「雨、やまないな」
「雨、やまないわね」
俺とアリスは、窓の外を見て同時に溜息をついた。
デートだというのに、最近幻想入りした百貨店から出てきたところで、雨。
折悪しく傘を持っていなかった2人は、慌てて近場で雨宿り。
小さな喫茶店。
店主以外にスタッフの姿が見えないそこは、夕立のせいか他に客は居らず。
クーラーの唸り声と、20年前のスタンダード・ナンバーだけが寂しげに流れていた。
「はい、お待ちどうさま」
にこりともしない店主から、注文の品を受け取る。
俺はアメリカン、アリスは珍しくホットティーを頼んでいる。
「これは、今夜の花火大会もダメかな……」
「あら、でも今夜は晴れるみたいよ。河童の天気情報によれば」
アリスが、近くに置いてあった新聞を眺めながら応える。
覗き込むと、確かに「夕方からは晴」の文字があった。
「じゃ、デートの目的は一応達成される訳だ。買った浴衣の初お披露目も出来たしいいじゃないか」
「でも、折角のデートが喫茶店と花火だけじゃ、なんかもったいないじゃない」
「それはそうかもしれないけど」
アリスは、先ほど百貨店で着替えた、桔梗模様をあしらった水色の浴衣を身に着けている。
花火大会のチラシにあった、女性の浴衣姿に興味を持ったらしい。
水色の淡い色彩が金髪と映えて、よく似合っていた。
「雨、やまないな」
「雨、やまないわね」
再び、呟く。
4人がけのボックス席が、2人で座っていると妙に大きく感じる。
砂糖を2つ、珈琲に入れた。
いつもならブラックなのが俺の流儀なのだが、今日は不思議と入れたい気分だった。
一口。
熱めの珈琲が、濡れて冷えた身体に心地好い。
黒い革張り椅子のの冷たい感触も、徐々に和らいでいく。
向かいの席に座っているアリスも、あたたかそうなレモンティーをちびちびとすすっている。
「来いよ」
「え?」
「俺だって冷えているんだ。薄い浴衣のアリスなら、余計そうだろう?」
「そんなことないわよ」
俺は、その答えに構わず、アリスの手を取る。
思った通り、握った手はとても冷たかった。
「ほら」
握った手を軽く上下に動かし、アリスを促す。
「もう、しょうがないわね」
幼子をあやすような声。
そして席を立ち、俺の隣へと改めて座る。
「お待たせ」
「お待ちしていました、お嬢様」
くすくす、と笑い合う。
俺は、右手を彼女と椅子の背もたれの間に差し入れると、ぐいっと引き寄せた。
「きゃっ!」
「寒いからな。身体を寄せ合わないと。
女の子が身体を冷やしちゃまずいだろう?」
「本音は?」
「アリスと少しでも触れ合っていたい、かな」
「もう……ばか……」
「ばかでもいいさ。アリスと一緒に居られるなら」
「ほんっとうに……、でも、ありがとう」
そのまま、飲み物を飲むでもなく、身体を温めあっていた。
やさしい雰囲気。
気がつくと、飲み物はすでに冷たくなっていた。
「綺麗ね……」
「そうだな……」
花火大会。
いつの間にか時間となり、喫茶店から出てきた。
少々、気恥ずかしかったが。
夕立もやんでいた。
ぼんやりとした満月が光を放ち、まばらに見える天の川が夜空に橋を架けている。
快晴、とはいかないが、花火を見るには十分な宵の口。
会場に着いた頃には、既に花火が始まっていた。
ふと見ると、アリスが不満そうに口を尖らしている。
「どうした?」
「もう! こういう時は『きみの方が綺麗だよ』とか言うものでしょう!」
「あはは、悪い悪い」
アリスの癖っ毛のある髪を弄ぶ。
それを乱暴に払うアリス。
「誤魔化そうとしないで!」
「ごめんごめん。でも――。
アリス、綺麗なきみも好きだけど、俺は可愛いアリスの方が好きだな」
「えっ……」
