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東方学園3

最終更新:

orz1414

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P.M.10:00

コンコン
遠慮がちに扉を叩く音。
「雛?」
鍵の開いてる時は入ってきて良いと言ってあるし、この家には他に人も居ないので
返事をする必要も無いのだが、それでもあえて名前を呼ぶ。
「お疲れ様です。」
お茶を持ってきてくれたらしい。今日一日ずっとこの課題に係り切りだったから
手持ち無沙汰だったんだろう。
「ありがとう。」
そう言って、軽く頭を撫でると嬉しそうに笑う。
癒される……けどあまり関わってるわけにもいかないんだ。
悪いとは思うけど、この課題提出期限が今日の0時だから
先送りにするわけにも行かないからな。

さて、もう一頑張りするとしようか。

9スレ目 >>647

───────────────────────────────────────────────────────────

「うぅ~遅刻遅刻」

今学校に向かって全力疾走している僕は、今日から学園に通う極一般的な男の子。
強いて違うところを上げるなら、弾幕を扱えるってことかナー…。
名前は○○。
そんな訳で僕は、学園のすぐ手前の十字路までやって来たのだ…。

だが、○○が十字路を横切ろうとした次の瞬間ッ!

「!…いてっ!」
「す、すまない! 君、怪我はないか!?」

そう言って、何かに衝突して尻餅をついたらしい僕に手を差しのべたのは…


A.弁当箱を頭にのせた、いかにも委員長タイプな女の子
B.褌全裸のこーりん。現実は非情である

9スレ目 >>653

───────────────────────────────────────────────────────────

     「さて霧雨、どうしてこうなったか・・・改めて教えてくれるかな?」
    「・・・倉庫の中で暴れたせいだぜ・・・私が」
    「うむそうだな、そして・・・既に放課後なわけだ」
    体育の片付けをしていた、午後の授業はサボろうと倉庫に忍び込んだ
    そしてら先客がいたわけだ
    「・・・まぁ俺も悪かった・・・とりあえずさっさと魔砲とやらでぶち破れよ、すぐ逃げりゃ大丈夫だって」
    マスタースパークならいくら鉄とはいえ扉ぐらいは楽に吹き飛ばすだろう
    「・・・出来ない、今の私は魔法が使えない、ぜ」
    「はぁっ!?何でだよ・・・ああ」
    彼女の姿を見て、理解した
    彼女は今体育服なのだ、つまり魔法の道具を持っていない状況
    装備品
    魔理沙:服
    俺:時計、服
    「・・・まぁ明日になれば誰か見つけてくれるだろ」
    「・・・すまないぜ」
    珍しく、大人しいというか騒がしくないというか
    いつもよりも女のこな魔理沙、妙に意識してしまう
    「はぁ・・・もう日も暮れるな」
    蛍光灯があるのでまぁ大丈夫だろうが
    よくよく考えれば密室に二人きりなんだよなぁ・・・マットもあることだし
    って違う違う、今危ない方に志向がとんだ気がした
    今一度魔理沙を見る、髪サラサラだし、ちょっと幼い感じなんかもうね、俺に犯罪を起こさせる気かと
    ん?・・・魔理沙の奴・・・
    「おい、これ着てろ」
    俺はジャージの上を魔理沙に着せた
    「え、いや・・・お前が寒」
    「気にするな、お前が風邪を引くよりよっぽど良い」
    なんて言ってみる、すると魔理沙は、俺の横に腰を落とした
    肩が触れ合う、凄く近い
    「ま、魔理沙?」
    「その・・・くっ付いてれば・・・暖かいかなーって」
    とりあえず意識しないように精神統一
    でも彼女の体が、暖かいのが
    逆にコッチが熱くなってしまう、緊張で
    「暖かいな」
    「ああ、暖かいぜ」
    ちょっとしたらこの状況にも慣れた、後はボーっと夜が明けるのを待つだけだ
    「あー・・・サラサラだなぁ」
    「○、○○!?」
    「へ?」
    無意識のうちに魔理沙の髪をいじっていた
    あんまりサラサラなんで・・・カッとなってやった、悪気はなかった
    「わ、悪ぃ!その・・・無意識のうちにだな・・・」
    気まずいぞ俺、どうにかしてこの状況を打破せねば!
    ①何も思い浮かばない、現実は非常である
    選択肢ねぇぇぇぇ!
    なんじゃこらぁぁ
    俺がない脳味噌をフルに使っているとき、魔理沙が話しかけてきた
    「あのさ・・・お前は好きな奴とかいるのか?」
    ちょ、逃げたくても逃げられないこの状況でその手の話題は危険だと思いますよ!?
    「え?あー・・・いるっちゃいるかな、気になる奴、って事だけど」
    「そっか・・・それって・・・誰か教えてくれないか?」
    いや、それは無理だよ
    だって、魔理沙だぜ?
    この状況でふられでもしたら明日の朝まで気まずくて死ねるぜ?
    「それはー・・・言えない、かな?」
    「そっか、そうだよな」
    少し残念そうに、魔理沙は俺から視線を外すのだった

    いまだ暗いまま、夜は一向に明けない
    何の進展もなく、何もなせないまま、一歩の進展もないまま、朝を迎えようとしていた
    ○○は落ち着いた様子でマットの上でごろごろしている
    はぁ、せっかくあいつと二人きりになったというのに・・・これじゃあ何の意味もない
    今更扉をぶち破っても・・・なぁ
    「よっし!充電完了!」
    「え?な、何かどうかしたのか?」
    「魔理沙・・・行くぜぇぇぇ」
    さほど広くない倉庫、その中で助走をつけ・・・トビラへと突っ込んだ
    「うおるぁぁぁぁ」
    彼の渾身のドロップキックは、見事に鍵を破壊し、トビラを開いたのだった
    「いてて・・・おっしゃ!何とかなるもんだな」
    「大丈夫か○○!?」
    心配してくれたのか、魔理沙が近寄ってきた
    「大丈夫・・・さぁ、帰ろうか」
    外はまだ暗かったが時間は3時過ぎ
    互いにすぐに家に帰ったが今日の学校は辛いだろうな


    ~何日か後~
    「魔理沙、ちょっといいか?」
    隣の教室まで魔理沙を呼びにいった、都合よく彼女がいた
    「あ、ああ・・・別にいいけど」
    「屋上いくか、あそこがいい」

    「それで・・・何か話しがあるんだろ?」
    「ああ・・・お前道具なくても魔法が使えるみたいだな」
    「え、あ・・・」
    「あの時使わなかったことは、まぁどうでもいい」
    「え?だって・・・」
    「俺が知りたいのはなぜ使わなかったか、だ」
    「何故って・・・」
    「お前を攻めるつもりも無いし、動機の方が気になる」
    スカートの裾を握り締めて、何か迷っているようだ
    彼女らしくない、いつもだったら「忘れてたぜー」とかいっておしまいなのに
    「お前と・・・○○と、一緒に居たかったから・・・二人っきりで居たかったから」
    「魔理沙・・・それは・・・どう受け取ればいい?」
    「わ、私は・・・お前の事が・・・その・・・」
    「私は○○の事が好きです、って事でいいのか?」
    「え、あ、うん・・・そうだ、ぜ」
    「そっかー・・・俺な、前々から気が会う奴がいてさ、がさつな奴だけどほんとは繊細でさ、一生懸命がんばってる奴なんだよ」
    「・・・?」
    「何事にも一生懸命で・・・正直羨ましかった、あんなに生き生きとしてる・・・霧雨魔理沙が、羨ましかった」
    「えっ!?」
    「いつの間にか目で追ってた、気がついたら・・・惚れてた・・・こんな俺でよければ、お付き合いしてもらえるかな?魔理沙」
    「あ、ああ!此方こそ、ヨロシクだぜ!!」
    その後の授業はサボった、ただ二人っきりでいたかった
    「あー・・・寝てたか、寝不足だったからな」
    よこで魔理沙も寝息を立てている、なんとも可愛い奴だ
    「流石に帰ろう、まりさーまりさーおきろー」
    「ううん・・・あれ?寝ちゃったのか」
    「おはよう魔理沙」
    ドアノブに、手をかけた瞬間、背中をヒヤッとしたものが・・・
    「・・・鍵が掛かってる・・・またかよ」
    「何か憑いてるんじゃないか?密室好きの霊とか」
    「嫌だなぁ、今度こそ朝まで二人きりかよ・・・」
    「ん?嫌なのか?」
    「あー・・・そうだな、今回ばかりは、いいかもしれないな」
    そう言って、彼女と唇を重ねた
    時間はたっぷりある、今回は退屈せずにすみそうだ

9スレ目 697-698

───────────────────────────────────────────────────────────

ガラッ
「失礼しまーす、八意先生いますかー?」
「あら、ウドンゲかと思えば貴方だったの○○
 どうしたの?仮眠でも取りに来た?」
「今保健室にいるのって先生だけですか?」
「ええ、そうよ」
「……ふーん」

カチャ(扉の鍵を閉める音)

「どうして鍵を閉めるのかしら」
「そんなの分かってるくせに」

ぎゅぅ

「もう……ここは学校よ」
「知ってるよ、でも俺と永琳の関係は恋人同士以前に生徒と教師だし
 二人っきりになれるのなんてお互いの家しかないし 
 外でデートなんてよっぽど遠い所に行かない限り無理じゃないか」
「別に遠い所でも良いじゃない、日帰りの旅行に行ったりして」
「バイトしてるけど俺学生だしそんなにお金ないよ」
「そんなの私が出すわよ、働いてるんだし」
「いや、それは男のプライドとしてちょっと……」
「そんなプライド捨てちゃいなさい」
「そうはっきりと言わないでくれ、正直凹む
 あー永琳の体気持ちE---」
「全く……この時間だけよ居ていいのは」
「うーぃ」

9スレ目 >>703

───────────────────────────────────────────────────────────

「剣道部に!」
「バスケ部に!」
「サッカー部に!」
「書道部に!」
「魔術同好会も!」

「うっせー!」
学校で叫んだのは何回目だろう。
周りにいる部活勧誘者達を睨みつけて言う。
「勧誘なら他所へ行け! 俺は大して戦力にもならないし、やる気が無いから!」
「そんな事はどうでもいいですから是非剣道部に」
「いやいやバスケに」
「サッカー!」
「書道!」
「マスタースパーク!」
ホワイトアウト。



目が覚めた場所は保健室。
「あら、お目覚めかしら」
「……どっかの白黒か。痛……」
「大丈夫かしら?」
「身体は動きますし、大丈夫っす。失礼します」
「あ、待ちなさい」
「何すか、八意先生」
「これ、入部届けみたいだけど預かってるわ」
「……いくつくらいあります?」
「ざっと、10部ほどかしらね」
「いっその事、所属した方が安全かこれ?」
「さぁね。はい、お渡ししておくわ。お大事にね」
「あ、はい。失礼しました」



「あ、○○先輩!」
「げ」
思わず感想が口に出る。声を掛けてきたのは剣道部の妖夢だった。
「入部の件、考えてくれました?」
「断ったはずだが」
「それを踏まえて言ってるんです」
「嫌」
「そ、そんな言い方しなくても!」
「あら、○○」
「げ」
再び、声に出てしまう。今度は園芸部の幽香だった。
「この前話したあれ、どうなのかしら?」
「無理です」
「どうしても?」
「どうあっても」
「か、風見先輩! ○○先輩は剣道部が貰うんですから園芸部は」
「五月蝿い。○○は園芸部に入部って決まってるの」
「決まってませんよ!?」
「○○……」
「パッチェさん!? 今もうカオスなんで出来れば」
「入部、してくれるわよね?」
「ちょっと文芸部! あとからしゃしゃり出てこないで!」
「そうですよノーレッジ先輩!」
「あら……、今日は喘息も辞さないわよ……」
「○○?」
「○○ー」
「○○っ!」
最終的に集まったのはいくつの部だろうか。
物凄い言い争いだけが繰り広げられていたので、その隙に逃げ出してきた。



「やっと家に着いた……」
帰宅するだけなのに何故こんなに時間がかかったのだろう。
「ん?」
郵便受けに何か投函されているのを見つけた。
取り出してみると、手紙だった。中身を見る。

 部活に入りなさい さもないと……

       手芸部 アリス・マーガトロイド

「誰か助けて……」
彼の願いが叶う事は無い。翌日もまた、同様に勧誘された。

9スレ目 >>717

───────────────────────────────────────────────────────────

文「○○さん少し良いですか?」
○「ん、文か、どした?」
文「次の文々。新聞のことでちょっと聞きたいことがあるんですけどいいですか?」
○「俺に手伝えることなら構わんよ」
文「じゃあちょっとお時間借りますねー」


~しばらくお待ち下さい~


文「じゃあここはこうしましょう」
○「そうだなで、そこd」

キーンコーンカーンコーン

○「っとチャイムか、あーでもまだ少し残ってるな」
文「それでしたら○○さんがよろしければその……放課後新聞部の部室に来ませんか?///」
○「放課後かーんー、別にかm」
幽「貴方達チャイムが聞こえなかったのかしら?」
文「風見先生……」
幽「遅刻するわよ、早く行きなさい」
文「分かりました」
幽「あ、○○は少し残ってなさい」
○「はあ……」

○「……でなんの用ですか?風見先生」
幽「随分と楽しそうに喋ってじゃない」
○「いや、別にそんなつもりは……」
幽「しかも放課後に二人っきりになろうとして……
  何する気だったの」
○「それは邪推しすぎだろう」
幽「私は貴方の恋人よ、そこを分かってるの?」
○「分かってるけどここ学校じゃん」
幽「…………」

