プロポスレ@Wiki
小町3
最終更新:
orz1414
-
view
三途の川の手前岸、一人酒を煽りながら歩く
死んだわけではない、友人に会う為である
「よう小町、サボってるか?」
「やぁ○○、サボってるか、って聞くもんじゃ無いよ」
ずいぶん前、死に掛けたときに出会った死神の小町、生き返ってからもたまにこうして会う
「また閻魔様に怒られるんじゃないか?」
「昼真っから酒を飲み歩くような奴には言われたくないね」
「はっ、俺は仕事終わってるんだからいいんだよ、お前は仕事中」
気だるげに、ぽかぽか陽気にゃ敵わない、と熱く語るお馬鹿さん
「・・・飲むかい?」
「あー・・・」
キョロキョロと周りを見回す小町、怪しい
「うふふー頂こうか」
「ほら」
瓢箪を投げて渡した
「・・・ぷはー!美味い!仕事中の酒は格別だねぇ」
「おいおい、閻魔様が聞いたらなんていうか」
「いいのいいの、どうせ見てないみたいだし、あの人は固すぎるんだよ、胸も硬い、なんちゃって」
「胸が硬いって、どういうことでしょうか?」
「そりゃあ脂肪分が少ないからまな板みた・・・い・・・・で・・・」
「そうですか、小町に自殺願望があるとは存じませんでした」
「どーも閻魔様、こんにちは」
「あら○○さんこんにちは、いいお天気ですね」
「四季様!?今のは四季様の事ではなくてですね」
「諦めろ小町、お前は既に死んでいる(笑」
「上司への暴言、仕事中に飲酒・・・さて小町、どんなお仕置きがいいですか?」
「○○っ!?助けて~!!」
ずるずると引き摺られていく小町にひらひらと、手を振ってやった
「うらぎりものぉぉぉ」
きこえないきこえない
「もうエッチな事させてやらないぞぉぉぉ」
これはこれは、聞き捨てならん台詞ですな
「こ、小町!?何を破廉恥な事を」
ごん
「きゃん!?」
あ、気絶した・・・
「閻魔様、この莫迦にはよく言い聞かせておきますのでどうか許してやってくれませんか?」
「・・・あなたが代わりにお仕置きを受けますか?」
「あ、結構です、じゃーな小町、俺仕事に戻るから、それじゃあ閻魔様、失礼します」
「うらぎりものぉぉぉぉ小町ちゃんをみすてるきかぁぁぁ」
ごすっ
「きゃん!?」
小町の悲鳴を背にして、俺は仕事へと急ぐのだった
9スレ目 >>149
───────────────────────────────────────────────────────────
「よう小町~また来たぜ」
「また・・・あんたそろそろ死ぬんじゃない?」
俺はただの東方好きの好青年
なぜか失神するたびに三途の川に行けるようになってしまったのだ
最初は驚いたね、失神して、気がついたら彼岸花に囲まれて、そして大鎌持った少女が呆れ顔で見てるんだもんよ
「で、今度はどうしたの?」
「んーたぶん稽古中に失神・・・ちょっと前まで記憶がないな、帰りに事故ったのかも?」
失神前後の記憶がないのだからどうしようもない
「・・・気を付けなよ?何の拍子で死ぬか解らないんだから」
「ダイジョブダイジョブ、もし死んでもそんときゃそん時さ」
向こうで失神してる時間=彼岸にいられる時間
ではない事が解ってきた、大体向こうの一分がコッチの2時間に相当するぐらい
「なぁ、どうやりゃ幻想郷にいけるんだろうな」
「あんたの世界から?・・・相当運がいい、いや悪くないと行けないんじゃないかな?でもあんなトコいっても死ぬだけさ」
「そーだよなぁ・・・ま、俺はどうせここに来たかったわけだし」
「・・・自殺願望でも有るのかい?」
「んー無いと言えば嘘になるけど、今は死なずにここに来れる事が一番嬉しい」
大体まぁ・・・4時間ぐらいかな、あと3時間ぐらい?
「なぁ小町、失神または死なずにここに来る方法ってないの?」
「んーアンタの世界からは・・・無理かなぁ」
「そっか・・・うむむ」
しょうがないので彼岸花を避けるように、寝転んだ
一応空はある、川の向こうは暗いけど、コッチは十分明るい
「なぁ小町、俺がお前の事好きだって、お前に惚れてる、って言ったらどうする?」
「え・・・じょ、冗談・・・だよね?」
空を見たまま、お互いに顔を見ない故、声から相手を読み取る必要がある
小町の声は、少し上ずって・・・驚きや焦りのような物を感じる
「そろそろ俺の体も限界だから、次ぎ来た時に言おうって思ってた、もう来れないと思うから」
「○○・・・」
「俺は小町が好きだ、大好きだ・・・今まで話し相手ありがとな・・・いつになるか解んないけど、俺が死んだとき、また会おうな」
俺としちゃあ人生において最高の思い出だった
失神しておきたら彼岸、小野塚小町に会えて、話まで出来て・・・告白まで出来て、本当に良かった
「ねぇ○○」
「なんだ?」
「・・・私もあんたの事好きだって、愛してるって言ったら信じる?」
「へ?あ、え?ちょ、ほんとに?」
「・・・あんたが来るのは無理だけどさ・・・私が会いに行くよ」
「え?」
「だから!私から会いに行ってやるって言ってるんだよ!だから・・・さよならなんて言うんじゃないよ?」
俺が呆気にとられていると、体が薄くなるのがわかった
「・・・早かったなぁ」
「あ、帰るのかい?」
「ああ・・・遊びに来てくれるんだろう?来なかったら酒無しだからな」
「はは、それは重大だ・・・じゃあ・・・ばいばい」
俺は首を振って、小町の言葉を否定した
「ばいばい、じゃなくて・・・またね、だろ?」
「うん、そうだね・・・またね○○」
「ああ、またな小町、酒用意して待ってるから」
そう言って、彼は消えた、いや・・・帰った
「・・・ふぅ、仕事に戻らなきゃ、映季様に怒られる」
怒られてばかりだと休暇ももらえないかもしれない、それは凄く困る
さて、さっさとやっちまいましょう
「小町、随分優秀に働いてますね・・・天変地異の前触れでしょうか?」
「私も心を入れ替えて・・・少しだけ」
「ふむ・・・何かありましたか?貴方が一所懸命になれる何かが」
「えへへ~恋人が出来たんですよ~♪休暇だもらえるようにがんばってるわけですよ」
「・・・まぁ動機は不純ですが・・・結果が出ているのでまぁ良しとします・・・下がっていいですよ」
ギィ・・・バタン
「恋人かぁ・・・いいなぁ」
あの小町が、あそこまで頑張ってしまうほど・・・恋人というのは凄いのか
「出会いはないのでしょうか」
私の独り言は、独りの部屋に虚しく、響いた
10スレ目>>533
───────────────────────────────────────────────────────────
彼岸花の咲く川原で、一人の青年が本を読んでいる
「ねぇ○○」
「・・・」
近くにいた少女が話しかけるが返事は返ってこない
「ねぇってば!」
「んー・・・」
青年は本を読むことに夢中らしく、呼びかけに対しても生返事を返すばかりである
「・・・もう、つまんないねぇ」
「・・・」
「相変わらず無口だねぇ・・・なんか言ったらどうだい?」
「・・・ん」
「・・・ねぇ○○、キスしてよ」
「ん」
ゆっくりと身を起こし、本にしおりを挟んだ
少女へと向き直って、唇を重ねた
「きゃ、んっ!?んーんーぷぁっ」
「ふぅ・・・」
少女は口付けの余韻に浸っている
反対に青年は事も無げに腰をおろした
「○、○○!も、もっとこう、雰囲気とか、その・・・」
「・・・小町」
「え?な、なに?」
「愛してるぞ」
不意打ちの一言は、少女の頬を赤く染めるに十分であったらしい
「う、うん・・・私も、愛してるよ」
三途の川は今日も変わらずゆっくりと流れていた
10スレ目>>833
───────────────────────────────────────────────────────────
「小町」
「わっ!・・・なに?」
「今サボってただろ」
「さ、サボってないよ!」
「うそつけ」
「んっ・・・さ、サボってないって・・・」
「ほんとに?」
「あぅ・・・さ、サボって・・・ない、です・・・」
「ほんとは?」
「う・・・ちょ、ちょっとだけ・・・」
「やっぱり」
「ご、ごめんなさい・・・」
「怠け者と嘘つきにはお仕置きが必要だな」
「え・・・や、やだ・・・」
「駄ー目」
「や・・・はぅ・・・」
ん、パチュリーさん何ですか?今いいところでウボァー
10スレ目>>890
───────────────────────────────────────────────────────────
夜。
ここのところ急に冷え込んできて、家の中でも上着が手放せなくなってしまった。
少しでも温まろうと、まだ寝るわけでもないのに横になって布団にくるまる。
「うー…寒い…」
しかしながら寝転がった状態で何かするのは難しい。
寝転がって本を読むなんて光景は良く見る気がするが、実際にやってみると腕が痛んでそれどころではない。
さてどう宵の時間を潰すか、と思案を巡らせていると、不意に家の扉が開く音がした。
「おーっす○○~今からあたいの家でちょいと飲まない?」
突然の来訪に、そういえば鍵を閉めてなかったな、と思いつつも応対する。
「んー…そうだなー、寒いし飲んで温まるのも丁度いいかもな」
「そうこなくっちゃ!それじゃあたいは先に戻ってるからね」
