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プロポスレ@Wiki

紫1

最終更新:

orz1414

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「紫さん、俺はあなたと一緒になれるならば食われてもいい!」

1スレ目 >>2

───────────────────────────────────────────────────────────

ゆかりんへ
「俺の心の隙間を操れるのは君しかいない!」

1スレ目 >>52

───────────────────────────────────────────────────────────

―壱―

空に輝く星を、手にしたいと願った者は一体どれだけいたのだろうか?
俺も幼心に、夜空に手を伸ばした事はなんどもあった。
その度に届かなくて、背伸びをしたらころっと転んで…
そして少し大きくなって、こう思うようになった。

―星は掴めない。そして…掴めないから、あんなにまで美しい。

…と。

その時から、考えを変えたつもりはない。それが真実だと思っている。


けれど。

それでも掴みとりたいと願う星が見つかってしまったら…


俺は、どうすればいいんだろう?


―弐―

「ふぁー…お早う」
「お早う御座います。っていっても、もう夜中ですけどね」
 かちゃかちゃと食卓の用意をしながら、居間へ入ってきた紫さんを出迎える。
 これが、マヨヒガに流れ着いた俺の最近の仕事だ。

 特にこれという事もなく生きてきた俺が、何故こんなところに居るのか。
 バイトの友人に連れられて、どこぞの山中で迷子になったのがそもそもの原因だった。
 さんざっぱら歩き回った挙句、何の因果かここマヨヒガにたどり着いてしまった。
 発見された当初は飛んで火にいる油揚げ状態だったのだが、俺には見に染み付いた調理技能があったおかげで命拾いした。
 技能的には高いものではないのだが、ともかく作れる範囲が多岐に渡ったのが幸いした。
 基本的に藍さんが作るのは和食と若干の洋食だ。大して俺は和洋中華、ドイツにタンザニアにインドごちゃ混ぜ何でも来いである。
 かくして家長?である紫さんになんとか認められ、紫さん直属の飯炊きになることで食材行きは免れたのである。
 …とはいっても、朝昼問わず起きてなきゃいけないのはなかなかに厳しいけれど。

「今日は何をお作りすればいいでしょーか?」
「そうねぇ…するっと食べられる麺類がいいわ」
「了解しましたっと…」
 言いながらエプロンを身につけ、三角巾を被り料理を始める。今日はベトナムのフォーを作ることにした。
 紫さんは手持ち無沙汰なのか、ぼんやりと卓袱台に肘を突いて、コッチを見ている。
「…紫さん、緊張してしまうんで出来たら見ないで欲しいんですけど」
「あらあら。それは失礼しました…」
 ちっとも失礼していない声で笑う。その妖しくも美しい笑顔に、またも俺の心は悲鳴を上げる。


―そんな顔を、見せないで下さい。


「急かさなくてもすぐ出来ますから」
「別に急かしてなんかいないわ」
 軽く会話をキャッチボールしながらも、手元はせわしなく動く。鶏肉を煮て、野菜を切って麺を茹でて…
 程なくしてフォーは完成した。あつあつのまま、紫さんの前に置く。
「はい、どうぞ」
「いただきます」
 きちんと手を合わせてから箸を取り、食べ始める。
 普段の寝てばかりの姿からだと少し想像しづらいが…紫さんは凄く行儀正しくご飯を食べる。
 箸の使い方から器の持ち方、食べる時の姿勢までもが完璧で、その姿は正しく貴族の令嬢もかくやといった感じだ。


―そんなに美しいから、また見つめてしまう。


「あら?私の顔に、何かついてるかしら?」
 横顔を見ていた俺に、紫さんが問いかける。
「いえ、味の方はどうかなと思いまして。作ったものの感想は気になりますよ」
 さらっと嘘をつく。これも自分に染み付いた技能だった。正直なところ、いい気分ではないけれど…
 俺の言葉に、紫さんはひっそりと笑いながら答えてくれた。
「聞くまでもないことよ?美味しいわ。いつも通りに…ね」
「そうですか…よかった」
 少しだけ高鳴る胸の動機を押さえながら、俺は笑顔を作った。
 …多分、上手く笑えていると思う。



「ご馳走様でした」
 手を合わせて深々と頭を下げる紫さん。本当に、普段の態度からは信じられない動作である。
「はい、お粗末さまでした」
 食べ終わった器を洗い場へ持って行き、水を張った桶にするんと滑り込ませる。
 水道があればごしゃごしゃと洗っておきたかったけれど、それもないから洗い物は明日まとめてやる事にしよう。
「あー、暖まったわねぇ。美味しかったし」
 食後の冷たいお茶を飲みながら、紫さんが嬉しそうに言う。
 その言葉だけで、ものすごく喜んでしまう自分がなんだかバカっぽく思えた。

「さて、あなたはこれからどうするのかしら?」
「そうですね…もし他にご用事がなければ、一眠りしようかと思っていました」
 紫さんは起きる時間が不特定だ。ならば、可能な限り取れるときに睡眠はとっておかなければならない。
 事実、最近は真昼だろうと明け方だろうと眠れてしまうのだ。俺も紫さんっぽくなったのかもしれないなぁ…
「そう…少し腹ごなしに歩くから、付き合いなさいな」
「…はい、分かりました。けれど、外は生憎と雨なので、傘を用意します。少し待っててください」
 そういって、自室に転がってるであろう蝙蝠傘を取りに、席を立った。


* * *

「…まぁ、雨の中を歩くの一興…かしらね」



―参―

 さくさくと、砂を踏みしめ歩く足音が二つ。雨音に包まれている。
 咲いている花は、ピンク色の傘と真っ黒な傘だけだった。
「いいお湿りねぇ…恵みの雨、といった所かしら?」
 傘から手を伸ばして、空から零れてくる雫を受け止める紫さん。
「そうかもしれませんが…あの紅い吸血鬼さまには、憂鬱な対象かと」
「あらあら、貴方も随分と言うものね?」
「そうですね…まあ、この場には二人だけ。聞き流して頂ければ嬉しいですよ」
「それもそうね。流石に疲れるのは嫌だから、特別に聞き流してあげるわ」
 くすくすと、笑う紫さん。俺も釣られて、少し笑う。

「そう、その笑いよ」

 突然変わる声音。まるで一瞬で存在までが変わったかのようだった。
「…紫さん?」
「それが貴方の本当の笑い。時折浮かべるモノではない、本物の笑顔」
 紫さんの表情は、真剣そのものであった。一切口の挟めない、研ぎ澄まされた刃のようだ。
「紫さん…何を」
「貴方の笑顔が本物でないのは…私のせいかしら?」
「…!!!」
 その言葉に、顔が歪むのを抑えることが出来なかった。


―ああ、その通りなんです。
 確かに、俺がこんなに苦しいのも、悲しいのも、全ては貴女が…


「好きだから、かしら?」

「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 …今度こそ、心臓が止まった。そう感じるほどの、衝撃だった。
 心を読んだのか。そう思ったが、頭を振る。
 紫さんの能力に読心能力はないはずだ、だったら…
「…なん、で?」
「私は境界を操る妖怪。ならば…境界が見えて当然よ」
 境界。何かと何かのハザマを意味するもの。
 言われてようやく気がついた。そうか、心を読んだのではなく…
「あなたの境界をすべて見たのよ。心の境界、意識の境界…想いの、境界もね」
「…そう、ですか……」


―ならば。この胸の想いはとっくの昔に知られていたのか。


「あ、はは…ははははは…」
 自分がどれだけ滑稽な演技をしていたか、思い出すと笑いが零れた。
 傘が手から滑り落ちた。体が雨に打たれるが、それがどうしたというのか。
 途方もない無力感に襲われていた。立ち続ける気力も失せて、地面にへたり込む。
「…一つ、貴方に確かめておきたい事があるのだけれど」
「……………なんでしょうか?」
 虚ろな声で、答えた。力のない…まるで今の俺の心のままの声で。
「どうして貴方は…その想いを否定しようとするの?」
 本当に、心から疑問に思っている声で、問いかけられた。


―そんなの、わかりきっていることなのに。


 俺は顔を上げ、雨の振りくる空に手を伸ばした。
「いくら…」
「…?」
「いくら手を伸ばしたとしても、人間の手では…空の星を掴む事なんて、出来ないんです」
 空は雲に覆われて、その上に輝く星は見えなかったけれど。
 俺は確かに、そらに輝く星へむかって手を伸ばしていた。
 そして知っていた。この手が、決して星を掴む事などないと。
「俺にとって…貴女は、遠すぎるんです…空の星と、比べられないほどに」
 そう。彼女は永い時を存在し、あらゆる妖怪が怖れる力を持つ。幻想郷のジョーカー。絶対的存在。
 対する俺は、どこにでもいる普通の人間。妖怪に食べられる程度の、ただそれだけの存在。


「俺にとっては、貴女を想うだけでも過ぎた事だったんです…!」


 それだけいうのが、精一杯だった。伸ばした手は空しく地面に落ちる。
 もう、顔を上げることも出来なかった。

 静かに、雨は降り続いている―


―四―

「………どうして」
 二人の間に満ちた静寂を破ったのは、紫さんの言葉だった。
「…ゆかり、さん?」
 きっと、こちらをみつめ…いや、睨みつける紫さん。
 その顔に浮かぶのは、俺でも見たことがない…本当に怒った表情だった。
「どうして、そんなに簡単に諦めるの!?そんな簡単に諦められる程度にしか、私は価値がないの!?」
「そんな…ことはっ…!!」
「だったら!!だったらもっと素直になりなさい!思いも伝えずに、諦めるんじゃないッ!!」
 感情のままに、言葉を叩きつける紫さん。その瞳には、輝く何かが浮かんでいる。
「紫さん…泣いて…」
「泣いてないっ!!私は…私は怒ってるのよ!!貴方のその諦めのよさにっ!!!!!!」
 急に大声を出したためか、紫さんはぜいぜいと息を切らす。
 …その言葉の全てが、俺の胸をえぐった。


―そうだ。最初から無理だ、無駄だと決め付けていなかったか?
 本当に何一つ言う事もなく…終わるつもりだったのか?