耳元で囁く。
そんな耳の先まで赤く染まっているアリス。
こちらを振り向いた瞳は、花火の照り返しを受けて、静かに潤んでいた。
パーン、と。
また1つ、花火が鳴り響く。
でも、俺とアリスは、時が止まったように見詰め合っていた。
そんな時間は光陰の如く過ぎて。
「きゃっ! 冷たっ!」
花火大会が終わりに近づく頃、再びの雨が大地を濡らし始める。
周りに人の姿もなく、主催者側も見物客を予想していない山の中。
穴場で見ていたことが災いした。
正規の見物席にあるような、雨対策があるはずもなく。
2人で、慌てて大きな杉の木陰へと入る。
幸い、雷鳴は聞こえない。
樹齢数百年を経たであろう巨木は、余裕を持って2人を雨から匿ってくれた。
「アリス」
「えっ!? きゃあっ!」
彼女の背中に両手を廻す。
「アリスは寒くても、我慢しちゃいそうだから。ここには誰も居ないし、いいだろう?」
「そんなこと……」
「ないって言える?」
沈黙。
そういうところがあるのは、自分でもわかっているのだろう。
いつもより薄手の浴衣を着たアリスを、いつもよりきつめに抱きしめる。
「寒くないか?」
「ええ、大丈夫。あなたが抱いていてくれるから」
彼女は安心したように、胸に身体を預けてくる。
薄い布越しの、柔らかい肌の感触。
ふわりと香る、シャンプーの匂い。
可愛らしくて、彼女を大きく包み込んだ。
「雨、止んで欲しくないな……」
「え?」
雨からアリスに目を向けると。
滴り落ちた水が、街の光を受けて瞬きを放っている。
「だって、止んだら身体を離して帰らないといけないもの」
「帰ったら、また抱いてやるって」
「……うん。でも、もうしばらくこのままでいたいな……」
「アリス……」
「ええ……」
どちらからともなく、唇を合わせる。
しっとりとした感触。
レモンの甘酸っぱい芳香が、いっぱいに広がる。
煙雨の中。
ウシガエルが跳ねまわっているのが、目の端に映った。
うpろだ1366
───────────────────────────────────────────────────────────
コンコン
あら、誰か来たみたい、上海ちょっと出てくれる?
「シャンハーイ!」「お、上海こんちわ、アリスいる?」
「(コクコク)」「ってそりゃいるよな、おじゃまするよー」
え、○○? もう来たの!? まだお化粧もしてないのに…!
「あれ、アリスはどこにいるんだ?」「?(キョロキョロ)」
お、思わず隠れちゃったわ。ど、どうしよう…!?
「シャンハーイ!(クイクイ)」「え、とりあえず座れって、それもそうだな、ありがとう」
「なんか、忙しいときに来ちゃったのかな?ちょっと聞きたい事あったのに」
え、私に聞きたい事? 何かしら、私の誕生日とか? 好きなものとか!?
こ、恋人いますかとか!!? わっ、わっ、私は○○一筋で…キャー!(少女熱暴走中)
「じゃあ、用事が終わるまで上海と遊んでるか。おいでおいでー」「シャンハ~イ♪」
「うーり、うりうり~(コチョコチョコチョ)」「!!――シャ、シャン(ビクッ)、シャン、ハーイ!(ジタバタ)」
はっ、いけない、ちょっと浸りすぎたわ! って、何をして…?
「う~ん、相変わらず不思議な感触だなぁ。やわらかいし、あったかいし」(くすぐり継続中)
「シャ…シャン…ハーイ…(グッタリ)」
「あっ、ごめん上海ちょっとやりすぎた(ナデナデ)」「……………ポッ」
やりすぎた!? それになんか上海が疲れてる? ……ま、まま、ままままさか!?
「ふう、気持ちよかった、また今度やらせてね上海」「……(コクッ)」
気持……!?…………………!!…………
「○、○――!!」(ゴスッ!!)