ギュゥ

○「お、おい」
幽「少しの間だけ」
○「……しゃーない、午後の授業サボるか」
幽「ありがと」

9スレ目 >>729

───────────────────────────────────────────────────────────

「○○~。ちょっといい?」
「おうよ、どうしたリリカ」
「次の発表会、一緒に連弾してくれない?」
「いきなりハードル高いな^^;」
「ダメぇ?」
「リリカ上手すぎるからなぁ。俺がついていけん」
「一緒に練習しようよ~」
「まぁ、そういうことなら……」
「やた! じゃあ曲はコレね」
「どれどれ?」

モーツァルト 『2台のためのピアノ・ソナタ ニ長調 第1楽章』

「あーこれ『のだめ』でやってた奴か」
「そうそう♪」
「明らかに指が追いつかないぞ……」
「私が指導してあげるから、心配なし!」
「むー。どれ、試しに弾いてみるか」
「いいよ。ゆっくり行こうね」

コツン

「あ、スマン。肘が」
「いいよいいよ。連弾じゃ良くあるから♪」
「ん? ……やけに嬉しそうだな」
「えへへ~、そう?」
「やたらニヤついてるけど」
「うぅ~、困ったなぁ///」
「なんか嬉しいことでもあったのか?」
「だってぇ~、○○と一緒に弾けるから……」
「……」
「? ……○○?」
「ばっ! お前そういう事さらっと言うなよなぁ!」
「あは! 照れてるぅ~」
「違うわ!」
「顔まっかだよ?」
「お前だって!」
「えへへー」
「もう! さっさと始めるぞ!」

~少年少女演奏中~

「青春ね~♪」
「メルラン、覗きはよくない」
「姉さんだって」
「だって気になる」
「あの男の子、凄い勢いで音ハズしてるわ~」
「緊張してる」
「あんな美少女が隣にいるんじゃね♪」
「リリカに恥かかせたら容赦しない……」
「姉さん、リリカちゃんを泣かせたらダメよ~」
「大丈夫、そしたら私がリリカのお嫁さんになる」
「あらあら。リリカちゃんがお婿さんなのね~♪」

9スレ目 >>733

───────────────────────────────────────────────────────────

放課後の部室、校舎には俺たち以外に、人はいない
「十六夜・・・も食べてしまいたい位、君が愛しいよ」
俺は十六夜の着ているものを乱暴に剥ぎ取ると、その白い肌に下をあてがった
「あっ、ん」
「十六夜は敏感だね、こんな事で」
「やっ、ぞくぞくする」

「・・・ちょっと、人の苗字叫びながら何やってるの」
「うをっ!?ホンモノ!!」
「何やってるのよ、饅頭を手に持ってニヤニヤしてる気色悪い男」
「十六夜を愛でていたのさ・・・」
「なにそれ、その饅頭の名前?」
ちょっと引きながらもいろいろと探りを入れてくる咲夜、鍵をかけておくべきだったな
「この饅頭の名前は十六夜・・・君と同じ名だよ・・・」
「・・・だから何よ」
いやはや、特に何か考えてたわけじゃ無いので答えようもない

「咲夜こそ、何か用か?」
「えっ、と・・・もう下校時刻だから、その・・・一緒に帰らない?」
こんなに可愛い咲夜は、ずるい、いつもそう思ってしまう
「もしかして・・・俺を探してくれてた?」
少し汗ばんだ額、扇情的にも見える彼女が
「靴が・・・あったから、まだ帰ってないのかな、って思ったから」
まだ口に含んでいない饅頭を半分に割る
「・・・半分いるか?」
「え?あ、うん・・・頂きます」
十六夜が十六夜喰ってる・・・珍妙だ、写メとっときゃよかったか
「・・・咲夜」
「なに?」
「帰ろうか」
自然と、手を繋いで、部室を出た
人気のない校舎は、あまりにも静かで、少し寂しい印象
そういえば咲夜が食べた饅頭・・・俺がべろべろ舐めたよな・・・まぁ彼女が気付かないなら、黙ってて良いだろう

9スレ目 >>741

───────────────────────────────────────────────────────────


クリスマス。世界が血の赤と死体を吊り下げた木の緑と死に装束の白で彩られる日。
……訂正しよう。世界がサンタクロースの赤とクリスマスツリーの緑と雪の白で彩られる日。

学校が冬休みに入り、寮に住む生徒も里帰りをしたりそのまま残っていたりしながら祝福された日を謳歌していた。
「はあ、寒いな」
「雪でも降ればさらにいい日なんだけどな」
「……お前な。雪なんて降るような寒い日になってみろ。俺が出掛けたくなくなるじゃないか」
「酷いな、聖夜に雪が降るのはいい事なんだぞ?」
寒空の下、並んで歩く男女二人。魔理沙と△△だ。
「にしても、珍しいな?魔理沙が俺を誘わないなんて」
「何だよその発言。……私だって、たまには後ろをついて行きたいんだよ」
学園祭の一件以来、少しずつ仲を深めていった二人。今では周囲に見せ付ける……とまでは行かないがなかなかのイチャイチャっぷりを見せている。
「おお、お前がそんな事を言うとは。……こりゃ本当に雪が降るかもな」
「……△△の馬鹿」
いつもは魔理沙が先にどこか行こう、と言い出すのだが、今日はなぜかそういうそぶりを見せなかった。
しかし、明らかに『どこかに行こうって誘って光線』を出している魔理沙を△△は放って置けず、魔理沙を連れて出かける事になったのだ。
今はその事でからかわれて魔理沙がむくれている。△△は笑いながらすまんすまんと手を合わせて謝った。
「悪かったって。お詫びに何か奢ってやるから」
「……私はそんなに安い女じゃないぜ」
「あんまり高いのは勘弁してくれよな」
とは言ったものの、結局高い物を買わされそうだと△△は覚悟を決めた。魔理沙が立ち止まり、それに合わせて△△も止まる。そして魔理沙が言った言葉は……
「じゃあ、今ここで抱きしめてくれ。寒いんだ」
「……え?」
「こう、ぎゅっと。そうすれば許してやる」
両手で物をかき集めるようなジェスチャーをし、さらに言葉を続けた。
「マジで?」
……△△が戸惑うのも無理はない。夜とはいえ、人の多い大通り。その往来の真ん中で抱きしめてくれと言うのだ。はっきり言って恥ずかしい。
そんなバカップルみたいな事をやれって言うのか、と口から出そうになり、慌てて飲み込んでいると。
「△△、お願い……」
魔理沙がじっと上目遣いで△△を見つめる。
「おま、キャラが違うぞ……」
「……誰が私をこんな風にしたの?」
うっ、と言葉に詰まる△△。……確かに、△△と付き合うようになってからたまに魔理沙が女らしくなる時がある。
恋は女を変えるのよ、と変態教師、もとい永琳先生にも言われた。
「早く、して?△△がいなきゃ凍え死んじゃうよ」
まるで寒さに震える子犬のような目で△△を見つめている。
「わ、わかったからそんな目で俺を見るな!」
ついに△△も観念し、魔理沙を抱きしめてやった。ちょうど魔理沙の頭頂部が△△の顔の下に来るため、ほのかにシャンプーの香りがする。
「……冷たいな」
「△△も。……あ、そうだ」
おもむろに△△の腕から抜け出し、彼のコートの前を開いてその中に入った。
「へへー、あったかー」
「お前、本当に同い年か?……そういう事すると余計にガキっぽいぞ」
「だってあったかいんだもん」
もはや理由になってない返しの言葉に、△△はつい吹き出してしまった。
「何だよいきなり?っていうか頭にちょっと唾かかったぞ」
「スマンスマン。……ん?」
「どうした、△△」
「いや、見知った顔がいてな。ほら、鈴仙と□□」
△△が指をさした先には、確かに二人の知っている人物が。
□□と鈴仙が話しながら道を歩いている。……珍しい組み合わせもあったもんだ、と△△が呟いた。
「クラスの優等生と不良のコンビだなんてな」
「……あれ、△△はアイツの本性知らないんだ」
「本性?……あ、逃げた」
二人が話している隙にいつの間にか鈴仙と□□が視界から消えていた。
「鈴仙の事だよ。アイツはああ見えてブイブイ言わせてたんだぜ?中学時代のダチから聞いた話なんだけどさ」
「ブイブイ?あの鈴仙がか?」
学園ではクラス順位が決して5位から下がった事のない、立ち居振る舞いもお嬢様……とまでは行かないが(実際に学園内に良家の娘もいるし)かなり礼儀正しい。
その鈴仙が昔はちょっと荒れていたと言う。コレはかなり驚いた。

   *>>コードMカラ コードRヘ ドウゾ<<*

「……あの女……マジで射殺してやりたいわ」
「とりあえず落ち着いてその上着の下で握っている物から手を離しなさい鈴仙さんや」
せっかくのデートだと言うのに他のクラスの生徒を見つけてしまい、さらに向こうからも気付かれてしまい仕方なく物陰に隠れて。
左手を上着の中に入れながら苛立った声で呟く鈴仙を□□がなだめる。
「ただでさえ最近はお巡りさんがうるさいってのに、お前は何でそんな物を持ってくるのかな」
「だって懐が寂しくて……」
「お前はどこぞのガン&カーマニアのインド系女性バウンティーハンターか」
「要するにラリー・ビンセントさんよね」
「要約するな。あえてぼかしたんだから」
……ちなみに。鈴仙の上着の下にはショルダーホルスターが装着されていて、小型ガスガンが収められている。
「そもそも、その男勝りな性格を隠すために猫かぶってるんだろ?……まあ、魔理沙がお前のことを知ってるならもう絶望的だが」
「……そうよ、あの人間拡声器に私の素性が知られたらもうおしまいなのよ!だから射殺させて!お願い!」
「時事ネタは頼むからやめろ!これでさらにエアガンが規制されたらどうするつもりだ!?」
□□の言葉を聞き、鈴仙が固まった。……その後に深呼吸をして心を落ち着かせる。
「そう、よね。ただでさえ私達みたいなサバゲーマーは風当たり強いし……」
この二人の接点は中学時代、サバイバルゲームで同じチームにいた事によって深まった。
同じ趣味を持っている事ですぐに打ち解け、ずっとコンビを組み続けている。チーム内の切り込み隊長である□□と、それをサポートする鈴仙。
この二人がチームに揃っているだけで、鬼のように強くなる。チームの他のメンバーがそう話すほどだ。
「それに、お前ぐらいなもんだろ?部屋のいたるところに隠しガンラックがあって、そこに銃をコレクションしてる女子学生は」
「えー?……ほら、よくぬいぐるみとかお人形を飾っておく子がいるじゃない。あれと同じ感覚よ」
「……いや、『キレイキレイしましょうねー』とか可愛く言いつつMP5やM700のメンテするのはお前だけだ」
□□の台詞を聞いた瞬間、鈴仙の顔が赤くなった。
「い、いつ見てたの!?」
「ああ、この前お前ん家に寄る機会があったからな。そん時に顔を出そうとしたら……」
その先が紡げない。赤面と涙目の鈴仙に喉元に小型ガスガンを突きつけられて口を動かす事が出来なかった。
「忘れて。お願いだから」
「応」
こんな顔も可愛いなぁ、と思いつつも喉に押し付けられた感触を無くす為に言わないでおく。
「……そんなに恥ずかしい事かよ」
聞こえないようにボソリと言ったつもりだが、しかし鈴仙には聞こえていた。
「恥ずかしいわよ!□□にあの姿見られたくなかったんだもん!」
「わかったから怒鳴るな。魔理沙に見つかったらどうする?」
「うー……」
鈴仙は唸りながら上着のポケットを探り、煙草を出す。ソフトケースの上を軽く叩いて飛び出させて、そのうちの一本を取り出した。
ケースをしまい、次に取り出したのはオイルライター。ヤスリを回して火を点け、それをくわえた煙草に近づける。
「……お詫び」
「ん?」
吐き出す煙と共に小さく出た言葉。
「お詫びよ、乙女の秘密を覗いた罰。受けてもらえるわね?」
「んー……仕方ないな、そのオトメノヒミツとやらに釣り合う物ならいくらでも受けてやる」
「いい心がけね。……次の二つから選ばせてあげるわ」
一体どんな罰が待っているのか、□□は真剣な面持ちで鈴仙の言葉を待った。
「一つ、ソードカトラス2丁と予備マガジン。二つ、HK33A2セット。どっちがいい?」
「って、それは作者が今欲しい銃じゃねぇか!」
「そんな事はどうでもいいのよ!どっちがいいの!?」
ツッコミにもめげずに言い寄ってくる鈴仙。□□は頭を抱えた。
「どっちも高ぇよ!……ったく、じゃあとりあえずHK33で……」
「……言ったわね?」
台詞と共に□□の腕を掴む鈴仙。ニヤリと笑みを浮かべ、咥えた煙草を動かす。
「何だその煙草ピコピコは」
「……明日買いに行くから□□の家に泊めて」
「ん、別にいいけど……いやよくねぇ!どういう意味だ!?」
前半だけを耳に通していたせいで危うく普通に頷きかけた。すぐに前言を撤回し、鈴仙を問い詰める。
「だって□□はいつも眠いからって断って午前から遠出をしたがらないじゃない」
「だからって何で俺んちに泊まる必要が!?」
「□□の部屋が見たいから」
きっぱりと言われ、□□は軽く立ち眩みを覚えた。それでも何とか踏みとどまり、頭から台詞を絞り出す。
「……あー、なんだ、つまり。さっきのオトメノヒミツに繋がってる、と?」
「というか、□□が私を家に呼んだ事って無かったよね」
「まあ確かに……だがよ。家に呼べってのはわかるが、泊めろって、なあ?」
「……つまり、『男と女、一つ屋根の下』な状況になるのがどうかと思うって事?」
鈴仙の台詞に□□が頷き、さらに続ける。
「俺だって男だ。下手すりゃ……その……食っちまうかもしれん」
「食べても、いいのよ?」
鈴仙のあっさりした切り返しに□□の顎が落ちた。
「な」
携帯灰皿に吸殻を入れ、さらに鈴仙は続けて言う。
「ただし、避妊はちゃんとしてね?この歳でお母さんになるのは嫌だから」
「……女としてどうかと思うぞ今の発言は」
「好きな人にわが身を捧げるのが問題なの?」
好きな人という単語を聞き、□□は口ごもってしまった。何よその反応、と鈴仙がふくれる。
「いや、本当にいいのか?」
「何よ今更。一度くらいはそういうコトをしたっていいでしょ?それとも……立たないの?」
「待て待て待て待て!そういう男心を傷つける発言をこんな所でするな!それにちゃんと立つわ!」
「……□□の方が恥ずかしい事言ってるじゃない」
急に赤面になり俯く鈴仙。それもそうかと一つ咳払いをし、□□が一言。
「わかった。今夜はうちに泊まるんだな?」
「うん……」
ぎゅ、と腕を掴む手に力が入る。なんとなく幸せになれた気がした。

