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紫6

最終更新:

orz1414

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管理者のみ編集可
ねえ、そこの貴方、私の言うことを聞いてくれたら助けてあげるけどどうする?
簡単なことよ、それはね……




ワイワイ ガヤガヤ

「おーい!酒が足りないよー!」

パクパクパクパク

「おいしいわね~、妖夢」

「幽々子様、他の人の分も残してくださいよ」


「……まったく騒ぎだけ騒いで後片付けしないで帰るのよね、こいつら」

「なんだよ霊夢、折角の宴会なのにため息なんてついて」

「後片付けのことを考えたら自然とため息が出てくるのよ
 それより○○が来てるってことは……」

「ああ、紫様も藍も橙も一緒だよ
 それより台所借りてもいいか?おでん作ってきたんだけど温め直そうと思ってさ」

「構わないけどおいしいの?」

「ああ、紫様御墨付きだぜ」


そういうと台所の方へ歩いていった
彼の名前は○○で紫の式だ
以前藍に聞いたのだがどうやらわざわざ外の世界から連れてきて式にしたそうだ
しかもご丁寧に特別な式をつけ水を被っても式が離れないと代物らしい


「でもなんだって紫は○○を式にしたのかしらね」


見た感じ○○は能力のない普通の人間だ霊力だって常人程度しかない
身体能力は優れているがそれはあくまで式として底上げされた能力で体術の方は素人同然だ
時々振舞ってくれる外のお菓子や料理はおいしいがそれなら外の料理人を式にするか藍に覚えさせた方がいいと思う

「なにか変な事考えてるんじゃないでしょうね」

「あら、知りたい?」

「!!??いきなり出てこないでよ」

「細かいことは気にしないの、それより知りたいんでしょ?
 私が○○を式にした理由」

「まあね、あんただからどうせ碌でもない理由だろうけど」

「酷い言い草ねぇ、私が○○を式にした理由、それは○○の能力が関係あるわ」

「○○の能力?」


それはおかしい○○は能力なんかないはずだ
○○自身も自分は能力が無いと言ってた


「まだ完璧に発現したわけじゃないから分からなくても無理は無いわ」

「で?○○の能力があんたが○○を式にするのに何の関係があるわけ?」

「大有りよ、○○の能力はね「精神を攻撃する程度の能力」よ」

「その能力だとなにか問題があるの?」

「ええ、この能力は人間より妖怪に効果が高いわ
 妖怪は肉体面では強いけど精神的なものに左右されやすいわ
 つまり○○の能力は妖怪の天敵なのよ」

「成る程ね、だから○○が将来その能力を制御して妖怪の天敵になる前に自分の手元において監視しよう
 と言う訳ね」

「そうよ」


でもそれなら殺してしまったほうが早い
それに○○もわざわざ式にされてまで幻想郷に来たいと思わないだろう
となると


「無理矢理○○を式にしたわけ?」

「人聞きが悪いわね、ちゃんと本人の同意の元よ
 少し条件があったけど」

「条件?」

「ええ、○○には病気の妹がいてね、その妹の病気を治す代わりに私の式になったのよ」

「…………脅したの?」

「まさか、妹さんの病気は外の医学でも治らないほどの難病で
 私が境界を弄るか竹林の薬師ぐらいじゃないと治せないほどの病気だったのよ」

「……まあいいわ、あんたが何を考えてるか知らないけど少なくとも幻想郷をどうこうしようって訳じゃなさそうだし」



そういうと霊夢は他の場所に去って行った

「でもね、霊夢、私が○○を式にしたのはもう一つ理由があるのよ」

私のあの能力を知っている、私が唯一愛した人が持ってた能力だ
そしてその能力を持ってる○○こそ私が愛した彼の魂が転生したものだ
彼が転生するのをどれだけ待ち焦がれただろう、彼に会えた時どれだけ私の魂は歓喜しただろう
絶対に離さない、その為にわざと○○の妹の境界を弄り病にし
特別製の式を○○に付けたのだ、あれは魂に定着して例え死んでも私の命がある限り私のものとに還って来る性質がある

「うふふふふ、もう離さないわ○○、もう少し経ったら、妖怪にしてあげるから
 一緒に生きましょうねうふふふふ、あは、あはははははは!!!!」


>>うpろだ541

──────────────────────────────────────────────────────────────

また今日も陽が沈む。




夕暮れ時の里はとても静かだ。
薄っぺらい足音を立てながら木の葉の上を歩いて人気のない通りへ行く。



そしてそのまま小さな林の入り口へ。
右に曲がり、涼しそうに開けた場所へ足を運ぶ。

西日が差し込んで赤く染まったそこは散乱した美術道具で雑然としていて、
そのもっと奥、小さな木の木陰に(そこは彼の定位置だった)○○は一人でうずくまって何かをしていた。



「・・・・・○○」



ふわりと歩いて○○の前に立つ。

長く伸びた前髪が顔を覆って、彼が何を見ているのか考えているのかさっぱり分からない。
ただ、鼻先がくっつきそうなほどに顔を寄せて、彼は質の悪いクロッキーに鉛筆で何かを書き込んでいく。


○○が鉛筆を持つのは絵を描くときくらいで、そして彼は最近マヨヒガにも寄り付かず、一人になれる場所で一心不乱に絵を描いている。


彼がこの世界に来る前に絵を描く仕事をしていたとは聞いていない。
だが前々からこうして私に美術道具をねだっては時折気まぐれに絵を描いていた。

それは凝った油絵であったり、走り書きのようなデッサンであったり、柔らかな水彩画であったり、
はたまた何でもないようなイラストでもあったけれど。


最近の○○が描くものは、ひとつきりだ。




「○○」
「・・・・・・」




神がかっていると思ってしまうようなほどの速さで黒い線が書き足されていく。
神経質そうな、細く色の薄い線だ。

そうやって絵を描く○○の真剣そのものな瞳は私の好きなもので、こうして我を忘れて絵に没頭している彼を見るのは私のささやかな楽しみだった。

・・・それももう、昔の話だけれど。




細かく動く手のひらと、さらさらと揺れる黒髪を眺めながらいつ彼が気付いてくれるだろうと心待ちにして待つ時間は、
そういう行為が苦手なはずなのに何故だか不思議と苦ではなかった。