「うおっ、びっくりした!」
どこにいたのか、頭を押さえて泣きそうなアリスがそこにいた
「…どうかしたかアリス? 大丈夫か?」
「…………○○は…ヒック…私より…上海のほうが…グスッ…好きなの…?」
「…?……何言って……あー」
なるほど、さっきのことをどっかで聞いてたんだな、ちょっと意地悪したくなってきた
「そうだなぁ、上海はずいぶん懐いてくれたみたいだし、素直でかわいいしね」
「……そ、そうよね、私なん――」「でも」
目じりに涙を溜めて、うつむいていたアリスが、ゆっくりと顔を上げ…
「アリスの笑顔が、一番好きだよ」
「………」
おー、泣いた鬼がもう笑った、ってまた泣くんかい!
「ふええええええええん……」
ガバッと胸に飛び込まれる、やりすぎたか
「あー、ごめんアリス。ちょっと意地悪しすぎた。謝る。ごめん」
胸に顔を押し付けつつ首を振るアリス
「(普段からこれだけ素直なら、もっとかわいくなるのにな)」
なんて、ばれたら叩かれそうなことを考えつつ、泣き止むのを待った
…………………………
アリスの髪の触感を楽しみつつ、頭を撫でていると
不意にアリスが顔を上げ
「上海ばっかりずるいわ、私も…」
「え…?」
ぐっと体重をかけられ、支えきれずソファーに押し倒さr(スキマ
--後日--
「そういえば、聞きたいことってなんだったの?」
「え、あ、あー、いや、なんでもないよ、うん、なんでもない」
「な、なによその動揺ばればれな言動は! 白状なさい!」
「ぐえっ、わかった、わかったから首を絞めるな!」
「最初から素直に言えばいいのよ」
「(お前が言うか…)……怒るなよ?」
「内容次第ね」
「…実はだな、上海の触感が気に入ったので、一体くださぐへお!」
見事なリバーブローだぜ……
「まったく、この触感マニア! 変態!」
「変態言うな!もちもちっとした感触は触ってて気持ちいいだろ!」
「……じゃあ、今はもういらないわね」
「?…なんで?」
「そういうのに触りたくなったら、わ、私のむn(裁かれました
うpろだ1460
───────────────────────────────────────────────────────────
ドンドンッ!
「おーいアーリースー、いるかー?」
「何よこんな時間に……、って■■!?」
「応。というかとっくに朝は過ぎたぞ」
「うるさいわねッ、昨日は遅くまで実験してたからまだ眠いのよ!
で、何よ、なにか用なの?」
「ん、あぁ、いや、キッチンを借りたかったんだが……、眠いならいいぜ?
そばに人いると寝られんだろ」
「え、あ、ううん大丈夫だから! っていうか流石にそろそろ起きなきゃいし。
あぁ■■がいるなら着替えなきゃいけないわね。
キッチンは勝手に使ってもらって構わないわ。上海、案内お願いね」
ドタドタドタ
ガタン
きゃあ!?
「なーんか慌ててたが、大丈夫かねあれ。
ま、使用許可はもらったんだ、いくかね」
「シャンハーイ」
「ん、オウ、案内よろしくな上海」
,--v--,
>, '´ ̄、`ヽ
`.i リノノノレリ〉
(\リ从 ゚ ヮ゚ノリ <アンナイスルヨー
`ゝ.〈_(つy((つ
(/,く/i!,__,i!」、
` i_ン_ン''´~
-青年調理中-
「シャンハーイ?」
「ん? あぁ何やってるかって?
ポッキーっつってな、俺が前住んでたところで売ってた菓子なんだ。それを作ってんのよ。
プレッツェルっての? 細長い棒状の焼き菓子にな、チョコレートをコーティングするんだ。
つっても実際ちゃんとした作り方知ってるわけじゃないからどうなるかは分かんねーけどな」
「あら、なに作るのかと思ったらお菓子なの。
なら紅茶でも入れようかしら?」
「のぉう!?
ア、アリスー、びっくりさせんなよ」
「なによ、貴方がいきなりキッチン貸せとか言うからでしょ?
なに作るのか気になるじゃない」
「む、そんなもんか。
あぁ、紅茶はまだいいぞ。これ冷やさなきゃならんし」
「あらそう?