   *>>コードRカラ コードAヘ ドウゾ<<*

あー、間に合わない!というわけで東方学園のクリスマスネタでした。
実は最後に○○と誰かを絡ませようと思ったんですが今の今まで見つからずに結局ボツ。

魔理沙は学園祭ネタ、鈴仙は屋上ネタを参照してください。

#鈴仙→東方学園1(7スレ目 >>608-609 )

11スレ目>>466

───────────────────────────────────────────────────────────
東方学園。国内有数のマンモス校であるこの学園には多種多様、さまざまな人妖(その括り以外も)が集まり、今日はその入学式だった。

特進学級である一年一組に選ばれた大妖精はその教室の前で、一人おろおろと落ち着き無く辺りを見回していた。

 ……入学式早々の遅刻(原因は親友なのだけれど)。教室の中からはこれからについて語る担任らしい男の声がさっきから聞こえていた。




「困ったな……何て言い訳しても怒られそうだよ……」


               *


「まったく、特進学級の生徒のくせに遅刻なんぞしおって! そもそも特進学級というのはだな……」

 式終了後、予想通り職員室に呼び出され、長々と続く担任の小言を縮こまりながら聞く大妖精。今にも逃げ出したい思いでいっぱいだ。
  けれどそれは叶わないわけで、大妖精は心の中で困ったと小さく嘆息する。

「大妖精! 聞いているのか!!」
「え、は、はいっ!」
「聞いてなかっただろう! 大体お前」

「先生」

 担任の声を遮るようにして、不意にその場になかった第三者の声が聞こえた。大妖精と担任が揃って声の聞こえた方へ目をやれば、そこには大妖精と同じ一組の○○が立っていた。

「○○じゃないか! 何だ、何か用か?」

 担任は大妖精に対する態度とは正反対と思われるほど穏やかな口調で○○に話し掛ける。

「他の先生がその子を呼んでいたんですけど。連れて行ってもいいですか?」
「む……」
 まだまだ言いたいことはあったらしく、大妖精へねめつけるような視線を送りながら、

「……あぁ。構わないぞ」
 渋々といった様子で承諾した。

「どうも。……じゃあ、ついて来て」
「あ、は、はいっ」
 ○○に声を掛けられ、大妖精は慌ててその後を追う。

(どの先生に呼ばれたんだろ、また怒られるのかな……)

 咎められること以外では考えられず、きょろきょろと大妖精は周りを見回す。入学式のため、教師たちは忙しなく出入りしたり机に向かったりしていた。

「失礼しました。」
「えっ?」

その声ではっと我に返る。大妖精たちはいつの間にやら職員室を出ていた。がらがらと大妖精の後ろで扉が閉まる。

……訳がわからず、大妖精は控えめに声を掛けつつ○○を見上げた。彼は頭一つ分以上、大妖精よりも背が高い。その視線に気づいた○○は大妖精と目を合わせ、緩く笑ってみせた。

「さっきのは嘘。誰も呼んでないよ。それじゃ」

「あ……」
 助けてくれたんだ、と大妖精は一人心の中で納得する。そしてすでに歩き始めていた○○に向かって言った。

「あ、あの! ありがとう……!」

「え、」
 礼を言われるとは思っていなかったのだろうか、○○は少し驚いたような表情で振り返った。
 だがそれも次の瞬間にはどこか嬉しそうで意地の悪そうな(まるで子供のような)微笑を浮かべ

「ん、どういたしまして。またな?」
「……っ……」
 そう返し再び背を向けて歩き出した。大妖精はしばらくその場に立ち尽くす。……先ほど○○の見せた、微笑。どういうわけかそれが大妖精の頭に焼きついて離れなかった。

「……な、なんだろ、これ……」

 大妖精の中には微かに、けれど確実に芽生え始めている気持ちがあった。



 ○○   :基本のんびりした性格。少々意地悪なところも。しかられて弱った顔をしている大妖精をみてゾクッときた。

 大妖精:ヒロイン。中学入学初日、隣に住む親友のチルノを遅れないよう起こした後、ギリギリの時間なのにも関わらずチルノが先日乗れるようになった自転車
      で行くといって聞かず流されるまま後ろに乗ったが、登校途中後ろから追い抜かれたロードレーサーに対抗意識を燃やしたチルノが競争開始。結果遅刻。

 チルノ  :大妖精とは別クラス。同じく遅刻するも、あまりの堂々とした態度に担任の先生(33歳独身、行き遅れ感ただようヤサグレ女教師)は注意だけに留めて放置。
        その後の学校生活で前代未聞のダメな伝説を次々うちたてる。

12スレ目>>59

───────────────────────────────────────────────────────────

    九月某日。
    俺の通う学校は、学園祭の準備に追われていた。
    「おーい、材料が足らんぞー!」
    校庭では先生達がやぐらを組んでいる。臨時の校内放送をする際に使われるのと最終日のお楽しみのために使われる、らしい。
    ……後者については担任から聞いた話なのでまだよくわからんが。
    「ちょっと、手が動いてないわよ」
    「ああ、すまんすまん」
    窓から下の光景をボーっと眺めていると、横で作業をしていたアリスに怒られた。
    まあ当然だがクラスごとに出し物を決めなければならない。俺のいるクラスは二つ三つの簡単なゲーム……よく祭りの屋台とかであるような遊びを出す。
    俺は玉入れゲームの台を作っていて、アリスは景品の人形を作っている所だ。
    むう、点の高いほうを前に持って行くか後ろに持って行くか。そう考えながらふとアリスの方に目をやる。
    一心不乱、と言っちゃ悪いが、きれいな指捌きで丁寧に縫っていく。まるで魔法をかけるように。
    一箇所を縫い終わり、一旦糸を切った所で俺の視線に気づいたらしく、アリスが俺を見た。
    「……どうしたの?」
    「いや、何か凄いなって」
    彼女に自分の目を見られているのが恥ずかしくて、つい目をそらしてしまった。
    「アリスの指が、人形に魔法をかけてるみたいでさ」
    「えっ」
    ちらりとアリスの方を見ると、顔が赤くなっていた。……余計恥ずかしくなってきた。

    「マスタースパーク!」

    突然聞こえた叫びとボインという音とともに、俺の頭に何かが当たった。……拾ってみると、ゴムボールだった。
    「あ、すまんすまん。変なところに飛んで行っちまったな。……やっぱ改良の余地があるな、この『マスタースパーク打法』は」
    「って、魔理沙!遊んでんじゃねぇよお前は!」
    本人の言葉と状況からして、出し物で使うゴムボールをバッティングして遊んでたんだろう。
    「ったく……あの馬鹿は」
    怒り任せに釘を叩く。あーもう適当でいいや。そっちの方がランダムで面白いだろうし。まったく、人がいい雰囲気のときに……
    「あだっ!」
    がづっ、と鈍い音と共に指先が痛みでしびれる。
    「ちょっと、大丈夫なの?」
    「いや、指打っただけ。しばらく我慢すりゃ痛みも治まるって」
    そんな俺を心配してくれたのか、アリスが声をかけてくれた。とりあえず苦笑いを返しておく。
    「んなもんつばでも付けときゃ治るって。私の分までしっかり働いておけよ」
    ニタニタと笑いながらドアを開けようとする魔理沙。
    「魔理沙、どこ行くのよ」
    「ちょっと花を摘みに」
    「……トイレならトイレって言えよ」
    そうつぶやく俺を睨みつけた後に、魔理沙は教室から出て行った。


       ***

    あれから時間が経ってすっかり日も暮れてしまい、作業をしているのは先生と俺くらいになってしまった。他の生徒はもうほとんど帰ってしまっただろう。
    ……で、なんで俺が残っているかと言うと……
    「あの馬鹿、絶対帰りやがったな……」
    魔理沙の分の作業もやらされていた。それもほとんどの。
    「明日しばく。絶対しばき倒してやる」
    「あら、まだ残っている生徒がいたの?」
    その声に振り返れば、入り口に永琳先生がいた。
    「あれ、どうして保健室の永琳先生がここに?」
    「……どうしても何も、今日の宿直よ。今、何時だと思ってるの?」
    ふと教室の時計を見てみると……
    「うわ」
    すでに9時を過ぎてる。……やけに外が暗いと思ったら。
    「……門は閉まってるし、もうここに泊まっていったら?」
    閉める前に確認ぐらいしてくださいよ。そう言うのも面倒になってしまうほど疲れていたし、言葉に甘える事にした。
    「そうします。……とりあえず、この作業が終わったら、ですけど」
    「保健室のドア、開けておくから。そこのベッドで寝てなさい」
    はい、と返事をし、また作業に取り掛かった。……しかし、10分もしないうちに飽きてしまう。ずっと作業しっぱなしだしな……
    とりあえず保健室に行き仮眠をとる事にした。階段を下り、一階の廊下を進む。
    「夜の学校は、ぜんぜん雰囲気が違うな」
    そんな事を言いながら保健室のドアを開け、ベッドに直行。カーテンを閉めてマットの上に体を投げ出す。
    普通のベッドに比べて固めに作られたマットレスが俺の体を跳ね返す。が、その抵抗も意味がなくベッドの上に寝転ぶ事が出来た。
    しばらく寝れば疲れも取れるだろう、と仰向けになって目を閉じる。
    その五分後。ドアが開く音がした。先生か、と思って耳を澄ますと。
    「ついてないぜ。トイレで思わず寝ちまって、気が付いたらもう門が閉まってるだなんて、な」
    魔理沙だ。……あの野郎、トイレで寝てやがったのか。
    「確か、あいつもこっちにいるって聞いたんだが……あ、ここか」
    カーテンが開く音と人の気配。……何か仕掛ける気なら驚かしてやれ。そうしなきゃ居残り作業の恨みを晴らせん。
    「…………」
    何をするでもなく、立ったままの魔理沙。……ほら、仕掛けて来いよ。どうせ額とかまぶたに落書きだろ?
    「……寝てる、よな」
    よし、と小さく呟いた後に、ベッドがきしむ音……そして、俺の体の上に柔らかい感触。
    (……おいおいおいおい!?)
    「えへへへ、あったかいな……」
    なんと、魔理沙は俺の体に乗っかってきたのだ。……これは予想外、というか予想できなかった。
    「今日はごめんな。ゴムボールぶつけたりして。思わずかっとなっちまったんだ」
    俺の胸に顔を押し当てながら魔理沙が言う。
    「お前もお前だよ。あんな事言ってさ。……アリスに嫉妬したじゃないか。で、アリスにぶつけてやろうかと思ったら……本当にごめん」
    猫のように俺の上でもぞもぞと動いているのがもどかしい。
    「わ、私だって……違う。私は、お前が好きなんだから……って、こんな事言ったって寝てるからわかんないよな」
    (な、何ィィィィィィィッ!?)
    「だから、今はこうやってお前を独り占めできるのが凄く嬉しいんだ。今だけは、私の物になってるから……」
    衝撃的だった。あの魔理沙が、正直恋愛をあまり考えていなさそうな魔理沙が……俺を好き、だと。
    思わず魔理沙の顔を確認したくなり、薄目を開けてしまった。……今思えば、それが大ポカだった。
    「……あ」
    ゆっくりと薄目を開けていたので、辺りが見えるようになった瞬間目に飛び込んできたのはものすごく近くにある魔理沙の顔。
    しかも目が合った。
    「…………あ……う……」
    「……」
    「……聞いてた、のか?」
    「……ごめん」
    もう薄目にする必要は無い。目を開いてはっきりとそう答えた。……直後、魔理沙の顔が真っ赤に染まる。
    「あ……うあ……バカァーッ!」
    「いや俺が悪かモファ」
    涙目で枕を引っつかんで俺の顔に何度も何度も叩きつける。
    「バカ!バカ!ひどいよ!なんで!起きてたの!」
    「わかっモフ、おちつモフ、おちつけって!」
    何気に固い保健室の枕で何度も殴られてはたまらない。慌てて腕を掴み、止めてやる。
    「……ひぐっ、ひどいよぉ……うぐ、ぐすっ」
    「……悪かった。ちと悪戯でも仕掛けようかと思ってな。そしたらいきなり俺の上に乗って来たもんだから……」
    「もういいっ!それ以上言わないでっ!」
    魔理沙はもうマジ泣きだ。仕方ない、と苦笑して腕を掴んでいた両手を離し、
    「……ぅえ?」
    かわりにぎゅっと抱きしめてやった。
    「ごめんな、魔理沙」
    「あぅー……や、やめてよ……」
    「なんだ、これじゃあ不満か?ならとっとと降りてくれ」
    「ふ、不満じゃない不満じゃない!」
    あうあうと慌てる魔理沙が可愛く思える。……ふと悪戯心が湧いた。
    「なあ、魔理沙。さっきお前の顔が俺の顔に近づいてたけど、何をしようとしてたんだ?」
    「え、あ、いやその……気にすんな!」
    「気にするなと言われてもなぁ。お前は何をしでかすかわかったもんじゃないしな」
    まあ、本当はわかってるが。悪戯書きするにもあそこまで近づけないし……答えは一つだろう。
    「あー、えっと、えっと……そう、額だ。額に肉って書こうと……うわっ!?」
    抱きしめていた手で魔理沙の後ろ頭を押し、さっきと同じくらいの距離に顔を近づけてやった。
    「こんな、近距離でか?」
    「わ、私は近眼なんだよ。これくらい近づかないと……」
    「嘘はよくないな、魔理沙君。こんな距離で導き出される答えは一つだろう?」
    額同士をくっつけてニヤ、と笑う。そんな事をされたからか魔理沙の頭はさらに混乱したようで。
    「い、いや別にそんな、き、キスしようだなんて考えてなかったからな!それも唇に……っ!!」
    墓穴を掘ったな。自分からそんな事を言って顔を真っ赤にしている。
    「あわわわわわ……」
    「……面白い奴」
    く、く、く、と笑う俺を見て、どうやらからかわれたのがわかったらしく。
    「あ……何だよ!乙女心を踏みにじりやがって!バカ!バカぁ!」
    魔理沙が俺の肩をポカポカ叩く。悪かった悪かった、と軽く謝り頭を撫でてやった。
    「むぅ……」
    まだむくれてはいるが、満更でもないようだ。




