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レミリア2
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orz1414
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■レミリア2
たまには違う路線で…
○○「う…くそっ…」
レミリア「ほらどうした?さっきまでの勢いはどこに行ったのかしら?」
○○「くっ…うおおおおおおおおっ!」
懇親の力を込め剣を振るうが…それは届かない。
代わりに鋭利な刃物を思わせる爪が俺の首筋へ当てられる
○○「うぐっ…」
レミリア「はぁ…全然ダメね…やる気はあるのかしら?」
○○「ははは…はぁ…」
そう、今俺はレミリアお嬢様直々に武術の稽古をつけてもらっている。
わざわざ直々に教えてくれるその理由…まぁ、お嬢様の気まぐれってヤツだそうだ。
レミリア「まったく…貴方は見込みがあると思ったんだけどねぇ…」
○○「過大評価じゃないんですか?」
レミリア「私が言うのよ、間違いないわ。貴方の運命は私の護衛として活躍することなのよ」
○○「そりゃまた明るい未来ですね…」
レミリア「それも白黒や亡霊の姫なんて簡単に退けられるような…私が運命を見違えるなんて無いのに…」
○○「いやいや…俺は白黒や亡霊の姫なんて以ての外ですよ…湖の氷精にやっと勝てるかな?ってレベルなんですから…」
レミリア「…貴方は自分を過小評価しすぎてない?」
○○「ご冗談を…」
レミリア「…まぁいいわ。さ、再開しましょう」
○○「押忍!」
まぁ、最近はお嬢様に攻め込まれることは無くなってきた。
…未だに一撃も入れられないが…
しかし…一撃入れてしまったらメイド長の報復が…ガクブル
~回想~
咲夜「いい?もしお嬢様を傷つけたら…一万本じゃ済まないから」
○○「は、はぁ…」
~回想~
…やりずらいなぁ…
レミリア「ほらっ!何をボーっとしてるのかしら?」
○○「っと!すいません…」
レミリア「ほらほらほら!脇が甘いわよ!(連続斬撃)」
○○「ぬっ、くっ、はっ、うわっ!(剣を弾き飛ばされる)」
レミリア「…貴方ねぇ…全然進歩してないじゃないの…(爪を首筋に当て)」
○○「す、すみません…」
レミリア「…一回血を流してみたほうがいいかしら…(少し首を切る)」
○○「うっ…勘弁してくださいよ…」
レミリア「まぁ…冗談よ…ぺろっ(血が出ている部分を舐める)」
○○「ひあっ!お、お嬢様…お戯れは程々にお願いします…」
レミリア「…貴方の血は美味しいわね…」
○○「…きょ、恐縮です…」
レミリア「まだ晩餐の時間には早いけど…(迫る)」
○○「お、お嬢様…?ま、まさか…(後ずさり)」
レミリア「ふふふ…少し、飲ませてもらうわ…(○○の首に手を廻して)」
○○「マジすか…(滝汗)」
レミリア「大マジ♪かぷっ(首筋に噛み付き)」
○○「ッ!!」
レミリア「ごきゅっ、ごきゅっ、ちゅるるるるっ」
○○「はぁ…あぁ…うぅ…(意識朦朧)」
レミリア「ふぅ…なかなか美味しい血だったわ…○○?」
○○「きゅ~…(気絶)」
レミリア「…貧血かしら…」
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うう…
か、体が重い…
特に首筋の辺りが…
でも…なんだかひんやりしてて…気持ちいい…
…ひんやり?
○○「(目を覚まし)…あれ?俺はいったい…なんでベッドで寝てるんだ?」
レミリア「むぅーっ…○○五月蝿いわよ。寝てるんだから静かに…zzz」
○○「あらら…申し訳ございませんお嬢様…って、ん?何でお嬢様がここで寝てるんだ?ってかここって…お嬢様の寝室じゃあ…」
レミリア「zzz」
○○「状況把握しよう…ここはお嬢様の寝室、お嬢様はベッドで寝ている。で、何故か俺も同じベッドで寝ている…これの意味することは…」
レミリア「うーん…」
○○「…俺とお嬢様が…添い寝したってことに…(赤面)」
レミリア「…さっきから五月蝿いわね…貴方も一緒に寝なさい(布団に引きずり込む)」
○○「えっ?ちょっ…お嬢様…(引きずり込まれ)あぅ~…」
咲夜「お嬢様、就寝されたのですか?…○○?」
○○「メ、メイド長?」
咲夜「お嬢様と一緒に寝るなんて…(ギリピキィ)何を考えてるかは知らないけど…白玉楼に行く準備は出来たかしら?(ナイフ構え)」
○○「い、いえ…いやちょっと…勘弁してくださいって!」
レミリア「○○は私が連れ込んだのよ。咲夜は口出ししないで頂戴」
咲夜「お、お嬢様?し、しかし…」
レミリア「いい?貴女は私の従者。逆らうことは…」
咲夜「・・・わかりました」
…命は助かったようだが…
レミリア「むー…(抱きつき)」
○○「理性のほうが飛びそうだな…」
レミリア「○○…温かい…ん~…(すりすり)」
○○「…この状態で寝ろって方が難しい…お嬢様ぁ…勘弁してくださいよぉ…」
レミリア「ん~…だめよ…○○…」
○○「はぅ~…」
結局○○はレミリアに抱きつかれた状態で昼間を過ごすことになった…
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これはひょっとして後書きなのか!?(ぇ
ども、"音速駄作製造機"の107です。
今回は…レミリアと添い寝できたらいいなぁ…という授業中の妄想(爆)からこの話が生まれました。
…だって世界史の授業は…正直つまらない…(ぇ
なんだか文章が変になってる部分もありますが、ご愛嬌だと思って「ははは、こやつめ!」見たいな感じで流してください(ぉぃ
…世界史のノートの裏表紙…
えー…I先生、授業中に妄想なんぞして本当にすみませんでした…
…ここまで…
>>449
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寒くて寒くて仕方が無いって昨日今日なのに、僕の部屋の窓をぶちやぶって
レミリアお嬢様が入ってきた。
でも吸血鬼が部屋に入ってくる作法は、どの映画を見てもそう言うものだったな
と記憶しているので、北風がめちゃくちゃ寒く吹き込んで来ても、僕は怒らない。
そして、逆らっても無駄なのでぼーっとしていると、案の定血を吸われた。
でも彼女は小食なので、全部吸われない事が解っているから、僕は余裕だ。
小さくて柔らかいクチビルと、首筋にピリッと奔る痛み、そして愛らしい
鼻からこぼれる短い吐息、その全てを逆に愉しんでしまうくらいだ。
事実、お乳を飲む赤子のように、一生懸命に血を吸うレミリア様はとても
愛らしいのである。
しばらくして、献血注射一本分くらいの血を吸ってしまうと、案の定彼女は
満足して顔を上げてしまった。
「なかなか美味しい血だったわ、お持ち帰り決定ね」
身に余る光栄です。
僕は、この迷信深い日本にB型として生まれた事を始めて感謝した。
「では、ご用意させて頂きます」
メイドさんが突然現れて、そう言った。
紅魔館への引越しの準備でも手伝ってくれるのかな?
彼女は手に、大きなポリ製のタンクとナイフを持っていた。
3スレ目 >>111
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「レミリア! 俺と結婚してくれ!」
「・・・そう。ならば吸血鬼の『花嫁』にしてやろう」
「本当か?! よっしゃ・・・え、花y(ぢぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」
「不味いわ。咲夜、どこかに捨ててきて」
3スレ目 >>154
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レミリアお嬢様に献血のため部屋に行く。
「あら、やっと来たわね。でも、最近ずっと首筋からしかもらっていないから、少し飽きてきたのよ。
たまには趣向を変えて、ほかの場所からもらってみるのもいいわね。どこがいいかしら。言ってみなさい?」
1・手首
2・耳たぶ
3・指
4・唇
4を選んだ場合
「……いいわよ。言うようになったわね。でも、私とあなたじゃ背の高さが違いすぎね。
……私を抱き上げなさい。あなたの唇から、奪ってあげる」
3スレ目 >>463
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「レミリア、好きだ」
「100年早い」
「そうか・・・残念だな。俺は100年は生きてられない・・・」
「ならば私の眷属になればいい。・・・100年間、待っていてやろう」
3スレ目 >>596
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「あれ? お嬢様、お出かけですか? お酒持ってどちらに?」
「ちょっとそこまで、ね。サボるんじゃないわよ、美鈴」
「判ってますよ。ナイフは嫌ですから」
――キュポン。
「久しぶり。数年ぶり、かしら? 最近来てあげられなくてご免なさいね。アレ、なかなか手に入らなくって」
「……」
「怒ってるの? 心配しなくても貴方の事は忘れやしないわ」
「……」
「でも、貴方も悪いのよ? 貴方があんな無茶な注文してくれるから」
――ダバダバ。
「そ、アレ。貴方、コレが大好きだったでしょ?」
「……」
「そうそう。一度無理矢理私に飲ませようとして大変なことになったわよね。あの時のパチュの青い顔ったらなかったわ」
「……」
――ダバダバ。
「この前言ってた人間? ああ、咲夜の事? ええ。とっても出来た従者よ。あの子にもいつか貴方のことを紹介してあげるわね」
「……」
「ふふっ、そうね。あの子、きっと吃驚するわ」
――ちょろちょろ。
「最近あった面白いこと? そうね……フランに友達が出来たわ。それも人間の魔法使いの」
「……」
「白黒の変な奴よ。図書館から色々くすねてるってパチェがぼやいてたわ」
「……」
――ぴちゃん。
「……さて、と。咲夜が心配するといけないから帰るわね。丁度お酒も切れちゃったし。次が何時になるかは判らないけど」
「……」
「じゃ、またね。――私が大好きだった人」
――俺の事はあの酒が手に入った時にでも、思い出してくれればいいから。
――馬鹿ね。忘れないわ。ずっと、これからも。
3スレ目 >>728
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「突然だけど」
「なんだ」
「私はあなたが好きよ」
「そうかい」
「何よその反応、もう少し喜んでよ」
「……悪いが」
「俺は突然夜中に家に押し入って眠い俺を外に叩き出した挙句、
不夜城レッドで俺の大切な新築ログハウスを破壊するほどのデストロイヤーな吸血鬼から好きと言われて喜べるほど頭は春じゃない」
「つまりは?」
「嫌いってことだ」
「そう。で、今日はどうやって生きるつもり?」
「お前が破壊したんだろ……」
「そうね、責任は取るわ」
「……お前の口からそんな言葉が出るとは意外だよ」
「失礼ね」
「ああ、失礼だ」
「まあ、兎も角。うちは広いから住んでも別にいいわよ」
「無論そのつもりだ、俺が新しい家を建てるまでな」
「決まりね」
「ところで」
「なに?」
「あのぐらいのでっかい洋館なんだから空き部屋の一つぐらいあるよな?」
「無いわよ」
「……じゃあ俺は何処で寝ろと?」
「私の部屋」
「……断る」
「じゃあフランのところで寝泊りする?」
「すみませんでした貴方様の部屋で寝泊りさせて頂きます」
「あ、そうそう。さっきの話だけど」
「なんだ」
「あなたが今嫌いでも、きっと好きにしてみせるから」
「……俺としてはあんまりレミリアと関わりたくは無いんだが」
「ふふふ、そのうちその言葉も言えなくしてあげるわよ」
「それはそれで物騒だな」
一蹴されるのが有りならするのも有りなのかなって思って書いてみた。
3スレ目 >>898
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レミリアへ
ぼく以外の血を吸わないで
4スレ目 >>23
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「……俺は何しようとしてたんだ?」
ドアノブに手をかけたところで俺はふと思った。
っていうかそれ以前の記憶が無い。
……記憶喪失か? だとしたら大惨事だ。
行くとしたら妹様のところか永遠亭だな。
「……あー、そうだ。外に行こうとしたんだっけ」
しかし、少し考えてすぐに思いつく。
いやはやド忘れなんてことは俺には無いと思っていたが……世の中は広い。
ついでに言っておくが、今は夜でここは紅魔館の内側だ。
この時間帯はレミリアが起きているのでメイドたちも大変らしい。
まぁそんなことは俺には関係ない。
で、なんで外に出ようとしたんだっけ。
……お、思いだせん。
「まぁ、少ししたら思い出すだろう」
と楽天的に考えてドアを開けようと押すが―――
「あ、開かないっ!?」
開かなかった。
力いっぱい押してもナチュラルな人間である俺に扉をぶち破るほどの力は無い。
「ま、まさか閉じ込められた!?」
やばい、食料とかためてないぞ? 水は? 暖は? えーと他には……
「そのドアは引くて開けるのよ?」
狼狽している俺の後ろから呆れた声がしたので慌てて振り向くと、そこにはまぁちっさい吸血鬼が立っていた。
小さすぎて俺の今までの焦りが嘘の様に消えたほどぐらい。
「悪かったわね、ちいさくて。というか、教えてあげたんだから感謝しなさい」
勿論発狂している妹のほうではなくて、傍若無人のレミリアのほうだ。
「あはははは、そうだっけ。このドア押すんじゃなくて引くんだったんだなぁ」
とうとうボケが始まったか。
畜生、まだ若いのに……。
とりあえず気を取り直して、本来を目的を達成させるために引いてみようとするが―――
「うお! 開かないっ!?」
これまたどんだけ力を入れて引いてもびくともしません先生っ!
もしや鍵が必要とか!? それかレミリアが嘘ついたかなのかっ!?
お、落ち着け。もちつけ。そういえば餅食べてないなー。
……って、違う違う。落ち着くんだ。
とりあえず辺りを見まわしてみよう、もしかしたらヒントがあるかも試練。
左よーし。
右よーs…………元凶発見。
そしてその極悪な元凶ちゃんはドアが開かない様にドアによりかかってこちらを見ていた。
「なにやってんだお主は……」
「あなたの邪魔」
「……何故?」
レミリアの理不尽は初めてではないがやっぱり訊きたくなる。
っていうか理不尽なまますごすごと帰ってたまるか。
「妖怪を舐めちゃ駄目よ。あなたなんてすぐ食べられるわね」
成る程、俺の身を心配してくれるのか。
初めて俺に気を使ってくれた気がする。
「食べられたらあなたの血が飲めなくなるもの」
前言撤回。
やっぱりコイツは自分勝手な我侭お嬢様だ。
しかし、どうせ無理やり行こうとしてもレミリアと俺の力の差なんて火を見るより明らかだ。
この状況は普通に変えるのが得策。
「はいはい解りましたよ」
外に出る理由も忘れちまったしな。
俺は踵を返して自分の部屋に戻ろうとした。
「待ちなさい」
が、やっぱりこうなるとは思っていたがレミリアに呼びとめられた。
勿論振り向かないのは礼儀的に咲夜さんに殺されるので、仕方が無く振り向いて問う。
「なんで?」
「私が外に出たいから付き合いなさい」
「一人で行け」
「一人じゃつまらないわ」
「じゃあメイド長と一緒に出りゃ良いだろう」
「咲夜は今忙しいらしいわ」
「じゃあ――」
「五月蝿い黙れさっさと行くわよ」
他の案を出そうとしたら凄い剣幕で止められた。
そして俺に反撃の隙を与えずに外に出てしまった。
……我侭だなぁ。
散歩なんだけどレミリアと一緒に外に行くのが主流なのか? 正直困るだろ。
俺はそのまま帰ってやろうかとドアに手をかけかけて―――
「行くわよ!!」
本気で怒鳴られた。
ってな事でレミリアに無理やりに散歩に参加させられた。
ちなみに湖を越えるときは(強制的に)レミリアに運ばせてもらった
どんな運び方だったかは教えられない。死んでも教えねぇ。
とりあえず現在は現在は森の中を歩いている。
なんでかって言うと、空を飛べない俺に配慮してかもしれない。
まぁ、飛べない奴置いて空飛ぶほど非情じゃなさそうだしな……。
森の中といえば妖怪がうじゃうじゃいると思うが、レミリアのお陰か妖怪は寄り付きさえしない。
それでも四方八方木ばっかりで俺としては薄気味悪い。
話をしようにも話題がなければ声も出ず、結局は無言で歩いている状況だ。
そしてなんとなく気まずい雰囲気があたりを支配する。
何が悲しくてこんな吸血鬼と薄気味悪い森の中を歩かなければいけないんだ……。
日ごろの行いが悪いせいか?