なら私も手伝おうかしら」
「ん、それはありがたいが、大丈夫か?」
「あら、これでも貴方よりは料理もお菓子も作るほうだと思うんだけど?」
「あー、いや、そういう意味じゃなくてだな
あんま寝てねーんだろ?」
「そんなにヤワじゃないわよ、人間と違ってね。
それに……」
「ん?」
「せっかく貴方と一緒にいるんだから、寝てたら勿体無いじゃない」
「むぅ……」
「うふふ、照れた」
「るせい、続きやんぞ」
「はーい」
-青年&少女調理中-
ィ=、
, " ´ ̄`ヽ
i ノレノ人ノ)
l人l.゚ - ゚ノll <オチャイレタヨー
`/((つfjつ
,く _ y__y〉
``~しン~´
カリッ ポリポリポリ
「おっし、なんとかうまくいったな。」
「で、いきなり来てこんな物作った理由は何なの?
おいしいけどさ」
「んー、何とは無しに食いたくなってな。
でも俺ンちオーブンとかないだろ?」
「でうちに借りに来たわけね」
「そんなとこ」
「ふーん
で、ホントの理由は?」
「うぇ、ばれてたか。
今日何日かわかるか?」
「今日? 11月11日だけど、それがどうかしたの?」
「俺が前住んでたところじゃな、今日は『ポッキーの日』なんだ」
「『ポッキーの日』?」
「そ。
このポッキーが4本並んだように見えるだろ? だから『ポッキーの日』。
親や友達、恋人なんかの親しい人と一緒に食べる日なんだ。
それで、アリスと一緒に食べたくてな」
「なるほどね。それなら最初からそう言えばいいのに。
それにしても……、これがあのポッキーだったのね……」
「に似た物、だがな、正確には。
知ってたのか?」
「紅魔館の図書館にあった文献にね。
そうだ■■、ちょっとゲームしない? 負けた方が勝った方の言うことを何か一つ聞く罰ゲーム付きで」
「ふぅん、面白そうじゃないか。何やるんだ?」
「これよ」
カリ
「ふぁきにはなひたほうのうぁけだからね(先に離した方の負けだからね)」
「ぅ、え……? あの、アリスさん? それ……」
「はやふ(はやく)」
「~~~ッ、い、一回だけだかんな」
カリッ
ポリポリポリポリポリ
……
ポリポリ
……
「ぅぁ」
むちゅぅ
「~~~ッ!?!?」
チュ、クチュ、クチャ、ニチャ、ヂュルルッ、チュパ
「…………」
「ふぁ……」
「…………」
「先に離したから貴方の負けね」
「……なんで」
「ん」
「なんでポッキーゲームなんて知ってんだよッ!?」
「だから言ったでしょ、図書館の文献にあったって。
最近現れた物らしいわよ。ちょっと大きめのすごく薄い本」
「なんでだよ……」
「ねぇ■■、さっきの罰ゲーム」
「ん、なんだよ?」
「ふふ、もういっかいね」
~窓の外~
「あややややや、紅魔館に続きここでもですか。
これは、記事にして広めるしかないですね。
……主に私の為にッ!
うpろだ1470
───────────────────────────────────────────────────────────
「ごめんごめん、ちょっと遅れちゃったかな」
俺は○○極々平凡な一般人。平凡=一般人だろうが気にしない
「大丈夫よ、そんなに待ってないわ」
んで、この子がアリス・マーガトロイド、俺はこの子のことが多分好きなのだと思う。
「ってことは少し待ったんだろ。ごめんな、遅れちゃって」
「まぁいいわよ、それより折角の時間がなくなっちゃうわ。
早く行きましょ。」
「おっとそうだったな、じゃあ行くか。
それで?どこ行きたいんだ?」
こういうときは相手に任せるのが基本である
「そうねえ、まず最初は服が見たいわ」
「わかった。じゃああの店だな」
「うーん・・・あ!
ねぇ○○、これなんてどうかしら?」
「へぇ・・・かわいいしいいんじゃないかな?
