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妖夢7

最終更新:

orz1414

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 春のうららかな日差しが気持ち良くて、白玉楼の縁側に寝そべってみた。
 ぽかぽかと暖かくて、すぐに眠くなってくる。
 こうなってくると、何か枕にするものがほしくなってくる。

「……お、いいもの発見」

 ちょうど横をふわふわと浮かんでいた妖夢の半霊に、物は試しと手を伸ばす。
 ひょっとしたらすり抜けてしまうかと思ったが、ちゃんとつかむことができた。
 少しひんやりしているが、意外にぷにぷにと柔らかい手触りだ。
 逃げようとするのを押さえて、頭の下に敷く。
 ……おお、これはなかなか。
 ただ、半霊がいるということは近くにもう半分もいるわけで。

「半霊がついてこないと思ったら……何やってるんですか○○さん」
「何って、枕にちょうどいいと思って。
 しかしこんなに柔らかいもんだとは知らなかったなあ。
 このへんなんか特に……」
「!!!……ど、どこをつついてるんですか!」

 ?……どこって、半霊、だよな?
 じゃあこのへん……

「な、ななな何考えてるんですか○○さん!まだ明るいのにそんな」

 いったい俺はどこを触っているのだろう。
 非常に気になる。
 ……そうだ。

「なあ妖夢。ちょっとあれやってみてくれるか?ほら、半霊が妖夢になるやつ。
 えーと何だっけ、確か幽明求聞ごふぅ!?」

 鞘に収めたままの剣で脳天に一撃。
 どうやら妖夢が慌てている理由の核心を突いたらしい。
 意識が一瞬遠のいた。

「それをやったら洒落にならないところを○○さんが触ってるから止めてるんです!
 ほんとにもう……」

 そんなことを言いながら妖夢は、頭を抱えている俺の横に正座した。
 ぽんぽんと軽く膝を叩く。

「―枕がいるんだったら、私の膝をお貸ししますから」
「え、ほんと?」

 頭の痛みも忘れて顔を上げた。

「急に元気にならないでください!……少しだけですよ?」

 ではお言葉に甘えて。

「あったかいなあ」
「そうですね。もうすぐ桜も咲き始めるでしょう」
「いやそうじゃなくて、妖夢が。やっぱり半霊よりこっちの方がいいかな」
「……もう」

 妖夢の手が、前髪を分けながら優しく頭を撫でてくれる。

「半霊も半人も、どちらも一応私なんですけどね。
 ……だから今度からは、ちゃんと言ってくれたらいつでも、どちらでも枕になってあげますよ?」

 そう言って妖夢は顔を真っ赤に染め、俺の顔を覗き込んでいた目をそらした。

「魂魄妖夢は、文字通り全身全霊で、○○さんのこと好きですから……」

13スレ目>>606 うpろだ1009

───────────────────────────────────────────────────────────

 冥界にある白玉楼。そこに植えられている桜は屈指の美しさを誇る。
 毎年花見の季節になるとわざわざここまで足を運ばせてまでやってくるほどだ。
 主に紅白の巫女や白黒の魔法使いがその例だ。
 そして今現在俺の目に映る桜はまだ三分咲きというのに
 外にいたころには決して見られぬといっても過言ではないというほどに美しかった。
 しかし――


「小腹がすいたな……」


 花より団子という言葉があるようにいくら美しくてもそれだけじゃお腹が膨れない。
 ぼんやりと桜を眺めながら何か食べるものないかなーと考えているとふよふよと目の前を通り過ぎるものがあった。
 むんずとつかんでみるとそれは妖夢の半霊だった。

「何だ、はぐれたのか?」
 むにむにといじくりながら言葉をかける。まぁ半霊が答えられる訳ないのだが。
 もちもちと意外にやわらかいそれを見て俺はふと思った。
 そういえば前々から思っていたけど妖夢の半霊って何かに似てるんだよなぁ。
「そうだ、雪見大福だ」
 きめ細かい白さ、そしてこの手に伝わるもちもちとした感覚。まさしく大福そっくりだ。
 しかしここまで大福そっくりだと食感も同じなのか確かめたくなる。
 周りを見渡しても誰もいない。これは好都合だ。おもむろに半霊の尻尾を口の中に含んだ。



 はむっ



「ひやあああああぁぁぁぁーーーー!?!?!?」



 誰かの悲鳴が聞こえたが気にしない。
 それにしても素晴らしい! しっとりとしていて舌触りはなめらか、かなりの弾力があり程よい冷たさがまた心地よい。
 味がないのが残念だが、それを差し引いても十分なほどだ。傷つけないように俺は甘噛みを続けた。はむはむ。



 ドタドタドタドタッ!!



「ままままま、○○さんっ!? いったいなにしてるんですかっ!?」
「いひょう、ひょうむじゃないか。にゃにかあったのくふぁ?」
「何かあったのか、じゃありません!! いきなり、んっ、噛み付かれれば、ふぁっ、誰だって何事かって思います!」
「ひょういれば、こいつと感覚繋がっているんひゃっけ」
「うあっ、そうです! だから早く口から、やぁっ、出してくださいっ!!」
「うーん、きなこかあんこが欲しいなぁ」
「ちょっ、ああんっ、何変なこといってるんですかっ! 早くやめてください! ああっ、そこはっ!」

 ぷるぷると悶える妖夢を見てさすがにこれ以上は酷だなと思い、尻尾を口から出す。

「はぁはぁ、で、何でいきなりこんなことをしたんですか?」
「いやぁ、ちょっと小腹が減ってさ。たまたま通りかかったやつをつい」
「あなたはお腹が減ったら人の一部を食べるんですか!?」
「たまたまだよ、たまたま。それに前読んだことのある絵本のことも思い出しちゃってさ」
「へぇ、そんな気分になる絵本があるんですか、じゃあその内容教えてくださいよ」
「内容はたしかおばけをてんぷらにして食べる話だったかな」
「えっ」
「そういえば妖夢の半霊に顔をつけるとそのおばけにそっくりだな。案外てんぷらにしたらおいしいかな」

 あははと笑って何とか切り抜けようとしたが妖夢は俯いて微動だにしなかった。
 まずい、怒らせたかと思い顔を覗き込むと――ぽろぽろと涙をこぼしていた。

「よ、妖夢!?」
「うっ、○○さんはわたしのこと、そういう目で見てたんですね。ぐすっ。ひ、ひどいです。人の一部をおいしそうだなんて、ううっ
 そんなこと、幽々子さまだって言ったことないのにーーーーー!!!!」

 堰を切ったかのように大泣きする妖夢。慌てて宥めにかかる。

「嘘だから! じょーだん! 冗談だって! だから泣き止んでくれよ」
「知りません! 聞きたくありません!! うわーーーーん!」

 このままじゃラチがあかないので妖夢を抱きしめて落ち着くのを待つことにする。
 初めはわめきながら体をよじって俺から逃れようとしたが、しだいに落ち着いてきたのか
 スンスンと鼻をならして俺にもたれかかってきた。

「……落ち着いた?」
「はい……すみません、取り乱したりして」
「いや、俺もバカなことやったとは思ってる」
「反省してますか?」
「ああ、反省している」
 と告げたところで

 ぐきゅるる~

 おぅ、しっと。どこまでも空気の読めない俺の体が恨めしい……。

 くりゅるる~

 ん、今のは俺のじゃないぞ。なんというかつつましいというか可愛らしいというか、そんな表現がぴったりくる音だ。
 じゃあもう一人しかいないだろうと顔を下に向けると真っ赤な顔の妖夢が見えた。

「……すみません、おもいっきり泣いたものですから」
「いやいや、可愛らしい音でしたよ?」
「あうぅ……」
「にしてもあいかわらず小腹は空いたままだ。お茶菓子ない?」
「そうですねぇ、たしか紫様から貰った芋ようかんがまだ残ってたはずです。一緒に食べますか?」
「食べる食べる」
「わかりました。用意してきますね。……あとお腹が空いたら私に声かけてください。なにか用意しますからもうこんなことしないでくださいね」

 そう言って妖夢は台所にむかって行った。
 そして戸棚から芋ようかんを見つけてつまみ食いしている幽々子さまを見つけて妖夢が怒ったのは別の話。

>>うpろだ1043

───────────────────────────────────────────────────────────


「妖夢、下がっていなさい」
「でも、幽々子さま!」

 止めようとする妖夢に、幽々子は振り向いて首を横に振る。

「あれは、何なんですか!?○○さんは、どうなってしまったんですか!?」

 二人の前には、焦点を失った目で虚空を見つめながら、ゆっくりと向かってくる○○の姿があった。







 冬が始まった頃、白玉楼に迷い込んだ○○を最初に見つけたのは妖夢だった。
 外の世界から突然冥界に迷い込んで、自分がどこにいるのかもわかっていない○○を、
 妖夢は幽々子の元へ連れて行った。

「あらあら、生きた人間ね。貴女のお婿さんかしら?」
「な、何をみょんなことをおっしゃるんですか!?」
「みょん?―まあ冗談はともかくとして、帰るあてもないでしょうし、しばらくここにいるといいわ。貴方、名前は?」
「……○○です」
「そう。私はこの白玉楼の主、西行寺幽々子。
 こっちはうちの庭師をしているみょんよ」
「わ、私はそんな名前ではありません!」
「お世話になります、幽々子さん。よろしく、みょん」
「だから私はみょんではありません!私の名前は魂魄妖夢です!」






 白玉楼に居候することになった○○は、掃除などを手伝いながら日々を暮らしていた。

「みょんー、こっち終わったよー」
「だから私はみょんではありません!妖夢だと何度言ったらわかるんですか!」
「いや、わかってるんだけど……なんかしっくり来るから」
「もう……ちゃんと呼んでくださいよ?」