いやいや神様。俺は普通に悪い事なんてせずにゆったり生きていますよ。
天罰下すなら目の前の吸血鬼にしてくれ。一応悪魔なんだし。
歩いていて気付いたが、結構蒸し暑い事に気付く。
まぁ夏だしな、仕方がないか。
「○○」
「な、なんだっ?」
突然の呼びかけにビックリしてしまって5mmくらい浮遊してしまった。
その上若干上ずって返答してしまった。ああ、なんか笑いの種になりそう。
「今日は何日か知ってるかしら?」
「何日かだって?」
なんでこの吸血鬼はそんな事を聞くのだろう。
しかしながら俺もここに来てからというもの年月とかは忘れてしまったので解らないと素直に答えた。
「そう。いいわ、別に期待してなかったし」
何気ない一言が俺の心を傷つける。
幻想郷に来てから何回心を傷つけられただろう。結構荒んでいる気がする。
そんな事もお構いなしだから困る。
「毎年この時期になると見えるのよ」
「何が?」
「上を見てみなさい」
と、いわれたので仕方が無く上を見てみると―――
「木だな」
暗いから良く解らないけど日が出てきたら青々とした木と枝が見える事が大いに予想がつく。
「そうじゃなくて…………ああもう、ここからじゃ見えないわね」
そう言ったレミリアは俺の手首を掴んで一気にスピードを上げて前に進んだ。
前に言った通り、俺は普通の人間だ。
そんな普通の人間が吸血鬼のスピードに絶えられるわけが無く、つまりは―――
「痛い痛いもげ、もげるからレミリアさん聞こえているけど無視してどんどん速度上げてるでしょてめぇこら止まれぇぇぇぇぇぇ!!!」
俺の腕が千切れそうになったとさ。
「はい、着いたわよ。上見て」
着いた場所はなだらかな斜面の草原が広がる一種の丘だった。
なんでレミリアはこんなところを知っていたのだろうか。
それよりもこの腕の痛みはなんとかならないのかな。
「し、死ぬ、千切れる。……てめぇ、絶対殺す……」
俺がブツブツと呪詛を呟きながらレミリアの支持通り上を見ると―――
「……うぉ」
それまでの怒りやらなんやらが吹っ飛ぶぐらい綺麗な―――
「凄いでしょ?」
俺の元いた場所では想像できないほど綺麗な星空と天の川だった。
「……ああ」
久しぶりに天の川。
これを見てぎゃーぎゃー騒いでたのが前の俺なんだよな今の俺は家に引きこもってるから困る。
少し俺の心が洗われた景色だった。
「まぁあなたの事だからこの時期でさえ空が見えないところで寝ていたんでしょうけどね」
そして洗われた部分をさらっと傷つけるのがここの吸血鬼だ。
「成る程、レミリアが散歩しようとした理由がわかった」
「……っていうか、私が運んでいるときには見なかったのかしら?」
「怖くて下ばっかり見てましたが何か? 上見たら負けかなぁなんて思ってた」
「そうね、多分あなたが上を見たら思いっきり下に投げてたわ」
そんなことで人間版スカーレットシュートしないでくださいな。
血が吸えなくなるから外に出るなっていったのは誰だよ。
「で、俺を強制的に外に連れ出したのはこれが理由か?」
「咲夜には結構見せたからね。どうせあなた見てないと思ってたし」
「失敬な、ガキの頃は見たぞ」
「ってことは最近は見てないって事でしょ」
なんて他愛な話を座って空を見つづけながら言い合う。
こんな雰囲気が続いたら良いなーって思っている俺がいた。
適当に喋って、嫌だけどまたあの運び方で紅魔館に戻って、また明日って感じで。
「○○」
けれど、ゆったりムードの雰囲気もそう長くは続かなかった。
原因は別にパララッチな天狗でもナイフが怖いメイド長でも俺の歌を聞けーな夜雀でもなんでも無い。
すぐ近くにいる吸血鬼だ。
突如視界が吹っ飛んだと思うとドスッという鈍い音と共に背中と頭に痛みが走り、目の前に写る景色が突如変わった。
その景色とは、レミリアの顔だった。当然目線が合ってしまう。
肩にはレミリアの手がかなりの力で乗っているため、俺は置きあがれずに逃げ場が無くなってしまった。
良く見ると普段青白い顔が若干紅いような気がする。
「前から思っていたんだけどね……」
そう言ってレミリアは一旦言葉を噤んだ。
その一瞬で俺の心臓の鼓動がかなり早くなった。
なんで俺が緊張せねばいかんのだ。
「私はあなたに前から興味を持っていたの。食料以外でね」
「……興味?」
思わず聞き返してしまう。
ああ、なんか言いたい事が解ってしまうと顔が赤くなるな。
視線を逸らしたいけど逸らしたら何言われるかわからないからそのまま固定。
「それで、何故かと色々と考えをめぐらしていたら答えについたのよ」
俺の質問を無視するのは故意ではなくて気に出来ないほど緊張しているからだとは思う。
思いたい。思いつめたい。小一時間思いつめたい。
「○○。私はあなたが好きみたい」
言いやがった、この吸血鬼。
心臓がかなり早いスピードで脈を打っているのが解る。
慣れてない事はどうしても駄目だね。
「あなたは私の事をどう思っているのかしら?」
うおぃ、返答聞かれちゃったよ!
なんて答えれば良いんだ? いや、自分に正直になればいいんじゃないのか?
正直に答えるとなると……
『……我侭で傍若無人、とりあえずはかかわり合いたくない相手』
ってなるじゃないか! し、死亡グラフ確定!?
却下! でも嘘ついても見破られる気がしないでもない……。
「ちなみに恋心としてだから。解ってるわね!?」
どうやら考えている事を読まれしまったらしく若干怒り気味で言われた。
はて、恋心?
そう言えばそんなの生死の境を毎回いったりきたりの毎日じゃそんなこと考えられんわ。
さて今は安全なので考えてみよう。
気付いたら傍にいるのは誰だ? ふとした時に思い出すのは誰だ?
……決まってるじゃないか。半強制的だがな。
「恋心かどうかはわからないが……、気付いたらレミリアと一緒にいて気付いたらレミリアのことを考えている事が多い。
多分、お前の事を意識しているとは思う」
「なんか微妙な言い方ね……。まぁ、あなたが何時も憎まれ口を叩いているのもわかるけどね」
そいつは驚きだった。また別の意味で心臓の鼓動が早まる。
ついでに冷や汗も。
「だって言うじゃない? 嫌よ嫌よも好きのうちってね」
いや、そうなのか? 俺にそれは適用されるのか?
ファンだ。違う、不安だ。
「でもね、そんな曖昧な言い方じゃ駄目」
結局却下されちゃったみたいですわ奥さん。
はいはい解りましたよ。薄々は俺も気付いていたし、曖昧な答え方でなんとかなるかなって思ったけど駄目みたいですね。
「レミリアが好き……みたいだ」
最後の言葉は俺の精一杯の抵抗。
でないと心臓が破裂してあたり一帯がスカーレットな状況になってしまう。
「また曖昧だけど大体解るから許してあげるわ」
……ひょっとして、俺に好きと言わせるまで何回も訂正させる気だったのか?
そういえばこんな大胆なレミリアは初めて見るな。気付くのが遅すぎるか?
「……そういえば。なんで七夕を選んで、しかも俺をここまで連れていってまでしようとしたんだ?」
「ここなら多分見つからないと思うし、織姫と彦星が一年に一回会える時期、妖怪と人間の境界も越えられるかもって思ったのよ」
おうおう、ロマンチストだな吸血鬼よ。
まぁ関係無いけど粋な計らいだ。
「じゃあ誓いの……」
なんか色々吹っ飛んでいる気がするんですけど先生ー。
いきなり誓いのうぎぎなんて早すぎる。
ちょ、今ここで? ってか逃げられんっ! 別に嫌じゃないけど助けてっ!
「吸血を」
……まぁそうだろうと思ってたさ。
なんか泣ける。
仕方が無い、せめてもの抵抗でもしてやろうか。どうせ無理だろうとは思うけどさ。
「ちょっと待て、今やる気か? 帰ってるときに血が無くなったらどうするんだお前はー!? うわ、無視かっ! 非情だっ!」
なんて抵抗も空しくレミリアは首筋に顔を近づけたその時―――
「あははははははっ!!! だ、駄目死ぬわっ! これはっ!!」
凄まじく場違いな笑い声がした。
気付いたら俺はレミリアの部屋で机に突っ伏していたわけだが、そこに居たのは―――
「だ、駄目ですよお嬢様。○○が起きてしまいますわ」
けっこう顔が引きつっている咲夜さんと―――
「いいえ、もう手遅れの様ね。……プッ」
最後のほうでたまらず噴出してしまったパチュリーと―――
「もう、ちょ、っと、見れるかと、お、もったん、ですけ、どね」
笑いを堪えているのかで途切れがおかしくなっている小悪魔と―――
「あははははは! あははははははは!」
無茶苦茶に笑い転げているレミリアが居た。
……はい?
状況が掴めませんが、俺は先程吸血されそうになったはずじゃないのか?
キョトンとしていると引きつったままのパチュリーが答えを教えてくれた。
「こ、紅茶を飲んだのは、覚えているかしら?」
「紅茶?」
えーっと、紅茶なんて飲んだかなぁ……。
過去を振り返ろう、どうせ浅い時間だろう。
紅茶……確かに飲んだな。その後……の記憶が無いんだが。
「アレは睡眠薬入りの紅茶よ。私特性の」
思いっきり引きつっている顔のままパチュリーがまたもや教えてくれた。
ってぇことは?
「あなたはずっと夢を見ていたわけ。それを私の水晶球でウォッチしていたの。勿論内面描写もろもろね」
「あははははは!」
成る程、どうりでレミリアがいつもより変だと思った。
っておい、内面描写って事はだ、俺が夢の中で見ていたことやらなんやらが全部? 包み隠さず? ここの面々に見られたわけで?
ああなるほど、だーから皆笑っているわけかぁ。
成る程成る程。
どうやら解ってきた俺を見て更に全員それぞれに横を向いて口を抑えたり、余計引きつったり、余計に笑い転げたりしていた。
くあっ! 首吊りてぇっ!
「首吊ってくる!!」
有限実行とはこのことだね。俺ってば素晴らしい。
なんて焦りながら自分を褒め称える。
「まぁまぁ落ち着いて」
「これが落ち着いてられるかっ! 今から俺はここにいる全員を根絶やしにするか幻想郷から出たりしない限り俺の安眠は無い!」
自殺が駄目なら外に漏らさなければ良い。
そう考えた俺は、そこらへんに偶然あった新鮮な長ネギを二本持って謎のフィンランド語の歌を口ずさみつつ身構えた。
「レミィが無意味にこんな事をすると思う?」
「思う!!」
「……レミィ、彼からの信頼無いわね」
「あははははは! だって、からかうのが、面白すぎて、あははははは!」
「オーケー、今から閻魔のところまでぶっ飛ぶがいい」
「落ち着きなさい。今の状況でもあなたがレミィと戦って勝てる見込みは無いわよ?」
「…………う」
そりゃそうか、吸血鬼と人間だしねぇ。
しかし長ネギは下ろさずに構える。その気になれば誰か一人くらいは……無理だけど、とりあえず下ろさない。
「レミィは私に聞いてきたのよ。効率良くあなたの気持ちを知れないかって」
「……仮にその話が本当だとしても、レミリアが俺の気持ちを知ろうとする理由が思い当たらないが」
「……呆れた」
引きつった顔のまま言われても困る。
ちなみにレミリアは未だに笑いつづけている。
時折俺の内面描写の一部をブツブツと言った後また笑ったレミリアを見ると、やっぱりコイツは極悪だなと解る。
「ついでに私はこう答えたわ。他人の気持ちを知るならばまず最初に自分の気持ちを言うべきだってね。
でもね、レミィはそれを聞いたときに自分からは言えないって言ったわけ。で……」
「この作戦が採用されたわけか」
「そう」
なんか卑怯な気がする。自分で言えってのに……。
「拒否されるときにレミィはどう対応すればいいかとか解らなかったんじゃないかしら?」
さらっというあたりさすが友人だ。
レミリアが居るにもかかわらず言ってのけるところ、笑いで状況判断ができなくなったのだろうか。
と、今更ながらある事を思いつく。
「ってことは、レミリアが夢で言った事は?」
「若干捏造はしたけど大体は本当よ」
うへぁ! そいつは知らなかった。
いや、知らなくて当然か。今言われたし。
そういえばここはレミリアの部屋だな、うん。
なんで呼び出されたんだっけか。たしか、重大な話があるっていってたっけ。
……なんとなく、未来がわかった気がする。
ここで俺がやることは一つ、逃げねば。
「く、国に帰らせていただきます!!」
そう言ってダッシュはしないにしろ早歩きでドアへと向かう。
そしてドアノブを捻って思いっきり押したが―――
「あ、開かないっ!?」
夢の続きかっ!? 押しても引いても開かないってどう言う事ですか先生っ!!
もしや思って振り向くと、レミリア以外の三人が居ないじゃないか。
……閉じ込められた?
部屋には俺とレミリアだけが取り残された。
レミリアがもう笑っていないせいか俺が喋ってないせいかはたまた両方か、部屋が物凄い静寂に包まれていた。
「○○」
と、レミリアが突然話しかけてきた。
少々ビックリしたので声が上ずってしまわない様黙る。
「私はあなたのことが……好きよ。あなた、は?」
真っ赤になって答えるレミリアがそれほど近くない距離からでも解る。
元が青白いからそのぶん変かがわかりやすいって事だな。
で、質問の答えだが。もう言ったはずだ。
まぁ言わなければいけないんだろう、しょうがないから言ってやろうじゃないか。
「俺は……レミリアが好き、みたいだ」
夢と似たような答えにレミリアは少し笑って夢と同じ答え方をした。
「また曖昧だけど大体解るから許してあげるわ」
どうせなら俺も乗ってやることにする。
「……そういえば。なんで七夕を選んで、しかも俺をここまでやってまで確かめようとしたんだ?」
「織姫と彦星が一年に一回会える時期、妖怪と人間の境界も越えられるかもって思ったのよ」
本当なのだろうか、まぁ捏造込みって言ってたし。嘘かも。
「じゃあ誓いの……」
と言った瞬間ベッドに投げ飛ばされてしまった。
……ちょいまち、この状況ってことはこうなるわけで?