    「……で、いつまでその熱々っぷりを見せ付けてくれるのかしら?お二人さん」

    「どっひゃ!?」
    「うわぁっ!?」
    少し開いたカーテンの向こうに立った人物の声に、俺たちは二人して飛び上がった。
    「セ、先生ィ!?」
    「声が裏返ってるわよ。……まあ、予想はついてたけれどね」
    その人物……永琳先生は呆れ八割、苦笑二割の顔でこう告げた。
    「この部屋はラブホテルじゃないんだから。乳繰り合うんなら別の部屋でしなさい。……今日辺りは廊下でやっちゃっても大丈夫よ」
    「何がですか!いや、何をですか!」
    「何って、ナニよ」
    「この変態教師!」
    「な、ナニって……何だ?」
    「あら。それはもちろん(あなた達!)よ。わかるでしょ?(此処は、)を(全年齢)に(板よ!)しちゃう事よ」
    「オイコラ!よい子のゼロs……もとい、よい子のイチャスレでなんつー事言っとるんじゃァー!」
    俺と先生の掛け合いを聞いていた魔理沙が突然倒れた。
    「はうぅ……」
    「あら、以外に初心なのね。……これからたっぷり自分好みの雌○隷にしていく喜びが生まれたわね」
    「いらんわそんな喜びはー!……ああもう、いい雰囲気で終わるかと思ったら何故か美川べるのチックなオチにー!」
    こんなグダグダでいいのか、と思いながらも勝手に終了されてしまうのだった。

    どっとはらい

10スレ目>>698-701

───────────────────────────────────────────────────────────


  晴れわたる空。 
 こんなに天気のいい日は学校の屋上でのんびりするのが一番だ。
 そんな感慨を抱きながら、私は懐から煙草を取り出し、火をつけた。
 いつも感じている甘ったるい匂いが鼻をつく。
 最も吸わない人間からすれば、どれも同じ匂いとしか思えないのだろうが。

 柵にもたれかかりながら、煙草を吸っていると、唐突に後ろに気配を感じた。

「ここにいたか、藤原」

 後ろへ振り返る。
 
 そいつは眼鏡をかけた優男だった。
 髪は全体的に短く、制服は第一ボタンまでしっかりと止められていた。
 まぁ、要するに十人いれば十人全員がそいつのことを優等生だ、と言うような風貌だ。

「何の用、○○?」

 ひどく面倒そうに尋ねてみる。

「授業をサボったお前を連れ戻しに来たんだ」

 眼鏡の中央を人差し指で持ち上げながら、そうのたまう。
 
 この光景も見慣れたものだ。
 いわゆる不良生徒である私を、このくそ真面目な優等生が更生しようとする。
 ただ、いつも最終的に負けるのが私なのが癪だった。
 何せ私を更生しようとするのは、こいつの他にもう一人いるからね。

「ふぅん、今日は慧音は一緒じゃないんだ?」
「ああ、手分けして探したからな」

 彼の言葉に内心で、ほっとする。
 彼女はこいつ以上にお節介だからね。
 まぁ、嫌いじゃないけど。

「それにしても……煙草はやめたんじゃなかったのか?」
「さぁ、何の事だか」

 悪びれもせずに答える。
 案の定、彼は顔をしかめる。

「いつも言っているだろう。未成年者の喫煙は法で禁じられていると」
「はいはい、そうだね」

 くわえていた煙草を落とし、足の裏で火を消す。

「ちゃんと聞け、藤原」
「ちゃんと聞いてますよ」

 少し嫌味っぽく言う。

 こいつに逆らうのは無駄だ。
 そもそも客観的に見れば向こうの方が正しいのだから。
 それに時間をかければ、二対一になってしまう。

 私はしぶしぶだが、彼に従うことにした。

「じゃ、さっさと行こうか。委員長様」
「全く……。これは君のためを思ってのことなんだぞ」
「なっ……!」

 真顔でそんなことを言った。
 いや、この男のことだから特に他意はないのだろう。
 純粋に私の健康とか、そういうのに気を使ったにすぎない。
 けれど、私だって女の子だ。
 そういうことを言われて嬉しくないわけではない。

「どうした藤原? 顔が赤いぞ。風邪か?」
「う、うるさい! いいからさっさと行け!」
「そ、そうか。じゃあ行くぞ。黙ってついてくれば、煙草の件は上白沢には黙っておいてやる」

 彼は屋上のドアの方へ歩き出す。

「ホント、ずるいやつだ」

 小さな声で一人ごちる。
 
 どうしようもないくらい、あいつはずるい。
 けれど、悪い気分にはなれなかった。

 私は懐から残りの煙草を取り出し、彼に気づかれないように屋上から投げ捨てた。
 今度こそやめられるかもね。
 そんなことを考えながら私は彼の背中を追いかけた。














































「痛っ。何だこれは? これは……妹紅が前に吸っていた銘柄。
 なるほど、私をたばかったということか……。
 くくく、待っていろ妹紅! その腐った根性を叩き直してやる!」

 教室に戻った慧音が頭突きをぶちかましたことは言うまでもない。

12スレ目>>528 うpろだ843


───────────────────────────────────────────────────────────


「え? お前、進学するのか?」

 朝の通学路、霧雨魔理沙は隣にいる一つ年上の○○を信じられないような目で見ている。
 彼女が通う東方学園。小中高大一貫のかなり珍しい学園であり、そのネームバリューは安い国立大学のそれの比ではない。
 学ぶジャンルも多岐にわたるこの学園の卒業生は即戦力として重宝されている――ねぼすけの魔理沙でも知っている事だ。
 事実、この学園を卒業する者の殆どは卒業後、そのまま就職している。(その殆どが学園の創設者が関連している企業に入社しているので、社会に出るまで一貫しているのかもしれない)

「ああ、卒業したら県外の大学院だ。一人暮らしだよ」
「だってお前、卒業したら私の家で働くんじゃないのか!?」

 ○○と魔理沙の関係を一言で表すと、被雇用者の息子と雇用者の娘だ。
 ○○の家は先祖代々霧雨家に仕えてきた家である。○○は一人息子だから当然卒業後から霧雨家で働くものだと魔理沙は思っていた。

「どうだろうな。将来的にはそうなるのかもしれない。でも、今は駄目だ」
「な、何でだよ……」
「あのな、魔理沙」

 ○○はそこで一つ、ため息。

「確かにさ、俺は――俺だけじゃない、俺の家は霧雨家にずっとお世話になってきた。
 でもさ、いつまでも二人一緒に仲良く――って訳には行かないだろ?」

 ○○の足が早くなる。その歩調についていけずに、魔理沙は一人取り残される。
 追いかけるはずの足は、いつの間にか止まっていた。

「何でだよ……」

 一人、魔理沙は呆然と立ち止まっている。

ーーー

 霧雨家といえば、この国で知らぬものがいないとまで言われているほど大きな家の一つである。
 その家の娘として生まれた魔理沙と、霧雨家に使える家系として生まれた○○。
 年が近いこともあり、二人はずっと一緒に育ってきた。
 何をするも、何処へ行くのもずっと一緒だった。
 魔理沙にとっては家族のようなものだし、何よりも大切な友人だ。
 だからずっと一緒だと、そう思っていた。

「っ……」

 指の痛みで正気に戻った。
 発生源に目をやればうっすらと血が滲んでいる。
 どうやら教科書で指を切ってしまったようだ。
 こういう痛みは残るんだよな、と思いながら魔理沙は指を咥える。

「何やってんのよ、魔理沙」
「あー、アリスか」

 そう声をかけてきたのはアリス・マーガトロイド。
 魔理沙の前の席に腰掛けると、からかいの目をしたまま口を開く。

「なーに? 憧れのあの先輩の第二ボタンが欲しいなぁ、なんて考えてたの?」
「そんなんじゃないさ。ところで、何で第二ボタンなんだろうな?」
「んー? ああ、なんか第二ボタンってのはその人の心臓を現すんだってさ。
 第一は親族へ、第二は恋人へ、第三は友人へ、っていうのがルーツなんだってさ」
「ふーん。大変だねぇ、そういうの欲しがる人って」
「うわー、反応薄いー。卒業式も近いんだしもうちょっと色めきたってみたらどうなのよ?」
「余計なお世話だぜ。大体――」

 そう言うお前はどうなんだよ、と言いかけて、廊下からの目線を感じてそちらを見た。
 そこに立っていたのは一人の少女、確か後輩だったような気がするから、一年生の誰かだろう。
 少女は目が合ったことで決心したのだろうか、魔理沙の方へと歩み寄ってくる。

「あ、あの! 霧雨先輩、これ、○○先輩に渡して頂けませんか?」

 そう言われて差し出されたのは丁寧に整えられた便箋。
 封をしている控えめのハートのシールから、これが恋文であることが見て取れた。

「おー、○○先輩か。相変わらずもてるねぇ」

 感心したように言うアリスと、便箋と、手渡した少女を交互に見る。
 この手の手合いを相手にするのは、初めてではない。
 ○○の容姿は整っている方だし、普段は無愛想なくせに困っている人を放っておけないというお人好しな性格のためか、こうやって思いを寄せられる事は少なくない。
 普段なら、メッセンジャーの一つや二つ、平気でこなしている。
 なんといっても家に帰ったら○○の部屋に押しかけて、軽口の一つでも叩きながらそれを渡せばいいだけなのだから。

 でも。

「あー、今回はパスだ。そういうのは直接渡してやった方が喜ぶと思うぜ、あいつも」

 気が付けば、そう言っていた。
 少女は少し目を見開いた後、納得したように魔理沙に一言礼を言い、戻っていった。

「どうしたのよ。珍しいっていうか、初めてじゃない? あんたがこの類の依頼を断ったのって」

 意外そうな目をするアリスから目をそむけ、窓の外を見る。
 開け放たれた窓から、春風が運んできた桜の花びらが舞い込んでくる。

「卒業、か」

 否応無しに意識してしまう。別れという単語を。
 あいつのせいだ、と魔理沙は思う。
 あいつがあんな事を言い出さなければ、きっとこんなことを考える事もなかった筈なのに。
 ずっと一緒だと、そう思っていた。
 けれど、そのはずだった○○はずっと遠くにいて、ずっと遠くを見ている。

 何を言っても無反応の魔理沙に飽きたのか、はたまたチャイムが鳴っただけなのか、アリスが席に戻っていく。
 魔理沙はそのことにも気が付かない。

「ココロの距離って奴なのかねぇ……」

 呟きが、ため息と共に吐き出された。
 指先の痛みは、未だに消えない。
 魔理沙にはその痛みがまるで、自分を束縛する鎖のように感じられた。
 
ーーー

 その日は、いつもと同じようにやってきた。
 いつものように起きて、いつものように朝食を取って、いつものように○○と登校して、校舎の前で別れた。
 ただ普段と異なるのは、今日が卒業式で、一学年上の○○がこの学び舎を巣立つという、それだけだ。

「卒業ねぇ……来年卒業だなんて、実感湧かないと思わないか? アリス」
「まあ、ね。今までのんべんだらりでやって来たから急に社会に出て大変かもね」
「社会に出てから、か」
「その点魔理沙は羨ましいわね。家が就職先なんだから」
「そうでもないぜ? うちは実力主義だからな、党首の娘だからって特別扱いはされない筈だ。それに――」
「それに?」