「はいよー」
この死神、小野塚小町とはかなり親しい関係にある。
何故なら、俺の家から小町の家までは歩いて1分とかからない距離にあるのだ。
そして、近所付き合いをしていくうちに意気投合してしまったというわけだ。
…普通ならめくるめくラブストーリーが展開しそうなシチュエーションだ。
確かに小町はえらい美人だと思うし、気も合うし、その……スタイルもかなり良い。
だが気が合いすぎる所為か、一緒に過ごす時間が楽しすぎて、今のままでもいいかというような妥協をしてしまうのだ。
それに小町の方もそういう感情は抱いていないように見える。
…まあ、そういうことを考えているのすら自意識過剰だ。嫌になる。
そうこう考えているうちに小町の家に着く。
中では、待ちきれなかったのか、もう既に一人酒宴を始めているようだ。
「○○遅いよー、ささ、駆けつけ三杯……」
「お前は家と家との距離を操ってるんだろうが」
「にっひっひ、○○は三杯で出来あがっちゃうからね~、こうした方が都合が良いのさ」
そう言いながら酒を注いでくる。
まあいつも通りだな――と思いつつ、ぐいっと飲んだ。
まだ酒の残っている杯や徳利、おつまみの皿などが散らかっている部屋の中で、
あたいは酔い潰れ、○○はすっかり寝てしまった。
子の刻も過ぎたようで、あたりはすっかり暗くなっている。
思い返せばもう一年くらいはこんな付き合いが続いているだろうか。
○○との酒の席は正直楽しい、楽しすぎる。
仕事柄あたいは話すことが好きで、酒が入るとさらに口が弾んでしまう。
対して○○は本当に聞き上手というか何というか……
今のあたいにゃ欠かせない親友になったねえ――
親友といえば、前に○○の話を霊夢にしたところ、
「え? 何? あんたら付き合ってるの?」
と言われたことがある。
いや、休日に一緒に買い物をしただけなんだけどねえ……
そういえば魔理沙にも言われたっけ。
「霊夢、こいつと○○はそこらでは有名なバカップルだ。音速が遅いぜ」
いや、ウチで一緒に飲んでいたら杯が一杯割れちまったんで、二人で使い回しただけなんだけどねえ……
確かに最初はちょっと恥ずかしかったかもしれないが。
ん、妖夢にも言われたかな?
「そそ、それは友人同士でするコトじゃありませんッ!!」
なんて、顔を真っ赤にしてたねえ。
いや、酔い潰れた後はちょくちょく泊まったり泊まらせてもらうってだけなんだけどねえ……
だってほら、家が近いだろ?
確かに、友人やら親友って表現に違和感はあるかもしれない。
○○から教えてもらったが、外の世界には"友達以上、恋人未満"なんて表現があるらしい。
なるほど、的を射ている。
でも、恋人未満か……あながちそうとも―――
「小町、起きていますか?こんな夜中に悪いのですが」
「あ、え!?」
突然扉の向こうから四季様の声がしたので体が跳ね上がるほど驚いた。
急激に脳が覚醒していく。
――今の状況を見られてはマズい――
四季様に話せば生活態度がなってないだの、不純な異性交遊がどうので説教されるに違いない。
そう思って今まで隠しておいたのに――!
「明日の仕事に急に変更があったから一応連絡を入れに来たんだけど……どうしたの?」
「い、いや、何でもないですよ!?ここらの夜は物騒なもんで……えへへ」
扉をわずかに開けて話す。明らかに不審だ。
「とりあえずちょっと入り組んだ話になるから入れてくれる?」
難題です。どこぞのお姫様の難題より難題です……
「あ、いや、ほら、ウチ今凄い散らかってますし!」
「…今更そんなことを気にする間柄でもないでしょう。前に連絡回した時にも入ったじゃない」
無論断る理由がない。
今している弁明は、アキレスと亀のようなものだ。
実際は、亀はいくら頑張っても最終的にはアキレスに抜かれてしまうのだ。
ああ、あのパラドックスが本当だったら、今から起こる惨劇は回避できたろうに――!
あっさり扉は開かれ、また同時にアキレスは欽ちゃん走りで亀を抜き去り、世界記録を樹立した――
「きゃん!」
「……小町、これはどういうことです?」
四季様が音の震えた丁寧語を話している。軽く叩かれた頭が少し痛む。ああ、あたいはもうダメだよ○○……
「まったく、やはりあの噂は本当だったんですね……」
「え、噂?」
「貴女が、この男性――○○さんとお付き合いしているという噂です」
脳裏に紅白や黒白の顔が浮かんでくる。ち、違うって言ったのに……
「貴女自身はそれを否定したがっているようですが……どこからどうみてもカップル……というか……夫婦……というか……」
「え、え!?」
四季様が赤くなりながらもにょもにょと喋りだすものだから何故かこちらまで恥ずかしくなってしまう。
○○と恋人……夫婦……
「い、いや…だって、○○も別にあたいにはそういう感情抱いてないみたいd『甘い!』 え?」
「……本当にそうか、ちょっと試してみませんか?」
鈴虫の鳴き声で不意に目が覚めた。
……いつの間にか眠ってしまっていたようだ。
毎度の事とはいえ、女性の家に泊まるってのは悪い気もするよなぁ…
暖かいと思ったら毛布がかけられていた。
うーん、心遣い感謝、ぬくぬく。
「……あれ、小町は?」
きょろきょろとあたりを見渡してみるものの、何処にも姿が無い。
お手洗いとかだろうか?
「ま、いっか」
今は睡魔やら温もりやらが勝っている。大人しく毛布に潜りこませてもら……
も……ら……
「こ、小町!?」
「あ……○○……起きたのかい?」
小町も今俺が叫ぶまで眠りこけていたらしく、目をこすりながら暢気にそんなことを言う。
こちらはと言えば言葉を発することができず、口をパクパクさせていた。
だって、同じ毛布の中で息がかかりそうなくらい顔が近いんだもの!
「いや小町! なにこれ!」
錯乱気味に叫ぶ。
「ふふ、○○は初心だねえ。一緒に寝てるだけじゃないか」
「いや……だってこんな……」
自分でも紅潮しているのが手にとるように分かる。顔で茶を沸かせそうだ。
小町も平気そうな顔をしながら、視線は合わさないし、やはりこちらも頬が上気しているのがわかる。
心臓はこの空気の中で、時間を増すほどに鼓動を大きくし、速めている。
――間近で見ると、小町は本当に整った顔立ちをしている。普段の精悍さも滲み出ているが、何と艶やかなことだろう。
――間近で見ると、○○は本当に男らしい顔だ。それでいて普段の優しさが滲み出ていて、何と雄々しいことだろう。
うっかり小町の顔をまじまじと見つめてしまい、また小町もこちらを見ていたせいか、数秒間目が合いっぱなしだった。
普段は気恥ずかしくて、あまり目を合わせたことがなかった。
…もしかして、こういう感情から本能的に逃げていたのかもしれない。今のままでいい、と。
今の関係が崩れるのが怖かったのだろう、ずっとこうして過ごしていたかったんだ。
でも、
――俺は小町のことが好きなのかもしれない。
――あたいは○○のことが好きなのかもしれない。
ほどなくして、どちらともなく口を開いた。
「「あの……ッ!」」
「く……くくッ」
「ふふ……あはは」
あまりにもピッタリハモってしまったので、笑いが零れた。
同時に、異常なほどの緊張感もほぐれたようだ。
今なら、話せるかもしれない、俺は――
「あたいは、○○のこと好きだよ」
「……ッ」
出鼻を挫かれて言葉に詰まり、再び紅潮する。
そんな俺を見て、小町はしてやったり、という表情を見せた。
……ちくしょう、可愛いな。ここは俺も誠意を見せてやらねばなるまい。
と、息まいたものの、いざ実行に移すとなると緊張する。無論、こういう経験は初めてだ。
小町も何かを期待するかのように胸の前で手を合わせ、ぎゅうっと握っている。
一度切れた緊張が甦ってきた。
破裂しそうな鼓動をよそに、静かに腕を伸ばす。
まるで禁忌に触れるかのように、ゆっくり、ゆっくりと。
背中に回るくらいまで腕を伸ばしたところで、そっと抱き寄せる。
小町も一瞬ぴくりと体を震わせるが、少し経って不安も無くなったのか、体をこちらに預けてくる。
幻想郷の女性の中では小町は比較的背が高いが、やはり男女の体格差を感じる。
抱きしめてみると、普段の精悍なイメージが霧散するような柔らかさだ。
そして、今、まさに密着。
この状況でドキドキしない男子など居ようか。いや、居まい。
「……○○、凄くドキドキしてるね……」
「あ、当たり前だろ……こんなこと初めてだし……。小町だってドキドキしてるじゃないか」
「う、うん……」
言って気づいたが小町の、その……胸も、鼓動が伝わるほどに密着している。
扇情をもよおすほどの余裕は無いが、それがさらに俺の鼓動を加速させていた。
それにしても、暖かい。今日の乾燥した寒さが嘘のようだ。
確かに緊張はするけど、同時にこの暖かさに安心する。
人肌を感じるって、こういうことなんだな……。
ふと、小町がこちらを見上げてきた。
ねだるような上目遣いが再び鼓動を速める。い、今俺は凄いものを見ているのかもしれない……
小町がゆっくり目を瞑る。顔は耳まで赤くなっていた。
これはつまり、アレだ。恋愛経験のない俺でも十分に伝わった。
「その……いいのか?」
「うん……あたいも…その…初めてだから……」
なんと!
