の事態に備える意味でも立ち上がっておく。
どこぞの剣豪じゃあるまいし、座った状態からすぐ反応なんて出来やしないからな。
一応の状況確認。
現在、アリス、パチュリー、霊夢の3人とは停戦状態。
この辺はまあ後々の質疑応答でどうなるか決まるだろう。
目下の問題はフランドール・スカーレット。
俺を探しているらしいが、おそらく神社へ向かった事だろう。となると、先に探しに行ったパチュリーやアリスと、
あるいは神社の霊夢と鉢合わせする可能性が高い。
どっちかが食い止めてくれる事を期待しよう。
俺自身の状態。
両腕がほぼ使い物にならない。かろうじて動かす事はできるが、激痛を伴う。これは筋肉が切れたか…?
片足がきつい。レーザーの直撃で火傷したみたいだ。バランスをとるのに一苦労。
頭は前後にタンコブが一つずつ。片目のそばを切ったんで血が出ている。…いや、今は止まっているか。手当してくれたのかな?
その他の部位についてはおおむねOK。弾などがかすったときの傷で血が流れていたが大体止まっている。
武器は…なし。一番近場のはもう炭だし、飛んでいった2本を探すのは今の俺では自殺行為だ。
符は…やはりだめだ。風と雷の符はともに魔力切れを起こしている。土の符の魔力も残り少ない。
風の符なんかは結構充電容量を増やしてもらってたつもりだったんだが…さすがに使い通しだしなぁ。
結論、見つかったら絶望的。
「…さて、問題です」
こういうとき、天中殺の俺にはどんな展開が待っているでしょう?
「3」
「2」
「1」
「…ぜ「見つけた、写真の奴!」」
…やっぱり
あとがき――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
37です。
「3話目」も中盤を過ぎ、Dパートまで終了しました。
ここからフランドールとのやり取りになるわけですが、さてどうなる事か…
戦闘描写の予定はありません。と言うか満身創痍の彼ではどうにもなりません。
あってもごく短いものになる予定です。
このあとがきを書いている時点でまだEパートは書き始めたばかりです。
年内に終わるかは微妙なところでしょう。
ひょっとしたら禁断のFパート!? …行きそうです。この調子だとorz
とにかく、書くと決めた以上は最後までがんばります。…やめろと言われない限りは。
では、Eパートでお会いしましょう。
>>341
───────────────────────────────────────────────────────────
ずるずる…
つるつる…
○○「…ん? 霊夢、始まった、始まった」
霊夢「え? あ、ホントだ」
○○「ども、おそば食べながらで失礼します。37ワールドの○○と霊夢です」
霊夢「年末年始なんで、折角だから年越し書き込みしてみようという事で、今回37の代わりにここ、神社わきの特設かまくらからお送りしてるわ」
○○「まずは境内の魔理沙さーん」
魔理沙「霊夢ぅ~○○~寒い~勘弁してくれ~」
霊夢「(無視)魔理沙さーん、皆さんの調子はどうですか~?」
魔理沙「寒いぜ~寒すぎるぜぇ~何で大晦日の夜まで修繕作業やらなきゃなんないんだよぉ~(泣)」
霊夢「クリスマスの件をもう忘れましたか~ぁ?(ギリピキィ)」
魔理沙「私達が悪かったからぁ~謝るからせめて今日と三が日くらいは…」
霊夢「(無視)では次にいきましょ~」
魔理沙「霊夢ぅ~(プツン)」
○○(お、鬼だ…(汗))
霊夢「さて、では次のコーナーです」
○○(コーナー?)
霊夢「37からのレス返しと感想のコーナーよ。はじめるわ」
○○「まず>>328氏から」
霊夢「で、デレデレって、別に私はデレデレして無いわよ!」
○○「そうそう、二人きりとかあまりにたれたりした時とか以外は全く」
霊夢「○○!(ぽかぽか)」
○○「あた、あた、あた!」
霊夢「それに言うに事欠いて四十八手って…!」
○○「うわあ、なんだか余計理性が飛びそう」
霊夢「バカ!」
○○「でも328さん、俺も最近知ったけど実は対面に座ったときに出来る奴で
「こたつ隠れ」なんてものもあったりとか(どすどすどすっ!)…エクスターミネーションはどうかと…(←瀕死)」
霊夢「フン! だ」
○○「続いて>>342氏と30人目氏」
霊夢「続きのリクエスト、どうもありがとうございます!…なんかなれ初めの紹介って感じで私は恥ずかしいけど…」
○○「中休みに紹介予定のラジオドラマにて、完全版を放送予定です。お楽しみに~」
霊夢「30人目氏のけねもこものも最高でした! ○○災難でしたね、次も期待してます!…37からでした。」
○○「何か俺までお尻が痛く…(ハァァ…フゥゥ…)…なんかきこえたぁぁぁぁぁっ!」
霊夢「? …気のせいでしょ? 次いくわよ」
○○「うす…(ビクビク)」
霊夢「>>355(349)氏の妹紅もの」
○○「何と言うか…壮絶でしたね」
霊夢「ホント…なんかぐっと来たわ。…あんなふうに想ってもらえるって…幸せよね」
○○「…一応俺もそのつもりなんだk」
霊夢「はいはい、惚気を電波に乗せない!(赤面)」
○○「うす。355(349)氏、お見事でした!」
霊夢「>>356氏もリクエストありがとう」
○○「衛宮士郎っすか…む~…」
霊夢「戦闘スタイルの元ネタ?ではあるからあながち間違ってはいないんじゃない? 見た目はともかく」
○○「まあねー」
霊夢「なら…再会後の今はアーチャーかしら?…うわ、似合わな・・・」
○○「ほっとけ」
霊夢&○○「ともあれ、この後のコーナーをお楽しみにー」
○○「>>358氏のリトルもの~ いやめっちゃウァロタヨー! この○○のぶっ飛びぶりと来たら…」
霊夢「相変わらず見事にわらかしてくれるわ~…というか…いうか…あんの薬師ぃぃぃぃぃっ!」
○○「どうどう…」
霊夢「あれのおかげであの年は散々な目に遭ったのよ!」
○○「実話!?」
霊夢「向こうの私が」
がんっ!
霊夢「大丈夫? 額…」
○○「何とか…」
霊夢「さて、ひと段落着いたところで」
○○「中休みのラジオ(?)ドラマ」
霊夢「第3話・完全版です」
○○「大急ぎで仕上げたのでいろいろ突っ込みどころはありますが…とりあえずどうぞ!」
>>359
その4へ。
前回書いた霊夢ものの続き2です。
あらすじはこの前の「まとめてエピローグ」にて紹介してしまったので目新しい部分は無いのが申し訳ないですが、
とりあえずお送りします。
第3話にあたる今回の話ですが、非常に長いです。
現在確認できているだけでも、このAパートからEパートまでの5話分以上は軽くかかることが確認されてます。
読んで下さる方、どうかお覚悟とご理解の程を。
あと、真面目なこーりんが好きとおっしゃっておられた239氏スマソ。こーりんの出番は今回望み薄です。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「号外ー、号外だよー。
幻想郷一早くて確かな真実の泉、『文々。新聞』の号外だよー」
幻想郷の冬の朝に、そんな声が響く。
寒さに負けじとばかりに響くその声とともに、ばら撒かれる新聞。
いつものごとく、天狗が書き連ねる真実の割合10%未満(推定)の新聞。
その新聞が、騒ぎの絶えない幻想郷の、今日の騒ぎの種火であった。
「これを読まないと、あなたに明日は無いよー」
元気な声とともに振ってくるその号外のうち、神社に落ちてきた一部を小さな手が掴み取る
「へぇ…これは面白いことになるかも♪」
そう言った声の主は、楽しそうに笑うと、その号外ごと薄れて消えた。
まるで、初めからそこに誰もいなかったかのように。
後日、とある関係者は言う。
「むしろあれを書いた奴と読んだ連中のせいで、俺は明日をなくしかけた」と…。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
今、俺は追われている。
「くそっ…なんだってこんなことに…」
どうにか、相手の猛攻から逃れ、今は神社のそばにある森の中にいる。
「あの目は…確実に殺る気の眼だったぞ…」
そう、「彼女」は本気だった。
「体勢を…立て直さないと…」
鍛えていたおかげで、体力にはまだ若干の余裕がある。だが精神的にはそうもいかない。
「次は…殺られる…!」
とにかく今は、生き抜かねば。
俺は、持っていた小太刀…を模した2本の木刀を握り直すと、両腕のリストバンドの内側に仕込んだ計3枚のスペルカードを
確認する。
そして呼吸を整え、そのまま「彼女」の動きを待った…。