「吸血を……」
「うおい! ここまで再現する気なのかっ!? それともなにか、俺が見たのは予知夢だったのか!?」
「ふふふ、どうかしらね」
「話せば解るっ!」
「嫌よ嫌よも好きのうち、でしょ?」
「それはお前が言った事だろ! お、鬼! 悪魔!」
「私は吸血『鬼』で悪魔よ」
「じゃあ豆は弱点だなっ!」
と、まぁよくわからんことをグダグダ言っている間に月明かりや天の川やらに照らされて出来た二人の影は変わった形で重なり合いましたとさ。
ちなみに、俺の夢については他言したら撲滅とレミリアと俺で決めた。
……いやはや世の中はどうなるかわかりませんねぇ。
彦星と織姫みたいな関係にはなりたくないけど、こちらもどうだか。
「なんか言った?」
いや、なんにも。
なんでお前なんかを好きになったのかなーなんてこれっぽっちも思ってないよ。
「……ふうん。どうやら現実でもう一度、今度は全員の前でやる必要があるようね……」
おうち、つい調子に乗って本音を言ってしまった!
レミリアストーップ! 話せば解る! だからアレは勘弁! 絶対止めて! 頼むから!
お姫様抱っこは死んでもやめてくれっ!!
Hoppy End?
避難所 >>50(うpろだ0027)
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窓から一条の光が差し込む薄暗い部屋
彼女はその光に腕を差し出し その深紅の瞳で俺の眼を射抜いていた。
「吸いなさい。それだけで貴方は永遠の命を得ることが出来る」
「私と共に歩んでいく命を得ることが出来る」
「でも、それは何よりも深い闇の道を歩むと言うこと」
「死よりも辛い時間という流れを歩むと言うこと」
「それでも、私を愛していると言うのなら」
「私を求めると言うのなら」
「今ここにその覚悟を示しなさい!」
「人を捨て、光を捨て、私を手に入れて見なさい!」
何と言うか・・・
私の願望?というか、こんな事をレミリアに言われてみたいな~とか
思っていたら出来上がってしまった妄想文です。
もう一つ、弱いレミリアVerを考えているんですが
投稿しようかどうか迷っています。
4スレ目 >>652
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「まぁ……お前が運命を操るとかいう以前に、俺はお前が好きだったって
ことなんだろうな」→レミリア
4スレ目 >>696
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いつのまにか、自分は家の窓から満月が映える空を見上げていた。
どうも、自分は寝ぼけているようだ。頭がすっきりしないし、今まで何をしていたのか思い出せない。
ただ、気付いたら満月をずっと眺めていた。
まぁ、これも暑さと暇な所為だろう。そう思って、その晩は結局そのまま床についた。
しかし、翌日になっても、この不思議というより、困った記憶の感覚はひきずったままだった。
昨日の事がさっぱり思い出せない。いや、それだけではない。昨日より前の日の出来事も所々忘れているようだ。
どこか出かけた事は覚えていても、どこに向かったのか、何をしたのか、誰と会ったのかが抜け落ちている。
深く考え込みながら過ごしているうちに、今日も夜が来た。窓から見上げた月は少し欠けていた。
ふと、視線を周辺の木々へと移すと、そこに見慣れない人の影があった。よくは見えなかったが、
月明かりによって見えた姿は、大きなリボンのついた帽子を被り、髪は長く青みがかった銀髪の少女だった。
その直後、自分は幻想のようなものを見た。一人の男と、さきの少女のような人が話をしている。
けれど、その二人の表情はよく分からなかったが、どこか悲しそうであった。そして、少女は目元に光を残して去っていった。
同時に幻想はゆっくり、うっすらと消えていった。現実に戻った自分の目の前に、あの少女は居なかった。
あの夢のような、幻は何だったのだろう。ただ、この光景は知っているような気がした。そして、胸が押しつぶされそうな感覚を受けた。
思わず顔を俯かせる。すると、自分の手のひらに涙がこぼれ落ちた。そして、一言口にした。
「君は・・・誰?」
4スレ目 >>844
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「なあ慧音。明日辺りじゃなかったっけ? ほら、彼」
「ん? ……あぁ、そうか。もうそんなに経つのか。早いものだな」
――んじゃ、よろしくお願いします。
――なんでそこまでする必要がある?
――恥ずかしいんですよ、俺が。
「――扉?」
見回りと掃除を兼ねた仕事中、私は此処に来てから一度も見た事のない扉を発見した。
完全で瀟洒なメイド長である私が把握していない部屋など無い筈なのだが……。
随分放置されてきたのか、相当にボロい。なんとなく気になり、おもむろに扉を開ける。
――ガチャリ。
さび付いている筈の扉は、いとも簡単に開いた。
そして、中に入り、何があるのか確かめようとしたのだが、
「……え?」
――その瞬間、世界が、空気が、変わった。
たった今まで日が出ていたのにこの部屋は夜。月が部屋を照らし出す。
知らない部屋、知らない匂い、知らない感覚。
知らないけれど、私はこの感覚を識っている。
ここは紅魔館であって紅魔館じゃない。
時間を操作できる私だから判る。ここだけ時の流れから取り残されたかのような感覚。
本来色を持たない筈の大気はセピア色に染まり、私は外界から断絶される。
ここはさながら壊れて止まった時計の中。紅魔館の中にありながら、紅魔館からその存在を忘れ去られた場所。
警戒する私の前には、知らない男性。
……誰かしら。この部屋の住人?
――誰が見てるかは知りませんが、お久しぶりです。もしくは初めまして?
その場合はさっさと回れ右してください。面白いもんでもないんで。
その言葉で即座に理解する。
この部屋と彼は私と同じ時間軸に存在していない、という事を。
――そこにレミリアは……いないよな? もしいたら今すぐ出てけ。
つーか今更お前に話す事は無い。お前に話すべき事は全部昨日話した。
――コホン。見苦しい所をお見せしました。えー、知ってる人は殆どいないでしょうが、なんでも俺はあと1~2日の命だそうです。この映像撮ってる時から。
つまり、名も知らぬアナタがコレを見てる時には、俺はとっくにお陀仏してます。
――出来れば、皆に直接会って言えればれば良かったんですが、諸々の事情と時間の都合によりそれは無理なんで、この映像を此処の住人への遺言? みたいな形で残します。
――ちなみに、あんまり早く出しても俺が恥ずかしいんで、俺が死んだ後、とある人に50年ほどこの部屋を隠してもらう予定です。
とりあえず ここに住んでる魔女とか妖怪の皆なら、50年くらい大したことない時間だろうし。あ、死人が恥ずかしがるなとか言わないで下さい。男心は複雑なのです。
――でももし、コレを見てるのが俺のことを知らない人だったり、紅魔館の住人じゃなかったら……もう一度いいます。今すぐこの部屋から回れ右して、この部屋に入ってからの一切の記憶を消去してください。
その際、紅魔館の住人にはこの部屋の存在については何も言わないで下さい。もう一度いいますが、男心は複雑なのです。
――いいですか? ……んじゃ、始めますね。
少しの間を置いて、彼は訥々と語り始めた。
――結果を言えば、ほんの少しの好奇心を持って聞いていたソレを、私は心から後悔する事になるのだが。
――まず死因ですが、寿命です。この前の満月の日、妹様がちょーっと興奮しすぎちゃって、大変な事になりましたね?
その時、ちょいとピンチに陥ってたレミリアを庇ったら下半身と右腕を吹っ飛ばされました(笑)。
死ぬほど痛かったです。死にましたが(笑)。やっぱ人間慣れない荒事はするもんじゃないですね。レミリアは無事だったんでよかったですが。
どうやら当時の彼はその場で死んだらしい。じゃあ彼は今、幽霊なのかしら?
それにしても妹様の前に立つとか、命知らずにも程があるわね。むしろアホだわ。
でも、彼は「後二日の命」と言った。矛盾してるわね。
――すぐさまパチュリーさんが回復に当たったしたらしいのですが、当然間に合わず、俺は9割9分死んだそうです。
ソレを聞いたとき、俺は妹様の圧倒的な破壊の力の中にほんの少しの優しさを感じました(笑)。
なるほど、蘇生したのね。妹様の直撃を食らって蘇生する、ってだけでも人間にしては随分頑丈みたいだけど……。
――殆ど死んでた俺は詳しい事は知りませんが、それでも色々頑張ってくれたみたいで、俺は今ここにいます。
が、これから先の命の殆どを使っての蘇生だったんで、その分の寿命を持っていかれた。と言う顛末です。
流石人間。妖怪とは寿命も身体の作りも違います(笑)。
まあ、そんなものよね。所詮人間だし。
――さて、本題ですが、俺が紅魔館で過ごした日々は、二十台の半分にも満たない俺の人生でしたが、その中で一番楽しく、充実した時間でした。
――そんなわけで、俺がここでお世話になった方々に、一言ずつ言っていきたいと思います。
――まず美鈴。いつもお仕事お疲れ様。カレーパンを渡した時、君に泣いて喜ばれたのは俺と君だけの秘密です(笑)。
――次、パチュリーさん。偶には外に出ましょう。この前帽子に茸が生えてましたよ。
――小悪魔こと、こぁ。悪戯は程ほどに。立派なレディーになる事をお兄さんは祈ってます。
――メイド隊の皆さん。あんまり長い間じゃなかったけど、俺みたいな若輩者に付いてきてくれてありがとう。
――最後に、妹様。……なにとぞレミリアと仲良くしてやってください。ああ見えて意外と寂しがりやなんで。
――皆さん、俺は今、本当に幸せです。本当にありがとうございました。……そして、さよならです。
……なーんて言うと、ちょっとカッコイイ感じがしませんか? ……それじゃ、本当に、さようなら。
どうやらこれでお終いらしい。大して面白いものでもなかったわね。本人も言ってたけど。
しかし、お嬢様を呼び捨てにしたり、何様なのかしらね。ここにいたら即ハリネズミにする所だわ。今度冥界にでも行こうかしら。
……それにしても映像、終わんないわね。
目線を外して、やれやれと溜息をつく彼の姿。まだ映写機が動いてるのに気付いてないのかしら?
――はあぃ○○。
――幽香か。空気読んで待っててくれたのはありがたいけど、とりあえず窓から入ってくんな。……って、このやりとりも、もう最後か。
これって……あの花の妖怪?
なんで彼女が紅魔館に侵入してるのかしら。それも普通に窓から。いや、窓からは普通じゃないけど。
――で、どうした? 風の噂でも聞いたのか? それとも天狗か?
――そんな所よ。……でもほんと残念。貴方と遊ぶのは楽しかったんだけど。……この際吸血鬼にでもなったら?
とりあえず死なないわよ。日光とかは駄目になるだろうけど。
――吸血鬼、ね。
――嫌なの? やっぱり人間として死にたいとか?
――いやさ、今の遺言には入れてないけど、実は俺ってとっくに吸血鬼らしいよ?
蘇生の時、人間の命じゃ全然足りなくて、レミリアが俺を眷族にしたらしい。それでもこの有様さ。げに恐ろしきは妹様の破壊の力。ってね。
なにがおかしいのか、からからと笑う。
それにしても、お嬢様が眷属に? 彼、よっぽどのお気に入りだったのかしら。
あら? でも、もしそうなら……?
――……眷属になったんなら、主が死ななきゃ大丈夫なんじゃないの?
――そうなんだけど、俺の場合肉体じゃなくて、魂が死ぬんだってさ。パチュリーさんが言ってた。
――…………。
「…………」
私の疑問と同様の質問をする彼女に、彼はとんでもない事を言ってのけた。
魂の死。それは消滅。何も無い。行き着く先は本当の闇。
冥界に行く事も無く、閻魔に裁かれる事も無い。
それは、とてもとても恐ろしい事。勿論その事も彼女も知っているのだろう。
彼は……怖くなかったのだろうか?
――ふうっ。……あーあ、死にたくねえなー。
――っ!
「――っ!」
私の思考を読んだかのような一言に、思わず息を呑んでしまう。そんな事、ある筈が無いのに。
不意に、天井を見上げ、苦笑しながら、諦め気味にそう呟いた名も知らぬ彼。
飾り気も何も無い、思った事をそのまま口に出したのであろうその言葉は、これ以上無い諦観に溢れていた。
本当に、死にたくはないけれど。もう、彼は知っていたのだ。もう自分がどうにもならない事を。
――あー、なんつーか、悪い。誰かがいると、どうも弱音を聞いてほしくなる。
――…………っ。
――どした? ……なんだおい。お前泣いてんのか? 自称最強の妖怪がたかが人間一人のために泣いてんのか?
――当たり前、でしょ……。たった一人の……大切な、……友達、……なんだから。
――……そっか。さんきゅ。ま、皆と仲良くしろよ。無理っぽそうだけどな。
――ぶつっ。
そこで映像は途切れた。
私の目の前にはボロボロの部屋。
映像の部屋の面影は、ほんの一欠片も無い。
心に一つだけ抱き、私はその部屋を後にした……。
――――。
「お嬢様」
「何? 珍しく険しい顔して」
時間は巡り、今は夜。
私が部屋に付く頃には既にお嬢様は起きていた。
「お聞きしたい事があります」
「珍しい事もあるものね。……まあいいわ。今日は特別な日だし、なんでも答えてあげる」
「今日、とある部屋を見つけました」
「へえ?」
クツクツと面白そうに笑う。
お嬢様の事だ。大方私が何を言いたいのかも知っているのだろう。
ならばこれ以上無駄な前振りも必要ない。
「率直に聞きます。一体彼は何者なのですか?」
お嬢様が笑うのを止める。
その澄んだ瞳に移る感情は、私には読み取れない。
「……以前の執事長よ」
「執事長?」
予想外だった。
てっきり客かなにかと思っていたのだが……。
「そして、私が唯一大切にしたい、と心から思った人間でもある」
「……!?」
「ふふっ。やっぱり驚いたわね……。ほら」
私の驚きっぷりが予想通りだったのか、嬉しそうに何かの紙を投げて寄こすお嬢様。
音も無く私の目の前に落ちたそれを拾う。
「……」
それは、一枚の写真だった。
場所は……紅魔館のどこかだろう。
中心には満面の笑みを浮かべる例の彼と、赤い顔で膨れっ面をした、ウェディングドレスを着たお嬢様。お姫様だっこで抱きかかえられている。
横には手作りの粗末なブーケを持った、今とは違う幼い小悪魔と思わしき誰か。
その反対には美鈴と、彼女の頭の上に乗った妹様と、相変わらず本を読んでいるパチュリー様。
そして周囲には私の知らないメイド隊。
……考えるまでも無い。昔の紅魔館の集合写真だ。
「……これは?」
「昔、小悪魔にせがまれてやった結婚式ごっこよ。まま事みたいなものだったけど、楽しかったわ。彼も、私も、皆も」
「……」
「……あの数年間は幸せだったわ。本当に」
そう月を見ながら微笑むお嬢様の手には、何時の間にかワインボトルと二つのグラス。
「咲夜。少し飲むわ。付き合いなさい」
「……かしこまりました」
私はそれ以上何も聞く事は無かった。聞きたい事はとうに聞いてしまったのだから。
因みに、そのワイン、普段私やお譲様が飲むモノと比べるととてもではないがいいものではなかった。
お嬢様曰く、今の幻想郷では滅多に手に入らない貴重品で、彼が事のほか好んだのだと言う……。
───────────────────────────────────────────────────────────
――50年だ。それ以上は待てない。
――それで十分。あ、お前は偶に来てくれてもいいぞ? ただしあの酒が手に入った時だけな。
あの数日後、私は突然お嬢様に呼び出された。
「咲夜。出るわよ」
「……今日はどちらへ?」
「内緒、よ」
疑問を投げかける私にそう妖しく笑う。
その笑みが激しく気になるが、まあお嬢様の気紛れは今に始まった事でもないので何も言わない。
主の意向にそぐわないメイドなど、完全で瀟洒な従者の名が泣くというものだ。
とりあえず今日は晴れ。日傘を用意しなくては。
「……遅い」
「まあまあ」
門に差し掛かった私達を待っていたのは二つの影。
いつもは図書館に篭りっきりのパチュリー様と小悪魔だった。小悪魔はともかく、珍しい事もあるものだ。
そして何時の間にか、門の周りには知らない妖怪達が十数匹。……いや、私はその顔ぶれを知っている?