○○が顔を上げて深い黒の瞳がゆっくりと夢から覚めるようにして私を見つめて認識をして、
そうして穏やかに小さく微笑むのを見るのが私は好きだった。


その瞬間だけは外の世界も時間も全てを忘れてこの世界に私と○○の二人しかいないような錯覚に陥る。


彼の黒い目が真っ直ぐに私だけを映し出す瞬間が、たまらなく好きだった。





「○○」
「・・・・・・」


「・・・○○っ」
「・・・・・・・・・・・・・・・ゆか、り?」





瞬きを一つ。そうして小さく笑う。



彼がさりげなく閉じたクロッキーに何が隠されているのかなんて知っているから、どうしようもなく苛々する自分がいた。


初めに○○の側にいたのは他ならない自分なのに。
彼の側に一番最初にいた幻想郷の住人はきっと、いや間違いなく私だ。
それは自信を持って言える。


けれど私が自信を持てるのはそこまで。


それが何?後から出てきた女に、あんなものに。




「○○、最近私のところには来ないのね」
「ああ、そうだな絵ばっかり描いてるもんな。一人のほうが集中できるんだ」




私があげた真新しいクロッキーはそれでも角がぼろぼろで、
○○が暇さえあれば誰にも見られないように隠しながらずっと絵を描いている事を知っている。

○○の記憶力はいい。
相手が相手なら尚更だった。


飄々とした瞳も、風にはためく赤い巫女服も、柔らかくなびく黒髪も、実は優しい唇も。
多分間違えようもなく、○○は持てる限りの記憶を総動員してそれを描きあげるのだろう。

まるでそれに全てを捧げるかのように。

それは私が一番嫌な事だったけれど、それを奪ってしまう事は出来なかった。


それだけは、○○が嫌がった。




「ねえ、私の事も描いてくれないかしら」

「・・・・紫」

「私の事は描けないの?その子はいいのに?」




さっと、○○の顔色が変わる。


どれだけ側にいると思ってるの?
貴方が笑いながら誰かを好きになったと私に告げるたびに私がどんな思いをしているか知ってる?

知るわけないわよね、そうやって振舞ってきたのだから、私は。


私は、それでも貴方が好きで愛おしくて大事にしたいと願ってて何が貴方を一番傷つけるか知っているからその最後の一歩が踏み出せないだけで、
本当はどこかに閉じ込めて私だけ見るように仕向けてしまいたいと思うほどに、好きなのよ。




「紫・・・・・どこで、見たんだ」

「見なくても分かるわ、○○が何を見てるかくらいね」




私の目の前には○○がいて○○の先にはあの子がいた。


まだたった一年ほどの付き合いだけれど、
その視線一つで○○の心なんて読み取れるくらいには私は彼の事を知っているつもりだ。

(少なくともあの子よりは)

それを貴方は下らない虚栄心だなんて笑うのだろうけど、決して私を友人以上として見る事のない貴方にそんな事を言える権利なんてあるのかしら。


(私が、誰の為を思って。他ならない、貴方を思ってそうしている事を貴方は何一つ知りはしないのに)




「気に入らないわね」

「・・・・・・・・」

「本当、気に入らない」

「・・・・・・・、」

「何か言ったら、どうなの。○○」

「紫」




輝く目をして、私を真っ直ぐに睨む。


どうして私じゃないのなんて聞かない。近すぎたのだ、私たちは。
他人として接するにはあまりにも長くあまりにも近く、それ故の特権というものもあったけれど、
それで私が貴方に特別と見られないのならそんなものは要らなかった。


ただ、どうしてと問いかけるのならばそれは私でなかった事でなく、どうしてあの子だったのかという事だ。

(敵わない、と思った。この私が。少なくともそう簡単にその子には敵わないのではないかと)




「貴方は馬鹿よ」


そうしてこんな状況になって尚、否。
なっているからこそ余計に好きだとすら言う事の出来ない私は臆病者。


「何言ってるんだよ、紫?」

「本当に、馬鹿ね」




彼が大事そうに抱えていたクロッキーを奪って開く。
○○の目が大きく見開いて思わず立ち上がったのを視界の端に見た。


中を暴いてそのページを破りとって千切る。
白い面の上で形を成していたそれは小さな破片になった途端意味を成さない線の集まりにしか過ぎなくなった。


伸びてきた腕を避ける事をせず、そのまま力任せに木に押し付けられた。
その振動に木の葉がはらり、はらりと落ちてくる。


「・・・・・紫」


ああ、貴方でも怒るのね。そんな顔をしてあの子のために。私には決して向けない顔で。



「紫」
「○○」



それでも好きという一言を言えない私は本当に臆病。(告げて拒絶される事に怯えている)









辛うじて残ったクロッキーの一枚には私のよく知っている人間が描かれていた。
繊細に、丁寧に、描かれたそれは宴会や妖怪退治でよく見かける博麗の巫女だった。


狂おしいほどの○○の恋心がそこにあるのが嫌でも分かって、私はただ泣きたくなった。









(この心が潰れる程に貴方を愛しているのに。いつか私はその深すぎる嫉妬ゆえ死ぬのでしょう)

>>うpろだ566

──────────────────────────────────────────────────────────────

「すいませーん、○○ですけど……」

マヨイガにある一軒家の扉を叩く
ここにくるのも久しぶりだな……

初めて来たのが紫さんに幻想郷へ連れて来て貰った時

その後、俺が自立して人里で暮らすようになって以来、ここへ来ることは無くなった

たまに用があっても、スキマを使って紫さんの方から会いにくるから、俺から出向くことはなかったのだ


「あぁ、○○か。すまないな、寒い中わざわざ来てもらって」

程なくして、藍さんが出てきた

家主である紫さんの式……なのだが、この家を仕切っているのは実質藍さんなので、正直紫さんよりよっぽど家主に見える

藍さんが居なかったら、紫さんはちゃんと生きていけるのか怪しいくらいだ

「いえいえ、それより今日はどうしたんですか?」

挨拶もそこそこに、ここに呼び出された理由を聞く

自立してからも、紫さんと藍さんにはちょくちょく会ってはいたが、今日のようにわざわざ呼び出されるのは初めてだ

「あぁ、なんでも、紫様がお前に話があるらしくてな」
「紫さんが……ですか?」

どういうことだろう?
いつもは紫さんの方から会いにくるのに

「珍しいこともあるんですね」
「あぁ、紫様はそろそろ冬眠するのでな……
最近はスキマを出すのも億劫らしい」
「あぁ、それでですか」


すっかり忘れていた
紫さんは冬になると冬眠するのだ

紫さんがスキマを使えないなら、どちらかが直接会いにいくしかない訳だ

「本来なら、こちらから足を運ぶべきなのだが、紫様がどうしてもお前と二人で話がしたいと仰るので…」
「俺と……?一体なんだろう」
「まぁ、とにかく上がってくれ。紫様が待っている。」