こうなったのはあまりにも唐突だった。
というか…いや、マジで訳が分からん。
確か今日は妖夢に稽古をつけてもらってたんだよな…。
「せいっ…はぁっ!」
気合の声とともに振るわれる俺の木刀。
多少うぬぼれてもいいのなら、そのスピードは(俺の世界の)一般的なレベルに比べても、それなりの域に達していることだろう。
だが、そんな俺の剣を、目の前の相手はあっさりとかわし、捌き、いなしていく。
当然だろう。この幻想郷では、この程度のレベルではやっていけない。
冒険を始めたてのひよっこ戦士が、いきなり物語中盤から終盤のフィールドに放り出されるようなものだ。
考えてみればよく馬車にいるだけでレベルアップできるなあのゲーム。ああいうシステムが現実にもほしいよ。いや、マジで。
「ほら、剣筋が乱れてきてますよ! もっと集中して!」
「応!」
相手役である半人半霊、魂魄妖夢(こんぱくようむ)の叱咤が飛ぶ。
いかんいかん。今は真面目にやらねば。
冥界で、白玉楼という屋敷の庭師の仕事をしている彼女。そこの主である西行寺幽々子(さいぎょうじゆゆこ)の護衛でもある
二刀使い。
俺は彼女に無理を言って、たまに剣術の指導をしてもらっていた。
今日は忙しい中わざわざ時間をとってもらったんだ、この中で出来るだけ学び取らないと…。
しばし、風切り音と木刀の打ち合う音が、神社のそばの森に響く。
俺が事故でこの世界、幻想郷に迷い込んでからかれこれ一月と十日。
その間、俺は暇を見てはなるべく鍛えるようにしていた。
ここは基本的に弱肉強食の世界といえる。力が無ければあっさり妖怪に食われるし、だからこそ生き抜いている者の平均レベルが
非常に高い。
外の世界で凡人レベルだった俺は、つまりここでは最底辺ということで、もしも霊夢に神社で保護してもらってなかったら多分
とっくの昔に誰かの腹の中だったろう。
俺のようなケースは実は珍しく無いと、俺を最初に保護してくれたとある式神さんは言っていた。
で、おとなしく保護された人もいれば…錯乱した挙句飛び出し、お決まりのコース一直線だった人も…いた。
定員オーバーのために俺だけがここ、博麗神社に回されたが、幻想郷の台風の目とも言うべきこの神社。そのおかげで図らずも
多くの知り合いができ、妖夢のように親身になって協力してくれる人に合えたわけで、そういう意味では、俺はかなり運がよかった
といえる。
少なくとも、ただ護られるだけのお荷物ではなく、自分の身を自分で護れる程度の力を得る機会には恵まれたわけだから。
「はい、では今日はここまでにしましょう」
「押忍! ありがとうございましたーっ!」
ビシッという音でも聞こえてきそうな礼をする。と、妖夢がなにやら渋面をしている。
「…その体育会系のノリはどうにかなりません?」
「いやまあ、何と言うか、気を引き締めるというか…」
少し赤面し、頬を掻く俺。妖夢は苦笑して、
「いいですけどね。私もおじい様に学んでいた頃はあなたほどじゃないけどそんな感じでしたし」
「そういってくれると助かる。」
しゃべりながら木刀を片付ける。
ちなみに4本、俺と妖夢がそれぞれ2本ずつ使った。
もともと俺は一刀流だったのだが、どうにも違和感がぬぐえず、物は試しと妖夢の真似をしてみたら意外としっくりきたので
それからは二刀で通している。
もっとも妖夢のように「太刀」と「脇差」(…と言えばいいのか?)の二本なのではなく、どこぞの漫画キャラのような「小太刀」の
二刀流だ。
…そのせいで本当に剣術を学ぶというより「戦い方」を学ぶ感じが強くなった。まあ明らかに流派が違うし。
ちなみに、実際の剣道では二刀流は大学生以上しか許可されておらず、内訳も太刀と脇差(小太刀)の組み合わせだそうで、
小太刀の二刀流というのはどちらかというとスポーツチャンバラとかで見られるタイプなんだとか。
しかもこちらも正式な試合では太刀と小太刀の組み合わせが基本らしい。
…俺ってひねくれてる?
なお、俺が剣道を学んだのは学校の体育でのことなので、知識に誤りがあるかもしれない点に注意のこと。
「どうしたんです? いきなり押し黙って…」
「え? いやちょっとトリビアを…」
「?」
キョトンとする妖夢に、とりあえずお茶を濁す俺。
とはいえさして興味があったわけでも無いらしく、すぐ話が変わる。
「まあ、それはともかく。○○はこのあとどうするんです? 私は幽々子様のお世話があるので、一旦神社に顔を出したらすぐ
戻りますけど…」
「んー…、俺はとりあえず…霊夢の手伝いかな」
「そうですか」
「ああ、ありがとな、時間作ってもらって」
「いえ、私もいい修行になりました。人に教えるのって、自分でも基本を再確認することになるから意外とためになるんですよ」
「へぇー」
などと話しながら家路(?)につく。
神社では、霊夢がコタツに入ったまますやすやと寝ていた。
「コタツムリ…」
「あはは…」
幸せそうに惰眠をむさぼるその姿に、なんとなく苦笑する俺たち。
まあ、いつものことだし、俺が霊夢なら多分寝てたな、やっぱり。
「じゃあ私はこれで、霊夢によろしく言っておいてください」
「ああ。って、もう行くのか?お茶くらい飲んでったって…」
「気持ちだけいただきます。いい加減戻らないと幽々子様が「おなかすいたー」って言って暴れだしちゃうんで」
食欲王ユユコンガーZ恐るべし。その胃袋は鉄の城か?
「そういうことならしょうがないか…。分かった、じゃあまたな」
「ええ、では」
そういって冥界に帰っていく妖夢。
しばらく彼女を見送った後、俺は自分の木刀を袋に入れて背に負うと、ほうきを取り出して庭を掃き始めた。すると…、
「…見つけた」
上空から声がした。
「?」
見上げてみると、そこにいたのは…
「…あれ? 確か…アリス・マーガトロイド…だっけ?」
魔法の森に住む魔法使い、人間の魔理沙と違い、種族そのものが魔女。…まあ、魔理沙の話では正確にはほんの少し違うらしいが。
そのいでたちや、人形を用いた魔法を得意とすることなどから、ついたあだ名が「七色の人形遣い」
その彼女が、なにやら紙束のようなものを握り(潰し)つつ、上空からこちらを睨みつけるように見下ろしている。
…俺、何かしたか?
「久しぶりね、○○。…この前の宴会以来かしら?」
「ああ、そうだな…で、何の用だ? 霊夢なら…」
「いいえ、今日はあなたに用があってきたのよ、○○。来たときには見かけなかったからどこへ行ったのかと思ったけど」
応える彼女の声はやはりどこか怒りのようなものを孕んでいる。間違いない、怒ってる。
「ああ、今日は妖夢に稽古をつけてもらってたから…。で、…用件は?」
正直聞きたくないのだが、聞かないと話が進まないので聞く。
…ひょっとして、イエローゾーン?
「ええ…ちょっとごみ掃除をね」
「…はい?」
「思えばあの時排除しておけばよかった…。そうすれば魔理沙もこんな奴に…」
「あのー、話が見えないんですけど…」
「そう、白を切るのね。霊夢だけで飽き足らず、魔理沙まで…なのに…」
…いかん、これはイエローゾーンどころじゃない、これはむしろ…。
俺は持っていたほうきをその場に置き、背の木刀袋を確認する。
「あんたが…魔理沙を…」
「おーい、アリスー?」
ニゲローニゲロードアヲアゲロー…って、ドア無いし。…いや落ち着け俺、ここはとにかくどうにかして彼女を落ち着かs
「アンタガマリサヲォォォォォッ!!!!!」
WARNING! WARNING! WARNING!
思わずロッ○マンエッ○ス・ゼ○シリーズのあの演出が脳内にこだまする。つーか続編まだかなぁ。
「とか言ってる場合じゃねぇぇぇぇっ!!!」
とっさにバックステップする。直前まで俺がいた位置に特大弾が着弾、穴が開く。ああ、せっかく掃除してたのに…。
などと現実逃避をする間も惜しく、即座にスペルカードを起動、風をまとい、ホバー移動モードに入る。
「こ、こらアリス、殺す気か!? 今のは洒落にならんぞ、マジで!」
「当然デしョ、殺巣気だmono。さ亜、大人死苦当たリなsai!」(当然でしょ、殺す気だもの。さあ、大人しく当たりなさい!))
「レオノフ入ってるーっ!?」
そりゃ確かにあいつも「パペットマスター」だけどさぁ…。
…とか言っている間に見る見るうちに展開されていく人形達。いかん、囲まれる。
「ちっ!?」
これ以上神社を荒らすわけには行かない。この場を乗り切っても霊夢に殺される。
何より上を取られている以上こちらが圧倒的に不利。ここは…逃げの一手!