「小悪魔、フランは?」
「妹様は……どうしても行けないと」
「……そう」
残念そうに深い溜息をつくお嬢様。
今日出かける所には妹様も関係があるのだろうか?
「じゃ、美鈴。行ってくるわ。後よろしく」
「行ってらっしゃいませ」
珍しくお嬢様が門番に声をかける。私の知る限り、これが初めてじゃないだろうか?
その時の門番は、いつものヘタレている彼女と違う、これもやはり私が初めて見る、真面目な表情をしていた。
そして何時の間にか、あんなにいた妖怪達はいなくなっていた。
――――。
四人は行ってしまった。
私も一緒に行きたくはなかったと言えば嘘になる。
だけど、私には私の仕事がある。そう易々とここを動くわけにはいかない。
「よしよし。行ったな……」
「……」
やっぱり来た。白黒だ。
大方皆が出て行くのを見計らっていたのだろう。
私も随分と舐められたものだ。……いつもの事だし、仕方ないと言えば仕方ないが。
「よう中国。今日も通してもらうぜ」
「……他の日ならいざ知らず、今日は、今日だけは、何があってもここを通すワケにはいかないんですよねー。咲夜さんも行っちゃいましたし」
「はっ! 冗談。こんなチャンスを逃すほど私は人が良くないんでね。そっちの都合なんか知ったこっちゃない」
勿論そんな事は判っている。そんな事で引き返してくれるなら苦労はしない。
そして、彼女を打ち倒す事がそう簡単でない事も。
しかし、今日、お嬢様は私に後の全てを任せた。
ならば、私は持てる全力を超えてでも、お嬢様の信頼に応えなくてはならない――!
「それくらい、こっちも承知の上。だから……」
――スッ。
「んなっ!?」
私が腕を上げるのと同時に、音も無く魔理沙を囲む私の昔の同僚達。
皆、最後に会った時から何も変わっていない。
今日この日、誰一人欠ける事無く集まってきた事を、私は心から喜ばしく思う。
――彼は、弱かった。今の紅魔館を束ねる咲夜さんや目の前の白黒、紅白と比べると、彼女達が同じ人間なのか、と疑わしい程に。
――だから、彼は自身を中心に私達の力を連携によって最大限に発揮し、生かす術を実践した。
――結果は上々。あの妹様を相手にしてもお嬢様とパチュリー様が到着するまでの数分は持ちこたえられる、という驚異的なものだった。
――そしてその日から、妹様相手に死者は出なくなった。
――仕事仲間が誰一人欠ける事の無くなった、という事実に、彼は心から喜んだ。私達も、また同様に。
――幾度となく繰り返した戦いの果てに手に入れたもの。それは、仲間という名の掛け替えの無い力であり、信頼という絆だった。
「いつも通り頭数揃えて、私に勝てると思ってるのか?」
「いつも通りの、面子なら、無理、でしょうね……」
(こいつ、泣いてる……?)
懐かしく、心地いい空気。
思わず溢れた涙に視界が滲む。
そしてそれに呼応するかのごとく、退屈な日常に色褪せた筈の私の魂が、本来の色を取り戻す。
本来その中心にあるべき彼はもういないけれど。決してあの時には戻れないけど。
彼からもらった仲間への信頼を胸に。力を拳に、弾幕に。私は、皆は、ただ込める。
楽しかった思い出の日々の体現に囲まれて、私はあの時の私に還っていく。
今日の敗北は絶対に許されないのだ。そう。大事な人々の信頼と、私自身の誇りにかけて。
皆と目を合わせる。覚悟と準備は万端。さあ、始めよう。
「……私は紅魔館が門番、紅美鈴!」
「あーあー、派手に口上なんか垂れちゃって」
「美鈴、慣れない事はするもんじゃないわよー」
……茶化された。にも係わらず、それが心地いいと感じる自分がいる。
彼女達とは、彼を喪って以来会っていないのだから。
もし、彼女達が残っていたら……いや、詮無きことか。
「んじゃ、久々にお仕事と行きますか?」
「狼藉者を追い返す、素敵で野蛮なお仕事をねっ――!」
――――。
紅魔館から飛ぶ事十数分。
到着したのは小高い丘。そこにあるのは粗末な石が只一つ。
そしてその前には……。
「向日葵?」
「……アイツも来てた? いや、来てるのか」
墓前に咲いた一輪の向日葵を見、感情を込めずに呟くお嬢様。
探ってみれば周囲には一つの気配。あの花の妖怪だ。
彼女ほどの猛者、とうに私達に気付いているだろうに、その場から動こうともしない。
「お嬢様。どうします?」
「どうもしないわ。彼女は彼の一番の友人なんだから。彼女は私の知らない彼を知っている。ふふっ……少し妬けるわね」
――当たり前、でしょ……。たった一人の……大切な、……友達、……なんだから。
――……そっか。さんきゅ。ま、皆と仲良くしろよ。無理っぽそうだけどな。
「……」
私はここにきてようやく合点がいった。
この前の彼だ。私が生まれるずっと前に私のポジションにいたという、お嬢様の恋人。
ということは、ここは彼の――。
「やっと気付いたわね、咲夜」
「レミィ。この子、彼の事知ってるの?」
「ええ。最近まで消失してた彼の部屋を見つけたのが咲夜よ」
「……そう。なら話は早いわね。今日は彼がこの世に生を受けた日であり」
「ここは50年前の今日、彼が私を置いて消えて逝った場所」
謳うように言葉を紡ぎながら、お嬢様はあのワインを石にかける。
私の横からは小悪魔の嗚咽。
あーあ、可愛い顔が涙でグチョグチョじゃない。
――捧げしワインには去りし彼への慕情を。
――かける言葉には万感の思いを。
「……誕生日、おめでとう」
───────────────────────────────────────────────────────────
――夢を見ている。
――懐かしくて、楽しくて、そして……切ない夢。
さて、今日は此処ね。
湖の畔にある館、人呼んで「紅魔館」。
当主が吸血鬼だかなんだか知らないが、とりあえず気に入らないので虐めに来たのだ。
(誰だか知らないけど門番はザルね。裏からだと余裕じゃない。まあ私なら表でも余裕だけど)
とかそんなどうでもいい事を考えていたら、裏玄関から誰かの声が聞こえてきた。
「……! ……!」
なにやら怒鳴っている。
甲高い声が耳にうるさい事この上ない。
(先客かしら?)
慌てて木の上に身を潜める。
って、何で私が隠れる必要があるのよ。今更出て行くつもりも無いけど。
覗く先に映るのは、一匹の氷精と、一人の人間。
「今日こそアタイはアンタ達に勝ってみせるわ!」
「お嬢様は只今お休みの時間ですが」
「だーかーらー! アンタ達だって言ってるでしょ!?」
そう言えば今は昼。確かに吸血鬼の時間ではない。
そんな事を忘れるとは、私も遂にヤキが回ったのだろうか?
「何がなんでも戦うと?」
「勿論! 今日こそギャフンと言わせてやるわ!」
「どうしても?」
「どうしても!」
ヘラヘラと張り付いた愛想笑いを浮かべる男。
……そのすました顔、気に入らないわね。瞳に感情が無い分、余計に。
「では、ご要望にお応えして、僭越ながら私達がお相手仕ります……皆! 仕事の時間だ!」
――パチン。
音高く指を鳴らす。それと同時に、何処からともなく十数の影が彼の周囲に現れる。
……少しは出来るみたいね。勿論私には遠く及ばないけど。
そして気が付けば、その内の一人、赤い、そして長い髪をしたチャイナメイド(?)が氷精を睨んでいる。
他のとは明らかに違うあの服を見るに、彼女がリーダーなのかしら。で、皆の代表として何か言う、と?
それにしても彼女、胸……大きいわね。
――その時の私は、どんな青臭い罵声(例えば、この屋敷とお嬢様は私達が護る、とかそんなの)を浴びせるのかと楽しみにしていたのだが、
そのメイド(後に彼女が門番だと知る)の口から出てきた言葉は、そんな私の予想の遥か斜め上を行くものだった。
――ぷっ。
「あは、あはははははは! ねえちょっと聞いた? “皆! 仕事の時間だ!”だって! しかも指パッチン! お、お腹いたい!! 死ぬ、これはいろんな意味で死ぬ!!」
「聞いた聞いた! そ、それにしても、隊長の言葉遣い違和感ありすぎ! 聞いてて鳥肌が立っちゃった!」
場は一瞬で爆笑に包まれた。緊張感も何も無い。
きっと今の私は、実に形容しがたい表情をしている事だろう。
しかし、隊長? 彼が? この中で一番弱いであろう、人間の彼が隊長?
「うおい! 折角人がかっこよくキメたっつーのに、お前らのせいで台無しじゃねーか!」
「今更かっこいいもないでしょうに。隊長はむしろヘタレキャラで行きましょうよ。"や、やるのか!?"とか"俺のメイド部隊が全滅だと!?"みたいな」
「ま、私達は隊長のモノじゃありませんがねー」
……なんだろう、これは。
まさか、私ともあろうものが来る場所を間違えたのだろうか?
「ちょっとアンタ達! アタイをバカにしてるの!?」
「おっと、毎度の事ながら悪いね。どうにも緊張感が無くって」
なーんて軽く現実逃避を始めていたら、氷精が癇癪を起こした。気持ちは判らないでもない。
そして、そんな彼女に苦笑交じりに向き直る彼は、本当に、普通の、人間だった。
「……へぇ」
――弾幕ごっこが、始まった。
――彼はひたすらメイド達に指示を出し、自身は決して弾幕は張らない。寧ろ張れないというべきだろうか?
――そして、一際目を引くのは、彼女達メイドのやる気のあるのか無いのか判らない態度だった。
「隊長! 残業手当として今日も夜雀の屋台で奢りヨロシク!」
「あ、じゃあ私は香霖堂で!」
「こっ、の極道メイド共が! 俺の財政状況を知らんわけでもあるまい! 赤字も赤字、まっかっかだぞ! つーかまだ通常勤務だ!」
「またまたぁ! そんなつれない事言っちゃって! でもお優しい○○は結局奢ってくれるんでしょ? だから、好、き、で、す、よ!」
――ちゅっ
そんな事を言いながら、あの最初のチャイナが弾幕をギリギリで避けながら彼に投げキッス。
余裕綽々にも程がある。……あ、氷が頭に当たった。きっと彼女はヘタレね。間違いない。
「あははっ! 美鈴、隊長誘惑してるとお嬢様に怒られちゃうわよ? “いい度胸だ。気に入った! 中国、地下室で妹をFU○Kしてきていいぞ!”とか言われて」
「うっわ、それはイヤ。絶対死ぬ(笑)」
中国……なるほど。言いえて妙ね。
てかメイドがFU○Kとか言うの止めなさいよ。イメージってもんがあるでしょうが、イメージってもんが。
「ば、ばかにすんなー!」
あ、氷精がキレた。
まあ、殆どシカトに近い扱いだったしね。怒りもするか。
――にやり。
「隙あり! ぽちっとな」
そこに彼が嫌な笑みを浮かべ、屋敷のブロックの一つを押す。
だが、その発動音声はボタンの場合だと私は声を大にして言いたい。隠れている手前言わないが。
――ガンッ!!
「ジェロニモッ!?」
超高速で氷精の頭に直撃したのは、かなり大きめの金ダライ。
……ていうかここ、屋外よね。今のどこから降ってきたのかしら?
視線を戻す。氷精はと言えば、あの一撃に見事にKOされていた。まあ、相当な速度だったし無理もないか。
「さーて、今日も完勝、大妖精さん呼ぶか……」
「ちょっと! アタイは……! まだ、負けてないわよ!」
「今日はお終い、また今度な。次はお前がすっごく強くなった時に相手してやるよ。主に美鈴とコイツらが」
「ちょ! 隊長! 次こそは自分だけでやってくださいよ! 門番の美鈴はともかく、私達は仕事があるんですからね!」
「無茶言うな! 俺が出来る事はメイド隊という名のファンネルの操作だけだ! それに仕事があるのは俺だって同じだっつーの!」
「またこの人はワケのわかんない事を!」
意味の無い会話を交わし、笑い合っている。
彼自身にはなんの力もないくせに、彼女達妖怪から慕われていることがよく判る。
……うん。面白い。少し興味が沸いた。
後で彼の部屋に遊びに行ってみよう。ついでに死なない程度に虐めに……。
――――。
「……寝ちゃってた、か」
起きるのと同時に伸びをし、目を擦る。
時刻は夕方になろうかという所だろうか。
例の吸血鬼とそのご一行さまは、数分間墓に話しかけたりした後、帰っていった。
で、その後つい日差しが気持ちよくって寝てしまったという所だろう。どうせ風邪なんか引かないので問題ないが。
「ちょっと、聞いてんの? アタイ、ちゃーんと覚えてたわよ? 最後に会った時、強くなったらまた来いって言ったでしょ?」
「……」
そして丁度そこに新たな声と気配。今度は……あの氷精、と大妖精とかいう奴?
そういや、夢の中でもそんな事言ってたわね。
結局あれから、彼は死ぬまで毎回同じ事言ってたみたいだけど。
「アタイ、すっごく強くなったんだから! この前なんて、閻魔にだって勝ったのよ! もう最強よね!」
「でね、死神と閻魔にアンタの事聞いたの。でも、二人とも、そんな人間は知らないって。あの世には来てないって……っ!」
「チルノちゃん……」
「っ……! 勝ち逃げ、なんて……、絶対許さないんだから……!」
「チルノちゃん! ……って行っちゃった。じゃあ、○○さん。また、来年も来ますね」
氷精は凄い速度で飛んでいってしまった。そしてすぐさまそれを追いかける大妖精。
それにしても今の言葉を聞くに毎年来てるとか? 律儀ねぇ。
近くに花畑がある関係で、此処には結構な頻度で来てるけど、今初めて知ったわ。
――胸に抱きし想いに気付けども、貴方は当に消えてしまい。
――ただ一つの逢瀬が叶いしその場所は、遥か遠き夢の中。
「……なんてね」
感傷に浸るなど私らしくないが、たまにはこういう日があってもいいだろう。
なにせ今日は、この私の友達の誕生日なのだから……。
――了。
「ちょっと、あんた達……ナマってんじゃないの……? ズタボロじゃない……」
「そういう美鈴だって……体力落ちたんじゃない……? とっくの昔に引退した私たちはともかく、アンタは現役でしょうが……」
「うるっさいわね……門番ってキツイのよ……。一日一食に減ったし……。しかも昔と違って今はサボるとナイフ飛んでくるし……」
「まったく……隊長が今のアンタ見たら、きっと泣いて指差して笑うわよ……?