試着してみたらどうよ?」
「そうね。
じゃあ○○、そこで待っててね」
暫くして・・・
「ねえ○○。似合うかしら?」
「うん。いいと思うよ。
アリスは何を着ても似合いそうだな。
やっぱり元がかわいいからかな?」
アリスの顔が少し赤くなる。
たまに口説き文句をいれるのがコツなのだ。
「もう・・・○○ったら・・・」
「ごめんごめん。でも本当のことだから仕方ないだろ」
「うぅ・・・
は、早く買って次行きましょ・・・!」
「それで次はどこ行くんだ?」
「アクセサリーなんてどうかしら?」
そうきたか。可愛さを引き立たせるためにも重要なアイテムだな。
「うわぁー綺麗ー」
「アクセサリーと言ってもこんなにあるもんなんだな
ん?
アリス、これなんてどうだ?」
「ブレスレットね。いい感じじゃないかしら」
貴金属系は男が選んでやると喜ぶときがあるのだ
「うん、これに決めた。
あーでも少し高いわね・・・」
「いいよこれくらい。俺が買ってやるって」
「でも・・・」
「気にするなって」
そして俺たちは街中からあたりを一望できるくらいの場所に移動した
「ごめんね・・・本当に・・・」
「いいっていいって。
今日遅れたお詫びって思っておけよ」
「そこまでいうなら・・・
ありがとうね」
アリスの笑顔が見れたんならこれくらいお安いものさ
「あーそろそろ日が暮れちゃうね・・・」
「そう・・・だな・・・」
「ねぇ○○・・・」
「どうした?」
「あの・・・その・・・ね」
「あ、ちょっとアリスいいか?」
「え・・・?えぇなにかしら?」
「俺たちって・・・付き合ってないんだよな・・・?」
「えぇ・・・そうね・・・」
「じゃあさ、これから付き合おうって言ったら・・・どうなるか、試したくないか?」
「え・・・?」
「率直に言うぞ!アリス!
俺はお前が好きだ!
俺と付き合ってくれ!!」
「え・・・」
「アリス!俺はお前が居ないとダメなんだ!
何をしようと楽しくない・・・
楽しいのはお前がそばに居るときだけなんだ!」
「○○、そのね
わ、私も・・・○○のことが好きよ・・・
でも、私は妖怪で○○は人間なの「それがどうした!!」
「種族の違いなんて関係ないだろ!
愛があればいいはずだ!
もう一度言うぞ!
アリス、俺と付き合ってくれ!!」
「そう・・・よね・・・
愛があれば・・・いいわよね・・・」
「○○!」「アリス!!」
そして俺たちは抱き合い・・・そして口付けを交わした
この瞬間・・・時が止まった気がした
「○○・・・これから・・・よろしくね・・・」
「あぁ・・・絶対幸せにしてやるよ・・・」
そして俺たちはいつまでも抱き合っていた・・・
新ろだ43
───────────────────────────────────────────────────────────
神無月外界旅行(正式名称はしらん)に何故か行くことになった俺とアリス。
アリスは外界に興味があるらしい。
外界って言っても海くらいしかない気がするんだがまぁいいだろう。
さて、今のうちにいいスポットを決めておかないとな。
これはデートになるんだと思うし。
「○○、待たせたかしら」
「ようアリ・・・ス・・・?」
そこに立っていたのは女神にも負けない笑みのアリスだった。
「なによ・・・おかしいかしら・・・
結構オシャレには自身あったんだけど・・・」
「いや・・・可愛すぎて・・・一瞬誰だかわからなかったよ・・・。ごめんな」
アリスの顔が真っ赤に染まる。うむ、かわいい。
「もう・・・は、早く行くわよ!」
「おい、そんなに急ぐなって」
「へー、外界ってこんなに綺麗なところなんだー」
「幻想郷・・・ほどじゃないと思うがな・・・」
確かに綺麗なところはあるかも知れないが、如何せん人が多すぎる
それに伴い悪い人間も増えることが難題だな
「そういえば○○はこの世界に未練はないのかしら?」
「ないな、正直。