紫さんが俺を呼んで話したいこと
それが何なのか考えても分からなかったし、寒い中歩いてきて体も冷え切っていたので、家に上がらせてもらうことにした











「お邪魔しまーす」

一応挨拶をしてから家に上がる

前に来たときから変わってないな…
まぁ当たり前か

「あ、お兄ちゃん!」
家に入って早々、藍さんの式である橙に出迎えられる
初めてここに来て以来、妙に懐かれている

俺が八雲家にうまく溶け込めたのは、橙の存在が大きかった

見ず知らずの俺に最初から自然に接してくれたのが橙だったし、俺も妹が出来たみたいで嬉しくて、よく一緒に遊んでいた

…まぁ、弾幕ごっこに付き合わされて死にかけたりもしたが

「おぉ、橙か。久しぶりだな」
そういえば橙には自立してから一度も会ってない

「もう!お兄ちゃん、全然会いに来てくれないんだもん!」
「ご、ごめん。あっちで暮らすようになってからいろいろ忙しくてさ…」
「む~…。でも、藍様と紫様には会ってたんでしょ?…もしかして、私のこと嫌いになっちゃった?」
「い、いや、そんなことはないよ!」

慌てて否定する
まずいな、橙は俺が会いに来なかったことを気にしていたのか…
自分のことで忙しかったのも事実だが、ちょっと考えが足りなかったな…

「…ほんとに?」

「あぁ、本当さ。あれから仕事とか忙しくて、ここまでくる時間が取れなかったんだ。だから藍さんや紫さんの方から来てもらっていただけで、決して橙が嫌いになったとか、そういうのじゃないよ」
「……」
「それに、今日は久々に橙と遊べると思って、楽しみにして来たんだ」

「え?」
「だから、そんな顔しないで、もっと笑って欲しいな」
「うん!…ごめんね、お兄ちゃんを疑うようなこと言っちゃって」
「いや、いいんだよ。会いにこなかった俺にも責任があるし」
「ううん、私こそ…「いいや、橙は何も悪くない、俺の責任だ。だから、今日は今までの遊べなかった分、思いっきり遊ぶ……それで許して貰えるかな?」
「…うん!絶対だよ、お兄ちゃん!」

はじける様な笑顔になる橙
うん、やっぱり橙には笑顔が一番だ

…しかし、俺はちょっと考えが足りなかったな
橙に寂しい思いをさせていたとは…
こんなことにも気付けなかった自分が腹立たしい


「それじゃ、俺は紫さんに会ってくるよ。あんまり待たせちゃ悪いし」
「うん。それまで待ってるから、終わったら、遊ぼうね!」

そう言って勢いよく駆けていく橙

寒いのに元気だなぁ…と後ろ姿を眺めていると、藍さんが隣に立った

「橙が迷惑をかけるな…重ね重ねすまない」
「いえ、そんな…。今回は俺にも非がありますし」
「そう言って貰えると助かるよ。それに、橙のあんなに嬉しそうな顔を見るのも久しぶりだ」
「これからは、出来るだけこちらに顔を出しますよ。橙に寂しい思いはさせたくないですし」
「そうか…。ありがとう」










その後、藍さんと会話しながら、紫さんがいる居間に通してもらった

「お久しぶりです、紫さん」
「いらっしゃい、○○。ここに来るのは、大体半年ぶりかしら?」

半年
俺が幻想郷に来てからもうそんなに経つのか

「まぁ、立ち話もなんだし、座りなさいな」
「はい。失礼します」

そう言って、こたつの中へ足をいれる
温かい……
冷え切った体が温められ、自然と頬が緩んでしまう

「ふふ…。外は寒かったでしょう?」
そんな俺を見てか、紫さんがからかうような笑みを浮かべる
「ええ…もうすっかり冬ですよ。早いものですね」
「そうね……」

ふと、紫さんの瞳が寂しそうに細められる
どうしたのだろう…?

「○○、お茶はいかがかしら?」
「え、あ、はい。頂きます」

…なんだかいつもと様子が違うな
いつもなら、お茶を入れるのは藍さんの役目で、紫さん自らお茶を入れることはまずない

「はい、どうぞ」
「あ、ありがとうございます」

お茶が入った湯のみを受け取り、ゆっくりと口に含む
そして、その熱さと苦さに思わず顔をしかめてしまった

「ふふ…」
紫さんは、その様子を笑顔で眺めている

やっぱり、何かおかしいな…
うまくは言えないが、今日の紫さんは少し様子が変だ


ひょっとして、今日俺に話したいことと何か関係があるのだろうか?
そう思った時には、自然と口を開いていた

「ところで、俺に話があるって、一体…」

そう言った途端、紫さんは笑みを消して俯いてしまう

おいおい、紫さんに何があったんだ?
俺は今までこんな紫さんは見たことがないぞ

もうすぐ冬眠するらしいが、それに関係しているのだろうか?

「……………」
「……………」

居間が沈黙に包まれる

「………ねぇ、○○?」

その沈黙を破ったのは、紫さんだった

立ち上がり、俺の目の前に移動してくる
さっきまで俯いていた瞳は、今は真っ直ぐに俺を見つめている

「………はい」

一体、紫さんは俺に何を言おうとしているのだろうか?


「この冬の間……この家に居てくれないかしら?」
「………え?」

突然の紫さんからの申し出
それは、俺が全く予想していないものだった

「あなたが居てくれれば……藍にかかる負担も軽くなるし、橙も喜ぶわ。私も安心して冬眠できるし……」
「はぁ…」

正直、もっと重大なことを言い渡されると思っていたので、拍子抜けしてしまった

「それで…どうかしら?」
「……申し訳ありませんけど、」

俺には仕事があるし、冬の間、自分の家をほったらかしにする訳にもいかない
マヨイガから仕事に通い、自分の家も管理する、というのはただの人間である自分には流石に無理だ
その旨を紫さんに話し、断ろうとしたのだが……


「どうしても……どうしても、無理かしら?」
「はい……本当に、申し訳n……!!?!」


次の瞬間、紫さんは俺に抱き付いていた
女性に、それも紫さんのような美しい女性に抱きつかれるような経験など当然無かったので、俺の頭は混乱してしまう

「え、ちょ……ゆ、紫さん!?」

「お願い……あなたがいないと……不安なの……。あなたが……どこかへ行ってしまうのは、嫌なの……!」
「……紫さん?」

紫さんは今、なんて言った?
俺がどこかへ行ってしまうって……?

「私が眠っている間に……あなたは私じゃない誰かところへ行ってしまうかもしれない……。そう考えると不安なの……!」

紫さん……
泣いて、いるのか?
そんなまさか
幻想郷最強の妖怪である紫さんが、ただの人間である俺の胸の中で?