 何度かそんなやりとりを繰り返したが、それでも彼はやっぱり、妖夢のことをみょんと呼ぶのだった。





 いつだったか、妖夢が熱を出したことがあった。

「みょん、具合はどうだ?」
「……あ……○○、さん。みょんって、呼ばないでくださいよ……」  
「ああ、ごめん。熱上がるからその辺にしておこう。……まだ苦しそうだな」
「いえ……もう大丈夫です」
「ほら、無理するなって。今タオル換えてくるよ」
「……すみません」
「何かあったら呼んでくれよ?すぐ来るから」

 結局妖夢の熱が下がるまで、○○は何かと彼女の世話を焼いていた。
 後の幽々子曰く、傍から見ていて、○○の心配そうな様子の方が見ていられないくらいだった、ということだ。





 すっかり身体が治った頃、妖夢は○○に会いにいった。

「あの、○○さん」
「おお、みょん。もう大丈夫なのか?」
「ええ、おかげさまで。でもやっぱりみょんって呼ぶんですね」
「うーん、何となく可愛い響きで、似合ってると思うんだが」
「……!か、可愛いって」
「!い、いや何でもない!忘れてくれ!」




 
 雪が解けた頃、白玉楼を映姫が訪ねてきた。
 
「閻魔様がここへ来るなんて珍しいわね。今日はどんな御用かしら~?」
「……あまり芳しくない用事です、西行寺幽々子」
「あらあら、極悪人の霊でも逃げ出したのかしら」
「当たらずとも遠からずですね。怨霊のかけら、とでも言えばいいのでしょうか。
 意思こそありませんが、生きた身体を見つけてとり憑き、乗っ取ろうとする厄介なものです」
「……まあ」
「三途の川に流れてきたのがこちらの方へ逃げたらしいのですが、
 見つけ次第始末をお願いします。人間にとり憑いたりしたら一大事ですので」
「もしとり憑いてしまったら?」
「……一度憑かれたら引き剥がすことは不可能でしょうね。
 身体を得てしまったら危険な猛獣を野に放つようなものです。
 まとめて破壊するしかないでしょう」





 ○○と妖夢は二百由旬の庭を歩いていた。
 ただ寄り添って歩くことが、○○も妖夢も、なぜかとても幸せに思えた。
 自然と、顔に笑みが浮かぶ。

「もう春だな」
「そうですね」
「この庭にも、桜の樹があるんだな」
「私が丹精込めて世話をしていますからね。
 もうすぐ、綺麗な花が咲きますよ」
「……楽しみだな」
「楽しみにしていてくださいね?
 ○○さんにもぜひ見てほしいです」

 ……その時、まだ咲いていない桜の樹を眺めていた○○は、妖夢より一瞬早く異変に気付いたらしい。

「危ない!」

 突然突き飛ばされ、驚いた妖夢が振り返った時目に入ったのは、
 倒れた○○に一瞬まとわりつき、その身体の中へ入り込むように消えていく霊体の塊だった。





 そして、今に至る。





 映姫を送り出した後、知らせを受けて駆けつけた幽々子が見たのは、
 数刻前まで○○だったものと、襲いかかるそれを何とか受け流している妖夢だった。
 事態を把握した幽々子は、妖夢を引かせて自ら前に出た。

「……怨霊のかけら、だそうよ。とり憑いてしまったら、元には戻せないって」
「何とか、何とかならないんですか?」

 うろたえる妖夢を、諭すように幽々子はゆっくりと答える。

「もう助からない以上、○○の身体ごと滅ぼすしかない。
 だから、下がりなさい。貴女にあれは斬れないわ」
「……私が、半人前だからですか」
「いいえ。妖夢、貴女○○のことが好きでしょう?
 ついさっきまで○○だったものを斬ることができるかしら?」
「…………」

 妖夢はうつむいて押し黙ってしまった。
 答えられないことが、幽々子の言葉の全てを肯定していた。

「妖、夢」

 ○○の口が開いた。
 弾かれるように顔を上げた妖夢は、そちらに目をやる。

「……早く、逃げ、ろ」

 それは、消えかけながらも妖夢のことを案じる○○自身の意識が発した声だった。
 見えているわけではないのだろう。
 ただ、妖夢を傷つけまいとしてうわ言のように発せられた声だった。

「……幽々子さま、お下がりください」

 妖夢が、前に出た。
 もはや、その目にうろたえや迷いは見られない。
 
「妖夢」
「私が、やります」

 鞘から抜き放った二刀を構える。
 ○○の声はもう聞こえなかった。
 
「こんな時だけ、ちゃんと名前で呼んでくれるんですね」
「…………」
「貴方と一緒に、この庭の桜を見たかったです」
「…………」
「ちゃんと伝えられなかったけれど、○○さんのこと、好きです」
「…………」
「……だから、せめて私の手で」

 気迫に押され立ち止まっていた相手が、再び動き出そうとした刹那。
 決意に澄んだ妖夢の眼が、見開かれる。
 斬撃に込めた気合が弾ける寸前の、時間と空間が粘りついてくるような感覚。


 ……常人が見れば、一瞬の出来事にも、スローモーションにも思えただろう。
 ○○だったものと妖夢の位置は、いつの間にか入れ替わっていた。

「妖怪が鍛えたこの楼観剣に……いえ」

 真一文字に結んだ妖夢の口が開かれた。
 背を向けた妖夢の後ろで、○○の身体がゆっくりと体勢を崩していく。

「この魂魄妖夢に、斬れぬものなど」

 ○○が完全にその身を土に横たえたと同時に、
 妖夢も張り詰めていたものが切れたかのように膝をついた。

「斬れぬものなど、何も……何もっ……!」

 言葉が途切れ、止めどなく涙がこぼれる。
 倒れた○○と、泣き続ける妖夢を、幽々子は静かに見つめていた。































「それで?庭師の恋は悲恋に終わったわけ?」
「紫はそう思う?」

 あれからしばらく経って、幽々子は冬眠が明けて訪ねてきた紫とお茶を飲みながら話をしていた。

「思わないわね。だって○○って、さっき階段掃除してた彼でしょ?
 妖夢が名前呼んでたもの。それとも同じ名前の別人?」
「まさか。そう、あれがさっきの話に出てきた○○よ」

 湯呑みのお茶を一口すすり、幽々子は話を続ける。

「少なくともあの時の妖夢の一撃は、一人前の気合と、それに見合う意志を込めたものだったんでしょう。
 まさか無意識に○○に憑いたものだけを斬って、○○は助けるなんてことができるとは思わなかったわ~」
「……先代の庭師だったらできたかしらね?」
「どうかしら。できそうな気もするけれど、わからないわね」

 ふう、とため息を一つつく。

「ともかく、斬られたはずの○○が起き上がって、妖夢もそれに気づいてね。
 初めは状況がつかめないみたいだったけど、とにかく無事だったって理解できたみたいで。
 また泣き出した妖夢を○○が抱きしめて」
「晴れて二人は恋人同士、ってわけね」

 庭では桜も咲き、時折風に乗って花びらが舞っている。
 
「じゃあ、外の世界へのスキマを開いたりはしなくていいのね?」
「ええ。むしろそんなことはしないでくれるとありがたいわ」





「どうですか?白玉楼の桜は」
「……綺麗だな。見てると吸い込まれそうだ」
「良かった。気に入ってもらえたみたいですね」

 掃除が一段落ついて、○○と妖夢は桜の樹の下を歩いていた。
 
「来年も、その次の年も、一緒にこの桜を見たいな」
「……私も、○○さんと一緒に見たいです」

 どちらからともなく手を繋ぐ。
 しばらく歩いたところで、○○が立ち止まった。

「みょ……」
「だめですよ」

 妖夢は空いている方の手を回し、立てた人差し指を○○の口に当てた。

「ちゃんと、呼んでくださいね?」
「……わかった。妖夢、キスしていいか?」
「……はい、どうぞ」

 眼を閉じた妖夢の唇に、○○の唇が重なる。
 また一陣の風が吹き、桜吹雪となって通り過ぎていった。

うpろだ1073

───────────────────────────────────────────────────────────


早朝。白玉楼の庭で、一心不乱に剣の修行に励む少女が居た。
そしてその近くでそれをのんびりと見ている男が居た。
少女の名は妖夢。男の名は○○。
妖夢は白玉楼の庭師兼、白玉楼の主の護衛。
○○は白玉楼の主、西行寺幽々子に気に入られ、そこに住んでいる幽霊だ。
○○は、妖夢に話しかける。

「妖夢ちゃん、今日も修行がんばってるねー」
「あ、○○さん。そろそろ朝ごはんの準備に取り掛かりますから待っててください」
「む、それなら俺も手伝おうか」
「そんな、いいですよ。幽々子様とお話でもして待っててください」
「いーや、男が女ばかりに仕事させるのは俺は気に入らない――ほれ、タオルだ」
「ありがとうございます。――んー、そこまで言うならいいですよ」

剣の修行を終えた妖夢と○○は、白玉楼の無駄に長い廊下を歩く。

「いつも思うんだが、ここの廊下は無駄に長いな」
「そうですね、二人では広すぎるくらい…」
「んー、俺と妖夢の二人で住人を増やすってのはどうだ?」

妖夢の顔はまるで熟れたトマトのように真っ赤に染まる。
…まるで兄妹のような二人だが、実は恋人同士である。

「な、何を言うかと思えばっ…!いい加減にしないと斬りますよっ!」
「ちょ、霊体だから成仏しちゃうって、やめ、やめて!死ぬ!死んでるけど死ぬぅ!」

そんなくだらない会話をしているうちに、○○と妖夢は台所に到着した。

「さーて、手伝うとか言ってみたものの俺は料理ができないわけだが」
「…もっと早く言ってください」
「ごめんなさい」
「じゃあ、食材と食器を取ってきてください。」
「うっし、ちょっと待っててくれよー」