この世界にはまだ穢れなき淑女が存在した!
しかし、向こうもファーストキスだということを考えると責任は重大だ。
やり方も良くわからないが、とにかくやってみるしかない。
小町の唇に目をやると、顔が紅潮している所為もあるのか、うっすらと紅くなっており、
程よく湿っていて艶やかで、およそこの世のものとは思えない美しさだった。
そんな誰も踏み入れたことのないサンクチュアリを、今まさに侵そうというのだ。
腕を伸ばす時と同様、ゆっくりと顔を近づける。
お互いの息が顔にかかる。それすらも恥ずかしいことこの上ない。
あと数センチという距離の中で、二人の緊張は頂点を極めているようだった。
「んっ……」
静かに唇と唇が重なる。まだ本当にただ触れただけだ。
そこから、池に波を立てずに石を沈めるような速度で、ゆっくりとお互いの唇を押し付けていく。
人肌と同様に、唇もまた温かい。
「ぷぁっ……ん……はぁっ」
一度だけでは飽き足らず、くっついては離れ、くっついては離れを繰り返し、
お互いの存在を確かめあうかのように強く抱きしめあい、接吻する。
時たま唇を糸が繋ぎ、月明かりに照らされ銀色に輝いていた。
ひとしきり唇を押し付けるだけの接吻が終わり、一息つく。
「えへへ……○○…、その、やっちゃったねえ……」
「あ、ああ……」
無我夢中で求め合ってしまったが、ふと落ち着いてみるとかなり恥ずかしい。
毛布をマント代わりに空を飛んで逃げたいところだ。
(……そういえば、さっきは出鼻を挫かれたな)
急に悪戯心が湧いてくる。長い接吻が終わって弛みきっている小町を抱き寄せ、唇を啄んだ。
「んむっ!?ま、○○!?」
さっきは恥ずかしくてできなかったが、口付けたまま、ゆっくりと舌を這わせる。
小町も最初は驚いていたようだったが、たどたどしく舌を絡めてくる。
互いに唾液を交換しあうように口内を舐った後、ゆっくりと唇を離す。
「……俺だって、小町のことが"大"好きだぞ」
不意を突かれ、小町の顔が足の先から頭のてっぺんに至るまで赤くなっていた。しめしめ。
「……絶対に幸せにしとくれよ?」
「……あ、うん…絶対に幸せにするさ」
しばらくお互いにポーとしていたが、ダブルクォーテーションに気づくと、はっとして糸が切れたように叫びだした。
「あ、あたいはもっと大好きだよ!」
「いやいや、俺の方が大好きだ!!」
「あたいの方が○○の百倍好き!!!」
「何ィ!?俺の方が小町の一億万倍好きだ!!!!」
「一億万!?でもあたいはおっくせんm…」
・
・
・
「どうやら、無事に事が進んだみたいね」
秋の虫たちの鳴き声と共に人と死神のバカップルらしい叫び声が夜空に響く。
聞いているこちらが赤面するほどの、爽やかな暴走っぷりだ。
二人とも、大人で子供だった。
まるで子供が魅かれあうように付き合いを始めた二人だったが、大人の理性でお互いにそれを押さえ込んでしまっていたのだ。
しかしながら二人とも――特に小町はまるで隠しきれていなかった。
「残業が無くなる程頑張るなんて、おかしいと思ったのよ……」
小町の仕事の成果が増えた時期と、○○が外の世界から幻想郷に流れてきた時期はすぐに結びついた。
小町から直接話を聞かずとも、二人の付き合いが深いであろうことは明白だったのだ。
――よもや二人ともがあそこまで暢気に構えているとは思わなかったが。
「そういえば、仕事のこと言い忘れてたわね。まあ、その分増える仕事はきっちり小町に精算してもらおうかしら」
私も、そろそろ帰路に着こう。
少し歩くと、まるで冷蔵庫に入ったかのような寒さが襲ってきた。
(寒いというよりは…あの家周辺が驚くほど暖かくなっていたようですね…)
愛は地球を救う、ではないが、いつか氷河期が再び訪れても人類は滅亡しない気がしてきた。
いつか私もあのような暖かさを手に入れたいものd…
「じゃあ俺は一恒河沙倍好きだーーーー!!!」
……大人で子供、我ながら的を射た言葉だったように思う。
新ろだ72
───────────────────────────────────────────────────────────
地獄の沙汰も管理職。
それを知ったのが、初めてここに来た時のこと。
不慮の事故で彼岸行きになった俺は、天国に行ける程善人ではなく、地獄に墜ちる程悪人ではなかったらしい。
閻魔、四季映姫様の下した判決は、しばらくの間是非曲直庁に勤め、生前の業を清算しろということだった。
分かりやすくいえば、しばらく閻魔様の元で働けということらしい。仕事は主にデスクワーク。
確認が終わった書類に「承認」の印を押したり、罪人の判決を別の書類に転写したり、要するに事務処理作業。事後報告の処理。
上司のエリートさん達が間違いを犯すわけもなく、かわりに機械にまかせた方が、効率がいいのではないかという仕事である。
「そうはいきません。これはあなたの贖罪なのですから、それでは意味がない。
決してそのような技術がないわけではありません。断じて」
……さいですか。
別に仕事はきついわけではない。
それどころか、楽すぎる。
死者など一日に多くてもせいぜい五、六人。
十人以上などまずこない。
一日に十ほどの判と罪状の書名。それだけで一日座り通しなのだ。
詰まるところ、退屈なのである。
それだけでなく、最近は悩みのタネがもう一つできた。
「よお、引きこもりの○○。まだここにいたのか」
「大きなお世話だよ、サボタージュ小町。お前こそとっくにクビになったと思ったんだが」
「馬鹿言うんじゃないよ。あたいだってやるときゃやるんだ」
「昼寝が見つかったときだけ、な。今夜は寝なくて済むんじゃないか?」
「あたいは身体を使うからね。あんたこそ座りっぱじゃ、立つものも立たなくなってんじゃないかい?」
「少しはその蓮っ葉な言い回しをあらためたらどうだ? いざってときは女の子ぶるくせに」
「そんなことは、その生っ白い身体をどうにかしてから言うんだね」
「ふん。これ以上お前に構ってる暇はないんだよ。さっさと昼寝に戻りな」
「ここで一番暇なのはあんただろう○○。あたいだって忙しいんだ。あまり無駄口を叩かないで欲しいね」
「ああ、いけいけ、いっちまえ。せいせいするよ。サボり魔」
「二度とあたいに話し掛けんじゃないよ。グズ職員」
三途の川の橋渡し、死神の小野塚小町。
どうも俺が気に入らないらしく、会えば喧嘩を吹っ掛けて来る。
ただでさえ退屈でいらいらしているところに、さらに絡んでくるのだからたまらない。
おかげで会えば口喧嘩ばかりなのだ。まったく、黙っていれば可愛いと思うのに、何でああなのかね・・・
まあ、話し相手がいるのはありがたいことだけどさ。
閑話休題。ともかく、そんなこんなで毎日を過ごし、一ヶ月ばかりがすぎた頃、俺は閻魔の映姫様に呼ばれた。
何の用なのか首をかしげながら映姫様の私室を訪れる。
映姫様はそのちんまい体に不釣り合いな威厳をたたえて、机の前に立っていた。
「どうですか○○。仕事にも慣れてきたころでしょうか?」
穏やかな、しかし感情を見せない口調で話しかけてくる。
「まあ、おかげさまで」
「そうですか・・・」
いったい何のつもりなのだろう。
「さて、今日呼んだのは他でもありません。あなたの今後についての話です」
そういえば、ここで働くのは一時的なものだったな。ということは、審判のときということか。