「…それと」
 切れた息が整ったのか、穏やかな声で紫さんが呟く。
 ぱたんと、傘を閉じる音がした。…傘の閉じる、音?
 気になって顔を上げて…心底吃驚した。


 空の雨雲が、綺麗さっぱりと消えてしまっていた。


 先ほどまで降っていた雨が、まるで嘘のようだった。
 夜空には、俺が言っていた…決して掴めない星がいくつも輝いている。
「貴方はさっき言ったわね。私は星のように遠くて、とても掴めないと」
「………はい。確かに…言いました」
「そう、それなら…見せてあげるわ」
 そういって、紫さんは大きく両手を広げた。まるで、空を抱きしめようとするかのように。






「貴方が遠いというのなら、私が貴方の元へ行ってあげる」






 ぎしりと、空間が軋んだ。ずしりと、重圧が増えていく。
 だが、俺はそんなものは気にならなかった。気になっているのは、ただ一つ。
 夜空の星が増えていっているのだ。さらに、一つ一つの星たちの輝きが、どんどんと強くなっているのが分かる。
 …俺は唐突に、理性ではなく直感で何が起こっているのかを、理解した



―夜が、降りてきている。



「さあ、あと少しで星にも手が届くようになるわ」
 一欠けらの冗談も含まない、完全に本気の声。
 …それが、彼女の強い思いを表していた。
「わかりました!わかりましたから、もういいですから!!」
 だが、流石にとめなければならなかった。星が落ちてきたら、マヨヒガが消し飛んでしまう。
「何故とめるの?念願の星を掴む事が出来るのに」
「分かったからです…俺がどれだけバカだったのかを」
 答える俺の声も、少しずつ力が戻っていくのが分かった。
 紫さんもようやく納得してくれたのか、広げていた両手を戻す。
 空の星達も、全てもとの通りに戻っていった。
「そう…わかればいいのよ」
「わかったついでに…一つ、貴女に伝えたい事があるんです」
「…何かしら?」
 ほんの少しだけ、顔を染めながら…それでも笑顔で、俺を見つめる紫さん。


―そうだ。彼女はここまでの心を見せてくれた。
 ならば…今度は俺の番だ。


「紫さん…貴女を愛しています。どうか…俺と共に、いて下さい」
 …紫さんは、静かにスカートの端を持って、まるで令嬢のように頭を下げた。
「八雲紫。貴方のそのお言葉、謹んでお受けしますわ」
 とてとてと、俺の元へ歩み寄り…俺の腰に手を回し、ぎゅっと抱きついてくる紫さん。
 …本来ならば、俺が抱きしめるべきなんだろうなと、何となく思った。
 けど、今の俺はこれがきっと一番らしいんだろうな…
「…紫」
 けれど、せめてコレ位はイニシアチブを取ろう。
「はい…なにかしら?」
「眼を閉じて欲しい」
「…こう?」
 言われたとおりに瞳を閉じる紫。…既に何をしようとしているのか、分かっているんだろう。
 それでも、言うとおりにしてくれる彼女を、本当に愛しいと思った。


 だから、その愛しいひとと、そっと唇を合わせた。
 これからずっと、貴女を愛し続けるという、誓いをこめて。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

規制って何時とかれるのかなぁ…(トオイメ)
親切な方、出来たらプロポーズスレに報告していただけると嬉しいかと…そこまではいいカ。

とりあえず今回は難産だけど書いてて楽しかった。
無茶苦茶ゆかりん、大好きです。

1スレ目 >>304

───────────────────────────────────────────────────────────

「今夜は満月。貴方それでも行くの?」
「行くさ、待ってなくていい。新しい男でも探せ、お別れだ」
「……」

自分の持つスペカを全て持ち、部屋を出た。ベットを共にした彼女の哀しげな顔を無視して…
向かう先は紅魔館。吸血鬼が住む館。
逢いたかった。自分を死の淵まで追いやったあの妖に…。そして、見たかった、月明かりに反射して見えなかった顔を…
復讐ではない。寧ろ恋慕の情だ。『恐怖』の体現の様なあの女にもう一度…
あの日、森の中で半死の状態で助けられた時、周りは相手は紅魔館の主だろうと言っていた。

そして今、紅魔館の門番を叩きのめし門前に立つ。随分強引だが時間が無い、彼女かもしれない女性の力は満月の時が一番強いからだ。
ドアを開けると一人のメイドがいる。彼女も使い手なのが一目で解ったが彼女は無表情で主人の元へ案内すると言って歩き出した。

案内された部屋に入ると、誰もいない部屋からとてつもない妖気と共に声が聞こえた。
「ようこそ紅魔館へ、今夜は満月だ…間違えとはいえ容赦なく殺すよ…」
(違う、コイツじゃない)
声も妖気も違う、姿を表すが彼女には似つかない。だが、もう遅かった。

勝負はすぐについた。てんで話にならない。逃げる事など此処に来た時から諦めている。スペカももう無い。後は殺されるだけ。
もう指一本動かせない。俺に出来る事は、彼女が持つ赤い槍に貫かれる事だけ
「退屈しのぎにはなったよ」
吸血鬼から最後の一言と共に槍が放たれる…
「惚れた女を捨て、虎の尾を踏みに行き、餌になる…救い様の無い馬鹿だ、俺は…」

「本当、馬鹿ね…」
突然の声と共に自分を貫くはずの槍が目の前で消える。
忘れるはずもないあの声、この妖気、薄れ行く意識の中で顔を上げるとそこには夜中にも関わらず日傘を差した女性の後ろ姿
「…やっと逢えた…こっちを向いて聞いてくれ…あの夜から俺はお前の事が…」
彼女はゆっくりとこちら向き、自分に顔を見せてくれたはず…しかし、悲しい事に自分の意識はそこまで持たなかった…

そして暗闇の中に聞こえる声
「この人間、貰っていくわよ」
「勝手にしたらいい、生きてたら言っておけ、人違いにもほどがあるとな」
「藍、治療するわ、運びます」
「紫様、お戯れもほどほどにしてください、その人間の血で洋服が汚れているではありませんか」
「いいのよ…」
その言葉を最後に自分の意識は完全に途切れた。


「…ここは?」
目が覚めると見慣れた天井…体中が痛い…部屋?生きている?
なんとか首を動かすと、あの時別れたはず彼女が赤い目で見ている。
「どういう事だ?」
彼女の話を聞くと、あの日の朝方、治療された俺がドアの前に倒れていたらしい。
「とにかく生きて帰ってこれたのよ」
そう言うと彼女は泣きながら自分にキスをする。俺は生きてる事と愛されている事の幸福を実感する。
そしてその後、大変な事に気が付き、久しぶりに大笑いするのだ。



そう、二人の部屋にあの日傘がある事に…

1スレ目 >>955

───────────────────────────────────────────────────────────

 ピリピリした空気が肌に痛い。
 じんじんとしびれる足が痛い。
 ザックリと刺さる視線が痛い。

 目の前には九尾を持った式神狐。
 俺は畳の上に直に正座をして、その姿を正面から見つめていた。
 隣には金髪と、特徴のある帽子を被った女性の姿。人間のように見えるがそうで
はない。彼女は大妖怪、名を八雲紫。目の前の式神の主人であるが、何故だか俺と
同じく正座をしていた。ただ一つ違うのは、直座りではなく結構品質の良さそうな
座布団を敷いていること。ちなみに用意をしたのは目の前の式神、八雲藍である。
チクショウ差別だ。
「……お話は判りました」
 藍が重苦しい声でそう言った。そりゃーもう重苦しく。その重苦しさといったら
例えて言えば俺の身体すら押しつぶさんばかりの重圧だ。トンの位までいっている
に違いない。 ……やべ、あんまり例えじゃねえ。今現在の俺の状況じゃねえか。
「ら、藍? 何を怒っているのかしら?」
 っで、隣にいる大妖怪さまで藍の主人であるはずの紫はなんでだかうろたえてい
た。今まで見たところ、藍に対しては強気というか尊大というか、それが普通みた
いに振舞っていたはずなのだが。実は弱みでも握られているのだろうか。具体的に
は晩御飯とか。
「これは異なことを。紫様には私が怒っているように見えるのでしょうか?」
 一見にこやかに答える藍。あまり良く知らない奴ならば、これをただの笑顔と見
るだろう。しかしそれは間違いだ。藍は怒りがある一定水準に達すると笑顔になる。
その笑顔は、爽やかすぎて逆に不気味なのである。この爽やかさは、何だかとって
も重苦しいわけで。
「……見えるな」
 俺は心を決めた。ああもう決めたともさ!
 大体だ、そんなのはこんな状況に陥る原因になったときにだって考えただろう。
そう、あのときに、なにが障害になったって貫き通すと誓ったのだ。だから答えよ
う、答えて見せよう、俺のスッパの気持ちをな!
「……ほう。いい心がけだ。して、その根拠は何かな?」
 視線を俺に向けて藍は言う。っというか、俺に視線を向けた瞬間笑顔じゃなくな
るのやめれ。その眼光は覚悟しててもちょっとちびりそうだから。あ、今ちょびっ
と出た。
「つまりだ。お前さ、――」
 すう、と息を吸った。
 覚悟完了。これからは多分ちょっとした乱痴気騒ぎになるだろう。
 その原因。今から俺が吐く言葉、その言葉がでる原因を、思い返しながら吐くこ
とにしよう。

「俺に、紫をとられるって嫉妬してるんだろう?」


   *              *              *


 迷い人が訪れ、さらに帰ってこれない場所。それをマヨヒガという。
 それは俺にしてみればただの御伽噺で、まあそれなりに面白い話でしかなかった。
 だから、自分が「其処」に迷い込んだのだと、他人に言われてしか気付けなかっ
たのである。
 いつの間にか広がる、見慣れない景色に戸惑う俺の、目の前に。異様な存在感と
圧倒的な美貌をもってして現れた彼女。
「ここはね、マヨヒガ……入り込んだら、普通じゃ抜け出せない迷い子の里よ」
 それが、紫との出会いだったと覚えている。

 なんの気まぐれだろうか、俺は彼女の家に招かれた。
 ちなみにいうと、俺はちょっとしたチカラがあるだけの、普通の人間である。故
に、俺が初めて八雲家に来たときは大層驚かれた。
「ゆゆゆゆゆ紫様っ! 踊り食いは健康に悪いとあれほど言ったのに!!」
 ちなみに藍の、俺を見ての第一声である。
 どう見ても食料扱いです。
 本当にありがとうございました。