俺はアリスの方を向いたまま、近くの…さっきまで稽古をしていた森へとダッシュをかけた。
「待血na砕!」(待ちなさい!)
アリスの声とともに一斉に弾を放つ人形達。しかし、運よく(?)すべてが自機狙いだったらしく、移動している俺には当たらない。
そのまま俺は森へと逃げ込み、さらにいくらか移動して…冒頭のシーンに至るのであった。
「一体全体何なんだ? …良くも悪くもあいつとは交流がほとんど無かったから、俺が何かしたって訳でも無いだろうに…
いや、魔理沙がどうとか言っていたから魔理沙がらみか? あいつは魔理沙と親しそうだったからな…
だが別に俺は何もして無いぞ? せいぜい外世界の…例えばゲームの魔法の話とかしたくらいで」
適当な木の陰に潜伏しつつ、あの暴走の原因を考える俺。どうにかして糸口を見つけないことには死あるのみだからだ。
まともに戦ったところで彼女に歯がたつわけは無い。
当然だろう、彼女はかつて魔理沙や霊夢と何度もやり合い、時には手を組んで戦ったこともあるとか。
つまり、幻想郷でもかなりのクラスの相手ということだ。
そんな相手に、幻想郷でもやっと一般人レベルになれたかどうかの俺が敵うものかよ。
長期戦はもってのほか。隙をうかがう前にこっちの精神がまいりかねないし、カードに蓄積された魔力にも限りがある。
ほかの妖怪に食われるかもしれないことも考えれば、ほとぼりが冷めるまで身を隠すこともできない。
というわけで、どうにかして彼女を落ち着かせ、おそらく誤解であろうそれを解くことが急務となる。
「一体、何がアリスをここまで…」
「アリィスハァネェ、カァミキレミテタァノ!」
「カミキレミテター」
…?
「…えっと?」
「ソォシタラ、ブゥルブルフルェタァノ!」
「カオマッカダッタノー」
いやそうではなく、とりあえず直接の原因がその紙…多分、あの時握ってたあれだろうことは分かったが、それよりもまず…
「…君達は? 確か…」
「シャンハーイ!」
「ホラーイ!」
そう、上海人形と蓬莱人形だ。アリスのお気に入りの。
「で、二人は何してるの?」
「ヒトォサガシテェタ!」
「ヒトサガシー」
「…誰を?」
「「○○-!」」
二人そろってうれしそうに俺をビシッと指差す。うん、失礼に当たるから気をつけようね。
「そ、そーなのかー。じゃあ、俺は二人に見つかっちゃったんだねー」
「ウン! ミツケェタ!」
「ミツケター」
「ホォライ、ァリィスニシラセヨォ!」
「アリスニシラセルー」
「ああストップストップ! ちょっと待ってくれ!」
今ここで彼女を呼ばれたら非常にまずい! つーか終わる!
この場は何とかしてこの二人を説得し、報告を思いとどまらせるしかない!
「ナァニィ?」
「ナニー?」
首をかしげながらこっちを見る。
よし、止まってくれた!
俺はそのまま二人を手招きし、顔を近づける。いわゆる内緒話の体勢だ。
「いや、アリスに知らせる前に少し相談に乗ってもらえないかと思ってね、うん」
「ソォダァン?」
「ソーダンー?」
キョトンとする二人。
「ああ…ちょっとアリスのことについて聞きたくてね…。今日の彼女、何か様子がおかしくないか?
俺が知ってる限り、いつもの彼女はあんな感じじゃないと思うんだが…」
「ソォダネェ」
「ヘンダネー」
二人が顔を見合わせる。やはりこの二人はかなり高度かつ独立した思考能力を持っているらしい。
ちゃんとアリスの変化に気づいていたみたいだ。
「だろ? …で、なにやら紙切れを見てたらああなったという事らしいけど…ほんと?」
「ゥン!」
「ソダヨー」
なるほど。と、なると…。
「んー…で、彼女の言葉も含めて考えると…、その紙に、俺が原因、かつ魔理沙がらみで、アリスが怒り出すような何かが
書いてあったわけだ。…どんなことが書いてあったか分かる?」
「シラナァイ」
「ミテナーイ! ナンデー?」
首を振る二人。まあ、最初にその紙を読んでからずっと持ってたようだし、無理も無いか。
「そっか…いや、それが分かれば謝るなり誤解を解くなりできたのにな…とか思っただけ。…手詰まりか…」
「ンゥ」
「コマッタネー」
三人そろって腕を組む。が、文殊の知恵は降りてこず、解決策はでなかった。
「…はあ、しょうがない。もっと手がかりを探すしかないか。…あ、ところで二人とも、俺のことをアリスに伝えるのはもう少し
待ってくれない? 今の彼女に見つかったら確実に殺されちゃうかr」
「ァリィス、ィタヨー」
「アリスー、イター」
「お約束っつーかドライだね君らぁぁぁぁっ!!(脱兎)」
再び始まる鬼ごっこ。
俺はとにかく走りまくった。今を生き抜くために。
ちょうどその頃、神社のほうに、もう一人来客が来ていた…。
「…で、突然現れたと思ったら何よ一体? ○○ならまだ妖夢と稽古でもしてるんじゃないの?」
「そう…彼にも話を聞いておくつもりだったんだけど、吹き飛ばされる前に申し開きの機会ぐらいは与えてあげるつもりだったから」
「だから一体何なの? さっきから聞いててチンプンカンプンなんだけど。後なんだか目がイってるわよ、あなた」
「気にしないで」
そういいながらお茶を飲んでいるのは魔女のパチュリー・ノーレッジ。
吸血鬼が住まう館「紅魔館」の一角を占める大魔法図書館の主である。
私、こと博麗霊夢は、突然やってきたこの魔女にせっかくの至福の時間を邪魔されてしまった。
コタツの中でまどろむのは気持ちがいいのに…。
「いいから事情を説明しなさい。くだらない事で叩き起こしたってんならそれなりの対応をするわよ」
ちょっとだけ殺気を籠めて言ってみる。するとパチュリーは怪訝な顔でこちらを見つめ返した。
「…知らないの? 今幻想郷中を騒がせている話なんだけど」
「だから何なのよ」
知らないから聞いてるんでしょうが。まったく。
「つまり見てないのね、今日の号外」
「号外? またあの『文々。新聞』?」
「ええ。…これよ」
言いつつパチュリーが件の紙切れを見せる。そこには…、
「な…何よこれぇぇぇぇぇっ!!?」
あとがき――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
こんにちは、37です。
「3話目」の「Aパート」をお送りします。(マテ
つか霊夢がほとんど出て無い…こんなんで大丈夫か自分。
文でなく妖夢のほうが本格的に出てきてましたね。予告を守れんですみませんorz
とりあえずBパートに続きます…
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
霊夢もの第3話、Bパートです。
本格的な戦闘描写に入ります。
…大丈夫かなぁ…(汗)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
突然だが、今俺は追われている。
いわれの無い(少なくとも俺にとってはだが)疑いでアリスに追い掛け回されているのだ。
あれから一進一退の状態が続いている。
平たく言うと、追いつかれては煙に巻き、また追いつかれ…という繰り返しが続いているわけだ。
「いい加減に観念しなさい!」
(言葉だけは)まともに戻ったアリスが、息つく間もなく攻撃を繰り出してくる。
槍を持った人形が飛び出し、乱れ突きを放ってくる。
「観念なんてできるかっ!」
俺は手にした2本の木刀に土の加護を、自分の腕に風の強化を施し、その乱撃を捌く。
妖夢に稽古をつけてもらって、何より弾幕ごっこに備えて動体視力の訓練(?)をつんでいなかったらできなかったであろう芸当だ。
もっとも完全に捌けるはずもなく何発かは食らうが、基本的に掠めるだけで致命的なものは何とか防げている。
そうこうしているうちに俺の左右に剣を持った人形が配置される。回転斬りか? 突進か?
槍を持った人形が下がり、剣の人形が寄ってくる。構えは…突進!
「させっかっ!」
俺はすかさず両手の木刀に風をまとわせ、左右の人形に投げ放つ。木刀は上手い具合に人形達を牽制し、突進をキャンセルさせた。
「余所見は危ないわよ!」
「!?」
いつの間にか前に出ていたアリスが、そのまま蹴りを繰り出す。まずい、木刀を手放した俺に迎撃の手は無い!
俺はとにかくよけようと動き、そして…
「いってぇ~っ!」
…情け無い話だが、運に助けられた。
どうにかアリスの蹴りをよけようと体をのけぞらせたとき、思いっきり足を滑らせたのだ。
が、これのおかげで蹴りをよけることができたばかりか、そのままゴロゴロ後ろに転がった事で距離をとる事もできた。
…すぐ後ろの木に頭をぶつけて、今後頭部を押さえてるところだけど。
そんな俺のところに、投げた木刀がまとった風に導かれるようにして戻ってきた。
すっこ~ん!