居住まいをただすと、俺の意思をくみ取ったのか、頷く映姫様。
両目をつぶり、見えない何かを見るようにして、話し始めた。
「・・・あなたは受けた恩は必ず返そうとする義理堅さを持っている。それは非常に好ましいことです」
「それじゃあ・・・」
口を挟みかけると、目を開いてそれを制される。
「しかし、あなたは敵意に関しても敏感です。いえ、過敏といえる。敵や部外者は積極的にを排除しようとする傾向があります。
相手が純粋な敵意を抱いているならそれは仕方ないことでしょう。しかしあなたには敵意しか見えていない」
感情のこもらない声で淡々と語る映姫様。
「そう、あなたは少し愚直すぎる。あなたは誰かを傷つけていることに気付いていない。このまま生まれ変われば、同じことを繰り返すでしょう」
「そんな・・・」
「身に覚えがない? 当然のことです。その者はあなたの知らないところで胸を痛めているのですから。今のままでは、あなたを転生させるわけにはいきません」
・・・俺が知らないうちに誰かを傷付けてる? ・・・無茶苦茶だ。そんなこと言ったら、みんながそうじゃないか。
「わからないでしょう。だからこそあなたに猶予を与えたのですから。ですが、それもそろそろ終わりです。これ以上ここに死者の魂を置くわけにいきません」
「・・・それは」
「あと十日ほど待ちます。それまでに意味を理解できなければ、あなたは輪廻の輪を外れ、その魂は消滅することになります」
「・・・」
「私の言葉の意味を理解する。それがあなたにできる善行です」
話は終わりとばかりに背を向ける映姫様。それ以上はいくら尋ねても答えは返ってこなかった。
それからずっと考え続けたが、答えは出ないままだった。
だってそうだろう。恩には恩を、仇には仇を。
それが何であれ、もらったものは返すのが普通のはずだ。
敵は排除しなければやっていけない。だとしたら・・・
堂々巡りのまま、約束の期限まであと一日。今日が最後のチャンスだが、相変わらずにわからない。
このままでは、俺は・・・。
「・・・○○」
そんなときに声をかけてきたのは、小町だった。
「なんだよ」
「あのさ・・・」
「いい気味だろ? お前の嫌いなやつは、もうすぐいなくなる。ざまあないな」
「・・・」
「変な気使うんじゃねえよ。閻魔様に嫌われて、俺はもうすぐ消えるんだと」
うつむいたままの小町の表情は、知ることができない。
「ほら、笑えよ。もうすぐ消えちまう哀れな野郎をさ。笑えばいいだろ」
「・・・この、馬鹿野郎!」
気がつけば頬に痛みが走っていた。顔をあげて目の前の小町を見てから初めて頬を張られたんだと理解する。
「こんなこと、笑えるわけないだろ。あたいがあんたのことを、笑うわけないだろ!」
目に涙を湛えて叫ぶ小町。
「そりゃ、あたいはこんな女だし、可愛げはないし、素直になれないとこだってあるさ。でも、あたいはあんたのことが嫌いなわけじゃない。
むしろ好きさ、あんたのことが大好きさ。・・・だけど、どう接したらいいかわからなくて」
「・・・小町」
「映姫様に言われたこと、悪いとは思ったけど聞いちまったんだ。・・・気付いておくれよ。態度だけであたいのことを見ないでおくれよ」
・・・俺は噛み付いてくる相手を噛み返していた。それが敵意だと勝手に判断して。・・・でも。
「消えないでくれよ、○○。あんたがいなくなったら、あたい・・・」
肩を震わせる小町を思わず抱きしめる。
「○○!?」
「悪かった。いままで小町は俺のことを嫌ってたと思い込んでた。でも違ったんだな」
「うん!」
・・・映姫様が言ってたのは、こういうことか。
上っ面だけで相手を決めつけることは、その人の内面をみないということ。それは、相手を傷つけることになると。
「小町、ごめんな。俺もお前のことが好きだ」
「○○」
「そこまでです。場所をわきまえなさい」
「映姫さま!」
いつの間にいたのか、映姫様が目の前にたたずんでいた。
「さて、○○。遅くなりましたが、ようやく私の言葉を理解したようですね」
「はい」
そう。確かに俺は愚直すぎた。その意味が今ならわかる。
「これで貴方を、輪廻の輪に送り返すことができます」
「それじゃあ・・・」
と、言いかけて気づいた。それはつまり、小町とも別れるということ。
ふと小町を見れば、泣きそうな顔でこちらを見ていた。
「・・・小町」
そうして、しばらく俺を見つめていたが、やがて意を決したように口を開いた。
「・・・はっ。何を血迷ってたのかね、あたいは」
「こま・・・」
「せいせいするよ。お前みたいなやつはさっさと行っちまいな。もう二度とこんなところに来るんじゃないよ」
「・・・」
そんな顔をしてそんなことを言われたら、泣き言も言えないじゃないか。
「ああ、さよならだな小町。もう会うこともないだろうさ」
ようやくそれだけを言い返し、映姫様に向き直る。
「・・・お願いします」
すすり泣く声を背中に聞きながら、それだけを口にした。
「では○○、貴方を転生させます」
泣き声はいよいよ強くなる。・・・馬鹿、死神が人間のために泣くなよ、みっともない。
「・・・と、言いたいところですが」
唐突に映姫様が俺を見据える。
「貴方は大きな業を背負った。死神に魅入られてしまうなどと。このまま現世に戻っても、貴方はすぐに還ってくるでしょう。
・・・そう、貴方はここに深入りしすぎる。早くして死ぬことも、長く生きることと同様に罪なのです」
尺を俺の方へ向け、説教を始める映姫様。
「よって、貴方を現世に戻すわけにはいかない」
・・・それって
「映姫さま!?」
「小町、貴女が彼を想う限り、彼は転生できないのでそのつもりで」
それだけ言うと、映姫様は去っていった。呆然としている俺たちを残して。
思わず顔を見合わせる。
「・・・ははは、参ったね全く」
先に沈黙を破ったのは、小町だった。
「ようやくさよならできると思ったのにさ」
出てきたのは憎まれ口だが、そのくらいなら俺でも分かる。
「誰のせいだよ、まったく。このままじゃ、ずっとここにいる羽目になりそうじゃないか」
「ざまあないね。永遠にここにいろってもんさ」
「気に入らない奴が、入り浸ることになるが?」
「会うたびに文句垂れてやるさ。覚悟するんだね」
相変わらずの言い合いの応酬。だけど嫌な感じはしない。
彼女のほんとの気持ちを知っているのだから。
これから先、ずっとこんな関係を続けていけるのだとしたら、ここにいるのも悪くない。
軽口を挟みながら、次はどんな風に言い返してやろうか考えていた。
新ろだ257
───────────────────────────────────────────────────────────
本日快晴也。
今日も今日とて絶好のサボり日和である。
幻想郷をブラつくことも一度は思いついた小町だったが、
今日は顔見知りがいる川沿いを散歩と洒落込む事にした。
毎度のように同じルートでは、そのうち上司であるあの閻魔に、
すぐにバレてしまうであろうという結論に至ったからである。
小道を進むこと十数分、でんと突出した岩場の上に
ここ数年来の世間話の相手の背中を見つける。
初めて見たときとさして変わらぬ風貌のまま、
岩場からはいつものように釣り糸がぷらんと下がっていた。
「○○、今日も相変わらず釣りかい?