 ……さて。そんなことがあったから俺の生存は絶望的かな、と思ったらそうでも
なく、いかなるやりとりがあったのか別室に引っ込んだ紫と藍が帰ってきたとき、
俺の居候が決定したらしい。
 酷く不満そうな顔でこちらを見つめていた藍の顔は今でも忘れられない。正直、
あの九尾とほっかむりから覗く耳を見てもコスプレにしか見えなかったのだが、そ
の表情で妖怪なのだという事実を確認したくらいだ。
 ……まあ、なんだ、その。般若ってのは女の怒り顔がモデルらしいね。



 それから、俺のマヨヒガライフは幕を開けた。
 朝は藍の雑用手伝いをし、昼は藍の式神、橙の遊び相手をし、夜は紫の話&晩酌
の相手をする、という外の世界にいた頃では考えられない享楽の生活を送った。い
やまあ藍は俺に対してイヤに厳しかったのだが。小姑の嫌がらせレベルで。



「――ねえ。貴方、どうして私についてきたの?」
 そんなある日のことだ。いつものとおり、紫の晩酌に付き合っていた時に、紫は
いきなり俺に問いかけた。瞳は潤み、頬は紅に染まり、その酔いは美しさを増進さ
せて、艶やかな魅力に満ちていた。しかし、そんな姿とアンバランスに、問いかけ
る声は混じりっ気無しに真剣だった。
「……? それは、どういうことだよ?」
 とはいえ、俺は問いかけられたものの意味がわからない。呆けた表情で、問い返
すしかできなかった。全く歯痒い。
「あの日のことよ。私と貴方が、初めて出会った、あの日のこと」
「あー。あの時か。思い返せばラッキーなんだかアンラッキーなんだか迷ってたと
きだな。あれは吃驚したぜ、いきなり目の前からにゅって美人が出てくるんだからな」
 あの時。外の世界から迷い込んだ俺は、うろうろと歩き回っていた。んで、疲れ
が限界に来て座り込んだとき、目の前の空間が開かれて、紫の上半身が出てきたの
だ。まあ、その瞬間。俺は死ぬんだなーって何となく考えたわけだけど。

…
……
………

『マヨヒガ? アンタ正気で言ってんのか?』
『あらやだわ。正気も正気よ。そもそも、この状況で私を信じない貴方の正気を疑
うわね』
『あー、だってなあ』
『そもそも。ここから出たって普通の人間には行く場所なんて無いわよ。ここは貴
方のいた世界とは違う境界の中。幻想郷という里なのですから』
『……なるほど。どおりで、空に人型の変なのが飛んでいるわけだ』
『ああ、妖怪でも見たのでしょうね――それで、貴方はどうするの?』
『あー……どうするもなにも。


 ――――俺、死んじゃうんだろう?』
『――』
『どうした? 俺何か間違ったこと言ったか?」
『ふふ、ふふふ、ふふふふふふふふふ!! あはは、初めてよ、そんなことを言い
出す人間は――!! ふ、ふふふ、ええ間違ってないわ、ここは弱肉強食の世界。
人間は妖怪に襲われ、妖怪は人間に退治される、そんな世界よ。チカラの無い人間
が生き残るなんて出来ないでしょうね――』
『やっぱりか。なんかそんな気がしてたんだ。この場所に来てから――ずっと死の
匂いがして、頭がクラクラしてたんだ』
『死の、匂い?』
『ああ、――どうせだ。死ぬ前に思いっきり説明してやろう。俺は、人間の死って
ヤツの匂いを感じ取れるらしい。だからさ、ここが俺の住んでた世界と違うっての
は薄々判ってたんだ。認めなかったのは、まあ、信じたくなかっただけ。ともかく、
この世界は人間が簡単に死んでる世界だってのは判るよ。それとあんま理解したく
なかったけど――アンタからも結構漂ってる。その匂いがさ』
『――はあ。つくづく面白い人間ねぇ。まあその辺はうっちゃっておいて聞くわ。
どうするの、貴方?』
『――驚いた。アンタ、俺を殺さないの?』
『最近はちょっと趣味が変わったのよ。あと無駄に食べるとお肉がついちゃいます
もの。だから、貴方を今食べるのは止めてあげるわ』
『へえ、そりゃ光栄なことで。じゃあさ、とりあえず家に行きたいんだけど』
『あら。見かけによらず結構大胆なのね。私の家に押しかけたいなんて』
『……いや、別にそういうつもりじゃないんだが。ああいや、アンタがいいならそ
れもいいんだけどな。休みたいだけだし』
『紫よ』
『はあ?』
『私の名前ですわ。八雲紫。それじゃあ行きましょう、ほら、お手を拝借――』
『はあ、こうか? ああそれと俺の名前は――――ッ!?』

………
……
…

「……っていうか俺がついてきたんじゃなくて紫が連れてきたんじゃないか」
 思い出した。あのときのやりとりは、あまりにもアレ過ぎて脳がどっかに拒否し
ていたのか、記憶の端にもかからなかったのだろう。
「まあそうね。でも貴方は私が自分にとって危険であるかもしれない、と思っては
いたんでしょう? それなのにのこのことついてくるなんて、貴方人間にしては面
白すぎるから、もぅ気になって気になって」
 そういうもんかなあ。というより、紫の言うことはちょっと見当違いだ。俺が面
白い人間だということはまあ、俺自身が理解しているけど、紫についてきた理由な
んて一つしかないだろうに。
「だってあの時言っただろ? 趣味が変わったってさ。だから大丈夫だって思って。
それに――」
「危機感ゼロね。見つけたのが私でよかったわね」
「――俺、紫のこと好きだし」
「………………………………………………え?」
 なんすかその空白。俺そんなに意外なこと言ったかなあ。
「え、ええっと。ごめんなさい私急に耳が遠くなっちゃったみたいで。もう一度い
いかしら?」
 む。せっかくの人の告白を天然スルーしやがって。だがまあ謝る紫はそれはそれ
でレア度高いから許してやろう。お返しはしてやらないとなうんうん。そう思った
ので俺は紫の豪奢な金髪をかきあげた。
「あっ……」
 するり、と指に絡まるソレを感じていると、その感触だけでなんかもーいいやー
って気分になってくるがぐっと堪える。視線は、今まで髪に隠れていた耳に注がれ
る。カタチのいい耳だな。柔らかそうだ。俺はその耳に唇を近づける。
「俺は、紫が、好き、なんだよ!」
 とりあえず大声で吹き込んでみました。
 そしてこっ恥ずかしい体勢をとっているなと自覚したので、さっと離れる。ちら
りと見た紫は、ちょっと目を回していた。あら、ちょっと音量大きすぎたかな。
「……え、で、でででででも、なんで? え? 冗談?」
「いや、いくら俺でも傷つくぞその発想。なんで答えてくれないかなあ?」
「あ、ちょ、ちょっと待って! え? あれ? 待ちなさい!?」
 ……うわあ。あの大妖怪と名高い紫が動揺している。なんてレアな。これ、あの
パパラッチ天狗が見たら速攻で幻想郷中に広まるんだろうなあ。
「で? どうなんでしょうか紫さん」
「…………」
 さっきのなんてまるで赤なんて言わせないぜ!という勢いで紫の顔が赤くなる。
唇は閉じたまま。彼女の右手はさっき俺が触れた髪を撫でている。その仕草に見と
れていると、俺の服が何かに引っ張られるような感触がした。左手。紫の左手が、
俺の服をぎゅっと掴んでいた。
「……紫?」
「…………これが、答えじゃダメかしら」
 ああ。ダメじゃない、ダメなはずなんて無い。
 言葉にこもる温かさも、掴まれる手の握力も。
 それだけで、俺に答えを教えてくれたから。
「ありがと。好きだぜ、紫」
「…………ッ」
 抱きしめた。篭る力は、もっと強くなって。愛しい想いは、膨れ上がる。
 俺が俺であるかぎり。この想いを貫き通そうと――外よりもはるかに綺麗な、星
たちに誓った。


   *              *              *


 ……誓ったんだが。
 ちょっと、この目の前の光景を見ていると挫けそうになる。
「どこだぁぁ!! どこへ消えたぁぁぁ!!」
 怖ぇえよ。どこの鬼だよ。いや狐だが、鬼より怖ぇよ。
 ちなみにその狂乱狐は、飯綱権現降臨させながら狂ったように回転している。凄
ぇ、まだ発動直後なのにもう発狂状態だよ。
 まあ、俺は発動直後に紫に抱きかかえられて、一緒にスキマの中に逃げ込んだか
ら無事なのだが。ああ、背中に柔らかいものが当たるぜ。役得役得。
「あーあ、藍ったらあんなに取り乱して……貴方のせいよ?」
「いやまあ申し訳ない。あんなに怒るとは思わなんだ」
 やれやれと笑う紫は、いつもどおりに綺麗だった。でもその頬が赤いのは、俺の
気のせいじゃないだろうと思う。あの時に気付いたのだけれど、コイツはとかく直
球に弱いのだ。いや、幻想郷の連中は皆弱いのかもしれないけれど。
「ま、なんにしろ。もう俺のもんだからしょうがないっちゃしょうがない。藍には
諦めてもらわないとな。 ……あ。橙が出てきた」
「あらあら、それじゃあこれでおしまいね。面白かったのだけど」
 二人して笑いあう。
 さて、橙効果でおとなしくなった藍をなだめるなんて大仕事、簡単に終わるなん
て思っちゃいないけれど。まあそれも仕方ないだろう。
「っじゃ、戻ろうぜ」
「そうね。行くわよ――ほら、お手を、拝借」
「ほらよ」
 これから、好きなヤツと生きていく。
 そのために必要な第一の試練を、始めに行こう。
 

―――ふたり、手を、つないで―――






                                                          ~beging,happy life!

///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

―スキマの裏―

無駄に長いっての!あと最後の英文が自信ない俺⑨!!

―スキマの表―

ということでリクエスト、ゆかりんでしたー。
これが私の全力だッ! 受け止めてくれッ!!