 あの家から、あいつはもういなくなるからな。
 そう続く言葉を、魔理沙は飲み込んだ。

「○○先輩! ―――……」

 聞こえてきた声に、弾かれたように振り向いた。
 そこには何人かの女生徒に囲まれる○○の姿。
 よく見かける光景だ。憧れの先輩の第二ボタンを求める後輩。それに応じる先輩。
 ただまあ、普段と違うのは求める後輩が複数人いて応じる先輩が戸惑っているところだろうか。

「ん? ああ、○○先輩か。最後の最後までもてる男ねぇ。複数人で囲まれてるのって彼くらいじゃない?」

 ちくり、と小さな痛みが指に走る。

 煮え切らない態度に業を煮やしたのか、後輩たちが一斉に○○に襲い掛かってきた。
 ○○は情けない悲鳴を上げ、近くの彼の友人が情け容赦ない野次を飛ばしている。

 痛みが心に伝播して体中を駆け巡る。

 後輩たちは○○を脱がしにかかった。○○の顔は真っ赤になっていて、抵抗する素振りも見えない。
 次々と外されていくボタン、するすると体から離れていくブレザー。

 走り出していた。痛みが我慢できなかったから。それよりも何よりも――

「――魔理沙?」

 すれ違い様に、脱がされそうになったブレザーをひったくった。
 後ろから後輩たちの非難の声が響いてくるが、そんな事では足が止まらない。

 走っていた。痛みが我慢できなかったから。それよりも何よりも奪われたくなかったから。
 どれも、奪われたくなかった。親族も、友人も、恋人も――

ーーー

 そのまま走って家まで帰った。
 ただいまの一つもせずに、靴を脱ぎ散らかして、乱暴な動作で自分の部屋に篭る。

「っ……」

 ベッドの上に座り込み、○○のブレザーを頭から被って魔理沙は泣いた。
 何て強欲なのだろうか、自分は。
 ここから去っていってしまう大切な人。それを留めることが出来ない無力な自分。
 こんなにも、彼のことが好きだというのに、それを伝えることすら出来ない。
 何時から意識していたのだろう、それを思い出すことは出来ない。
 ただ、何時の頃からか、彼に思いを寄せる女性の手紙を届けた時にふと、思ってしまったのだ。

 ――きっと私では、こういったことは出来ないのだろうな。

 赤の他人ではあったが、兄妹のように一緒にいた。その関係が壊れるのを、何よりも恐れていた。

「全部……全部、あいつのせいだ……っ!」

 彼が霧雨の従者の家に生まれていなかったら、自分が霧雨の家に生まれていなかったら。
 そう思うことは、何度もあった。
 けれどそれは○○でない○○と、魔理沙でない魔理沙が出会うことになってしまう。それでは意味が無いのだ。

 涙を拭うことも無く、魔理沙は上ずった声でそう零すと、ブレザーごと自分を抱く手をさらに強める。
 すると、くしゃり――、そんな音がブレザーのどこかから発せられた。
 その音で頭の中に冷静さが生まれる。荒ぐ息を落ち着かせ、音の発生源を探す。
 音の元は、ブレザーの内ポケットにあった。
 取り出して、その正体を確かめる。

「――え?」
「――人の持ち物、勝手に漁るなよ」

 振り向いた先に、○○がいた。
 ここまで走ってきたのだろう、ワイシャツのボタンをいくつか外し、肩で息をしている。

「○、○……!」

 抱きついた。魔理沙の手には一枚の写真。
 そういえば彼がデジタルカメラを購入した時に試し撮りだと一枚撮られたことがあった。
 そこに写っているのは、紛れも無い、魔理沙の姿だ。
 ○○は抱きついてきた魔理沙を優しく抱きしめる。

「折角、想いを振り切って行けると思ってたのに……台無しだよ、馬鹿」

 その言葉に、魔理沙の腕の力が強くなる。何だ――そんな風にも思った。
 関係が壊れてしまうことを恐れていたのは、自分だけじゃなかったんだ。

ーーー

「やっぱ、行くんだよな?」

 出発の日、新幹線の前で魔理沙はそう問いかけていた。
 本音を言えば、やはり行って欲しくは無い。
 けれど、それを本当に彼が望むのならば、引き止めるべきではない。そういう結論を、自然に彼女は下すことが出来た。
 そして、無言で彼は頷く。

「そう、か……」
「大丈夫だ、長い休みには帰ってくるし、たまにメールもするさ」
「……浮気、するなよ?」
「して欲しくなかったら次に帰る時までにもっといい女になっておきな」
「酷いぜ」
「はは、じゃあな。今年卒業なんだからお前もちゃんと勉強しろよ」

 新幹線の扉が閉まり、車体が動き出す。
 みるみるうちに見えなくなっていく、愛しい人の姿。
 卒業は別れではない。終わりではなく、始まりなのだ。
 けれど――涙が止まらない。
 ポケットから写真を取り出す。
 つい前日に撮ったばかりの写真の中で、○○と魔理沙は楽しそうに笑っている。

 終わりではない、始まりなのだ。

 そう自分に強く言い聞かせ、大きく春の息吹を吸い込んだ。

13スレ目>>349 うpろだ978

───────────────────────────────────────────────────────────

○○「文先輩!」
文「どうしたの○○君?」
○○「俺、ずっと前から文先輩のことが好きでした!」
文「そうなの…でも私は卒業して大手の新聞会社にジャーナリストとして世界をまわることになるわ。それでもいいの?」
○○「それでも俺は文先輩のことを愛しています!」
文「嬉しいわ○○君。私も○○君のこと愛しているわ」
そういいがら文先輩は俺にキスしてきた。
このキスが最初で最後でありませんように……


数年後……


文「今度の取材は外国に行くことになったの」


こうして俺は空港にいる

文「本当はもう少しゆっくりしていきたいんだけど、この取材が成功したら長めの休暇が取れるから……」
○○「気をつけてね文。外国もいろいろと危険だから……」
文「大丈夫よ。いざとなったらこの俊足の足で逃げるから。あなたのためにまだ死ねないのよ」
○○「そうか…帰ってきたら結婚式あげような」
文「ええ。もちろんよ。それまで待っててくれる?」
○○「文のためならいくらでも待ってやるさ!」
文と俺は触れるだけの軽いキスをした。

文「じゃあ行ってきます!!」
○○「いってらっしゃい。僕の可愛い奥さん!」

文はこうして飛び立っていった

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この作品の設定
一応現実世界とリンクしています。

写命丸 文

東方学園 新聞部部長
卒業後は大手新聞会社の記者として働く
…部下に椛という子がいる

○○

東方学園 新聞部部員
卒業後は普通に働く
文の婚約者


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俺を待ち受けていたのは重体の文の姿だった

取材中にテロに巻き込まれたらしい

俺はそれを聞きつけ、文が運び込まれた病院へ向かった

○○「文!!文!!死ぬな!!文!!」
文「○…○さんですか…どうして…」
○○「死んじゃダメだ文!!まだこれからなのに…まだやり残したことがあるんだ!!お前と一緒じゃなきゃイヤなんだ!!」
文「…○…○さん。私…も…ま…だあ…な……たと、うっ」
そのまま文は緊急治療室へ連れ込まれていった。

○○「永琳さん!文は助かるんですか!」
永琳「半々というところね…あとはあの子の生きたいという気持ちに賭けるしかないわ」
○○「そんな文…文…」
永琳「ずいぶんと愛されているのね…後は任せなさい。できる限りのことをしてみるわ」
俺は頭を下げた
○○「永琳さん、いえ、永琳先生よろしくおねがいします」


文が緊急治療室に運び込まれて数時間、治療室の前で待つ俺の前には永琳さんが立っていた

永琳「やることはやったわ。言ったとおり後はあの子しだいよ」
○○「…………」
永琳「あなたも少しは休みなさい。そうでないとあなたが倒れてしまうわ」
○○「……」
永琳さんは俺の胸倉をつかみあげた
永琳「あなたが倒れたら誰が一番悲しむと思っているのよ!!」
○○「それは…」
文だとわかっている。頭ではわかっているのに…

永琳さんは俺を降ろした
永琳「あなたも休むこと。いいわね?そうでないとみんなの力を借りてでもあの子の部屋に入れてあげないから」
○○「わかりました…」


永琳(どれほど愛されているのかしら?まったく…早く元気になりなさいよ)

俺は家に帰って一眠りすることにした

夢の中は白い世界だった
どこまでも真っ白で傍らには文がいた

文「もうすぐですから…待っていてくださいね?」
○○「文!」

どこまでも遠ざかっていく文を俺は必死に追いかけた

…目が覚めるとホテルの天井が見えた
○○「文…」
その日も病院にいった







三ヶ月がたった




文はまだ目が覚めない





文は永琳さんたちの協力のおかげで家の近くの病院で移送されて眠っている


俺は仕事に向かいながらも文に会いに行った

毎日、文に会わない日がなくなった

俺が望んだ「一緒にいる」とはこんなことではない

三ヶ月の間に文の夢を見るようになった

文は夢の中でも新聞の記事のことを相談してくれたり、その白い世界を走り回ったりした

…どうしてだろう。涙が止まらない






桜の木が満開を迎えた頃

俺はいつものように病院に向かった

病室を開けた瞬間
???「ねぇ知ってる?今日はあなたが「私のことが好きです」って言ってくれた日なんですよ」
○○「あっ…」
???「あの時はとても嬉しかったわ。私もあなたのおかげでここまで来れたしね」
○○「俺も君を支えることができて嬉しいよ」
???「ただいま。○○君」
○○「おかえり。文」
文「ただいま。○○君、いや私のだんなさん……かな?」
○○「おう!!俺は文の旦那で、文は俺のお嫁さんだ!!」
文「ふふっ。うれしいわね。ありがとう」
二人の影が重なろうとしたとき

永琳「いいところ邪魔して悪いけれど目が覚めたのね」
○○&文「「!!」」
永琳「あらあら、まだ続けてていいのよ」
○○&文「「できるかーーーー!!」」
永琳「お熱いことで、よろしゅうございました」
○○「もしかして」
文「見てたんですか…」
永琳「ええ、ばっちりと」
○○&文「「こんの薬師がーーーーーーー!!」」

永琳「あらいいじゃない別に。他のは外に出してきたんだし」
外を見るとブレザーを着たウサギや蓬莱ニートが地面に埋まっている

永琳「その調子だと大丈夫そうね。あと一週間は安静ってとこかしら」
文「あと一週間でいいんですか?」
永琳「ええ、でも式には私たちにも呼んでね」
○○「ええもちろんですよ」
文「そこは冷静に返さないでください!!」
○○「いや、俺のお嫁さんの命を救ってくれた人を呼ばないわけにはいかないだろう?」
文「それはそうですけど……」
永琳「それじゃあ、私は戻るわね」
永琳は病室のドアを閉めていった

文「えと○○さん?」
○○「なんだ文?」
文「さっきの続きしてもらっていいですか?」
○○「ん、わかった」
そういって○○さんは触れるだけのキスをした

あの日と変わらないそんな毎日が私は楽しいです


-----------------------

あとがき(妖夢と作者で幻想郷からお送りいたします)

作者「まずみんなに言っておきたいことがある」
妖夢「何ですか?」
作者「一つ目は、俺の辞書に死亡フラグなんて文字はない!!」
  「二つ目は、ここまで読んでくれてありがとうございます!次からの作品もよろしくお願いします!」
    「三つ目は変な構成で長くなってしまってすまん」
妖夢「まったく、そういえば何で私が呼ばれたんですか?」
作者「ん、それは次は妖夢で書こうと思っているからだ」
妖夢 刀を構えながら「さいですか。文さんみたいに怪我するのだけは勘弁してください」
作者「善処します」
妖夢「それではオマケをドウゾ~」

-------------------------
結婚式当日
○○「いろんな人を呼んだな~」
式場には博麗の巫女をはじめ、⑨や白黒の魔法使い、もちろん永琳さんたちも呼んだ。
みんな東方学園のクラスメイト他etcである
文「結構早めに広めましたからね」

霊夢「あら新聞屋じゃない。おめでとう」
魔理沙「よかったじゃないか。嫁の貰い手がいて」
レミリア「おめでとう。いい男じゃないどんな血の味がするのかしら。ふふふ」
咲夜「お嬢様、新聞屋を相手にすると厄介ですよ」
ミスティア「文さんおめでとうございます!!」
⑨「やっぱあたいったらさいきょうね!!」
大妖精「チルノちゃん自重しようよ…」
もこ「よかったじゃないか。おっ焼き鳥食「「いりません」」そうか」
けーね「どんまいだ妹紅。次があるさ」
ニート「永遠に保存しようかしら」
えーりん「姫、蓬莱の薬を使うのでしたら怒りますよ」
うどんげいん「よかったですね。文さんおめでとうございます!!」
幽々子「あなたまだ死んじゃダメよ。大事にしなさい」
みょん「ほ、本当によ、よかったです~~」
プリズムリバー三姉妹「「「結婚式を精一杯盛り上げてあげるよ!!!」」」
他多くの人から祝辞をいただきました。


スキマから「うふふ、学園生活もいいものわね」
藍「何見てるんですか?」
スキマ(ry「今日放映する昔を再現した映画みたいなものよ」
橙「いいな~」


結婚式は盛大に終わり文と帰る途中、
文「とても騒がしかったですね…」
○○「ああ、でもこれからだろ、未来ってやつは」
文「あなたと歩めるこの未来を大切にしましょうね」
○○「そうだな!!」
文「さぁ帰りますよ○○!!」
○○「待ってくれぇ~お前ちょっと早すぎるぞ~」

END

13スレ目>>390 うpろだ985

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 この3年間、朝は早く起きて学校へ急いだ。
 言っておくが、俺は典型的な夜型だ。
 紫先生ほどではないが、休日何もなければ昼近くまで寝ていることもある。