“赤貧の俺から散々集った罰だ! ざまーみろばーか!”とか“俺のありがたみが判ったか!”とか大人気無い事言って……」
「あぁ……それ、凄くわかる……。ありがたみも……」
――(今度こそ本当に)了。
6スレ目>>199
───────────────────────────────────────────────────────────
たまには違う路線で…
○○「う…くそっ…」
レミリア「ほらどうした?さっきまでの勢いはどこに行ったのかしら?」
○○「くっ…うおおおおおおおおっ!」
懇親の力を込め剣を振るうが…それは届かない。
代わりに鋭利な刃物を思わせる爪が俺の首筋へ当てられる
○○「うぐっ…」
レミリア「はぁ…全然ダメね…やる気はあるのかしら?」
○○「ははは…はぁ…」
そう、今俺はレミリアお嬢様直々に武術の稽古をつけてもらっている。
わざわざ直々に教えてくれるその理由…まぁ、お嬢様の気まぐれってヤツだそうだ。
レミリア「まったく…貴方は見込みがあると思ったんだけどねぇ…」
○○「過大評価じゃないんですか?」
レミリア「私が言うのよ、間違いないわ。貴方の運命は私の護衛として活躍することなのよ」
○○「そりゃまた明るい未来ですね…」
レミリア「それも白黒や亡霊の姫なんて簡単に退けられるような…私が運命を見違えるなんて無いのに…」
○○「いやいや…俺は白黒や亡霊の姫なんて以ての外ですよ…湖の氷精にやっと勝てるかな?ってレベルなんですから…」
レミリア「…貴方は自分を過小評価しすぎてない?」
○○「ご冗談を…」
レミリア「…まぁいいわ。さ、再開しましょう」
○○「押忍!」
まぁ、最近はお嬢様に攻め込まれることは無くなってきた。
…未だに一撃も入れられないが…
しかし…一撃入れてしまったらメイド長の報復が…ガクブル
~回想~
咲夜「いい?もしお嬢様を傷つけたら…一万本じゃ済まないから」
○○「は、はぁ…」
~回想~
…やりずらいなぁ…
レミリア「ほらっ!何をボーっとしてるのかしら?」
○○「っと!すいません…」
レミリア「ほらほらほら!脇が甘いわよ!(連続斬撃)」
○○「ぬっ、くっ、はっ、うわっ!(剣を弾き飛ばされる)」
レミリア「…貴方ねぇ…全然進歩してないじゃないの…(爪を首筋に当て)」
○○「す、すみません…」
レミリア「…一回血を流してみたほうがいいかしら…(少し首を切る)」
○○「うっ…勘弁してくださいよ…」
レミリア「まぁ…冗談よ…ぺろっ(血が出ている部分を舐める)」
○○「ひあっ!お、お嬢様…お戯れは程々にお願いします…」
レミリア「…貴方の血は美味しいわね…」
○○「…きょ、恐縮です…」
レミリア「まだ晩餐の時間には早いけど…(迫る)」
○○「お、お嬢様…?ま、まさか…(後ずさり)」
レミリア「ふふふ…少し、飲ませてもらうわ…(○○の首に手を廻して)」
○○「マジすか…(滝汗)」
レミリア「大マジ♪かぷっ(首筋に噛み付き)」
○○「ッ!!」
レミリア「ごきゅっ、ごきゅっ、ちゅるるるるっ」
○○「はぁ…あぁ…うぅ…(意識朦朧)」
レミリア「ふぅ…なかなか美味しい血だったわ…○○?」
○○「きゅ~…(気絶)」
レミリア「…貧血かしら…」
==============================================================
うう…
か、体が重い…
特に首筋の辺りが…
でも…なんだかひんやりしてて…気持ちいい…
…ひんやり?
○○「(目を覚まし)…あれ?俺はいったい…なんでベッドで寝てるんだ?」
レミリア「むぅーっ…○○五月蝿いわよ。寝てるんだから静かに…zzz」
○○「あらら…申し訳ございませんお嬢様…って、ん?何でお嬢様がここで寝てるんだ?ってかここって…お嬢様の寝室じゃあ…」
レミリア「zzz」
○○「状況把握しよう…ここはお嬢様の寝室、お嬢様はベッドで寝ている。で、何故か俺も同じベッドで寝ている…これの意味することは…」
レミリア「うーん…」
○○「…俺とお嬢様が…添い寝したってことに…(赤面)」
レミリア「…さっきから五月蝿いわね…貴方も一緒に寝なさい(布団に引きずり込む)」
○○「えっ?ちょっ…お嬢様…(引きずり込まれ)あぅ~…」
咲夜「お嬢様、就寝されたのですか?…○○?」
○○「メ、メイド長?」
咲夜「お嬢様と一緒に寝るなんて…(ギリピキィ)何を考えてるかは知らないけど…白玉楼に行く準備は出来たかしら?(ナイフ構え)」
○○「い、いえ…いやちょっと…勘弁してくださいって!」
レミリア「○○は私が連れ込んだのよ。咲夜は口出ししないで頂戴」
咲夜「お、お嬢様?し、しかし…」
レミリア「いい?貴女は私の従者。逆らうことは…」
咲夜「・・・わかりました」
…命は助かったようだが…
レミリア「むー…(抱きつき)」
○○「理性のほうが飛びそうだな…」
レミリア「○○…温かい…ん~…(すりすり)」
○○「…この状態で寝ろって方が難しい…お嬢様ぁ…勘弁してくださいよぉ…」
レミリア「ん~…だめよ…○○…」
○○「はぅ~…」
結局○○はレミリアに抱きつかれた状態で昼間を過ごすことになった…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
これはひょっとして後書きなのか!?(ぇ
ども、"音速駄作製造機"の107です。
今回は…レミリアと添い寝できたらいいなぁ…という授業中の妄想(爆)からこの話が生まれました。
…だって世界史の授業は…正直つまらない…(ぇ
なんだか文章が変になってる部分もありますが、ご愛嬌だと思って「ははは、こやつめ!」見たいな感じで流してください(ぉぃ
…世界史のノートの裏表紙…
えー…I先生、授業中に妄想なんぞして本当にすみませんでした…
…ここまで…
>>449
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寒くて寒くて仕方が無いって昨日今日なのに、僕の部屋の窓をぶちやぶって
レミリアお嬢様が入ってきた。
でも吸血鬼が部屋に入ってくる作法は、どの映画を見てもそう言うものだったな
と記憶しているので、北風がめちゃくちゃ寒く吹き込んで来ても、僕は怒らない。
そして、逆らっても無駄なのでぼーっとしていると、案の定血を吸われた。
でも彼女は小食なので、全部吸われない事が解っているから、僕は余裕だ。
小さくて柔らかいクチビルと、首筋にピリッと奔る痛み、そして愛らしい
鼻からこぼれる短い吐息、その全てを逆に愉しんでしまうくらいだ。
事実、お乳を飲む赤子のように、一生懸命に血を吸うレミリア様はとても
愛らしいのである。
しばらくして、献血注射一本分くらいの血を吸ってしまうと、案の定彼女は
満足して顔を上げてしまった。
「なかなか美味しい血だったわ、お持ち帰り決定ね」
身に余る光栄です。
僕は、この迷信深い日本にB型として生まれた事を始めて感謝した。
「では、ご用意させて頂きます」
メイドさんが突然現れて、そう言った。
紅魔館への引越しの準備でも手伝ってくれるのかな?
彼女は手に、大きなポリ製のタンクとナイフを持っていた。
3スレ目 >>111
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「レミリア! 俺と結婚してくれ!」
「・・・そう。ならば吸血鬼の『花嫁』にしてやろう」
「本当か?! よっしゃ・・・え、花y(ぢぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」
「不味いわ。咲夜、どこかに捨ててきて」
3スレ目 >>154
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レミリアお嬢様に献血のため部屋に行く。
「あら、やっと来たわね。でも、最近ずっと首筋からしかもらっていないから、少し飽きてきたのよ。
たまには趣向を変えて、ほかの場所からもらってみるのもいいわね。どこがいいかしら。言ってみなさい?」
1・手首
2・耳たぶ
3・指
4・唇
4を選んだ場合
「……いいわよ。言うようになったわね。でも、私とあなたじゃ背の高さが違いすぎね。
……私を抱き上げなさい。あなたの唇から、奪ってあげる」
3スレ目 >>463
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「レミリア、好きだ」
「100年早い」
「そうか・・・残念だな。俺は100年は生きてられない・・・」
「ならば私の眷属になればいい。・・・100年間、待っていてやろう」
3スレ目 >>596
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「あれ? お嬢様、お出かけですか? お酒持ってどちらに?」
「ちょっとそこまで、ね。サボるんじゃないわよ、美鈴」
「判ってますよ。ナイフは嫌ですから」
――キュポン。
「久しぶり。数年ぶり、かしら? 最近来てあげられなくてご免なさいね。アレ、なかなか手に入らなくって」
「……」
「怒ってるの? 心配しなくても貴方の事は忘れやしないわ」
「……」
「でも、貴方も悪いのよ? 貴方があんな無茶な注文してくれるから」
――ダバダバ。
「そ、アレ。貴方、コレが大好きだったでしょ?」
「……」
「そうそう。一度無理矢理私に飲ませようとして大変なことになったわよね。あの時のパチュの青い顔ったらなかったわ」
「……」
――ダバダバ。
「この前言ってた人間? ああ、咲夜の事? ええ。とっても出来た従者よ。あの子にもいつか貴方のことを紹介してあげるわね」
「……」
「ふふっ、そうね。あの子、きっと吃驚するわ」
――ちょろちょろ。
「最近あった面白いこと? そうね……フランに友達が出来たわ。それも人間の魔法使いの」
「……」
「白黒の変な奴よ。図書館から色々くすねてるってパチェがぼやいてたわ」
「……」
――ぴちゃん。
「……さて、と。咲夜が心配するといけないから帰るわね。丁度お酒も切れちゃったし。次が何時になるかは判らないけど」
「……」
「じゃ、またね。――私が大好きだった人」
――俺の事はあの酒が手に入った時にでも、思い出してくれればいいから。
――馬鹿ね。忘れないわ。ずっと、これからも。
3スレ目 >>728
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「突然だけど」
「なんだ」
「私はあなたが好きよ」
「そうかい」
「何よその反応、もう少し喜んでよ」
「……悪いが」
「俺は突然夜中に家に押し入って眠い俺を外に叩き出した挙句、
不夜城レッドで俺の大切な新築ログハウスを破壊するほどのデストロイヤーな吸血鬼から好きと言われて喜べるほど頭は春じゃない」
「つまりは?」
「嫌いってことだ」
「そう。で、今日はどうやって生きるつもり?」
「お前が破壊したんだろ……」
「そうね、責任は取るわ」
「……お前の口からそんな言葉が出るとは意外だよ」
「失礼ね」
「ああ、失礼だ」
「まあ、兎も角。うちは広いから住んでも別にいいわよ」
「無論そのつもりだ、俺が新しい家を建てるまでな」
「決まりね」
「ところで」
「なに?」
「あのぐらいのでっかい洋館なんだから空き部屋の一つぐらいあるよな?」
「無いわよ」
「……じゃあ俺は何処で寝ろと?」
「私の部屋」
「……断る」
「じゃあフランのところで寝泊りする?」
「すみませんでした貴方様の部屋で寝泊りさせて頂きます」
「あ、そうそう。さっきの話だけど」
「なんだ」
「あなたが今嫌いでも、きっと好きにしてみせるから」
「……俺としてはあんまりレミリアと関わりたくは無いんだが」
「ふふふ、そのうちその言葉も言えなくしてあげるわよ」
「それはそれで物騒だな」
一蹴されるのが有りならするのも有りなのかなって思って書いてみた。
3スレ目 >>898
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レミリアへ
ぼく以外の血を吸わないで
4スレ目 >>23
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「……俺は何しようとしてたんだ?」
ドアノブに手をかけたところで俺はふと思った。
っていうかそれ以前の記憶が無い。
……記憶喪失か? だとしたら大惨事だ。
行くとしたら妹様のところか永遠亭だな。
「……あー、そうだ。外に行こうとしたんだっけ」
しかし、少し考えてすぐに思いつく。
いやはやド忘れなんてことは俺には無いと思っていたが……世の中は広い。
ついでに言っておくが、今は夜でここは紅魔館の内側だ。
この時間帯はレミリアが起きているのでメイドたちも大変らしい。
まぁそんなことは俺には関係ない。
で、なんで外に出ようとしたんだっけ。
……お、思いだせん。
「まぁ、少ししたら思い出すだろう」
と楽天的に考えてドアを開けようと押すが―――
「あ、開かないっ!?」
開かなかった。
力いっぱい押してもナチュラルな人間である俺に扉をぶち破るほどの力は無い。
「ま、まさか閉じ込められた!?」
やばい、食料とかためてないぞ? 水は? 暖は? えーと他には……
「そのドアは引くて開けるのよ?」
狼狽している俺の後ろから呆れた声がしたので慌てて振り向くと、そこにはまぁちっさい吸血鬼が立っていた。
小さすぎて俺の今までの焦りが嘘の様に消えたほどぐらい。
「悪かったわね、ちいさくて。というか、教えてあげたんだから感謝しなさい」
勿論発狂している妹のほうではなくて、傍若無人のレミリアのほうだ。
「あはははは、そうだっけ。このドア押すんじゃなくて引くんだったんだなぁ」
とうとうボケが始まったか。
畜生、まだ若いのに……。
とりあえず気を取り直して、本来を目的を達成させるために引いてみようとするが―――
「うお! 開かないっ!?」
これまたどんだけ力を入れて引いてもびくともしません先生っ!
もしや鍵が必要とか!? それかレミリアが嘘ついたかなのかっ!?
お、落ち着け。もちつけ。そういえば餅食べてないなー。
……って、違う違う。落ち着くんだ。
とりあえず辺りを見まわしてみよう、もしかしたらヒントがあるかも試練。
左よーし。
右よーs…………元凶発見。
そしてその極悪な元凶ちゃんはドアが開かない様にドアによりかかってこちらを見ていた。
「なにやってんだお主は……」
「あなたの邪魔」
「……何故?」
レミリアの理不尽は初めてではないがやっぱり訊きたくなる。
っていうか理不尽なまますごすごと帰ってたまるか。
「妖怪を舐めちゃ駄目よ。あなたなんてすぐ食べられるわね」
成る程、俺の身を心配してくれるのか。
初めて俺に気を使ってくれた気がする。
「食べられたらあなたの血が飲めなくなるもの」
前言撤回。
やっぱりコイツは自分勝手な我侭お嬢様だ。
しかし、どうせ無理やり行こうとしてもレミリアと俺の力の差なんて火を見るより明らかだ。
この状況は普通に変えるのが得策。
「はいはい解りましたよ」
外に出る理由も忘れちまったしな。
俺は踵を返して自分の部屋に戻ろうとした。
「待ちなさい」
が、やっぱりこうなるとは思っていたがレミリアに呼びとめられた。
勿論振り向かないのは礼儀的に咲夜さんに殺されるので、仕方が無く振り向いて問う。
「なんで?」
「私が外に出たいから付き合いなさい」
「一人で行け」
「一人じゃつまらないわ」
「じゃあメイド長と一緒に出りゃ良いだろう」
「咲夜は今忙しいらしいわ」
「じゃあ――」
「五月蝿い黙れさっさと行くわよ」
他の案を出そうとしたら凄い剣幕で止められた。
そして俺に反撃の隙を与えずに外に出てしまった。
……我侭だなぁ。
散歩なんだけどレミリアと一緒に外に行くのが主流なのか? 正直困るだろ。
俺はそのまま帰ってやろうかとドアに手をかけかけて―――
「行くわよ!!」
本気で怒鳴られた。
ってな事でレミリアに無理やりに散歩に参加させられた。
ちなみに湖を越えるときは(強制的に)レミリアに運ばせてもらった
どんな運び方だったかは教えられない。死んでも教えねぇ。
とりあえず現在は現在は森の中を歩いている。
なんでかって言うと、空を飛べない俺に配慮してかもしれない。
まぁ、飛べない奴置いて空飛ぶほど非情じゃなさそうだしな……。
森の中といえば妖怪がうじゃうじゃいると思うが、レミリアのお陰か妖怪は寄り付きさえしない。
それでも四方八方木ばっかりで俺としては薄気味悪い。
話をしようにも話題がなければ声も出ず、結局は無言で歩いている状況だ。
そしてなんとなく気まずい雰囲気があたりを支配する。
何が悲しくてこんな吸血鬼と薄気味悪い森の中を歩かなければいけないんだ……。
日ごろの行いが悪いせいか?