……期待に添わないと思うけどごめん。マジで。

2スレ目 >>138

───────────────────────────────────────────────────────────

 俺は○○。
 本来なら苗字から名乗るべきであると思うが、名乗ることは出来ない。
 何故って? 理由は簡単さ。
 今の俺には苗字なんて無いのさ。
 苗字が無いのを説明するには今の近況を話す必要がある。

 簡単に言うとだ。
 俺は八雲紫様の式をしていると言えば分かるか?
 姓が無いのは橙と同じで、八雲を名乗るにはまだまだ力不足なんだよな…
 式になってまだ1年程度だからな。現在修行中というわけさ。
 ただ主が紫様である為か、式としての能力は橙と同じかやや上ってとこだ。
 八雲の姓を名乗ると藍さんと同等とまでは行かないにしても相当力が増すそうだ。
 姓とはそれほどの力を持っているって霊夢が言ってた。

 そもそも俺がここ、幻想郷と呼ばれる場所に迷い込んだのは約1年前。
 右も左も分からない俺は妖怪の格好の獲物で、まぁ何と言うか…
 ぶっちゃけると、速攻で半殺しにされたわけだ。
 いや訂正だ。9割は死んでたので、9割殺しにされたと言っておこうか…
 後で聞いた話だけど、両腕と左足は既に喰われて無かったらしいぞ。HAHAHA
 そこを偶然通りかかった紫様に拾われ、俺を助ける為に式にしたって訳さ。
 つまり元人間の式ってことだ。今でも人間であるけどな。

 分かる? 分かんねぇ!? じゃあいいや…(投げやり)



「○○、掃除の方はどうだ?」

 おっと、藍さんだ。(主が同じなので、藍に対して様付けはしない)
 普段俺は藍さんと分担して仕事(家事)をしている。
 藍さんも橙と一緒にいられる時間が増えたので万々歳らしい。

「ピッカピカに磨き上げた。聖母マリアでもウn「アルティメットブディスト!」ひでぶ」
「それ以上言うんじゃないッ! 橙に悪影響が出るだろうがッ!」
「問題無い。ちゃんと橙が近くにいないことは気配で確認済みだ」

 まぁ確かに橙が「じっくりかわいがってやる! 泣いたり笑ったり出来なくしてやる!」とか
「クビ切り落としてクソ流し込むぞ! 」とか言い出したら、八雲家は完全に崩壊するだろうな…
 橙、どうか真っ直ぐに育っておくれ。

「まぁ、○○はその辺抜かり無いから大丈夫だとは思うんだが…」
「感謝の極み」

 やれやれといった感じでそう言った藍さんに俺はズパッと姿勢を正し答える。

「ところで何用でしょう? 掃除はあらかた終わってますが、買い物ですか?」
「おっと、忘れていたよ。そろそろ夕飯にするので、紫様を起こしてきてくれないか? 私は橙を呼びに行ってくるから」
「おや? もうそんな時間ですか…」

 居間の柱時計を見ると既に6時に近い時間になっていた。

 以前は藍さんが紫様を起こしていたのだが、全然起きない紫様にブチ切れた藍さんが翼くんもビックリなドライブシュートを繰り出し、
当の紫様は壁の突き抜け外の木にめり込ませたという偉業(?)があった。

 この場合藍さんが悪いと思うだろうが、

「あー、ありゃ死んだな…」(俺)
「ふん。苦しむ暇を与えぬも慈悲だ…」(藍)

 とまあ、藍さんとそんな会話をしていた俺も同罪かもしれぬ。

 それ以来、紫様を起こすのは俺の仕事(紫様に熱烈希望された)になったわけだ。
 そんなわけで藍さんと別れた俺は紫様の部屋へ向かう。
 家自体そんなに大きくないので、あっと言う間に部屋の前に着く。

「紫様、○○です。入りますよ?」

 取り敢えず一声掛ける。
 主である前にレディーの部屋だ。これくらいは当たり前だろ?
 すーっと音を立てることなく襖を開ける。

「すー すー」

 紫様は気持ち良さそうに寝ていた。
 綺麗だ。
 素直にそう思う。

 以前霊夢に『何故怪我も完治したのに未だ紫の式をしているのか』と聞かれたことがある。
 確かに怪我も完治し式の期間が短かった為、開放すれば今ならまだ元の人間に戻れるらしい。
 だけど俺はその選択肢を考えたこともない。
 理由は簡単、紫様が好きだからだ。
 愛していると言っても良いだろう。

 妖怪に半殺しにされ、生と死の境界から戻ってきた俺が最初に見たのが紫様の安堵の笑みだった。
 純粋に綺麗だと思わせるそんな笑みに俺は心引かれた。
 一目惚れって奴だな、うん。

 式であることを辞めるということは、紫様と一緒にいることはきっと出来ない。
 俺にとってそれだけはしたくない。
 例えこの気持ちが伝えることが出来なくとも、式であるということは紫様に必要とされている証拠だ。
 なら、俺はそれでいい。


「紫様、夕食の時間です。起きて下さい」

 枕元で正座し紫様を揺すって起こす。
 まぁ、当然の如くなかなか起きてはくれない。

「んー」
「ちょ、紫様!」

 寝惚けているのだろう、紫様は俺の腕を掴むと布団の中に引きずり込んだ。

「うにゅー」
「〆%&!!☆●бνqあwせdrftgyふじこ」

 更に紫様は俺の首に両腕を回し抱き寄せる。
 うはっ、紫様俺の脚に脚を絡めんで下さい。
 俺は完全に紫様の抱き枕と化している。
 しかも紫様は今寝巻きを着ている。つまり薄着…
 更に言えば、俺は紫様の胸に顔を埋める形になっているわけで…
 その時既に俺は完全にパニック状態になっていた。

ふわ…

 完全にパニックになっていた俺は甘い香りで我に返った。
 何故か急に落ち着きを取り戻した俺はその原因を理解した。
 紫様だ。
 こんな間近で紫様を見るのはこれが初めてだ。
 とても綺麗で女神のような優しさを持ち、それでいて少女のような無邪気さを持った人。
 甘い香りと彼女を愛しく想う気持ちが、俺の理性を序々に奪っていく…

「うがー、もう我慢できん!!!」

 理性がブチ切れた俺は何故かすんなり紫様の拘束(?)から抜け出し、その場で仁王立ちになる。
 そして懐からスペルカードを取り出す。

「スペル発動! 逝くぞ!!」



喪罪苦「百合・ゲラー -Hand Power-」



 説明しよう!!
 式神○○は理性がブチ切れGallerゲージが頂点に達することにより、通常の数百倍の弾幕モードである百合・ゲラーに変身することが可能なのだ!!
 (参考:前スレ>>62,ttp://seafox-web.hp.infoseek.co.jp/nikki/suppatenko.html)

「喪に服し、罪を認め、苦しむg「って、やめんかーーー!!!」あべし」

 服に手を掛けた瞬間、いきなり乱入してきた藍さんの後頭部への日向くんもビックリなネオ・タイガーショットにより
俺は壁を突き破り樹木を5,6本へし折りきりもみ回転ののち車田落ちをして止まった。

「あー、あれは死んだね…」(橙)
「ふん。苦しむ暇を与えぬも慈悲だ…(危ない、もう少しで橙におぞましいものを見せるところだった…)」(藍)

 そんなことがあったにも関わらず、紫様はまだ寝ていたそうな…

「くっ… 百合・ゲラーは終わらん。何度でも蘇るさっ!」
「まだ言うか」
「ぎゃふん」





 そんなこんなで夕飯を全員一緒に食す。
 八雲家の数少ない決まり事の中に『夕食は全員揃って取る』というのがある。
 ただ今日はいつもと違い、紫様の表情が冴えない。

(ま、まさか… 百合・ゲラーがいけなかったのか!?)

 俺のそんな思案を他所に、隣では橙が焼き魚を美味しそうに頬張っている。
 藍さんもそんな紫様に気が付いているのだろう、いつもより口数が少ない。

「…藍」
「はい。何でしょう、紫様?」
「10時位になったら霊夢のところへ出掛けるわ。藍も一緒に来なさい」

 俺は少し妙だと感じた。
 紫様が霊夢のところへ遊びに行くのは珍しいことではない。
 大抵はお酒を持参し一人で行くことが多く、藍さんが同行することはあまりないのだが…

「月の様子がおかしいわ。あなたたちも感じているでしょう?」

 確かにそうだ。
 俺は人間がベースの式だからそんなに強くは感じないのだが、逆に言えばそんな俺でも感じるということは紫様や藍さんはもっと強く感じているのだろう。
 藍さんも言いたいことが分かったのだろう、真剣な顔付きで答えた。

「分かりました。10時になったらお声を掛けますね」
「えーっ、私も行きたいー!」
「まぁまぁ、橙。今回は諦めよう。俺と二人でお留守番だ」

 月に異変を与えるような者。
 恐らくは妖怪の仕業だと思われるが、それだけの影響を与える妖怪なら相当強いはず。
 橙はまだ納得していないようだが、俺や橙では足手まといになるだろう。
 正直俺も一緒に行きたい。だが無理矢理その感情を押し殺すしか俺には方法が無い。
 紫様の俺を見る鋭い目がとても印象に残った…




 紫様はいつも食後に縁側でお茶を飲む。
 俺は一歩下がった場所に座り、紫様にお茶を入れる。
 静かにお茶を飲む紫様が俺に声を掛けた。

「ねぇ、○○。貴方はどうして肝心なところでいつも感情を殺すの?」
「そんなことは……」

 無いと言おうとしたところで紫様と目が合った。
 いつもの優しさに満ちた目ではなく、何かを見通すような鋭い目だった。
 俺はその瞬間、何も言えなくなってしまった。ただ搾り出すように否定の言葉を言うのがやっとだった。

「そう、じゃあ何故あの時自分も一緒に行くと言わなかったのかしら?」
「それは… そうする方が一番妥当であると考えたからです。仮に俺も一緒に行ったとしても足手まといにしかなりえませんし…」
「私は本音を言えと言ってるのよ。これは命令よ」

 式である俺は決してその命令から逃れることは出来ない。
 俺の意思とは無関係にその言葉を発してしまう。

「今の俺は紫様の護ることは出来ません。残念ながらそれは紛れも無い事実です。俺に出来るのは精々紫様の身の回りのお世話だけ。それでも俺は紫様を護りたい」
「何故そこまで私を護ることに執着するのかしら?」

 いけない。
 このままでは決して伝えてはいけない気持ちまで伝えてしまう。
 ヤメロヤメロ。ヤメテクレ
 俺は命令に屈しないよう足掻らう。
 だが、とうとう伝えてはいけない気持ちを発してしまった。

「俺は紫様を愛しているからです。だからこそ貴女を護りたいと思います。いかなる障害からも俺は貴女を護りたい」
「…そう。八雲の姓も名乗れない式が言うには100年は早いわね」

 …終わった。何もかも…
 聞こえてくるのは虫の音だけの痛すぎる沈黙。
 俺のアイデンティティそのものまで否定されてしまった。俺はこれからどうするべきなのだろう…
 そんな沈黙を藍さんが破った。

