プロポスレ@Wiki
霊夢5
最終更新:
orz1414
-
view
■霊夢5
「……まあ、なんだ」
某月某日、博麗神社。
「俺が悪かった。だからそんな虚ろ、というかウロな目で俺を見ないでくれ」
久しぶりに呼び出しがかかり外の世界……というか俺の故郷に帰っていたのだが。
帰ってきて出迎えてくれたのはいい感じに出汁が取れそうなくらいに干からびた人間だった。(東方寄集録・紅、もしくは白参照)
場所と服から霊夢だという事は間違いないが……
「とりあえず飯だな。幸いにも向こうに行ったときに食料はたっぷりと……」
ふと気づく。……先に出汁をとったほうがいいんじゃないか?
もとい。先に水につけて戻しておいたほうがいいんじゃないか?
* 少女吸水中…… *
「……ぷはあ、生き返ったー」
「そろそろ人間超えてきたんじゃないかお前」
とりあえず風呂桶に霊夢出汁のコンソメスープを作り、そしてそれは彼女自身に吸収されていった。
で、今は外見年齢に相応しい水も滴るいい少女になっていたり。
「とりあえず体拭け体」
「もったいないからイヤ」
もったいないって、それ曲がりなりにも風呂の水だぞ?
「風呂水でも飲めるものなら飲むの。……ちゃんと煮沸消毒はするけど」
自分でも言ったことが少々アレだと気づき、後付でフォローする。
「あー、とりあえず飯食うか。今日は俺が買ってきたから」
まあ、俺も腹は減ってるし。とりあえず体を乾かさないと……
「霊夢?」
「何よ」
「悪いが、味を見させてくれ。」
レロレロレロレロ
ひあーん……
「……何考えてるのよこの変態は」
「いや、悪かった。いっぺんやってみたくてな」
完全に怒った霊夢と頭にアミュレットだの針だのが刺さっている俺。
……ちなみに、『人間には害はない』らしい。痛いが。
「にしてもこれおいしいわね。手が汚れるけど」
「ああ。とはいえ食いすぎると胃がもたれるがな」
今俺たちが食っているのは某爺がトレードマークのファーストフード。
あいつが見たら卒倒するかな?こんな光景……
「かわいそうね、ミスティアも」
「いやそれ言うなって」
なんとなく食えなくなるんだよそう言われると。
「なら私が貰うわね。どうせ久しぶりのごはんなんだし」
とか言って全ての肉をかっぱらわれた。
「……まったく。まあ俺にはこれがあるから」
そう言って取り出すは某チキンカツサンド。これはうまい。
包みを開け、一口。
「ぬふぅ」
なんともまあいやな顔になったろう。それほどにうまいのだ。
「(某ピエロの店)は安さで勝負してるけどやっぱりこれもうまいんだよなぁ」
でも金がないときは(某ピエロの店)に行くが。
「ねえ、(某ピエロの店)って何?」
「外の世界の食堂みたいなもん。地方では(某ッピ)とか(某ピエ)とか略されてるけど」
たしか(某ピエ)が関西だったな。
「じゃあさ、今度外に出たら(某ピエロの店)の物買って来てよ。食べてみたいから」
「ん」
とりあえず次に出るときには乾燥させないようにしよう。そうでなきゃこっちの心臓が持たない。
>>394
───────────────────────────────────────────────────────────
境内に響く声、思ったより早くばれてしまったようだ。落ち葉を掃いていたが
久々にいい天気で暖かかったので縁側で仰向けに寝転がって日向ぼっこしていた。
声がした方を見やると目の前には盆を持った霊夢が。そして自分の目の前に
盆が置かれる。覗き込むとそこには茶の入って湯気の立っている湯のみが二つ。
「お、サンキュ・・・」
お茶に手を伸ばしたそのとき、微かに視界が薄暗くなると同時に
腹の上に強い衝撃。反射的に息がむせて握った湯飲みから茶がはねる。
目を茶から離すと腹の上に霊夢が腰掛けていた。
「もう、早いところ落ち葉集めてくれないと焼き芋できないじゃないの」
「ぐっ…いまの不意打ちはちょっと効いたぞ」
いくら小柄な女の子とて完全に予想外の不意打ちで無防備だっただけにかなり効いた。
「あんたがサボってるのが悪いのよ」
「やってくれるな、こうなったら…仕返しだっ!」
「ちょ、何するの…キャハハハハやめてくすぐったい!」
仕返しに両手を伸ばして霊夢の腹や腋をくすぐってみる。
霊夢がそんな無防備な巫女服なのがいけないんだ。反応が
なかなか面白いのでこちょこちょをエスカレートさせてしまう。
「キャハちょっと、いいかげんにしないと!」
不意に両腕の力が抜ける。だらしなく床に落ちる自分の両腕。
驚いて見ると自分の胸の上に符を貼りつけている霊夢の姿。
「あー、ずるいぞスペルカードとか」
「はぁはぁ…こ、これであんたは動けないわ。お仕置きし放題ね」
もがくにもまるで四肢の運動神経が切り離されたかのように両腕・両脚が
反応してくれない。首から上は動くようだがこれだけではどうしようもない。
「観念しなさい。さぁどうしてあげようかしら」
「・・・やさしくしてね・・・」
「…やっぱやめとくわ。気持ち悪い」
幻想郷にはスペルカードとか弾幕とかあって、さらには体術もそこそこ出来る
みたいなので外界由来の自分がまともに勝負できるとしたら話術くらいである。
もっとも、話術も正直互角なのかかなり不安ではあるが。
「そういえばあんたがここに迷い込んできたのもこんな天気のいい日だったわね」
「そうだったか?」
「元の世界にはもう帰らないの?」
「霊夢が俺の上に座ってる限りは帰『れ』ないな」
そう言うと無言で腰をどかす霊夢。
「おっと、そんなに帰って欲しいのかい?」
「だってあんた苦しそうだったし」
「お、俺はこの位平気だぜ」
「ふーん、じゃあ・・・」
霊夢は立ち上がると何を思ったか俺の腹の上を跨ぐように足を置き
「これでも平気かしら?せーの・・・」
「ちょ!待った待ったストップ!尻餅はやめてくれ死んじゃう!」
「平気って言ったのはどこの誰かしら?」
「いや、尻餅はかまわんがせめて最期に中を拝みたいから腹じゃなくて顔の上に」
「むしろその減らず口を封じるために顔の上ね」
霊夢はそう言うと俺の上からどいて縁側の縁に腰掛ける。
「…寝ながらお茶なんて行儀悪いわよ?」
「あぁ、そうだな」
自分も霊夢の言葉を受けて湯のみを取り霊夢の隣に腰掛ける。
気づけば胸の上に置かれていた符は既に時間切れで蒸発していた。
「お前思ったより重かったな」
「失礼ね」
「でも、ちょっと安心したぜ」
「?」
「本当は霊夢なんて幻か何かなんじゃないかとか一時期思ってたんだ」
「なんでよ」
「ほら、霊夢っていつもふよふよ飛んでたりなんか何考えてるかよく分からない時あるし、
でも、霊夢の重みでなんていうか改めて存在感を確認できたような気がするよ」
「またひどい言われようね、私ならほらちゃんとここにいるじゃないの」
「俺が幻に惑わされてるわけでなく、霊夢が確かにこの目の前に居るって判った
今だからこそ言えるけどさ、俺は霊夢が好きだからいつまでもずっとここにいてもいいか?」
「・・・うん、私もちょっと好きかも。最初は魔理沙や紫とかと同じようにしか思ってなかったけど
こうやってずっと一緒してるとやっぱどうしても意識するようになっちゃって」
「それはきっと俺と霊夢の間に出会った最初の日から見えない運命の紅い糸で結ばれていたからだよ」
「「・・・・・・」」
「・・・なんてな、ちょっとクサかったか」
「相当クサかったわ」
「お前俺の上座ったとき屁こいたろ」
「その余計な一言が自分の寿命縮めるのよ」
>>469
───────────────────────────────────────────────────────────
最近○○と一緒にいる時間が少ない気がする。
朝早くから出かけてしまい、昼ご飯のときに一度だけ戻ったら後は夜まで鉄砲玉。
何をしてるのか聞いても「悪い、今急いでるから」とか言って取り合ってくれない。
掃除中の神社の境内が広く感じた
文が、アリスと一緒に人里で買い物をしている○○を見たって言ってた。
気になる。けど聞くのが何か怖い。
とりあえず文を“説得”して、記事にするのはやめさせた。
疑いたくないのに不安が募る。
○○とけんかした。アリスとのことを問い詰めたから。
○○は一瞬言葉に詰まった後、ごまかそうとした。
だから怒って追求したら、「言えないものは言えないんだ」って逆に怒られた。
神社の境内がとても広く感じた。
その日の夜、「これやる」といって○○が包みを二つくれた。
中にはそれぞれクッキーと、不恰好なリボンが入っていた。
赤い布地に白いレース、素人丸出しの不揃いっぷりだった。
○○の指には絆創膏がいっぱい。今まで気付かなかった。
不意にアリスといた理由がわかった。
何か言おうとしたとき、○○が「ごめん」と一言だけ。
なんだか涙が止まらなくて、あわてる○○の顔がおかしくて、
だから涙が止まった後も、ちょっとだけ嘘泣きを続けた。
○○はその間、私をぎゅっと抱いてくれていた。
「まったく、わざわざ何日も家庭教師をしてあげて、お礼がクッキー一袋? 割に合わないわよ、もう」
そう言いながら、アリスは道具と本を片付ける。表紙には、「レースの編み方入門」とかかれていた。
周りには、アリスが作ったにしてはあまりに不恰好な、レースの飾りが散らばっている。
「デモガンバッテタァヨ? アリス」
「ガンバッテター」
「そりゃあね、でも片付けぐらいちゃんとしていきなさいよ、いくら日付が変わりそうだからって…ねぇ?」
「ソゥダネェ」
「カエルマデガエンソクー」
「遠足とは違うけど…まあそういうことね。全く、生徒が先生に片付けさせるなんて」
そういいつつも、片付け続けるアリスの表情は、あんまり怒っているようには見えない。
「ま、頑張ってたし、このくらいは見逃してやるか、次は無いけど」
「ツギハァナイー」
「ナイー」
楽しげに復唱する人形達の姿にクスリと笑うアリス。
そうして片づけが終わる頃、非常識な来客が現れた。
「ようアリス、邪魔するぜー」
「ァ、マリサダー」
「マリサー」
「邪魔するぜー、じゃない! 藪から棒になによ魔理沙!」
「いや、実験にちょっと失敗してな? ほとぼりが冷めるまでうちに戻れないんだ。つー訳で泊めてくれ」
「と、泊めてくれって、あんたねぇ!」
「マリサ、ォトマリィ?」
「オトマリダネー」
突然の展開に混乱するアリス。だが、その顔こそ赤くなってはいるが、あまり嫌そうでもないように見える。
「お、クッキーか? 丁度小腹がすいてたところだ、どれ一つ」
「あ、こら!」
「ふむ、なかなか。作り方変えたか? 味がちょっと違う気がするが。市販?」
「べ、別にいいでしょそんなこと!」
「そうだな、ま、アリスも一枚食べてみろ、いけるぜ。その間に私が紅茶を入れてきてやろう、今日は特別だぜ?」
「あ、あのね」
「何、気にするな、泊めてもらうんだしこれくらいはするさ」
「勝手に話を進めない! って言うかそれ秘蔵のお茶っ葉! こらー!」
「かたい事言うなって」
「も~~~!」
「「ティーパーティー♪」」
その後、しばし真夜中のお茶会。
その中でアリスは、ブツブツいいながらも……その顔はどこか、楽しそうだった。
次の日、魔理沙が来て、「何だ? そのひしゃげたリボンは」とか言ってきた。
カチンときたのでぶっとばした。
いいのよ、これはこれで。
だって、それでも一生懸命に作ってくれたって事だから。
あとがき――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ホワイトデーネタのつもりでやってみました。
いつものに似た新しいリボンを作ってプレゼント。
……霊夢のリボンって赤地に白いひらひらの縁取りでよかったですよね?。
~チラシの裏~
原稿用紙の書き方を久々にもう一度見返してみて、自分の書き方が大体間違ってなさそうなことに安心したのも束の間、
前回流し読みしたときには気付かなかった項目が一つ。
「…(三点リーダ)」は2個1セットが基本だったとは……。
今までふつーに1個1セットで済ませてました。orz
~ここまで~
それ以前にまず霊夢が霊夢じゃねぇ……orz
>>541
───────────────────────────────────────────────────────────
二人きりになったとたんに霊夢にごろごろ甘えられたい。
ごろごろ ごろー
普段のそっけない態度と打って変わって
ごろごろ ごろー
3スレ目 >>398
───────────────────────────────────────────────────────────
「部屋片付けに来てあげた……わよ」
休息日の昼下がり、呼び鈴が鳴ったので玄関の戸を開けると、霊夢が立っていた。
先日酒の席で「散らかり放題の僕の部屋を片付けてやる」と意気込んでいたが、
本当に来るとは思わなかった。
「はいはいどいてどいて」
突然部屋から引きずり出され、布団と一緒に縁側に放り出された。
――な、なんか凄いやる気を感じるんだけど。
「とっとと済ませれば後が楽なのよ」
ガンガンとまとめられるゴミ。みるみるうちに部屋が片付いていく。
僕はその間に布団を干し、叩く。
「はい、お終いっ」
振り向くと霊夢は玄関から出て行こうとしていた。
声をかける間もなく霊夢は玄関から出て行った。
――……………ええ?もう帰んの!?
綺麗になった部屋で寝転び、嵐のように来て嵐のように帰っていった
霊夢の事を考えていると、玄関がガラガラと開いた。
「なぁーにシケた顔してるのよ」
霊夢がいろいろと食材を持って上がってきた。
――あれ、帰ったんじゃ……?
「夕食くらい面倒みるわよ。不満なら帰るけど」
エプロンを身につけ、台所に向かう霊夢。
文句なんかあるわけがない。
――僕も手伝うよ!
「楽しみに待ってて、と言いたいところだけど、二人でやれば二倍美味しいものができるかもね」
3スレ目 >>400
───────────────────────────────────────────────────────────
「霊夢、好きだぞ」
「あぁそう? それはどうも、私もあんたのことは嫌いじゃないわ」
と、真顔で言っても全く照れない霊夢が俺のジャスティス
3スレ目 >>579
───────────────────────────────────────────────────────────
いかん、霊夢分が不足してきた。
空飛ぶ不思議な巫女
「私ね、空が飛べるの」
「ハァ?」
「信用してないようね。ちょっとやってみるから見てなさい、ほらっ」
宙に浮く霊夢
「…!?@\★◆∀ΖΘνF91」
「あら、驚いて声も出なくなっちゃった?ちなみに素敵なお賽銭箱はそこよ」
「…ぱ、ぱんつはいてない」
「☆◎#※∇∵ÅД%!?」
3スレ目 >>841
───────────────────────────────────────────────────────────
なぁ霊夢。
「何よ。」
いや、何よて。幾ら傘が一つしか無いからってくっ付きすぎだろ。
「いいじゃない、減るもんでもなし。」
いやほら、俺男だしあまりくっ付かれるとムラッとくるっつーか過ちを犯しちゃいそうになるっつーか…。
「○○になら…」
ん?
「○○になら…その…私は後悔…しな…ぃ…。」
霊夢…、本当に俺なんかでいいのか?
「……。(こくり)」
(省略されました・・初夜を読むにはエイジスプロテクターからデストローイ、デストローイ)
4スレ目 >>51
───────────────────────────────────────────────────────────
「ちっくしょー! 朝は快晴だったのに。あてが外れたか!」
今僕は必死に自転車を漕いでいる。いや別に漕がなくてもいいんだけど、気分的な問題なのだ。
現在地は紅魔館と魔法の森の中間地点の、上空。
愛車に跨り必死にスピードを出す僕は空を飛んでいる。
雨をさえぎる物の無い上空で、僕は必死に雨宿りの場所を思い出していた。
「家は遠い。紅魔館も魔理沙の家の中間…。そうなると、やっぱあそこしかないか」
雨でびっちょびちょになったジーンズや下着に違和感を感じつつ、僕はその目的地に向かって更にスピードを上げた。
上からではなく横から叩きつけられる雨を振り払い、目的地まで一直線に飛ぶ。
しばらくすると、目的地の赤い鳥居が見えてきた。
そう、幻想卿の博霊神社。僕が向かっている場所である。
スピードを緩め、神社の縁側の方に向かう。明かりは漏れているが人の気配はしなかった。
塗れた玉砂利にタイヤを取られそうになるものの、なんとか着地。うむ、9.4点くらいかな。9.6点満点で。
庇の下に自転車を置き、ちょっと声を上げて叫ぶ。
「霊夢ー。ちょっと雨宿りさせてくれー! っているのかー? いないのかー?」
暫く待っていると部屋の奥の襖が開かれ、霊夢が出てきた。
「そんなに叫ばなくても聞こえるわ。それよりも、ひどい格好ね」
いつもの改造巫女服、ではなくシンプルな白い浴衣姿の霊夢。
「お風呂から上がってみれば外は酷い雨だし、貴方は濡れ鼠だし。酷い日だわ」
なるほど、良く見れば肌が上気してほんのりピンク色だ。…変な想像はしてないぞ!断じて!
「しょうがないだろ。一番近かった雨宿り場所がここだったんだから…
それよりも何か拭く物ないか? 上から下までびちょびちょで気持悪いんだ」
両手を挙げて外国人の「どうしようもないぜ」って感じのポーズをする僕。
「それよりもお風呂入ったら? 私の後でよければ、ね。着替えも貴方が入っている間に用意するし」
なんという提案か!僕は一つ返事でオーケーした。好意には甘えないと。
そうだろう?
─────────────────────────────────────────────────────
突然だか僕の趣味はサイクリングだ。
今日も週末を利用してちょっと長めの旅に出ている。
といってもほんのちょっと県外に出て、また戻ってくるルート。
所要時間延べ6時間。普段と変わらないいつもの小旅行。
その時はちょうど帰りのルートの最後の上り坂だった。
キツイ急勾配の上り坂だが、これを上りきればあとはまっすぐ下り坂。
その下り坂で風を思いっきり感じるのも好きなのだが、それよりも望んでいることがある。
「やっと…これで…坂の頂上!」
ギアを一番軽くしても息の上がる急勾配だか、後ろを振り返ればその疲れなんて一気に吹き飛ぶ光景が見れる。
「…今日もいい夕日だな」
海に沈みかける夕日。その光に照らされる住宅街。
全てが暖かい紅に染められた世界。正直、僕はこの光景が見たいためだけにサイクリングをしているのかもしれない。
ブロロロロ…
しばらくいつものように見とれていると、坂の向こう側からトラックのエンジン音が聞こえた。
慌てて我に返り自分の走っている位置を見ると、これはいけない反対車線。
これは危ないと思いつつ左の車線に戻る。
(この時間にこの場所で車とすれ違うなんて事、滅多にないんだけどなぁ)
そう思いながら峠を越えて…僕は我が目を疑った。
あろうことかトラックが僕のいる車線を走ってくる。しかも3tくらいのデカイトラック。
運転手は僕に気付いてない。トラックの運転席からの目線の高さの違い。なにより…
(しまった! 逆光だ!)