なんだかんだでみんなと騒げるのが楽しいからな」
「そうね。私も○○と騒げるのが・・・」
「ん?なんか言ったか?」
「な、なんでもないわよ・・・
あ、あっちに行ってみましょ」
そっちはたしか海岸だったな
まぁいいだろう
「うわーきれーい・・・」
「そういえば幻想郷に海なんてなかったな。
久々に見るといいもんだな」
「ねぇ○○」
「どうした?・・・うわっ」
アリスめ・・・。いきなり水をかけてきやがった・・・
「ちっ、お返しだ!」
「キャッ・・・、もう・・・やったわね!」
「うおっ・・・」
こうして俺たちは日が暮れるまで水をかけ合って遊んだ。
「寒いわ・・・」
「さすがに10月にもなって水かけはやりすぎた感があるな・・・」
「早く部屋に戻りましょ・・・」
「あぁそうだな・・・って、ん?」
「なぁ・・・俺とアリスで一部屋になってるんだが・・・」
「えっ!?ちょっと・・・
本当ね・・・」
「どうするよ・・・」
「どうにもこうにも仕方ないわ・・・
それに、○○なら・・・私もいいわよ・・・」
「まぁ仕方ない・・・か・・・」
(もう・・・○○ったら・・・。ここまでアプローチしてるのに気づかないのかしら・・・?」
「とりあえず着替えなきゃな・・・」
・・・
「ねぇ○○ー?」
更衣室で呼ぶ声がした
「どうしたー・・・
ってうわっ!?
ご、ごめんアリス・・・」
アリスは下着姿で俺の上にのしかかって来た。
「アッ、アリス・・・?!」
「今日気づいたけど・・・
○○って本当に鈍感よね・・・」
「むっ?」
「もうアプローチも無駄だって悟ったわ・・・
なら・・・これが私の気持ちよ!!」
アリスがいきなり口付けをしてきた。
無論俺はパニックに陥ったようだ。
「こうなるの・・・ずっと待ってたんだから・・・!」
「アリス・・・まさか…!?」
「そうよ!○○、私はあなたが好きなの!」
「アリス・・・
ごめんな・・・お前の気持ちに気づいてやれなくて・・・」
俺はアリスをぎゅっと抱きしめた。
「アリス・・・俺もアリスのことが好きだよ・・・」
そうして俺はアリスの舌に自分の舌を絡ませた
「だけどよ・・・」
「この体勢はまずいだろ・・・」
「いいよ・・・○○なら・・・」
新ろだ56
───────────────────────────────────────────────────────────
「はあ? ハロウィン? 仮装? とりっくおあとりーと? ここで? 好きにすればいいじゃない」
「悪いな霊夢。話が早くて助かる」
「分かってるとは思うけど、私は場所を提供するだけ。幹事はしないからね」
「俺がやるから問題ない。んじゃな。当日を楽しみに待っててくれ」
「はいはい。アリスによろしくねー」
かくして例によって博麗神社にてハロウィンパーティー、またの名をコスプレ宴会が開かれる事になったのである。
参加条件は唯一つ! 仮装する事!
ハロウィン(笑)
「まあ、こんなもんだよな、うん」
思い思いの格好で盛り上がる皆を眺めながら一人ごちる。
だって仕方ないじゃない。仕方ないじゃない。幻想郷なんだもん。
正直俺もハロウィンが具体的にどんな行事なのか詳しくは知らないんだよ。
一応ちょっとは調べたけど、なんか宗教色全開でめんどくさそうだったので早々に匙を投げた。
いつもと変わらないじゃねーかダラズ? いいんだよ! 結局皆楽しそうだから!
ああ、ちなみに俺の服装だが所謂「外」の普段着である。
衣類に関しては、人里で買ったりアリスに作ってもらってるからあんまりこれを人前で着る事は無いし、見せる事も無いから十分仮装の範囲内。……ごめん、ちょっと無理があるって分かってる。
アリスの仮装? 勿論俺が選んだ。中身は全力で趣味に走り、当日まで秘密にしたけど、奇をてらったつもりは一切無い。
ネタに走ったらそりゃあもう酷い事になるのは目に見えてるからな!