「紫様、そろそろ時間ですが…」
「…今行くわ」

 藍さんも雰囲気から何かを悟ったのだろう。
 敢えていつも通り、気が付いていないように声を掛けた。
 俺は玄関に向かう紫様の背中を見つめるだけで、何もすることが出来なかった。
 いや、する気力もなかったのかもしれない。

「ああ、そうそう。1つ忘れていたわ」

 紫様は何かを思い出したかのように俺に声を掛けた。
 俺はもう必要無いから消えろとでも言われるのだろうか…
 ははは、正直ここまで臆病だったとは今まで気が付かなかった。

「○○。貴方は今から八雲○○と名乗りなさい」
「っ! で、ですが、紫様は先ほど…」

 紫様は扇子で口元を隠したまま、俺の方に振り向いた。
 その目はいつもの優しい目をしていた。

「○○。私も貴方のことが好きよ。だから私を護れるように強くなりなさい。それじゃちょっと出掛けて来るわね、未来の旦那様。留守番よろしくね」

 いきなりのことで俺の思考回路は完全にオーバーヒートを起こし、気が付いた時にはそこに紫様の姿は無かった…


 俺はスキマ妖怪の式・八雲○○。俺の物語はまだ始まったばかりだ…




――――――――――――――――――――――――

上手くまとまってないな、これorz
しかもネタパクってるし…
前スレ>>62氏、無断でパクってごめんなさい。

取り敢えず、永夜抄直前の話って感じでお願いします。

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2スレ目 >>139

───────────────────────────────────────────────────────────

「がぁッ!」

またも刃は届かず、俺は背後の大木の幹に叩きつけられた。
目前には満身創痍の俺とは打って変わって、戦いを始めたときから毛ほどの傷どころか
指先ほどの汚れすらも身につけずに艶然と微笑む、一人の妖怪。

「まだ続けるの? 勇ましい殿方は好みだけれど、そろそろ面白みを欠いてきてよ?」
「く……ッ!」

駄目だ。
消耗し切った肉体は自信自身の体重を支えることすら忘却し、俺はついに地面に膝をつく。
杖のように地面に刀をついて体を支えようとするが

「その様子だと、もう終わりのようね」
「……」
「声を出す気力も残っていないのかしら?」
「……」

ふう、という大げさな嘆息が、うつむいた頭の上から聞こえた。
妖怪はゆっくりと、動くことすらままならない哀れな獲物に止めを刺すべく、歩み寄ってくる。
歩み寄ってくる。
歩み寄ってくる。

「もう何も出来ないのなら……死になさいな」

……間合い、だ。

「貴様がな」

最後の一歩を踏み出さんとしたその間に、俺は現存の体力と胆力とを全て注ぎ込んだ一閃を下段から跳ね上げた。
切っ先を背後に向けて伏せて置いた刀身を、地面と左手の間から引き抜くように抜き上げる、変則的な居合。
完全に間を合わせた、現状で可能な最大限の、そして恐らくは最後の一手。

斬った。

攻めの枕にすら入っていない妖怪の左腰から右肩口へと斬撃は抜け、その身体を袈裟に両断する。

そのはずの、

刃が、

無い。

驚愕に凍てつきながら、右手の先を見る。確かに柄を握っている。
その先に続くはずの、二尺三寸の刀身が、半ばから無い。
斬られたのではない。
折られたのでもない。
消されたのだ、という理解が雷霆となって俺の全身を撃ち、口元には引きつった笑いがこびりついている。

「……違う」

上ずった声で、そんな呟きが勝手に口から漏れ出た。
そう、違う。
この妖怪は、今まで相手にしてきたどんな妖怪とも違う。

「へぇ……やってくれるじゃない……」

違う……そう、こいつは並の妖怪ではない。
否、妖怪ですらない。
怪異そのものだ。
今度こそ全ての力を使い果たして地面に倒れこむ俺を睨めつける、その瞳。
蛇のように縦に割れた瞳孔と、七色にその彩を変える虹彩。
アレは、邪眼だ……。
妖怪がこちらに向けて腕を伸ばし、その指先が俺の顎を持ち上げる。
邪眼を、見上げる。
息がかかりそうなくらいの至近距離から、俺を捕らえる邪眼。
白磁に肌に映えて鮮やかな紅色の唇が、くッ、と釣り上がる。魔物の笑み。

「……くす、たまにこういうのが混じっているから、人間と遊ぶのは止められないわ……」

言いつつ、顎を持ち上げていた指先を頬に這わせる。
その感触に、全身が総毛立った。
こいつが、目の前の妖怪が、明らかに自分とは違うもので出来ていることを実感したからだ。
疲弊した肉体とは無関係に、体が動かない。
いつしか妖怪の両手が、俺の頬に添えられていた。

「見逃してあげるわ、名前も知らない人間。見逃してあげるから、その代わりに私を愉しませなさい」

何を、言っている?

「少しだけ気に入ったわ、貴方のこと。だから自分を鍛えなさい、鍛えて鍛えて……私の高みまで上ってきなさい」

笑みが深くなる。
粘性を持った魔物の笑みから視線を引き剥がそうとするが、できない。

「強い男には、その権利と義務があるわ。全てを贄にして、私に追い縋る権利と義務が……ね」

邪眼が、目の前にあった。
七色の邪眼に映る自分の顔が、一気に近づいて――

「……ッ!」

口付け、られた。
悪夢をそのまま経口摂取したかのように、全身が訳の分からない感覚に一瞬で冒された。
怖気を伴った甘さに、身体を内側から灼かれた。
おぞましいほどの熱と柔軟さとを持った舌と共に、何か、得体の知れないものが、流れ込んでくる。
流れ込んできて、俺を、違うものに、組替えていく。
そして、開放された。
全身が弛緩している。手足はもとより、口を開いて声を出すことすら出来ない。

「契約の、印よ」

そういって微笑む、妖怪の女。

「では、また逢いましょう、強い殿方。この次はもっと――」

女の姿が、足元から霞のように掻き消えていく。
胸の辺りまでが完全に消え、そして全身が消え去る寸前に、女の言葉が虚空に刻まれる。

「――愉しませてちょうだい」

そうして、何の痕跡も残さずに女は消えた。
後に残されたのは、哀れな敗残者ただ一人。
ぎり、と歯を食いしばる
悔しさではなく、憎しみでもない。

「くッ、……ははッ」

笑みが、こみ上げてきた。
何故かは、分からない。

「ははッ、くく、はははははッ」

何故か、たまらなく、愉快だ。
ああそうか、と、笑いを上げながら理解した。
理解が全身に染み渡るにつれ、なおも笑いを抑えられなくなっていく。
そう、俺は、俺は。

「待っていろ!待っていろ!唯の人間がお前を討ち果たすその時を待っていろ!」

魔物の笑みに、囚われたのだ。



2スレ目 >>177-178

───────────────────────────────────────────────────────────

俺はもう何年ここに通っているのだろう。
博麗神社の鳥居を潜りながら思う。
ここは俺にとってはたった一つの交差点だった、彼女に会うための……。
神社の目の前で俺は立ち止まる、すると今までの記憶が走馬灯のように巡った。
不吉だが……まぁ過ぎってもおかしくない状況ではあった。
「何を考えているのかしらね?」
心底理解できない、そう言いたげな口調で呼ばれた俺は後ろを振り返る。
「いつもと一緒だ」
俺の言葉に顔色一つ変えないで佇むのは幻想の境界、八雲紫だ。
整った顔つきに流れるようなブロンドの髪を帽子に入れている。
服のセンスも相変らずよくわからない、まぁ何を着たって似合うだろう。
「いいえ、いつもと一緒ではないわ」
紫の言葉に俺も顔色一つ変えずに受け流す。
確かにいつもなら日も置くし、場所ももっと人の少ない場所を選ぶ。
博麗神社を選んだのは今日が宴会の日だったからだ。
そしてこの約束を取り付けたのは半日前である。
いつもと一緒ではない、まさにその通りだった。
「まぁいいじゃないか」
俺は紫に歩み寄り数メートル程前で止まる。
俺の双眸は紫を見据えている、紫の双眸もまた俺を見据えていた。
「あなたと私の間にある果てしない実力の境界、今日もまた見せてあげるわ」
その瞬間、俺は腰の鞘から大剣を抜き放つ。
大剣は夕日の光で赤く染まっていた。
「今日こそはお前を越えてやるよ、紫!」


~人妖決闘中~


……これでも俺の実力は並みの人間、いや幻想郷の人間の域を大きく上回っている。
だがやはり八雲紫の実力は果てがない、スペックもさることながら戦略も幅広い。
それでもなんとか紫の服をぼろぼろにし、肩で呼吸をさせるところまでに至った。
俺のほうは剣は折れて全身血塗れかつ、ずたずたで死に掛けているが……。
「流石だな、紫」
余裕を繕った表情と合わせるとより薄っぺらい言葉に思えてくる。
実際の所は俺が不利なのは一目でわかる、そもそも有利に立てた事もなかったりする。
俺にできるのは腹を決めるしかなかった、次の一撃にかけるっと。
「こいつで決めてやる!」
鼓舞するように言うと俺は懐からスペルカードを取り出す。
スペルカードにはモチーフがある物も存在する。
だから俺もある技をモチーフにした切り札(Last Spell)を放った。
「ヘルアンドヘブン!!」
……ぱくりとか思った奴は正直にでてこい、全員光にしてやる。
「あら、ぱくりなのね」
ち……ちっくしょう!相変わらず人の痛い所を突っつくのが上手い奴だ。
なんとか心の中に止める、顔は苦虫を噛み潰したみたいだが……。
気を取り直して両の手を握り合わせると紫へと突っ込む。
「うおおおおお!!」
だが紫は四重の結界を張って止める、こうされたらどうしようもない。
いや、どうにかしなきゃいけない!
「俺は……負けられないんだ!」
紫は余裕の面持ちで応じる。
「何よ、そうやって今までどれだけ負けてきたと思っているのかしら?」
それでもだ、思っても息が詰まって声がでない。
俺は今までの記憶の中、最も印象に残っている場面を思い浮かべる。
ふと昔話をしていた時に浮かべたあの表情を。
悲しみを宿した顔をしたあの時を。
そして抱いていた気持ちのすべてをぶつける。
「俺はお前より強くならなきゃいけないんだ!」
余りの衝撃に体がばらばらになりそうになっても言う。
「お前が認めてくれるような男になるんだ!!」
……紫はただ黙って、結界を強めた。
ああ、まだ最後に言いたいことを言ってないのn―。