上り坂と下り坂、視点の高さの違い、そして逆光。
トラックは僕に気付くことなく迫ってくる。
車線を変えようと体重移動した僕に、とっさの動きは出来なかった。
ああ…僕は死ぬんだな
妙に落ち着いた感覚の中で、僕は目を閉じた。
─…? あら珍しい。
あなたは合格よ─
綺麗な女性の声がしたようだった。トラックの音はしないし、体のどこかに衝撃が加わった感覚もしない。
意を決して、僕は目をゆっくりと開けた。
目を開けたら、そこは猫の国でした。という事は無く、上下左右、闇が広がっていた。
目が慣れてくると、それはただの夜だったというのが理解できた。
上を向けば星は光っているし、横を向けば森が広がっている。
そして僕は違和感を覚えた。
まず一つ目、人工的な光が見えないという事。
遠くの方に、ちらほらと光は見えるが心もとない。さっきまでいた坂道から見える景色とは全く違っていた。
そして二つ目、なぜ僕は森を上から見ているのか。
360度回りは森が見える。が、どれも上から見ている景色だった。
僕はしっかり考えた。ゆっくり数えて30秒、しっかり考えた。
そして僕の灰色の脳が導き出した答えがコレだった。
─僕は浮いている─
まじめに考えた。高校の嫌いな古文の期末試験並みに考えた。
んで、出た答えがコレである。…反省はしてないよ。3割くらい。
暫く僕の上に輝く満点の星空を見上げ、そして一気に下を見た。
瓦屋根の建物、その建物の外で茣蓙を敷いて酒盛りをする集団。
良く見るとその集団の人達は、僕が今まで見た事無い珍妙な服を着ていて、ポカーンと口を広げて僕を見上げていた。
初対面の人に対して挨拶というのはとても大事だ。
その人との関係を良くするのも悪くするのも第一印象、最初の挨拶が大事だと僕は思っている。
そんな僕が一番最初に発した言葉はこれだった。
「高っっか!!」
だって思ってたより高い場所にいたんだもん…
──────────────────────────────────────────────────────
「そして二言目には どうやって降りるんですか? ですもんねー。あの時は笑った笑った」
ケラケラと屈託なく笑う霊夢はお茶を啜る。
卓袱台を挟んで座る僕も、霊夢と同じ白い浴衣姿だった。表情は全く逆でむくれていたけど。
「うるさいなぁ…仕方ないだろう。本当に分からなかったんだから」
最初は「浮く」なんて動作自体良くわかっていなかった。捕らえられた宇宙人の如く両手を持たれ地上に着地した僕は、情けなくも腰を抜かしてしまっていた。
本当に忘れたい。今でも思い出すと涙が出てくる…
魔理沙なんか飛んでる最中に会うと毎回
「お、今日は腰抜かしてないのか? 大丈夫か?」
とからかってくる。僕が怒って追いかけようとしても到底追いつけないスピードで振り切られてしまう。
というか音速超えてると思うんだけどなー。前にもすれ違ったら「後から来る音と衝撃波」で吹き飛ばされた事があった。
幸い木の枝にひっかかったからいいものの、一歩間違えれば墜落死してたかもしれなかった事件だ。
まぁ今生きてるからいいけど。
「でも今は制御できるんだからいいじゃないの。何事も慣れよ、慣・れ」
お茶を啜り、片目を空け、僕にそう言ってくる霊夢が僕に空中での動作を教えてくれた。
僕「単体」では空を飛べなかったけど、自転車に跨ってみると、なんと飛べたのだった。すごいぜ愛車。毎日メンテしてた甲斐があったってもんだ!
「魔女が箒に乗るのと同じよ。気分的なものなのよ」
その台詞、魔理沙に言ったらどんな顔をされるだろうか。今度言ってみようかな…やめておこう、マスタースパークで吹っ飛ばされるのがオチだ。
「そんなもんなのかな? まぁ、こうやって飛べるようになって、皆の役に立てて嬉しいけどね」
幻想卿と呼ばれるここに来て1ヶ月、僕は魔法の森の近くに建っていた小屋をきれいにし、そこに住んでいる。
─働かざるもの食うべからず─
昔の偉い人が言った言葉を思い出し、せめてもと、幻想卿に住む皆のために働くことを決めた。
僕の仕事は重い荷物の運搬とか運送とか。いわゆる「男手」が必要な事に協力し、報酬を得ている。
今日も紅魔館の図書館で本の整理を手伝ってきた帰り道に雨に降られたわけで。
ふと、外を見る、雨はまだ止まない。
「…」
「…」
しばしの沈黙。お茶を啜る音と、雨の音だけが響く。
「貴方さ」
先に口を開いたのは霊夢だった。
「仕事帰り、毎回神社に寄るわよね」
「…」
「…なんで?」
僕は答えない。湯飲みを持ちながら外を見続ける。
なぜなら今の自分の顔を見られたくないから。
「…まぁいいわ。とりあえず今晩どうするの?」
雨が降っているから外は暗いままだが、それなりに遅い時間であるのは確かである。
「そうだな。雨は止みそうに無いしな」
「ならうちに泊まってく?」
咽た。ついでに盛大にお茶を畳にこぼしてしまった。
「ちょっと汚いわね!」
「ぐえ、ごほ!だっていきなりそう言われたらびっくりするだろ!」
「えっち」
「ぐあ!」
「へんたい」
「げあ!」
「何変な想像してんのよ。馬鹿アホ鈍感間抜け鈍間」
「ぐっさー! って、え? 今何かちょっと違う単語が聞こえたんだけど」
「気にしないの。とりあえずお布団ひくから手伝って」
「あ、ああ…わかった…」
よっこいしょ、と爺臭く声をかけ立ち上がる僕。
一方、霊夢は座ったままだ。
「霊夢、僕は布団がどこにあるのかとか全然わからないんだけど」
湯飲みを卓袱台に置き、節目がちに霊夢は言った。
「運んで」
「…え?」
「運んで、って言ったの。運ぶのが貴方の仕事でしょ? 私を運んで」
ぽりぽりと頭を掻きつつ、霊夢の横に立ち、一息で霊夢の体を持ち上げる。
「僕は重い荷物を運ぶのが仕事なんだけどな」
「あら嬉しい。私は重くないのね」
お姫様抱っこで抱えあげられた霊夢が、いつもの感じで言う。
「いや、やっぱ重いよ」
僕の言葉に、霊夢が驚き反応する。
「酷い事言うわね。お仕置きが必要かしら」
「違うよ。霊夢の想いが重いんだ」
顔を真っ赤にして言う僕。
きょとんと、目を丸くして見つめる霊夢。
「それ、洒落のつもり?」
「今はこれが僕の精一杯」
二人とも、どちらからともなく、笑う。
「もっと精進することね」
「頑張ります」
「とりあえず、廊下を出たら左ね」
「了解しましたお姫様」
雨は止んでいたけど、そんな些細なことは、僕たちには関係なかった。
─────────────────────────────────────────────────────
霊夢をお姫様抱っこしたかった。
それだけだ!文句あっか!ウワーン!
4スレ目 >>152(うpろだ0018)
───────────────────────────────────────────────────────────
>>152からの続き
------------------------------------------------------------------------------------------------------------
/ i
. ー- 、 i , -, - 、,
!_,.........⊥ ,、 ,、 ,イ!〃 , ='‐ \__ト,__i、_ お待ちください
/! |l T! Tl'lT_-r-、ィ_‐_7´ l l! l! | 霊夢さんと貴方の残り湯を
,ノ-┤ |l、` ` lヽ_lー〈!_,. - ´j _ -, ! なんとか戴けないでしょうか。
{ ‐コ. ____| \`丶!、l  ̄ l /,ィ ´ /
| ´_,`T‐┬‐" \ i、!  ̄ l´ ,ィ ヽ/
「んんっ!?」
「? どうしたの?」
突然怪訝な顔をした僕に、霊夢が尋ねる。
「いや…何か鋼鉄の漢(おとこ)が見えたような気がしたんだけど…気のせいだ、気のせい」
「そ、そう? 疲れてるんじゃない? あまり無理しないようにね」
「ああ、ちゃんと休むさ」
二人して笑いながら僕は霊夢を抱え、霊夢は抱えられ、廊下を歩く。
「あ、そこ。そこの部屋よ」
霊夢が指差した部屋に僕は向かう。もうちょっとだっこしてみたかったなぁとか思っていると、妙な違和感を二人とも感じた。
雨上がりの芝生の香りというか、草が水に浸かった後の匂い。
外の散歩中に嗅いだらそれはそれは気持いいだろうが、ここは神社の中である。ぶっちゃけありえなーい。
僕と霊夢は同時に叫ぶ。
「まさかっ!!」
案の定、霊夢の寝室は雨漏りしていた。
長年修繕をしていなかったせいであろうか、天井から黒い水のシミがいたるところに現れている。
「あちゃー、こりゃひどい…」
とりあえず霊夢を(心惜しいが)降ろし、部屋に入る。
雨はすでに止んでいるためこれ以上の雨漏りの心配はないだろうが…
「ああ!お布団がずぶ濡れじゃないの!」
濡れた畳に足を着けたくないのか、浮遊しながら押入れを開けた霊夢はそう叫んだ。
良く見ると押入れの上からも水が滴り落ちていた。
「こりゃぁ…困ったな…」
「困ったわね…」
二人して、ただ唸るしかなかった。
────────────────────────────────────────────────────────────────
「それでだ」
「何?」
「運が良かったわけだ」
「そうね」
「まだ塗れてない布団があったわけだ」
「助かったわ」
「でも一組しかなかったわけだ」
「見れば分かるじゃない」
「んでなんで二人で一緒の布団に入っているんだ」
「さ、明かりを消すわよ」
「なんでもいいから相槌打って!僕コワレチャウ!」
「うるさい」
「ごめんなさい…」
来客用の布団の一番下にあった布団一式が幸いな事に濡れていなかった。
屋根の修繕、布団干しはとりあえず明日やるとして、とりあえず寝ようということになった。
ちなみに僕は最初、毛布だけ貸してもらって寝るつもりだったのだが、
布団を敷いた霊夢がちょいちょいっと手招きするのでほいほい一緒の布団に入ってしまったわけだ。
僕は悪くない。決して悪くない。
「明かり消すわよ」
そう霊夢が言って、明かりが消される。
ごそごそ、と霊夢が布団に入ってくる。
闇夜に目が慣れ、月明かりにうっすら映し出された霊夢の顔が真横にあった。
「静かだな」
「いつもそうよ」
幻想卿の夜は静かだ。
僕のいた街では、絶対に考えられないほどの、静寂。
それこそ、隣の霊夢の呼吸音でさえ聞こえるような、静寂…
突然、もそもそと霊夢が動き、僕の左胸に頭を置いてきた。
「あ、おい、霊夢!」
「…聞いてるの」
「え?」
「聞いてるのよ。貴方の心臓の音を」
「…」
「さっきからずっとこんな感じ。早くて、忙しくて。でも、すごく暖かい音。
一生懸命動いてる音。私は、貴方のこの音が大好き」
以前神社で酒盛りをした時、酒でぶっ潰れて倒れて起きたら霊夢が僕の上で寝ていた、という事があった。
あの時は慌てて霊夢を起こしてしまったけど、その時も、僕の心臓の音を聞いていたのだろうか。
「…霊夢の、心臓の音も聞いてみたい」
言ってしまった。言った瞬間針が飛んでくるか!と思ったが、何も来なかった。ただ、
「…いいわよ」
という霊夢の声が返ってきた。
霊夢が僕の胸から頭を外す。代わりに今度は僕が、霊夢の胸に頭をつける。
─トクン、トクン、トクン─
規則正しい、心臓の音。
人の時を刻む、心臓の音。
そしてなにより
「うん、本当だ。霊夢の音も暖かい」
僕は頭を外し、霊夢と見詰め合う。
お互いに無言で見詰め合う。
障子から透ける月夜に照らされた霊夢は、とてもとても綺麗だった。
霊夢が目を瞑る。僕は霊夢の頭を抱え、枕を外し…
そのまま虚空に向かって投げつけた。
ボフッ!いやんっ!という音と声と共に、誰かが畳に落下する音がする。
無言で霊夢が明かりをつけ、その人物の正体を確認する。
「さて、紫さん。僕は人の趣味をとやかく言う事はあまりしないんですが…
さーすがに犯罪行為を趣味にしている人には注意しないと」
「いやんっ、そんな事言わずに~♪
っていうかいい雰囲気だったじゃないのん。あのまま行っちゃえば良かったのに。ぶちゅ~って。
ああ、今でも遅くは無いわよ~。れっつご~れっつご~♪」
「貴女って人は…」
思わず頭を抱えてしまう僕。とにかく早く帰ってください、と言おうとした瞬間、ものすごい寒気を感じた。
髪が逆立つ、血液が冷える、鳥肌が全身に出る。
恐怖、畏怖、全ての負の感情が僕の背後からしている。
後ろを向くな! 死ぬぞ! 決して振り返るな!
紫さんの表情もみるみるうちに凍っていく。
「…紫…」
「は、はひぃ?」
ゆらり
「…今日という今日は…」
「あ、あの霊夢? 落ち着いて、ね? ね!?」
ゆらり
「…針千本夢想封印八方龍殺陣夢想転生のフルコンボを…」
「これはジョークなのよ! いっつあじょーく! ゆかりんじょーく!」
ゆらり
「…喰らわせてあげるわ…」
「ほらほらぁ、そんな怖い顔しないで。可愛い顔が台無しよっ♪」
ゆらり
「…シネ…」
「別にこの事は誰にも言わないから! あ! 今度美味しいお酒持って来るからそれでってやめて本当に針出さないでいややめてごめんなさ」
その後、スペカ連発で疲れた霊夢はそのまま寝てしまった。
ぼろぼろになった部屋と布団。しかし幸いにも無事だった毛布を拾い上げ、霊夢に掛けてやる。
「…んんっ」
のんきなもんだ。僕は必死にいつ流れ弾が来るかと思って死ぬ思いをしていたのに。
「ん~…だっこ…」
むにゃむにゃと、寝顔のまま微笑みを浮かべ、寝言を言う霊夢だった。
「はいはい、了解しました、お姫様」
僕は霊夢をそっと抱え上げ、柱に寄りかかる。
まだまだ時間はあるんだ。ゆっくり行こう。
そう、霊夢を抱きかかえながら僕は思った。
「あー、お取り込みのところすまんが、紫様はどちらに?」
「そこのボロ布みたいなのが紫さんだったモノですよ」
「あ、これか、また酷いなこりゃ」
「すごかったですよ。そうですね…
,.へ ,' ||ヽ、
.//:::::`ヽ、., _,....、_____ _,.、__ // || / i
| |::ヽ: >''"´ ̄:::::::::`ヽ、;:/7. / / || | |
>..,ゝ'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::<i !/ ..|| Y
くヽ::/::::::::::::-―-/::、__,::::::::::::::`ヽ. ハ.. .|| 〈
/:Li::::::::::::::/ ,!'叨¨ヽ/ `ー-、i::::::', / |.. ||/ ヽ、
/::::::Li__::::::_i ` ー /叨¨).ハ::;:::::i. / | .||\ \
,':::::::::::::i. [__] 〃 ヽ, /:::i:::i:::;:| く /,. _,.-''、 \/´ 陰陽玉をくらえー
i::::i:::::::i::`::i::::i `ヽ.___´ "i_]:::ィi⌒ _,,..-'" iイ'i-- i ハ
|::::|:::::|::::::::|::::ト、. `ニ´ ,.イ:::|:::::| ,、-=''"´ |i i二 i / |
.';:::|::::|:::::::::|::::|:::;L,__-rr<r-:|::::|-┴| |_| ヽゝ-rr´i/ |
ヽ::|:::|::::::/|::::|´ \,,,/ ,;|::::| | i┐ \_||// /
ヽ::i::/:::|;;/ヽ、/〈ム,〉ヽ、/::|;;/-─ヾ |_| ||/.ヽ/
ヽ/"ヽ、イ:::::/λヽ、:::::::i /ハノ `─------─''''.|j
/ ヽ i;/ / ヽ、 ヽ、Y:i
_r‐''"´ヽ く___/,ヘ,__ヽ/;;/
,⊂_ヽ /.7'====='"ヽ
!__,.ィ‐i / /:::::/:::::::::::::::::ヽ::::\
`「 / / /:::::/::::::::::::::::::::::::ヽ:::::ヽ、
Y / /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::':;
このくらい」
「うおっまぶしっ」
─────────────────────────────────────────────────────────────────
やっぱり
ゆかりんは
おちゃめだ
な
4スレ目 >>169-171
───────────────────────────────────────────────────────────
七夕ネタ。
「おーい霊夢ー、永遠亭から来た竹、これで全部かー?(がさがさ)」
「それで全部よー?(ちょきちょき)」
七月七日。七夕の日。
織姫と彦星の逢瀬、その幸福に肖り、ふてぶてしくも願いよ叶えと
笹と短冊にささやかな夢を乗せる日。
「よっし、後は飾りだけだな(折り折り)」
「まったく、どういう風の吹き回しよ、人里の分までなんて(ぺたぺた)」
「いーじゃないか、伝統行事に積極的に貢献するのは巫女さんの勤めだって(ちょきちょき)」
「慧音が言ってた?(折り折り)」
「クレームは本人に頼むぞ(ぺたぺた)」
今、巫女さんとその相方は、その準備に大忙し。
何故引き受けたかと聞けば。
「里の子供たちが『高い竹で飾りたい』なんて言うもんだからな。
慧音さんと二人で永遠亭の人らと交渉した(ぱちん)」
「まーたしち面倒くさい親切心?
それで巻き込まれる人の身にもなれば?(折り折り)」
こんな日に相応しくない、巫女さんの溜息に、相方さんは苦笑。
だが、悪びれもせず。
「んな顔する程嫌なら、断れば良かろ?(かさかさ)」
「それ自体はいいのよ、暇は暇だったし(ちょきちょき)。
それに、竹一本と食事一折貰える事を考えれば、報酬としては充分(ぺたぺた)」
「現金な巫女さんだ(ぺたぺた)」
「悪い?(折り折り)」
正直者の巫女さんに、相方さんは満面の笑み。
「いや―――むしろ惚れ直した(ちょきちょき)」
「あら、ありがと(ぱちん)。―――はい、こっち終わり」
「(がさごそ)こっちも無い。ノルマ達成、だな」
飾りの箱詰めの最中、相方さんがふと気付く。
「あれ?お前、短冊に願い事とかする性質だったか?」
「んーにゃ、寧ろ自分でするなんて似合わなさ過ぎて寒気がするわね」
「あー?んじゃ何で竹貰ったのさ」
「決まってるじゃない」
巫女さんは、にっこり笑顔で、
「七夕には笹と短冊。これ以上の風情は無いわ」
「まーそりゃそうだが」
「それに、ね」
相方さんの隣に立つ。
そのまま、頭半分程上の顔を覗き込み。
「酒で労うには、良い一計じゃない。
ね?―――ご利益無しの神社の為に、汗水流す物好きさん?」
「……素面で言う辺り、つくづく敵わんな」
素敵な笑みを一発披露。
たちまち相方さんの顔は赤ら顔。
だがそのどちらも、笑みは隠さず。
「ま、短冊に書くことが無いのは同じだな」
「へー、男の夢はでっかく高く、じゃなかったっけ」
「いやいや霊夢―――こういうのは、だな」
空の神々が、地上の二人にも気を利かせたか。
照らす月を、雲が過ぎる。
「他人の恋路に便乗なんて、野暮な真似は性に合わない、ってな」
「独り身なら、敗北宣言と紙一重よ?それ」
「うむ、見事に台無しな一言有難う」
「惚れ直した?」
「勿論―――とても素敵な、博麗の巫女さんだ」
寄り添った二つの影が、月影に優しく覆われる。
空に輝く一組、今宵の主役の邪魔にならぬ様にと。
「あれま、見えなくなっちまった―――曇り空」
「いいじゃない、それとも何?空の姫様に浮気?」
「成る程、彦星に『こっちみんな( ゚д゚ )』されてんのな。
「いや、表現選べよ」
「それとも―――」
相方さんは意に介さず。ただ傍らの『地上の星』に首っ丈。
「あんまこっちが綺麗なんで、向こうの姫さんに釘刺されたか?