いやいや神様。俺は普通に悪い事なんてせずにゆったり生きていますよ。
天罰下すなら目の前の吸血鬼にしてくれ。一応悪魔なんだし。
歩いていて気付いたが、結構蒸し暑い事に気付く。
まぁ夏だしな、仕方がないか。
「○○」
「な、なんだっ?」
突然の呼びかけにビックリしてしまって5mmくらい浮遊してしまった。
その上若干上ずって返答してしまった。ああ、なんか笑いの種になりそう。
「今日は何日か知ってるかしら?」
「何日かだって?」
なんでこの吸血鬼はそんな事を聞くのだろう。
しかしながら俺もここに来てからというもの年月とかは忘れてしまったので解らないと素直に答えた。
「そう。いいわ、別に期待してなかったし」
何気ない一言が俺の心を傷つける。
幻想郷に来てから何回心を傷つけられただろう。結構荒んでいる気がする。
そんな事もお構いなしだから困る。
「毎年この時期になると見えるのよ」
「何が?」
「上を見てみなさい」
と、いわれたので仕方が無く上を見てみると―――
「木だな」
暗いから良く解らないけど日が出てきたら青々とした木と枝が見える事が大いに予想がつく。
「そうじゃなくて…………ああもう、ここからじゃ見えないわね」
そう言ったレミリアは俺の手首を掴んで一気にスピードを上げて前に進んだ。
前に言った通り、俺は普通の人間だ。
そんな普通の人間が吸血鬼のスピードに絶えられるわけが無く、つまりは―――
「痛い痛いもげ、もげるからレミリアさん聞こえているけど無視してどんどん速度上げてるでしょてめぇこら止まれぇぇぇぇぇぇ!!!」
俺の腕が千切れそうになったとさ。
「はい、着いたわよ。上見て」
着いた場所はなだらかな斜面の草原が広がる一種の丘だった。
なんでレミリアはこんなところを知っていたのだろうか。
それよりもこの腕の痛みはなんとかならないのかな。
「し、死ぬ、千切れる。……てめぇ、絶対殺す……」
俺がブツブツと呪詛を呟きながらレミリアの支持通り上を見ると―――
「……うぉ」
それまでの怒りやらなんやらが吹っ飛ぶぐらい綺麗な―――
「凄いでしょ?」
俺の元いた場所では想像できないほど綺麗な星空と天の川だった。
「……ああ」
久しぶりに天の川。
これを見てぎゃーぎゃー騒いでたのが前の俺なんだよな今の俺は家に引きこもってるから困る。
少し俺の心が洗われた景色だった。
「まぁあなたの事だからこの時期でさえ空が見えないところで寝ていたんでしょうけどね」
そして洗われた部分をさらっと傷つけるのがここの吸血鬼だ。
「成る程、レミリアが散歩しようとした理由がわかった」
「……っていうか、私が運んでいるときには見なかったのかしら?」
「怖くて下ばっかり見てましたが何か? 上見たら負けかなぁなんて思ってた」
「そうね、多分あなたが上を見たら思いっきり下に投げてたわ」
そんなことで人間版スカーレットシュートしないでくださいな。
血が吸えなくなるから外に出るなっていったのは誰だよ。
「で、俺を強制的に外に連れ出したのはこれが理由か?」
「咲夜には結構見せたからね。どうせあなた見てないと思ってたし」
「失敬な、ガキの頃は見たぞ」
「ってことは最近は見てないって事でしょ」
なんて他愛な話を座って空を見つづけながら言い合う。
こんな雰囲気が続いたら良いなーって思っている俺がいた。
適当に喋って、嫌だけどまたあの運び方で紅魔館に戻って、また明日って感じで。
「○○」
けれど、ゆったりムードの雰囲気もそう長くは続かなかった。
原因は別にパララッチな天狗でもナイフが怖いメイド長でも俺の歌を聞けーな夜雀でもなんでも無い。
すぐ近くにいる吸血鬼だ。
突如視界が吹っ飛んだと思うとドスッという鈍い音と共に背中と頭に痛みが走り、目の前に写る景色が突如変わった。
その景色とは、レミリアの顔だった。当然目線が合ってしまう。
肩にはレミリアの手がかなりの力で乗っているため、俺は置きあがれずに逃げ場が無くなってしまった。
良く見ると普段青白い顔が若干紅いような気がする。
「前から思っていたんだけどね……」
そう言ってレミリアは一旦言葉を噤んだ。
その一瞬で俺の心臓の鼓動がかなり早くなった。
なんで俺が緊張せねばいかんのだ。
「私はあなたに前から興味を持っていたの。食料以外でね」
「……興味?」
思わず聞き返してしまう。
ああ、なんか言いたい事が解ってしまうと顔が赤くなるな。
視線を逸らしたいけど逸らしたら何言われるかわからないからそのまま固定。
「それで、何故かと色々と考えをめぐらしていたら答えについたのよ」
俺の質問を無視するのは故意ではなくて気に出来ないほど緊張しているからだとは思う。
思いたい。思いつめたい。小一時間思いつめたい。
「○○。私はあなたが好きみたい」
言いやがった、この吸血鬼。
心臓がかなり早いスピードで脈を打っているのが解る。
慣れてない事はどうしても駄目だね。
「あなたは私の事をどう思っているのかしら?」
うおぃ、返答聞かれちゃったよ!
なんて答えれば良いんだ? いや、自分に正直になればいいんじゃないのか?
正直に答えるとなると……
『……我侭で傍若無人、とりあえずはかかわり合いたくない相手』
ってなるじゃないか! し、死亡グラフ確定!?
却下! でも嘘ついても見破られる気がしないでもない……。
「ちなみに恋心としてだから。解ってるわね!?」
どうやら考えている事を読まれしまったらしく若干怒り気味で言われた。
はて、恋心?
そう言えばそんなの生死の境を毎回いったりきたりの毎日じゃそんなこと考えられんわ。
さて今は安全なので考えてみよう。
気付いたら傍にいるのは誰だ? ふとした時に思い出すのは誰だ?
……決まってるじゃないか。半強制的だがな。
「恋心かどうかはわからないが……、気付いたらレミリアと一緒にいて気付いたらレミリアのことを考えている事が多い。
多分、お前の事を意識しているとは思う」
「なんか微妙な言い方ね……。まぁ、あなたが何時も憎まれ口を叩いているのもわかるけどね」
そいつは驚きだった。また別の意味で心臓の鼓動が早まる。
ついでに冷や汗も。
「だって言うじゃない? 嫌よ嫌よも好きのうちってね」
いや、そうなのか? 俺にそれは適用されるのか?
ファンだ。違う、不安だ。
「でもね、そんな曖昧な言い方じゃ駄目」
結局却下されちゃったみたいですわ奥さん。
はいはい解りましたよ。薄々は俺も気付いていたし、曖昧な答え方でなんとかなるかなって思ったけど駄目みたいですね。
「レミリアが好き……みたいだ」
最後の言葉は俺の精一杯の抵抗。
でないと心臓が破裂してあたり一帯がスカーレットな状況になってしまう。
「また曖昧だけど大体解るから許してあげるわ」
……ひょっとして、俺に好きと言わせるまで何回も訂正させる気だったのか?
そういえばこんな大胆なレミリアは初めて見るな。気付くのが遅すぎるか?
「……そういえば。なんで七夕を選んで、しかも俺をここまで連れていってまでしようとしたんだ?」
「ここなら多分見つからないと思うし、織姫と彦星が一年に一回会える時期、妖怪と人間の境界も越えられるかもって思ったのよ」
おうおう、ロマンチストだな吸血鬼よ。
まぁ関係無いけど粋な計らいだ。
「じゃあ誓いの……」
なんか色々吹っ飛んでいる気がするんですけど先生ー。
いきなり誓いのうぎぎなんて早すぎる。
ちょ、今ここで? ってか逃げられんっ! 別に嫌じゃないけど助けてっ!
「吸血を」
……まぁそうだろうと思ってたさ。
なんか泣ける。
仕方が無い、せめてもの抵抗でもしてやろうか。どうせ無理だろうとは思うけどさ。
「ちょっと待て、今やる気か? 帰ってるときに血が無くなったらどうするんだお前はー!? うわ、無視かっ! 非情だっ!」
なんて抵抗も空しくレミリアは首筋に顔を近づけたその時―――
「あははははははっ!!! だ、駄目死ぬわっ! これはっ!!」
凄まじく場違いな笑い声がした。
気付いたら俺はレミリアの部屋で机に突っ伏していたわけだが、そこに居たのは―――
「だ、駄目ですよお嬢様。○○が起きてしまいますわ」
けっこう顔が引きつっている咲夜さんと―――
「いいえ、もう手遅れの様ね。……プッ」
最後のほうでたまらず噴出してしまったパチュリーと―――
「もう、ちょ、っと、見れるかと、お、もったん、ですけ、どね」
笑いを堪えているのかで途切れがおかしくなっている小悪魔と―――
「あははははは! あははははははは!」
無茶苦茶に笑い転げているレミリアが居た。
……はい?
状況が掴めませんが、俺は先程吸血されそうになったはずじゃないのか?
キョトンとしていると引きつったままのパチュリーが答えを教えてくれた。
「こ、紅茶を飲んだのは、覚えているかしら?」
「紅茶?」
えーっと、紅茶なんて飲んだかなぁ……。
過去を振り返ろう、どうせ浅い時間だろう。
紅茶……確かに飲んだな。その後……の記憶が無いんだが。
「アレは睡眠薬入りの紅茶よ。私特性の」
思いっきり引きつっている顔のままパチュリーがまたもや教えてくれた。
ってぇことは?
「あなたはずっと夢を見ていたわけ。それを私の水晶球でウォッチしていたの。勿論内面描写もろもろね」
「あははははは!」
成る程、どうりでレミリアがいつもより変だと思った。
っておい、内面描写って事はだ、俺が夢の中で見ていたことやらなんやらが全部? 包み隠さず? ここの面々に見られたわけで?
ああなるほど、だーから皆笑っているわけかぁ。
成る程成る程。
どうやら解ってきた俺を見て更に全員それぞれに横を向いて口を抑えたり、余計引きつったり、余計に笑い転げたりしていた。
くあっ! 首吊りてぇっ!
「首吊ってくる!!」
有限実行とはこのことだね。俺ってば素晴らしい。
なんて焦りながら自分を褒め称える。
「まぁまぁ落ち着いて」
「これが落ち着いてられるかっ! 今から俺はここにいる全員を根絶やしにするか幻想郷から出たりしない限り俺の安眠は無い!」
自殺が駄目なら外に漏らさなければ良い。
そう考えた俺は、そこらへんに偶然あった新鮮な長ネギを二本持って謎のフィンランド語の歌を口ずさみつつ身構えた。
「レミィが無意味にこんな事をすると思う?」
「思う!!」
「……レミィ、彼からの信頼無いわね」
「あははははは! だって、からかうのが、面白すぎて、あははははは!」
「オーケー、今から閻魔のところまでぶっ飛ぶがいい」
「落ち着きなさい。今の状況でもあなたがレミィと戦って勝てる見込みは無いわよ?」
「…………う」
そりゃそうか、吸血鬼と人間だしねぇ。
しかし長ネギは下ろさずに構える。その気になれば誰か一人くらいは……無理だけど、とりあえず下ろさない。
「レミィは私に聞いてきたのよ。効率良くあなたの気持ちを知れないかって」
「……仮にその話が本当だとしても、レミリアが俺の気持ちを知ろうとする理由が思い当たらないが」
「……呆れた」
引きつった顔のまま言われても困る。
ちなみにレミリアは未だに笑いつづけている。
時折俺の内面描写の一部をブツブツと言った後また笑ったレミリアを見ると、やっぱりコイツは極悪だなと解る。
「ついでに私はこう答えたわ。他人の気持ちを知るならばまず最初に自分の気持ちを言うべきだってね。
でもね、レミィはそれを聞いたときに自分からは言えないって言ったわけ。で……」
「この作戦が採用されたわけか」
「そう」
なんか卑怯な気がする。自分で言えってのに……。
「拒否されるときにレミィはどう対応すればいいかとか解らなかったんじゃないかしら?」
さらっというあたりさすが友人だ。
レミリアが居るにもかかわらず言ってのけるところ、笑いで状況判断ができなくなったのだろうか。
と、今更ながらある事を思いつく。
「ってことは、レミリアが夢で言った事は?」
「若干捏造はしたけど大体は本当よ」
うへぁ! そいつは知らなかった。
いや、知らなくて当然か。今言われたし。
そういえばここはレミリアの部屋だな、うん。
なんで呼び出されたんだっけか。たしか、重大な話があるっていってたっけ。
……なんとなく、未来がわかった気がする。
ここで俺がやることは一つ、逃げねば。
「く、国に帰らせていただきます!!」
そう言ってダッシュはしないにしろ早歩きでドアへと向かう。
そしてドアノブを捻って思いっきり押したが―――
「あ、開かないっ!?」
夢の続きかっ!? 押しても引いても開かないってどう言う事ですか先生っ!!
もしや思って振り向くと、レミリア以外の三人が居ないじゃないか。
……閉じ込められた?
部屋には俺とレミリアだけが取り残された。
レミリアがもう笑っていないせいか俺が喋ってないせいかはたまた両方か、部屋が物凄い静寂に包まれていた。
「○○」
と、レミリアが突然話しかけてきた。
少々ビックリしたので声が上ずってしまわない様黙る。
「私はあなたのことが……好きよ。あなた、は?」
真っ赤になって答えるレミリアがそれほど近くない距離からでも解る。
元が青白いからそのぶん変かがわかりやすいって事だな。
で、質問の答えだが。もう言ったはずだ。
まぁ言わなければいけないんだろう、しょうがないから言ってやろうじゃないか。
「俺は……レミリアが好き、みたいだ」
夢と似たような答えにレミリアは少し笑って夢と同じ答え方をした。
「また曖昧だけど大体解るから許してあげるわ」
どうせなら俺も乗ってやることにする。
「……そういえば。なんで七夕を選んで、しかも俺をここまでやってまで確かめようとしたんだ?」
「織姫と彦星が一年に一回会える時期、妖怪と人間の境界も越えられるかもって思ったのよ」
本当なのだろうか、まぁ捏造込みって言ってたし。嘘かも。
「じゃあ誓いの……」
と言った瞬間ベッドに投げ飛ばされてしまった。
……ちょいまち、この状況ってことはこうなるわけで?