~少年療養中~


……俺は目を覚ます、体に痛みはない、それどころか服にも傷一つない。
別段、驚くことでもない、霊術やらなんやらで直すのは朝飯前と言う奴だ。
勿論、紫にとってだ、だからたまに治療してもらえなくて頭を下げる事もある。
そう考えれば冷たい土の上でほったらかしにされたのなんて可愛いものだと思うことにした。
「ほら、あなたも飲みましょう」
起きた俺に早速と言ったように晩酌を勧めてくる。
勘弁して欲しい、俺は下戸なんだよ。
まぁ言って聞く相手ではないが……。
「頭がぼけっとしてるから少し歩いてからにするよ」
そう言って立ち上がると俺はふらふらと歩き出す。
行く場所は既に決まっている、いつもならこんな言い訳は通用しない。
紫の霊術は完璧だ、故に頭がぼけっとすることはありえないからだ。
俺は神社の片隅へと歩き出す、その場所へと行くために……。



ここにだけは神社の中でも来たくなかった、今までも来たのは数える程しかない。
だが今は強く感じていた嫌なものはなかった、むしろ清清しく感じる。
俺が俺である場所、俺が俺でなくなった場所。
「やっぱりここにいたのね」
あの時と同じ、紫がいて……俺がいた。
目の前の墓に刻まれた名前、それは俺の名前。
「やっぱりわかるよな」
振り向いて紫と見合う形になる。
ここは俺が死んだ場所、そして俺が今の俺となった場所。
「あなたは勘違いをしてるわ、あなたに必要なのは―」
「紫」
言葉の途中、静かにと……けれども強く言う。
俺の真剣な表情を読み取ってくれたのか紫は言葉を飲み込む。
「……ごめん」
ややあってから俺は口を開く、俺はこの先のことを言わなきゃいけない。
それによって紫がどんな顔をするのだろうか……。
「あなた……」
紫の声、その顔は青ざめている。
予想はついていた、だが……まさかもう来るとは思わなかった。
俺の体の先、腕と足からどんどん消えているのだ。
存在が崩れているとでも言えばいいのだろうか、さっきみたいに血はでないし痛くもない。
あれよあれよと言う間に手と足が完全に無くなってる、空を飛んでなんとか元の身長差を保つ。
「……わかっていたの?」
「ああ、もっともわかったのは昨日だけどな」
だからこそ決闘もあんな急にやった、言いたい事もたくさん言った。
でもやはり急すぎた、かえって紫を混乱させて勘ぐらせただけだった。
それに……一番言いたい事は結局言いそびれた。
「まったく、酒でも呑みたい気分だよ」
自嘲的に言う、本当に何も旨くいかない、俺はなんて馬鹿なんだろうか……。
「あなたが自棄になってどうするのよ」
すると紫は少しだけ浮き上がって俺を見下ろす。
紫の顔が近づいて……俺の思考は停止する。
俺の口の中に酒が満ちる、どこからか、紫の口からだ。
なんとか俺が顔は真っ赤に、頭は真っ白になっているというのがわかった。
「あら? 女の子とキスをするのは始めてかしら?」
紫の言葉に我に返る、悔しいがその通りだった。
「まぁ……しょうがないわよね、あなた自身が決めたことなんだし」
「……ごめん」
そうとしか言えなかった、なぜなら俺は死んで妖怪化“するはずの存在”だった。
人間として生きることを選んだのはこの俺だ、これはそのツケだった。
不完全な俺は辛うじてその存在を維持していた、それも限界だった。
俺の体はもう半分以上消えている、消滅もまじかに迫っていた。
「大妖怪ってなんなのかしらね」
俺は黙っている……いや、もはや声も出せなくなっていたのだ。
「私は何もかもを思い通りにしてきたのに……肝心な時には何もできない!」
目が見えなくなる、紫が吐露する想いを俺はただ聞いていた。
「あなたを完全な人間にすることもできない! 一体なんなのよ……私って!」
もはや耳も聴こえなくなる、だが俺の体を紫が抱きしめてくれるのがわかった。
頬に暖かい物を感じる、これはなんだろうか……。
涙、そうか……紫は俺なんかのために泣いてくれたんだ。
ああ……やっぱり言ってお…………けばよかった……この……気持ち。
だい……す……き…………だよ…………ゆ……か…………。



この者は裁かないのですか?
いいえ、裁いて償える罪ではないのです。
半端な存在として生きてきたからですか?
いいえ、それよりも深い罪を犯してきてるわ。
それは恋する乙女を泣かせたこと、どんな地獄に落としても償えないわね。
ではどうしますか?
そうね、生きて想いを遂げる事、それがこの人間の積める……。



……変な夢を見ていた気がする。
俺は消えちまったはずじゃ……むぐっ。
口の中になんか湿ってざらざらした物が詰まってやがる。
やばい、苦しい、息ができねぇ。
「げほっげほっげほっ」
全身に力を込めると上半身が起きて口の中の物を吐き出す、土だ。
視界が戻ってくる、間違いない……アングルこそ違うがさっきと同じ場所。
俺の墓だ。
意味がわからない、消えたかと思えばまたここにいる。
……気づけば紫が見下ろしていた。
「あなた……なんで居るのよ?」
やばい、紫の顔はすんげぇ怒っていた、まさに鬼ばb―。


~少年惨劇中~


「……本当に何もわからないのね?」
「ああ、何にもわかんねぇし気づいたら墓からでてきたんだよ!」
顔は原型を止めてないぐらい酷いことになってる。
勘弁してくれ、俺は紫にこんな冗談をしかける度胸なんてない。
唐突に紫は顔を俯ける、その表情に俺は自分の目を疑った。
「本当に……本当に心配したんだから」
紫は涙を溜めて悲しそうな顔を向けて言う、今まで見たことのない顔に心底驚いた。
そして同時に俺の頭の中は罪悪感で一杯になっちまった。
……唐突にわかった、あの時紫が言おうとしていた事が。
紫が俺に何を求めていたのか。
それは想う事だ。
泣いてる時に慰めたり。
愚痴を吐きたい時に聞いたり。
嬉しい時に一緒には喜んだり。
そういう存在を求めていたのだと。
強くなる必要なんてまったくなかったのだと。
そして俺がなぜ人間であろうとしたのかも思い出した。
それは長い時を往く妖怪になればこの気持ちを薄れると思ったのに他ならなかった。
……実際は人間であってもいつの間にか忘れてしまっていた。
俺は本当に馬鹿だ……。
頬に暖かい物を感じる。
「まぁいいわ、もう宴会も始まるわよ」
紫の手だった、俺の顔についた土を払ってくれていた。
その表情にはもう暗いものはない。
そうか……今の紫は本音を顔に出してたんだ。
寂しかった。
怖かった。
辛かった。
そういう弱音という本音を俺にぶつけてきたのだ。
いつも余裕の微笑を浮かべた大妖怪としてではなく。
一人の少女として。
今も俺を励まそうとしてくれたのだ。
俺はそれに答えなきゃいけない、俺自身の想いで。
そんな事を考えながら立ち上がって土を払い落とす、顔はいつの間にか治っていた。
すると紫は俺の手を握ってくる。
そして紫は唐突に走りだした。
「わっ待てよ」
当然紫は待ちなどしない、だが俺はむしろその手に意識がいっててどうでもよかった。
紫の手は本当に暖かい、なんだか頭を渦巻いてた物がどうでもよくなっていくをの感じる。
構えることはない、ただあるがままの気持ちを言おうと思った。
紫に言えなかったあの言葉を……。
俺は黙って手を握り返す。
紫は立ち止まってくれた。
俺はこの手を絶対に離さない。
ただ一緒に泣いて笑っていたい。
妖怪と人間ではなく、一人の女と男として。
その気持ちをたった一言に紡いだ。
「……大好きだよ、紫」
返事はない、けれど紫は振り向いた。
その顔は今まで見た中でも最高に可愛くて美しかった。

2スレ目 >>185

───────────────────────────────────────────────────────────

砂糖と水を鍋に入れ、箸でかき混ぜながら煮詰める。
色がついたら、鍋を火から離し、油を塗ったアルミホイルの上に適量たらす。
仕上げに爪楊枝を端に設置し、冷ませば完成。
「出来た、完成だ!」
完成したものを皿に取り、ちゃぶ台の上に置く。
席についていた三人の視線が皿に注がれる。

「藍様、これなぁに?」
「悪いな橙、私にはちょっと分からないな。紫様、これは何ですか?」
「あらベッコウ飴じゃない、懐かしいわね」
それぞれが置かれたベッコウ飴に手を伸ばす。
三人の飴を食べる様子を見ながら、マヨヒガに来たときのことを思い出していた。




あれは確か一週間前だったな…

「こんなところに森なんて有ったか?」
買い物帰りに何も無いはずの土地に森が出現していた。
そして俺は、何も考えず好奇心から森に足を踏み入れた。
森を歩くこと10分、さぁ帰ろうかというときにそれは現れた。

「にくだ、にんげんのにくだ」
背後から聞こえた声に、カニバリズムかよ!最近は物騒な時代だからな…とか間抜けなことを考えながら、
声の主の方を向く。
「冗談でも…嘘だろ…」
そこにいたのは人間ではなく、妖怪辞典とか怪物大百科に載っていそうな存在だった。
細かいところまでは覚えていないが、大きく裂けた口と右手に持っていた大鉈が記憶に残っている。
「にくくわせろぉぉぉーーー」
怪物は叫びながら俺の首を狙い鉈を振ってきた。
「ヤバイッ!」
限界反応ギリギリでしゃがんで避ける事が出来た。

「どうする俺?落ち着け考えろ」
恐怖を押さえるため、自分に語り掛ける。
「勝ち目は無い、ならやる事は決まってる!」
土を握り、怪物の顔面に投げつける。
ひるんだのを確認し、全力で反転逃走する。
「足を使って、逃げるんだよォォォーーーッ!!」

「にくぅーーまてぇーー」
「待てと言われて待つ馬鹿がいるか!このド畜生が!!」
全力で走りながら、思いつく限りの罵声を浴びせる。
「ヤバイな、このままじゃ…」
怪物との距離が近づいてくるのが分かる、不幸なことに怪物の方が足が速かった。
「何この騒ぎは…ゆっくり眠れないじゃない」
突然、目の前の空間に歪みが発生し、金髪の女性が顔を出す。
「おいおい勘弁してくれよ…」
車は急には止まれない、そんな事を考えながら目の前の女性に頭をぶつける。