―――うん、無理ねえなぁ」
「随分と臭い世辞ですこと」
「そう褒めるな、照れる」
「減らない口ね。塞いであげようかしら」
「そりゃ願ったり―――どうだ、こっちも台無しだ」
「勿論ですとも―――台無しすぎて惚れ直しましたわ、旦那様」
「わーお、似合って無ぇ」
「偶には色でもつけて上げようと思いまして」
「泣かせるね」
お隣さんには端から興味無し。
いつもの素敵な笑みは、動じずも僅かな赤ら顔。
「あ、報酬。晩飯どーすんの」
「さくっと取りに行って、上がるとしましょうか」
「そして飲ませて酔わせて―――」
「後は言わぬが花、と」
そんな素敵な巫女さんなのでした。
「……さて皆の集、あの地上版織姫彦星に晩飯を届けに来たわけだが」
「こちとら未だ箸も付けていないのに、お腹一杯なのは如何なものか。
織姫と彦星が空に居る理由が解った気がするぜ……」
「奇遇ね、魔理沙……ハクタクの能力が伝染ったかしら」
「こっちは食べた後だっての……うへぇ、冷たい麦茶が怖い」
お後が宜しい様で。
4スレ目 >>411-412
───────────────────────────────────────────────────────────
あら、○○じゃない。
こんな御利益のない山奥の神社までご苦労様。出涸らしで良ければどう?
……相変わらず、熱いお茶は飲めないのね。人生の2割くらいは損してるわよ、多分。
別に、ちゃんと食べてるってば。
おかげさまで、修行まがいの五穀断ちとか最近はしてないわよ。
そっちはどうなのよ。慧音がいるでしょうけど、妖怪に畑とか荒らされてない?
ああ、あいつね。気をつけなさいよ、あんなに小さくても、私を食べようとしてたんだから。
……それじゃあ餌付けじゃない。それとも買収? まあいいわ。私だって、人の事言えないし。
こっちにもたまに、『おなかへったー』って来るのよ。来るのはそいつだけじゃないけどね。
……だから、本当にちゃんと食べてるわよ。
一人じゃ食べきれないし、日持ちがするって言ったって限度があるでしょ。
漬物作るのだって限度があるし、面倒だし――あ、今笑ったでしょ。
私らしいってどういうことよ。失礼ね。
そう言えば、そろそろ枝豆の季節よね。茄子とか胡瓜とか。
……宴会は別にいいのよ。みんなにも色々持って来てもらうから。
魔理沙にも変なキノコ貰ってるし。何回か死に掛けたけどね。
だから私は別に大丈夫だってば。
いざとなったら、前みたいに一食二食抜けば、半分くらいの食料で……。
え、朝食? ○○が来ると思わなかったから、山に生ってた梨二つ。……何よその目は。
……まあ、助かってるのは確かだけどね。
そっちこそどうなのよ。自分が食べる分削って、私に分けてるんじゃないでしょうね? ならいいけど。
――もう暗くなってきたし、ご飯作りましょうか。何持って来たか、ちょっと見せてもらうわよ。
あ、それと注いだ分のお茶はちゃんと飲んでね。
4スレ目 >>450
───────────────────────────────────────────────────────────
(※1 『早瀬渡』を見た人なら特に解る話。)
(※2 ファンの方々、気を悪くしたら済みませぬ。)
ただいま―――ってなんだ、起きてたの?
……もしかして、わざわざ待ってたの?
この辛気臭い雨の夜に。日もすっかり変わった時間に?
『お仕事』だから遅くなる、って言ってたじゃない。……はぁ?悪い予感がした?
呆れた。慎ましく甲斐甲斐しいにも程があるわよ。
ん?何よ、んなどっかのもやしより真っ青な顔して。
え?―――あーホントだ、これじゃどっかの吸血鬼より真っ赤。
雨ん中だってのに、結局落ちなかったか。あーもーこれじゃちっとも目出度くないわね。
……大丈夫よ、自前は殆どないから。
へ?頭怪我してる?あーそういえばそうだった。ったたたたた思い出したら痛くなってきた。
あー大丈夫よ、血は止まってるし。手当て?する前に先ずお風呂で洗わないとね。っ痛ー。
あー、でもこの服も駄目ね。結構持った方か。
―――あ、お風呂沸いてるの?有難う、んじゃ入らせてもらうわね。
―――ふー、着替えまで置いててくれたんだ、気が利くわねぇ。
って、何で寝巻きの場所知ってるのよ?―――あ、今朝あなたが詰めたんだっけ。
へ?台所借りてる?―――つくづく甲斐甲斐しいわね、あなたって。
……ん?ああ、もう手当て終わったの?
え、御飯って―――あ、良い匂いねー♪味噌粥?贅沢ね、卵なんて。
食べないのかって?……勿論頂きますとも。……はむっ。むくむく―――むー?
……えーと、何か入れなかった?へ?下ろし生姜と刻み葱?
もしかして、今回もまたボケてますか、私!
ん、あーごめんごめん、こっちの話。
―――ホント参ったわよ、今回は。
山に入った一団が、植えた餓鬼やら何やらの群れに出くわしたらしくてね。
徹底抗戦もあって、もー酷い有様。殆ど後始末だったわ。
最後に、子供攫って逃げた奴が居てね。これがまた良く逃げ存外しぶといのよ。
当然、きっちり潰しといたんだけどね、これが往生際悪くてね―――
―――抱えてた子供に、齧り付きやがった。
こっから面倒事の連続。
人里じゃ手をつけられないだろうから、特急便で永遠亭。
あーあのときの永琳の顔ったら珍しかったわねー。つい笑っちゃったわ。
蓬莱人も怖いものってあるのね。引っくり返った弟子抱えて人を化け物扱い。
全くどいつもこいつも、人を何だと思ってるのやら。
取り敢えず一喝して解らせて、子供を見せようと思ったんだけど―――止めた。
だって、もう血が一滴も流れてこなかったのよ。
ちっとも冷たくなかったのに―――って、そういえば雨でびしょ濡れだったか。
あとは包む布だけ貰って、人里に戻った。
慧音から家を聞いて、その子の家に行ったら―――いきなり石を投げられた。
あー痛かった。拳大くらいあった。しかも結構投げられた。
しかも悉くナイスコントロールで頭。いい腕してたわねー。
面倒だったんで構わず近づいたら、途端泣いて謝られた。
これがまた化け物と勘違いしてたんだとか。あーもーどいつもこいつも鳥目なんだから。
手当てくらいは、って止められたけど、もーかったるくて寝るのが先だったわ。
で、振り切って帰って、今こうやって美味しい月見味噌粥に有りついている訳。
いやーこの染み入るような味。残り物の味噌汁と冷や飯が化けたとは思えないわ。
ん、どーしたのよ、さっきから黙って?ひょっとして眠い?
朝からずーっと起きてたんだから無理な
(―――ぼふっ)
きゃっ?何よ一体、粥零したら勿体無いじゃない!?
あーもー鬱陶しい、離せ離―――
って。
―――馬鹿、なんであなたが泣く必要があるのよ。
―――ん、そーね、凄く辛かった。
知り合いからも変な顔されるわ、人様には石投げられるわ、化け物に間違われるわ、もー散々。
正直、こっちが泣きたいわよ。
……御免ね。嫌な愚痴聞かせちゃって。
ん?ああ、何時もは魔理沙が相手してくれてるのよ。あいつ、こういう時間が良くってねー。
でもあいつ変に合わせて妙なこと言うから、しょっちゅう喧嘩気味になるのよね。
考えれば、これだけして貰ってるのに、こっちもこっちで酷い仕打ちね。
あいつも『おあいこ』って言うんだろうけど。態度で。ったくあの天邪鬼め。
その点あなたは言うこと無し―――今のあなただけ見たら、紅魔館の狗より便利そうね。
うん、本当に有難うね?
やっぱり早く帰って正解だったわ。手当てもお風呂も御飯も完璧。申し分無し。
あー、この為に生きてる、って感じ―――ってこらこら泣くな愚図るな鼻水垂れて来るから。
あーもー解ったわよ、湿っぽいのも腹も食欲の減る話は無し!だから泣くなー!
……ふー、落ち着いた?そ、一杯のお茶は心のゆとりよ。
あーもぉ、良い歳こいた男が、子供みたいに。私ゃお母さんかっ。
まったくそのうちホントにおかーさんおかーさん言いそ―――ぉ
―――こども、みたい、っに、あの、こみた、いにっ、―――っく―――ん
ぉかーさ、んって―――うめ―――ぃて―――
っあ?ん―――っごめ、もぉ―――だめ――――げんか―――――
ぅあ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
……っはー、すっきりしたー。
やっぱ溜め込むのはよくないわねー。
でも本当に御免なさいね、お粥も結局冷めちゃったし―――はむ。
むぐむぐ―――まだ塩っぽいし。
はぁー?なら食べるな?
馬鹿言いなさんな。出された物はちゃんと食べる。でないと地獄行きよ?
大体、あなたがわざわざ用意してくれたんだし―――ね?
んー、大変ご馳走様で御座いました。幸せー。
んー?ああ、流石にもう眠い?
んじゃ、どーぞお休みなさいな―――は?寝ないのかって?ええ寝るわよ?一緒に。
何よ、そのいきなりな後退っぷり。畳痛むから止めてよね。
だって新しく布団敷くの面倒じゃないの。私もひと心地付いて眠いし。
あー、ひょっとして……眠くなくなっちゃったり?
わー茹蛸。可愛いーんだ。
いいじゃないの、傍に居てくれても。
別にとって食うなんてしないでしょ?
―――ん、素直で宜しい。
あー腕枕暖かいなー。でも昼間になると暑いかも。
ならやるなって?ふふん――――――だ が 断 る 。
何だか変だって?らしくない?気にしなさんな役得役得―――ふぁ~ねむ~……
ほんとつかれたわ~……お休みなさ~ぃ……
……んう……ちゃ~んと、暖かいなぁ……うん……
……あ、そーだぁ……
……別に良いのよぉ?……取って食っても……
むしろ……食べられないようにねぇー……んふふふふふぅ……
……うん、決めた―――冷めた塩っぽい粥の口直し。
煩いわね―――拒否権無ーし。博麗の巫女に逆らえると思うな~~~~~?
―――んっ――――――っふぁ、……んー……ほんのり……塩味……。
あと、さっきのお茶の味。
本当、言うこと無し。
お返し、しなくちゃね―――――――――
(省略されました。全てを読むには NO.890 時間無制限夢想転生 を習得してください)
――――――――――――――数刻後、昼時。
――――――――――ちんちんちんちんちん♪
「破廉恥な雀だぜ(めきゃっ)」
ちーーーーーーーーん――――――――――――
「おーい霊夢ー起きてるかー?(すぱーんッ)
―――ありゃ、またか。
こーらとっくにお天道様も上がったぞー☆(がばぁ)
何処ぞの妖…怪…………か……(硬直)」
「…………暑い!」
「……そりゃ、そうだろうぜ(赤面)」
4スレ目 >>456(うpろだ0025)
───────────────────────────────────────────────────────────
――初夏、博麗神社。
――しゃく。しゃく。
「美味いな。これ」
「○○が持ってきたんじゃない」
「まあ、そうなんだけどさ」
只今、霊夢と一緒に一足早い夏を満喫中。
旬には少々早いが、色よく丸々と育った西瓜を縁側で頬張る。
これをくれた慧音さんと、程よく冷やしてくれたチルノに感謝。
――しゃく。しゃく。ぷっ。
「これに塩ってどうよ?」
「邪道ね」
「俺もそう思う」
いや、確かに美味いけどさ。
やっぱり生で戴くのがいいと思うわけよ。俺は。
――しゃく。しゃく。
「ご馳走様でした」
「お粗末様でした」
「……何故に霊夢がそれを言うかね」
「あら。切ったのは私よ」
なら、料理したのは私って事でしょ? という謎の理論を展開。
まあ、こんな突飛な発言もいつもの事なので、俺もそれ以上何も言う事は無い。
そして、十数分後。
――こてん。
何をするでもなくただ座っていた俺の右肩に、心地いい重さといい匂い。
この状況では誰か確かめるまでも無い。
……珍しい事もあるもんだ。
「……重くない?」
「重くはないけど、あんまり長くは勘弁な。腕が痺れる」
「ん、じゃあもう少しだけ……」
そう言って霊夢は安らかに目を閉じた。
……少しってどれ位なんだろうか?
そして予想通り、数分も経たずに俺の横から静かな寝息が聞こえてくる。
軽く声をかけたが反応が無い。どうやら腹が膨れて眠ってしまったらしい。
「…………」
そんな霊夢を横目にしながら軽く嘆息。
かといって、寝たばかりの彼女を起こすのも忍びない。
今日はそんなに暑くもないし、暫くはこのままでいるとしよう……。
4スレ目 >>487
───────────────────────────────────────────────────────────
「暑い……いや、熱ぃ……」
夏の夕方前。
七夕も終わり、また平凡な夏が続く。
そんな中。
「くふぅ、まだか……?」
気を違えたのか、とでも言われそうだが。
俺はあろう事か――――――火の番をしていた。
「あっつー」
相手は、水を一杯に張った大釜。
お勝手の外、すぐ裏側のスペースに特注で組んだ、大き目で穴二つの竈。
そして神社の物置にあった大釜を、山から拾ってきた大量の薪で火に掛けている。
不完全燃焼にならぬよう、鞴で風を送り、経って数刻。
水撒き用の大きな柄杓で掬い上げ、手を翳してみるが、
「……温い」
湯気も立たず、手を突っ込めるほどの加減だった。
これではまだ、温めの五右衛門風呂が精々。
生憎と風呂を焚くわけでは無いのだ。この程度では程遠い。
「大丈夫ー?」
ふと、掛けられた声に振り向けば。
定期的に物音を立てるお勝手、その窓から覗く捩れた耳。
「んあ゛ー、こいつは思ったより長丁場だな―――水くれ」
「飲む用ー?」
「寧ろ頭から被りてぇ―――っと」
柄杓で湯を攪拌する。
幸いにして場所は日陰で、水場も近いので倒れるようなヘマにはならないだろうが、
これは正直堪える。
「はいどうぞー」
「ん?おおさんきゅ」
と、お勝手をもう一度―――
「はい頭からー」
「おぶふぁぁあッ!!!?」
俺の頭上から襲い掛かる、凄まじき水の奔流。
よく冷えた湧き水が、火照った身体から鮮烈に熱を奪い、汗を飛ばす。
「っぶはッ、いや確かにリクエストはしたがな、ホントに掛けるな水が勿体無い」
「でもそのままだと熱中症になるわよ?」
「水泳で何故準備体操するか知らんのか薬師見習いッ」
心配そうにお勝手から顔を覗かせる薬師、鈴仙=優曇華院=イナバに半眼を返す。
「ウチの兎は引っくり返ったら水風呂に沈めると復活するから」
「兎と人間様を同等に扱うな」
平等より対等。これ重要。
「あらウドンゲ、患者の調子はどう?」
「はいししょー、手の施しようが有りません」
「誰が何の患者だ」
月兎のとなりにひょっこり顔を出したのは、永遠亭の薬師。
「何って、巫女巫女熱中症」
「それも末期ですね、おいたわしや」
「人を勝手に可哀想な人認定するなッ―――で、其方の守備は?」
「霊夢の容態は異常無し。勿論、心身ともにね。
もともとのタフさに加え、誰かさんの対処と看病が効いた様ね」
「うむ、重畳」
彼女達が来たのは、この前の赤巫女騒動以降、療養していた霊夢を
慮っての事だ。
先日の応対が余程堪えているのか、境内に入ってきた二人の表情は、
それこそ通夜ものだったが、手土産の笹餅を次々と平らげる我等が現金巫女さんを見て唖然とし、
『次は熱いお茶が怖いわ』と言って催促する彼女にとうとう破顔、肩の荷を降ろしてくれた。
「音沙汰がさっぱり無かったから、大事になっては居ないかと思ってきたら、これだものね」
全く以ってその通り。寧ろ此方の方が非が大きいぐらいだ。
「はは、悪いな。彼女を静かに置いておこうと思ったら、何故か新聞屋もこなくてなあ」
「へ?あの鳥類、ここにも来てないの?」
「……魔理沙の仕業か?」
霊夢が御健体であることを最速で知るのは、当日の第一発見者である魔理沙のみ。
数日ゆっくりする事を話したので、気を利かせてくれたのか。
実力行使か否かが気になるところだ。
「しかし、また骨な事考えたわねぇ」
「なあに、これもまた夏ならでは、だ」
再び釜に集中すれば、もう湯気が上がり始めていた。
「さて、そっちは期待して良いんだな?」
「ええ―――イナバ印の饂飩、味は姫のお墨付きよ」
「最初は変なこじ付けでやらされたんだけれどねー……」
彼女たちが詫びの為と持ってきた『肩の荷』は、饂飩の製麺道具一式だった。
そのネーミングにこじつけて酔狂で仕込まされたものだが、企んだ主犯が妥協無用の鬼畜であったのと、
途中から『早いので多人数の食事に向く』と本人も乗ったようで、習熟を重ねたらしい。
最初は霊夢と二人で半信半疑だったが、笊に上げられたそれを手繰ってみると、中々に美味。
少なくとも量販品の讃岐では及ばない域のものであるのは確か。
そこで、俺は思いついた。
「―――夏こそ熱いものを食え、だ」
「それで釜揚げ?」
ざっつらいと。
俺が向こうで楽しんだ、実家伝統の食い方である。
暑さの僅かに和らぐ夕涼み、風に涼みながら冷茶を煽り、汗を手拭で払いながら、熱い饂飩を手繰る。
これもまた風流なり。
「確かに、夏場にこそ適度な発汗を行うのは、健康的ではあるわね」
と、薬師の太鼓判も頂いた。
あとは、実際の作業が問題だったわけだが。
何ぶん―――この二人にも、振舞うのである。
更に下手をすると宴会のように拡大、エライ事になる。
博麗神社で美味いものの抜け駆けは、そう簡単には行かないのだ。
それ故の大掛かりな準備。暑い釜を空調も無い台所で延々煮るのは勘弁なので、苦肉の策である。
我ながら少々無謀だとは思う。
だが、月並みで悪いが、そこが良いのだ。
「いいぞぉ?汗を掻く気持ちよさを手軽に感じられるってのは」
「うわぁ、暑苦しい」
「むう、この暑い中、タイマンで鍋と格闘する良さがわからんとは」
最近の人妖は貧弱で困る。
「ま、くれぐれも火傷などしない様にね―――巫女さんを泣かせることになるわよ?」
「当然―――ま、あとは待ってな、出来上がりまでそうは掛からん」
「麺、ここに置いとくからね―――はい、飲み水」
「応よ―――っふう」
渡された冷や水を煽り、三度釜と対面する。
火加減が落ちてきたのを確認、薪を放り、鞴を漕ぐ。
蓋を使わないのは、開けたときの蒸気が危険な為。
また、これ以上火力を上げると近づくこともままならないし、即興の竈が保つとも思えない。
故に適温まで眼は離せないのだ。
一人、釜との格闘が始まる。
暑いには暑いが、正直、伝う汗やら立ち上る蒸気やら、嫌いではない。
そう、これもまた風情だ。
「……巫女さんの為なら、えーんやこらー」
という本懐もあるし、やってやれないことは無い。
「―――お」
暫くして漸く、掛けた手間が実ろうとしていた。
水面が対流し、沸騰が始まっている。
「苦節半刻、待ちに待った、か」
柄杓で一掬いし、返せば、瞬く間に湯気が広がる。
湯に突き込めば、力強い対流が手応えを返す。
「yeah.完璧だ」
後は火に気を配ることは無い。残りの薪で充分に足る。
頃合とばかりに、山盛りの麺を積んだ籠を検める。
が、此処で慌ててはいけない。
先ず、沸いた湯を適量、近くの桶に分ける。
饂飩を茹でた湯をそのまま使ってはいけない。それは釜上げではない。
桶は既に湯に潜らせ、暖めて置いた物を使う。
これで茹でている最中に冷めると言うことも無い。
「そして―――もう一つ、っと」
言葉どおり、今度は鍋を用意し、釜から湯を適量移す。
鍋は竈の小火力側に置き、遠火に掛けて沸いた状態に。
―――全ては整った。あとは麺を放るのみ。
気を引き締める為に、水を一口煽る。
「―――そりゃ!」
湯が跳ねないよう、麺上げ用の笊付き棒で斜めから落とす。
感覚的な時間で数分。
眼を閉じ、本で読んだ知識や実家での実戦から学んだ数値に、この大釜の循環を加味し、
それと定めた刻を数える。
―――汗の乗った瞼を開ければ、湯気の中で踊る麺が白んでいた。
「ふんっ」
笊を落とし、対流を辿る様にして、麺を手繰るように纏めて掬い上げる。
早めで上げた為、硬めにしても未だ食べ頃には遠いが、これで良い。
「そーらそぉらそらッ」
ひたすら揉み洗い。強く丹念にしかし手早く。
「ハリー、ハリーハリーハリー、ハァリィィィィィィィィィィィィィ―――ッ!」
少々テンションが乗りすぎたようだ。
先程の鍋に放り、対流の中で洗わせる。
僅かに空気に触れた時間と、水に触れた時間、麺の打ち粉の含有の有無による僅かな水質の違い。
これらが釜揚げを左右する。
ここで麺を上げれば―――
「―――完璧だ」
食べ頃―――そのほんの一歩手前。
これを桶に放ち、後は余熱で暖まれば最適だ。
桶に蓋をし、ほんの一時。
―――蓋を開け、笊で器用に一本掛けて、それを啜る。
「グ レ イ ト 上 手 に 出 来 ま し た ー ッ ! ! !」
改心の咆哮を、上げた。
―――食卓。
「さあ、食え」
真ん中に桶を据え、四人で囲んだ食卓。
風鈴の音だけがBGMの、夕涼み。
全開にした縁側一杯に、いつも見慣れたパノラマが広がる。
「―――って、つゆは何?それとも醤油のみ?」
「慌てなさんな霊夢さん、取って置きがありますぜ」
そういって俺が取り出したのは、鰹の出汁から作った麺つゆと、裏ごしした梅干し、温泉卵、そして数多の薬味。
まず、麺つゆを空ける。キッチリ追い鰹で仕上げさせてもらった。濃いものを少な目が良い。
次に裏ごしした梅を落として溶き、それらを釜揚げの湯で適度に割り、仄かに温める。
そこに温泉卵を落とし、ほんのひと混ぜ。
「はいどうぞ、召し上がれ」
と、第一号を霊夢にぷれぜんつ。
師弟二人もほおほおと頷きながら、見よう見まねでつゆを拵える。
「随分と手を掛けるわねぇ―――では」
そこでふと、霊夢が動いた。
白袖を外し、頭のリボンを一旦外し、テール部に纏める分量を多めにして、結わえ直す。
あーポニテ巫女可愛え。って、これは嫌な予感がする。
それを見て、他二人も動く。
永琳は帽子を取り、自慢のおさげをピンで纏め、お団子に。
鈴仙も後ろ髪を籤で纏め上げ、前髪もピンで避けた。
俺は思った。
……こいつら、ヤル気だ。
「「「いただきまーす♪」」」
「……俺の分、残るよな」
数刻後。
縁側には夜空に飛び立つ二人と、満足げに見送る巫女さん、
そして _noミそ な俺の姿があった。お約束。
「それじゃ、ご馳走様でした」
「今後ともイナバ薬局をご贔屓にー」
「二度と来るなよあ゛ー畜生ぉーーーーッ!?」
俺の感想:全員容赦ナサス。
何ですか!?数十行にも渡る俺と釜のタイマンはけーねに無かったことにッ!!?