精が出るね……っと、おや」
背中に声をかけながら近寄ってみたところで、
反応がないことに気づく。
隣にしゃがんで顔を覗きこみ、
沈黙している理由を理解した。
「……」
寝ている、完璧に寝ている。
釣り糸に反応が無いところを見ると、既に餌は取られた後のようである。
「何もこんな所で寝なくても……」
比較的人里に近い川とは言え、そこそこに距離はある。
妖怪が襲ってきても不思議ではないのだけれど。
「……ま、それがこいつがこいつである所さね。さて、と」
左右をきょろきょろと見渡し、誰もいないことを確認する小町。
「誰も、いないね」
誰にでもなく一人頷くと、改めて○○の隣に座り込む。
「暫く肩、借りるよ……」
傍らの男にしなだれるように体を預ける。
いつまで経っても自分の気持ちに気づかない、
釣り好きの朴念仁へのささやかな復讐として。
彼が起きたときの顔と、反応を色々と想像をしながら、
小町もまた、緩やかに眠りに落ちていった。
新ろだ280
───────────────────────────────────────────────────────────
死んだわけではない、友人に会う為である
「よう小町、サボってるか?」
「やぁ○○、サボってるか、って聞くもんじゃ無いよ」
ずいぶん前、死に掛けたときに出会った死神の小町、生き返ってからもたまにこうして会う
「また閻魔様に怒られるんじゃないか?」
「昼真っから酒を飲み歩くような奴には言われたくないね」
「はっ、俺は仕事終わってるんだからいいんだよ、お前は仕事中」
気だるげに、ぽかぽか陽気にゃ敵わない、と熱く語るお馬鹿さん
「・・・飲むかい?」
「あー・・・」
キョロキョロと周りを見回す小町、怪しい
「うふふー頂こうか」
「ほら」
瓢箪を投げて渡した
「・・・ぷはー!美味い!仕事中の酒は格別だねぇ」
「おいおい、閻魔様が聞いたらなんていうか」
「いいのいいの、どうせ見てないみたいだし、あの人は固すぎるんだよ、胸も硬い、なんちゃって」
「胸が硬いって、どういうことでしょうか?」
「そりゃあ脂肪分が少ないからまな板みた・・・い・・・・で・・・」
「そうですか、小町に自殺願望があるとは存じませんでした」
「どーも閻魔様、こんにちは」
「あら○○さんこんにちは、いいお天気ですね」
「四季様!?今のは四季様の事ではなくてですね」
「諦めろ小町、お前は既に死んでいる(笑」
「上司への暴言、仕事中に飲酒・・・さて小町、どんなお仕置きがいいですか?」
「○○っ!?助けて~!!」
ずるずると引き摺られていく小町にひらひらと、手を振ってやった
「うらぎりものぉぉぉ」
きこえないきこえない
「もうエッチな事させてやらないぞぉぉぉ」
これはこれは、聞き捨てならん台詞ですな
「こ、小町!?何を破廉恥な事を」
ごん
「きゃん!?」
あ、気絶した・・・
「閻魔様、この莫迦にはよく言い聞かせておきますのでどうか許してやってくれませんか?」
「・・・あなたが代わりにお仕置きを受けますか?」
「あ、結構です、じゃーな小町、俺仕事に戻るから、それじゃあ閻魔様、失礼します」
「うらぎりものぉぉぉぉ小町ちゃんをみすてるきかぁぁぁ」
ごすっ
「きゃん!?」
小町の悲鳴を背にして、俺は仕事へと急ぐのだった
9スレ目 >>149
───────────────────────────────────────────────────────────
「よう小町~また来たぜ」
「また・・・あんたそろそろ死ぬんじゃない?」
俺はただの東方好きの好青年
なぜか失神するたびに三途の川に行けるようになってしまったのだ
最初は驚いたね、失神して、気がついたら彼岸花に囲まれて、そして大鎌持った少女が呆れ顔で見てるんだもんよ
「で、今度はどうしたの?」
「んーたぶん稽古中に失神・・・ちょっと前まで記憶がないな、帰りに事故ったのかも?」
失神前後の記憶がないのだからどうしようもない
「・・・気を付けなよ?何の拍子で死ぬか解らないんだから」
「ダイジョブダイジョブ、もし死んでもそんときゃそん時さ」
向こうで失神してる時間=彼岸にいられる時間
ではない事が解ってきた、大体向こうの一分がコッチの2時間に相当するぐらい
「なぁ、どうやりゃ幻想郷にいけるんだろうな」
「あんたの世界から?・・・相当運がいい、いや悪くないと行けないんじゃないかな?でもあんなトコいっても死ぬだけさ」
「そーだよなぁ・・・ま、俺はどうせここに来たかったわけだし」
「・・・自殺願望でも有るのかい?」
「んー無いと言えば嘘になるけど、今は死なずにここに来れる事が一番嬉しい」
大体まぁ・・・4時間ぐらいかな、あと3時間ぐらい?
「なぁ小町、失神または死なずにここに来る方法ってないの?」
「んーアンタの世界からは・・・無理かなぁ」
「そっか・・・うむむ」
しょうがないので彼岸花を避けるように、寝転んだ
一応空はある、川の向こうは暗いけど、コッチは十分明るい
「なぁ小町、俺がお前の事好きだって、お前に惚れてる、って言ったらどうする?」
「え・・・じょ、冗談・・・だよね?」
空を見たまま、お互いに顔を見ない故、声から相手を読み取る必要がある
小町の声は、少し上ずって・・・驚きや焦りのような物を感じる
「そろそろ俺の体も限界だから、次ぎ来た時に言おうって思ってた、もう来れないと思うから」
「○○・・・」
「俺は小町が好きだ、大好きだ・・・今まで話し相手ありがとな・・・いつになるか解んないけど、俺が死んだとき、また会おうな」
俺としちゃあ人生において最高の思い出だった
失神しておきたら彼岸、小野塚小町に会えて、話まで出来て・・・告白まで出来て、本当に良かった
「ねぇ○○」
「なんだ?」
「・・・私もあんたの事好きだって、愛してるって言ったら信じる?」
「へ?あ、え?ちょ、ほんとに?」
「・・・あんたが来るのは無理だけどさ・・・私が会いに行くよ」
「え?」
「だから!私から会いに行ってやるって言ってるんだよ!だから・・・さよならなんて言うんじゃないよ?」
俺が呆気にとられていると、体が薄くなるのがわかった
「・・・早かったなぁ」
「あ、帰るのかい?」
「ああ・・・遊びに来てくれるんだろう?来なかったら酒無しだからな」
「はは、それは重大だ・・・じゃあ・・・ばいばい」
俺は首を振って、小町の言葉を否定した
「ばいばい、じゃなくて・・・またね、だろ?」
「うん、そうだね・・・またね○○」
「ああ、またな小町、酒用意して待ってるから」
そう言って、彼は消えた、いや・・・帰った
「・・・ふぅ、仕事に戻らなきゃ、映季様に怒られる」
怒られてばかりだと休暇ももらえないかもしれない、それは凄く困る
さて、さっさとやっちまいましょう
「小町、随分優秀に働いてますね・・・天変地異の前触れでしょうか?」
「私も心を入れ替えて・・・少しだけ」
「ふむ・・・何かありましたか?貴方が一所懸命になれる何かが」
「えへへ~恋人が出来たんですよ~♪休暇だもらえるようにがんばってるわけですよ」
「・・・まぁ動機は不純ですが・・・結果が出ているのでまぁ良しとします・・・下がっていいですよ」
ギィ・・・バタン
「恋人かぁ・・・いいなぁ」
あの小町が、あそこまで頑張ってしまうほど・・・恋人というのは凄いのか
「出会いはないのでしょうか」
私の独り言は、独りの部屋に虚しく、響いた
10スレ目>>533
───────────────────────────────────────────────────────────
彼岸花の咲く川原で、一人の青年が本を読んでいる
「ねぇ○○」
「・・・」
近くにいた少女が話しかけるが返事は返ってこない
「ねぇってば!」
「んー・・・」
青年は本を読むことに夢中らしく、呼びかけに対しても生返事を返すばかりである
「・・・もう、つまんないねぇ」
「・・・」
「相変わらず無口だねぇ・・・なんか言ったらどうだい?」
「・・・ん」
「・・・ねぇ○○、キスしてよ」
「ん」
ゆっくりと身を起こし、本にしおりを挟んだ
少女へと向き直って、唇を重ねた
「きゃ、んっ!?んーんーぷぁっ」
「ふぅ・・・」
少女は口付けの余韻に浸っている
反対に青年は事も無げに腰をおろした
「○、○○!も、もっとこう、雰囲気とか、その・・・」
「・・・小町」
「え?な、なに?」
「愛してるぞ」
不意打ちの一言は、少女の頬を赤く染めるに十分であったらしい
「う、うん・・・私も、愛してるよ」
三途の川は今日も変わらずゆっくりと流れていた
10スレ目>>833
───────────────────────────────────────────────────────────
「小町」
「わっ!・・・なに?」
「今サボってただろ」
「さ、サボってないよ!」
「うそつけ」
「んっ・・・さ、サボってないって・・・」
「ほんとに?」
「あぅ・・・さ、サボって・・・ない、です・・・」
「ほんとは?」
「う・・・ちょ、ちょっとだけ・・・」
「やっぱり」
「ご、ごめんなさい・・・」
「怠け者と嘘つきにはお仕置きが必要だな」
「え・・・や、やだ・・・」
「駄ー目」
「や・・・はぅ・・・」
ん、パチュリーさん何ですか?今いいところでウボァー
10スレ目>>890
───────────────────────────────────────────────────────────
夜。
ここのところ急に冷え込んできて、家の中でも上着が手放せなくなってしまった。
少しでも温まろうと、まだ寝るわけでもないのに横になって布団にくるまる。
「うー…寒い…」
しかしながら寝転がった状態で何かするのは難しい。