「吸血を……」
「うおい! ここまで再現する気なのかっ!? それともなにか、俺が見たのは予知夢だったのか!?」
「ふふふ、どうかしらね」
「話せば解るっ!」
「嫌よ嫌よも好きのうち、でしょ?」
「それはお前が言った事だろ! お、鬼! 悪魔!」
「私は吸血『鬼』で悪魔よ」
「じゃあ豆は弱点だなっ!」
と、まぁよくわからんことをグダグダ言っている間に月明かりや天の川やらに照らされて出来た二人の影は変わった形で重なり合いましたとさ。
ちなみに、俺の夢については他言したら撲滅とレミリアと俺で決めた。
……いやはや世の中はどうなるかわかりませんねぇ。
彦星と織姫みたいな関係にはなりたくないけど、こちらもどうだか。
「なんか言った?」
いや、なんにも。
なんでお前なんかを好きになったのかなーなんてこれっぽっちも思ってないよ。
「……ふうん。どうやら現実でもう一度、今度は全員の前でやる必要があるようね……」
おうち、つい調子に乗って本音を言ってしまった!
レミリアストーップ! 話せば解る! だからアレは勘弁! 絶対止めて! 頼むから!
お姫様抱っこは死んでもやめてくれっ!!
Hoppy End?
避難所 >>50(うpろだ0027)
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窓から一条の光が差し込む薄暗い部屋
彼女はその光に腕を差し出し その深紅の瞳で俺の眼を射抜いていた。
「吸いなさい。それだけで貴方は永遠の命を得ることが出来る」
「私と共に歩んでいく命を得ることが出来る」
「でも、それは何よりも深い闇の道を歩むと言うこと」
「死よりも辛い時間という流れを歩むと言うこと」
「それでも、私を愛していると言うのなら」
「私を求めると言うのなら」
「今ここにその覚悟を示しなさい!」
「人を捨て、光を捨て、私を手に入れて見なさい!」
何と言うか・・・
私の願望?というか、こんな事をレミリアに言われてみたいな~とか
思っていたら出来上がってしまった妄想文です。
もう一つ、弱いレミリアVerを考えているんですが
投稿しようかどうか迷っています。
4スレ目 >>652
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「まぁ……お前が運命を操るとかいう以前に、俺はお前が好きだったって
ことなんだろうな」→レミリア
4スレ目 >>696
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いつのまにか、自分は家の窓から満月が映える空を見上げていた。
どうも、自分は寝ぼけているようだ。頭がすっきりしないし、今まで何をしていたのか思い出せない。
ただ、気付いたら満月をずっと眺めていた。
まぁ、これも暑さと暇な所為だろう。そう思って、その晩は結局そのまま床についた。
しかし、翌日になっても、この不思議というより、困った記憶の感覚はひきずったままだった。
昨日の事がさっぱり思い出せない。いや、それだけではない。昨日より前の日の出来事も所々忘れているようだ。
どこか出かけた事は覚えていても、どこに向かったのか、何をしたのか、誰と会ったのかが抜け落ちている。
深く考え込みながら過ごしているうちに、今日も夜が来た。窓から見上げた月は少し欠けていた。
ふと、視線を周辺の木々へと移すと、そこに見慣れない人の影があった。よくは見えなかったが、
月明かりによって見えた姿は、大きなリボンのついた帽子を被り、髪は長く青みがかった銀髪の少女だった。
その直後、自分は幻想のようなものを見た。一人の男と、さきの少女のような人が話をしている。
けれど、その二人の表情はよく分からなかったが、どこか悲しそうであった。そして、少女は目元に光を残して去っていった。
同時に幻想はゆっくり、うっすらと消えていった。現実に戻った自分の目の前に、あの少女は居なかった。
あの夢のような、幻は何だったのだろう。ただ、この光景は知っているような気がした。そして、胸が押しつぶされそうな感覚を受けた。
思わず顔を俯かせる。すると、自分の手のひらに涙がこぼれ落ちた。そして、一言口にした。
「君は・・・誰?」
4スレ目 >>844
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「なあ慧音。明日辺りじゃなかったっけ? ほら、彼」
「ん? ……あぁ、そうか。もうそんなに経つのか。早いものだな」
――んじゃ、よろしくお願いします。
――なんでそこまでする必要がある?
――恥ずかしいんですよ、俺が。
「――扉?」
見回りと掃除を兼ねた仕事中、私は此処に来てから一度も見た事のない扉を発見した。
完全で瀟洒なメイド長である私が把握していない部屋など無い筈なのだが……。
随分放置されてきたのか、相当にボロい。なんとなく気になり、おもむろに扉を開ける。
――ガチャリ。
さび付いている筈の扉は、いとも簡単に開いた。
そして、中に入り、何があるのか確かめようとしたのだが、
「……え?」
――その瞬間、世界が、空気が、変わった。
たった今まで日が出ていたのにこの部屋は夜。月が部屋を照らし出す。
知らない部屋、知らない匂い、知らない感覚。
知らないけれど、私はこの感覚を識っている。
ここは紅魔館であって紅魔館じゃない。
時間を操作できる私だから判る。ここだけ時の流れから取り残されたかのような感覚。
本来色を持たない筈の大気はセピア色に染まり、私は外界から断絶される。
ここはさながら壊れて止まった時計の中。紅魔館の中にありながら、紅魔館からその存在を忘れ去られた場所。
警戒する私の前には、知らない男性。
……誰かしら。この部屋の住人?
――誰が見てるかは知りませんが、お久しぶりです。もしくは初めまして?
その場合はさっさと回れ右してください。面白いもんでもないんで。
その言葉で即座に理解する。
この部屋と彼は私と同じ時間軸に存在していない、という事を。
――そこにレミリアは……いないよな? もしいたら今すぐ出てけ。
つーか今更お前に話す事は無い。お前に話すべき事は全部昨日話した。
――コホン。見苦しい所をお見せしました。えー、知ってる人は殆どいないでしょうが、なんでも俺はあと1~2日の命だそうです。この映像撮ってる時から。
つまり、名も知らぬアナタがコレを見てる時には、俺はとっくにお陀仏してます。
――出来れば、皆に直接会って言えればれば良かったんですが、諸々の事情と時間の都合によりそれは無理なんで、この映像を此処の住人への遺言? みたいな形で残します。
――ちなみに、あんまり早く出しても俺が恥ずかしいんで、俺が死んだ後、とある人に50年ほどこの部屋を隠してもらう予定です。
とりあえず ここに住んでる魔女とか妖怪の皆なら、50年くらい大したことない時間だろうし。あ、死人が恥ずかしがるなとか言わないで下さい。男心は複雑なのです。
――でももし、コレを見てるのが俺のことを知らない人だったり、紅魔館の住人じゃなかったら……もう一度いいます。今すぐこの部屋から回れ右して、この部屋に入ってからの一切の記憶を消去してください。
その際、紅魔館の住人にはこの部屋の存在については何も言わないで下さい。もう一度いいますが、男心は複雑なのです。
――いいですか? ……んじゃ、始めますね。
少しの間を置いて、彼は訥々と語り始めた。
――結果を言えば、ほんの少しの好奇心を持って聞いていたソレを、私は心から後悔する事になるのだが。
――まず死因ですが、寿命です。この前の満月の日、妹様がちょーっと興奮しすぎちゃって、大変な事になりましたね?
その時、ちょいとピンチに陥ってたレミリアを庇ったら下半身と右腕を吹っ飛ばされました(笑)。
死ぬほど痛かったです。死にましたが(笑)。やっぱ人間慣れない荒事はするもんじゃないですね。レミリアは無事だったんでよかったですが。
どうやら当時の彼はその場で死んだらしい。じゃあ彼は今、幽霊なのかしら?
それにしても妹様の前に立つとか、命知らずにも程があるわね。むしろアホだわ。
でも、彼は「後二日の命」と言った。矛盾してるわね。
――すぐさまパチュリーさんが回復に当たったしたらしいのですが、当然間に合わず、俺は9割9分死んだそうです。
ソレを聞いたとき、俺は妹様の圧倒的な破壊の力の中にほんの少しの優しさを感じました(笑)。
なるほど、蘇生したのね。妹様の直撃を食らって蘇生する、ってだけでも人間にしては随分頑丈みたいだけど……。
――殆ど死んでた俺は詳しい事は知りませんが、それでも色々頑張ってくれたみたいで、俺は今ここにいます。
が、これから先の命の殆どを使っての蘇生だったんで、その分の寿命を持っていかれた。と言う顛末です。
流石人間。妖怪とは寿命も身体の作りも違います(笑)。
まあ、そんなものよね。所詮人間だし。
――さて、本題ですが、俺が紅魔館で過ごした日々は、二十台の半分にも満たない俺の人生でしたが、その中で一番楽しく、充実した時間でした。
――そんなわけで、俺がここでお世話になった方々に、一言ずつ言っていきたいと思います。
――まず美鈴。いつもお仕事お疲れ様。カレーパンを渡した時、君に泣いて喜ばれたのは俺と君だけの秘密です(笑)。
――次、パチュリーさん。偶には外に出ましょう。この前帽子に茸が生えてましたよ。
――小悪魔こと、こぁ。悪戯は程ほどに。立派なレディーになる事をお兄さんは祈ってます。
――メイド隊の皆さん。あんまり長い間じゃなかったけど、俺みたいな若輩者に付いてきてくれてありがとう。
――最後に、妹様。……なにとぞレミリアと仲良くしてやってください。ああ見えて意外と寂しがりやなんで。
――皆さん、俺は今、本当に幸せです。本当にありがとうございました。……そして、さよならです。
……なーんて言うと、ちょっとカッコイイ感じがしませんか? ……それじゃ、本当に、さようなら。
どうやらこれでお終いらしい。大して面白いものでもなかったわね。本人も言ってたけど。
しかし、お嬢様を呼び捨てにしたり、何様なのかしらね。ここにいたら即ハリネズミにする所だわ。今度冥界にでも行こうかしら。
……それにしても映像、終わんないわね。
目線を外して、やれやれと溜息をつく彼の姿。まだ映写機が動いてるのに気付いてないのかしら?
――はあぃ○○。
――幽香か。空気読んで待っててくれたのはありがたいけど、とりあえず窓から入ってくんな。……って、このやりとりも、もう最後か。
これって……あの花の妖怪?
なんで彼女が紅魔館に侵入してるのかしら。それも普通に窓から。いや、窓からは普通じゃないけど。
――で、どうした? 風の噂でも聞いたのか? それとも天狗か?
――そんな所よ。……でもほんと残念。貴方と遊ぶのは楽しかったんだけど。……この際吸血鬼にでもなったら?
とりあえず死なないわよ。日光とかは駄目になるだろうけど。
――吸血鬼、ね。
――嫌なの? やっぱり人間として死にたいとか?
――いやさ、今の遺言には入れてないけど、実は俺ってとっくに吸血鬼らしいよ?
蘇生の時、人間の命じゃ全然足りなくて、レミリアが俺を眷族にしたらしい。それでもこの有様さ。げに恐ろしきは妹様の破壊の力。ってね。
なにがおかしいのか、からからと笑う。
それにしても、お嬢様が眷属に? 彼、よっぽどのお気に入りだったのかしら。
あら? でも、もしそうなら……?
――……眷属になったんなら、主が死ななきゃ大丈夫なんじゃないの?
――そうなんだけど、俺の場合肉体じゃなくて、魂が死ぬんだってさ。パチュリーさんが言ってた。
――…………。
「…………」
私の疑問と同様の質問をする彼女に、彼はとんでもない事を言ってのけた。
魂の死。それは消滅。何も無い。行き着く先は本当の闇。
冥界に行く事も無く、閻魔に裁かれる事も無い。
それは、とてもとても恐ろしい事。勿論その事も彼女も知っているのだろう。
彼は……怖くなかったのだろうか?
――ふうっ。……あーあ、死にたくねえなー。
――っ!
「――っ!」
私の思考を読んだかのような一言に、思わず息を呑んでしまう。そんな事、ある筈が無いのに。
不意に、天井を見上げ、苦笑しながら、諦め気味にそう呟いた名も知らぬ彼。
飾り気も何も無い、思った事をそのまま口に出したのであろうその言葉は、これ以上無い諦観に溢れていた。
本当に、死にたくはないけれど。もう、彼は知っていたのだ。もう自分がどうにもならない事を。
――あー、なんつーか、悪い。誰かがいると、どうも弱音を聞いてほしくなる。
――…………っ。
――どした? ……なんだおい。お前泣いてんのか? 自称最強の妖怪がたかが人間一人のために泣いてんのか?
――当たり前、でしょ……。たった一人の……大切な、……友達、……なんだから。
――……そっか。さんきゅ。ま、皆と仲良くしろよ。無理っぽそうだけどな。
――ぶつっ。
そこで映像は途切れた。
私の目の前にはボロボロの部屋。
映像の部屋の面影は、ほんの一欠片も無い。
心に一つだけ抱き、私はその部屋を後にした……。
――――。
「お嬢様」
「何? 珍しく険しい顔して」
時間は巡り、今は夜。
私が部屋に付く頃には既にお嬢様は起きていた。
「お聞きしたい事があります」
「珍しい事もあるものね。……まあいいわ。今日は特別な日だし、なんでも答えてあげる」
「今日、とある部屋を見つけました」
「へえ?」
クツクツと面白そうに笑う。
お嬢様の事だ。大方私が何を言いたいのかも知っているのだろう。
ならばこれ以上無駄な前振りも必要ない。
「率直に聞きます。一体彼は何者なのですか?」
お嬢様が笑うのを止める。
その澄んだ瞳に移る感情は、私には読み取れない。
「……以前の執事長よ」
「執事長?」
予想外だった。
てっきり客かなにかと思っていたのだが……。
「そして、私が唯一大切にしたい、と心から思った人間でもある」
「……!?」
「ふふっ。やっぱり驚いたわね……。ほら」
私の驚きっぷりが予想通りだったのか、嬉しそうに何かの紙を投げて寄こすお嬢様。
音も無く私の目の前に落ちたそれを拾う。
「……」
それは、一枚の写真だった。
場所は……紅魔館のどこかだろう。
中心には満面の笑みを浮かべる例の彼と、赤い顔で膨れっ面をした、ウェディングドレスを着たお嬢様。お姫様だっこで抱きかかえられている。
横には手作りの粗末なブーケを持った、今とは違う幼い小悪魔と思わしき誰か。
その反対には美鈴と、彼女の頭の上に乗った妹様と、相変わらず本を読んでいるパチュリー様。
そして周囲には私の知らないメイド隊。
……考えるまでも無い。昔の紅魔館の集合写真だ。
「……これは?」
「昔、小悪魔にせがまれてやった結婚式ごっこよ。まま事みたいなものだったけど、楽しかったわ。彼も、私も、皆も」
「……」
「……あの数年間は幸せだったわ。本当に」
そう月を見ながら微笑むお嬢様の手には、何時の間にかワインボトルと二つのグラス。
「咲夜。少し飲むわ。付き合いなさい」
「……かしこまりました」
私はそれ以上何も聞く事は無かった。聞きたい事はとうに聞いてしまったのだから。
因みに、そのワイン、普段私やお譲様が飲むモノと比べるととてもではないがいいものではなかった。
お嬢様曰く、今の幻想郷では滅多に手に入らない貴重品で、彼が事のほか好んだのだと言う……。
───────────────────────────────────────────────────────────
――50年だ。それ以上は待てない。
――それで十分。あ、お前は偶に来てくれてもいいぞ? ただしあの酒が手に入った時だけな。
あの数日後、私は突然お嬢様に呼び出された。
「咲夜。出るわよ」
「……今日はどちらへ?」
「内緒、よ」
疑問を投げかける私にそう妖しく笑う。
その笑みが激しく気になるが、まあお嬢様の気紛れは今に始まった事でもないので何も言わない。
主の意向にそぐわないメイドなど、完全で瀟洒な従者の名が泣くというものだ。
とりあえず今日は晴れ。日傘を用意しなくては。
「……遅い」
「まあまあ」
門に差し掛かった私達を待っていたのは二つの影。
いつもは図書館に篭りっきりのパチュリー様と小悪魔だった。小悪魔はともかく、珍しい事もあるものだ。
そして何時の間にか、門の周りには知らない妖怪達が十数匹。……いや、私はその顔ぶれを知っている?