つーか骨折り損にしたって殆ど食べれないってどうよ!?
「しかも全く悪気に思って無ェし……しくしく」
「いいじゃないの、良い手並みで御座いました♪」
一番量を食った巫女さんが大変素敵な笑顔を向けてくる。これだけが成果だなぁ。
が、ちょっと気落ち気味の俺は、少し拗ねて見た。
「……ああ、そうかい」
「食べたいの?」
「Σ食用だったのか!?あれ!?」
「いや無いけど。じゃなくて、饂飩の方よ―――はい」
かたん、と食卓に置かれたのは、平皿に広げられた、一人分の饂飩。
饂飩の上にはかき揚げ、そして鰹の香りがする徳利。
つゆかけ饂飩。俗称ぶっ掛け麺。
「流石にあんなに暑い思いする義理は無いから、これで勘弁ね―――どうぞ」
―――何だか涙が出てきた。
「ほらほら、また塩っぽいの食べるつもり?」
「有り難ぇ……い た だ き ま す ッ」
「大変馳走になりました(ー人ー)」
「早ッ」
そして今。
釜その他を片付け、程よく満たった腹をさすりながら星を眺める。
縁側には@蚊取り線香。
「うむ、風流だ」
残念ながら釜揚げで汗を掻く事は出来なかった訳だが、まあ良いのだ。
何せあの巫女さんの手料理、しかも自身が食べる為でなく、俺の為である。
腹より寧ろ、心が満腹。
「―――今日は、実に良い夜だ」
「本当にね―――ほーれ隙有り」
「ぅひゃぁ」
頬に冷たい不意打ちを喰らい、情けない声を上げてしまう。
横を見やればグラス一杯の麦茶と、「どうぞ」と舌を出して微笑む霊夢。
「あ、ああ、頂く」
神様、先程から巫女さんが次々と反則を繰り出してきます。
堪りません。KOです。
「んー、夏は麦茶よねー」
「!?」
更にあろう事か、肩が接するほどの隣にくっついて座りやがりました。
麦茶を煽る横顔、仄かに汗ばみ上気した肌。
しかも髪型がそのままなので、首筋のラインがそのまま。
堪りません。故意にしろ天然にしろ反則です。
「ん?どうしたの?」
しかも風に乗って彼女の匂いがする。
生活上、あまり肉類を率先して食べず、茶を良く飲む為か、霊夢の体臭はそういったものとは
少々縁遠く、寧ろ気のせいか緑茶の香りさえ感じる。
「……」
思わず、口を湿していた麦茶を嚥下する。
ごくり、と喉が鳴った。
悟られないよう身を竦め、心を静める。
「いや、ちょっと昼間のが少し響いてるらしい―――少し、火照る感が残ってる」
「そう?また大変だったものねぇ」
そして霊夢はまた麦茶を煽り―――眉を顰めた。
感付かれたか?と思ったが―――そんな予想を、遥かに超えていた。
「―――む」
「うわ!?何すんだ?」
いきなり胸倉を掴み、こちらに引き寄せる。
鼻が触れるほど近付き、そこで彼女は―――眼を閉じた。
息の詰まる―――そんな一瞬。
「汗臭い」
「がーん」
次にこちらを見た視線は半眼。
放たれた言葉は、俺のプライドその他諸々を一太刀に袈裟で両断、余波で木っ端微塵に粉砕した。
……こっちに来てからはずっと毎日風呂入ってたのにッ OTL
「そーいえば薪の匂いがするわねー。あと少し埃臭いわよ?」
「う゛ッ」
水を被ったときに流れたかと思ったが―――寧ろ服に染み付いたのだろう。
―――と。
「しょうがないわねー。ほれ、風呂入るわよ」
「ぅお引っ張るな引っ張―――はい?」
今、この巫女は何と言った?
風呂『入る』?『入れる』でも『入れ』でも無く。
そりゃ普通、自分が入るときに言う言葉である。
ちょっと待て、まさか―――
「どお?洗い残しとか感じたら言ってね」
「……ぉぅ」
流されるままに、風呂場。
服は籠に纏められ、洗濯に回された。
そして俺の今の姿は、手拭一丁。
この風呂場、一人分と言う割に、そこそこの広さで作られているが、
それでも二人で入ると狭く感じる。
先日までは一人で入っていただけに、尚更だ。
「……なに硬くなってるのよ」
「かかか硬くくくくななななっっててててなんかかかかかか」
「……呆れたわね」
喧しい。ただ二人っきりになるのとは訳が違うのだ。
微妙に反響する声はお互いの距離を意識するし、音も同じ、
何より――――――二人とも手拭一枚で、服など着てない訳で。
「……この間とか、そういうのに無縁でもないのに、この人は」
「っ」
不意に、耳元で囁かれた。
いかん、心臓がッ、心臓がッ―――
「ほれほれ煩悩退散ー」
「ぅぶぉはぁああぁッ!?」
次の瞬間、頭から冷水。
デジャヴを激しく感じる。それも割りと最近に。
「っげほっ、げほっ―――キサマ俺を心臓麻痺で死なす気かッ!?」
急転直下な心拍数ならノートも要らん!アレで逝っても自然条件と見分けつかんし!
「あはは、ごめんごめん。
―――ねぇ」
そこで、背後から聞こえる声が、神妙な色を持った。
俺は黙って、声に耳を傾ける。
「例えば、さ。
―――この前の夜、待ってたわよね」
「―――ああ」
「お風呂、立てておいてくれたわね」
「着替えもな。悪いとは―――そのときは思ってなかった。すまん」
「そこはそれ。
―――お粥、美味しかったわよ」
「残り物で、しかもおじやだが」
「塩っぱくなっちゃったけどね。
―――胸、貸してくれたわね」
「その前に鼻水垂らしたのは俺だしな」
「まったく、酷い話よねー?
―――眠るとき、一緒に居てくれたわね」
「厳密に言うと押s」
「そこは言わぬが花。
―――今日、ちゃんと二人のフォローもしてくれたよね」
「そういう後引くの、嫌だものな、お前」
「皆……私の為よね?―――何で?」
こちらにとって、解りきった質問。
「きっぱり言って、霊夢の為だよ」
「何で?」
それに対して、俺は少し間を置く。
色々有るには有るのだが、面倒なので敢えて纏めると―――
「要は―――お前がそこに、居るからだな」
「―――」
結局、こんな気障で飾った言葉しか出てこない。情けない話である。
が、実際どうしようもないのだ。
お茶を飲んで日がな呆けて。
賽銭無くてもぼやくのみ。
『お仕事』の時はちょっぴり怖くて。
人妖問わず、裸足で逃げ出す。
努力と言う言葉と無縁で。
でも手を付けると、簡単にこなしてしまう。
何処か人と距離を置き。
だけど礼儀はしっかり通す。
喜怒哀楽激しく、気ままに動き。
思いっきり怒り、笑い、そして泣く。
親切の押し売りは嫌いだけれど。
義理堅く、受けた恩は必ず返す。
有りのままで、変わらぬままで。
でも有りのままである事に手は抜かない。
常に、自分に正直者。
逃げも隠れもするし嘘も時折付くけれど、自分にだけは正直者。
そして、それらを全て、他人に背負って貰おうと思っていない。
弁解しても弁護は要らない。
そんな霊夢に、自分は魅入られてしまったのだろう。
だから。
「俺は―――お前が良いならそれでいいんだ」
このとおり、ヘタレな骨抜き宣言も真顔でしてしまうのだ。
「―――俺の方から、良いか?」
「―――ん?」
が、俺だって損をするのが好きと言うマゾ体質ではない。
「―――何でお前は、俺にちゃんと『お返し』をくれるんだ?」
どんな答えが返ってくるのか、俺は見当が付いていた。
「そりゃ、善意を無償で貰うのも―――すっきりしないでしょ?」
―――そうなのだ。
この巫女さんも大概なのだ。
善意はきっちり返礼するものだと―――欲されたわけでもなく、返してくる。
その価値観はあくまでも自身主体だから、誤解されがちなのだが―――
「世の中ギブアンドテイク、って言うんだっけ。受けた恩は返さなきゃ―――違う?」
とてつもなく、義理堅いのだ。
「……それで、俺の心臓に優しくないアプローチ各種まで返してくれるわけか……?」
「……その、男の人って、さ。そーいうのが……好みなんでしょ?」
―――価値観が、どうにも『世間離れ』過ぎるのが玉に瑕か。
これでは、色々と誤解されてしまう上に、色々と紙一重である。
「―――っはははははッ」
「な、何よ?」
「一つ言っとく。
ギブアンドテイクは経済の基本原則。
なので―――恩は返す、って用法は、一般的には常用外だ」
「そーなのかー?」
「そーなのだ―――で」
俺は前を見た。
そこには丁度鏡が置かれ、肩越しに霊夢の顔が見える。
鏡を介して、霊夢と目線を合わせる。
「何でそんな事を聞いたのさ」
「だって―――普通、異性に尽くすって言ったら、好きだからとか、愛してるから、って返すんじゃないの?」
「ふむ」
出所は魔理沙か、或いは知識人達の書斎か。
「ま、俺の場合、当て嵌めても良いと思うよ」
しかし、と、敢えて格好つけて、言葉を吐いてみる。
「俺の『愛』の対象は、『博麗霊夢』って存在そのものだからな」
「はぁ?」
「いや、だから何が言いたいかと言うとだな」
「別に、霊夢の思うとおりにしていれば良いよ、ってこと」
「……じゃあ例えば。恩、返さなくても良いのかしら」
「おいおい―――」
溜息を吐くしかない。
「逆に聞くが―――返さずにおれんだろ、お前」
「タダより高いものは無いわ―――霖之助さんみたいに、毎日硬い事言われっぱなしじゃ面倒だもの」
「言わないって言ったら―――」
「信用に値しないわね、少なくとも口約束は」
ホレ来た。そして次のトンでも発言は―――
「で、森近さんはこういうのの対象外か?」
「こんな事して、喜ぶと思う?」
こーいう事である。
ちゃんと返す対象と形を選んでいる辺り、大概だ。
「……ほんと、大概な巫女さんだ」
「それが何か?『愛』に傷でも付いたとか?」
「いーや――――――今これ以上無い位、お前が愛おしくてしょうがない」
良いじゃないか、義理でも。当たり前でも。
「返さないかもしれないわよ?返せないかもしれないわよ?」
「別に良いっての。―――それで、霊夢が霊夢らしくあるって言うなら」
もともと帰ってこなくて元々のものだ。
義理深く返してくれるって言うなら―――これ程の事はそうそう無い。
「さて、また聞き返すが」
「何?」
「それじゃあ『惚れ直した』って言ったのは何さ」
鏡の向こうの霊夢は―――
「そんなあなたが有り難くて―――いつも惚れ惚れするわ、ってこと」
そのまま頬を染めて、十八番の笑みを返してきた。
「本人では当たり前のつもりなんだが」
「何よ、結局私と同じじゃないの」
ああ、つまり。
「お互い、確かめるまでも無く―――」
「今はもう首っ丈、と言うことなのね―――」
全く、厄介な相手に惚れてしまったものだ。
そうして、何事も無く背中を流されて、二、三程談笑したのみで、風呂から上がった。
今は二人、整えた寝室の縁側、仲良く並んで麦茶片手だ。
隣にいる霊夢は、いつものリボンが無い。あれも巫女服の一部なのだろうか。
髪を下ろした彼女は、どこか神秘的で―――妖艶な空気さえ感じる。
灯篭の灯りに照らされる瞳は、僅かな紅色。
『お仕事』の彼女に良く見られる色。
ただ明彩に乏しく、光源に照らされないと解らないようだ。
……初めて逢った時、俺に襲い掛かったデカイ狗妖をぶち撒けた時と同じ色だ。
あれは未だにトラウマであるが―――
「……失礼なこと、考えてなかった?」
「考えた」
「む、はっきり言うのね」
「事実だ。悪いとも思う。癇に障ったら謝る。でもな」
「―――その色、綺麗だ」
その時、血風の向こうに見えた紅白の蝶は、確かに綺麗だった。
それもまた、魅入られたという事だろう。
思えば、彼女は『人の幻想』なのかもしれない。
人は、万物を統べる者であり。
人は、万物と等しくあるものであり。
人は、万物を操るものであり。
人は、万物に恵みを受けるものであり。
人は、それらを持ちながら、全てを棄てられるものであり。
人は、現実にありながら、幻想を歩む。
そんな、人の夢と希望と高慢さがない交ぜになって、結実したもの。
例えば、そんな空想。
「でも有難う」
ふと思考に没入していた俺を、そんな鈴の音のような声が呼び戻す。
―――巫女の声色は、魔除けの鈴の音色。
酒も入ってないのに、そんな気障な思考が沸いてくる。
眼の前の巫女の魅力は、こっちの頭まで春にするようだ。
「この眼、そうやって褒めたのあなたが初めてよ」
そう、この『有り難う』が、俺の心を掴んで離さないのだ。
つくづく、とんでもない人に惚れたものだと思う。
これは中毒性がある。そして俺は末期。
うむ、こんなことを言っている辺り、どうしようも無い。
「―――何だか悪いわね、褒められっぱなしで」
「良いんだよ、好きでやってるんだ。
―――紅白の蝶の止まり木は、花なり何なり無いとお気に召さないようだしな」
「いや、確かに枯れ木なんて留まる気は無いけど―――
そうね、止まり木ねえ」
そこで霊夢が意地の悪い表情をする。
また何か人を弄くり倒す良い手を思いついたようだ。
拙い、そこで楽しみにしている辺り、俺は色々ともう駄目だろ―――
「ねえ、その止まり木さ」
「うん?」
「受粉を誰かに手伝ってもらわないと、実らなかったりする?」
「―――」
俺は暫く考え―――
「ッぶふぅッ!!!」
「ひゃっ!?こっちに飛ばすな汚いわねー」
その意図に気付いた瞬間、盛大に吹いた。
せめてもの道連れに、盛大に吹き付けてやる。
滴る雫やら、麦茶色でまた艶やかに染めあがった巫女が出来上がるが、そんなことを考えている余裕は
俺のグラスハートには無い。
「っぐ、じ、実を言うとそう見えても、この辺り初心なので、デリケートに扱ってくれると嬉しいかな……ッ」
「飲ませて酔わせて、の行はオーケーなのに?」
「歯に衣を着せろって事だよ……っふう」
少しでも暴走気味のまいはーとを落ち着かせる為に、麦茶を一服。
そこでふと霊夢は腕を組み、眼を閉じ黙考のジェスチャー。
そして半眼でこちらを見ると、
「半脱ぎなら良いのね、マニアックな人ねぇ」
「ぶ ふ ぉ ぁ ッ !!!」
そのまま肩を抱き、頬を赤らめて身を捩る。
貴様、俺を噴水扱いか。
「ど っ か ら 仕 入 れ た ッ !!!!!?」
「巫女の習俗史は習ったって言わなかった?」
「大昔にそんな単語はありません(キッパリ)―――永琳か、永琳だなッ?」
よってたかって人の純情ズタボロにするのがお好きなようで。クソッなんて時代だ。
「おお……お゛お゛お゛お゛……ッ」
「あ……本当に御免、徹底的に凹ませるつもりじゃなかったの」
うん、僕はもう色々限界です。
「―――霊夢」
唐突に、首と目線だけで霊夢のほうを向く。
ヒュガッ、とか微妙な擬音が視覚出来そうな勢いだっただろう。
「何?」
それを訝しげに覗き込む、博麗の巫女。
後ろ髪がしな垂れ、また僅かに汗ばんだ首筋に絡む。
―――石鹸の、匂いがした。
「……いつも先手を打たれては、沽券に関わるので―――いいか?」
「うん」
「で、聞いておきたいんだが」
「勿体振るわね、何?」
「今このタイミングで―――」
「染め上げてみたい―――って言ったら、何を想像する?」
「―――」
一拍置いて、
「―――あ」
霊夢の顔が茹で上がり、眼が僅かに見開かれる。
うん、実に貴重な表情。ブン屋が出歯亀しているなら、ネガごとぶん取って独り占めしたい。
だが、その表情も一瞬。
「ん、解った」
頷き、上半身だけでこちらに向き直る霊夢。
瞳は潤み、一抹の不安定さを得る。
「やっぱり少し不安かな」
「攻撃側なら容赦ないのによぉ―――狡い言い分だ」
「冷めた?」
「寧ろ熱暴走中です」
霊夢の肩を優しく抱き、引き寄せる。
彼女の方は、片手でこちらの手を握り、
「先に謝っておく……後始末とか」
「後始末は、その時考えれば良いじゃないの」
もう一方の手で、灯篭を開け、蝋燭を取る。
「そっちじゃなくて」
「ん、それなら―――いいの」
霊夢はその桃色を乗せた唇で、灯っていた火を吹き消した。
「そう―――染めても、いいのよ」
カラン、と。
グラスに残った氷がひとつ溶け、底に落ちる音が聞こえた。
「―――夜が明けるまで―――何とやら、か」
「暑い夜に―――なりそうね」
(省略されました。全てを読むには零戦でFALKENの6時を攻めてガンキルして下さい)
//////////////////////////////////
あだるてぃー仕立て。
グレイズとはこういうことだッ(台無し
4スレ目 >>552(改訂>>554(うpろだ0034))
「……まあ、なんだ」
某月某日、博麗神社。
「俺が悪かった。だからそんな虚ろ、というかウロな目で俺を見ないでくれ」
久しぶりに呼び出しがかかり外の世界……というか俺の故郷に帰っていたのだが。
帰ってきて出迎えてくれたのはいい感じに出汁が取れそうなくらいに干からびた人間だった。(東方寄集録・紅、もしくは白参照)
場所と服から霊夢だという事は間違いないが……
「とりあえず飯だな。幸いにも向こうに行ったときに食料はたっぷりと……」
ふと気づく。……先に出汁をとったほうがいいんじゃないか?