「☆*■※⑨…!」
いや、おれ今後頭部に手が行ってたから! 受け取れないから! ね!?(錯乱)
「……」
あ、アリスが何かバカにしたような哀れむような目で見てる。
畜生、どーせ俺は三枚目ですよ。
額を直撃した木刀はとりあえず足元に落ちたようで、俺はじんじんくる頭の痛みをこらえつつ木刀を拾い上げ、構える。
それを見たアリスはふわりと優雅なバックステップを見せ、俺からさらに距離をとった。
「…なんだかんだと言っても、ここまで粘るなんてね。森の中だから接近戦の方が良いかと思ったけど…
素直に弾幕で行った方が良かったわ」
言いながらゆっくりと浮かび上がるアリス。
よく言うよ、本気でかかられたら確実に最初の一撃でアウトだっただろうに。
少し前の俺では気づかなかっただろうが、アリスはなんだかんだ言いながら実はかなりの手加減をしていた。
本当に殺す気なら最初の一撃にもっと力か速さを籠めるだけで、俺はあっさり吹き飛ばされて事は成っただろうし、
先の人形による攻勢にしても、槍の攻撃はゆるかったし、もっと多くの人形で四方八方からいっせいに斬りかかられたら
確実に殺られていただろう。
聞く所によれば、アリスは戦い…主に弾幕ごっこにおいて、なかなか本気を出さない傾向にあるらしい。
今回の場合も、俺の実力をある程度読み取って、その上で俺を消せる最低限のレベルの力を振るっているのだろう。
馬鹿にされているのではあろうが、俺にしてみればむしろそれはありがたい話だった。
そのおかげで、とりあえず生き残れているのだから。
だが、いい加減彼女が焦れた様子を見せた事で、そうも言ってられなくなってきた。
少なくとも、これでアリスがギアを上げた可能性が大きいからだ。
「魔法とか霊力とかも使えないあんたがよくまあここまでがんばったものね、魔理沙の言ってた特製スペルカードのおかげかしら?」
「たぶんな」
俺は、自分のリストバンドの中のカードをに目を向ける。
魔理沙が、俺のために知り合いの魔女…とある魔法図書館の主、パチュリー・ノーレッジにたのんで作ってもらったというカード。
それは、充電機能を持ち、単一の属性に特化した汎用スペルカードであった。
基本的に、スペルカードというものは効果がカードごとにある程度決まっている。
しかし、例えば魔理沙の『ブレイジングスター』のように、基本は攻撃だが使おうと思えば移動補助にもなる。といった、
複数の使い道を持ちうるカードというのも無いではない。
汎用性に優れたカードは、効力こそ他のカードに比べて弱いことが多いが、汎用性があるというそれだけで上級に分類されうる。
それはなぜか、何のことは無い。できる内容のレベルが、それでも十分高いからだ。
というより、簡単なことなら自前の魔法でどうにかなるので、わざわざそんなカードを作る必要が無く、作るとしたらそれなりに
高度な術式の補助として用いられる場合が多いからである。
…が、それは力があるものの話。
俺のように魔力の魔の字も無いような人間には、そもそもその『簡単なこと』すらできない。
しかし、ここ幻想郷にいる以上、そんなことではいつ妖怪に食われるとも分からないので、見かねた魔理沙が骨を折ってくれた
結果が、今俺の持っている3枚のカードなのである。
魔法の術式に疎い俺のために、イメージで効力を規定できるようなシステムを構築し、そもそも俺には魔力が無いことを考慮して、
他者の魔力を蓄積(要は充電)し、それを用いて効果を発揮できるように調整してくれた。
結果、そちらにポテンシャルを割いた事で汎用性がやや低下したが、それでも初心者の俺には十分すぎるだけのカードに仕上がった。
3枚あるその属性はそれぞれ風、土、そして雷の3つ。
魔力の有無にかかわらず存在するという属性との相性を調べた結果こうなった。
ちなみに、作ってくれたパチュリーに礼を言ったら、
「久しぶりに初心に帰って作ってみたら、なんかいいアイディアが浮かんできたのよ、おかげで研究が一つまとまったわ。
こっちこそありがとう」
と言ってくれた。いい人だ。
人じゃないか。
「…さて、そろそろ覚悟を決めてもらうわよ」
とか何とか考えている間に、人形に囲まれていた。ぴーんち。
「まさかスペルカードまで使う事になるなんてね…。褒めてあげるわ、…さよなら」
右手の木刀は乱れ突きの特にヤバ目のを捌いたりしたのでボロボロ、左手のはまだましだがまず一本では意味を成すまい。
頭の痛みのほうはまあどうにか我慢できそうなレベルなのがせめてもの救いか。
とりあえず邪魔になる右手のほうだけ腰のベルトの後ろにさしておく。
如何にかしてこの状況から抜け出さないとならない。しかし四方八方を人形に囲まれたこの状況では…。
…人形?
「……」
試してみる価値はあるか。
人形達の手に魔力がみなぎり始めてきた。
…来る!
「蒼符『博愛の仏蘭西人gy」
「うりゃっ!」
その瞬間を狙って右手を突き出す。
一瞬閃光で視界が満たされ、雷光が網目のようにスパークする。
「っ!!?」
わずかにひるむアリス。さすがに宣言の真っ最中に攻撃を食らうと言うのは…意外にあるかな? まあとにかく。
俺はその『効果』を見届けると即座にその場を離れる。
…とりあえず『死』は先送りにできた。
「く…最後の最後まで悪あがきを…!」
閃光にくらんだ目がようやく慣れてくる。
気づいてみればあいつを追いかけ初めてからかなり経っているようで、すでに日は傾き始めていた。
まったく、手加減してやっていたとはいえここまで粘るとは、生き汚いと言うか何と言うか。
「まあ、それもここまでなのだけど」
とりあえず人形達に号令をかける。今度こそあの『魔理沙と私の敵』に引導を渡してやらねば。
そして…
「…? あなた達?」
人形達の動きがぎこちない。いつもなら号令一つですぐ応えるのに。
と言うかそれぞれがなんともギクシャクしている。
腕が動かない子もいれば、足が動かない子も。
「どうしたの? …っ!? こ、これってまさか…!?」
糸が、切られている。人形達の操り糸が。
何故?
誰かが切ったから。
誰が?
多分あいつが。
何時?
おそらく逃げる直前。
どうやって?
考えるまでも無い。
「あの一瞬の雷は…ただの目くらましじゃなかったってこと…!」
……拝啓、魔界のお母さん。
私、何か今すごく悔しい気持ちがわいてきてます。
思いっきり殺っちゃっても…いいですか?
心の中のお母さんは、アホ毛も凛々しく私に向かいぐーに親指を立てて応援してくれた。
ありがとう。アリスは殺るわ、お母さん。
「上海! 蓬莱!」
「ハーイ!」
「デバンデバンー!」
「行くわよ!」
これよりわれらは修羅に入る!
「「アリスーっ!」」
「え?」
かけられた声に振り向くと、そこにいたのは…
あとがき――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
こんにちは、37です。
「3話目」Bパートです。
ちなみに○○(主人公)のスペルカードには特に名前がありません。
形状はカードというよりお札で、左手のリストの下に風と土の2枚が、右手のほうに雷の符が入ってます。
今回の戦闘描写はどうだったでしょうか、この作品の場合、外から来た一般人の主人公があんまり強すぎても微妙な気がするし、
さりとて弱すぎれば瞬殺されるし…正直に言ってバランスのとり方がよく分かりません。
今回はやや強くしすぎた感があります。
先日のエピローグではこのエピソードの後ルーミアにコテンパンにされる事になっていたのですが…どうやって!?
色々気を使ってはいるんですが…厳しいです。
CMの後もまだまだ続く!(マテ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
霊夢もの第3話、Cパートです。
新聞のあたりは黙認してくれるとうれしいです。
暴走メンバー追加! さてどうなる事やら。
…本当に大丈夫かなぁ…(汗)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
アリスとの(俺だけ一方的に)命をかけた鬼ごっこを始めて、かれこれどれだけ経ったやら。
いい加減なんで追い掛け回されてるのか理由が知りたいところなんですがどうでしょう。
…今俺はまたもどうにか彼女を振り切り、落ち着いたところである事を試していた。
「…ふむ、即席にしては良くできたほうか」
俺は、『たった今作ったばかりの』新しい剣の使い心地を試している。
と言っても何のことは無い。土の符の力を借りて、石から木刀ならぬ『石刀』を作っただけの話だ。
土くれや石から武器を作るのは、実は前々から考えていたアイディアで、今回はそのお試しと言うわけである。
…いきなり実戦投入とは思ってなかったが。
まあ、最初に持っていた木刀が2本ともかなりボロく(内1本は致命的)なっているので、仕方ないと言えば仕方ないが。
ちなみにその木刀は、もったいないので腰にさしている。…いや、実は使い道のネタがあってね?