「小悪魔、フランは?」
「妹様は……どうしても行けないと」
「……そう」
残念そうに深い溜息をつくお嬢様。
今日出かける所には妹様も関係があるのだろうか?
「じゃ、美鈴。行ってくるわ。後よろしく」
「行ってらっしゃいませ」
珍しくお嬢様が門番に声をかける。私の知る限り、これが初めてじゃないだろうか?
その時の門番は、いつものヘタレている彼女と違う、これもやはり私が初めて見る、真面目な表情をしていた。
そして何時の間にか、あんなにいた妖怪達はいなくなっていた。
――――。
四人は行ってしまった。
私も一緒に行きたくはなかったと言えば嘘になる。
だけど、私には私の仕事がある。そう易々とここを動くわけにはいかない。
「よしよし。行ったな……」
「……」
やっぱり来た。白黒だ。
大方皆が出て行くのを見計らっていたのだろう。
私も随分と舐められたものだ。……いつもの事だし、仕方ないと言えば仕方ないが。
「よう中国。今日も通してもらうぜ」
「……他の日ならいざ知らず、今日は、今日だけは、何があってもここを通すワケにはいかないんですよねー。咲夜さんも行っちゃいましたし」
「はっ! 冗談。こんなチャンスを逃すほど私は人が良くないんでね。そっちの都合なんか知ったこっちゃない」
勿論そんな事は判っている。そんな事で引き返してくれるなら苦労はしない。
そして、彼女を打ち倒す事がそう簡単でない事も。
しかし、今日、お嬢様は私に後の全てを任せた。
ならば、私は持てる全力を超えてでも、お嬢様の信頼に応えなくてはならない――!
「それくらい、こっちも承知の上。だから……」
――スッ。
「んなっ!?」
私が腕を上げるのと同時に、音も無く魔理沙を囲む私の昔の同僚達。
皆、最後に会った時から何も変わっていない。
今日この日、誰一人欠ける事無く集まってきた事を、私は心から喜ばしく思う。
――彼は、弱かった。今の紅魔館を束ねる咲夜さんや目の前の白黒、紅白と比べると、彼女達が同じ人間なのか、と疑わしい程に。
――だから、彼は自身を中心に私達の力を連携によって最大限に発揮し、生かす術を実践した。
――結果は上々。あの妹様を相手にしてもお嬢様とパチュリー様が到着するまでの数分は持ちこたえられる、という驚異的なものだった。
――そしてその日から、妹様相手に死者は出なくなった。
――仕事仲間が誰一人欠ける事の無くなった、という事実に、彼は心から喜んだ。私達も、また同様に。
――幾度となく繰り返した戦いの果てに手に入れたもの。それは、仲間という名の掛け替えの無い力であり、信頼という絆だった。
「いつも通り頭数揃えて、私に勝てると思ってるのか?」
「いつも通りの、面子なら、無理、でしょうね……」
(こいつ、泣いてる……?)
懐かしく、心地いい空気。
思わず溢れた涙に視界が滲む。
そしてそれに呼応するかのごとく、退屈な日常に色褪せた筈の私の魂が、本来の色を取り戻す。
本来その中心にあるべき彼はもういないけれど。決してあの時には戻れないけど。
彼からもらった仲間への信頼を胸に。力を拳に、弾幕に。私は、皆は、ただ込める。
楽しかった思い出の日々の体現に囲まれて、私はあの時の私に還っていく。
今日の敗北は絶対に許されないのだ。そう。大事な人々の信頼と、私自身の誇りにかけて。
皆と目を合わせる。覚悟と準備は万端。さあ、始めよう。
「……私は紅魔館が門番、紅美鈴!」
「あーあー、派手に口上なんか垂れちゃって」
「美鈴、慣れない事はするもんじゃないわよー」
……茶化された。にも係わらず、それが心地いいと感じる自分がいる。
彼女達とは、彼を喪って以来会っていないのだから。
もし、彼女達が残っていたら……いや、詮無きことか。
「んじゃ、久々にお仕事と行きますか?」
「狼藉者を追い返す、素敵で野蛮なお仕事をねっ――!」
――――。
紅魔館から飛ぶ事十数分。
到着したのは小高い丘。そこにあるのは粗末な石が只一つ。
そしてその前には……。
「向日葵?」
「……アイツも来てた? いや、来てるのか」
墓前に咲いた一輪の向日葵を見、感情を込めずに呟くお嬢様。
探ってみれば周囲には一つの気配。あの花の妖怪だ。
彼女ほどの猛者、とうに私達に気付いているだろうに、その場から動こうともしない。
「お嬢様。どうします?」
「どうもしないわ。彼女は彼の一番の友人なんだから。彼女は私の知らない彼を知っている。ふふっ……少し妬けるわね」
――当たり前、でしょ……。たった一人の……大切な、……友達、……なんだから。
――……そっか。さんきゅ。ま、皆と仲良くしろよ。無理っぽそうだけどな。
「……」
私はここにきてようやく合点がいった。
この前の彼だ。私が生まれるずっと前に私のポジションにいたという、お嬢様の恋人。
ということは、ここは彼の――。
「やっと気付いたわね、咲夜」
「レミィ。この子、彼の事知ってるの?」
「ええ。最近まで消失してた彼の部屋を見つけたのが咲夜よ」
「……そう。なら話は早いわね。今日は彼がこの世に生を受けた日であり」
「ここは50年前の今日、彼が私を置いて消えて逝った場所」
謳うように言葉を紡ぎながら、お嬢様はあのワインを石にかける。
私の横からは小悪魔の嗚咽。
あーあ、可愛い顔が涙でグチョグチョじゃない。
――捧げしワインには去りし彼への慕情を。
――かける言葉には万感の思いを。
「……誕生日、おめでとう」
───────────────────────────────────────────────────────────
――夢を見ている。
――懐かしくて、楽しくて、そして……切ない夢。
さて、今日は此処ね。
湖の畔にある館、人呼んで「紅魔館」。
当主が吸血鬼だかなんだか知らないが、とりあえず気に入らないので虐めに来たのだ。
(誰だか知らないけど門番はザルね。裏からだと余裕じゃない。まあ私なら表でも余裕だけど)
とかそんなどうでもいい事を考えていたら、裏玄関から誰かの声が聞こえてきた。
「……! ……!」
なにやら怒鳴っている。
甲高い声が耳にうるさい事この上ない。
(先客かしら?)
慌てて木の上に身を潜める。
って、何で私が隠れる必要があるのよ。今更出て行くつもりも無いけど。
覗く先に映るのは、一匹の氷精と、一人の人間。
「今日こそアタイはアンタ達に勝ってみせるわ!」
「お嬢様は只今お休みの時間ですが」
「だーかーらー! アンタ達だって言ってるでしょ!?」
そう言えば今は昼。確かに吸血鬼の時間ではない。
そんな事を忘れるとは、私も遂にヤキが回ったのだろうか?
「何がなんでも戦うと?」
「勿論! 今日こそギャフンと言わせてやるわ!」
「どうしても?」
「どうしても!」
ヘラヘラと張り付いた愛想笑いを浮かべる男。
……そのすました顔、気に入らないわね。瞳に感情が無い分、余計に。
「では、ご要望にお応えして、僭越ながら私達がお相手仕ります……皆! 仕事の時間だ!」
――パチン。
音高く指を鳴らす。それと同時に、何処からともなく十数の影が彼の周囲に現れる。
……少しは出来るみたいね。勿論私には遠く及ばないけど。
そして気が付けば、その内の一人、赤い、そして長い髪をしたチャイナメイド(?)が氷精を睨んでいる。
他のとは明らかに違うあの服を見るに、彼女がリーダーなのかしら。で、皆の代表として何か言う、と?
それにしても彼女、胸……大きいわね。
――その時の私は、どんな青臭い罵声(例えば、この屋敷とお嬢様は私達が護る、とかそんなの)を浴びせるのかと楽しみにしていたのだが、
そのメイド(後に彼女が門番だと知る)の口から出てきた言葉は、そんな私の予想の遥か斜め上を行くものだった。
――ぷっ。
「あは、あはははははは! ねえちょっと聞いた? “皆! 仕事の時間だ!”だって! しかも指パッチン! お、お腹いたい!! 死ぬ、これはいろんな意味で死ぬ!!」
「聞いた聞いた! そ、それにしても、隊長の言葉遣い違和感ありすぎ! 聞いてて鳥肌が立っちゃった!」
場は一瞬で爆笑に包まれた。緊張感も何も無い。
きっと今の私は、実に形容しがたい表情をしている事だろう。
しかし、隊長? 彼が? この中で一番弱いであろう、人間の彼が隊長?
「うおい! 折角人がかっこよくキメたっつーのに、お前らのせいで台無しじゃねーか!」
「今更かっこいいもないでしょうに。隊長はむしろヘタレキャラで行きましょうよ。"や、やるのか!?"とか"俺のメイド部隊が全滅だと!?"みたいな」
「ま、私達は隊長のモノじゃありませんがねー」
……なんだろう、これは。
まさか、私ともあろうものが来る場所を間違えたのだろうか?
「ちょっとアンタ達! アタイをバカにしてるの!?」
「おっと、毎度の事ながら悪いね。どうにも緊張感が無くって」
なーんて軽く現実逃避を始めていたら、氷精が癇癪を起こした。気持ちは判らないでもない。
そして、そんな彼女に苦笑交じりに向き直る彼は、本当に、普通の、人間だった。
「……へぇ」
――弾幕ごっこが、始まった。
――彼はひたすらメイド達に指示を出し、自身は決して弾幕は張らない。寧ろ張れないというべきだろうか?
――そして、一際目を引くのは、彼女達メイドのやる気のあるのか無いのか判らない態度だった。
「隊長! 残業手当として今日も夜雀の屋台で奢りヨロシク!」
「あ、じゃあ私は香霖堂で!」
「こっ、の極道メイド共が! 俺の財政状況を知らんわけでもあるまい! 赤字も赤字、まっかっかだぞ! つーかまだ通常勤務だ!」
「またまたぁ! そんなつれない事言っちゃって! でもお優しい○○は結局奢ってくれるんでしょ? だから、好、き、で、す、よ!」
――ちゅっ
そんな事を言いながら、あの最初のチャイナが弾幕をギリギリで避けながら彼に投げキッス。
余裕綽々にも程がある。……あ、氷が頭に当たった。きっと彼女はヘタレね。間違いない。
「あははっ! 美鈴、隊長誘惑してるとお嬢様に怒られちゃうわよ? “いい度胸だ。気に入った! 中国、地下室で妹をFU○Kしてきていいぞ!”とか言われて」
「うっわ、それはイヤ。絶対死ぬ(笑)」
中国……なるほど。言いえて妙ね。
てかメイドがFU○Kとか言うの止めなさいよ。イメージってもんがあるでしょうが、イメージってもんが。
「ば、ばかにすんなー!」
あ、氷精がキレた。
まあ、殆どシカトに近い扱いだったしね。怒りもするか。
――にやり。
「隙あり! ぽちっとな」
そこに彼が嫌な笑みを浮かべ、屋敷のブロックの一つを押す。
だが、その発動音声はボタンの場合だと私は声を大にして言いたい。隠れている手前言わないが。
――ガンッ!!
「ジェロニモッ!?」
超高速で氷精の頭に直撃したのは、かなり大きめの金ダライ。
……ていうかここ、屋外よね。今のどこから降ってきたのかしら?
視線を戻す。氷精はと言えば、あの一撃に見事にKOされていた。まあ、相当な速度だったし無理もないか。
「さーて、今日も完勝、大妖精さん呼ぶか……」
「ちょっと! アタイは……! まだ、負けてないわよ!」
「今日はお終い、また今度な。次はお前がすっごく強くなった時に相手してやるよ。主に美鈴とコイツらが」
「ちょ! 隊長! 次こそは自分だけでやってくださいよ! 門番の美鈴はともかく、私達は仕事があるんですからね!」
「無茶言うな! 俺が出来る事はメイド隊という名のファンネルの操作だけだ! それに仕事があるのは俺だって同じだっつーの!」
「またこの人はワケのわかんない事を!」
意味の無い会話を交わし、笑い合っている。
彼自身にはなんの力もないくせに、彼女達妖怪から慕われていることがよく判る。
……うん。面白い。少し興味が沸いた。
後で彼の部屋に遊びに行ってみよう。ついでに死なない程度に虐めに……。
――――。
「……寝ちゃってた、か」
起きるのと同時に伸びをし、目を擦る。
時刻は夕方になろうかという所だろうか。
例の吸血鬼とそのご一行さまは、数分間墓に話しかけたりした後、帰っていった。
で、その後つい日差しが気持ちよくって寝てしまったという所だろう。どうせ風邪なんか引かないので問題ないが。
「ちょっと、聞いてんの? アタイ、ちゃーんと覚えてたわよ? 最後に会った時、強くなったらまた来いって言ったでしょ?」
「……」
そして丁度そこに新たな声と気配。今度は……あの氷精、と大妖精とかいう奴?
そういや、夢の中でもそんな事言ってたわね。
結局あれから、彼は死ぬまで毎回同じ事言ってたみたいだけど。
「アタイ、すっごく強くなったんだから! この前なんて、閻魔にだって勝ったのよ! もう最強よね!」
「でね、死神と閻魔にアンタの事聞いたの。でも、二人とも、そんな人間は知らないって。あの世には来てないって……っ!」
「チルノちゃん……」
「っ……! 勝ち逃げ、なんて……、絶対許さないんだから……!」
「チルノちゃん! ……って行っちゃった。じゃあ、○○さん。また、来年も来ますね」
氷精は凄い速度で飛んでいってしまった。そしてすぐさまそれを追いかける大妖精。
それにしても今の言葉を聞くに毎年来てるとか? 律儀ねぇ。
近くに花畑がある関係で、此処には結構な頻度で来てるけど、今初めて知ったわ。
――胸に抱きし想いに気付けども、貴方は当に消えてしまい。
――ただ一つの逢瀬が叶いしその場所は、遥か遠き夢の中。
「……なんてね」
感傷に浸るなど私らしくないが、たまにはこういう日があってもいいだろう。
なにせ今日は、この私の友達の誕生日なのだから……。
――了。
「ちょっと、あんた達……ナマってんじゃないの……? ズタボロじゃない……」
「そういう美鈴だって……体力落ちたんじゃない……? とっくの昔に引退した私たちはともかく、アンタは現役でしょうが……」
「うるっさいわね……門番ってキツイのよ……。一日一食に減ったし……。しかも昔と違って今はサボるとナイフ飛んでくるし……」
「まったく……隊長が今のアンタ見たら、きっと泣いて指差して笑うわよ……?
“赤貧の俺から散々集った罰だ! ざまーみろばーか!”とか“俺のありがたみが判ったか!”とか大人気無い事言って……」
「あぁ……それ、凄くわかる……。ありがたみも……」
――(今度こそ本当に)了。
6スレ目>>199
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