 入学してすぐの頃、時計を一時間読み違えて学校へ走った俺は、屋上から聴こえる歌声に脚を止めた。
 心の奥底に響いてくるような、甘く、優しく、魅力的な歌声。
 惚けたように見上げていると、歌い手と目が合った。
 こちらを見て微笑んだのは、同じクラスのミスティア・ローレライ。
 ほとんど言葉を交わしたこともなかった彼女に、あの時俺は確かに魅了されたのだと思う。
 それから毎日のように、ミスティアの歌を聴きに行った。



 3年間同じクラスだったが、傍から見ても俺とミスティアは特に親密な関係にはなかっただろう。
 もちろん、仲の良いクラスの友人として話すことはあった。
 けれど、屋上での歌について話をしたりはしなかった。
 言葉にしなくても、ミスティアが歌い、俺がそれを聴くことで彼女との結びつきを感じられた。 



 もうすぐ卒業だ。
 ミスティアには歌手としてデビューする話が来ているらしい。
 風の噂に聞いただけで、彼女が受けたのか断ったのか、そもそもガセネタなのか、わからない。
 いずれにしても、卒業したら今までのようにミスティアの歌を聴くことができなくなる。
 そんなことを考えていたら、今朝は足が屋上に向いていた。
 ―思えば、こうして屋上のミスティアに会いに行くのは初めてだ。
 いつもはミスティアが歌い終わり、俺が教室に向かうと、後から来る生徒に混じって彼女も入ってくる。
 


「あれ?○○、今日はここまで来てくれたんだ」

 ミスティアは、笑顔で俺を出迎えてくれた。
 翼をぱたぱたと揺らしながらにこやかに笑う彼女は、とても可愛らしい。
 
「いつもみたいに下見たら、○○いないんだもの。どうしたかと思ったよ」

 そう言って、ミスティアはベンチに腰掛けた。

「……隣、いいか?」
「うん、どーぞ」

 横に座る。
 こんな風に二人で話すことはなかった気がする。
 
「……歌手にならないかって、言われてるって?」

 もっと気の利いたことを話せばよかった気もするが、
 単刀直入に尋ねてしまった。

「……うん、卒業したらね」
「受けるのか?」
「たくさんの人に私の歌を聴いてもらうの、夢だったから」

 ……俺は、ミスティアが遠くへ行ってしまうような気がした。
 だが、止めるわけにもいかない。それが彼女の夢だというならなおさらだ。
 
「きっと、皆がミスティアの歌を好きになるよ。
 ……ああ、それじゃあ俺この3年間、すごく得してたのかもな」

 無理に笑って見せた俺をしっかりと見つめながら、ミスティアは口を開く。

「でもね、夢はもう一つあるの」
「もう一つ?」

 楽しそうに歌うミスティアを3年間見ていた俺には、『もう一つ』の見当がつかない。

「屋台を、やりたいんだ」
「……屋台?」

 屋台を引くミスティア。思いも寄らなかったが、想像すると何故かしっくりくる。

「そう。屋台を引いて、八目鰻とお酒を出して、お客さんに歌を聴いてもらって。
 いつになるかわからないけれど、歌を聴いてもらうのと同じくらい大事な夢なんだ。それでね?」

 一際真剣な顔になる。

「いつか……いつか屋台を始める時には、一緒にやってくれないかな?」

 ……ん、今なんて?

「俺が?」
「……うん」
「ミスティアと一緒に?」
「…………うん」
「本当に俺なんかでいいのか?」
「………………だめ、かな?」
「そんな、だめなわけないだろ!?」

 つい声を張り上げてしまった。
 だが、上目遣いで不安気にこちらを見るミスティアを見たら、声が大きくなるのも無理はないと思う。
 ミスティアはちょっと驚いていたようだが、すぐに満面の笑顔になった。
 
「……よかった」
「……まあ、ミスティアはきっとすごい歌手になるから、いつになるかわかんないけどな。
 料理の腕と体力つけながら、気長に待ってるよ」

 冷静に考えれば、ミスティアが屋台を始めるとしたらそれはずっと先になるだろう。
 その時には、こんな他愛もない約束は忘れられてしまうかもしれない。
 それでも、嬉しかった。
 それだけでも、嬉しかったのだが

「ええっ、だめだよ待ってるなんて。息がぴったり合わないと一緒に屋台引くのは無理なんだよ?
 これからずっと……その……側に、いてくれなくちゃ……」

 …………えーっと

「それは、つまり」
「……私の、恋人になってくれないかな」

 息が止まるかと思った。
 頷くのがやっとだった。
 倒れそうになる俺を、ミスティアの両腕が抱きしめる。
 細い身体を抱きしめ返すと、温かな鼓動が伝わってきた。

「今日は、まだ歌ってなかったね」

 思い出したようにミスティアが言う。

「ねえ、聴いてくれる?貴方だけのための歌」

 言葉には出さない。軽く触れるだけのキスをした。
 それだけで、伝わる。
 
 ミスティアは微笑むと、抱きしめ合ったまま、
 俺の耳元で囁くように歌い始める。

 魂の底まで、ミスティアが満ちていく。
 離すまいと、お互いを強く抱きしめた。

>>うpろだ1098

───────────────────────────────────────────────────────────


ある日の放課後
俺は一人教室に残って他の書類の整理をしていた
○○「はぁ~~永琳先生も人使いが荒いよな~」
それは少し前にさかのぼる……




掃除中~
永琳「あっ○○君、用事頼みたいんだけどいいかしら?」
○○「俺これから部活あるんすけど……」
永琳「ああ、顧問の慧音先生に話はつけておいたから別に大丈夫よ?」
○○「それってやるしかないじゃないですか……」
永琳「それじゃあこれ片付けといて」
ドン!!
何これ?机が3つくらい重なってるくらい多いぞ?
○○「あ、あははは……」
永琳「うふふふ」
ガシッ
永琳「逃がさないわよ?逃げたら開発中の薬の実験台になってもらうからね必ず、うふふふふふ」
○○「はぁ……」
永琳「じゃあよろしくねー」



なんてことだ終わる気がしない
どうするべきか



1.全てを終わらせる
2.終わる気がしない、帰る
3.誰かに手伝ってもらう
4.えーりんえーりん、助けてえーりん





……まず2を選んだら明日は死ぬな……
となると1か3かな
だれか残ってるやつがいれば……


コンコン



○○「あう?」



ガラガラガラ



映姫「あっ」
○○「映姫委員長どうしたんですか?」
映姫「忘れ物をしたんです、それを取りに」
○○「珍しいっすね、忘れ物なんて普段は絶対主義だと思ってたのに」
映姫「こ、こほん、じゃあ私はこれで……」
お、おっとこれは手伝ってもらうチャンスじゃないか?
○○「映姫委員長!」
映姫「なんでしょう?」
○○「この書類を片付けるのを手伝ってもらえませんか?お願いします!」
映姫「まぁ……帰ってもニュースを見るくらいですし、いいでしょう」
○○「ありがとうございます映姫委員長」
映姫「それじゃあ始めましょうか」




放課後の静かな時間
外からは運動部だろう威勢のいい声が聞こえる
禁忌「レーヴァテイン」!
「ぎゃあぁぁーーーーー」
……うんまぁきっと大丈夫だろう
それに比べ校内はとても静かな空間である
他に誰もいない、そんなことを考えてしまう
そして隣には映姫委員長がいる
背は……俺より小さいけど、断然頭がいい
顔も可愛いし、生徒会長だし
その代わり胸が……


「まだまだ行くよ~禁忌「禁じられた時計」!」

「のわああぁぁぁぁぁぁぁぁ……」


いかんいかん!作業をしなければ!




○○「……そういや映姫委員長に聞きたいことがあるんですかいいですか?」
映姫「それ以前にその敬語じみたものをやめてくださいね」
○○「やっぱそう思いますか?いや~喋ってて違和感ありまくりだったんですよ」
映姫「それで?質問とは何ですか?」
○○「映姫さんは将来どんなことをしたいのかなって思って」
映姫「進路のことですか……上手くは言えませんが、裁判長になりたいと思っています」
○○「裁判長……ですか」
映姫「そうです、まだまだこの世界には裁かなければいけない人たちがいるのです。それを私も手伝いたいと思います」
○○「すごいな映姫さんは、それに比べて俺は……」



俺には何もない
特別頭がいいわけでもなく
だからといって運動も出来るわけじゃない
目立つこともしないし
努力なんて俺からかけ離れた言葉だと思っている



映姫「そんなことはないですよ?」
○○「へっ!?」
映姫「あなたにはあなたなりのいいところがあるのです。まだ気づいてないだけ、もしくは気づいているけど上手く表すことができ   ないだけです」
○○「……」
映姫「自分のことをもっと見てみてください、そうすればいずれは答えにたどり着けるでしょう」
○○「そうだな……ありがとう映姫さん、何か吹っ切れた気がするよ」
映姫「お役に立てて光栄です」
○○「……また何か悩みが出来たら相談していいかな?」
映姫「私でよければいつでもどうぞです」
○○「さぁ早く終わらせようぜ!」
映姫「はい!」




結局書類は3時間後に全て片付け終わった
辺りも暗くなったので映姫さんを家まで送っていくことにした




○○「ふぃ~疲れたな~本当にゴメンな?つき合わせちゃって」
映姫「それはもういいんですよ、私も○○さんのお手伝いが出来てよかったです」
○○「ありがとう映姫さん」
映姫「あ、あの、もう少し話していきませんか?」
○○「ああ、ちょうど公園あるし、座って話そうか」



○○「俺何か飲み物買ってくるよ、映姫さんは何がいい?」
映姫「じゃあお言葉に甘えて、お茶をお願いします。えとお金は……」
○○「いいよ、俺がおごるから」
映姫「そういうわけにはいかないです、たかがお茶、されどお茶ですよ?」
○○「いいっていいって、ほらそこに座ってて」
映姫「あ、ありがとうございます」




○○「さてっと、映姫さんのお茶を買って……俺はオレンジジュースでいいや」
映姫さんはベンチに座っていて、空を見上げている
今日は晴れていて満天の星空が見える
なぜかその顔は寂しそうに見える
なぜだろう?




○○「おまたせ、はいお茶」
映姫「……」
○○「映姫さん?」
映姫「はっ!あ、ありがとうございます」
○○「何か考え事?」
映姫「実は……私にも悩みがあるんです」
○○「ふむふむ」
映姫「その……す、好きな人が出来たんです///!」
○○「え、えええええーーー!」
映姫「そ、それでどう告白すればいいか悩んでいるんです」



彼女なんて出来たことのない俺にそれを聞くのかー!
うう、だめだわからん……どうしよう



○○「うっ、そ、そうだね……告白ね……」
映姫「その人は私のことをどう思っているのかよくわからないんです。だから告白して迷惑じゃないか心配なんです」
○○「……」
映姫「○○さん?」
○○「へっ、ああそれで?」
映姫「その人は周りと仲が良くて私なんか……」
○○「悲観的になっちゃだめだよ。自分の思いを言わなきゃ相手に伝わらないんだから」
映姫「えっ……」
○○「きっと大丈夫だよ。……俺が言うのもなんだけど大丈夫だから」
映姫「そ、そうですよね!わ、私がんばります!」
○○「じゃあ、もう帰ろうか」
映姫「は、はい」




ここからの帰り道は無言だった
やはり悩みを打ち明けたのがとても恥ずかしかったようだ




映姫「あ、じゃあこれで」
○○「う、うんおやすみなさい」
映姫「おやすみなさい」

家に帰ってからも何か不思議な感じだった
心に何か穴が開いたような感じなのだ
うーん何だろう?