反対の手にはもう一本、表面がざらざらの砂地のような質感の剣がある。これまた小細工の作品だ。
割とエネルギーを使うようでもあるし、とりあえずここまでにしておく。
こうなったら、これでどうにかこの場を切り抜け、霊夢に助けを求めるしかなさそうだ。
次にアリスにつかまったら、生存率はかなり減るだろうから。
「…って、もう来たのか…」
何かが飛んでくる気配を肌で感じる。こんなものまで読める様になるとは、俺も少しは強くなれたんだなぁ。
…こういう形で実感したくは無かったが。
「相当怒ってるな…」
気配の主はかなりのご立腹のようで、怒りの気配がビンビンに伝わってくる。
どうやら最後に逃げたときの小細工がかなり頭に来たようだ。感じるパワーはまるで今までの3倍以上。
と言うか3つに増えてるようにも感じる。紅い角付きもびっくりだ。
「…って、増えてる?」
俺が疑問を感じ、問題の方向を見上げると、そこには…
「○○! 見つけたわよ!」
「……マジかよ……」
霊夢がいた。
アリスと、さらにはパチュリーまで従えて。
…さっきまでのアリスと、同じ目で。
「これは…死んだか…?」
頼みの綱が敵だしなぁ…どないしよ。
あー、頭痛い。
続く。
…とか言ってると続編では墓の下になってそうなんでサクサク行こう。
「現実逃避はすんだかしら?」
「まあ大体は」
つか今でも夢であってほしいんですけど。
「何か申し開きはあるかしら?」
「その前に状況を説明してもらえないものかね」
パチュリーもなんかイッた目をしてる…
「白を切る気? この期に及んで姑息なことね」
「姑息とか以前に基本的なものが欠落してませんか?」
アリスは相変わらずだな。
「どうもよく分からんのだが…、俺は結局なんで皆に命を狙われなきゃならんのだ?」
「だから白を切るなと…!」
「アリス、待って」
再び爆発しそうになるアリスを抑えたのはパチュリーだった。
「何よ」
「…彼、本当に知らないみたい」
「え?」
キョトンとするアリスに、パチュリーが説明をする。
「あの号外を読んでないようなのよ。彼」
「ええ。私もさっきパチュリーに見せてもらって知ったわ」
「ええ?」
霊夢の補足に、さらに驚いた顔のアリス。
なにやら雲行きが変わり始めたか?
「あー、よく分からんが、少なくとも俺は今回何ゆえお前らがそこまで暴走するのかまったく理解出来ん。
ついては何ゆえこんな事態になったのかの、説明を要求したいのだが…。つか号外って何?」
「これよ」
パチュリーが答えとともに何かの紙束を投げ落とす。
…その紙束は俺のところに落ちる前に、風に舞って飛んでいってしまった。
「…」
「…」
「…」
「…」
いやな沈黙。
全員がその紙束の飛んでいったほうを一瞬見…、
コホン、と一つ咳払いした。
「アリス、お願い」
「あー、そうね…上海、届けて」
「ハーイ」
「そうだよな、そこは流すよな…」
「あんたは黙ってなさい」
ややあって、上海人形から渡された紙束は、号外と言う言葉から予想できた通りの『文々。新聞』だった。
で、その内容は…
『黒白・紅白・三角関係!?』
巷で有名な博麗神社の巫女、博麗霊夢と、魔法の森のお騒がせ魔法使い、霧雨魔理沙が、ある一人の男性をめぐって三角関係の
状態にあることが某日発覚した。
話題の男性は、最近博麗神社で居候をしている○○さん(人間)。事故により外の世界からやってきたという彼の話は割と有名だが、
彼に対して、家主であるところの博麗霊夢さんが、どうやら並々ならぬ、おそらくは好意と呼べるものを持っているらしいこと。
さらには、外の世界に興味を持っていたという霧雨魔理沙さんが、彼から外の世界の話を聞くためにちょくちょく博麗神社に
通っていたと言うことはあまり知られていない。
私自身も実はいつものようにお茶を飲みに行っていると思っており、まったくのノーマークであった。
~中略~
この件について、実験等で忙しい中、件の魔理沙さんに話を聞くことができた。
魔理沙さんは「ああ? ○○のことか? ああ、結構好きだぜ。あいつといると楽しいしな。あ、実験中なんでこれで」と、
今回の件を一部肯定する返答を返してくれた。
ほかにも…
~以下略~
( ゚д゚)…。
(つд⊂)ゴシゴシ
(;゚д゚)……。
(つд⊂)ゴシゴシ
_, ._
(;゚ Д゚)……!?
「(;゚ Д゚)ハァ? ネタか?」
思わずそう突っ込んでしまうほどにわけの分からん内容がそこにあった。
読み終えた記事によると、俺は霊夢と一緒に暮らしていくうちに好意を持つが、同時に霊夢もまた好意を持っているらしい。
前半部は一応正しいし、これだけなら願っても無い話だが、問題はその次だ。
魔理沙が神社に来るのは俺が好きだから? 確かに外の話はよくするし、ちょくちょく聞きに来るが、それだけだろ?
俺のほうもまんざらでなさそう? そもそもそんなことにまるで気づいて無い人間がどうまんざらじゃないんだよ!
本人の証言にしたって、好きの種類が恋愛か友情か分かんねぇだろそれじゃ!
つかこれじゃまるで俺は二人の女の子の恋心をもてあそぶ大罪人のように読めるのだが?
ご丁寧に俺と魔理沙が手をつないで見つめ合っているような写真まで添付されている。
いやこれこの前の充電のときだろ、あれは…
「ネタか? じゃ無いわよ! あんた魔理沙をもてあそんでおいてよくもそんなこと言えるわね!」
「魔理沙の頼みだからあなたにカードをあげただけ、恩に着せる気は無かったけど…これが所謂、仇で返されると言う奴かしら?」
「あ・ん・た・はぁぁぁぁーーーーっ!」
何かみんなヒートアップしてます。特に霊夢マテ、ときに落ち着けって。
「てゆーかさ、お前ら落ち着け。これあの天狗が書いたんだろ? 記事にする前に事実関係思いっきり改変してそうなあの天狗が」
「…それで?」
声が届いたか祈りが通じたか、霊夢が少し落ち着いた声でそう聞いてくる。
別にあの天狗が意図的に歪めてるとは言わないが、ゴシップ好きという天狗達の性格は散々聞かされている。
近所のおばちゃん達の井戸端会議が往々にして思いっきりおかしな方向へ飛躍するのと同様、これだって記事にする前にいろいろと
誤解の洗礼を受けていると見えて、ぶっ飛びすぎているのは確かなわけで。
「いやだから、こうして俺どころか霊夢の所にも行ったのなら、魔理沙の所にだって行けばいいだろうが。事実確認ぐらいしてから
ここに来てるんだろうな?」
「何言ってんのよ、そんなことできるわけ無いでしょ?」
「なぜ?」
即答するアリスに問うと、代わりにパチュリーが答えて曰く
「そんなことで魔理沙の研究の邪魔をして御覧なさい、下手に失敗なんてことになったら私達が嫌われちゃうわ」
人の生き死ににかかわる重大事をそんなことで片付けないでいただきたい。
「それは明らかに問題だぞおい! つかそれで人をぶっ飛ばそうとすんなよ!」
「うるさいわねぇ…。 分かったわ、なら魔理沙に聞く必要があるかどうか、多数決で決めましょ」
「いや多数決って、明らかにこっちが不利じゃん!」
「大丈夫よ、決めるのは私たち3人でも、あなたでも無いから」
「?」
「では、『魔理沙に聞きに行くまでもなく、ここで○○を殲滅でOK』という陪審員は手を上げて」
ばばばばばっ(←挙手)
「満場一致で即時殲滅に決定しましt」
「おーいこらぁ! 陪審員ってみんなお前の人形じゃないか、んなのありかゴルァァァァァァァァァッ!!!!」
「民主的な決定ね」
「うん、一部のすきも無いわ」
「穴だらけじゃぁぁぁぁっ!」
つか霊夢まで何故に!? まさか…
「他の二人は分かるが霊夢、まさかお前今から魔理沙の家にいくと寒いからだとかじゃねぇよな、反対理由」
「さ、判決はでたわ。覚悟しなさい」
「答えろぉぉぉっ!?」
何か俺今日叫んでばっかしだ…
と嘆くまもなく、足元に突き刺さる霊夢の針。
「グダグダ言わない、もうこれは決定事項よ、魔理沙をどうたぶらかしたか知らないけど、女の敵は殲滅するわ」
「そうね、覚悟はいい?」
「これで魔理沙も目が覚めるでしょ」
もう突っ込む気も起きないや…
「…一応、俺は悪くないし、この記事に書いてあるのは誤解だ。といっておく」
「…そう、でも、それを私達が信じると?」
ゆっくり剣を構えながら言う俺に、アリスが人形を展開させつつ問う
「まさか、一応、と言ったろ? 期待しちゃいないよ…。ただ、自分が正しいと思ってるから、抵抗はさせてもらう。
まあ、今まで逃げ回るのに結構頑張ってたから、体力的にもその他的にも次がラストだろうがね」
「好きにしなさい」
腰を低くしつつ、三人のほうを見据えながら答える俺に、パチュリーが魔力を高めながら言い放つ