食器と食材を妖夢の言うとおりに揃えた○○は、一人考えていた。
その内容は、妖夢との関係を白玉楼の主――幽々子に打ち明けるかどうかということである。
この二人は、自分達の関係を幽々子に話したことがないのだ。
それで、○○は一人で悩んでいた。この関係を打ち明けていいのかどうか。
考え終わらない内に、食材と食器は揃ってしまった。
――いつまでも悩んでいても仕方が無い。一旦、そういうことにした○○は、妖夢に話しかける。

「用意できたぞっと」
「ありがとうございます。じゃあ、準備しますから待っててください。」

とんとん、と部屋に包丁で野菜を切る音が響く。妖夢はかなりの料理上手であり、
実際、白玉楼で幽々子と○○が食べる料理はほとんど妖夢が作っている。
部屋の隅でも○○は考える。この関係を打ち明けると、もしかすると今のような関係は崩れるかもしれない。
そう考えると、○○はどうも幽々子に打ち明けるのを怖ろしく感じてしまう。
しかし、いつまでも隠し通せるわけではない。むしろ、そちらのほうが怒るかもしれない。
そう考えると、早く打ち明けたほうがいい気もする。
――結局結論が出ない。自分の優柔不断な性格に落ち込んだ○○は、大きく息を吐く。
息を吸うと、おいしそうな匂いが漂ってきた。今朝の朝食は煮物。そう断定した○○は妖夢に近づく。

「妖夢、今朝の朝飯は煮物かな?」
「わ、いきなり覗き込まないでください。○○さんの好きな筍を使った煮物ですよ」
「お、そいつは嬉しい。筍が使ってあることより、妖夢が俺の好きなもので料理してくれた事が、な」
「もう、○○さんったらそんな事言わないでください。好きな人に女の子は尽くしたいんですよ?」
「幽々子様にもしっかり仕えてあげなよ、と。では、ちょっとつまみ食い…」
「こら、駄目ですよ…って、ひゃあっ」

○○は妖夢を押し倒す。

「料理じゃなくて、妖夢をな」
「こんな朝から…駄目ですよ?」
「美味しいものはいつ食っても美味しいんだぞ?」
「むぅ…キス、してくれないと嫌です」
「はいはい」

○○は妖夢に唇を重ね、彼女の服に手をかk「妖夢ー、ご飯まだー?」
「「…え?」」

二人が唇を重ねた瞬間、幽々子が部屋の扉を開けて入ってきたのだ。

「あらあら、お取り込み中ねー?じゃあ私は待ってるから~」

そう言って、あっさりと幽々子は部屋を出て行く。

「ちょ、ちょっと待って下さい幽々子様!」
「こ、これは誤解でー!」

二人は、顔を真っ赤にして反論するが、その相手はすでに近くには居なかった。
…俺の悩みはなんだったのだろう…そう思い、○○は大きく息を吐いた。
…隠してきたはずだったのに…妖夢も、大きく息を吐いた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

朝食の場、いつもならそれなりに賑やかな場だが、
今日は静かだった…主に、○○と妖夢が顔を真っ赤にして俯きながら食べているせいだが。

「この煮物おいしいわねぇ、妖夢~…聞いてるの?」
「…ぁ、はい、聞いてます!新鮮な筍を使いましたよ!」

さっきから何を言ってもあたふたと言葉を返す妖夢が面白いのか、幽々子は何度も話しかける。

「それで、二人はどこまでいったの~?」
「「ブフォッ!」」

そんな事を幽々子が笑顔で言い、二人はほぼ同時に食べていたものを口から吐き出してしまう。
向かい合って座っていた妖夢と○○は、互いの食べていたものが顔にかかる形となる。

「す、すまん妖夢」
「わ、私こそ…!」
「あらあら、うふふ」

暢気に笑う幽々子に、あんたのせいだよと二人は内心毒づきながら、顔を拭く。

「夫婦初めての共同作業ぅ~」

そんな事を幽々子が呟いたせいで、二人の顔はさらに真っ赤になる。

「…どこから、知ってたんですか?」

○○は質問する。

「告白の時からぜーんぶ。ごめんなさいね、紫に頼んで見てたの~」

この発言には、妖夢も○○も驚いた。妖夢に至っては独り言を呟き始めた状態である。
一方○○は、悩んでいた自分がバカらしくなり、くつくつと笑い始めた。

幽々子もそんな○○が可笑しく、笑い始める。雰囲気に呑まれ、妖夢も笑う。

朝の白玉楼に、笑いが響いた――

おしまい

>>うpろだ1160

───────────────────────────────────────────────────────────

「幽々子ー」
少し前までは静かだった白玉楼も、今では静かとは言わなくなってまいりました
「あら、何かしら○○」
というのも、
「ちょっと楽しい運動を教えてあげようと思ってだな」
この
「まず両手を胸にあててー」
○○とかいう人間が
「で、ぽんぽんぽんで両手を上にー」
頻繁に来だしたからで
「こうかしら?」
というか、
「そうそう。んで、それにあわせてこういうんだ」
生者が何故こうも易々とおおおおお
「はい、「らんらんるー♪」」
「だあああああああああああああああああああ!」
思わず叫んでしまった
二人合わせてきょとんとしている
「どうしたのかしら妖夢ー?」
「どうしたー?妖夢ー」
「だからそこハモるな同じ仕草をするなっ」
顔を見合わせてどうしたのかしらとでも言いいそうな顔
「でーすーかーらー」
とのばして一端止め、今まで言わんとしたことを言う
「何で生者がふっつーに何の躊躇もなくここにこれるんですか!結界は!?そもそも入り口は上空にあるんですよ!?ただの人間のあなたがどうやってきてるんですか!」
ぜーはーぜーはー
「まぁまぁ落ち着いて落ち着いて。ほら、息を」
「吸ってー」
「ひっ」
「吸ってー」
「ひっ」
「はいてー」
「ふー」
「はいつなげてー」
「ひっひf・・・って何させるんですかあああああああ!!」
思わずぐーで殴った
「はっはっは、痛いなぁ妖夢」
まるでこたえてないのが何ともいえない
「で、そんなに知りたいのかな妖夢ちゃぁ~ん」
「気色悪い声出さないでくださいちゃん付けしないでください!・・・でも一応教えてください」
小馬鹿にされている気がするのは私の気のせいだろうか
しかし気になることはしょうがない
「はっはっはー。知りたければ俺を捕まえてごらーん」
「は、はぁ・・・?」
いきなり何を言い出すのかこの人は
「ほーっほっほほー。捕まえてごらんなさーい♪」
「まてまてーあっはっはh・・・って!」
のせられてしまった
というか、何で私が男役?
「胸の平たさh」
「皆まで言わせるかあああああああ!」
かきーんと打った
柄で
「あーっはっはっは、まったく妖夢は照れ屋さんだなぁ、球筋に出てるぜ」
彼方まで吹っ飛ばされながら何かのたまい、○○は星になりました
「めでたしめでたし」
「じゃないでしょうもう」
「ゆ、幽々子様!?」
まったくもう、とでも言いたげな顔でこっちを見てくる
「痴話喧嘩もいいけど、程々にしなさい。彼は人間なんだから加減しないとホントにここの住人になっちゃうわよ?」
「ち、痴話喧嘩とかじゃなくて・・・その!」
「あら、じゃあ夫婦漫才?」
「め、夫婦!?」
にんまぁ~と嫌らしい笑みを浮かべる幽々子様
「幽々子様ぁ~!」
「あらあら、うふふ♪」
まったく、いつまでも食えない方だこの人は
「はぁ、もう何でもいいです」
いつまでも否定してると話が終わりそうにないので適当に濁す
「それじゃあ、○○を探してくるから妖夢はここで待ってなさい」
「え、いえ、それは私g」
「待 っ て な さ い」
有無を言わさぬ態度に言葉が詰まる
一拍をおいて、幽々子様
「・・・彼とは少し二人で話がしたいの。あまり妖夢には聞かれたくないからここで待ってなさい」
「・・・私に、聞かれたくないこと?」
「あら、気になる?」
うふふ、とからかい顔
「心配しなくても色恋沙汰じゃないから安心しなさいな」
「だ、誰もそんな心配は・・・!」
「あらそう?だったらいいんだけれど・・・妖夢、奥手過ぎるのもあれよ?」
「ゆーゆーこーさーまー!」
「うふふ、じゃあちょっと行ってくるわね~」
ふわふわと一人庭に消えていった
本当に、食えない人だ
「あ、そうそう」
「うわぁ!・・・って脅かさないでくださいよ幽々子様」
「あらあらごめんなさい」
ケタケタと笑う
狙ってやったんじゃないかとすら思ってしまうが、この人の場合どっちなのかやはりわからない
「小一時間したらおにぎりでも持って来てちょうだいね」
じゃっと片手を上げて、こちらの返事も聞かずに言ってしまう
やっぱり
「かなわないなぁ」
姿が消えた後に、一人呟くのだった