もとい。先に水につけて戻しておいたほうがいいんじゃないか?
* 少女吸水中…… *
「……ぷはあ、生き返ったー」
「そろそろ人間超えてきたんじゃないかお前」
とりあえず風呂桶に霊夢出汁のコンソメスープを作り、そしてそれは彼女自身に吸収されていった。
で、今は外見年齢に相応しい水も滴るいい少女になっていたり。
「とりあえず体拭け体」
「もったいないからイヤ」
もったいないって、それ曲がりなりにも風呂の水だぞ?
「風呂水でも飲めるものなら飲むの。……ちゃんと煮沸消毒はするけど」
自分でも言ったことが少々アレだと気づき、後付でフォローする。
「あー、とりあえず飯食うか。今日は俺が買ってきたから」
まあ、俺も腹は減ってるし。とりあえず体を乾かさないと……
「霊夢?」
「何よ」
「悪いが、味を見させてくれ。」
レロレロレロレロ
ひあーん……
「……何考えてるのよこの変態は」
「いや、悪かった。いっぺんやってみたくてな」
完全に怒った霊夢と頭にアミュレットだの針だのが刺さっている俺。
……ちなみに、『人間には害はない』らしい。痛いが。
「にしてもこれおいしいわね。手が汚れるけど」
「ああ。とはいえ食いすぎると胃がもたれるがな」
今俺たちが食っているのは某爺がトレードマークのファーストフード。
あいつが見たら卒倒するかな?こんな光景……
「かわいそうね、ミスティアも」
「いやそれ言うなって」
なんとなく食えなくなるんだよそう言われると。
「なら私が貰うわね。どうせ久しぶりのごはんなんだし」
とか言って全ての肉をかっぱらわれた。
「……まったく。まあ俺にはこれがあるから」
そう言って取り出すは某チキンカツサンド。これはうまい。
包みを開け、一口。
「ぬふぅ」
なんともまあいやな顔になったろう。それほどにうまいのだ。
「(某ピエロの店)は安さで勝負してるけどやっぱりこれもうまいんだよなぁ」
でも金がないときは(某ピエロの店)に行くが。
「ねえ、(某ピエロの店)って何?」
「外の世界の食堂みたいなもん。地方では(某ッピ)とか(某ピエ)とか略されてるけど」
たしか(某ピエ)が関西だったな。
「じゃあさ、今度外に出たら(某ピエロの店)の物買って来てよ。食べてみたいから」
「ん」
とりあえず次に出るときには乾燥させないようにしよう。そうでなきゃこっちの心臓が持たない。
>>394
───────────────────────────────────────────────────────────
境内に響く声、思ったより早くばれてしまったようだ。落ち葉を掃いていたが
久々にいい天気で暖かかったので縁側で仰向けに寝転がって日向ぼっこしていた。
声がした方を見やると目の前には盆を持った霊夢が。そして自分の目の前に
盆が置かれる。覗き込むとそこには茶の入って湯気の立っている湯のみが二つ。
「お、サンキュ・・・」
お茶に手を伸ばしたそのとき、微かに視界が薄暗くなると同時に
腹の上に強い衝撃。反射的に息がむせて握った湯飲みから茶がはねる。
目を茶から離すと腹の上に霊夢が腰掛けていた。
「もう、早いところ落ち葉集めてくれないと焼き芋できないじゃないの」
「ぐっ…いまの不意打ちはちょっと効いたぞ」
いくら小柄な女の子とて完全に予想外の不意打ちで無防備だっただけにかなり効いた。
「あんたがサボってるのが悪いのよ」
「やってくれるな、こうなったら…仕返しだっ!」
「ちょ、何するの…キャハハハハやめてくすぐったい!」
仕返しに両手を伸ばして霊夢の腹や腋をくすぐってみる。
霊夢がそんな無防備な巫女服なのがいけないんだ。反応が
なかなか面白いのでこちょこちょをエスカレートさせてしまう。
「キャハちょっと、いいかげんにしないと!」
不意に両腕の力が抜ける。だらしなく床に落ちる自分の両腕。
驚いて見ると自分の胸の上に符を貼りつけている霊夢の姿。
「あー、ずるいぞスペルカードとか」
「はぁはぁ…こ、これであんたは動けないわ。お仕置きし放題ね」
もがくにもまるで四肢の運動神経が切り離されたかのように両腕・両脚が
反応してくれない。首から上は動くようだがこれだけではどうしようもない。
「観念しなさい。さぁどうしてあげようかしら」
「・・・やさしくしてね・・・」
「…やっぱやめとくわ。気持ち悪い」
幻想郷にはスペルカードとか弾幕とかあって、さらには体術もそこそこ出来る
みたいなので外界由来の自分がまともに勝負できるとしたら話術くらいである。
もっとも、話術も正直互角なのかかなり不安ではあるが。
「そういえばあんたがここに迷い込んできたのもこんな天気のいい日だったわね」
「そうだったか?」
「元の世界にはもう帰らないの?」
「霊夢が俺の上に座ってる限りは帰『れ』ないな」
そう言うと無言で腰をどかす霊夢。
「おっと、そんなに帰って欲しいのかい?」
「だってあんた苦しそうだったし」
「お、俺はこの位平気だぜ」
「ふーん、じゃあ・・・」
霊夢は立ち上がると何を思ったか俺の腹の上を跨ぐように足を置き
「これでも平気かしら?せーの・・・」
「ちょ!待った待ったストップ!尻餅はやめてくれ死んじゃう!」
「平気って言ったのはどこの誰かしら?」
「いや、尻餅はかまわんがせめて最期に中を拝みたいから腹じゃなくて顔の上に」
「むしろその減らず口を封じるために顔の上ね」
霊夢はそう言うと俺の上からどいて縁側の縁に腰掛ける。
「…寝ながらお茶なんて行儀悪いわよ?」
「あぁ、そうだな」
自分も霊夢の言葉を受けて湯のみを取り霊夢の隣に腰掛ける。
気づけば胸の上に置かれていた符は既に時間切れで蒸発していた。
「お前思ったより重かったな」
「失礼ね」
「でも、ちょっと安心したぜ」
「?」
「本当は霊夢なんて幻か何かなんじゃないかとか一時期思ってたんだ」
「なんでよ」
「ほら、霊夢っていつもふよふよ飛んでたりなんか何考えてるかよく分からない時あるし、
でも、霊夢の重みでなんていうか改めて存在感を確認できたような気がするよ」
「またひどい言われようね、私ならほらちゃんとここにいるじゃないの」
「俺が幻に惑わされてるわけでなく、霊夢が確かにこの目の前に居るって判った
今だからこそ言えるけどさ、俺は霊夢が好きだからいつまでもずっとここにいてもいいか?」
「・・・うん、私もちょっと好きかも。最初は魔理沙や紫とかと同じようにしか思ってなかったけど
こうやってずっと一緒してるとやっぱどうしても意識するようになっちゃって」
「それはきっと俺と霊夢の間に出会った最初の日から見えない運命の紅い糸で結ばれていたからだよ」
「「・・・・・・」」
「・・・なんてな、ちょっとクサかったか」
「相当クサかったわ」
「お前俺の上座ったとき屁こいたろ」
「その余計な一言が自分の寿命縮めるのよ」
>>469
───────────────────────────────────────────────────────────
最近○○と一緒にいる時間が少ない気がする。
朝早くから出かけてしまい、昼ご飯のときに一度だけ戻ったら後は夜まで鉄砲玉。
何をしてるのか聞いても「悪い、今急いでるから」とか言って取り合ってくれない。
掃除中の神社の境内が広く感じた
文が、アリスと一緒に人里で買い物をしている○○を見たって言ってた。
気になる。けど聞くのが何か怖い。
とりあえず文を“説得”して、記事にするのはやめさせた。
疑いたくないのに不安が募る。
○○とけんかした。アリスとのことを問い詰めたから。
○○は一瞬言葉に詰まった後、ごまかそうとした。
だから怒って追求したら、「言えないものは言えないんだ」って逆に怒られた。
神社の境内がとても広く感じた。
その日の夜、「これやる」といって○○が包みを二つくれた。
中にはそれぞれクッキーと、不恰好なリボンが入っていた。
赤い布地に白いレース、素人丸出しの不揃いっぷりだった。
○○の指には絆創膏がいっぱい。今まで気付かなかった。
不意にアリスといた理由がわかった。
何か言おうとしたとき、○○が「ごめん」と一言だけ。
なんだか涙が止まらなくて、あわてる○○の顔がおかしくて、
だから涙が止まった後も、ちょっとだけ嘘泣きを続けた。
○○はその間、私をぎゅっと抱いてくれていた。
「まったく、わざわざ何日も家庭教師をしてあげて、お礼がクッキー一袋? 割に合わないわよ、もう」
そう言いながら、アリスは道具と本を片付ける。表紙には、「レースの編み方入門」とかかれていた。
周りには、アリスが作ったにしてはあまりに不恰好な、レースの飾りが散らばっている。
「デモガンバッテタァヨ? アリス」
「ガンバッテター」
「そりゃあね、でも片付けぐらいちゃんとしていきなさいよ、いくら日付が変わりそうだからって…ねぇ?」
「ソゥダネェ」
「カエルマデガエンソクー」
「遠足とは違うけど…まあそういうことね。全く、生徒が先生に片付けさせるなんて」
そういいつつも、片付け続けるアリスの表情は、あんまり怒っているようには見えない。
「ま、頑張ってたし、このくらいは見逃してやるか、次は無いけど」
「ツギハァナイー」
「ナイー」
楽しげに復唱する人形達の姿にクスリと笑うアリス。
そうして片づけが終わる頃、非常識な来客が現れた。
「ようアリス、邪魔するぜー」
「ァ、マリサダー」
「マリサー」
「邪魔するぜー、じゃない! 藪から棒になによ魔理沙!」
「いや、実験にちょっと失敗してな? ほとぼりが冷めるまでうちに戻れないんだ。つー訳で泊めてくれ」
「と、泊めてくれって、あんたねぇ!」
「マリサ、ォトマリィ?」
「オトマリダネー」
突然の展開に混乱するアリス。だが、その顔こそ赤くなってはいるが、あまり嫌そうでもないように見える。
「お、クッキーか? 丁度小腹がすいてたところだ、どれ一つ」
「あ、こら!」
「ふむ、なかなか。作り方変えたか? 味がちょっと違う気がするが。市販?」
「べ、別にいいでしょそんなこと!」
「そうだな、ま、アリスも一枚食べてみろ、いけるぜ。その間に私が紅茶を入れてきてやろう、今日は特別だぜ?」
「あ、あのね」
「何、気にするな、泊めてもらうんだしこれくらいはするさ」
「勝手に話を進めない! って言うかそれ秘蔵のお茶っ葉! こらー!」
「かたい事言うなって」
「も~~~!」
「「ティーパーティー♪」」
その後、しばし真夜中のお茶会。
その中でアリスは、ブツブツいいながらも……その顔はどこか、楽しそうだった。
次の日、魔理沙が来て、「何だ? そのひしゃげたリボンは」とか言ってきた。
カチンときたのでぶっとばした。
いいのよ、これはこれで。
だって、それでも一生懸命に作ってくれたって事だから。
あとがき――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ホワイトデーネタのつもりでやってみました。
いつものに似た新しいリボンを作ってプレゼント。
……霊夢のリボンって赤地に白いひらひらの縁取りでよかったですよね?。
~チラシの裏~
原稿用紙の書き方を久々にもう一度見返してみて、自分の書き方が大体間違ってなさそうなことに安心したのも束の間、
前回流し読みしたときには気付かなかった項目が一つ。
「…(三点リーダ)」は2個1セットが基本だったとは……。
今までふつーに1個1セットで済ませてました。orz
~ここまで~
それ以前にまず霊夢が霊夢じゃねぇ……orz
>>541
───────────────────────────────────────────────────────────
二人きりになったとたんに霊夢にごろごろ甘えられたい。
ごろごろ ごろー
普段のそっけない態度と打って変わって
ごろごろ ごろー
3スレ目 >>398
───────────────────────────────────────────────────────────
「部屋片付けに来てあげた……わよ」
休息日の昼下がり、呼び鈴が鳴ったので玄関の戸を開けると、霊夢が立っていた。
先日酒の席で「散らかり放題の僕の部屋を片付けてやる」と意気込んでいたが、
本当に来るとは思わなかった。
「はいはいどいてどいて」
突然部屋から引きずり出され、布団と一緒に縁側に放り出された。
――な、なんか凄いやる気を感じるんだけど。
「とっとと済ませれば後が楽なのよ」
ガンガンとまとめられるゴミ。みるみるうちに部屋が片付いていく。
僕はその間に布団を干し、叩く。
「はい、お終いっ」
振り向くと霊夢は玄関から出て行こうとしていた。
声をかける間もなく霊夢は玄関から出て行った。
――……………ええ?もう帰んの!?
綺麗になった部屋で寝転び、嵐のように来て嵐のように帰っていった
霊夢の事を考えていると、玄関がガラガラと開いた。
「なぁーにシケた顔してるのよ」
霊夢がいろいろと食材を持って上がってきた。
――あれ、帰ったんじゃ……?
「夕食くらい面倒みるわよ。不満なら帰るけど」
エプロンを身につけ、台所に向かう霊夢。
文句なんかあるわけがない。
――僕も手伝うよ!
「楽しみに待ってて、と言いたいところだけど、二人でやれば二倍美味しいものができるかもね」
3スレ目 >>400
───────────────────────────────────────────────────────────
「霊夢、好きだぞ」
「あぁそう? それはどうも、私もあんたのことは嫌いじゃないわ」
と、真顔で言っても全く照れない霊夢が俺のジャスティス
3スレ目 >>579
───────────────────────────────────────────────────────────
いかん、霊夢分が不足してきた。
空飛ぶ不思議な巫女
「私ね、空が飛べるの」
「ハァ?」
「信用してないようね。ちょっとやってみるから見てなさい、ほらっ」
宙に浮く霊夢
「…!?@\★◆∀ΖΘνF91」
「あら、驚いて声も出なくなっちゃった?ちなみに素敵なお賽銭箱はそこよ」
「…ぱ、ぱんつはいてない」
「☆◎#※∇∵ÅД%!?」
3スレ目 >>841
───────────────────────────────────────────────────────────
なぁ霊夢。
「何よ。」
いや、何よて。幾ら傘が一つしか無いからってくっ付きすぎだろ。
「いいじゃない、減るもんでもなし。」
いやほら、俺男だしあまりくっ付かれるとムラッとくるっつーか過ちを犯しちゃいそうになるっつーか…。
「○○になら…」
ん?
「○○になら…その…私は後悔…しな…ぃ…。」
霊夢…、本当に俺なんかでいいのか?
「……。(こくり)」
(省略されました・・初夜を読むにはエイジスプロテクターからデストローイ、デストローイ)
4スレ目 >>51
───────────────────────────────────────────────────────────
「ちっくしょー! 朝は快晴だったのに。あてが外れたか!」
今僕は必死に自転車を漕いでいる。いや別に漕がなくてもいいんだけど、気分的な問題なのだ。
現在地は紅魔館と魔法の森の中間地点の、上空。
愛車に跨り必死にスピードを出す僕は空を飛んでいる。
雨をさえぎる物の無い上空で、僕は必死に雨宿りの場所を思い出していた。
「家は遠い。紅魔館も魔理沙の家の中間…。そうなると、やっぱあそこしかないか」
雨でびっちょびちょになったジーンズや下着に違和感を感じつつ、僕はその目的地に向かって更にスピードを上げた。
上からではなく横から叩きつけられる雨を振り払い、目的地まで一直線に飛ぶ。
しばらくすると、目的地の赤い鳥居が見えてきた。
そう、幻想卿の博霊神社。僕が向かっている場所である。
スピードを緩め、神社の縁側の方に向かう。明かりは漏れているが人の気配はしなかった。
塗れた玉砂利にタイヤを取られそうになるものの、なんとか着地。うむ、9.4点くらいかな。9.6点満点で。
庇の下に自転車を置き、ちょっと声を上げて叫ぶ。
「霊夢ー。ちょっと雨宿りさせてくれー! っているのかー? いないのかー?」
暫く待っていると部屋の奥の襖が開かれ、霊夢が出てきた。
「そんなに叫ばなくても聞こえるわ。それよりも、ひどい格好ね」
いつもの改造巫女服、ではなくシンプルな白い浴衣姿の霊夢。
「お風呂から上がってみれば外は酷い雨だし、貴方は濡れ鼠だし。酷い日だわ」
なるほど、良く見れば肌が上気してほんのりピンク色だ。…変な想像はしてないぞ!断じて!
「しょうがないだろ。一番近かった雨宿り場所がここだったんだから…
それよりも何か拭く物ないか? 上から下までびちょびちょで気持悪いんだ」
両手を挙げて外国人の「どうしようもないぜ」って感じのポーズをする僕。
「それよりもお風呂入ったら? 私の後でよければ、ね。着替えも貴方が入っている間に用意するし」
なんという提案か!僕は一つ返事でオーケーした。好意には甘えないと。
そうだろう?
─────────────────────────────────────────────────────
突然だか僕の趣味はサイクリングだ。
今日も週末を利用してちょっと長めの旅に出ている。
といってもほんのちょっと県外に出て、また戻ってくるルート。
所要時間延べ6時間。普段と変わらないいつもの小旅行。
その時はちょうど帰りのルートの最後の上り坂だった。
キツイ急勾配の上り坂だが、これを上りきればあとはまっすぐ下り坂。
その下り坂で風を思いっきり感じるのも好きなのだが、それよりも望んでいることがある。
「やっと…これで…坂の頂上!」
ギアを一番軽くしても息の上がる急勾配だか、後ろを振り返ればその疲れなんて一気に吹き飛ぶ光景が見れる。
「…今日もいい夕日だな」
海に沈みかける夕日。その光に照らされる住宅街。
全てが暖かい紅に染められた世界。正直、僕はこの光景が見たいためだけにサイクリングをしているのかもしれない。
ブロロロロ…
しばらくいつものように見とれていると、坂の向こう側からトラックのエンジン音が聞こえた。
慌てて我に返り自分の走っている位置を見ると、これはいけない反対車線。
これは危ないと思いつつ左の車線に戻る。
(この時間にこの場所で車とすれ違うなんて事、滅多にないんだけどなぁ)
そう思いながら峠を越えて…僕は我が目を疑った。
あろうことかトラックが僕のいる車線を走ってくる。しかも3tくらいのデカイトラック。
運転手は僕に気付いてない。トラックの運転席からの目線の高さの違い。なにより…
(しまった! 逆光だ!)