次の日、映姫さんは風邪でお休みだった
○○「映姫さんだいじょうぶかな……」
文「うふふふふ、一体どうしたんですか○○さん?」
○○「文さん、その不気味な笑いをやめてもらえませんか?」
文「うふふふふふ、早く映姫さんが学校に来ると良いですね♪」
な、なんだこいつは……



昨日のことがあるのでお見舞いに行くことにした
さすがに遅くまで喋っていたのがいけないのだろうと思ったからだ



ピンポーン


○○「すいませーん映姫さんいますかー」
かちゃかちゃ
がちゃり
映姫「ごほっごほっど、どうしましたか○○さん」
○○「いや、ちょっとお見舞いにね。はい、これ」
映姫「あ、ありがとうございます」
○○「それじゃ、俺はこれで」
映姫「あ、あの!」
○○「っ?どうした?」
映姫「あ、あのお茶出しますのであがっていきませんか?」
○○「あ、うん、ありがとう」

映姫「ではそこで座っていてください。今お茶を入れてきますから」
○○「大丈夫?まだふらついてるようだけど?」
映姫「こ、このくらい大丈夫です」



○○「映姫さん遅いな……様子を見に行ってみるか」
って!倒れてる!?
○○「大丈夫ですか!?」
映姫「はぁはぁ……うっ……」
○○「熱は……高いな、どこかに寝かせてあげないと……」



映姫「あ、あれ?ここは……」
○○「大丈夫か?」
映姫「あ、○○さん……私は……」
○○「お茶を入れようとして倒れたんだよ」
映姫「そうですか……」
○○「映姫さん食欲ある?」
映姫「えと多少なら……」
○○「ごめんね?勝手に台所から食材を失敬しておかゆつくったから食べる?」
映姫「あ、いただきます……」


○○「はい、あーん」
映姫「や、やはりそれで食べないとダメなんですか!?」
○○「だって今の映姫さんにさじ持たせたら落としそうじゃん」
映姫「それもわかりますが……」
○○「はい、あーん」
映姫「……ぁーん」
もぐもぐ
赤くなっておかゆを食べる映姫さんもなんか可愛いぞ
○○「はい、次、あーん」
映姫「あーむ」



映姫「今日はありがとうございました」
○○「いやいや、それよりも早く風邪治していっしょに学校に行こうぜ」
映姫「はい、約束です」
○○「んじゃ」
映姫「また」


映姫さんちゃんと寝てるかな……
最近映姫さんのことしか考えてないな
でも映姫さん好きな人いるって言ってたし……
……もういい、寝るかな……



次の日、朝学校に向かう途中で映姫さんと一緒になった
どうやら風邪は治ったらしい
よかったよかった




と思っていたとき
事件は起こった
???「号外だよー号外だよー!」
映姫「あら?」
○○「なんだろう……?」



手に取った紙切れを見て時間が止まったかと思った




――号外――
「ついに生徒会長に恋人が!?」
本校の新聞部Aya氏よると
おとといの放課後
我が学園の○○君と二人で教室で何かを話していたらしい
その後、近くの公園へデートへ
辺りは真っ暗でいつ何が起こってもしょうがない状態だったという

そして昨日、生徒会長が風邪でお休みということでお見舞いに行き
突然倒れた生徒会長を看病するなどの

コメンテーターのMarisa氏によると
「あーこれは確実だな、恋人同士としか考えられないぜ」
さらに校長の Yukarin氏によると
「あらあら、青春まっさかりね。羨ましいわね~、そう思わない?」

真面目な生徒会長は今まで恋愛沙汰には興味ないと答えていたが、ここでの心境の変化には何があったのだろうか

我が新聞部では生徒会長の恋を全面的にバックアップしていきたいと思う
――――――



ぐしゃり
隣では同じ記事を読んでいた映姫の顔が黒くなっていく
さすが白黒をはっきり分ける程度の能力
……じゃなくて、こ、怖すぎる……
映姫「……とりあえず行きましょうか」
○○「はっハイ!」




文「ラブラブですね~羨ましいです」
○○「お、お前か!この記事を書いたのは!」
文「はい~どうでしょう?この記事で部数もふえるとおもうんですg」
映姫「……あなたですか……すこしこちらでオハナシシマセンカ?」
怖いって、そのにぎりしめたグーをどうにかしてください
文「あややややや、で、では私はこれd」
映姫「いいから逝きましょう、あっ○○さん、また後で」
○○「あ、ああまた後で」




文「のわあああああああぁぁぁーーーーー!」





その後教室に戻ってきた文に話しかけてみたら
文「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…………」
この調子で何も話してくれない……




小町「よっ○○元気かい?」
○○「おっ小町じゃないか、どうした頭押さえて?ぶつけたか?」
小町「それならぶつけた方がましだったね。いやね映姫様がね……」


小町の言う分には

映姫「はぁ……」
小町「新しい書類ですよ映姫様」
映姫「ふぅ……」
小町「映姫様?」
映姫「むぅ……」
小町「映姫さm、って痛い!ため息つきながら叩かないでくだs」
バシンバシン
映姫「へぅ……」
小町「きゃ、きゃん!」



みたいな感じだったそうだ
とりあえず小町には保健室に行くように言っておき、映姫さんのところに行くことにした




映姫「はぁ……」
○○「よっ」
映姫「はっ!い、何時からいたんですか!」
○○「今だけど……どう?少し話しない?」
映姫「は、はい」
○○「今の時間なら屋上がすいてるはずだから行こっか」




映姫「そ、それで話って何ですか?」
○○「ああ、なんか今日の映姫さんの様子がおかしいかなと思ってさ」
映姫「そうでしたか……」
○○「まだ告白してないの?」
映姫「え、あ、その……はい……」
○○「一体どんなやつなんだろう、映姫さんのことそこまで引き付けるなんて」
映姫「そ、それは、あ、あああなt」
○○「正直羨ましいぜ」
映姫「え……」
○○「だって映姫さんみたいな可愛くて、しっかりしてる子に慕われるんだぜ?俺だったら絶対に断らないけどな」
映姫「……○○さん……その言葉信じて良いんですね?」
○○「ん?」
映姫「お話があります」
○○「うん」
映姫「わ、私が好きなのは、○○さんです!!」
○○「はっ!?」
映姫「ですから私が好きなのは○○さんです!!」



映姫さんが俺のこと好き!?まじですか!?


○○「いよっしゃああああぁぁぁ!!」
映姫「ま、○○さん!?」
○○「ありがとう映姫さん!俺とてもうれしいよ!俺も映姫さんのことずっと考えてたからさ。今わかったんだ、俺も映姫さんのことが好きだ!」
映姫「あ、ありがとうございます……ぐすっ……」
○○「泣かないでよ~俺も何か泣けてきたからさ、笑いあおうぜ!」
映姫「そ、そうですね、私がこんなことで泣いてちゃいけませんよね。あははは……は」
○○「どうした?」
映姫「いや、これが夢だったらどうしようって思って……」
ギュッ
○○「俺は映姫さんの事好きだから大丈夫だから……」
映姫「○○さん……」



キスしちゃえ!
おし、そこだ押し倒せ!
にゅい←スキマが開く音
あっ危ないから後ろから押さないで!




バタン!



映姫&○○「あっ」
文「いつつ……だれですか後ろから押したのは……」
○○「文さん……見損なったよ」
文「あやややややや、でもこれで決定できます!お二人が恋人関係だというこt」
映姫「……またあなたですか、もう一度逝きますか?」
文「そ、それだけは勘弁を~」


あいつ逃げ足だけは速いんだよな……



○○「あは、あはははは!」
映姫「な、何がおかしいんですか!」
○○「いやこういう生活も悪くないなと思ってさ、映姫さんは俺と付き合っているって言われるのいや?」
映姫「それはないです!とても嬉しいことだと思います!」
○○「ならほっとこうぜ?何かやらかしたらそのときは……どうにかすればいい」
映姫「あなたの言うとおりですね、そうしましょう」
○○「じゃあさっきの続きを……しますか?」
映姫「その前に、いい加減さん付けとか変な敬語で呼ぶのはやめませんか?」
○○「そうだな映姫、愛してるよ」
映姫「私もです○○……」

















そして卒業式






映姫「まったくあなたという人は……こんな日まで遅刻しないでください!」
○○「わるいわるい、昨日眠れなかったんだ」
映姫「もう……でもこれでお互い別々の道ですね……」
○○「そんなことはないぞ映姫。はいこれ」
映姫「指輪……ってええええええ!!」
○○「映姫、俺と結婚して欲しい、これならずっと一緒にいられるだろ?」
映姫「あなたって人は……ムードとか気にして欲しいものですね」
○○「うう、すまん」
映姫「まぁ、あ、あなたみたいな人はもう見つからないだろうし……よろこんでお受けいたします」
○○「ありがとう映姫……」
映姫「ほ、ほら、泣かないでください!まだ私たちはこれからでしょう?」
○○「おう!」
映姫「ほら行きますよ!早くしないと置いていきますよ!」
○○「あ、ちょ、ちょ待って!」













~終わり~

>>うpろだ1132

───────────────────────────────────────────────────────────

快晴というに相応しい、雲ひとつない空だというのに図書館はグレーのカーテンで外界からの光を遮断されていた。
点々と点けられた蛍光灯だけが、その部屋の明かりだ。
端的に言えば、不気味である。いつしか、この図書館に来る者は数えるほどとなり――授業使用以外の目的で訪れるものは、ついにはたったの七人となってしまった。
もっとも積極的に活用するのは二人だけで、残りの五人は二週間に一度利用するかしないかという頻度だ。
だからここは、二人だけの部屋。
この薄暗い部屋を共有するのは、わずかに二人だけ。
その二人は、今日も座って本を読んでいる。
男性の方は薄い文庫本、女性の方は百科事典のように分厚い本だ。
お互いに口を開くこともなく、時を刻む正確な音と、時々聴こえてくる生徒達の笑い声、それにページをめくる音だけが、この部屋にはあった。
別に、無言であることを取り決めされたわけではない。図書館では静かにしようというルールに乗っ取っているわけでも、ない。
この二人を縛るのは、二人で決めた、たった一つのルール。
それは、『どちらかが本を読んでいるときは喋らないこと』、である。
男子生徒も女子生徒も、読書が好きで、ここに来ている。だから、せめてそれぞれの邪魔にはならないように決めたルールだ。
それが今まで破られたことはなく、おそらく、今後も一切破られはしないだろう。
放課後、一時間、二時間と無言の時が過ぎる。二時間が過ぎたともなれば、生徒の笑い声もいよいよ消えて、真実の意味で無音に近くなる。
いつものこと。二人にとって、いつものことだ。
聴こえる呼吸の音。耳を澄ませば聴こえそうな心音。
とても近く、とても遠くに、男性は女性を、女性は男性を感じていた。
この距離感は心地よく――それでいて歯痒いと、二人は常々思う。
日が今にも沈むという夕暮れ時に、絶えることなくその思いがあった。
出来ることなら話したい、と。
出来ることなら遊びたい、と。
しかしそうすると今の関係が破綻しそうで、怖いという気持ち。
近づきたいという好意。
嫌われたくない恐怖感。
葛藤に体を支配されて、踏み出せずにいた。

更に時は半時間を過ぎる。男性は読んでいた文庫本を閉じて、机の上に置いた。
その机は古書のにおいに満ちた部屋とは違い、清潔感に満ちていた。時々図書館専属の用務員が机を拭くのを、二人は目にしたことがあるが、大抵は二人のどちらか早く来た方が掃除することが暗黙のルールになっているからだ。
男性はそのまま目を閉じて、静かに時が経つのを待った。
『どちらかが本を読んでいるときは喋らないこと』――即ち、読了した後なら、喋ることは自由である。
だから、早く読み終わった方が待つのも、いつの頃からか根底に住み着いて離れなかった。
ただ相手のことを知りたいという欲求が、単純な理由である。
どれくらいの時間が過ぎたか、女性も――パチュリー・ノーレッジも読破した本を机の上に置いた。
「……」
「……」
話したいことは山ほどあるのに、お互い、空回りして咄嗟に言葉は出てこなかった。
数秒間があって、
「あのさ……」
「あ、あのね……」
男性とパチュリーは同時に声を出した。
それに慌てて、やはり同時に、
「ぱ、パチュリー、先どうぞ」
「○○、先に言っていいわよ……」
譲り合った。
再び訪れる無言の時間。どちらも考えをまとめているのか、喋れない。
男性は苦し紛れにパチュリーの読んでいた本を見た。
その本には大きな文字で『格言集』と表記されている。とても、わかりやすいタイトルであった。
男性はパチュリーの読んでいた本に感謝する。これならネタ振りが出来そうだ。
「その本でさ、何か気に入った言葉あった?」
パチュリーは男性の顔を見る。多分、聞きたいことは違うんだろうなと思いつつ、返事をした。
「そりゃあったわよ……」
「どんな言葉かよかったら教えてよ」
「いいわよ。心して聞きなさい」
迷いなく放たれた言葉に、しかしパチュリーは間違えた、と直感する。
言えない、と。こんな言葉を言えば恥ずかしすぎて死んでしまう、と。
それに起因するのかパチュリーの頬は真赤に染まっていた。
「ちょ、パチュリー、大丈夫!?」
男性はパチュリーが病弱であるということを知っている。だから熱が出てきたんじゃないかと心配して、反対の席に座ったパチュリーに手を伸ばそうとし、
「ある一人の人間のそばにいると、他の人間の存在など全く問題でなくなることがある。それが恋というものである」
それを拒むようにパチュリーは決死の覚悟で言った。頬を林檎のようにし、目はその覚悟故に潤ませ、肩は緊張で震えている。
男性はそのパチュリーを見て、不覚にも可愛いなと思う。だから、男性は咄嗟に動きを止めて、パチュリーに魅入っていた。
「う、……うう」
泣き出すように声を漏らすパチュリー。しかし、その姿は絶対に見られたくはないと思ったのか、席を立ち、図書館を走り去っていった。
図書館に残ったのは、男性の一人だけ。
その男性はしばらく不動だったが、ようやくして独り言をつぶやいた。
「反則だろ……パチュリー、それは反則だよ。俺がパチュリーのことを好きなの知ってて、言ってるのかよ……」
男性は自分が読んだ本を片付け、次にパチュリーの読んでいた本を閉まった。
パチュリーの読んでいた本からは、少しの体温が感じられて、男性はそれに涙した。

うpろだ1246

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「いらっしゃいませこんにちわー」

 東方学園のすぐそば、渦巻きマークの看板でおなじみのバーガーショップ、『厄・DE・鳴門(やくどなると)』。
 学生達の憩いの場であり、俺のバイト先でもある。
 しばらく前から勤めている中で、特に顔見知りと一緒になることもなかったが、最近学校の後輩が入ってきた。

「ご注文はお決まりですか?」
「お燐ー、私この人形が付いてるやつがいいな」
「……お空、それ子供向けのセットだよ?」

 高等部一年のお燐こと、火焔猫 燐。あまり見たことのない顔だなと思っていたら、最近まで停学を食らっていたらしい。
 どんなやつかと内心不安だったが、話してみればなかなか気さくでいい子だった。
 面倒見がよくて友達思いだし(ちなみに今キッズメニューを頼もうとしてるのが面倒を見られる代表格・お空こと霊烏寺 空、高1)。

「―お待たせしました、ごゆっくりどうぞー」

 なんだかんだで、おまけのくるくる厄神ちゃん人形を嬉しそうに握りしめてバーガーをぱくつく親友を、お燐は苦笑しながら眺めていた。



「せんぱーい、先上がりますねー」
「はい、お疲れー」

 俺とはちょっとずれたシフトで働いてるお燐は、いつも少し先に上がる。
 最近、何となくそれが寂しいと感じるようになってきた、気がする。
 いや、気のせいだろう。寂しがる理由などどこにもない。
 気持ちを振り払うように、手を動かしていく。
 さっきハンバーガーを注文してきたのが隣のクラスの河城だったのを思い出し、
 心持多めにピクルスを入れてやることにした。





「……あー、疲れたー」

 今日のバイト、終わり。
 最近陽が落ちるのがすっかり早くなったので、この時間、外はもう真っ暗だ。
 街燈の明かりの下を一人とぼとぼと歩く。
 風が冷たい。ついつい背中を丸めがちになってしまう。
 と、足元に柔らかなものが擦り寄ってきた。

「にゃーん」
「おっ、またお前か」

 最近帰り道で、よくこの黒猫に会う。
 さほど動物に好かれる方でもない俺だが、この猫は変わり者なのか警戒もせずに懐いてくる。
 どこか近所で飼われているんだろうか?