「あいたたた・・・」
妖夢に吹っ飛ばされた後、起き上がって細部を確認する
そんな必要など無いのに、やってしまうのはやはりクセか
当然のように体には傷一つ無かった
「○○ー」
「・・・ん?」
「ああ、いたいた。結構とばされたわね」
ふわふわと幽々子
「ああ、幽々子か」
「一応聞くけど、大丈夫?」
「んー、相変わらず何故か痛覚だけはあるみたいだけど、外傷は無いし大丈夫だろ」
あっけらかんと宣う
まぁ、実際そんなに気にしちゃいない
「ならいいけど・・・でも○○、あなたいくら霊だからといって、無茶したらホントに死んじゃうわよ?」
「一度死んでるのにまた死ぬってのもあるのかね・・・まぁ大丈夫だよ」
再三言われてきたんだ、それぐらいのことはわかっている
よくわからないことに、俺は自分自身が死ぬ前、つまり生きていた頃の記憶がまったくないらしい
ついでに霊のクセして実体持ってたりなんだりもしていたりよくわからない
その辺を聞いたら、紫が人間と幽霊の境界を弄くったってなんじゃそりゃ
とどのつまり、死んでるんだけど肉体持ったまま生活できて不老なんだとかなんとか
その上肉体も肉体でやたら頑丈って何だこの超人
で、妖夢自身はそれを知らないんで俺のことは一般人だと思っているらしい
「ならいいんだけども・・・っとこの話はちょっと置いておいて」
わざわざジェスチャーまでしてのける
「・・・んー?」
「貴方、少し妖夢をいじめ過ぎよー?いくら好きだからって度が過ぎると怒っちゃうわよ、私」
怒っちゃうわよーとかいいつつぷくーっと頬をふくらませる
いや、怖いというか、可愛いんですが幽々子さん
「んー、ほら、好きな娘ほどいじめたくなるっていう奴でして、やり過ぎですかね」
「私が妬いちゃうぐらいやりすぎよー。まったく、貴方もあの娘も素直じゃないんだからもう」
「いやー、自分はまだまだガキだからねぇ。好きな娘に面と向かって好きって言えるほど人間できちゃいないんですよ」
というか、恥ずかしいわ、いざ言おうとしたら頭の中が真っ白になっちゃうわ、あげくなんか変な事してるわ、うわー俺って何だ
これが族に言うツンデレか!そうなのか!そーなのかー
「わかっててやってるとなると始末に負えないわねぇ・・・どうせ結末はわかりきってるんだし思い切って告白しちゃいなさいな。男は度胸!って言うでしょ?さぁさぁさぁ!Hurry!Hurry!Hurry!」
「いやいや幽々子、落ち着いて?って結末はわかりきってるってどういうことだ」
きょとん、と幽々子
「どういうことって言葉通りの意味だけど、そこまで教えないとだめなぐらいにぶちんで度胸無しなのかしら?」
あれあれ幽々子?なんか怖いですよ?
さっきと違ってふざけてないというか、顔は笑ってるのに怖いというアレ
しかし、流石にここまで言われてもわからないほど馬鹿ではない
「えーと、つまりあれか。え?何、相思相愛?」
その考えに思い至った瞬間、頬が急激に熱くなる
照れとかそんなの通り越して恥ずかしい
何も恥ずかしくないのに恥ずかしい
なんだこれ・・・?
「あらあらー?お顔が真っ赤ですよー?」
「う、ううううううううるさい!」
途端からかい口調に戻り茶化してくる
必死に反論しようにもそんなもの出てくるわけもなく、しかもドモる
「ふぅ・・・これはあれね」
満足したのかクスクスと軽くしていた笑いも止め、こちらを真剣に見てくる
「・・・あれって何だよ」
「練習よっ!」
びしぃっっと人差し指を俺に向け、大まじめに言う
・・・練習?
「何をわけわからないって顔してるのかしら?」
やれやれ、とでも言いたげな顔だ
「練習って言ったら告白の練習に決まってるでしょうに」
当たり前じゃない、と幽々子
「・・・は?何でそんなのを練習しなきゃ・・・」
「だって貴方ってばいつまでたっても告白すらしようとしないし、妖夢をいじめてばっかりなんだもの。だったら練習少しでもして慣れておいた方がいいでしょ?」
「うーん・・・」
そういわれればそうな気もする
何より、幽々子の話に寄れば俺と妖夢は相思相愛らしい
だったら告白あるのみだろう
でも俺ってば肝心の場面じゃあーだから、確かに練習はしておいた方がいいのかもしれない
何より、この場面においてYes以外の選択肢が用意されていない気がする
というかNo!とか答えたらどうなるかわからない
「・・・わかったよやるよ、やればいいんだろ」
「そうこなくっちゃ!さぁ、早速練習しましょう」
言うやいなや俺を急かしてくる
「そうね、屋敷の方に向かって思いっきり叫びましょうか」
「え?いやそれ妖夢に聞こえない?練習でもなんでも無くない?」
「流石にここからじゃ妖夢には聞こえないわよ。でも、妖夢がいる方向って言うぐらいの緊張ぐらいはあったほうがいいんじゃなくて?」
むぅ・・・言われてみれば確かにそうだ
「すーはー、すーはー」
深く深呼吸をし、俺は




言われたとおり小一時間後、私は手製のおにぎりを持って○○さんを吹っ飛ばした方へと歩く
幽々子様の分は多めに、私の分は少なめに、○○さんの分は・・・あの人も割とよく食べるので多めでいいだろう
割と、というか食べっぷりだけなら幽々子様にも負けていないのではないか
以前流れで食べ比べをした際、勢いだけならば寧ろ勝ってさえいた
あれはあれで見物だったが、その後一日唸っていた○○さんを介抱していたこちらの身にもなって欲しい
何故か幽々子様からその日一日暇をいただいたので、楽ではあったのだが
それにしても○○さんも○○さんだ
毎日のように白玉楼に来ては私をからかっていく
私なんかをからかって一体何が面白いのだろう
退屈はしていない
退屈はしていないが、最近○○さんが来ない時
何故かその時は酷く寂しさを感じる
来る前と同じ日を繰り返しているだけなのに
何故だろう
先ほど幽々子様にからかわれた際に言われた言葉
「夫婦・・・漫才」
妙に気恥ずかしい響きがする
「夫婦・・・か」
でも心地がいい
何なんだろうこれは・・・
もしかしたら私は○○さんが好きなんだろうか
「好き・・・」
声に出してみる
意識して、音にして初めてわかる
嗚呼、私はあの人のことが好きなんだ、と
でも意識して思う
あの人が私のことを好きなわけがない
私にあんな事をしてくる人が
寧ろ、何故私はあの人を好きになってしまったんだろう
嗚呼、ダメだこの気持ちは
ズキリと傷む
しまっておこう
そうさ、あの人だってただの人間だ
どうせ私よりも早く死んでしまう
早く忘れた方が身のため・・・
「ふぅ・・・」
おにぎりを下に置き、ぱんっと両の手で頬を叩く
ダメだダメだこんなのでは
こんな迷いはあってはいけない
さぁ、いつもの顔で、いつもの声で、いつもの調子で
あの人がいなくなるまで続けていけばそれで・・・
「・・・ー!」
「・・・ん?」
何かが聞こえる
「・・・○○さん?」
「・・・だー!」
何だろう、何かを叫んでいる
恐らく幽々子様と一緒にいるはずだが・・・
私は、それとなく足を速めた





「ぜーはー!ぜーはー!」
あれからかれこれ十数分
俺はひたすら叫び続けていた
あれか?二百由旬の庭で愛を叫ぶってか?
洒落にもならねぇ・・・
「あら、○○。貴方の妖夢への愛はこんなものなの?」
「えーいなにくそっ!」
既に恥は掻き捨て
思いっきり息を吸い、思いっきり
叫ぶ
「妖夢ー!俺だー!結婚してくれー!」
ドサッ
「・・・へ?」
脇から聞こえた音に振り向く
そこには赤面して茹で蛸のような妖夢が立っていた
「・・・は?」
状況を理解できない
「あれ・・・妖・・・夢?」
妖夢の名を声に出した途端、顔が一気に熱くなる
ギギギギ、とさび付いたように動かない首をなんとか曲げ、幽々子を見る
「・・・謀ったな?」
ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべるは幽々子
「ふっふっふ。キミは良き友人であったが、キミのその奥手さがいけなかったのだよ!」
またもびしぃっっと人差し指を俺に向ける
赤い人ですか
「○・・・○・・・さん?」
「は・・・はい?」
びくり、と体が反応する
そりゃそうだろう、今の今まで愛を叫んでいたその本人が目の前にいるんだから
しかも思いも寄らぬところで聞かれてしまったし
「・・・今のも、いつものですか・・・?」
「・・・え?」
「・・・今のも・・・ひっく・・・いつもみたいに・・・私を・・・ひっく・・・からかっているんですか・・・?」
言いながら、妖夢は静かに泣いていた
「・・・」
言葉に詰まる
いつも照れ隠しにとからかっていたツケがここで返ってきてしまった
言おうとしていた言葉もつまり、無言で返すことしかできない
嗚呼、本当に俺は奥手で、臆病で、ろくでなしだ
でも
ザッ、と一歩
目の前で好きな娘を泣かしたままで
ゆっくりと一歩ずつ
平気でいられる俺じゃあ
妖夢へと近づく