「お、落ち着いて下さい、紫さん。俺はどこにも行きませんから」
「あなたは……やっぱり気付いていないのね」

気付いてない……って?
一体何に?

「あなたは……いろんな人から求められているのよ?」
「俺が……いろんな人に?」
「紅魔館の吸血鬼のお嬢様から、永遠停のお姫様から……そして、幽々子からも」

まさか
どれもみんな、俺と接点はあるものの、恐れおおくて近寄れないような人物ばかりじゃないか

「信じられないかしら?……無理も無いわね、あなたは……鈍感だから」
「…………」
「私が眠っている間に、あなたが誰かのものになってしまったら……と考えると不安なのよ。目が覚めて、そこにあなたが居なかったらと思うと、怖くて……!」

知らなかった
俺が、幻想郷の重鎮達から目を付けられていたこと
紫さんが、俺に向けていた想い
そして、紫さんは……幻想郷最強の妖怪である前に、一人の女性なのだ
誰よりも強くみえて、でも心はとても繊細で……

「紫さん……」
「なに……かしら?」

だから俺は、

「少し、時間を下さい。事情を説明して、休暇を貰ってきます」
「……え?」

彼女の想いに応えなければならない

「俺……紫さんが冬眠してる間、寂しくなるなと思ってたんです。でも、ここで紫さんが起きるのを待ってるなら……えと、まだ寂しくないかなと……じゃなくて」
「…………」
こんな時、うまい言葉を見つけることが出来ない自分を呪いたくなる

ええい、もうどうにでもなれ!

俺は紫さんを真っ直ぐに見つめて、
「紫さん、俺、あなたのことが好きです!愛してます!俺は他の誰のものにもならない!だから、あなたのそばに居させて下さい!」
言った
言ってやった
今までずっと胸に秘めてきた俺の想いを

そして紫さんは、再び俺の胸に抱き付いて、
「……今の言葉は、本当?」
「本当です」
「私が目を覚ました時、あなたは…ここにいてくれるかしら?」
「勿論です。俺はどこにも行きません。」
「そう……。ありがとう、○○……私も………」


…………………


あれ?

「紫さん?」
「スー、スー…」

「冬眠、しちゃったか…」

まだ返事、聞いてないのに

「まぁ、目が覚めてからでいいかな」

そうだ、返事は冬が明けて紫さんが起きた時に聞けばいい

「おやすみ……紫」

早く春が来ないかなぁ………

11スレ目>>65

──────────────────────────────────────────────────────────────
しとしと
紫「梅雨の季節は分かるけどいいかげんやまないかしら
  流石に毎日降ってたら鬱陶しいわね」
○「いっつもぐうたらしながら寝てるくせに何言ってんだwww
  あんまりぐうたら寝すぎるとこの天気だとカビ生えるぞwwww」
紫「心外ね貴方と結ばれてからぐうたらしてるつもりはないんだけど?」
○「…………その言い方はずるいぞ、何も言えなくなるじゃないか」
紫「あら、本当のことを言っただけよ」

○「そ、それはさておき雨も中々いいと思うぞ」
紫「私は最初から悪いなんていってないわよ、ただ降りすぎるのは問題って言ってるだけよ」
○「まあ降ってるもんは仕方ないし今日のところは雨の音を聞きながら二人で酒でも飲もうや」
紫「私は貴方とお酒が飲めのなら昼間でもいいわよ」
○「あーーーーーもうっ!恥ずかしいからやめてくれ!」
紫「そうだわ♪飲んだ後は一緒に寝て頂戴ね♪」

○「な、なんななななんですとぉーーーーーー!?」
紫「うん、名案ね貴方が横で寝るならちゃんと起こしてくれるでしょ?」
○「お、おのれぃ、さっきぐうたらって言った仕返しのつもりか?」
紫「半分はね、もう半分は本当に貴方と一緒に枕を一緒にしたいのよ」
○「…………卑怯だぞ、そんな言い方されたら断れないだろうが」
紫「うふふふ、知ってるわよ、だから私は貴方が好きなの」

ゆかりんに遊ばれてる感じで

8スレ目 >>22

───────────────────────────────────────────────────────────

我輩はスキマである。
個体識別名称たる名前は無い。
そもそもただの現象であるスキマなどに思考は必要ないのだが、
我が主の八雲紫による戯れによりできてしまったのが私である。
意識があるといっても伝える口はなく聞き取る耳はなく
ただ、紫の話相手になる程度の能力しか持ち合わせていないが。

さて、私が生まれてから私は紫といろいろなことを話してきた。
時には昔のこと。
大妖怪たる紫は、昔月に攻め入ったらしい。
結果は惨敗、と言っていたがその話を一生懸命している
紫をみているとなにか暖かくなる感情を覚えた。

時には友達のこと。
幽々子という友達ができたらしい。
どこか抜けている性格で沢山食べるいい子だと言っていた。
よく幽々子に会いに何度もスキマを開かれた。
その時からだ、私にリボンが結ばれるようになったのは。

時には式の話。
新しく式を迎えるらしい。
藍という名の妖怪で、才能があるので鍛えがいがあると自慢していた。
才能はお前以上か?と聞くと
「あら、ずいぶん失礼なスキマですこと。」
と拗ねられた。
どうにもこの時の紫は苦手だ。
冬眠の際は寝るまで数日話続けたかもしれない。

いろいろ話をしたもんだ。
今では並の妖怪より知識をつけている自覚はある。


しばらく前のこと
紫の住みかに人間の男が迷い込んだらしい。
ほぼ間違いなく私の仕業に間違いないのでお詫びしたかったが
あいにく私には何かする体はないので紫に頼んだ。

そして最近紫はその男のことばかり私に話す。
晩酌を一緒にしたらすぐ寝てしまったとか
風呂に乱入したら顔を真っ赤にして可愛かった等々。
その話を聞いて私は紫はこの男に
恋愛感情をもっているんだなと理解した。
それと同時に二つの感情が渦巻く。
安心感と嫉妬だ。
どうやら私は紫のことを父性的にも異性的にも好きらしい。
しかし私はスキマだ
これ以上の感情は必要ない
相手の気性を観察。
どうやら紫とはうまくやっているようだ。
もう話相手といての私は必要ないだろう。
私は消滅を決意した。

紫が私になにかいっているがもう聞き取ることはできない
紫と疎通できるほどもう意識は残っていない
最後に一つだけ言わせてくれ

紫、どうか幸せに………

8スレ目 >>72

───────────────────────────────────────────────────────────

     偉大なる先達たちのイチャイチャっぷりに耐えきれずカッとなって書いてみた。
    今は全く反省していないです。
    3年ぶりくらいにSS書くのでかなり文章が拙いと思いますが許してくださいごめんなさい。