「…勝ったとしてもホームレス、負けたなら言うまでも無く、運命って残酷だねぇ」
「自業自得でしょ…バカ」
ため息をつく俺に、そんな声をかける霊夢。
さて、ではそろそろ始めるか、この『悪の女たらし懲らしめ劇』を
「行きなさい!」
アリスの号令とともに、上海と蓬莱が弾幕を放つ。
それを皮切りに、魔力弾が、お札が、襲い来る。
「はぁっ!」
構えを取りつつカードに残った風の力を解放、バリア代わりにする。
初めの、おそらくは牽制であろう弾幕がその弾道をそらされていく。
「そんなもの!」
「上海! 蓬莱!」
パチュリーが大きめの魔力弾を形成し、放ってくる。
さらには人形達のレーザーのおまけつきだ。まともにくえば終わるだろう。
が、しかし、こっちは別にバリアで篭城するつもりでこんなものを出したわけではない。
「ぐっ…!」
あわやというタイミングでなんとか魔力弾をかわすも、レーザーに片足を焼かれる。
痛みを通り越した感があるが、とりあえずは如何にか持ちこたえ、踏みとどまって両手の剣を投げ放つ体制をとる。
それぞれの剣に、特に右手の石刀に、バリアだったはずの風が集まってくる。
…さすがに無理をさせすぎたようで、もはや両手がかなり悲鳴をあげている。しかし、止まるわけにはいかない。
「落ちなさい!」
霊夢の針が盛大に体を掠める。目のそばを切った。大丈夫、腕はまだ動く。
「さてと、行こうか…!」
何とはなしに、浮かぶもの。
このつたない最後の抵抗に、ちょっとした、名前を。
「行け…!」
双魔飛刀『風岩・雷砂』
おそらくは最後の力で放たれたのであろう2本の剣は、しかしまったく見当はずれな方向へ飛んでいく。
「っ…!? どっちをめがけて…?」
「気をつけて二人とも! あいつの剣は踊るわ!」
「踊る…? なるほど!」
アリスの警告を理解するが速いか、風をまといブーメランと化した剣が急角度で死角から飛んでくる!
「この程度!」
私はそれを危なげない動きでかわす。伊達に当たり判定が小さいわけじゃない!
「素人にしては面白い使い方だけどね…」
パチュリーもそう呟き、かわしたり捌いたりしている。ちょっと障壁をはって軌道をそらしてやればなんて事は無いようだ。
「その手は何度も見てるのよ!」
アリスもアリスで、優雅に回避運動。とはいえ、○○を攻撃しながら相手するにはちょっと厄介な感じなので、
みんな攻撃の手が少しゆるむ。下では○○が延々と、緩んだとはいえまだまだ激しい私達の攻撃をかわしていた。
…いや、何発か当たってはいるが、すぐ体勢を立て直しているようだ。ガッツあるのね…。
意外と長続きするわね、あいつもこのスペルも…。
「おっとぉ!?」
さらにもう1本の剣が飛んでくる。難易度が上がった? まあかわせるけど。
観察してみると、2本の石の刀を飛ばすスペルのようだ。片方の、滑らかな石でできた方は強い風をまとっており、勢いもあるし、
よく動く。
私たち3人の間を縫うようにして飛ぶそのさまはまるで鳥のようだ。
あとから加わった砂っぽいほうはそう強い風をまとっているわけではないようで、動きは単調。でもよく見るとぱりぱりと
放電しているのが分かる。まともに食らったら気絶するかも? 何気に上手く2本の連携が取れているし。
かわせるけどね。
…よくそんな詳しく分かるなって? 弾幕ごっことかしてると動体視力が良くなるのよ。
そうして2本をかわし続け、回転がゆるくなり始めた頃…
「あつっ!」
不意にアリスが顔を覆って痛がりはじめる。
「くっ!?」
続いてパチュリーまで、でもどうして? 別に刀にぶつかったわけでも、放電に触れたわけでも無いのに。
不意に、こっちに飛んでくる2本目の刀が目に入る。
かなり回転がゆるくなっている様子のそれは、ざらざらした表面が空気摩擦で均されたのか、所々きれいな表面を
さらしているようだった。
そう、まるで『木目のような』表面を。
「…まさか…っつぅっ!?」
突然の目の痛みに思わず顔を手で覆う。やっぱりそういうことか…っ!
素人にしては強力な攻撃、しかしただかわせばいいだけのスペル…に見せかけて、実はそれさえも布石。
この攻撃の目的は私達の撃墜ではなく…!
涙目でどうにか半目を開き、あいつを探す。そこには…
「おおおおああああっ!!」
3人の動きが止まり、攻撃がやむとともに、唯一腰に残したボロボロの木刀を手に取る。
ここから先は時間との勝負、向こうが回復する前に落とす!
取り出した剣の柄に、右手のリストバンドの下から取り出した『雷』のカードを押し付ける。
そのまま左手でカードごと握りこむように柄頭を持ち、ちょうど一刀流の持ち方で『八相の構え』をとる。
柄頭の符から剣先にめがけて雷が走り、そのまま伸びて巨大な雷の剣と化す。
そのさまは、まるで話に聞く禁忌『レーヴァティン』の炎の剣のようだった。…まあ俺自身ははそのカードのことは知らなかったが。
「ぐうぅぅぅぅ!」
雷の大剣を構えた両腕が更なる悲鳴を上げる。だがあと少し、この一撃だけもってくれ!
準備ができるとほぼ同じく、回復したのか3人が動き始める! …今しかない! 3人まとめてなぎ払う!
「ぅらあぁぁぁぁぁっ!!!!」
俺は、最後に残った渾身の力で、大剣を振るった。
そしてその直後、衝撃とともに意識を失った。
最後に思った事は、「ああ、俺くだらないことで命張ってんなー」だった。
…誰か愛をください。
あとがき――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ダンザイ・バーストォ!
藪から棒にすみません。37です。
「3話目」Cパートでした。戦闘シーンはここで一応の一区切り…かな?
霊夢ものの割に霊夢があんまり出てこないと言うか目立たないのがどうにも…(;--)
ちなみに、主人公の戦闘スタイルには元ネタがあります。
一つは気付いた方も多いかもしれませんが、「Fate」のアーチャーです。
もう一つはセガサターン・プレイステーション用RPG「ルナ2・エターナルブルー」の主人公
「ヒイロ」だったりします。
彼の技に「クロスブーメラン」と言う、風に乗せて2本のブーメランを投げ放ち一体にダメージを与えるものがありまして、
○○の剣投げはそれを大きな元ネタにしてます。
最後の一つは…このあとがき最初のアホ発言がヒントです。かなりマイナーらしい格ゲーからです。
もっとも最後の技のイメージネタにしか使ってませんが。
後、風岩・雷砂についてですが、攻撃名でなく実は武器名で、オリジナルだったりします。あんまり関係ないけど。
では、Dパートへどうぞ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
霊夢もの第3話、Dパートです。
一応戦闘もひと段落、ほっと一息です。
…まだまだ先は長いけどねorz
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「…っと、お……さい! ねぇ、ちょっと! …きな…いってば! ねぇ!」
「う…?」
頭がガンガンする。両腕が痛い。
だが、何か暖かいものに包まれているような感覚。
聞き覚えのある誰かの呼ぶ声に導かれるまま、俺はその目を開いた…。
「…あれ?」
目覚めてみれば森の中、目の前になぜかアリスとパチュリー。ちなみに俺は横になっているようだ。
混乱する頭が目覚め、記憶がはっきりするとともに、現状がゆっくりと、理解できて来た。
「そか…だめだったか、結局」
ポン、と片手を額に置く。
まあ、仕方が無いといえば仕方が無い。むしろあそこまでやれたのが奇跡に近いんだ。
次また同じようにやれと言われても、絶対できない。断言できる。
「ええ…そうね」
パチュリーがそういいつつしゃがみ込み。俺と目の高さが近くなる。
彼女のつむいだ次の言葉は、俺の思考を止めた。
「でも多分…私達の負けよ」
「…は?」
いや、訳が分からん。
俺の最後の一発は結局かわされたんじゃないのか? だから反撃で俺は気を失ったんじゃ…
「訳が分からないって顔ね」
アリスの苦笑しながらの言に、コクリと頷く俺。
「あの時あんたの剣は、確かに直撃コースだったのよ。しかも3人全員にとっての」
「ところが、一番近かった私にあたると思った次の瞬間、剣がふっと消えたの」
「何事かと思ってみれば、あんたが倒れ臥してた訳」
「つまり、すんでの所で私達は、あなたの体力切れに救われたって訳ね」
「試合に勝って勝負に負けたって所かしら?」
やれやれ、と肩をすくめるパチュリーとアリス。いや待てマジかそれ、俺が勝ってた? この3人相手に?