……少しは喜んでくれるといいけどな。いや、流石に厳しいか。
っとさてはて、肝心の他の方々の仮装内容だが……。
「愛と正義の美少女戦士、エターナルセーラー輝夜!」
「同じく美少女戦士、セーラー永琳」
「セ、セーラー鈴仙!」
「……セーラー妹紅」
「セーラーてゐ!」
「コウマレッド、レミリア!」
「コウマチャイナ、美鈴!」
「なんで私がこんな格好を……コウマパープル……パチュリー」
「(この衣装は流石に……)コ、コウマサキュバス、小悪魔!」
「(私だけいつもと同じメイド服……)コウマメイド、咲夜……」
ああ、うん。大体皆こんな感じ。察してくれ。それにしても皆ノリノリだなおい。
ちなみに永遠亭の方々は上から月、冥王星、水星、火星、土星のコスチュームだ。
永琳さんは意外と似合ってた、とだけ言っておく。でも原作からしてあの年齢で美少女は流石に無理があると思う。
紅魔館の面々はアル○イザー、ラーメ○マン、紫さん、モリ○ン、翡○のコスプレだ。統一性の欠片も無い。ついでに言うと、咲夜さんはなんか凄い残念そうだった。
普段なら眼前を埋め尽くすツッコミどころ満載なその光景に突っ込み無双乱舞でもしていただろうが、
生憎今の俺はコウマサキュバスこと、モリ○ンの格好をした小悪魔さんに釘付けなのだ。
ちょっとコレはエロ、もとい似合いすぎだろ。
集中する俺の桃色視線で恥ずかしそうにしながらも、お色気担当なのがちょっと嬉しそうでまたたまらんね!
「……こんな所にいたっ! ちょっと○○! これどういう事よ!」
「ん、どうしt……っ!」
エロオヤジ全開で目の前の至宝にみっともなく鼻の下を伸ばす俺の意識を今世に引き戻したのは、憤懣やるせないといった声色のアリスのもの。
何事かと振り返り、その姿を見た瞬間、俺に電撃が走った
いや、電撃なんてチャチなモンじゃない。雷と言っていい。打たれて死ぬかと思った。それほどの衝撃だ。
視界の一点に佇むのは未だかつて経験した事の無い圧倒的存在感
その名も……セ ー ラ ー 服 ア リ ス !
セーラー服と言っても、永遠亭の方々がしているようなコスプレ品ではない
本物の女子高生が着用するそれである。
全体の紺に白いラインとネクタイがあしらわれたそれは、非常にオーソドックスなタイプの冬用セーラー服だ
スカートは下品にならない程度の短さで、かえってそれがアリスの細く白い足を引き立たせている。ソックスは当然白だ。
人形のような可愛らしさを持つアリスに生活感バリバリの制服というギャップ!
想像の段階で分かってはいた。きっと似合うだろうとは思っていたが、まさかここまでのダメージを俺に与えるとは……パーフェクトだ、ウォルター。
「おま……俺を殺す気か! その意気やよし! かかってこいやゴルァ!」
「何馬鹿な事言ってるのよ。いいからちょっとこっち来なさい!」
言われるままに引き摺られる。
視線の先、小悪魔さんが生温かい眼で俺達に手を振っていた。
「あぁ゛ー! メロン二玉ぁー!」
「うるさい馬鹿!」
…………。
結局神社の裏手まで引っ張り込まれてしまった。
一体全体何が気に入らなくてこんなに怒っているのだろう。
「何よこの服! セーラーなんちゃらとかいうの見て逃げ出そうかと思ったわ!」
その一言で察する。アレと同じと思ったのか。
いやまあ確かにそれもアレもセーラー服だけどさ。
「ちょっと地味かもしれないけど、○○が選んでくれた服だからって少しでも喜んだ私が馬鹿みたいじゃない!」
「嬉しい事言ってくれるじゃないの。でもそれは永遠亭の人たちのとは別物。似てるけどな」
――俺、説明中。女子高生やセーラー○ーンの話を延々と真面目にするのは些か堪えました。
「で、どうよ。納得したか?」
「一応ね……で、結局この服はどこで調達してきたの? ちょっと腰が緩くて胸が窮屈なんだけど」