ーーー無い

「ひっく・・・○○・・・さん・・・?」
目の前まで行って、優しく抱きしめる
「ごめんな、妖夢。今まで散々からかって。全部照れ隠しだったんだ。お前が好きで好きでたまらなかった。いつだってこうしてやりたかったし、好きだって言いたかった。でも俺ってあんなだからさ、どうしても言い出せなかったんだ」
抱きしめていた手を解き、妖夢の目を見る
「好きだ、妖夢。これからもずっと一緒にいたい」
「私も・・・です。○○さん・・・」
そして、お互いの顔が近づき・・・
キスを・・・
じぃー・・・
「「うわぁ!」」
「あらあらまぁまぁ仲良くハモっちゃって♪」
忘れていた
この状況を作り出したとうの本人を
「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ幽々子様!?いいいいいいいいつからそこに!?」
「いつからってずううううううううううううっっっっっっっっっっっと見てたわよ?」
長い溜めだなおい
「・・・ずっと?」
「ええ、ずっと」
「・・・全部?」
「ええ、一部始終。で、キスは?ほら、私の事は気にしないでいいからほらほら♪」
「は、はは・・・ははははは・・・はぁ」
言うや、弛緩したかのようにもたれかかってくる妖夢
「おわ!どうした妖夢?おい、妖夢ー?妖夢ー!?」
「あらあら、恥ずかしすぎて気絶しちゃったのかしら。初心だわねぇー」
ニヤニヤとまたあのいやらしい笑みを浮かべるのは当然幽々子
「あ、あんたって人はああああああああ!!!」
「あらー?私は貴方と妖夢をくっつけてあげたのよ?いわば・・・ほら、なんだっけ。恋のキューピッド?そんな私が感謝されこそすれ非難されるいわれなど無いわっ」
えっへんっとでも言うかのごとく胸を反らせていいのける
ああ、畜生
「ほらー、私に何かい・う・こ・と・は?」
かなわねぇ・・・かなわねぇよ
「あーもう!ありがとうございま・し・た!今後とも宜しくお願いしやがりますねこの野郎!うわあああああん!」
言うや、妖夢を担いだまま屋敷へと走り去った
「あらあら、これからはもっと賑やかになりそうね」
楽しみだわ、と独りごちて、幽々子もゆっくりと屋敷へと戻っていった







あ(と)がき
ギャグ路線で行くはずが真面目に突っ走って暴走したらこうなりました
すいません
設定?空気です

>>うpろだ1170

───────────────────────────────────────────────────────────

とある秋。○○は「涼しくなってきたかな~」とか「今日こそ言うぞ~」とか色々考えながら階段を上っていた。
向かうは秋だろうが夏だろうが冬だろうが無論春だろうが暖かい体温のある幽霊と半霊。その他愉快な霊が居る場所だ。
妖夢「幽々子さま。お出かけですか?」
幽々子「多分すぐ帰ってくると思うけどね。お庭のお掃除頼むわよ。」
妖夢「かしこまりました。」
妖夢「(…今日は○○さん来るかな…と…お掃除お掃除。)」
彼女は忙しい。特に秋。さらに言うと春や夏なんかも。でも冬も忙しい。
彼女は冥界の姫のおかげでほとんど1年中忙しい。でもそれが仕事だし、自分が居る間は精一杯その仕事をこなそうとしている。
広い庭をそこそこ掃き終えたと言ったところで○○は落ちた赤い葉を箒で掃いてるそんな忙しそうな彼女を見つけた
○○「お~い妖夢~。」
妖夢「あっ○○さん。2日ぶりです。」
○○は最近週3ペースでここに通っている。2年くらい前から。たまに週7だったりするが基本は週3だ。階段がしんどいから。でも妖夢とゆゆ様には会いたいから。
昔○○は死にそうなところを幽々子に助けてもらい…とそんなことはどうでもいいがとにかく通うことが習慣化し始めてる。寧ろしている。図々しい事この上ない。
○○「掃除ごくろうさま。今日ゆゆ様いる?」
妖夢「幽々子様ですか?今ちょっとお出かけ中ですが」
○○「う~ん…まぁいいや。急ぐ用事でもないしな。」
妖夢「用事ですか?私に言って頂ければ幽々子様にお伝えしますが」
○○「言っちゃっていいのかな?ゆゆ様にまず伝えたかったんだけどなぁ…」
妖夢「迷ったら言うべきですよ。迷って良いことは特に無いと思います」
彼女に斬れないものはあんまりない。そんな性格だ。
○○「じゃあ言っちゃうわ。こんど妖夢を一日借りれるかなぁと。」
妖夢「えっ!?」
○○「え? じゃなくて。あぁちょっと言葉が悪かったかな?」
妖夢「ど…どういうことですか! 私を一日借りるて!」
○○「そのままだよ。ちょっとどこかに出かけたいなぁと。妖夢と。」
妖夢「え~っと……え~っと………幽々子様に聞かなければ…え~~……」
○○「で、妖夢は大丈夫なの?ぶっちゃけゆゆ様が許してくれても妖夢が決定を下してくれなきゃ無理だろうし」
妖夢「え~~っと……」
○○「迷っていいことは何もないんじゃなかったっけ?w」
妖夢「そうですが…まぁ私でよければついていきます。」
○○「ありがとう。ゆゆ様にお世話になっててなんか買ってあげたいけど何買ったらいいかわかんなくてね。そこらへんは妖夢について来てもらった方がいいかな~と。」
妖夢「でも○○さん。幽々子様と結構一緒にいますよね?大体好きな物とかも分かるんじゃないですか?」
○○「いや、まぁそうなんだけどねwでも、妖夢と一緒にどっかに行きたいんだよ。単純に。」
妖夢「…どういう…ことですか?」
○○「ゆゆ様の好きな物は知ってるけど妖夢が好きな物はしらないんだぜ?そういうとこを買い物ついでにでも聞こうかなとw」
妖夢「私も…○○さんが好きな物知りたいです。」
○○「…俺は、妖夢が好きだ。」
妖夢「そうですか…」
○○「・・・」
妖夢「・・・」
しばらくの沈黙が続いた後彼女は重い口を開いた。
妖夢「○○さん…あなたは最低な人です…」
○○「え?えぇえ!?」
彼女は目に涙を浮かべていた。明らかに我慢をしていた。
○○「あ…ごめん! 突然…わるかった。きかなかっ」
そこで遮る様に彼女は言う。
妖夢「いえ!!!いえ…違うんです…」
○○「え?」
妖夢「私は○○さんあなたのこと好きになってはいけないと思っていました…あなたは人間です。いくら好きになっても私の方が…長く。ずっと永く生きてしまう。」
○○「…」
妖夢「それに耐え切れなかった…あなたが居ない世界なんて…でも…今は…そんなことを言われて…もっと…耐え切れない…」
○○「妖夢…」
○○は妖夢を抱きしめる。優しく。でも彼女との距離を埋めるようにしっかりと。彼女の悲しみ、苦しみが自分にも分けられるように。
そしてこれからの言葉をすべて聞き逃さないように。
妖夢「えっく…わた…しも…○○さんの…こと…が…好きです…私のほう…が…永く…生きます…が…」
彼女の目からは、熱い涙が溢れ出していた。
○○「…俺もつらいんだよ。…ずっと。ずっと。妖夢。お前を愛せないから…。でも今お前を愛せるなら。
それならそのときに。そのときに目いっぱい愛す。それでも…お前からしたら短すぎる時間しか愛せないがいいか?」
妖夢「私は…そう思ってくれているだけで…十分です。ですが私にそれ以上望むことを許してくださるなら…」
彼女は目を瞑った。○○はそれを見て……そっと。触れるか触れないか。…触れたか。そんなキスをした。


幽々子「熱いわね。秋なのにwあと買い物でもなんでも行きなさいw週末行くことを許すわw」
「「…!!??」」
幽々子「あぁ気にしなくていいのよw幽霊は気づかれないものだから。私はお屋敷に戻ってるから越冬の準備をしなさいw越春させないようにねwあ~疲れたw」

幽々子はいつから観ていたのか。2人はそんな色々な考えを含め血の気が引いたあとに頬を赤くして笑った。お互いの顔を見つめ。
そして軽く。さっきよりは触れるか。くらいのキスを幽々子が背を向けてからした。
秋中口。これからは熱くなりそうだ。

>>うpろだ1191

───────────────────────────────────────────────────────────

夏。俺の家。
この前の恨みをはらずべく妖夢に怖いDVDを見せつけ、恐怖の挙句俺のTシャツの中で一夜を過ごしてもらおうかと思う。

そんなことも露知らず日が沈みかけたころにゆゆ様にお泊りの許可を貰った妖夢が家に来た。
「お邪魔しま~す」
お泊りセットかな?ちょっと大きいカバンを両手で重そうに持っている。
「いらっしゃい。それ、持つよ」
そう言って、ひょいとカバンを持ち上げテレビのある部屋まで運ぶ。
そこには人5人は座れるようなでかいソファーがある。
そこで妖夢が怖がるようなビデオを見ようという作戦だ。俺は悪いやつかもしれん。
「で、今日もトランプをするんですか?私またあのポーカーってゲームがしたいです」

・・・前彼女がこの家に来たとき(そのときはゆゆ様もいたが)「トランプやろうぜ!」といったのがきっかけで
「ポーカーなんかどうかしら?」と全幽霊の彼女が提案する。
妖夢はルールがわからないらしく、一通り説明し終えたあと、妖夢が「じゃあはじめましょうか!」と言った。
だがゲームはどうにも賭けるものが無きゃ盛り上がらない。
そう思ってなにをかけるか考えてる最中に
「何か賭けなきゃ面白くないわね・・・おやつなんてどうかしら?」の提案。

ゆゆ様がカードを配る。
俺がカードを受け取る。(スリーカードか。ボチボチだ。様子見様子見・・・)
妖夢が受け取る(これは○○さんの話だと4カードだったかな?1枚だけ変えよう・・・)
・・・
(ゆゆ様のインチキの)おかげさまで家からおやつがなくなりました。ええ。
ゆゆ様が来てもいいように。と溜め込んだおやつがすべて。