寝転がって本を読むなんて光景は良く見る気がするが、実際にやってみると腕が痛んでそれどころではない。
さてどう宵の時間を潰すか、と思案を巡らせていると、不意に家の扉が開く音がした。
「おーっす○○~今からあたいの家でちょいと飲まない?」
突然の来訪に、そういえば鍵を閉めてなかったな、と思いつつも応対する。
「んー…そうだなー、寒いし飲んで温まるのも丁度いいかもな」
「そうこなくっちゃ!それじゃあたいは先に戻ってるからね」
「はいよー」
この死神、小野塚小町とはかなり親しい関係にある。
何故なら、俺の家から小町の家までは歩いて1分とかからない距離にあるのだ。
そして、近所付き合いをしていくうちに意気投合してしまったというわけだ。
…普通ならめくるめくラブストーリーが展開しそうなシチュエーションだ。
確かに小町はえらい美人だと思うし、気も合うし、その……スタイルもかなり良い。
だが気が合いすぎる所為か、一緒に過ごす時間が楽しすぎて、今のままでもいいかというような妥協をしてしまうのだ。
それに小町の方もそういう感情は抱いていないように見える。
…まあ、そういうことを考えているのすら自意識過剰だ。嫌になる。
そうこう考えているうちに小町の家に着く。
中では、待ちきれなかったのか、もう既に一人酒宴を始めているようだ。
「○○遅いよー、ささ、駆けつけ三杯……」
「お前は家と家との距離を操ってるんだろうが」
「にっひっひ、○○は三杯で出来あがっちゃうからね~、こうした方が都合が良いのさ」
そう言いながら酒を注いでくる。
まあいつも通りだな――と思いつつ、ぐいっと飲んだ。
まだ酒の残っている杯や徳利、おつまみの皿などが散らかっている部屋の中で、
あたいは酔い潰れ、○○はすっかり寝てしまった。
子の刻も過ぎたようで、あたりはすっかり暗くなっている。
思い返せばもう一年くらいはこんな付き合いが続いているだろうか。
○○との酒の席は正直楽しい、楽しすぎる。
仕事柄あたいは話すことが好きで、酒が入るとさらに口が弾んでしまう。
対して○○は本当に聞き上手というか何というか……
今のあたいにゃ欠かせない親友になったねえ――
親友といえば、前に○○の話を霊夢にしたところ、
「え? 何? あんたら付き合ってるの?」
と言われたことがある。
いや、休日に一緒に買い物をしただけなんだけどねえ……
そういえば魔理沙にも言われたっけ。
「霊夢、こいつと○○はそこらでは有名なバカップルだ。音速が遅いぜ」
いや、ウチで一緒に飲んでいたら杯が一杯割れちまったんで、二人で使い回しただけなんだけどねえ……
確かに最初はちょっと恥ずかしかったかもしれないが。
ん、妖夢にも言われたかな?
「そそ、それは友人同士でするコトじゃありませんッ!!」
なんて、顔を真っ赤にしてたねえ。
いや、酔い潰れた後はちょくちょく泊まったり泊まらせてもらうってだけなんだけどねえ……
だってほら、家が近いだろ?
確かに、友人やら親友って表現に違和感はあるかもしれない。
○○から教えてもらったが、外の世界には"友達以上、恋人未満"なんて表現があるらしい。
なるほど、的を射ている。
でも、恋人未満か……あながちそうとも―――
「小町、起きていますか?こんな夜中に悪いのですが」
「あ、え!?」
突然扉の向こうから四季様の声がしたので体が跳ね上がるほど驚いた。
急激に脳が覚醒していく。
――今の状況を見られてはマズい――
四季様に話せば生活態度がなってないだの、不純な異性交遊がどうので説教されるに違いない。
そう思って今まで隠しておいたのに――!
「明日の仕事に急に変更があったから一応連絡を入れに来たんだけど……どうしたの?」
「い、いや、何でもないですよ!?ここらの夜は物騒なもんで……えへへ」
扉をわずかに開けて話す。明らかに不審だ。
「とりあえずちょっと入り組んだ話になるから入れてくれる?」
難題です。どこぞのお姫様の難題より難題です……
「あ、いや、ほら、ウチ今凄い散らかってますし!」
「…今更そんなことを気にする間柄でもないでしょう。前に連絡回した時にも入ったじゃない」
無論断る理由がない。
今している弁明は、アキレスと亀のようなものだ。
実際は、亀はいくら頑張っても最終的にはアキレスに抜かれてしまうのだ。
ああ、あのパラドックスが本当だったら、今から起こる惨劇は回避できたろうに――!
あっさり扉は開かれ、また同時にアキレスは欽ちゃん走りで亀を抜き去り、世界記録を樹立した――
「きゃん!」
「……小町、これはどういうことです?」
四季様が音の震えた丁寧語を話している。軽く叩かれた頭が少し痛む。ああ、あたいはもうダメだよ○○……
「まったく、やはりあの噂は本当だったんですね……」
「え、噂?」
「貴女が、この男性――○○さんとお付き合いしているという噂です」
脳裏に紅白や黒白の顔が浮かんでくる。ち、違うって言ったのに……
「貴女自身はそれを否定したがっているようですが……どこからどうみてもカップル……というか……夫婦……というか……」
「え、え!?」
四季様が赤くなりながらもにょもにょと喋りだすものだから何故かこちらまで恥ずかしくなってしまう。
○○と恋人……夫婦……
「い、いや…だって、○○も別にあたいにはそういう感情抱いてないみたいd『甘い!』 え?」
「……本当にそうか、ちょっと試してみませんか?」
鈴虫の鳴き声で不意に目が覚めた。
……いつの間にか眠ってしまっていたようだ。
毎度の事とはいえ、女性の家に泊まるってのは悪い気もするよなぁ…
暖かいと思ったら毛布がかけられていた。
うーん、心遣い感謝、ぬくぬく。
「……あれ、小町は?」
きょろきょろとあたりを見渡してみるものの、何処にも姿が無い。
お手洗いとかだろうか?
「ま、いっか」
今は睡魔やら温もりやらが勝っている。大人しく毛布に潜りこませてもら……
も……ら……
「こ、小町!?」
「あ……○○……起きたのかい?」
小町も今俺が叫ぶまで眠りこけていたらしく、目をこすりながら暢気にそんなことを言う。
こちらはと言えば言葉を発することができず、口をパクパクさせていた。
だって、同じ毛布の中で息がかかりそうなくらい顔が近いんだもの!
「いや小町! なにこれ!」
錯乱気味に叫ぶ。
「ふふ、○○は初心だねえ。一緒に寝てるだけじゃないか」
「いや……だってこんな……」
自分でも紅潮しているのが手にとるように分かる。顔で茶を沸かせそうだ。
小町も平気そうな顔をしながら、視線は合わさないし、やはりこちらも頬が上気しているのがわかる。
心臓はこの空気の中で、時間を増すほどに鼓動を大きくし、速めている。
――間近で見ると、小町は本当に整った顔立ちをしている。普段の精悍さも滲み出ているが、何と艶やかなことだろう。
――間近で見ると、○○は本当に男らしい顔だ。それでいて普段の優しさが滲み出ていて、何と雄々しいことだろう。
うっかり小町の顔をまじまじと見つめてしまい、また小町もこちらを見ていたせいか、数秒間目が合いっぱなしだった。
普段は気恥ずかしくて、あまり目を合わせたことがなかった。
…もしかして、こういう感情から本能的に逃げていたのかもしれない。今のままでいい、と。
今の関係が崩れるのが怖かったのだろう、ずっとこうして過ごしていたかったんだ。
でも、
――俺は小町のことが好きなのかもしれない。
――あたいは○○のことが好きなのかもしれない。
ほどなくして、どちらともなく口を開いた。
「「あの……ッ!」」
「く……くくッ」
「ふふ……あはは」
あまりにもピッタリハモってしまったので、笑いが零れた。
同時に、異常なほどの緊張感もほぐれたようだ。
今なら、話せるかもしれない、俺は――
「あたいは、○○のこと好きだよ」
「……ッ」
出鼻を挫かれて言葉に詰まり、再び紅潮する。
そんな俺を見て、小町はしてやったり、という表情を見せた。
……ちくしょう、可愛いな。ここは俺も誠意を見せてやらねばなるまい。
と、息まいたものの、いざ実行に移すとなると緊張する。無論、こういう経験は初めてだ。
小町も何かを期待するかのように胸の前で手を合わせ、ぎゅうっと握っている。
一度切れた緊張が甦ってきた。
破裂しそうな鼓動をよそに、静かに腕を伸ばす。
まるで禁忌に触れるかのように、ゆっくり、ゆっくりと。
背中に回るくらいまで腕を伸ばしたところで、そっと抱き寄せる。
小町も一瞬ぴくりと体を震わせるが、少し経って不安も無くなったのか、体をこちらに預けてくる。
幻想郷の女性の中では小町は比較的背が高いが、やはり男女の体格差を感じる。
抱きしめてみると、普段の精悍なイメージが霧散するような柔らかさだ。
そして、今、まさに密着。
この状況でドキドキしない男子など居ようか。いや、居まい。
「……○○、凄くドキドキしてるね……」
「あ、当たり前だろ……こんなこと初めてだし……。小町だってドキドキしてるじゃないか」
「う、うん……」
言って気づいたが小町の、その……胸も、鼓動が伝わるほどに密着している。
扇情をもよおすほどの余裕は無いが、それがさらに俺の鼓動を加速させていた。
それにしても、暖かい。今日の乾燥した寒さが嘘のようだ。
確かに緊張はするけど、同時にこの暖かさに安心する。
人肌を感じるって、こういうことなんだな……。
ふと、小町がこちらを見上げてきた。
ねだるような上目遣いが再び鼓動を速める。い、今俺は凄いものを見ているのかもしれない……
小町がゆっくり目を瞑る。顔は耳まで赤くなっていた。
これはつまり、アレだ。恋愛経験のない俺でも十分に伝わった。
「その……いいのか?」
「うん……あたいも…その…初めてだから……」
なんと!