「…冗談にしては笑えんな…」
「冗談じゃないわよ。て言うか、起きたならとっととどいてくれない?」
「え?」
言われて声の方…つまり、俺の真上を見る。
そこには、むすっとした顔の霊夢がいた。って言うか、これってまさか…
「ひひひひひひひひ膝枕っ!?」
叫びとともにあわてて飛びのく俺。
だが、そんな俺の反応が気に障ったのだろう、霊夢がさらにむすっとした顔になった。
「何よそれ…」
「あ…。い、いやすまん。ついその、びっくりしたと言うか、予想外すぎたと言うか…」
「…いいわよ」
そう言ってそっぽを向く霊夢。
(つД`)アチャー、だいぶ怒ってるよ。
って、こっちも殺されかけたんだっけ…
「…で、結局俺はどうなるんだ? この状況からすると、とりあえずあんたらの考え次第ってことになるだろうけど」
とりあえずそう、パチュリーに聞いてみる。
たとえ勝てていたとしても、結局倒れたのは俺だしな。
これが普通の妖怪との戦いだったらとっくに食われてる。
「…ごめんなさいね、あんなことして」
「は?」
思考停止2。つーか今度は何言い出すんだこの人は。
「あー、話の展開が読めないんだが、どゆこと?」
「…あなたが気絶したあとね、私達、揃いも揃ってちょっと呆けてたのよ」
「で?」
「そうこうしてるうちになんだか頭が冷えてきて…何やってるのかな私達はって、なんだか思えてきちゃって」
続けて言うアリスに、そっぽを向いたままの霊夢。
あー、それは要するに…
「…つまり、許す許さないはともかくなんだか馬鹿馬鹿しくなってきたからやーめた、と」
「そういうことともちょっと違うけど…」
「いや、まあいいさ。とりあえず命の危機は去ったようだし。…これで誤解も解けたら言う事無いんだがね」
「その事なんだけど…! ちょっと待って」
何かを言いかけた(多分改めて事実確認をしようとしたんだろう)パチュリーだったが、何かに気づいて止まる
「どうした?」
「…念話が…リトルから…」
「司書さんのほう?」
コクリと頷くパチュリー。
ここで紹介しておこう。
リトルというのは、紅魔館内においてパチュリーが館長を勤める大魔法図書館に住む、小悪魔の姉妹の名前だ。
もっとも、本当の名前では無いらしい。『悪魔は基本的に本名を使わない』というのは、悪魔関連の初歩の知識だそうだ。
本名を知られてしまうとその悪魔の行動に重大なペナルティが科せられるらしいが…よく分からん。
彼女らが図書館にいる理由だが、何でも、パチュリーが、お手伝いさんを募るつもりで召喚したのだが、このときちょっとした
事故があり、目的の存在におまけがついてきたのだそうだ。
姉のほうは、物静かで真面目な、働き者の女の子、悪魔というにはイメージがやや離れすぎたというか、少なくとも普段の彼女を
見る限りは、羽をつけ間違えた天使の様にも思える子である。パチュリーは最初この子のみを呼ぶはずだったらしい。
妹のほうは、元気でやんちゃな、いたずら好きの女の子。姉をそのまま小さくしたような外見だが、行動の節々からして、こっちの
ほうがなるほど『小悪魔』チックに見える。事故でこの子がついてきた。
召喚事故に気付いたのが、契約の『名付けの儀式』の後だったらしく、『召喚されたもの』に対して行われた『名付け』は、
結局姉妹二人ともに有効とみなされてしまった。
まあ、妹は姉から離れたがらなかったし、姉は姉で妹をひとり残すのが心配ではあったようなので、ある意味結果オーライと
言えなくは無かったらしい。
結果、姉は司書としてパチュリーの補佐をする事となったが、妹は…いたずらをするようになった。
しかし、変化の少なかった当時の紅魔館においては、彼女の『活躍』はちょっとした変化をもたらし、退屈を吹き飛ばしたため、
心労こそ増えたものの、おおむね歓迎されたのだった。
「で、何だって?」
「今、つなぐのよ…」
どうでもいいけど…なぁ~んかいや~な予感がするんだがなぁ…。
リトルからの突然の念話に、私はいやな予感を感じた。
こういうときの念話は、いい事であったためしが無いからだ。
たいていは悪いほう、それも、クリティカル(致命的)な。
(どうしたの? リトル)
(パチュリー様…大変です…妹様が…フランドール様が…)
「妹様が? 何があったの!?」
怪我でもしているのか、かすれた声で途切れ途切れに話すリトルの言葉は、少なくとも私のいやな予感を肯定するには十分だった。
妹様がかかわる話となると…最高にクリティカルだ。
(妹様が…図書館に残しておいた号外のもう片方を…)
「…読んじゃったの!?」
最悪だ。
冷えた頭でもう一度彼の証言を聞こうと思っていた矢先にこの展開とは。
暴走の報いだろうか? まったく魔理沙は…いつもいつも人を散々引っ掻き回すんだから…。(←今回は微妙では?)作者は
黙ってなさい。…作者って誰?
(妹(リトル)が読ませてしまったみたいで…)
(あの子は…。それで? 二人はどうなったの?)
(妹はその…吹き飛ばされて盛大に目を回してます。今も目を覚ましません。フランドール様は…)
(どうしたの? はっきり言って!)
(その…『○○って奴を壊してくる』と言って…外に出てしまわれました!)
「なぁっ!?」
そんなバカな! 今にも沈みそうとはいえ太陽はまだ輝いている。そんな中を飛び出したら…。
「妹様が飛び出した!? それでどうなったの! 妹様は無事!? 咲夜や門番は何してたの!」
(それが…日光の下なのに平気な顔で…それどころか、いつもならかなりてこずられていた咲夜さんたちお二人のタッグを、
今日に限ってあっさり秒殺してしまわれまして…)
「うそ…」
(おそらく、能力を使用して自分に降り注ぐ日光、もしくは『吸血鬼は日光に弱い』という法則を破壊されたか、あるいは…
『太陽光克服者(デイウォーカー)』の能力に目覚められたのでは…)
「……」
開いた口がふさがらない。
妹様のことだから、おそらく原因は号外の…魔理沙のところだろう。
私でさえ周りが見えなくなったくらいだから、いわんや妹様をや…と思い、隠していたはずなのに…。
愛はいろいろなものを超えると言うけど、もうここまで来るとデタラメだ。
『欲するもの、常に最悪を心がけよ。事態は常に、その斜め上を行く』
何かの本で読んだ内容だが、まさしくその通りだと思った。見事に斜め上を行ってくれた。
(とにかく、フランドール様は最大戦速でそちらに急行中です。急いで対策を…)
「わ…分かったわ。ありがとう、リトル」
そういって念話を切る。とにかくこのメンバーに警告しないと。
「なあ…妹様が飛び出したってどういうことだ?」
「え!?」
何で○○がその事を!? まさか念話の内容を読んだの!?
「いや、声に出てた」
「あ…」
思わず赤面する。しまったわね、この私とした事が。
「で、どういうこと?フランドールが飛び出したって」
「あの傍迷惑な妹が外に出たの?」
霊夢とアリスも問い詰めてくる。それはそうだろう、この二人…特に霊夢は妹様の力を良く知ってる。
外には出せないレベルの強力な存在であると言う事を。
「つかさ…そもそもその…フランドール? って誰?」
場の時間が止まる。ああ、そういえば彼は会った事はなかったわね。うん。
「天中殺か? 今日は…」
話題のフランドールなる人物の事を聞いていてそう思った。
フランドール・スカーレット。
吸血鬼が住まう真紅の館、紅魔館の主にして、500年を生きる吸血姫、レミリア・スカーレットの妹にあたり、
姉を超えるほどの潜在能力と深遠なる狂気を併せ持つ『悪魔の妹』
495年を生きる吸血鬼であるが、その時間の多くを紅魔館の地下で過ごしてきた少女。
去年の暮れごろ、人数が少ないながらも行った宴会で見かけた、あの見た目は少女だが存在感やプレッシャーはとにかくすごく
感じた姉。
その時起こったハプニングのせいで恐怖はだいぶ払拭され、むしろ親しみやすさを感じるようになった彼女だが、もしもそれが
無かったら、あるいは彼女に何らかのトラウマでも植え付けられたかもしれないな。
そんな彼女さえも警戒する『妹様』が、今俺を狙っている。
…あの号外のせいで。
…あの天狗め…化けて出てやる…。
「とにかく、私は妹様を探してみるわ。アリス、悪いけど手伝ってくれる?」
「え!? わ、私? あー…。…仕方ないわね…分かったわ」
そういって飛んでいくパチュリーとアリス。
とりあえずこっちもなんか準備しないとだめかな?