上り坂と下り坂、視点の高さの違い、そして逆光。
トラックは僕に気付くことなく迫ってくる。
車線を変えようと体重移動した僕に、とっさの動きは出来なかった。
ああ…僕は死ぬんだな
妙に落ち着いた感覚の中で、僕は目を閉じた。
─…? あら珍しい。
あなたは合格よ─
綺麗な女性の声がしたようだった。トラックの音はしないし、体のどこかに衝撃が加わった感覚もしない。
意を決して、僕は目をゆっくりと開けた。
目を開けたら、そこは猫の国でした。という事は無く、上下左右、闇が広がっていた。
目が慣れてくると、それはただの夜だったというのが理解できた。
上を向けば星は光っているし、横を向けば森が広がっている。
そして僕は違和感を覚えた。
まず一つ目、人工的な光が見えないという事。
遠くの方に、ちらほらと光は見えるが心もとない。さっきまでいた坂道から見える景色とは全く違っていた。
そして二つ目、なぜ僕は森を上から見ているのか。
360度回りは森が見える。が、どれも上から見ている景色だった。
僕はしっかり考えた。ゆっくり数えて30秒、しっかり考えた。
そして僕の灰色の脳が導き出した答えがコレだった。
─僕は浮いている─
まじめに考えた。高校の嫌いな古文の期末試験並みに考えた。
んで、出た答えがコレである。…反省はしてないよ。3割くらい。
暫く僕の上に輝く満点の星空を見上げ、そして一気に下を見た。
瓦屋根の建物、その建物の外で茣蓙を敷いて酒盛りをする集団。
良く見るとその集団の人達は、僕が今まで見た事無い珍妙な服を着ていて、ポカーンと口を広げて僕を見上げていた。
初対面の人に対して挨拶というのはとても大事だ。
その人との関係を良くするのも悪くするのも第一印象、最初の挨拶が大事だと僕は思っている。
そんな僕が一番最初に発した言葉はこれだった。
「高っっか!!」
だって思ってたより高い場所にいたんだもん…
──────────────────────────────────────────────────────
「そして二言目には どうやって降りるんですか? ですもんねー。あの時は笑った笑った」
ケラケラと屈託なく笑う霊夢はお茶を啜る。
卓袱台を挟んで座る僕も、霊夢と同じ白い浴衣姿だった。表情は全く逆でむくれていたけど。
「うるさいなぁ…仕方ないだろう。本当に分からなかったんだから」
最初は「浮く」なんて動作自体良くわかっていなかった。捕らえられた宇宙人の如く両手を持たれ地上に着地した僕は、情けなくも腰を抜かしてしまっていた。
本当に忘れたい。今でも思い出すと涙が出てくる…
魔理沙なんか飛んでる最中に会うと毎回
「お、今日は腰抜かしてないのか? 大丈夫か?」
とからかってくる。僕が怒って追いかけようとしても到底追いつけないスピードで振り切られてしまう。
というか音速超えてると思うんだけどなー。前にもすれ違ったら「後から来る音と衝撃波」で吹き飛ばされた事があった。
幸い木の枝にひっかかったからいいものの、一歩間違えれば墜落死してたかもしれなかった事件だ。
まぁ今生きてるからいいけど。
「でも今は制御できるんだからいいじゃないの。何事も慣れよ、慣・れ」
お茶を啜り、片目を空け、僕にそう言ってくる霊夢が僕に空中での動作を教えてくれた。
僕「単体」では空を飛べなかったけど、自転車に跨ってみると、なんと飛べたのだった。すごいぜ愛車。毎日メンテしてた甲斐があったってもんだ!
「魔女が箒に乗るのと同じよ。気分的なものなのよ」
その台詞、魔理沙に言ったらどんな顔をされるだろうか。今度言ってみようかな…やめておこう、マスタースパークで吹っ飛ばされるのがオチだ。
「そんなもんなのかな? まぁ、こうやって飛べるようになって、皆の役に立てて嬉しいけどね」
幻想卿と呼ばれるここに来て1ヶ月、僕は魔法の森の近くに建っていた小屋をきれいにし、そこに住んでいる。
─働かざるもの食うべからず─
昔の偉い人が言った言葉を思い出し、せめてもと、幻想卿に住む皆のために働くことを決めた。
僕の仕事は重い荷物の運搬とか運送とか。いわゆる「男手」が必要な事に協力し、報酬を得ている。
今日も紅魔館の図書館で本の整理を手伝ってきた帰り道に雨に降られたわけで。
ふと、外を見る、雨はまだ止まない。
「…」
「…」
しばしの沈黙。お茶を啜る音と、雨の音だけが響く。
「貴方さ」
先に口を開いたのは霊夢だった。
「仕事帰り、毎回神社に寄るわよね」
「…」
「…なんで?」
僕は答えない。湯飲みを持ちながら外を見続ける。
なぜなら今の自分の顔を見られたくないから。
「…まぁいいわ。とりあえず今晩どうするの?」
雨が降っているから外は暗いままだが、それなりに遅い時間であるのは確かである。
「そうだな。雨は止みそうに無いしな」
「ならうちに泊まってく?」
咽た。ついでに盛大にお茶を畳にこぼしてしまった。
「ちょっと汚いわね!」
「ぐえ、ごほ!だっていきなりそう言われたらびっくりするだろ!」
「えっち」
「ぐあ!」
「へんたい」
「げあ!」
「何変な想像してんのよ。馬鹿アホ鈍感間抜け鈍間」
「ぐっさー! って、え? 今何かちょっと違う単語が聞こえたんだけど」
「気にしないの。とりあえずお布団ひくから手伝って」
「あ、ああ…わかった…」
よっこいしょ、と爺臭く声をかけ立ち上がる僕。
一方、霊夢は座ったままだ。
「霊夢、僕は布団がどこにあるのかとか全然わからないんだけど」
湯飲みを卓袱台に置き、節目がちに霊夢は言った。
「運んで」
「…え?」
「運んで、って言ったの。運ぶのが貴方の仕事でしょ? 私を運んで」
ぽりぽりと頭を掻きつつ、霊夢の横に立ち、一息で霊夢の体を持ち上げる。
「僕は重い荷物を運ぶのが仕事なんだけどな」
「あら嬉しい。私は重くないのね」
お姫様抱っこで抱えあげられた霊夢が、いつもの感じで言う。
「いや、やっぱ重いよ」
僕の言葉に、霊夢が驚き反応する。
「酷い事言うわね。お仕置きが必要かしら」
「違うよ。霊夢の想いが重いんだ」
顔を真っ赤にして言う僕。
きょとんと、目を丸くして見つめる霊夢。
「それ、洒落のつもり?」
「今はこれが僕の精一杯」
二人とも、どちらからともなく、笑う。
「もっと精進することね」
「頑張ります」
「とりあえず、廊下を出たら左ね」
「了解しましたお姫様」
雨は止んでいたけど、そんな些細なことは、僕たちには関係なかった。
─────────────────────────────────────────────────────
霊夢をお姫様抱っこしたかった。
それだけだ!文句あっか!ウワーン!
4スレ目 >>152(うpろだ0018)
───────────────────────────────────────────────────────────
>>152からの続き
------------------------------------------------------------------------------------------------------------
/ i
. ー- 、 i , -, - 、,
!_,.........⊥ ,、 ,、 ,イ!〃 , ='‐ \__ト,__i、_ お待ちください
/! |l T! Tl'lT_-r-、ィ_‐_7´ l l! l! | 霊夢さんと貴方の残り湯を
,ノ-┤ |l、` ` lヽ_lー〈!_,. - ´j _ -, ! なんとか戴けないでしょうか。
{ ‐コ. ____| \`丶!、l  ̄ l /,ィ ´ /
| ´_,`T‐┬‐" \ i、!  ̄ l´ ,ィ ヽ/
「んんっ!?」
「? どうしたの?」
突然怪訝な顔をした僕に、霊夢が尋ねる。
「いや…何か鋼鉄の漢(おとこ)が見えたような気がしたんだけど…気のせいだ、気のせい」
「そ、そう? 疲れてるんじゃない? あまり無理しないようにね」
「ああ、ちゃんと休むさ」
二人して笑いながら僕は霊夢を抱え、霊夢は抱えられ、廊下を歩く。
「あ、そこ。そこの部屋よ」
霊夢が指差した部屋に僕は向かう。もうちょっとだっこしてみたかったなぁとか思っていると、妙な違和感を二人とも感じた。
雨上がりの芝生の香りというか、草が水に浸かった後の匂い。
外の散歩中に嗅いだらそれはそれは気持いいだろうが、ここは神社の中である。ぶっちゃけありえなーい。
僕と霊夢は同時に叫ぶ。
「まさかっ!!」
案の定、霊夢の寝室は雨漏りしていた。
長年修繕をしていなかったせいであろうか、天井から黒い水のシミがいたるところに現れている。
「あちゃー、こりゃひどい…」
とりあえず霊夢を(心惜しいが)降ろし、部屋に入る。
雨はすでに止んでいるためこれ以上の雨漏りの心配はないだろうが…
「ああ!お布団がずぶ濡れじゃないの!」
濡れた畳に足を着けたくないのか、浮遊しながら押入れを開けた霊夢はそう叫んだ。
良く見ると押入れの上からも水が滴り落ちていた。
「こりゃぁ…困ったな…」
「困ったわね…」
二人して、ただ唸るしかなかった。
────────────────────────────────────────────────────────────────
「それでだ」
「何?」
「運が良かったわけだ」
「そうね」
「まだ塗れてない布団があったわけだ」
「助かったわ」
「でも一組しかなかったわけだ」
「見れば分かるじゃない」
「んでなんで二人で一緒の布団に入っているんだ」
「さ、明かりを消すわよ」
「なんでもいいから相槌打って!僕コワレチャウ!」
「うるさい」
「ごめんなさい…」
来客用の布団の一番下にあった布団一式が幸いな事に濡れていなかった。
屋根の修繕、布団干しはとりあえず明日やるとして、とりあえず寝ようということになった。
ちなみに僕は最初、毛布だけ貸してもらって寝るつもりだったのだが、
布団を敷いた霊夢がちょいちょいっと手招きするのでほいほい一緒の布団に入ってしまったわけだ。
僕は悪くない。決して悪くない。
「明かり消すわよ」
そう霊夢が言って、明かりが消される。
ごそごそ、と霊夢が布団に入ってくる。
闇夜に目が慣れ、月明かりにうっすら映し出された霊夢の顔が真横にあった。
「静かだな」
「いつもそうよ」
幻想卿の夜は静かだ。
僕のいた街では、絶対に考えられないほどの、静寂。
それこそ、隣の霊夢の呼吸音でさえ聞こえるような、静寂…
突然、もそもそと霊夢が動き、僕の左胸に頭を置いてきた。
「あ、おい、霊夢!」
「…聞いてるの」
「え?」
「聞いてるのよ。貴方の心臓の音を」
「…」
「さっきからずっとこんな感じ。早くて、忙しくて。でも、すごく暖かい音。
一生懸命動いてる音。私は、貴方のこの音が大好き」
以前神社で酒盛りをした時、酒でぶっ潰れて倒れて起きたら霊夢が僕の上で寝ていた、という事があった。
あの時は慌てて霊夢を起こしてしまったけど、その時も、僕の心臓の音を聞いていたのだろうか。
「…霊夢の、心臓の音も聞いてみたい」
言ってしまった。言った瞬間針が飛んでくるか!と思ったが、何も来なかった。ただ、
「…いいわよ」
という霊夢の声が返ってきた。
霊夢が僕の胸から頭を外す。代わりに今度は僕が、霊夢の胸に頭をつける。
─トクン、トクン、トクン─
規則正しい、心臓の音。
人の時を刻む、心臓の音。
そしてなにより
「うん、本当だ。霊夢の音も暖かい」
僕は頭を外し、霊夢と見詰め合う。
お互いに無言で見詰め合う。
障子から透ける月夜に照らされた霊夢は、とてもとても綺麗だった。
霊夢が目を瞑る。僕は霊夢の頭を抱え、枕を外し…
そのまま虚空に向かって投げつけた。
ボフッ!いやんっ!という音と声と共に、誰かが畳に落下する音がする。
無言で霊夢が明かりをつけ、その人物の正体を確認する。
「さて、紫さん。僕は人の趣味をとやかく言う事はあまりしないんですが…
さーすがに犯罪行為を趣味にしている人には注意しないと」
「いやんっ、そんな事言わずに~♪
っていうかいい雰囲気だったじゃないのん。あのまま行っちゃえば良かったのに。ぶちゅ~って。
ああ、今でも遅くは無いわよ~。れっつご~れっつご~♪」
「貴女って人は…」
思わず頭を抱えてしまう僕。とにかく早く帰ってください、と言おうとした瞬間、ものすごい寒気を感じた。
髪が逆立つ、血液が冷える、鳥肌が全身に出る。
恐怖、畏怖、全ての負の感情が僕の背後からしている。
後ろを向くな! 死ぬぞ! 決して振り返るな!
紫さんの表情もみるみるうちに凍っていく。
「…紫…」
「は、はひぃ?」
ゆらり
「…今日という今日は…」
「あ、あの霊夢? 落ち着いて、ね? ね!?」
ゆらり
「…針千本夢想封印八方龍殺陣夢想転生のフルコンボを…」
「これはジョークなのよ! いっつあじょーく! ゆかりんじょーく!」
ゆらり
「…喰らわせてあげるわ…」
「ほらほらぁ、そんな怖い顔しないで。可愛い顔が台無しよっ♪」
ゆらり
「…シネ…」
「別にこの事は誰にも言わないから! あ! 今度美味しいお酒持って来るからそれでってやめて本当に針出さないでいややめてごめんなさ」
その後、スペカ連発で疲れた霊夢はそのまま寝てしまった。
ぼろぼろになった部屋と布団。しかし幸いにも無事だった毛布を拾い上げ、霊夢に掛けてやる。
「…んんっ」
のんきなもんだ。僕は必死にいつ流れ弾が来るかと思って死ぬ思いをしていたのに。
「ん~…だっこ…」
むにゃむにゃと、寝顔のまま微笑みを浮かべ、寝言を言う霊夢だった。
「はいはい、了解しました、お姫様」
僕は霊夢をそっと抱え上げ、柱に寄りかかる。
まだまだ時間はあるんだ。ゆっくり行こう。
そう、霊夢を抱きかかえながら僕は思った。
「あー、お取り込みのところすまんが、紫様はどちらに?」
「そこのボロ布みたいなのが紫さんだったモノですよ」
「あ、これか、また酷いなこりゃ」
「すごかったですよ。そうですね…
,.へ ,' ||ヽ、
.//:::::`ヽ、., _,....、_____ _,.、__ // || / i
| |::ヽ: >''"´ ̄:::::::::`ヽ、;:/7. / / || | |
>..,ゝ'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::<i !/ ..|| Y
くヽ::/::::::::::::-―-/::、__,::::::::::::::`ヽ. ハ.. .|| 〈
/:Li::::::::::::::/ ,!'叨¨ヽ/ `ー-、i::::::', / |.. ||/ ヽ、
/::::::Li__::::::_i ` ー /叨¨).ハ::;:::::i. / | .||\ \
,':::::::::::::i. [__] 〃 ヽ, /:::i:::i:::;:| く /,. _,.-''、 \/´ 陰陽玉をくらえー
i::::i:::::::i::`::i::::i `ヽ.___´ "i_]:::ィi⌒ _,,..-'" iイ'i-- i ハ
|::::|:::::|::::::::|::::ト、. `ニ´ ,.イ:::|:::::| ,、-=''"´ |i i二 i / |
.';:::|::::|:::::::::|::::|:::;L,__-rr<r-:|::::|-┴| |_| ヽゝ-rr´i/ |
ヽ::|:::|::::::/|::::|´ \,,,/ ,;|::::| | i┐ \_||// /
ヽ::i::/:::|;;/ヽ、/〈ム,〉ヽ、/::|;;/-─ヾ |_| ||/.ヽ/
ヽ/"ヽ、イ:::::/λヽ、:::::::i /ハノ `─------─''''.|j
/ ヽ i;/ / ヽ、 ヽ、Y:i
_r‐''"´ヽ く___/,ヘ,__ヽ/;;/
,⊂_ヽ /.7'====='"ヽ
!__,.ィ‐i / /:::::/:::::::::::::::::ヽ::::\
`「 / / /:::::/::::::::::::::::::::::::ヽ:::::ヽ、
Y / /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::':;
このくらい」
「うおっまぶしっ」
─────────────────────────────────────────────────────────────────
やっぱり
ゆかりんは
おちゃめだ
な
4スレ目 >>169-171
───────────────────────────────────────────────────────────
七夕ネタ。
「おーい霊夢ー、永遠亭から来た竹、これで全部かー?(がさがさ)」
「それで全部よー?(ちょきちょき)」
七月七日。七夕の日。
織姫と彦星の逢瀬、その幸福に肖り、ふてぶてしくも願いよ叶えと
笹と短冊にささやかな夢を乗せる日。
「よっし、後は飾りだけだな(折り折り)」
「まったく、どういう風の吹き回しよ、人里の分までなんて(ぺたぺた)」
「いーじゃないか、伝統行事に積極的に貢献するのは巫女さんの勤めだって(ちょきちょき)」
「慧音が言ってた?(折り折り)」
「クレームは本人に頼むぞ(ぺたぺた)」
今、巫女さんとその相方は、その準備に大忙し。
何故引き受けたかと聞けば。
「里の子供たちが『高い竹で飾りたい』なんて言うもんだからな。
慧音さんと二人で永遠亭の人らと交渉した(ぱちん)」
「まーたしち面倒くさい親切心?
それで巻き込まれる人の身にもなれば?(折り折り)」
こんな日に相応しくない、巫女さんの溜息に、相方さんは苦笑。
だが、悪びれもせず。
「んな顔する程嫌なら、断れば良かろ?(かさかさ)」
「それ自体はいいのよ、暇は暇だったし(ちょきちょき)。
それに、竹一本と食事一折貰える事を考えれば、報酬としては充分(ぺたぺた)」
「現金な巫女さんだ(ぺたぺた)」
「悪い?(折り折り)」
正直者の巫女さんに、相方さんは満面の笑み。
「いや―――むしろ惚れ直した(ちょきちょき)」
「あら、ありがと(ぱちん)。―――はい、こっち終わり」
「(がさごそ)こっちも無い。ノルマ達成、だな」
飾りの箱詰めの最中、相方さんがふと気付く。
「あれ?お前、短冊に願い事とかする性質だったか?」
「んーにゃ、寧ろ自分でするなんて似合わなさ過ぎて寒気がするわね」
「あー?んじゃ何で竹貰ったのさ」
「決まってるじゃない」
巫女さんは、にっこり笑顔で、
「七夕には笹と短冊。これ以上の風情は無いわ」
「まーそりゃそうだが」
「それに、ね」
相方さんの隣に立つ。
そのまま、頭半分程上の顔を覗き込み。
「酒で労うには、良い一計じゃない。
ね?―――ご利益無しの神社の為に、汗水流す物好きさん?」
「……素面で言う辺り、つくづく敵わんな」
素敵な笑みを一発披露。
たちまち相方さんの顔は赤ら顔。
だがそのどちらも、笑みは隠さず。
「ま、短冊に書くことが無いのは同じだな」
「へー、男の夢はでっかく高く、じゃなかったっけ」
「いやいや霊夢―――こういうのは、だな」
空の神々が、地上の二人にも気を利かせたか。
照らす月を、雲が過ぎる。
「他人の恋路に便乗なんて、野暮な真似は性に合わない、ってな」
「独り身なら、敗北宣言と紙一重よ?それ」
「うむ、見事に台無しな一言有難う」
「惚れ直した?」
「勿論―――とても素敵な、博麗の巫女さんだ」
寄り添った二つの影が、月影に優しく覆われる。
空に輝く一組、今宵の主役の邪魔にならぬ様にと。
「あれま、見えなくなっちまった―――曇り空」
「いいじゃない、それとも何?空の姫様に浮気?」
「成る程、彦星に『こっちみんな( ゚д゚ )』されてんのな。
「いや、表現選べよ」
「それとも―――」
相方さんは意に介さず。ただ傍らの『地上の星』に首っ丈。
「あんまこっちが綺麗なんで、向こうの姫さんに釘刺されたか?
―――うん、無理ねえなぁ」
「随分と臭い世辞ですこと」
「そう褒めるな、照れる」
「減らない口ね。塞いであげようかしら」
「そりゃ願ったり―――どうだ、こっちも台無しだ」
「勿論ですとも―――台無しすぎて惚れ直しましたわ、旦那様」
「わーお、似合って無ぇ」
「偶には色でもつけて上げようと思いまして」
「泣かせるね」
お隣さんには端から興味無し。
いつもの素敵な笑みは、動じずも僅かな赤ら顔。
「あ、報酬。晩飯どーすんの」
「さくっと取りに行って、上がるとしましょうか」
「そして飲ませて酔わせて―――」
「後は言わぬが花、と」
そんな素敵な巫女さんなのでした。
「……さて皆の集、あの地上版織姫彦星に晩飯を届けに来たわけだが」
「こちとら未だ箸も付けていないのに、お腹一杯なのは如何なものか。
織姫と彦星が空に居る理由が解った気がするぜ……」
「奇遇ね、魔理沙……ハクタクの能力が伝染ったかしら」
「こっちは食べた後だっての……うへぇ、冷たい麦茶が怖い」
お後が宜しい様で。
4スレ目 >>411-412
───────────────────────────────────────────────────────────
あら、○○じゃない。
こんな御利益のない山奥の神社までご苦労様。出涸らしで良ければどう?