    ―1―
    「藍さん、夕食の食材を買ってきましたよ。」
    「ああ、ありがとう。全部台所に置いておいてくれ。」

    ここは幻想郷のはずれにあるマヨヒガ。

    俺がこの世界に来てから何ヶ月経っただろうか。
    数ヶ月前、家の近くにある森林を散策していた俺は迷子になり、何時間も歩き回った結果 このマヨヒガに迷い込んでしまったのだった。
    妖怪たちから見れば、その時の俺はまさに鴨がネギを背負って歩いているようなものだったのだろう、いきなり数匹の妖怪に襲われ、かろうじて逃げ切れたものの受けた傷はあまりにも大きかった。
    全く体を動かすことができずに このまま死んでいくのかと絶望しかかっていたが、たまたま通りがかった藍さんに助けられて以来、俺は この屋敷で働いている。

    仕事は主に洗濯、掃除、買出しなど 平たく言えば只の家事手伝いだ。
    ただ、料理はあまり得意でないため、藍さん任せになっており、また 体の傷があるためにあまり激しい作業はできなかったが。

    正直、この屋敷に連れてこられた時はまともに息をすることすら難しかったが、幻想郷一の薬剤師の薬を飲み静養した結果、
    妖怪に襲われた傷は、ほぼ完治しかかっていた。

    ―2―
    「ふぅ……」

    俺は屋敷の裏山にある見晴らしのいい高台に座り、一人ため息をついていた。
    幻想郷最強とも謳われる 紫 様がいるため、この付近には妖怪は寄ってはこない。
    そして、藍さんたちも特に目的がなければこの山には来ることはない。
    言うなれば ここはマヨヒガの中でも人気のない場所。
    いつしか、唯一落ち着ける場所となっていた。
    そして俺はいつものように思いを馳せる。

    ――――― 帰りたい……

    それは、この幻想郷に迷い込んだ時から幾度となく思ったこと。
    別に元の世界にそれほど未練があったわけでもない。
    両親は事故で既に死んでしまっているし、恋人がいるわけでもない。友達も多いほうではないだろう。
    かといって、今の生活に不満があるわけではない。
    藍さん も、彼女の式神である 橙 も俺によくしてくれる。
    ある理由さえなければ、一生ここで暮らしてもかまわないとさえ思っていた。

    その理由とは――――――『彼女たちの主は人間を喰うこと』だった。

    一度喰われかけた恐怖は体に残る傷とともに俺の心にも深い傷を残していた。
    そして、紫 様が人を喰うと藍さんから聞いた時から、消えることのない恐怖と不安が常に俺を苛んでいる。
    まだ喰われてはないが、正直いつ喰われるのかと気が気でならず、落ち着かない。

    その落ち着かない気持ちを消すために、どうにかして元の世界に戻ろうと考え藍さんに聞いてみた結果、意外なことがわかった。
    この幻想郷は入るのは難しいが、俺のようにイレギュラーな存在……つまり、外の世界から侵入した者が出るのはそれほど難しくないらしい。
    それを聞き、俺は幾度となく元の世界に帰ろうとしている。

    だが――――――

    「また帰りたいと思っているのかしら?」
    「!?」

    突然の声に驚き、振り返ると
    そこには金色の髪を持つ女性が白い傘をさして立っていた。




    ―3―

    「この近くは ほとんど妖怪は出ないけれど、それでも一人で出歩くのは感心しないわね。」
    「……紫様。」

    体が強張り、血の気が緩やかに引いていく。
    境界を操る妖怪…八雲 紫 様。
    藍さんと橙の主人であり、そして俺をここに束縛させている女性。
    そう、俺は幾度となく元の世界に帰ろうとしたのだが、この方が境界を操り俺を帰してくれなかったのだ。

    「すみません……」
    「隣、いいかしら?」
    「……どうぞ。」

    紫 様が俺のすぐ側に座る。
    落ち着かない。怖い。恐ろしい。
    言葉が紡げない。何か喋った瞬間に生きながら喰われるかもしれない。
    紫 様は何も喋らない。俺が何か喋るのを待っているのだろうか。
    恐怖と沈黙に耐えられなくなった俺は、今まで聞きたかったが一度も聞けなかったことを聞いてしまった。

    「紫 様……俺は いつ食べられるんですか…?」
    「え?」
    「あなたは人を食べられるのでしょう……だから俺を元の世界に返さないのでは…?」

    紫 様は しばらく考えた末、邪気がまるで感じられない笑顔を作って言った。

    「そうね……あなたの傷も癒えたようだし、今夜あたり藍に頼んで人鍋を―――――」
    「……っ!」
    「なんてね、冗談よ。」

    冗談と言われても落ち着けない。心臓が爆発しそうなほど早鐘を乱打している。
    紫 様の表情には邪気がまるで感じられないが、今はそれが余計に恐ろしかった。

    「安心なさいな。あなたを食べる気は無いから。」

    そんな俺の心を見透かすように紫様は言った。

    「……何故ですか?」
    「そうねぇ…あなたが気に入ったからかしら。」

    クスクス笑いながら紫様は答える。
    初めて女性から……それも紫 様のような美しい人に「気に入った」と言われ顔が赤くなると同時に、紫 様の言葉に少しだけ安堵感を覚える。
    しかし、そこでふと妙な疑問が浮かんだ。

    「俺が気に入ったのなら……何故 あなたは俺の心の境界を操らないのですか? あなたの力なら俺に『帰りたくない』と思わせることも簡単では……」

    彼女がその気になれば、俺に「ずっとこの場所にいたい」と考えるようにさせることも容易だろう。

    「馬鹿ねぇ…私は人形遊びがやりたいわけじゃないわ。」

    どこかの魔法使いと違ってね。と紫 様は付け加える。

    「私は、あなた自身が気に入っているんだから。」
    「……」

    場の雰囲気を固くしていた俺の恐怖が消え、緊張がほぐれていく。
    ゆっくりと、だが確実に場の雰囲気が和らいでいった。

    「……少し、安心しました。ありがとうございます。」

    安堵のため息をつき、安心させてくれたことにお礼を言う。
    紫 様の言っていることをすべて真実として受けとめることは……すぐには無理かもしれない。、
    けれど、この方に対しこれまでのような強い恐怖を感じることはもう無いだろう。