メメタァッ

頭をぶつけたはずなのに変な音がした。
打ち所が悪かったのか視界が真っ白になる。
「泣けるぜ……」
俺は死ぬんだな、このまま目を覚まさないんだろう……
遺言が『泣けるぜ……』で良いのだろうか、そんなくだらない事を考えながら、
鉈が振り下ろされるのを恐怖しながら待った。

「終わったから、起きなさい。」
幻聴が聞こえるよ、いよいよこの世とお別れか。
「いい加減起きなさい!」
「痛っ!」
何かで頭を叩かれる、目を開くと先ほど激突した女性が扇子を持って立っていた。
おそらく扇子で叩かれたのだろう、正直痛い…
「何をするんだ痛いじゃないか、いきなり人を叩くとは」
「それはこっちの台詞よ。いきなり人に頭突きをかましておいて、どういうつもりかしら?」
「そっちこそいきなり目の前に現れないでくれよ」
その後しばらく責任の擦り付けが行われた、時間だけが無駄に浪費される。
「はぁ、もういいわ。あなた見たところ外の人間ね。」
金髪の女性が折れる、外の人間とか訳の分からん事を言うが、良く見たら美人じゃないか。
「外の人間って?それより俺を追いかけていた、フレッシュミート大好きブッチャー君は?」
ブッチャーと聞いて女性は眉をしかめたが、俺を追いかけていた怪物だと分かると妖しい笑みを浮かべた。
「私の庭で悪戯するから、消えてもらったわ」
笑顔で消えてもらったと言う発言に背筋が冷たくなった。
「消えてもらったか…まぁともかく、助けてくれてありがとう」
俺から礼を言われるとは思ってもいなかったのだろう、女性は一瞬驚いた顔をしたがすぐに笑顔に戻った。
「面白いわね、私を知らないからそんな事が言えるのかしら」
その後女性は、幻想郷について、自分について話してくれた。
話しがとても長かったのだけは覚えている、あと女性が妖怪だと聞いたときはとてもビックリした。

これが幻想郷で八雲紫とのファーストコンタクトだった。




「何を惚けているのかしら○○」
紫さんの声で現実に戻される、橙と藍さんは夜の散歩に出かけたようだ。
「いやちょっと、ここに来た時の事を思い出していて」
「ふふ、私も頭突きされるとは思ってもいなかったわ。ほら今日は先にお風呂に入りなさい」
「それじゃ、お言葉に甘えるとします」
「ごゆっくりどうぞ…」
紫さんの言葉の響きに嫌なものを感じたが、構わず風呂場へ向かう。




「傷ついたぁーーー♪制御コンピュータァーーー♪」
風呂につかりながら、歌を歌う。
「しかし何度入っても露天風呂は良いな、偉大なご先祖様に感謝しよう」
風呂を習慣化した顔も知らない誰かに感謝の言葉を送る。
「しかも満月か。……今宵の月は美しい」
あとは酒があれば完璧だなと思うが口には出さない。
「1杯いかがかしら?」
声とともに、横から盆に載せられた徳利とお猪口が差し出される、迷わずお猪口を手に取る。
「有りがたく頂くとします。紫さん」
「あら突っ込まないのかしら?」
透明な液体がお猪口に注がれる、液体を口に入れながら答える。
「美人の御酌で月を見ながら風呂に入る、突っ込むほど野暮じゃないですよ」
「美人だなんて言ってくれるわね。私も1杯頂こうかしら」
「それが良いですよ。今注ぎますから」
徳利を受け取り、紫さんから差し出されたお猪口に酒を注ぐ。
お猪口の中身を一息で飲み干し、俺のほうに突き出す。
「美味しいわね」
「月が綺麗ですから」
酒を注ぎながら答える、本当に月は美しかった。
「本当に良い月ね」
紫さんの横顔を眺める、少し頬が赤くなっていた。
「そうですね」
なんか良い雰囲気だな、このまま、時間が止まれば良いのにと心の底から思う。

「テンコテンコテンコテンコテンコテンコテンコテンコテンコテンコテンコテンコテンコテンコテンコテンコテンコォォォォォォォォーーーーーーー!!!!」

「………出ますか?」
「………出ましょうか」

こうして八雲家の一日は終わりを告げる。





彼は後日この時のことを一言で表した。
「泣けるぜ……」




*****************
後書き
読んでいただき、誠に有難うございます。

私は露天風呂でゆかりんと一緒に月を眺め、酒を飲みたい!
そんな思いを書いてみました。
イチャ分が足りているか心配ですが、気にしない。
よーしパパ、次も頑張って書いちゃうぞー。

一応元ネタ書いときます。

①フレッシューミート大好きブッチャー君
ディ○ブロより、ドアを開けた瞬間「フレッシューミート」と叫びながら鉈を振り下ろしてくるナイスガイ。

②風呂場で歌っている歌
ボン○ーキングより、多分ボンバーマンの親戚だと思われる。

③メメタァッ
JO○O第一部より、蛙を虐待する際の効果音。

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2スレ目 >>232

───────────────────────────────────────────────────────────

「こんなところにいたのね」
    美しい花畑の真ん中で、綺麗な、女性の声が聞こえた。
「君か…」
    日傘を差した金色の髪の女性が、寝転んだ俺の隣にいた。
「花畑の真ん中でお昼寝かしら」
「…君じゃないんだから、そんなに寝たりはしないよ」
「あら、失礼ね」
    彼女―――八雲紫は少し拗ねたような口調で言った。
    万物の境界を操る能力を持ち、この幻想郷でトップに入る程の力を持つ大妖怪。
    姿は女神のように美しく、心は女神のように残酷で気紛れな女性だ。
「あら、女神だなんて。嬉しいこと言ってくれるじゃない」
「心を読むなよ…まぁ女神と言っても、君の場合はカーリーかな」
「…本当に失礼な人ね、貴方は」
    心なしか、そんなことを言いつつも彼女は笑っているように見えた。
    この花畑に勝るとも劣らない、美しい笑顔。
    その笑顔につられて自分も少し笑ってしまう。
「お隣、宜しいかしら?」
    別に断る理由も無い、と言うと彼女は俺の隣に腰を下ろした。

「………」
「………」

    二人の間に言葉は無く、ただただ、静かな時が流れる。
 
「…ここにいると、君と初めて出会った時を思い出す」
  幾つ時が過ぎたか分からなくなった頃、俺の口が無意識に言葉を発した。
  彼女は表情を崩さず、俺の言葉を聞いている。

  俺がいた世界での出来事を―――

   俺は兵士として、戦士として戦場を走っていた。
   地には鋼鉄の馬、空には鋼鉄の鳥、道には戦士が走っている。
   仲間は皆息絶え、俺ひとりとなっていた。
   迫り来るは死神の列、抗う術は我が手にはない。
   けれども立ち向かう。
   母国を救うために散った仲間の為にも立ち向かう。
   絶望が心を侵食しようとも、小さな希望で絶望を討ち、立ち向かう。

   震える身体に鞭を打ち死神に立ち向かおうとした時、目の前に光が広がり、気づくと俺は花畑に佇んでいた。
   そして目の前に、彼女がいた。

 彼女は呟く―――『ようこそ、幻想郷へ』と。
  
   その日から俺の人生は変わった。
   彼女の玩具にされ振り回される日々、童話でしか聞かなかった者達の存在と触れ合った日々。
  最初の頃は随分と戸惑ったが、今は慣れ毎日が楽しく心から笑っていた。
  
  
  楽しくて、楽しくて、楽し過ぎたから、亡き仲間のことを忘れていた。

  
   そのことに気づいた日から、心から笑えなくなった。

『仲間は血濡れの大地で泣いているのに!俺はこんな綺麗な世界で笑っている!』

 苦悩が心を侵食していく。

『皆で生きて国に帰ろうという約束を…約束を交わした仲間達のことを、俺は、忘れていた!』

 答えを見つけるのは簡単だった。
  けど、それを口にすると今の生活が終わってしまうのが怖くて言えなかった。
   けど、それを心に閉まったまま生きていくことの方が、もっと怖かった。

「なぁ、紫」
  
   だから言おう。

「俺を」

   約束を果たす為に。

「あの戦場に戻してくれ」

 彼女は表情を崩さず
「そう…」
 と呟いた。

   空中に隙間が現れ、中から銃やリュックが落ちてきた。
  俺は立ち上がり、それらを身に着けていく。
  
  彼女は、表情を崩さない。

「止めるかと思った」
  今の気持ちを口に出す。
「貴方が時間をかけて考え、決めたことだもの。貴方は頑固だから、殺されたって決めたことを貫くわ」
  銃を手にすると共に、目の前に隙間が出来た。
「そうだ、聞きたいことがあるんだ」
  最後に彼女の気持ちを聞きたかった。
「何故俺をここに呼んだんだ?」
  
   彼女は、表情を崩さない。

「綺麗だったから…」
  彼女の言葉に、俺の目が点になる。
「傷つき、倒れても、立ち上がって前に進もうとする生命はとても綺麗な光を放つの。 
  あの時の貴方の生命はとても綺麗に光っていた。 
  今まで見た中で、一番にね。
  それが消えてしまうのは勿体ないと思った。
  それで気がついたら、ね」
 つまり、無意識のうちに隙間を開いてこちらに呼んでいた、ということだ。
「君にしては珍しいな。無意識に、なんてさ」
「それ程綺麗だったのよ。貴方の生命の輝きは」
 
 彼女は、表情を崩さない。

「…じゃあ、俺は行くよ。今まで有難う。とても楽しかったよ」
  彼女の姿を、胸に深く、深く刻む。
 隙間に歩み寄り、中に入る。

「戦争が終わってさ!」
  
  隙間が閉まりつつある中、思いついた。

「俺が国に帰った時さ」

 彼女を忘れぬよう、彼女と約束を交わそうと思った。

「もし良かったら、俺の世界に来てくれよ。その時は色んなところに連れてって、色んなものを紫に見せたいんだ」
  
  
  彼女は、笑った。


「それは、楽しみね」
  
  何よりも綺麗な笑顔。
 
 まさしく女神の微笑み―――


  