「前回のポーカーのおかげで、家から賭けれるものは無くなったんでね。トランプはパス。」
「残念です。私は今日のためにまたおやつをたくさん持ってきたのに・・・」
またあんなことをやられたら溜まったものではない。
「だから今日はこんなものを見てみたいと思う。ジャン!」
ここで露になる4枚の、表紙からして恐ろしいDVD
「えっ!?」
妖夢の目が泳ぎ始める。表紙だけでもう怖くてたまらないようだ。ふふふ。作戦通り。
「へいへい。まぁ座りなすって」
俺はそういいながらP○2にDVDの1枚を入れる。
妖夢が恐る恐るソファーに座る。そして俺がドカッと座る
ビクンッ!
妖夢が震える。まだ始まってもいないのに。俺におびえてどうする。

DVD「オドロオドロオドロ」
・・・別段たいしたことはない。そう俺が思っていて、ふと横を見ると
布団を抱き枕のようにして目を細めながら見ている妖夢。

「妖夢それ熱く無いの?」
・・・
聞こえていないようだ。
「妖夢さ~ん?」
「・・・」
「妖夢!」
「キャァッ!!!!」
「うおっ!?」
「驚かさないでくださいよ・・・」
「驚かせるなよ。」
別にそんな気は無かったが(いや、まぁ少しあった。)こっちが驚いてしまった。
「・・・怖いの?」
「そ・・・そんなことないですよ。あんな人の後ろに映っている影みたいな、恐ろしい顔みたいな・・・いや、怖くは無いですが・・・」
どうやら相当怖いらしい。
「・・・俺このDVD怖いから妖夢、手繋いでくれないか?」
妖夢の顔がすこしだけほころぶ。
そして安心するように妖夢がにゅにゅっと手を絡ませてくる。
ふふふ・・・Tシャツ作戦第一歩に近づいた。
「1枚目終わったみたいだな」
DVDを変えようとP○2に近づこうとすると妖夢もついてくる。
「俺はもう大丈夫だから手、繋いでなくていいよ」
「そ・・・そうですか。じゃあ私は大人しく座ってます・・・」
だがここでさらに目標に一歩近づいてみる。
「あ、ちょっとまって。2枚目も怖そうだから妖夢にまた近くに居てほしいなぁ。たとえば俺のひざの上とか」
お、顔の表情がまた変わった。
「そんなに怖いのならまた私と一緒に見てもいいですよ?」
「そうさせていただきます」

DVD「オドロオドロオドロ」
俺は膝の上に居る妖夢の頭を撫でながらDVDを見ていた。
・・・だが妖夢の様子がどうにもおかしい。震えているようだ。
「妖夢。寒いの?」
「いえ・・・ちょっと・・・」
さらに一歩踏み出す
「寒いなら俺のTシャツから顔だけ出す形になって見ようよ。そうだ。それがいい」
「それのどこが「それがいい」なんですか・・・」
と、言いつつも妖夢はなかなか乗り気なようだ。
「まぁまぁ妖夢。そう言わずに」
Tシャツを前に伸ばす
「Tシャツが伸びますよ?」
「いやいや妖夢。これは元から大きいサイズだから問題ないんだよ」
買って良かった。P○2と4LのTシャツ。
「じゃあしょうがないですねぇ・・・」
ミッションクリア。
2枚目のDVDは既に終わっているようだ。
俺は妖夢に見えないように満面の笑みを浮かべる。
妖夢はミッションをクリアしてないのに、なぜか満開の笑みを浮かべている。
「なんか嬉しいことあった?」
「いえいえ・・・○○さんのTシャツの中の居心地が良すぎて。このまま眠っちゃいそうです」
「もうどうせだし寝ちゃうか。幸いここはソファーの上。でも俺、怖くて寝れないかも?」
「まだ怖くて寝れないならしょうがないですね。私を抱いたまま寝てもいいですよ?」
「じゃあそうします。ではおやすみ」
「もうしょうがない人ですねぇ」
・・・
「ZZZ・・・」
「(もう寝たかな?・・・)」

チュッ

「(・・・えへへ)」

「ZZZzzz・・・!」
「!!??」

ムチュッ
「ZZZzzz」
「もう・・・」


仕返しも済んだ。寝覚めは良さそうだ。

うpろだ1218

───────────────────────────────────────────────────────────

今日は七夕。
笹に吊るした願いがおそらく叶うであろう日だ。

・・・
「○○さんは何を書いたんですか?」
「俺はまぁ・・・こんなんでいいかな」
俺は(彦星と織姫が幸せになりますように)という願いを吊るした。
「あの話、悲しいですよね・・・1年に1回しかあえないなんて」
「まぁな。で、妖夢。お前は何を書いたんだ?」
「え!?・・・他人の願いは見ちゃだめなんですよ?特に私みたいな女性のは」
「俺のはどうなるんだよ」
「えへへ・・・」
頬を赤らめながら妖夢は願いを笹に吊るす。
少し気になったがまぁ見るなと言われた物を見るのもなんなのでそのまま屋敷に戻る。
・・・

俺と妖夢ははゆゆ様に夢への挨拶を交わし、二人の寛ぎタイムを満喫していた。
幸せな時間
「ちょっと外行って見てみましょうよ!」
「・・・?何を?」
「星ですよ!星!もぅ。しっかりしてくださいよ!」
「星?」
「だめだめですねー。○○さんは。今日は七夕。この時間。」
ここでやっと今日が七夕だと言うことに気がついた
「あぁ・・・もう七夕か。最近ドタバタしてて忘れてたわ。」
「うっかり物ですねぇ。○○さんは」
「願いを書いたのも妖夢がなんか張り切っちゃって、大分前に書いたし、そりゃ忘れてるわな」
願いを書いたのは6月上旬の話である。
「・・・そ、それはともかく、縁側で星を見ましょうよ」
「あいよ」
今日の妖夢は何故かテンションが高い
トタトタと少し歩く妖夢の後に付いていくと、すぐに縁側につき、腰を下ろし二人で空を見上げる
「わぁーっ。綺麗ですねー」
「本当にな。アレなら彦星と織姫も幸せになれるだろうな」
「○○さんの願いはきっと叶ったでしょうね」
「だな。で、妖夢の願いは叶いそうか?」
「・・・」
「どうした?」
突然彼女の顔が少し暗くなった。
「あぁ・・・いえ。なんでもないです。それよりも星ですよ!星!本当に綺麗・・・」
なんだかよくわからないが少し妖夢が暗い。本気の冗談でも言ってやろう
「星も綺麗だけど、妖夢。お前のほうがずっとずっと綺麗だぜ!」
「えっ!?」
暗かった彼女の顔が明るくなった。そして絶好の機会だ。偽りの無い思いをぶつける。
「妖夢。好きだ。ぜ」
言ってやったぜ。
「○○さん」
・・・あら?声のトーンが低い・・・
「・・・なんだ?」
「ありがとうございます・・・」
泣いてる。妖夢が。
「私の、願い。叶いました。今」
「・・・なんて願いだったんだ?」
「(○○さんと、私が、幸せになれるように)って」
「妖夢・・・」
目を瞑っている彼女の、眼の下を流れてる幸せの涙を指でさっとふき取り、軽くキスをする。
「・・・七夕は本当に願いが叶うんですね」
涙が残る彼女は、それでも満面の笑みでそう言う
「俺は彦星ほどロマンチストじゃあないがな。でも毎日会いに来れる。1年に1回なんてケチなことは言わん」
「えへへ。本当ですね?」
「あぁ本当だ。これから来年彦星と織姫が会う日まで。ずっと。その次に2人が会うときまで。その次まで。その次まで。ずっと。会いに来る」
「約束ですよ?」