と言ってもすでに満身創痍なんだがな…
「あ、霊夢、俺の剣とかどこ行ったか知らないか?」
「飛び回ってた奴ならあんたが倒れてすぐ魔力切れになったみたいでどっか行っちゃったわよ。最後に振るってた奴なら…そこ」
そういって指差した先にあったのは…炭と灰だった。
「あー…」
「ま、あれだけ激しい雷を纏わせてたらねぇ…。心配しなくても符のほうは無事だから、はい」
そういって符を渡されるが、受け取ろうと手を伸ばしたとたん激痛に襲われる。
「っぐ…」
「ちょ、ちょっと、大丈夫!?」
「あー、まあ、昼ごろから無理のし通しだったからなー」
「そんなのんきに言ってる場合じゃないでしょ! ああもう!」
どうにか手当てをしようとわたわたする霊夢。ありがたいけどちょっと笑える。
「なによ」
睨まれた。
「はぁ…。まあいいわ。神社に行って薬箱持ってくるから、ここにいなさい。変なとこ行っちゃだめよ!」
霊夢はそういうと、お札で簡易結界を構築しその中に俺を放り込んだ。
「出ちゃだめよ!」
「はいはい」
霊夢の念押しに苦笑しつつ答えると、まだ気になるのかこちらをちらちら見ながら飛んでいった。
さっきまで張り倒そうとしていたくせに、妙に心配性だな。まったく。
「よっ…と。…あ痛つ」
張ってもらった結界はそんなに狭いものでもないようで、とりあえず立ち上がる事ぐらいはできる。
そんなわけで、不測の事態に備える意味でも立ち上がっておく。
どこぞの剣豪じゃあるまいし、座った状態からすぐ反応なんて出来やしないからな。
一応の状況確認。
現在、アリス、パチュリー、霊夢の3人とは停戦状態。
この辺はまあ後々の質疑応答でどうなるか決まるだろう。
目下の問題はフランドール・スカーレット。
俺を探しているらしいが、おそらく神社へ向かった事だろう。となると、先に探しに行ったパチュリーやアリスと、
あるいは神社の霊夢と鉢合わせする可能性が高い。
どっちかが食い止めてくれる事を期待しよう。
俺自身の状態。
両腕がほぼ使い物にならない。かろうじて動かす事はできるが、激痛を伴う。これは筋肉が切れたか…?
片足がきつい。レーザーの直撃で火傷したみたいだ。バランスをとるのに一苦労。
頭は前後にタンコブが一つずつ。片目のそばを切ったんで血が出ている。…いや、今は止まっているか。手当してくれたのかな?
その他の部位についてはおおむねOK。弾などがかすったときの傷で血が流れていたが大体止まっている。
武器は…なし。一番近場のはもう炭だし、飛んでいった2本を探すのは今の俺では自殺行為だ。
符は…やはりだめだ。風と雷の符はともに魔力切れを起こしている。土の符の魔力も残り少ない。
風の符なんかは結構充電容量を増やしてもらってたつもりだったんだが…さすがに使い通しだしなぁ。
結論、見つかったら絶望的。
「…さて、問題です」
こういうとき、天中殺の俺にはどんな展開が待っているでしょう?
「3」
「2」
「1」
「…ぜ「見つけた、写真の奴!」」
…やっぱり
あとがき――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
37です。
「3話目」も中盤を過ぎ、Dパートまで終了しました。
ここからフランドールとのやり取りになるわけですが、さてどうなる事か…
戦闘描写の予定はありません。と言うか満身創痍の彼ではどうにもなりません。
あってもごく短いものになる予定です。
このあとがきを書いている時点でまだEパートは書き始めたばかりです。
年内に終わるかは微妙なところでしょう。
ひょっとしたら禁断のFパート!? …行きそうです。この調子だとorz
とにかく、書くと決めた以上は最後までがんばります。…やめろと言われない限りは。
では、Eパートでお会いしましょう。
>>341
───────────────────────────────────────────────────────────
ずるずる…
つるつる…
○○「…ん? 霊夢、始まった、始まった」
霊夢「え? あ、ホントだ」
○○「ども、おそば食べながらで失礼します。37ワールドの○○と霊夢です」
霊夢「年末年始なんで、折角だから年越し書き込みしてみようという事で、今回37の代わりにここ、神社わきの特設かまくらからお送りしてるわ」
○○「まずは境内の魔理沙さーん」
魔理沙「霊夢ぅ~○○~寒い~勘弁してくれ~」
霊夢「(無視)魔理沙さーん、皆さんの調子はどうですか~?」
魔理沙「寒いぜ~寒すぎるぜぇ~何で大晦日の夜まで修繕作業やらなきゃなんないんだよぉ~(泣)」
霊夢「クリスマスの件をもう忘れましたか~ぁ?(ギリピキィ)」
魔理沙「私達が悪かったからぁ~謝るからせめて今日と三が日くらいは…」
霊夢「(無視)では次にいきましょ~」
魔理沙「霊夢ぅ~(プツン)」
○○(お、鬼だ…(汗))
霊夢「さて、では次のコーナーです」
○○(コーナー?)
霊夢「37からのレス返しと感想のコーナーよ。はじめるわ」
○○「まず>>328氏から」
霊夢「で、デレデレって、別に私はデレデレして無いわよ!」
○○「そうそう、二人きりとかあまりにたれたりした時とか以外は全く」
霊夢「○○!(ぽかぽか)」
○○「あた、あた、あた!」
霊夢「それに言うに事欠いて四十八手って…!」
○○「うわあ、なんだか余計理性が飛びそう」
霊夢「バカ!」
○○「でも328さん、俺も最近知ったけど実は対面に座ったときに出来る奴で
「こたつ隠れ」なんてものもあったりとか(どすどすどすっ!)…エクスターミネーションはどうかと…(←瀕死)」
霊夢「フン! だ」
○○「続いて>>342氏と30人目氏」
霊夢「続きのリクエスト、どうもありがとうございます!…なんかなれ初めの紹介って感じで私は恥ずかしいけど…」
○○「中休みに紹介予定のラジオドラマにて、完全版を放送予定です。お楽しみに~」
霊夢「30人目氏のけねもこものも最高でした! ○○災難でしたね、次も期待してます!…37からでした。」
○○「何か俺までお尻が痛く…(ハァァ…フゥゥ…)…なんかきこえたぁぁぁぁぁっ!」
霊夢「? …気のせいでしょ? 次いくわよ」
○○「うす…(ビクビク)」
霊夢「>>355(349)氏の妹紅もの」
○○「何と言うか…壮絶でしたね」
霊夢「ホント…なんかぐっと来たわ。…あんなふうに想ってもらえるって…幸せよね」
○○「…一応俺もそのつもりなんだk」
霊夢「はいはい、惚気を電波に乗せない!(赤面)」
○○「うす。355(349)氏、お見事でした!」
霊夢「>>356氏もリクエストありがとう」
○○「衛宮士郎っすか…む~…」
霊夢「戦闘スタイルの元ネタ?ではあるからあながち間違ってはいないんじゃない? 見た目はともかく」
○○「まあねー」
霊夢「なら…再会後の今はアーチャーかしら?…うわ、似合わな・・・」
○○「ほっとけ」
霊夢&○○「ともあれ、この後のコーナーをお楽しみにー」
○○「>>358氏のリトルもの~ いやめっちゃウァロタヨー! この○○のぶっ飛びぶりと来たら…」
霊夢「相変わらず見事にわらかしてくれるわ~…というか…いうか…あんの薬師ぃぃぃぃぃっ!」
○○「どうどう…」
霊夢「あれのおかげであの年は散々な目に遭ったのよ!」
○○「実話!?」
霊夢「向こうの私が」
がんっ!
霊夢「大丈夫? 額…」
○○「何とか…」
霊夢「さて、ひと段落着いたところで」
○○「中休みのラジオ(?)ドラマ」
霊夢「第3話・完全版です」
○○「大急ぎで仕上げたのでいろいろ突っ込みどころはありますが…とりあえずどうぞ!」
>>359
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