   気がつくとそこは、あの戦場だった。
  何一つ変わりない、あの戦場だった。
「…ただいま」
  不思議と穏やかだった。
  爆発音も銃声も軍靴の音も、何も怖くなかった。
  今の俺は死ぬことは無い、とさえ思えてしまう程に絶望は消え、希望に満ち溢れていた。
  俺は立ち上がり、走り出した。
 
   なに、俺は死なない。
 
   皆との約束を、紫と約束を果たすまでは―――






「ああ、ここにいらしたんですか」
  美しい花畑の真ん中で、綺麗な、女性の声が聞こえる。
「あら、藍」
  九尾の狐の尾をもつ女性が、腰を下ろした私の隣にいた。
「あら、じゃないですよ。さっきまで眠っていたのに忽然と消えてしまって。せめて出かけるなら一声かけてくださいよ」
  彼女が心底疲れたような口調で言う。
「あらあら、随分と寂しい思いをさせてしまったようね」
「なっ!? べ、別に寂しくなんかはありませんでした!」
  彼女―――私の式神の八雲藍は顔を真っ赤にさせて反論する。
  そんな反応が可笑しくて、つい笑ってしまった。
  すると藍は諦めたかのように溜息を漏らす。
「そう言えば、よくここにいますけど、何かあるんですか?」
  藍はいつか聞こうと思っていた疑問を口にした。
「…貴方が私の式神になる前にちょっとしたことがあってね。ここは、その思い出の場所なのよ」
  そんな言葉を聞いて、藍の目が点になる。
  その反応はもっともだ。
  幾年の時を生きる大妖怪であるこの八雲紫が、『思い出』という言葉を口にするなんて、私自身も驚いている。
「…さぁ、帰りましょう。お腹が空いたわ」
  そんな驚きを藍に悟らせぬよう、家に帰ろうと歩き出す。
「あっ、待ってくださいよ、紫様~」



   花々は生命を謳歌するように咲き乱れ、風は頬を撫でるように優しく吹き抜ける。

   そんな美しいこの場所を、あの人を感じることが出来るこの場所を後にする。



「まったく、いつまで待たせるのかしら。

  こんなに女性を待たせるなんて。

  本当、失礼な人ね―――」


 















「大丈夫…俺は…俺は…死には…しない…」








◎チラシの裏
傷つき、倒れても、立ち上がって前に進もうとする生命はとても綺麗な光を放つという文を書きたかったのです。
一途な紫様と、哀苦しい愛を書きたかったのです。
立ち向かう男が書きたかったのです。
男が妖忌に輪廻転生する、という事を考えていましたがやめました。
有難う御座いました。

2スレ目 >>241

───────────────────────────────────────────────────────────

時よとまれ、お前は美しい!

私の地上の日々の痕跡は

永劫へと滅びはしない

その幸せの予感のうちに

今味わうぞ、この至高の瞬間を



私は放浪していた

未だ我が従者たる存在無き頃、私は目的も無く、ただひたすらに無為な刻を過ごしていた

スキマから聞こえる声のまま、気まま自在に世界を回り、遊び、人に干渉し、殺し、食らった


そして

それは何時の頃だったろうか

私は声を聞いた

「神だと?、神が何をしてくれる?愛や青春や信仰を返してくれるのか!?」

それは一人の老爺の叫び

「無だ、休みなく考えた挙げ句、神も自然も何も教えてくれぬ、私はたった一人でこの世の未練さえ断ち切れぬ、分からない、無だ!」

神に絶望し、命の未練すら捨てきれずなおも知を求める爺

「悪魔よ!」

…悪魔に心を売るか…面白い

「私は此処に居ますよ」

まるで当然の如く、私は老爺の前に降り立つ

「何が欲しい?何ができる?何でも、金?名誉?権力?青春が欲しい!恋、快楽、情熱、本能、若さをくれ!お安い御用です、青春とやらを差し上げましょう。
 但し条件が・・・、この世では私が、地獄ではあなたが奉仕するということで…」

私は矜持として、己が力を以ってこの男の願いを叶えてやることにした



そして、若返った男と私は世界を巡った

ワルプルギスの魔女と杯を交わし

世界の秩序を作り

あの世の女神を連れ帰り 

そして女を捨て、見殺した

そして幾年月

いつしか私はこの男に不思議な感情が芽生えた

もっと巡りたい

もっと一緒になりたい

彼を■■■■■■たい…

そして…私はそれが『愛している』だと理解した


しかし

「時よとまれ、お前は美しい!」

その言葉を…言ったら魂を差し出すと言った言葉を言葉を吐いた

だから殺した
      ――殺したくなどなかった――
だから食らった
      ――もっと一緒に居たかった――
そして魂を奪った
      ――私は――私―
あぁ、なんて感じだろうか
      ――あぁ…私は…――
そうか…ただ愛していたのではない
      ――私は彼を――

――『殺したいほど愛していた』のだ――







「ま…紫さま…!」
式の声で目が覚める
私は…そう、冬になったから冬眠していたのだった
「あら…もう春かしら?」
「はい…丁度冥界の桜も満開ですよ」
そうだ、このところ毎年冥界の桜を寝過ごしていたのだ
「そうね…これから運動も兼ねて冥界まで花見にでも行きましょうか」
「はい」

…何か懐かしい夢を見ていた気もするが…まぁいい、もう半分くらいあやふやだ
それに過ぎ去ったことなど…もう今の私には関係の無いことなのだから…



過ぎ去っただと! くだらない! なぜ過ぎ去ったなどと?

過ぎ去るも何も無いも 所詮は同じことよ!

われら被造物を無へと引きさらう永遠の創造

そんなもの なんになる?

過ぎ去っただと! それになんの意味がある?

何も無かったのと同じことではないか

何かがあったかのような 堂々巡りの空回り

永遠の無の方がよっぽどましというものだ

















あとがき

…ごめんなさい。
私にはこそばゆい展開は無理でしたorz
短い上にえらく壊れてる…
悪魔よ…私に萌えの文章を書ける力をください…

もっと光を…

>>147

───────────────────────────────────────────────────────────

八雲家に居候して三ヶ月。
俺は居候して初めての危機に陥っていた。

「ごほっごほっ、あーだるい」
困った事に風邪を引いてしまった。
しかも家事担当の八雲家NO2の八雲藍が居ない時にである。
「紫さんがご飯作ると言ってたが、大丈夫かな…」
襖の向こうで調理しているであろう、その後ろ姿を想像しため息をつく。
この三ヶ月間、彼女が台所に立つ姿を見た事が無い。
昔は藍さんに家事を教えたそうだが、今はどうなのだろうか。


「お待たせ、久しぶりだから少し時間が掛かったわ」
料理を載せた盆を持って紫さんが現れた、盆の上には美味しそうなお粥が乗っている。
だが安心は出来ない、肝心の味が分からないから…
何はともあれ、作ってくれたことに感謝の意を伝えないとな。
「紫や、いつもすまないねぇ。お前には苦労をかけっぱなしで、ごほっごほっ」
病人は病人らしく振舞うべしとの計算結果から導き出された結果がこれだ!
さぁ俺の見事な演技に合わせてくれ。
「あら急に老けたわね。人間病気になると弱気になるのかしら」
合わせてくれなかった…
「ほらお粥を作ってあげたから、食べさせてあげる」
演技に合わせてくれなかったショックを受けている脳が、その言葉を理解したのはお粥が口元に運ばれたときだった。
「食べさせてくれる!?熱っ」
そりゃまぁ出来たてのお粥は熱いわけで、当然熱いものを口に入れればこうなるわけである。
しばらく熱さに苦しむが何とか食べる、お粥の味は美味いものであった。
「味はどうかしら?」
心配そうに顔を覗き込んでくる、紫さんの髪から甘い匂いがしてドキッとしたのは内緒だ。
「美味しいですよ、思わず『ハッピーうれピーよろピくねー』ってぐらい美味しいです」
「良かったわ、久しぶりだから心配してたのよ」
本当に心配していたのだろう、紫さんは一安心という感じでため息をつく。
その顔を見ながら、美人に飯を作ってもらえるなんて最高だなと思っていた。


しばらく紫さんの顔を眺める。
「ふふ、私の顔に何かついているかしら?」
しまった、顔を見ているのに気付かれた!
「料理上手だなと感心してただけですよ」
とっさに誤魔化す、見とれていたなんて言えやしない。
「そういえばあなた、恋人とかは?」
何でそんなことを聞くのだろうと思いながら…
「残念ながら、美人の恋人募集中」
自分で言ってて寂しくなった。
「そう意外ね。恋人の所へ帰そうかと思ったけど、ふふふ、なら安心ね」
辺りの気温が下がり、紫さんは妖しく笑う。
「ここに居てもらおうかしら、ねぇ○○?」
さっきまでの笑顔が嘘のような冷たい笑顔に変化する。
でもどこか悲しそうな気がする、答えが欲しいと叫んでいる気がする。
なら答えないと駄目だろう、駄目だったらその時は諦めよう。


「占いなんか信じていなかった、年上に夢中になるって結果が出てた」
「だから…どうしたのかしら」
「今はその占いは当たってるなと思う、ずいぶんと年上だけど」
「え…」
目を丸くする紫さん。
「それに帰りたいならとっくの昔に言ってます」
「ふふふ、あはは、私ったらなんて馬鹿なのかしら。そんなことにも気付かないなんて」
先ほどまでの冷たい空気が嘘のように消える。
「ほんと、ごめんなさいね」
そう言って涙混じりの微笑みを見せる。
「でも告白はしてくれないのかしら?」
少し物足りなさそうに呟く。
「まったく病人に無理させないでください」
今までのやり取りで忘れていたが、俺は本来寝ている病人なんだ。
思い出した瞬間頭がふらついてくる。
「告白は…病気が治っ…たときのお楽しみ……ということで…お休みなさい」
そう言って布団を頭からかぶる。
「楽しみにしているわ。お休みなさい○○」



「これからが大変だな」
部屋から紫さんが出ていったのを確認すると、布団から頭を出す。
自分でも大変な事をしたと思っている、告白とは…
「やるだけやってみるか、まずは風邪を治さないと…」
これから待っている事に期待半分不安半分で眠りにつく。






***************
後書き
読んでいただき、誠に有難うございます。

とりあえず前回の続きと思いきや続きになってねぇeeeeeeeeeeee!!
正直スマンカッタ。

次も頑張るさ。

>>148

───────────────────────────────────────────────────────────

「紫・・・」
「何?」
「愛してるぜ」
「知ってるわよ」

こんな夢を見た

>>332
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