そういって俺の手を硬く握る
いちゃいちゃしすぎてゆゆ様に永遠に別れさせられないよう、適度にいちゃいちゃしよう。
そう思い、一息吐いて妖夢の手を強く握り返した

うpろだ1229

───────────────────────────────────────────────────────────

今日は俺の誕生日。別段何かあるわけではないが、少しだけテンションが上がる。
白玉楼に向かい、暑くだれつつも階段を上り終えた直後に、お出迎えが。
「○○さん!誕生日おめでとうございます!」
「・・・え?」
可愛い妖夢はやはり俺の誕生日をしっかり覚えていてくれたらしい。
でも、そのまま返すのも味が無いので少しおちょくってみよう。
「・・・え?」
なにが?と言った感じで口をポカンと開けた妖夢も可愛い。
「妖夢、俺誕生日昨日なんだけど・・・」
ここで迫真の演技。俺は悲みの表情を浮かべる。フリをする。
「あ、あ、あ。すいません!人の誕生日を間違うなんて!」
こんなにあわてるとは思ってなかった。ちょっとだけ反省。可愛い妖夢がかわいそうなのでここでネタバレ。
「いや、ごめん。冗談。」
「え!?冗談!?」
「そうなんだな。本当は今日が俺の誕生日。有難う妖夢」
「冗談て・・・ひどいです」
心が痛くなる。軽々しく冗談は言うものじゃないな。
「でも今日が誕生日でよかったです・・・」
今日が誕生日でなく、何か不具合でもあるのだろうか。
「あの、私○○さんに内緒で、ケーキを買っておいたんです。誕生日プレゼントとして」
これは嬉驚きだ。プレゼントを期待してきたわけではないので、予想外だった。
「ありがと、妖夢。ちなみに、冗談じゃなかったらやばかったな。この季節」
暑い上に乳製品と来れば腐る。
「喜んでいただいて幸いです。・・・そうですねぇ。最近は暑いですからねぇ。」
腐るならばその前に食す。やられる前にやれ。だ。
「まぁそうとなればさっさと一緒に食べような。3人分買ってきてるんだよな?」
「はい。幽々子様の分に私の分。そして○○さんの分です」
ゆゆ様が居るから4人分くらいでも良かったかな~、なんて、思いながら妖夢と手を取り屋敷に向かう。
「掃除も終わって○○さんもつれてきました」
「あ、こんにちわ」
「あら、こんにちわ○○。今日はおいしいケーキが合ったんだけど、食べちゃったわ」
・・・なんかちょっとだけ予想通り。
「幽々子様!あの3つ合ったものを全部食べちゃったんですか!?」
「2つだけ食べたんだけど・・・妖夢がひとつ食べると思って」
いや、ゆゆ様はまぁ正しい。俺が来るなんて考えても居なかっただろう。
「妖夢。俺は別にいらないわ。妖夢が食べていいよ。気持ちだけで十分だから」
気持ちだけでも本当に十分だ。
「いえいえ!○○さんのために買ってきたんですから、○○さんが食べてください」
「いやいや、あとひとつしかないんでしょ?じゃあ妖夢が食べていいよ。俺は遠慮する」
・・・このままではラチがあかないとゆゆ様は思ったのか、こう提案した。
「じゃあ私が食べたら」
「それはダメです!」
妖夢が怒った。可愛い妖夢はどうしても俺に食わせたいらしい。
「冗談よ~冗談。じゃあ妖夢と○○。半分にしてでも食べたらどうかしら?」
あ、普通にそれがあったか。
「私はもうおなかいっぱいだから、部屋に戻って寛いでるわ。そのケーキおいしかったわよ」
そういい残しゆゆ様はふやふやと去っていった。
「じゃあ、妖夢。ちょっとなんかフォークとかもう一本持ってきて。切ってそれ渡すから」
「いえ、あの~・・・(あ~ん)ってしてもらえませんか?・・・」
そんな願いならお安い御用だ。
「じゃあ妖夢。あ~ん」
「あ~ん・・・ん?」
「ケーキうめえ」
妖夢の口に近づけてから俺の口に運んだ。
「まただました・・・」
ちょっと反省。
「妖夢。妖夢。あ~ん」
「あ~ん・・・あ、なんかこのケーキ、おいしいですけど凄い甘くないですか?」
「そうか?」
「いえいえ、甘いですよ。」
「そうかなぁ・・・俺らが勝ってるからよくわからん」
このセリフを言った直後妖夢がむせた。
「ゴホッ!ゴホッ!」
「ごめん妖夢!ほんの冗談だって!!!」
今日の妖夢は冗談に振り回されてる。いや、俺は冗談で言ったつもりは無かったんだが。冗談だが。本気だが。
むせてなみだ目になってる妖夢が言う。
「・・・こんなに甘いんですから、何も心配はいりませんね。これからも甘くありますように」
心配無用。現在進行、未来進行、過去進行だ。
「じゃあ、あ~ん」
こんなにもひとつのケーキが大きく感じた事は今までに無かったなぁ。
そんなことを思いながらケーキを噛み締める。
最初の一口より甘い気がした。

うpろだ1234

───────────────────────────────────────────────────────────

「○○さ~ん」
「はいよ」

百玉楼の昼。普段なら妖夢が働いている時間。
俺は妖夢に呼ばれて寝室に行く。
寝込んでいる妖夢の元へ。

「ちょっと水換えてもらえますか?」
「お安い御用だよ。まだ全然?」
「そこそこです。ゴホッ」

珍しく妖夢が風邪を引いているのである。
朝起きた時の妖夢は顔色が悪く、熱を測った時には39度あった。
今は「そこそこ」らしい。
だが、顔が赤い。


タオル用の水を換えに台所に歩いて行く途中、心配そうなゆゆ様に声を掛けられる
「○○?妖夢は大丈夫?」
「いやー。結構まだ、酷そうでした」
「そうなの…じゃあ○○。今日は妖夢に付っきりで居てあげて」

今日の食事は大丈夫なのか?等の疑問が心を過ぎったが、はいとだけ、返事をした。
それなりに考えがあっての発言なんだと思う。いや、妖夢と僕が居なくて困るのは食事くらいなんだけど。

冷たい水を汲みなおし、妖夢の元へ行く。
部屋の前に立つと、咳の音が響く。辛そうだ。

妖夢の側まで行き、腰を下ろす

「大丈夫か?」
「大丈夫です。ゴホン」

上半身を起こし、喉に何かが詰まったような声で返事をする

「無理するな。ゆゆ様にも今日休めって言われたんだしさ」
しゅん。として、布団に体を預ける
いつもの元気な妖夢が嘘のようだ

「さっきゆゆ様に妖夢を見ててって言われたんだよね。ほら、タオル換えるよ」
少し寂しそうな顔をしている妖夢のおでこからタオルを取る
かなり温くなっている。熱があまり下がってないみたいだ。

「妖夢。熱測って」
寝巻きの襟元から体温計を入れる。
体温計を入れ、黙ったままの妖夢に話しかける

「あのさ、さっき「大丈夫です」って言っただろ?でも、傍目から見てもやばそうだし、妖夢自身も今日は無理だと分かってるよね?」

妖夢が心苦しそうに布団の中に顔を半分隠す

「あんまり無茶しないようにしてくれよ。ゆゆ様も心配するし、僕も心配する」

タオルを乗せる前に手で妖夢のおでこに手を添える。
かなり熱い。体温計を取り出して見てみると、39度ちょっとあった。
ため息をつき、絞ったタオルを妖夢のおでこに乗せ、頭を撫でてから言う

「僕も、勿論ゆゆ様も大切に思ってるんだよ。妖夢の事。だから、あんまり無茶しないでくれ。頼むから」
「…はい」
苦しそうな顔で妖夢が笑う

「こんな日ぐらい甘えてもいいんだぞ?さっきも言ったけど僕は今日、妖夢に付いててもいいらしいし。僕に出来ることなら何でもするよ」

少し悩んで恥ずかしそうに妖夢は言う

「あの、さっき頭撫でてもらったときに、少しだけ頭痛が引いた気がしたんです」
「なんだ。そんなことか」

そう言って妖夢の頭を撫でる
本当に少し安らぐようだ。顔の雰囲気どこか柔らかくなる。

「どうよ?」
「気持ちいいです…」

ゆっくりと髪をなぞると、妖夢は目を細める
空いてるほうの手の甲で頬を触るとまだまだ熱い

「妖夢が辛そうなのに、僕はこの程度の事しかできないなんてな。妖夢の風邪が僕に移ればいいのに」
その言葉を聞いた妖夢は目を少し開き、間をおいてこう言った

「さっき○○さんは私の事を大切にしてくれてると言いましたよね?」

俺は妖夢の頭を撫でながら頷く

「それは、私からも言えることなんです。○○さんも幽々子様も私の大切な人。そんな私の風邪を移してまで、治りたいとは思わないんです」
「…大切なんですよ。私にとって○○さんは」

ここで気づく。妖夢の目から少しだけ涙があふれている事に
そっと涙を払って妖夢の横に横たわり、視線を合わせる

「…ごめん妖夢。何も考えないで言っちゃった。本当にごめん。そんな大切に思われてたなんて」

そう言って妖夢を布団の上から抱きしめ、背中をポンポンと叩く

「まだ頭撫でる?」
「いえ、もうそろそろ大丈夫です。不思議なことに頭痛は大分引きました」

よかった。いや、でも熱もあるだろうし、そこまでよくは無いんだろうな。等と思っているとまた妖夢に声を掛けられる

「あの、○○さん。少し寒いんですけど」
「布団、もう一枚持ってくる?」
「いえ、○○さんが布団の中に入って暖めてください」

赤い顔のまま、悪戯っ子の様な笑みを浮かべ布団の中へ誘われる。
僕は溜息をつくと、妖夢の布団の中にもぐりこみ、大切に抱きしめる
妖夢が胸に頭を埋める

「温かい…」
「楽になる?」
「えへ。楽になります」

心なしか自分の頬を妖夢の頬に当てると、少しだけ熱が下がっているような気がした

「○○さん。熱が引いても、たまにはこういう風に甘えて良いでしょうか?」
「大歓迎だよ。「たまに」なんてけち臭いことは言わずにね」

僕が言うと、妖夢は胸に埋めていた頭を出して、目を閉じた

そんな妖夢に軽く口付けをすると幸せそうにそのまま眠りについた。
妖夢に抱きしめられているので、起きるまでは動けないようだ。

たまにはこんな日もいいだろう。寧ろ毎日でも。

うpろだ1422

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 魔理沙と△△が、大宮を出発した頃。

「さすが幽々子様だ。すっかり熟睡モードだな」

 西行寺幽々子とその伴侶、◇◇を乗せた高速バスは一路名古屋へ向けて、東名高速自動車道をひた走る。
車内の明かりは落とされて、窓もカーテンで覆われており、足元を照らす非常灯だけがぼんやりと灯っていた。
周囲の客はすでに寝静まり、話し声も聞こえない。ただ寝息と低くうなるエンジンの音、ロードノイズだけが
響いている。
 
 そんな周囲に漏れず、先程まで車窓を珍しそうに覗き込んでいたり、いろいろと談笑を交わしていた亡霊の
姫君も、わずかな寝息を立てて夢の中にいた。頭は完全に◇◇の肩に預けられ、4列シートタイプのそうとう
疲れる座席でありながら、幽々子の顔は安らかであった。
 