「よいしょ」
「うにゃ」

 猫を抱き上げ、胸にくっつけるように密着させてみる。
 おお、あったかい。
 体温を提供してくれたお礼に小さな頭を撫でてやると、猫は目を細めてのどを鳴らした。

「よしよし、お前はあったかいなあ」
「にゃ、にゃああん」

 暖を取りながらしばらく歩いていくと、猫は突然するりと腕から抜け出した。

「にゃうぅん」
「おう、またなー」

 いつもしばらくはついてくるのだが、この辺りに来ると決まってどこかへ行ってしまう。
 どこか近くに家があるのかもしれない。

「あ、おにーさん!」

 そして、この辺りに来るとお燐に会うのもいつもどおりだ。
 まあお燐の場合は、かもしれないではなく実際近くに家があるからなのだが。

「……どうでもいいけど、なんで外とか学校だとお兄さんって呼ぶんだ?」
「そりゃ、あたいなりに親しみを込めてるからさ。ね、おにーさん今日は寄ってくかい?」
「そうだな、今日も冷えるし……寄ってこうかな」
「はい、お一人様ごあんなーい」

 嬉しそうなお燐の後に続いて、俺は明かりの方に向かって歩き出した。





「ふーい」

 かぽーん、という伝統的な効果音が似合いそうな情景。
 俺はタオルを頭に載せ、湯に浸かっていた。

 お燐の家は、銭湯をやっている。
 それも今時珍しい、木材を燃料にして沸かす昔ながらの銭湯だ。
 『灼熱地獄』という屋号を聞くと恐ろしく熱そうだが、湯加減はちょうどいい。
 むしろ名前に反して、まさに極楽。疲れが溶け出していくようだ。

「生き返るなあ……」

 ここに銭湯があるということは、最近まで知らなかった。
 確かバイトにお燐が入ってきた日、今日みたいに帰りに黒猫と会って、
 黒猫と入れ替わりに現れたお燐に出くわして……あれ、今日と変わらないな。
 ともかくその時ここの存在を知って、以来バイトの帰りに寄るのが習慣になってしまった。

「―それにしても」

 周りを見回す。時間が少し早いせいもあるが、他に人はいない。
 女湯の方はわからないが、少なくとも男湯は今のところ俺一人だ。
 掃除が行き届いているので一見して寂れてはいない。が、今の灼熱地獄は有り体に言って閑古鳥が鳴いている。
 以前は繁盛していたらしいけれど、家に風呂があるのが当たり前になったこの時代、やはり銭湯に来る客はあまりいないらしい。

「さて、身体洗って上がるか……」

 昔を懐かしむほど長く生きているわけではないけれど、こういったところがなくなるのは寂しい気がする。
 ちょっとしんみりした気持ちで、俺は湯船から出た。



「お燐、いつもの一本」
「はいよ、毎度あり~」 

 番台に座って所在なげにおさげ髪をいじっていたお燐に声をかけ、コーヒー牛乳を買う。
 足は肩幅、左手は腰に当て、視線は正面上方45°、ぐいっと飲み干すのが日本の掟だ。
 誰が言ったかは知らない。

「おにーさん、ここはどうだい?」

 空き瓶をケースに戻していると、お燐が尋ねてきた。
 
「んー?」
「いや、もう何度も来てもらってるから、気に入ってくれたかな、と思って」
「そうだな。俺はこういうとこ、結構好きだよ」
「そっかー、おにーさんにそう言ってもらえるとあたいも嬉しいよ」

 そう言って、心底嬉しそうにお燐は笑った。

「うちも見てのとおりだからさ。
 お空のところから、新しい熱システム入れて改修しないかって話も来てるんだけど」
「ああ……」

 お空はああ見えて、割といいとこのお嬢さんだ。
 エネルギー関係の仕事をしているお空の家は、最近外部との提携で新型の熱供給システムを開発したという話だ。

「ありがたい話なんだけれど、あたいもここが好きだからね。なるべくなら、今のままでやっていけたらいいなとは思ってるんだ」

 そう言ったお燐の顔は笑っていたけれど、頭の上にある猫の耳は伏しがちになっている。
 おそらくは、いずれ今のままではやっていけなくなるのがお燐にも見えているのだろう。
 それでも笑顔を見せるのは、彼女の気丈さなのだろうか。

「でもこういう商売やってて良かったよ。こうしておにーさんがうちに来てくれるわけだし」
「はは、持ち上げてもなんも出ないぞー?」
「……あはは、今後ともご贔屓にしてくれればそれで十分さ」
「それは、もちろん」

 実際、ここは俺にとって欠かせない安らぎの場になりつつある。
 しばらくそんな風に雑談を交わしていたのも、
 せっかく温まった体で寒い外に出るのがためらわれたから、だけではなかったように思う。





「うわっ、やっぱり寒いな」

 ひとしきり話してから、のれんをくぐって外に出た。
 ちょうど入れ替わりに二人連れの客がやってくる。

「あら、○○くん」
「こんばんは、○○先輩」
「あ、古明地先輩。こいしちゃんも」

 学校で見知った顔であるのがわかり、挨拶する。
 3年生で風紀委員の古明地さとり先輩と、その妹で1年生のこいしちゃんだ。
 先輩は思考を読み取る恐怖の風紀委員として恐れられているが、結構面倒見がいい。
 お燐やお空ともよく一緒にいるけれど、ここの常連だったとは知らなかった。

「そうね、貴方がここに通い始めるよりずっと前から来てるのよ。
 なかなか会うことはなかったけど、お燐から話は聞いてたわ」
「あ、いらっしゃ……ちょ、ちょっと何話してるんですかあ!?」

 古明地先輩は、見送りと出迎えのために出てきたお燐と俺を交互に見比べると、ちょっと微笑んでのれんをくぐっていった。
 ……いや、何も言われないと気になるんですけど。
 
「気にしなくていいですよ」
「いや、そう言われても」

 訊いて答えてくれる人でもないので、それ以上はどうしようもない。
 慌てて姉の後を追いかけるこいしちゃんと、なんだかあたふたしているお燐に軽く頭を下げ、俺は家に向かって歩き出した。




「にゃああん」
「あれ、またお前か。珍しいな」

 来る時にも会った猫が寄ってきた。
 いつもは灼熱地獄からの帰り道に会うことはないんだが、ほんとに珍しい。

「ほら、おいで。今度は湯上りだから、俺の方があったかいぞ」
「……なーう」
  
 気持ち良さそうにくっついてくる黒猫。
 さほど冷えていないところを見ると、やっぱりこの近くに家があって、一度そこに帰っていたのかもしれない。

「なあ、猫」
「にゃ?」

 周囲に人もいない中、猫に話しかける。
 まあ、猫が理解してくれるわけもないのだが、独り言にするよりはましのような気がしたのだ。

「俺さ」
「うにゃ」
「お燐のこと……」
「……ふにゃ?」

 普段目にしているお燐の姿が浮かぶ。くるくるとよく働くお燐、明るく笑うお燐、ちょっと強がりなお燐。
 しかしこの猫、絶妙な相槌を入れてくる。偶然だろうけど、面白い偶然もあるもんだ。

「―好きなのかもしれない」
「にゃあっ!?」

 一瞬猫がびっくりしたように動いた。いけないいけない、ちょっと力が入りすぎたかな?

「まあ、向こうにしてみればただの先輩だろうし、だからどうこうっていうんじゃないけど……」
「にゃー……」

 しかし俺、なんで猫にこんな話してるんだろう。
 誰もいないからいいようなものの、傍から見たら危ない人みたいだ。
 と、そんなことを考えていたら向こうから人影が歩いてくるのが見えた。

「あ、○○先輩だ。こんばんはー」
「お空か。こんばんは、こんな時間にどうしたんだい?」
「うん、お燐のうちに行こうと思って。……あれ?」

 お空は、俺の腕に抱きかかえられている黒猫に目をやった。
 しげしげと眺めた後、口を開く。

「お燐、そんなところでなにやってんの?」
「は?」

 お燐?この猫が?なんの冗談だろう。
 あれか、近所の猫に友達の名前をつけてるとか。

「番台はいいの?あ、もしかしてお休み?」
「にゃ、にゃー?」

 ……違うらしい。
 俺に構わず猫に顔を近づけ、話しかけるお空。
 お空と視線を合わせないように、白々しく目をそらす猫。
 いや、そのリアクションはただの猫じゃないだろ。

「お人違いじゃ、って……この辺で二股尻尾の黒猫なんて、お燐ぐらいじゃない」
「にゃ、にゃにゃにゃ」

 なんだか意志の疎通が出来てるようだし
 ……あ、本当だ。今まで気がつかなかったけど尻尾が二本ある。
 
「―わっ、寒い。じゃあお燐、私お燐のうちであったまってるから、また後でね」

 言うだけ言って、お空は俺が歩いてきた方へと走っていった。
 後に残された俺と猫の間に、なんとなく気まずい空気が流れる。

「あー、えーと。猫。いや、お燐?」
「……にゃー?」
「ほんとに、お燐?」

 黒猫は俺の腕から飛び降りると、宙返りを一つ打った。
 瞬き一つほどの間に猫の姿が消えて、

「じゃ、じゃじゃー、ん……」

 代わりに姿を現したお燐は場を和ませるつもりだったのか、掛け声と共に明るくポーズをとろうとした。
 が、すぐに頬を赤らめてうつむいてしまった。

「……そうだよ、あたいだよ」
「なん、で」

 上手く口が動かない。なんで猫に変わるんだ、ということが訊きたいわけではない。
 強いて言えば、なんで猫の状態とお燐の状態(厳密には両方お燐のようだが)で別々に接して、
 同一人(?)物であることを教えてくれなかったのか、ということが知りたかった。

「だって……だって……」

 ぽつりと話し始めたお燐はどうしていいのかわからなくなったようで、
 今にも泣き出しそうだった。

「猫の姿で近づいたら、あたいのことぎゅって抱きしめてくれたんだもの。
 すごく、すごく嬉しかったけど、でも、あたいだってわかったら、あたいなんか、おにーさんから見たらただの後輩だもの。
 そしたら、もうぎゅってしてもらえないじゃないのさ」
 
 両手で顔を覆ったお燐の声には、涙が混じり始めた。

「おにーさんがうちに来てくれるようになって、猫の姿の時にも構ってくれて、
 一緒にいられる時間が増えて、すごく嬉しかったんだ。あたいも、おにーさんのこと好きなんだ。
 ……だますつもりじゃなかったんだ、ごめん、ごめんねおにーさん……」

 すすり泣くお燐の肩を、黙って、包み込むように抱きしめた。

「さっきのは」
「ぐすっ……え?」
「さっきのは、見知らぬ猫に独り言を聞いてもらってただけだからな。
 改めてお燐に言わせてもらう。お燐、好きだ」
「……わぁぁぁん!」

 ありがとう、ありがとう、大好きだよ、と。
 切れ切れにつぶやきながら、俺の胸に顔を埋めて泣くお燐。
 夜空からは雪が降り始め、俺とお燐の上に深深と積もっていった。





 なんだか別れがたかったので、家までお燐を送っていくことにした。
 
「あー、お燐泣いてたの!?○○先輩に何か意地悪されたの!?
 私の親友を泣かせたら、○○先輩だって許さないんだからね!」

 勘違いしたお空に詰め寄られたり、

「違うのよお空。お燐はね、嬉しいことがあったから泣いてたのよ。ね、○○くん、お燐?」

 お燐の代わりに店番をしてくれていた古明地先輩に、誤解を解きつつ意味深な視線を送られたり、

「え、嬉しいことって、もしかして○○先輩とお燐ったらラブラブなの?」

 こいしちゃんにピンポイント直撃で恥ずかしくなるような冷やかしを(おそらく無意識に)受けたりしながら、

「お燐、後任せた!」
「あ、おにーさんずるい!」

 俺は冷えた身体を温めるためにもう一度湯に浸かっていくことにしたのだった。
 ……決して、戦略的撤退とかではない。
 
「まあ、女湯と男湯は完全に分断されているわけではありませんし。
 壁越しですが、色々と聞かせてもらいましょうか」
「ねーねー、○○先輩はお燐のどんなところが好きなの?」
「だめよお空、壁に上っちゃ……先輩、何て言って告白したの?」

 そもそもお燐は番台にいるので、結局俺だけが追い詰められる形になったし。


新ろだ129

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