……相変わらず、熱いお茶は飲めないのね。人生の2割くらいは損してるわよ、多分。
別に、ちゃんと食べてるってば。
おかげさまで、修行まがいの五穀断ちとか最近はしてないわよ。
そっちはどうなのよ。慧音がいるでしょうけど、妖怪に畑とか荒らされてない?
ああ、あいつね。気をつけなさいよ、あんなに小さくても、私を食べようとしてたんだから。
……それじゃあ餌付けじゃない。それとも買収? まあいいわ。私だって、人の事言えないし。
こっちにもたまに、『おなかへったー』って来るのよ。来るのはそいつだけじゃないけどね。
……だから、本当にちゃんと食べてるわよ。
一人じゃ食べきれないし、日持ちがするって言ったって限度があるでしょ。
漬物作るのだって限度があるし、面倒だし――あ、今笑ったでしょ。
私らしいってどういうことよ。失礼ね。
そう言えば、そろそろ枝豆の季節よね。茄子とか胡瓜とか。
……宴会は別にいいのよ。みんなにも色々持って来てもらうから。
魔理沙にも変なキノコ貰ってるし。何回か死に掛けたけどね。
だから私は別に大丈夫だってば。
いざとなったら、前みたいに一食二食抜けば、半分くらいの食料で……。
え、朝食? ○○が来ると思わなかったから、山に生ってた梨二つ。……何よその目は。
……まあ、助かってるのは確かだけどね。
そっちこそどうなのよ。自分が食べる分削って、私に分けてるんじゃないでしょうね? ならいいけど。
――もう暗くなってきたし、ご飯作りましょうか。何持って来たか、ちょっと見せてもらうわよ。
あ、それと注いだ分のお茶はちゃんと飲んでね。
4スレ目 >>450
───────────────────────────────────────────────────────────
(※1 『早瀬渡』を見た人なら特に解る話。)
(※2 ファンの方々、気を悪くしたら済みませぬ。)
ただいま―――ってなんだ、起きてたの?
……もしかして、わざわざ待ってたの?
この辛気臭い雨の夜に。日もすっかり変わった時間に?
『お仕事』だから遅くなる、って言ってたじゃない。……はぁ?悪い予感がした?
呆れた。慎ましく甲斐甲斐しいにも程があるわよ。
ん?何よ、んなどっかのもやしより真っ青な顔して。
え?―――あーホントだ、これじゃどっかの吸血鬼より真っ赤。
雨ん中だってのに、結局落ちなかったか。あーもーこれじゃちっとも目出度くないわね。
……大丈夫よ、自前は殆どないから。
へ?頭怪我してる?あーそういえばそうだった。ったたたたた思い出したら痛くなってきた。
あー大丈夫よ、血は止まってるし。手当て?する前に先ずお風呂で洗わないとね。っ痛ー。
あー、でもこの服も駄目ね。結構持った方か。
―――あ、お風呂沸いてるの?有難う、んじゃ入らせてもらうわね。
―――ふー、着替えまで置いててくれたんだ、気が利くわねぇ。
って、何で寝巻きの場所知ってるのよ?―――あ、今朝あなたが詰めたんだっけ。
へ?台所借りてる?―――つくづく甲斐甲斐しいわね、あなたって。
……ん?ああ、もう手当て終わったの?
え、御飯って―――あ、良い匂いねー♪味噌粥?贅沢ね、卵なんて。
食べないのかって?……勿論頂きますとも。……はむっ。むくむく―――むー?
……えーと、何か入れなかった?へ?下ろし生姜と刻み葱?
もしかして、今回もまたボケてますか、私!
ん、あーごめんごめん、こっちの話。
―――ホント参ったわよ、今回は。
山に入った一団が、植えた餓鬼やら何やらの群れに出くわしたらしくてね。
徹底抗戦もあって、もー酷い有様。殆ど後始末だったわ。
最後に、子供攫って逃げた奴が居てね。これがまた良く逃げ存外しぶといのよ。
当然、きっちり潰しといたんだけどね、これが往生際悪くてね―――
―――抱えてた子供に、齧り付きやがった。
こっから面倒事の連続。
人里じゃ手をつけられないだろうから、特急便で永遠亭。
あーあのときの永琳の顔ったら珍しかったわねー。つい笑っちゃったわ。
蓬莱人も怖いものってあるのね。引っくり返った弟子抱えて人を化け物扱い。
全くどいつもこいつも、人を何だと思ってるのやら。
取り敢えず一喝して解らせて、子供を見せようと思ったんだけど―――止めた。
だって、もう血が一滴も流れてこなかったのよ。
ちっとも冷たくなかったのに―――って、そういえば雨でびしょ濡れだったか。
あとは包む布だけ貰って、人里に戻った。
慧音から家を聞いて、その子の家に行ったら―――いきなり石を投げられた。
あー痛かった。拳大くらいあった。しかも結構投げられた。
しかも悉くナイスコントロールで頭。いい腕してたわねー。
面倒だったんで構わず近づいたら、途端泣いて謝られた。
これがまた化け物と勘違いしてたんだとか。あーもーどいつもこいつも鳥目なんだから。
手当てくらいは、って止められたけど、もーかったるくて寝るのが先だったわ。
で、振り切って帰って、今こうやって美味しい月見味噌粥に有りついている訳。
いやーこの染み入るような味。残り物の味噌汁と冷や飯が化けたとは思えないわ。
ん、どーしたのよ、さっきから黙って?ひょっとして眠い?
朝からずーっと起きてたんだから無理な
(―――ぼふっ)
きゃっ?何よ一体、粥零したら勿体無いじゃない!?
あーもー鬱陶しい、離せ離―――
って。
―――馬鹿、なんであなたが泣く必要があるのよ。
―――ん、そーね、凄く辛かった。
知り合いからも変な顔されるわ、人様には石投げられるわ、化け物に間違われるわ、もー散々。
正直、こっちが泣きたいわよ。
……御免ね。嫌な愚痴聞かせちゃって。
ん?ああ、何時もは魔理沙が相手してくれてるのよ。あいつ、こういう時間が良くってねー。
でもあいつ変に合わせて妙なこと言うから、しょっちゅう喧嘩気味になるのよね。
考えれば、これだけして貰ってるのに、こっちもこっちで酷い仕打ちね。
あいつも『おあいこ』って言うんだろうけど。態度で。ったくあの天邪鬼め。
その点あなたは言うこと無し―――今のあなただけ見たら、紅魔館の狗より便利そうね。
うん、本当に有難うね?
やっぱり早く帰って正解だったわ。手当てもお風呂も御飯も完璧。申し分無し。
あー、この為に生きてる、って感じ―――ってこらこら泣くな愚図るな鼻水垂れて来るから。
あーもー解ったわよ、湿っぽいのも腹も食欲の減る話は無し!だから泣くなー!
……ふー、落ち着いた?そ、一杯のお茶は心のゆとりよ。
あーもぉ、良い歳こいた男が、子供みたいに。私ゃお母さんかっ。
まったくそのうちホントにおかーさんおかーさん言いそ―――ぉ
―――こども、みたい、っに、あの、こみた、いにっ、―――っく―――ん
ぉかーさ、んって―――うめ―――ぃて―――
っあ?ん―――っごめ、もぉ―――だめ――――げんか―――――
ぅあ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
……っはー、すっきりしたー。
やっぱ溜め込むのはよくないわねー。
でも本当に御免なさいね、お粥も結局冷めちゃったし―――はむ。
むぐむぐ―――まだ塩っぽいし。
はぁー?なら食べるな?
馬鹿言いなさんな。出された物はちゃんと食べる。でないと地獄行きよ?
大体、あなたがわざわざ用意してくれたんだし―――ね?
んー、大変ご馳走様で御座いました。幸せー。
んー?ああ、流石にもう眠い?
んじゃ、どーぞお休みなさいな―――は?寝ないのかって?ええ寝るわよ?一緒に。
何よ、そのいきなりな後退っぷり。畳痛むから止めてよね。
だって新しく布団敷くの面倒じゃないの。私もひと心地付いて眠いし。
あー、ひょっとして……眠くなくなっちゃったり?
わー茹蛸。可愛いーんだ。
いいじゃないの、傍に居てくれても。
別にとって食うなんてしないでしょ?
―――ん、素直で宜しい。
あー腕枕暖かいなー。でも昼間になると暑いかも。
ならやるなって?ふふん――――――だ が 断 る 。
何だか変だって?らしくない?気にしなさんな役得役得―――ふぁ~ねむ~……
ほんとつかれたわ~……お休みなさ~ぃ……
……んう……ちゃ~んと、暖かいなぁ……うん……
……あ、そーだぁ……
……別に良いのよぉ?……取って食っても……
むしろ……食べられないようにねぇー……んふふふふふぅ……
……うん、決めた―――冷めた塩っぽい粥の口直し。
煩いわね―――拒否権無ーし。博麗の巫女に逆らえると思うな~~~~~?
―――んっ――――――っふぁ、……んー……ほんのり……塩味……。
あと、さっきのお茶の味。
本当、言うこと無し。
お返し、しなくちゃね―――――――――
(省略されました。全てを読むには NO.890 時間無制限夢想転生 を習得してください)
――――――――――――――数刻後、昼時。
――――――――――ちんちんちんちんちん♪
「破廉恥な雀だぜ(めきゃっ)」
ちーーーーーーーーん――――――――――――
「おーい霊夢ー起きてるかー?(すぱーんッ)
―――ありゃ、またか。
こーらとっくにお天道様も上がったぞー☆(がばぁ)
何処ぞの妖…怪…………か……(硬直)」
「…………暑い!」
「……そりゃ、そうだろうぜ(赤面)」
4スレ目 >>456(うpろだ0025)
───────────────────────────────────────────────────────────
――初夏、博麗神社。
――しゃく。しゃく。
「美味いな。これ」
「○○が持ってきたんじゃない」
「まあ、そうなんだけどさ」
只今、霊夢と一緒に一足早い夏を満喫中。
旬には少々早いが、色よく丸々と育った西瓜を縁側で頬張る。
これをくれた慧音さんと、程よく冷やしてくれたチルノに感謝。
――しゃく。しゃく。ぷっ。
「これに塩ってどうよ?」
「邪道ね」
「俺もそう思う」
いや、確かに美味いけどさ。
やっぱり生で戴くのがいいと思うわけよ。俺は。
――しゃく。しゃく。
「ご馳走様でした」
「お粗末様でした」
「……何故に霊夢がそれを言うかね」
「あら。切ったのは私よ」
なら、料理したのは私って事でしょ? という謎の理論を展開。
まあ、こんな突飛な発言もいつもの事なので、俺もそれ以上何も言う事は無い。
そして、十数分後。
――こてん。
何をするでもなくただ座っていた俺の右肩に、心地いい重さといい匂い。
この状況では誰か確かめるまでも無い。
……珍しい事もあるもんだ。
「……重くない?」
「重くはないけど、あんまり長くは勘弁な。腕が痺れる」
「ん、じゃあもう少しだけ……」
そう言って霊夢は安らかに目を閉じた。
……少しってどれ位なんだろうか?
そして予想通り、数分も経たずに俺の横から静かな寝息が聞こえてくる。
軽く声をかけたが反応が無い。どうやら腹が膨れて眠ってしまったらしい。
「…………」
そんな霊夢を横目にしながら軽く嘆息。
かといって、寝たばかりの彼女を起こすのも忍びない。
今日はそんなに暑くもないし、暫くはこのままでいるとしよう……。
4スレ目 >>487
───────────────────────────────────────────────────────────
「暑い……いや、熱ぃ……」
夏の夕方前。
七夕も終わり、また平凡な夏が続く。
そんな中。
「くふぅ、まだか……?」
気を違えたのか、とでも言われそうだが。
俺はあろう事か――――――火の番をしていた。
「あっつー」
相手は、水を一杯に張った大釜。
お勝手の外、すぐ裏側のスペースに特注で組んだ、大き目で穴二つの竈。
そして神社の物置にあった大釜を、山から拾ってきた大量の薪で火に掛けている。
不完全燃焼にならぬよう、鞴で風を送り、経って数刻。
水撒き用の大きな柄杓で掬い上げ、手を翳してみるが、
「……温い」
湯気も立たず、手を突っ込めるほどの加減だった。
これではまだ、温めの五右衛門風呂が精々。
生憎と風呂を焚くわけでは無いのだ。この程度では程遠い。
「大丈夫ー?」
ふと、掛けられた声に振り向けば。
定期的に物音を立てるお勝手、その窓から覗く捩れた耳。
「んあ゛ー、こいつは思ったより長丁場だな―――水くれ」
「飲む用ー?」
「寧ろ頭から被りてぇ―――っと」
柄杓で湯を攪拌する。
幸いにして場所は日陰で、水場も近いので倒れるようなヘマにはならないだろうが、
これは正直堪える。
「はいどうぞー」
「ん?おおさんきゅ」
と、お勝手をもう一度―――
「はい頭からー」
「おぶふぁぁあッ!!!?」
俺の頭上から襲い掛かる、凄まじき水の奔流。
よく冷えた湧き水が、火照った身体から鮮烈に熱を奪い、汗を飛ばす。
「っぶはッ、いや確かにリクエストはしたがな、ホントに掛けるな水が勿体無い」
「でもそのままだと熱中症になるわよ?」
「水泳で何故準備体操するか知らんのか薬師見習いッ」
心配そうにお勝手から顔を覗かせる薬師、鈴仙=優曇華院=イナバに半眼を返す。
「ウチの兎は引っくり返ったら水風呂に沈めると復活するから」
「兎と人間様を同等に扱うな」
平等より対等。これ重要。
「あらウドンゲ、患者の調子はどう?」
「はいししょー、手の施しようが有りません」
「誰が何の患者だ」
月兎のとなりにひょっこり顔を出したのは、永遠亭の薬師。
「何って、巫女巫女熱中症」
「それも末期ですね、おいたわしや」
「人を勝手に可哀想な人認定するなッ―――で、其方の守備は?」
「霊夢の容態は異常無し。勿論、心身ともにね。
もともとのタフさに加え、誰かさんの対処と看病が効いた様ね」
「うむ、重畳」
彼女達が来たのは、この前の赤巫女騒動以降、療養していた霊夢を
慮っての事だ。
先日の応対が余程堪えているのか、境内に入ってきた二人の表情は、
それこそ通夜ものだったが、手土産の笹餅を次々と平らげる我等が現金巫女さんを見て唖然とし、
『次は熱いお茶が怖いわ』と言って催促する彼女にとうとう破顔、肩の荷を降ろしてくれた。
「音沙汰がさっぱり無かったから、大事になっては居ないかと思ってきたら、これだものね」
全く以ってその通り。寧ろ此方の方が非が大きいぐらいだ。
「はは、悪いな。彼女を静かに置いておこうと思ったら、何故か新聞屋もこなくてなあ」
「へ?あの鳥類、ここにも来てないの?」
「……魔理沙の仕業か?」
霊夢が御健体であることを最速で知るのは、当日の第一発見者である魔理沙のみ。
数日ゆっくりする事を話したので、気を利かせてくれたのか。
実力行使か否かが気になるところだ。
「しかし、また骨な事考えたわねぇ」
「なあに、これもまた夏ならでは、だ」
再び釜に集中すれば、もう湯気が上がり始めていた。
「さて、そっちは期待して良いんだな?」
「ええ―――イナバ印の饂飩、味は姫のお墨付きよ」
「最初は変なこじ付けでやらされたんだけれどねー……」
彼女たちが詫びの為と持ってきた『肩の荷』は、饂飩の製麺道具一式だった。
そのネーミングにこじつけて酔狂で仕込まされたものだが、企んだ主犯が妥協無用の鬼畜であったのと、
途中から『早いので多人数の食事に向く』と本人も乗ったようで、習熟を重ねたらしい。
最初は霊夢と二人で半信半疑だったが、笊に上げられたそれを手繰ってみると、中々に美味。
少なくとも量販品の讃岐では及ばない域のものであるのは確か。
そこで、俺は思いついた。
「―――夏こそ熱いものを食え、だ」
「それで釜揚げ?」
ざっつらいと。
俺が向こうで楽しんだ、実家伝統の食い方である。
暑さの僅かに和らぐ夕涼み、風に涼みながら冷茶を煽り、汗を手拭で払いながら、熱い饂飩を手繰る。
これもまた風流なり。
「確かに、夏場にこそ適度な発汗を行うのは、健康的ではあるわね」
と、薬師の太鼓判も頂いた。
あとは、実際の作業が問題だったわけだが。
何ぶん―――この二人にも、振舞うのである。
更に下手をすると宴会のように拡大、エライ事になる。
博麗神社で美味いものの抜け駆けは、そう簡単には行かないのだ。
それ故の大掛かりな準備。暑い釜を空調も無い台所で延々煮るのは勘弁なので、苦肉の策である。
我ながら少々無謀だとは思う。
だが、月並みで悪いが、そこが良いのだ。
「いいぞぉ?汗を掻く気持ちよさを手軽に感じられるってのは」
「うわぁ、暑苦しい」
「むう、この暑い中、タイマンで鍋と格闘する良さがわからんとは」
最近の人妖は貧弱で困る。
「ま、くれぐれも火傷などしない様にね―――巫女さんを泣かせることになるわよ?」
「当然―――ま、あとは待ってな、出来上がりまでそうは掛からん」
「麺、ここに置いとくからね―――はい、飲み水」
「応よ―――っふう」
渡された冷や水を煽り、三度釜と対面する。
火加減が落ちてきたのを確認、薪を放り、鞴を漕ぐ。
蓋を使わないのは、開けたときの蒸気が危険な為。
また、これ以上火力を上げると近づくこともままならないし、即興の竈が保つとも思えない。
故に適温まで眼は離せないのだ。
一人、釜との格闘が始まる。
暑いには暑いが、正直、伝う汗やら立ち上る蒸気やら、嫌いではない。
そう、これもまた風情だ。
「……巫女さんの為なら、えーんやこらー」
という本懐もあるし、やってやれないことは無い。
「―――お」
暫くして漸く、掛けた手間が実ろうとしていた。
水面が対流し、沸騰が始まっている。
「苦節半刻、待ちに待った、か」
柄杓で一掬いし、返せば、瞬く間に湯気が広がる。
湯に突き込めば、力強い対流が手応えを返す。
「yeah.完璧だ」
後は火に気を配ることは無い。残りの薪で充分に足る。
頃合とばかりに、山盛りの麺を積んだ籠を検める。
が、此処で慌ててはいけない。
先ず、沸いた湯を適量、近くの桶に分ける。
饂飩を茹でた湯をそのまま使ってはいけない。それは釜上げではない。
桶は既に湯に潜らせ、暖めて置いた物を使う。
これで茹でている最中に冷めると言うことも無い。
「そして―――もう一つ、っと」
言葉どおり、今度は鍋を用意し、釜から湯を適量移す。
鍋は竈の小火力側に置き、遠火に掛けて沸いた状態に。
―――全ては整った。あとは麺を放るのみ。
気を引き締める為に、水を一口煽る。
「―――そりゃ!」
湯が跳ねないよう、麺上げ用の笊付き棒で斜めから落とす。
感覚的な時間で数分。
眼を閉じ、本で読んだ知識や実家での実戦から学んだ数値に、この大釜の循環を加味し、
それと定めた刻を数える。
―――汗の乗った瞼を開ければ、湯気の中で踊る麺が白んでいた。
「ふんっ」
笊を落とし、対流を辿る様にして、麺を手繰るように纏めて掬い上げる。
早めで上げた為、硬めにしても未だ食べ頃には遠いが、これで良い。
「そーらそぉらそらッ」
ひたすら揉み洗い。強く丹念にしかし手早く。
「ハリー、ハリーハリーハリー、ハァリィィィィィィィィィィィィィ―――ッ!」
少々テンションが乗りすぎたようだ。
先程の鍋に放り、対流の中で洗わせる。
僅かに空気に触れた時間と、水に触れた時間、麺の打ち粉の含有の有無による僅かな水質の違い。
これらが釜揚げを左右する。
ここで麺を上げれば―――
「―――完璧だ」
食べ頃―――そのほんの一歩手前。
これを桶に放ち、後は余熱で暖まれば最適だ。
桶に蓋をし、ほんの一時。
―――蓋を開け、笊で器用に一本掛けて、それを啜る。
「グ レ イ ト 上 手 に 出 来 ま し た ー ッ ! ! !」
改心の咆哮を、上げた。
―――食卓。
「さあ、食え」
真ん中に桶を据え、四人で囲んだ食卓。
風鈴の音だけがBGMの、夕涼み。
全開にした縁側一杯に、いつも見慣れたパノラマが広がる。
「―――って、つゆは何?それとも醤油のみ?」
「慌てなさんな霊夢さん、取って置きがありますぜ」
そういって俺が取り出したのは、鰹の出汁から作った麺つゆと、裏ごしした梅干し、温泉卵、そして数多の薬味。
まず、麺つゆを空ける。キッチリ追い鰹で仕上げさせてもらった。濃いものを少な目が良い。
次に裏ごしした梅を落として溶き、それらを釜揚げの湯で適度に割り、仄かに温める。
そこに温泉卵を落とし、ほんのひと混ぜ。
「はいどうぞ、召し上がれ」
と、第一号を霊夢にぷれぜんつ。
師弟二人もほおほおと頷きながら、見よう見まねでつゆを拵える。
「随分と手を掛けるわねぇ―――では」
そこでふと、霊夢が動いた。
白袖を外し、頭のリボンを一旦外し、テール部に纏める分量を多めにして、結わえ直す。
あーポニテ巫女可愛え。って、これは嫌な予感がする。
それを見て、他二人も動く。
永琳は帽子を取り、自慢のおさげをピンで纏め、お団子に。
鈴仙も後ろ髪を籤で纏め上げ、前髪もピンで避けた。
俺は思った。
……こいつら、ヤル気だ。
「「「いただきまーす♪」」」
「……俺の分、残るよな」
数刻後。
縁側には夜空に飛び立つ二人と、満足げに見送る巫女さん、
そして _noミそ な俺の姿があった。お約束。
「それじゃ、ご馳走様でした」
「今後ともイナバ薬局をご贔屓にー」
「二度と来るなよあ゛ー畜生ぉーーーーッ!?」
俺の感想:全員容赦ナサス。
何ですか!?数十行にも渡る俺と釜のタイマンはけーねに無かったことにッ!!?