 予定通りに行けば、バスはようやく街が動き出す早朝に着く。そのままどこかで朝食を取り、24時間営業の
健康ランドで汗と疲れを流し、午前中から食べ歩きの観光を始められるはずだ。そして夕方近くまで名古屋を
堪能したあと、普通列車を乗り継いで東海道線で西へ、ちょうど八雲一行を追いかける形になる。日程が合えば、
大阪近辺で紫達と飲み交わす算段も、あの後でつけた。
 
 そうとうきつい日程だよなあ、とうんざりしそうになるが、隣で眠る最愛の人(というか亡霊)の楽しそうな
顔を思い出すと、力が湧いてくるから不思議なものだ。
 
 ただ、困ったことが現在進行形でひとつある。
 
 「幽々子様、いい加減離していただけないでしょうか…」
 
 左腕を抱いて離そうともしない幽々子に、彼の精神は綻びを見せていた。暖かな体温と、豊かな感触が嫌でも
感じられ、鼻を擽るのは彼女が纏う桜の香り。
 
 「一部に力が湧きすぎるのも、考え物だよなあ」
 
 とりあえず、次のサービスエリア休憩の時までに、どうすれば起こさずにこの状況を切り抜けられるかを考える
ことが、◇◇の命題である。
 さもなくばいろいろ漏れそうだ。



 ◇◇が幽々子様と、ある意味で拷問のようなひとときを過ごしているその時。

 「ぜ、絶対、絶対覗かないでくださいね!」
 「う、うん、絶対、絶対振り向かないから!」

 こちらは修羅場であった。

 全体的にきつい配色の部屋。大人4人は眠れそうなベッドの上で、◆◆はなぜか正座のまま、首までを真っ赤に染めて、
彼女、魂魄妖夢の声に背を向けていた。

 「じ、じゃあ、行って、きます」
 「う、うん、ご、ごゆっくり」

 思いっきりぎこちない、何かを恥じている声も、真っ赤な顔も二人共通であった。それもそのはずである。
透明な仕切りの向こうで、白い素肌を仄かに赤く染めて、半人半霊の庭師が、シャワーを浴び始めたのだから。

 それは思いっきり、彼の手違いのせいである。

 最終の一本前の新幹線で、主たちより一足早く名古屋入りした彼らは、前泊のために予約したビジネスホテルにて、
衝撃の事実を知らされたのである。

「ご予約は、明日の予定になっておりますが…」

 ◆◆は、予約の日取りを取り違えていたのであった。だが多少慌てたものの、まだ若いとはいえ、もともとこちらの世界で
暮らしていた身。なら本日空きのある部屋に泊めて欲しいとフロントに頼んだその後、告げられた事実が彼を完膚なきまでに
粉々にした。

「申し訳ありません。本日満室でして…」

 フロント係の若い青年も、近隣の同系列ホテルや、さらに競合チェーンのホテルにまで連絡をとってくれたものの、芳しい答えは
得られなかった。
 泣きそうになって謝りながら、とぼとぼとホテルを出て行く◆◆を、必死に慰める妖夢が見つけたのは、派手な外観の宿であった。

 「◆、◆◆さん!今日はここに泊まりましょう!ね!?空きって書いてますし!」

 妖夢の声に顔を上げた◆◆は固まった。
 なぜならそこは──

 「よ、妖夢、ちょっと待って!」
 「待ちません!私はここでいいですから!◆◆さんはさっきのこと気にしなくていいんです!」
 
 真面目で実直な性格は、彼の制止を聞きいれることはなく。そんな彼女に気圧されて、半ば脅されながら部屋の鍵を受け取った
◆◆は、部屋のドアを開けて絶句した。

 ──ふ、風呂場丸見えじゃないか!

 そう、二人が迷い込んだのは、現代風に訳せばブディックホテル、俗に言うラブホテルだった。その事実に固まっている彼を
不審に思った妖夢が、物珍しそうにあちこち見回るのやめて、この場所が一体どういう目的で存在しているかを聞き出した後に、

 「つ、つ、つつつっつれ、つれこみ、っや、やど…」

 妖夢の頭から、D51もかくやと思われる煙が昇って(画像はイメージです)、冒頭に戻るのである。つい先程までは気まずい空気
が流れ、ただ何をするわけでもなく、微妙な距離を開けて、二人ベッドに腰掛けて顔を染めているだけだったが、◆◆が無理矢理に
「そ、そうだ、妖夢シャワー浴びてきなよ!お、俺後ろ向いてるからさ!」と口を開いたあとで、

 (な、何言ってるんだよ俺!こんなとこ、しかもガラス張りの風呂に入ってきたらなんて!)

と後悔していたのだが、意外にも妖夢が承諾したので、内心すごくホッとしている最中でもあった。
 
 そんなことを露知らず、やはり恥ずかしいのか、後ろを気にしながらシャワーを肉付きの薄い裸体に当てている妖夢もまた、◆◆
並に心が乱れていた。

 (ど、どうしよう…ま、まだ口付けしかしてないのに、こ、こんな連れ込み宿に◆◆さんと…)

 弾幕勝負で霊夢や魔理沙とやりあったときも、ここまで緊張を迎えたことは無かった。現に気を抜けばへたり込んでしまいそうに
なるほど、足に力が入らない。

 (で、でも…)

 妖夢はこの場に二人でいることを、不思議と嫌だと思わなかった。それどころか、むしろ──

 「いつかは、じゅ、純潔を、捧げるんですよね…」

 それはとても、喜ばしいことにさえ思える。主である幽々子も、前に言っていた気がする。

 ──好きな殿方と、身も心も結ばれることは、とても幸せなことよ。破瓜の痛みさえも、甘露に感じられるくらいに、ね。

 今なら、その言葉が分かる気が、する。

 「◆、◆、さん」

 二の腕を抱いて、流れる温水を浴びながら彼の名前を呼ぶたびに、体に暖かいものが広がって。
 その奥で、自身を突き動かそうとする何かが燃えはじめたのを、妖夢は強く自覚した。



 ──二人がこの夜、ぎこちなくも大人の階段を登ったのは、また別の話である。

新ろだ50

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「…………はぁ」
「もう、妖夢ったら。愛しの彼がお使いに出てるからって、落ち込みすぎよ?」
「な、幽々子様、愛しのだなんて、そんな」
「あらあら、真っ赤になっちゃって。……少し気分転換になるでしょうし、納戸の整理をお願いするわ」
「はい、わかりました」



「―こっちの行李の中身は……あれ?」
「これは……ねんねこ半纏、ですね」
「…………………」
「……よしよし、泣かないの。お父さんはもうすぐ帰ってきますからね」
「○○お父さんは幽々子様のお使いに出ているのよ。お母さんと一緒に待っていましょうね……なーんて」
「………………よーむー」
「うひゃあ!?ゆ、幽々子様いつからそこに?」
「そうねー、妖夢が自分の半霊をおんぶして、ねんねこを羽織ったあたりからかしら」
「うわあああああああ」
「妖夢ったらかわいいわねー、○○が……こほん、○○お父さんが帰ってきたら教えてあげなくちゃ」
「ああああ、お願いだからやめてくださいー!」



「ただいま戻りました」
「……お、おかえりなさい○○さん」
「ただいま、妖夢。……何だか顔赤いよ、大丈夫か?」
「いや、なんでもないです!大丈夫ですから!」
「あら○○、おかえりなさい」
「あ、幽々子様、お土産に酒饅頭買ってきましたよ」
「あらあら、じゃあ3人でお茶にしましょうか。―そうそう、○○?」
「はい、なんでしょう」
「早く○○と妖夢の赤ちゃんができるといいわねー♪」
「ええっ!?い、いきなり何をおっしゃるんですか!?」
「わーっ!わーっ!」

>>新ろだ333

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「あのぅ、○○さん起きてませんよね?」

夜も深まり草木も眠った頃であろうか、彼女は障子の向こう側に変な問いを投げかけていた。

彼女の名前は魂魄妖夢。この屋敷の庭師を勤めている者だ。

障子の向こうからは返事が返って来なかった。この時間である当然であろうか。

「入りますよー…。」

音を立てないようにゆっくりと障子を開け部屋へと彼女は入っていった。

何故妖夢は彼の部屋へと入る事になったのか。

簡単に言えば部屋の中に恐怖を覚えたからだ。

眠りが浅かったのか、睡眠の途中で彼女は目が覚めてしまった。

もう一度寝付こうとしたが、一度起きてしまうとそれは中々難しい。

そうこうしている内にふと部屋にある闇が気になってきたのだ。

ひょっとするとあの闇に何か潜んでいるのではないか?

もしも潜んでいたならば襲われてしまうのではないか?

寝ようとする意思より恐怖が大きくなってしまい彼女は部屋を出てきたのだ。

部屋を出た後、どこで寝かしてもらおうかと彼女は考えた。

始めにここの主である幽々子の部屋に行く事を考えた。だが起きた後の説明で色々とからかわれてしまう。

そして次に出てきたのがこの屋敷で唯一の男性である○○であった。

彼ならば起きた後説明をしてもからかう事などはしないだろうと思ったのだ。

何よりもこれくらいでもしないと自分の気持ちが伝わらないとも思っていた。

部屋の中でやはり○○は寝ていた。規則的な呼吸が彼が深く眠っていることを伝えていた。

部屋から持ってきた枕を彼の隣に置くと妖夢は布団に潜り込んだ。

二人では少々狭いのだが、その分彼に密着出来る。

こうやって枕を並べて寝ていると何だか新婚の夫婦の初夜のようだ。

そう思うと一気に妖夢の顔が赤くなった。

顔を真っ赤にし恥ずかしがっていると、徐々に瞼が重くなっていくのを彼女は感じた。

そして眠る前に横で眠る想い人の耳元で一言呟いた。

「お休みなさい、○○さん」

>>新ろだ380

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