    「そう、安心してもらえて何より。」

    紫様は朗らかに笑いながら言った。
    ひょっとして、俺を安心させるために この山まで来たのだろうか?
    そう考えた瞬間 ―――――

    「でも……」
    「?」

    紫 様の目が妖しい光を帯び、ゆっくりと歩み寄ってくる。
    妙な恐怖を感じ、俺は紫 様から離れようとしたが……

    「か…体が・・・!?」

    動かない。指先を微動させることすらできない。

    「別の意味で食べてしまうのも 悪くないかしらね。」
    「『別の意味で』って……ちょっ…紫 様!?」

    紫 様が醸し出す妖しい雰囲気に飲まれていきながら、俺は再び喰われる恐怖を味わうとともに 心が緩やかに高揚し、心臓が早鐘を打ち始めるのを感じていた。

    「私は、気に入ったものは側に置いておく性格なの。」

    そして、俺の両の頬に 紫 様の白く奇麗な両手が添えられて――――――

    「だから、私の側から離れることは許さないわ。」

    紫 様の柔らかく艶やかな唇に、俺の唇は奪われて――――――

    「心の境界を操らずに……私の虜にしてあげる。」

    紫 様に、身に纏っていた上着を肌蹴られて―――――

    そして、俺は 紫 様に肢体を貪られていった。

8スレ目 >>75・76

───────────────────────────────────────────────────────────

藍「紫様、ご飯が……何をしてるんですか」
紫「スキマで外を見てるの」
藍「あの者は?」
紫「〇〇っていうのよ。かわいいでしょう?」
藍(外で言う“こーこーせー”じゃないか。赤子だったらまだ分かるんだが)

〇〇『ヘぷち(くしゃみ』〇〇『だ、誰も見てないよな(キョロキョロ』
紫「……(恍惚」
藍「……」
〇〇『ウェーイ』
紫「■れた」
藍「………へ?」
紫「ちょっと掠ってくるわ」
藍「家に住ませるのはダメですよ。家には余裕がありませんから」
紫「……ダメ?」
藍「ダメです。さ、橙が待ってますから行きましょう」

ズリズリ
紫「イヤーヒキズラナイデーー」

8スレ目 >>159

───────────────────────────────────────────────────────────

「ふぅ・・・」
そんな深刻なため息、紫さんらしくないね。霊夢達はもう帰ったの?
「ええようやく。あの子達、私を神様か何かと勘違いしてるのかしら?私だって万能じゃないのよ、ねえ?」
ってことは、本当に今回の異変の原因は分からないのか。
「そうよ。完全にお手上げってとこね。」
だったらもうちょっと慌たりしもいいんじゃないの?あんな言い方じゃ霊夢だって納得できないでしょ。
「だめよ。ただでさえ皆不安になってるのに、私まで取り乱すわけにはいかないでしょう。これでも最強とか呼ばれてるんだし、強さ故の責任ってやつね。」
なるほど、大変なんだね。
「そう、大変なの。本当は今にも泣き出したいくらいにね。」
胸なら貸すよ?
「言ってくれると思ったわ。でも今はいいの。ここで甘えちゃうと、しばらく離れたくなくなっちゃうから。」
そか。じゃ今から出かけるの?
「さすがに無視できる状況じゃないし、なんとか手がかりだけでも・・・ね。」
わかった。晩飯は用意しとく。
「ありがと。それじゃまたね。」
うん、行ってらっしゃい。

8スレ目 >>287

───────────────────────────────────────────────────────────

紫 「特別な結界を用意してあげたわ。私しかわからず、私しか触れられない。どうかしら、もう私を愛するしかないでしょう?」

8スレ目 >>318

───────────────────────────────────────────────────────────

「やぁ紫、久しぶりだね・・・三百年といった所かな」
「○○、ほんと、久しぶりね」
二人の妖怪が、対峙していた
真夏だと言うのにその空間にはセミの声も、森のざわめきも、存在していなかった
「君は、まだこの箱庭を観続けていたいのかい?」
「箱庭ね・・・此処は既に私の手を離れた、私や貴方のような存在が思うままに出来るようなセカイではないのよ」
「・・・君は変わった、昔はそんな事を・・・変わったのは俺なのか、そうか、そうだったのか」
「変わらないものなど無いわ、貴方も、私も」
「何時までも変わらないと思っていたものは、常に変わり続けていたのか、この気持ちも」
「・・・」
「君と出会って、君と過ごしていた四百年間、そしてこの三百年間、いまだにこの気持ちは変わらないよ、永遠ではないかもしれないが、此処にその恋心が在った事を、忘れないでくれ」
「○○!?」
一人の妖怪が自決した、残ったのは妖怪の服と灰
残ったのは一人の妖怪と、その瞳から溢れる大粒の涙

8スレ目 >>674

───────────────────────────────────────────────────────────

     私は【自称】人間である、名前は八雲○○。
    今から数えるのも阿保らしくなる位昔の事――――四捨五入して三万年程か
    私は魔法使いやら吸血鬼やらが住むこの幻想郷に迷い込んだ。
    私が何故其れほど長生きしてるのかは………
    説明すると長くなるので割合しよう、年を取ると話が長くなっていけない

    最近の幻想郷はヤケに賑わっていて、外からたくさんの人間が来る
    お前は人間じゃないのかだと?……昔は人間だったが今は違う
    人を喰らい、悪さをすると一般的に呼ばれる物の怪の類だ。

    もちろん人間を辞めてからも食人等はしていない、試そうと思ったが反吐が出たので辞めた。
    さて、そんなどうでもいい自己紹介は置いといて最近の幻想郷の情勢でも語ろうか。

    私の情報源は大体は村人の噂話か鴉天狗達の新聞だ、大抵は誤報だが

    曰く―――博霊の巫女の心を射止めた男が居るらしい
    曰く―――森の魔法使いと人形使いには優しい恋人が居るらしい
    曰く―――永遠に紅い吸血鬼姉妹に愛される一人の人間が居るらしい
    曰く―――亡霊の姫君の城には料理と姫君に命を捧げる男が居るらしい
    曰く―――閻魔と互いに一目惚れして仲良く暮らしている男が居るらしい
    曰く―――赤ん坊の頃から知っている天狗の少女に大切な人ができたらしい。


    曰く―――――止めた、切りが無い
    最近の幻想郷はこんな話しばかり、俺が此処に来た時には考えられない事だ。
    あの頃の幻想郷は酷かった、氷の女王が夏を止め、闇の女王が夜のアヤカシを引き連れて行う百鬼夜行。
    終わらない満月に照らされて狂う獣達――そして生きる為に人間が人間を何の躊躇いも無く殺す、そんな時代だった。
    アレに比べれば今は随分まともになった物だ、矢張り外からの介入者の存在が大きいのだろうか?
    思えば俺はこの世界に来て何も成さなかった、生まれ持った異能の力があるにも関わらず人を助けもせずに
    只関わりを持たずに山に住み着き、気がつけば化生となり、必要としない力ばかり身についていった。