この世界にはまだ穢れなき淑女が存在した!
しかし、向こうもファーストキスだということを考えると責任は重大だ。
やり方も良くわからないが、とにかくやってみるしかない。
小町の唇に目をやると、顔が紅潮している所為もあるのか、うっすらと紅くなっており、
程よく湿っていて艶やかで、およそこの世のものとは思えない美しさだった。
そんな誰も踏み入れたことのないサンクチュアリを、今まさに侵そうというのだ。
腕を伸ばす時と同様、ゆっくりと顔を近づける。
お互いの息が顔にかかる。それすらも恥ずかしいことこの上ない。
あと数センチという距離の中で、二人の緊張は頂点を極めているようだった。
「んっ……」
静かに唇と唇が重なる。まだ本当にただ触れただけだ。
そこから、池に波を立てずに石を沈めるような速度で、ゆっくりとお互いの唇を押し付けていく。
人肌と同様に、唇もまた温かい。
「ぷぁっ……ん……はぁっ」
一度だけでは飽き足らず、くっついては離れ、くっついては離れを繰り返し、
お互いの存在を確かめあうかのように強く抱きしめあい、接吻する。
時たま唇を糸が繋ぎ、月明かりに照らされ銀色に輝いていた。
ひとしきり唇を押し付けるだけの接吻が終わり、一息つく。
「えへへ……○○…、その、やっちゃったねえ……」
「あ、ああ……」
無我夢中で求め合ってしまったが、ふと落ち着いてみるとかなり恥ずかしい。
毛布をマント代わりに空を飛んで逃げたいところだ。
(……そういえば、さっきは出鼻を挫かれたな)
急に悪戯心が湧いてくる。長い接吻が終わって弛みきっている小町を抱き寄せ、唇を啄んだ。
「んむっ!?ま、○○!?」
さっきは恥ずかしくてできなかったが、口付けたまま、ゆっくりと舌を這わせる。
小町も最初は驚いていたようだったが、たどたどしく舌を絡めてくる。
互いに唾液を交換しあうように口内を舐った後、ゆっくりと唇を離す。
「……俺だって、小町のことが"大"好きだぞ」
不意を突かれ、小町の顔が足の先から頭のてっぺんに至るまで赤くなっていた。しめしめ。
「……絶対に幸せにしとくれよ?」
「……あ、うん…絶対に幸せにするさ」
しばらくお互いにポーとしていたが、ダブルクォーテーションに気づくと、はっとして糸が切れたように叫びだした。
「あ、あたいはもっと大好きだよ!」
「いやいや、俺の方が大好きだ!!」
「あたいの方が○○の百倍好き!!!」
「何ィ!?俺の方が小町の一億万倍好きだ!!!!」
「一億万!?でもあたいはおっくせんm…」
・
・
・
「どうやら、無事に事が進んだみたいね」
秋の虫たちの鳴き声と共に人と死神のバカップルらしい叫び声が夜空に響く。
聞いているこちらが赤面するほどの、爽やかな暴走っぷりだ。
二人とも、大人で子供だった。
まるで子供が魅かれあうように付き合いを始めた二人だったが、大人の理性でお互いにそれを押さえ込んでしまっていたのだ。
しかしながら二人とも――特に小町はまるで隠しきれていなかった。
「残業が無くなる程頑張るなんて、おかしいと思ったのよ……」
小町の仕事の成果が増えた時期と、○○が外の世界から幻想郷に流れてきた時期はすぐに結びついた。
小町から直接話を聞かずとも、二人の付き合いが深いであろうことは明白だったのだ。
――よもや二人ともがあそこまで暢気に構えているとは思わなかったが。
「そういえば、仕事のこと言い忘れてたわね。まあ、その分増える仕事はきっちり小町に精算してもらおうかしら」
私も、そろそろ帰路に着こう。
少し歩くと、まるで冷蔵庫に入ったかのような寒さが襲ってきた。
(寒いというよりは…あの家周辺が驚くほど暖かくなっていたようですね…)
愛は地球を救う、ではないが、いつか氷河期が再び訪れても人類は滅亡しない気がしてきた。
いつか私もあのような暖かさを手に入れたいものd…
「じゃあ俺は一恒河沙倍好きだーーーー!!!」
……大人で子供、我ながら的を射た言葉だったように思う。
新ろだ72
───────────────────────────────────────────────────────────
地獄の沙汰も管理職。
それを知ったのが、初めてここに来た時のこと。
不慮の事故で彼岸行きになった俺は、天国に行ける程善人ではなく、地獄に墜ちる程悪人ではなかったらしい。
閻魔、四季映姫様の下した判決は、しばらくの間是非曲直庁に勤め、生前の業を清算しろということだった。
分かりやすくいえば、しばらく閻魔様の元で働けということらしい。仕事は主にデスクワーク。
確認が終わった書類に「承認」の印を押したり、罪人の判決を別の書類に転写したり、要するに事務処理作業。事後報告の処理。
上司のエリートさん達が間違いを犯すわけもなく、かわりに機械にまかせた方が、効率がいいのではないかという仕事である。
「そうはいきません。これはあなたの贖罪なのですから、それでは意味がない。
決してそのような技術がないわけではありません。断じて」
……さいですか。
別に仕事はきついわけではない。
それどころか、楽すぎる。
死者など一日に多くてもせいぜい五、六人。
十人以上などまずこない。
一日に十ほどの判と罪状の書名。それだけで一日座り通しなのだ。
詰まるところ、退屈なのである。
それだけでなく、最近は悩みのタネがもう一つできた。
「よお、引きこもりの○○。まだここにいたのか」
「大きなお世話だよ、サボタージュ小町。お前こそとっくにクビになったと思ったんだが」
「馬鹿言うんじゃないよ。あたいだってやるときゃやるんだ」
「昼寝が見つかったときだけ、な。今夜は寝なくて済むんじゃないか?」
「あたいは身体を使うからね。あんたこそ座りっぱじゃ、立つものも立たなくなってんじゃないかい?」
「少しはその蓮っ葉な言い回しをあらためたらどうだ? いざってときは女の子ぶるくせに」
「そんなことは、その生っ白い身体をどうにかしてから言うんだね」
「ふん。これ以上お前に構ってる暇はないんだよ。さっさと昼寝に戻りな」
「ここで一番暇なのはあんただろう○○。あたいだって忙しいんだ。あまり無駄口を叩かないで欲しいね」
「ああ、いけいけ、いっちまえ。せいせいするよ。サボり魔」
「二度とあたいに話し掛けんじゃないよ。グズ職員」
三途の川の橋渡し、死神の小野塚小町。
どうも俺が気に入らないらしく、会えば喧嘩を吹っ掛けて来る。
ただでさえ退屈でいらいらしているところに、さらに絡んでくるのだからたまらない。
おかげで会えば口喧嘩ばかりなのだ。まったく、黙っていれば可愛いと思うのに、何でああなのかね・・・
まあ、話し相手がいるのはありがたいことだけどさ。
閑話休題。ともかく、そんなこんなで毎日を過ごし、一ヶ月ばかりがすぎた頃、俺は閻魔の映姫様に呼ばれた。
何の用なのか首をかしげながら映姫様の私室を訪れる。
映姫様はそのちんまい体に不釣り合いな威厳をたたえて、机の前に立っていた。
「どうですか○○。仕事にも慣れてきたころでしょうか?」
穏やかな、しかし感情を見せない口調で話しかけてくる。
「まあ、おかげさまで」
「そうですか・・・」
いったい何のつもりなのだろう。
「さて、今日呼んだのは他でもありません。あなたの今後についての話です」
そういえば、ここで働くのは一時的なものだったな。ということは、審判のときということか。
居住まいをただすと、俺の意思をくみ取ったのか、頷く映姫様。
両目をつぶり、見えない何かを見るようにして、話し始めた。
「・・・あなたは受けた恩は必ず返そうとする義理堅さを持っている。それは非常に好ましいことです」
「それじゃあ・・・」
口を挟みかけると、目を開いてそれを制される。
「しかし、あなたは敵意に関しても敏感です。いえ、過敏といえる。敵や部外者は積極的にを排除しようとする傾向があります。
相手が純粋な敵意を抱いているならそれは仕方ないことでしょう。しかしあなたには敵意しか見えていない」