つーか骨折り損にしたって殆ど食べれないってどうよ!?
「しかも全く悪気に思って無ェし……しくしく」
「いいじゃないの、良い手並みで御座いました♪」
一番量を食った巫女さんが大変素敵な笑顔を向けてくる。これだけが成果だなぁ。
が、ちょっと気落ち気味の俺は、少し拗ねて見た。
「……ああ、そうかい」
「食べたいの?」
「Σ食用だったのか!?あれ!?」
「いや無いけど。じゃなくて、饂飩の方よ―――はい」
かたん、と食卓に置かれたのは、平皿に広げられた、一人分の饂飩。
饂飩の上にはかき揚げ、そして鰹の香りがする徳利。
つゆかけ饂飩。俗称ぶっ掛け麺。
「流石にあんなに暑い思いする義理は無いから、これで勘弁ね―――どうぞ」
―――何だか涙が出てきた。
「ほらほら、また塩っぽいの食べるつもり?」
「有り難ぇ……い た だ き ま す ッ」
「大変馳走になりました(ー人ー)」
「早ッ」
そして今。
釜その他を片付け、程よく満たった腹をさすりながら星を眺める。
縁側には@蚊取り線香。
「うむ、風流だ」
残念ながら釜揚げで汗を掻く事は出来なかった訳だが、まあ良いのだ。
何せあの巫女さんの手料理、しかも自身が食べる為でなく、俺の為である。
腹より寧ろ、心が満腹。
「―――今日は、実に良い夜だ」
「本当にね―――ほーれ隙有り」
「ぅひゃぁ」
頬に冷たい不意打ちを喰らい、情けない声を上げてしまう。
横を見やればグラス一杯の麦茶と、「どうぞ」と舌を出して微笑む霊夢。
「あ、ああ、頂く」
神様、先程から巫女さんが次々と反則を繰り出してきます。
堪りません。KOです。
「んー、夏は麦茶よねー」
「!?」
更にあろう事か、肩が接するほどの隣にくっついて座りやがりました。
麦茶を煽る横顔、仄かに汗ばみ上気した肌。
しかも髪型がそのままなので、首筋のラインがそのまま。
堪りません。故意にしろ天然にしろ反則です。
「ん?どうしたの?」
しかも風に乗って彼女の匂いがする。
生活上、あまり肉類を率先して食べず、茶を良く飲む為か、霊夢の体臭はそういったものとは
少々縁遠く、寧ろ気のせいか緑茶の香りさえ感じる。
「……」
思わず、口を湿していた麦茶を嚥下する。
ごくり、と喉が鳴った。
悟られないよう身を竦め、心を静める。
「いや、ちょっと昼間のが少し響いてるらしい―――少し、火照る感が残ってる」
「そう?また大変だったものねぇ」
そして霊夢はまた麦茶を煽り―――眉を顰めた。
感付かれたか?と思ったが―――そんな予想を、遥かに超えていた。
「―――む」
「うわ!?何すんだ?」
いきなり胸倉を掴み、こちらに引き寄せる。
鼻が触れるほど近付き、そこで彼女は―――眼を閉じた。
息の詰まる―――そんな一瞬。
「汗臭い」
「がーん」
次にこちらを見た視線は半眼。
放たれた言葉は、俺のプライドその他諸々を一太刀に袈裟で両断、余波で木っ端微塵に粉砕した。
……こっちに来てからはずっと毎日風呂入ってたのにッ OTL
「そーいえば薪の匂いがするわねー。あと少し埃臭いわよ?」
「う゛ッ」
水を被ったときに流れたかと思ったが―――寧ろ服に染み付いたのだろう。
―――と。
「しょうがないわねー。ほれ、風呂入るわよ」
「ぅお引っ張るな引っ張―――はい?」
今、この巫女は何と言った?
風呂『入る』?『入れる』でも『入れ』でも無く。
そりゃ普通、自分が入るときに言う言葉である。
ちょっと待て、まさか―――
「どお?洗い残しとか感じたら言ってね」
「……ぉぅ」
流されるままに、風呂場。
服は籠に纏められ、洗濯に回された。
そして俺の今の姿は、手拭一丁。
この風呂場、一人分と言う割に、そこそこの広さで作られているが、
それでも二人で入ると狭く感じる。
先日までは一人で入っていただけに、尚更だ。
「……なに硬くなってるのよ」
「かかか硬くくくくななななっっててててなんかかかかかか」
「……呆れたわね」
喧しい。ただ二人っきりになるのとは訳が違うのだ。
微妙に反響する声はお互いの距離を意識するし、音も同じ、
何より――――――二人とも手拭一枚で、服など着てない訳で。
「……この間とか、そういうのに無縁でもないのに、この人は」
「っ」
不意に、耳元で囁かれた。
いかん、心臓がッ、心臓がッ―――
「ほれほれ煩悩退散ー」
「ぅぶぉはぁああぁッ!?」
次の瞬間、頭から冷水。
デジャヴを激しく感じる。それも割りと最近に。
「っげほっ、げほっ―――キサマ俺を心臓麻痺で死なす気かッ!?」
急転直下な心拍数ならノートも要らん!アレで逝っても自然条件と見分けつかんし!
「あはは、ごめんごめん。
―――ねぇ」
そこで、背後から聞こえる声が、神妙な色を持った。
俺は黙って、声に耳を傾ける。
「例えば、さ。
―――この前の夜、待ってたわよね」
「―――ああ」
「お風呂、立てておいてくれたわね」
「着替えもな。悪いとは―――そのときは思ってなかった。すまん」
「そこはそれ。
―――お粥、美味しかったわよ」
「残り物で、しかもおじやだが」
「塩っぱくなっちゃったけどね。
―――胸、貸してくれたわね」
「その前に鼻水垂らしたのは俺だしな」
「まったく、酷い話よねー?
―――眠るとき、一緒に居てくれたわね」
「厳密に言うと押s」
「そこは言わぬが花。
―――今日、ちゃんと二人のフォローもしてくれたよね」
「そういう後引くの、嫌だものな、お前」
「皆……私の為よね?―――何で?」
こちらにとって、解りきった質問。
「きっぱり言って、霊夢の為だよ」
「何で?」
それに対して、俺は少し間を置く。
色々有るには有るのだが、面倒なので敢えて纏めると―――
「要は―――お前がそこに、居るからだな」
「―――」
結局、こんな気障で飾った言葉しか出てこない。情けない話である。
が、実際どうしようもないのだ。
お茶を飲んで日がな呆けて。
賽銭無くてもぼやくのみ。
『お仕事』の時はちょっぴり怖くて。
人妖問わず、裸足で逃げ出す。
努力と言う言葉と無縁で。
でも手を付けると、簡単にこなしてしまう。
何処か人と距離を置き。
だけど礼儀はしっかり通す。
喜怒哀楽激しく、気ままに動き。
思いっきり怒り、笑い、そして泣く。
親切の押し売りは嫌いだけれど。
義理堅く、受けた恩は必ず返す。
有りのままで、変わらぬままで。
でも有りのままである事に手は抜かない。
常に、自分に正直者。
逃げも隠れもするし嘘も時折付くけれど、自分にだけは正直者。
そして、それらを全て、他人に背負って貰おうと思っていない。
弁解しても弁護は要らない。
そんな霊夢に、自分は魅入られてしまったのだろう。
だから。
「俺は―――お前が良いならそれでいいんだ」
このとおり、ヘタレな骨抜き宣言も真顔でしてしまうのだ。
「―――俺の方から、良いか?」
「―――ん?」
が、俺だって損をするのが好きと言うマゾ体質ではない。
「―――何でお前は、俺にちゃんと『お返し』をくれるんだ?」
どんな答えが返ってくるのか、俺は見当が付いていた。
「そりゃ、善意を無償で貰うのも―――すっきりしないでしょ?」
―――そうなのだ。
この巫女さんも大概なのだ。
善意はきっちり返礼するものだと―――欲されたわけでもなく、返してくる。
その価値観はあくまでも自身主体だから、誤解されがちなのだが―――
「世の中ギブアンドテイク、って言うんだっけ。受けた恩は返さなきゃ―――違う?」
とてつもなく、義理堅いのだ。
「……それで、俺の心臓に優しくないアプローチ各種まで返してくれるわけか……?」
「……その、男の人って、さ。そーいうのが……好みなんでしょ?」
―――価値観が、どうにも『世間離れ』過ぎるのが玉に瑕か。
これでは、色々と誤解されてしまう上に、色々と紙一重である。
「―――っはははははッ」
「な、何よ?」
「一つ言っとく。
ギブアンドテイクは経済の基本原則。
なので―――恩は返す、って用法は、一般的には常用外だ」
「そーなのかー?」
「そーなのだ―――で」
俺は前を見た。
そこには丁度鏡が置かれ、肩越しに霊夢の顔が見える。
鏡を介して、霊夢と目線を合わせる。
「何でそんな事を聞いたのさ」
「だって―――普通、異性に尽くすって言ったら、好きだからとか、愛してるから、って返すんじゃないの?」
「ふむ」
出所は魔理沙か、或いは知識人達の書斎か。
「ま、俺の場合、当て嵌めても良いと思うよ」
しかし、と、敢えて格好つけて、言葉を吐いてみる。
「俺の『愛』の対象は、『博麗霊夢』って存在そのものだからな」
「はぁ?」
「いや、だから何が言いたいかと言うとだな」
「別に、霊夢の思うとおりにしていれば良いよ、ってこと」
「……じゃあ例えば。恩、返さなくても良いのかしら」
「おいおい―――」
溜息を吐くしかない。
「逆に聞くが―――返さずにおれんだろ、お前」
「タダより高いものは無いわ―――霖之助さんみたいに、毎日硬い事言われっぱなしじゃ面倒だもの」
「言わないって言ったら―――」
「信用に値しないわね、少なくとも口約束は」
ホレ来た。そして次のトンでも発言は―――
「で、森近さんはこういうのの対象外か?」
「こんな事して、喜ぶと思う?」
こーいう事である。
ちゃんと返す対象と形を選んでいる辺り、大概だ。
「……ほんと、大概な巫女さんだ」
「それが何か?『愛』に傷でも付いたとか?」
「いーや――――――今これ以上無い位、お前が愛おしくてしょうがない」
良いじゃないか、義理でも。当たり前でも。
「返さないかもしれないわよ?返せないかもしれないわよ?」
「別に良いっての。―――それで、霊夢が霊夢らしくあるって言うなら」
もともと帰ってこなくて元々のものだ。
義理深く返してくれるって言うなら―――これ程の事はそうそう無い。
「さて、また聞き返すが」
「何?」
「それじゃあ『惚れ直した』って言ったのは何さ」
鏡の向こうの霊夢は―――
「そんなあなたが有り難くて―――いつも惚れ惚れするわ、ってこと」
そのまま頬を染めて、十八番の笑みを返してきた。
「本人では当たり前のつもりなんだが」
「何よ、結局私と同じじゃないの」
ああ、つまり。
「お互い、確かめるまでも無く―――」
「今はもう首っ丈、と言うことなのね―――」
全く、厄介な相手に惚れてしまったものだ。
そうして、何事も無く背中を流されて、二、三程談笑したのみで、風呂から上がった。
今は二人、整えた寝室の縁側、仲良く並んで麦茶片手だ。
隣にいる霊夢は、いつものリボンが無い。あれも巫女服の一部なのだろうか。
髪を下ろした彼女は、どこか神秘的で―――妖艶な空気さえ感じる。
灯篭の灯りに照らされる瞳は、僅かな紅色。
『お仕事』の彼女に良く見られる色。
ただ明彩に乏しく、光源に照らされないと解らないようだ。
……初めて逢った時、俺に襲い掛かったデカイ狗妖をぶち撒けた時と同じ色だ。
あれは未だにトラウマであるが―――
「……失礼なこと、考えてなかった?」
「考えた」
「む、はっきり言うのね」
「事実だ。悪いとも思う。癇に障ったら謝る。でもな」
「―――その色、綺麗だ」
その時、血風の向こうに見えた紅白の蝶は、確かに綺麗だった。
それもまた、魅入られたという事だろう。
思えば、彼女は『人の幻想』なのかもしれない。
人は、万物を統べる者であり。
人は、万物と等しくあるものであり。
人は、万物を操るものであり。
人は、万物に恵みを受けるものであり。
人は、それらを持ちながら、全てを棄てられるものであり。
人は、現実にありながら、幻想を歩む。
そんな、人の夢と希望と高慢さがない交ぜになって、結実したもの。
例えば、そんな空想。
「でも有難う」
ふと思考に没入していた俺を、そんな鈴の音のような声が呼び戻す。
―――巫女の声色は、魔除けの鈴の音色。
酒も入ってないのに、そんな気障な思考が沸いてくる。
眼の前の巫女の魅力は、こっちの頭まで春にするようだ。
「この眼、そうやって褒めたのあなたが初めてよ」
そう、この『有り難う』が、俺の心を掴んで離さないのだ。
つくづく、とんでもない人に惚れたものだと思う。
これは中毒性がある。そして俺は末期。
うむ、こんなことを言っている辺り、どうしようも無い。
「―――何だか悪いわね、褒められっぱなしで」
「良いんだよ、好きでやってるんだ。
―――紅白の蝶の止まり木は、花なり何なり無いとお気に召さないようだしな」
「いや、確かに枯れ木なんて留まる気は無いけど―――
そうね、止まり木ねえ」
そこで霊夢が意地の悪い表情をする。
また何か人を弄くり倒す良い手を思いついたようだ。
拙い、そこで楽しみにしている辺り、俺は色々ともう駄目だろ―――
「ねえ、その止まり木さ」
「うん?」
「受粉を誰かに手伝ってもらわないと、実らなかったりする?」
「―――」
俺は暫く考え―――
「ッぶふぅッ!!!」
「ひゃっ!?こっちに飛ばすな汚いわねー」
その意図に気付いた瞬間、盛大に吹いた。
せめてもの道連れに、盛大に吹き付けてやる。
滴る雫やら、麦茶色でまた艶やかに染めあがった巫女が出来上がるが、そんなことを考えている余裕は
俺のグラスハートには無い。
「っぐ、じ、実を言うとそう見えても、この辺り初心なので、デリケートに扱ってくれると嬉しいかな……ッ」
「飲ませて酔わせて、の行はオーケーなのに?」
「歯に衣を着せろって事だよ……っふう」
少しでも暴走気味のまいはーとを落ち着かせる為に、麦茶を一服。
そこでふと霊夢は腕を組み、眼を閉じ黙考のジェスチャー。
そして半眼でこちらを見ると、
「半脱ぎなら良いのね、マニアックな人ねぇ」
「ぶ ふ ぉ ぁ ッ !!!」
そのまま肩を抱き、頬を赤らめて身を捩る。
貴様、俺を噴水扱いか。
「ど っ か ら 仕 入 れ た ッ !!!!!?」
「巫女の習俗史は習ったって言わなかった?」
「大昔にそんな単語はありません(キッパリ)―――永琳か、永琳だなッ?」
よってたかって人の純情ズタボロにするのがお好きなようで。クソッなんて時代だ。
「おお……お゛お゛お゛お゛……ッ」
「あ……本当に御免、徹底的に凹ませるつもりじゃなかったの」
うん、僕はもう色々限界です。
「―――霊夢」
唐突に、首と目線だけで霊夢のほうを向く。
ヒュガッ、とか微妙な擬音が視覚出来そうな勢いだっただろう。
「何?」
それを訝しげに覗き込む、博麗の巫女。
後ろ髪がしな垂れ、また僅かに汗ばんだ首筋に絡む。
―――石鹸の、匂いがした。
「……いつも先手を打たれては、沽券に関わるので―――いいか?」
「うん」
「で、聞いておきたいんだが」
「勿体振るわね、何?」
「今このタイミングで―――」
「染め上げてみたい―――って言ったら、何を想像する?」
「―――」
一拍置いて、
「―――あ」
霊夢の顔が茹で上がり、眼が僅かに見開かれる。
うん、実に貴重な表情。ブン屋が出歯亀しているなら、ネガごとぶん取って独り占めしたい。
だが、その表情も一瞬。
「ん、解った」
頷き、上半身だけでこちらに向き直る霊夢。
瞳は潤み、一抹の不安定さを得る。
「やっぱり少し不安かな」
「攻撃側なら容赦ないのによぉ―――狡い言い分だ」
「冷めた?」
「寧ろ熱暴走中です」
霊夢の肩を優しく抱き、引き寄せる。
彼女の方は、片手でこちらの手を握り、
「先に謝っておく……後始末とか」
「後始末は、その時考えれば良いじゃないの」
もう一方の手で、灯篭を開け、蝋燭を取る。
「そっちじゃなくて」
「ん、それなら―――いいの」
霊夢はその桃色を乗せた唇で、灯っていた火を吹き消した。
「そう―――染めても、いいのよ」
カラン、と。
グラスに残った氷がひとつ溶け、底に落ちる音が聞こえた。
「―――夜が明けるまで―――何とやら、か」
「暑い夜に―――なりそうね」
(省略されました。全てを読むには零戦でFALKENの6時を攻めてガンキルして下さい)
//////////////////////////////////
あだるてぃー仕立て。
グレイズとはこういうことだッ(台無し
4スレ目 >>552(改訂>>554(うpろだ0034))