    ―――今外の世界はどうなってるのだろう?私が外に居た時は――――思いだせん
    其れほど意味の無い記憶だったのだろうか、まぁ思い出した所で何かをする訳でも無い
    出ようと思えば結界を壊す事など赤子の手を捻るより容易いがそんな気は微塵も起きない

    「あら、随分と怠慢な生活を送ってるみたいねぇ?」
    「紫か、何用だ」

    年を取ると言葉が硬くなっていけない、昔はもっと軽い人間だった気がする、一人称も私では無かった

    「酷い言い方ね、どうせ何も食べてないだろうからご飯を作りに来てあげたのよ」
    「…明日は槍の雨か」
    「スキマに叩き込まれたいの?」
    「謹んで遠慮しよう、まだ死ぬ気は無い」

    この少女は八雲紫、境界を操る力を持つ大妖怪だ、見た目は少女だがそれこそ幻想郷最凶とも呼ばれている
    ……私にとっては、只の少女と変わらない、私が育て、名を与えたと言う、一点意外は


    「旦那は良いのか」
    「ちょっと外の世界に行ってるのよ、忘れ物を取りに行くのですって」
    「帰ってくる保障はあるのか」
    「あるわ、絶対帰ってくるって言ってくれたもの」
    「…………お暑い事だ」
    「ええ、本当に私には勿体無い程良い人よ」

    ……娘の成長を見る父親とはこのようなモノなのだろうか、確かに育てたのは私だが半分以上勝手に育っていた気がする

    「あなたには感謝してるのよ?……力をどう使えばいいかを教えてくれたのもあなただし、捨てられていた私を育ててくれたのも貴方だもの」
    「只の気まぐれだ、捨てられて泣いていたのがたまたま目についたから拾って育てたに過ぎない、感謝する必要は無い

    「でも、拾われなければ私を死んでいた、だからアナタはその……私に取って……ち、父親みたいな存在なのよ…?」
    素直に驚いた、まさか父親扱いされていたとは まぁこちらも娘扱いはしていた気がするが

    「私に対等な立場で説教なんてするのは貴方だけだったし…褒められた時とかすごく嬉しかったのよ」

    恐らく今の私の顔はとても情けの無いものになっているだろう

    「そ、それでね?私は本当の親なんて知らないけど………貴方が居なければ今の私は此処に居ないから…」

    「だ、だからね?……その……あ、ありがとね…お、お父さん…」
    驚天動地はこうゆうものを言うのだろうか、あの式が聞けば卒倒するんじゃないだろうか
    だが私は心に暖かい物が広がってゆくのを感じた、随分久々の感覚だが、悪い気はしなかった

    「あ…あーもう、帰るわね!調子が狂いっぱなしよ…」
    「飯を作りに来たのでは無いのか」
    「止めたわ、あの人も帰ってきたみたいだし」
    「わかるのか、便利だな境界を操る力というのは」
    「貴方の能力のが便利よ、大体……っと、こんな事してる場合じゃないわ、早く帰ってご馳走でも作らなきゃ」

    幸せそうな事だ、頬が緩みっぱなしになっている

    「それじゃあ、健康に気をつけなさいよ?…それじゃ、今度は●●も連れて来るわ」

    言うが早くスキマに飛び込み去って行った……結局何をしに来たのだろうか
    ……まぁいい、今日は貴重な体験ができた。
    明日は土産でも持ちマヨヒガに行ってみるとしよう、久々に外に出るのも悪くは無い


8スレ目 >>859-861

───────────────────────────────────────────────────────────

    「………」
    今オレの目の前に座ってるこの人、見た目は…三十代ぐらいだろうか
    紫の父親代わりの人で幻想郷に結界が張られるずっと前から住んでいる
    元人間の大妖怪の●●さん、そして俺の横でニコニコと笑っている俺の愛する人、八雲紫
    いつもの宴会騒ぎに紫がこの人を招待したのが事の始まりだ、紫の父親代わりの人だから
    しっかり挨拶しようかなーと思っていたのだが



    滅茶苦茶怖いです

    なんだろう、後ろに銀色に輝く闘気的な物が見える、本人に出してる気は全く無いんだろうが
    見ているだけで気圧される しかもこう言ってはなんだが顔や肩が傷だらけで余計怖さを演出している

    「どうした、飲まぬのか」
    「いっ、いえ!ソンナ事ハナイデスヨ?」
    「どうしたのよ○○、いつもの貴方らしくないわねぇ」

    怖くないんですかいゆかりん、ってまぁ怖い筈無いだろうけど
    なにしろお父さん代わりの人だもんなぁ 顔とかは関係無いよなぁ

    「もしかして●●の顔が怖いから怯えてるの?クスクス、しっかりしてよねダ・ン・ナ・様♪」
    「いやいや、全然怖い訳無いだろーなにを言うのかこの子はーアッハッハッハー」
    「………」

    無言かYO!重い、空気が重い、Gで例えるなら500Gぐらい 
    話題を なにか話題を作らなければ
    だが話題と言っても何が・・・・・・・・


    あ

    「そういえば紫は●●さんの事父親代わりだって言ってたけど何処で会ったんだ?」
    「あら、聞きたいの?」
    「そりゃあ恋人の昔の話は聞きたいさ」
    「あら、うれしい」
    紫が●●さんに目配せする 目で「話しても良い?」と聞いてるような気がする
    「構わぬ、私が話そう」
    「あらそう?じゃあよろしくね」
    「………」
    ●●さんが神社の壁に腰かける、ちなみにオレ達が居る所は博霊神社の裏側、月がよくみえる場所だ
    俺と紫も●●さんの隣に腰かける、紫はふわふわと浮きながら少しづつ酒を楽しんでいる
    「……気も遠くなるような昔の話だ」
    ●●さんが言葉を紡ぎだす


    「私はまだ結界が張られておらず、博霊の巫女も阿礼の乙女も存在しない幻想郷に迷い込んだ」


    「そこは現世の地獄とも言うべき所だった………詳しい説明は要るか?」
    「いえ、そこら辺は紫から前に聞いた事があるので」
    「そうか」

    「最初の内は…只、恐ろしかったな、いつ食われるのか、いつ死ぬのか、それすらわからなかった」
    俺も最初はそうだった、あの時、あの場所で紫が気まぐれで俺を助け無かったら今頃は俺は妖怪の腹の中だ

    「……私には、特異な力があった…いや、その頃は今で言う【異能】こそが普通だったのだ」
    マジでか

    「火を使い、雷を操り、魔道の力を使い生活を豊かにしていた、中には闘う事に特化していた異能もあった…そういう者は
     必ずと言っていいほど戦争にかり出された……」