感情のこもらない声で淡々と語る映姫様。
「そう、あなたは少し愚直すぎる。あなたは誰かを傷つけていることに気付いていない。このまま生まれ変われば、同じことを繰り返すでしょう」
「そんな・・・」
「身に覚えがない? 当然のことです。その者はあなたの知らないところで胸を痛めているのですから。今のままでは、あなたを転生させるわけにはいきません」
・・・俺が知らないうちに誰かを傷付けてる? ・・・無茶苦茶だ。そんなこと言ったら、みんながそうじゃないか。
「わからないでしょう。だからこそあなたに猶予を与えたのですから。ですが、それもそろそろ終わりです。これ以上ここに死者の魂を置くわけにいきません」
「・・・それは」
「あと十日ほど待ちます。それまでに意味を理解できなければ、あなたは輪廻の輪を外れ、その魂は消滅することになります」
「・・・」
「私の言葉の意味を理解する。それがあなたにできる善行です」
話は終わりとばかりに背を向ける映姫様。それ以上はいくら尋ねても答えは返ってこなかった。
それからずっと考え続けたが、答えは出ないままだった。
だってそうだろう。恩には恩を、仇には仇を。
それが何であれ、もらったものは返すのが普通のはずだ。
敵は排除しなければやっていけない。だとしたら・・・
堂々巡りのまま、約束の期限まであと一日。今日が最後のチャンスだが、相変わらずにわからない。
このままでは、俺は・・・。
「・・・○○」
そんなときに声をかけてきたのは、小町だった。
「なんだよ」
「あのさ・・・」
「いい気味だろ? お前の嫌いなやつは、もうすぐいなくなる。ざまあないな」
「・・・」
「変な気使うんじゃねえよ。閻魔様に嫌われて、俺はもうすぐ消えるんだと」
うつむいたままの小町の表情は、知ることができない。
「ほら、笑えよ。もうすぐ消えちまう哀れな野郎をさ。笑えばいいだろ」
「・・・この、馬鹿野郎!」
気がつけば頬に痛みが走っていた。顔をあげて目の前の小町を見てから初めて頬を張られたんだと理解する。
「こんなこと、笑えるわけないだろ。あたいがあんたのことを、笑うわけないだろ!」
目に涙を湛えて叫ぶ小町。
「そりゃ、あたいはこんな女だし、可愛げはないし、素直になれないとこだってあるさ。でも、あたいはあんたのことが嫌いなわけじゃない。
むしろ好きさ、あんたのことが大好きさ。・・・だけど、どう接したらいいかわからなくて」
「・・・小町」
「映姫様に言われたこと、悪いとは思ったけど聞いちまったんだ。・・・気付いておくれよ。態度だけであたいのことを見ないでおくれよ」
・・・俺は噛み付いてくる相手を噛み返していた。それが敵意だと勝手に判断して。・・・でも。
「消えないでくれよ、○○。あんたがいなくなったら、あたい・・・」
肩を震わせる小町を思わず抱きしめる。
「○○!?」
「悪かった。いままで小町は俺のことを嫌ってたと思い込んでた。でも違ったんだな」
「うん!」
・・・映姫様が言ってたのは、こういうことか。
上っ面だけで相手を決めつけることは、その人の内面をみないということ。それは、相手を傷つけることになると。
「小町、ごめんな。俺もお前のことが好きだ」
「○○」
「そこまでです。場所をわきまえなさい」
「映姫さま!」
いつの間にいたのか、映姫様が目の前にたたずんでいた。
「さて、○○。遅くなりましたが、ようやく私の言葉を理解したようですね」
「はい」
そう。確かに俺は愚直すぎた。その意味が今ならわかる。
「これで貴方を、輪廻の輪に送り返すことができます」
「それじゃあ・・・」
と、言いかけて気づいた。それはつまり、小町とも別れるということ。
ふと小町を見れば、泣きそうな顔でこちらを見ていた。
「・・・小町」
そうして、しばらく俺を見つめていたが、やがて意を決したように口を開いた。
「・・・はっ。何を血迷ってたのかね、あたいは」
「こま・・・」
「せいせいするよ。お前みたいなやつはさっさと行っちまいな。もう二度とこんなところに来るんじゃないよ」
「・・・」
そんな顔をしてそんなことを言われたら、泣き言も言えないじゃないか。
「ああ、さよならだな小町。もう会うこともないだろうさ」
ようやくそれだけを言い返し、映姫様に向き直る。
「・・・お願いします」
すすり泣く声を背中に聞きながら、それだけを口にした。
「では○○、貴方を転生させます」
泣き声はいよいよ強くなる。・・・馬鹿、死神が人間のために泣くなよ、みっともない。
「・・・と、言いたいところですが」
唐突に映姫様が俺を見据える。
「貴方は大きな業を背負った。死神に魅入られてしまうなどと。このまま現世に戻っても、貴方はすぐに還ってくるでしょう。
・・・そう、貴方はここに深入りしすぎる。早くして死ぬことも、長く生きることと同様に罪なのです」
尺を俺の方へ向け、説教を始める映姫様。
「よって、貴方を現世に戻すわけにはいかない」
・・・それって
「映姫さま!?」
「小町、貴女が彼を想う限り、彼は転生できないのでそのつもりで」
それだけ言うと、映姫様は去っていった。呆然としている俺たちを残して。
思わず顔を見合わせる。
「・・・ははは、参ったね全く」
先に沈黙を破ったのは、小町だった。
「ようやくさよならできると思ったのにさ」
出てきたのは憎まれ口だが、そのくらいなら俺でも分かる。
「誰のせいだよ、まったく。このままじゃ、ずっとここにいる羽目になりそうじゃないか」
「ざまあないね。永遠にここにいろってもんさ」
「気に入らない奴が、入り浸ることになるが?」
「会うたびに文句垂れてやるさ。覚悟するんだね」
相変わらずの言い合いの応酬。だけど嫌な感じはしない。
彼女のほんとの気持ちを知っているのだから。
これから先、ずっとこんな関係を続けていけるのだとしたら、ここにいるのも悪くない。
軽口を挟みながら、次はどんな風に言い返してやろうか考えていた。
新ろだ257
───────────────────────────────────────────────────────────
本日快晴也。
今日も今日とて絶好のサボり日和である。
幻想郷をブラつくことも一度は思いついた小町だったが、
今日は顔見知りがいる川沿いを散歩と洒落込む事にした。
毎度のように同じルートでは、そのうち上司であるあの閻魔に、
すぐにバレてしまうであろうという結論に至ったからである。
小道を進むこと十数分、でんと突出した岩場の上に
ここ数年来の世間話の相手の背中を見つける。
初めて見たときとさして変わらぬ風貌のまま、
岩場からはいつものように釣り糸がぷらんと下がっていた。
「○○、今日も相変わらず釣りかい?
精が出るね……っと、おや」
背中に声をかけながら近寄ってみたところで、
反応がないことに気づく。
隣にしゃがんで顔を覗きこみ、
沈黙している理由を理解した。
「……」
寝ている、完璧に寝ている。
釣り糸に反応が無いところを見ると、既に餌は取られた後のようである。
「何もこんな所で寝なくても……」
比較的人里に近い川とは言え、そこそこに距離はある。
妖怪が襲ってきても不思議ではないのだけれど。
「……ま、それがこいつがこいつである所さね。さて、と」
左右をきょろきょろと見渡し、誰もいないことを確認する小町。
「誰も、いないね」
誰にでもなく一人頷くと、改めて○○の隣に座り込む。
「暫く肩、借りるよ……」
傍らの男にしなだれるように体を預ける。
いつまで経っても自分の気持ちに気づかない、
釣り好きの朴念仁へのささやかな復讐として。
彼が起きたときの顔と、反応を色々と想像をしながら、
小町もまた、緩やかに眠りに落ちていった。
新ろだ280
───────────────────────────────────────────────────────────