    「当時の私はそれが嫌で里を抜け出し、東方にある言われていた幻想郷に向かった、その頃は妖怪の存在は誰もが知っていた
     私から見れば外で妖怪が認識されていないと言う今の状況の方が考えづらい」

    「私は生き残る為にたくさんの妖怪、人、亡霊を殺した、もちろん無闇に殺す事等せずに自分の命を狙ってきた者だけを狙った、墓も立てた」


    「そうやって幻想郷で十年程過ごした頃の話だ、私はとある里に住み、家族の様な者達も居た」
    「……そこを、大量の妖怪が襲ったんですか?」

    「……よくわかったな、奴等に目的は無かった、只百鬼夜行の道筋に村があったから壊しただけの事」

    「今の私ならそれも摂理と受け止め、己の命があるだけで良いと考えよう、だが昔の私はそう思わなかった」
    「そしてね、●●は百鬼夜行の道筋に先回りして、そこで………」


    「百鬼夜行を行っていた妖怪達を皆殺しにした、そうでしょう?」
    うぉっ、後ろから声が
    「あら幽々子、いつから聞いていたの?趣味が悪いわねぇ」
    「偶然通りがかっただけよ~盗み聞きだなんて酷いわ紫」

    この人は白玉楼に住む亡霊の姫気味で紫の友人の西行寺幽々子さん、と言うか幽々子さんはこの話を知ってるのだろうか
    だとしたら今何歳なんだろうか、実は結構年いってるんじゃ…
    「いつ聞いたかは忘れちゃったけどね、昔紫に聞いたのよ」
    「あ、口に出てました?」
    「ええ、思いっきりね、後で覚えときなさいよ?」

     \(^o^)/


    「話を続けるぞ……○○だったか、お前は『妖怪の返り血を浴び続けた者は妖怪となる』という伝承を知っているか」
    「あ、なんか聞いた事あります」

    「そうか、ならばいい……その伝説は真実だったらしく、私の体は……と言っても見た目の話では無く体の作りの話だが…異形の物へと姿を変えていた」
    「………」

    「私は、その日から妖怪を駆逐する為だけに生きていた、妖怪を見つけては殺し、また返り血を浴びる、その繰り返しの日々………それが、しばらく続いたある日の事だ」


    気になったけど、何年間生きてるんだろうこの人

    「妖怪を殺すのをやめ、只幻想郷を無気力に過ごしていた頃……私はいつもの様に幻想郷を歩いていた、近づく者は誰もいなかった」

    妖怪には会えば殺されると言う噂が立ち、人間から見れば恐怖の対象……ある意味当然かも知れないが俺はそんな考え方は許容できない

    「私は……一人の妖怪の子供と出合った、その物は只泣いていた……私は、何を思ったのかその少女に話しかけた」


    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    「一人か、物の怪の子供よ」
    「………」

    「黙っていてはわからぬ、親は何処だ、送ってやる」
    「おやなんていない、わたしはひとりだもの」

    「………」
    「これからもひとりでいきてく、だれにもじゃまさせない、だれにもわたしのことをすきにさせない」

    村で人間に騙され、酷い目にでもあったのだろう、その少女の心は荒み切っていた

    「たべものと、おかねをよこしなさい」
    「………欲しいのなら、奪ってみろ」
    「ッ…わあああああ!」




    当然、妖怪とは言え子供が大人の力に適うはずも無く、少女はいつの間にか疲れて倒れていた。
    私は言えば我が子と遊んだような気持ちになり、久々の充足感を得ていた


    人里にある茶屋で茶を飲ませ風呂に入れてやった
    里で暮らせるように里の長に掛け合い、それで話は終わったと私は思っていた
    良い引き取り先も見つかったのでそれで良いと思っていた

    里を後にし踵を返し歩き出し、住処の洞窟に戻ろうと「………まって」……すると後ろから声をかけられた


    「……ついていっていい?」

    只の気まぐれ、それが運命を決めただけの話


    「構わん、だが邪魔になれば放り出すぞ」
    「………うん」


    帰りの道中、私はある事に気づいた、名を聞いていなかったな

    「少女よ、名はあるか?」
    「……ない」


    「……そうか、ならばお前は今日から、【八雲紫】と名乗れ、八雲は八の雲と書き、紫はむらさきと書く……私の名を少し捩った物だが、気に入らんか?」
    金色の瞳がしばらく私を見つめてくる、瞳の中には私の姿が映っていた


    「……ううん、ありがとう」



    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


    「………なんていうか、想像もつかないな、ちっさい紫なんて」
    「あら失礼ね、全部本当の事よ?私が●●に拾われたのも、名前を貰ったのも、全部本当」
    「へぇ~紫の名前ってそういう由来だったのね」

    おーい幽々子さーん?あんた一回聞いてるんじゃないんですかー?痴呆症っすかー?

    「撃つわよ?」
                              
    はいごめんなさいすいませんもういいません  多分

    「これで話は終わりだ、満足か」
    「あ、はい………どうもありがとうございました」

    「それは、何の為の礼だ?」
    「●●さんが居なかったら…紫は此処に居ないと思う、●●さんが居てくれたから俺は紫と出会えた…だから、ありがとうございます」

    他にも色々な意味合いを込めたありがとうだが、こっぱずかしいので言わない事にする

    「それじゃ、私と紫は境内の方でもっと飲んでくるわねー」
    「○○、貴方も早く来なさい」
    ちょ、おま、まーてーよ!

    「○○」

    ふと後ろから逆方向を向いている●●さんに呼び止められる、なんだろう


    「貴様は……紫を幸せにすると約束できるか?」

    「できます」

    即答だった、迷いなんて微塵も無い

    「種族も違う、寿命も違う、何もかもが違うのだぞ」

    「いざとなったら人と妖怪の境界でも弄って貰えばいいし、二人で蓬莱の薬を飲むって手もあります」

    そんなもん最初から覚悟の上で一緒に居るんだ、なんでこんな事を聞くんだろう

    「……そうか、ならば、それで良い」
    「はぁ」

    結局なんだったんだろう

    「早く行け、紫が待っている」
    「そうっすね、あ、話聞かせてくれてありがとうございました!」




    男…○○が走っていく   


    さて、今宵はもう帰るとするか 情けない顔では宴会にも出れぬだろう
    年を取ると色々な物が緩くなってしょうがない

    にしても涙等久々に流した気がする、最近は懐かしい事が多い

    元々宴等は似合わぬ性分だ、家に帰って、いつものように一人で酒を飲むとしよう

8スレ目 >>937-940

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