「知り合いに借りた。香霖堂にあったらよかったんだけど、生憎流れてなかったみたいでさ」
何故かブルマとスク水はあったけどな。勿論買った。
それらを着てるところを見たくないと言えば嘘になるが、流石にアレを着てこんな場所に出てもらいたくない。
その姿を見ていいのは俺だけだ。またアリスに罵られそうだが。
……しかしそうか。腰が緩くて胸が窮屈か。これはいい事を聞いた。
「ふーん、こんな服を持ってる奴に興味はあるけど……まあいいわ。この服を私に選んだ理由は?」
「着て欲しかったんだ。きっと似合うと思ったから」
「……そう」
「うん、でもやっぱり選んで良かったな。凄く似合ってる。惚れ直した」
真顔で宣言。
一欠けらも嘘偽りの無い想い。断言出来る。
お互いの格好も相まって、まるで「外」でのようなシチュエーション。
少しだけ、ほんの少しだけ、言葉に感傷が篭っていたかもしれない。
「……ありがと」
そんな俺の褒め言葉を受け、頬を赤く染めそっぽを向くアリス。
珍しいな。これくらいはいつもなら「はいはいありがとう」とか言って平気で流してるんだが。
女心と秋の空。今の彼女が何を考えているのか俺には皆目見当が付かない。さっきの女子高生の説明を受けて思う所でもあったのだろうか?
ただ確かな事は。今ここにいつもの気丈なアリスはいない。一人の人形のような少女がいるばかりで。
――ざわり、と。
慣れ親しみ懐古すら引き起こす向こうの服を、俺も、そして他でもないアリスという大事な女性が着ているからだろうか。
それとも祭り(実際は宴会だが)の最中に神社の裏手で二人きり、というなんとも出来すぎたシチュエーションだからか。あるいはその両方か。
情動に、その唇を奪いたくなる衝動に駆られる。その柔らかな唇を、自分の唾液で穢してしまいたくなる。
いや、唇といわず全身を、この手で蹂躙したくなる。壊したくなる。ただ、自分の色で染め上げたくなる。
嫌がる彼女を無理矢理組み伏せ、出来上がるまで嬲るのもまた一興ではないか。
そして考えてもみろ。こんな所に俺を連れてきたアリスも少しはそうなる事を期待してるんじゃないか?
(……なーんてな)
だがあくまで駆られるだけ。
こんな欲望に狩られるのが初めてというわけでもない。
これくらいの感情のコントロールは朝飯前だ。出来なきゃアリスとこんな関係になってない。
本人が思っている以上にアリスは繊細な少女だ。
こんな所で18歳未満お断りな展開になれば、腹を曲げる程度じゃ済まないだろう。
俺本人としてもそんなのは望んじゃいない。やっぱりこういうのは合意の上で行うべきだろう? それが初めてじゃないにしてもさ。
しかし恐るべし、これがセーラー服の魔力か。全く思春期真っ盛りじゃあるまいし……。まだまだ俺も若いなー。
気持ちを切り替え、深呼吸する。ほら、たったこれだけであれほど自身を苛んでいた劣情は霧散してしまう。
だから大丈夫。自分からアリスを悲しませるような事は、絶対に、しない。
気付けばアリスがなんとも微妙な表情で此方を見つめていた。
大方俺が何を考えていたか読んでいるのだろう。そしてその読みはきっと当たっている。
閻魔様曰く、俺は考えてる事が顔に出やすいらしいし。
「ほんと○○って損な性格してるわよね。私はキスくらいなら別に構わないわよ?」
「折角のお言葉だけどな。今そんな格好のアリスにキスとかして万が一盛り上がったら色々と自制出来ない自信がある。
それにこんな所でアグレッシブビーストモードになってるのを見られたらそれこそ俺の人生が終わるんだよ……」
アリスにも嫌われたくないしな。とは言わない。いつも通りだし。
言わなくても伝わってるだろうし。これもまたいつもの事。
「全く……。私を愛してくれてる、大事にしてくれてるのは分かってるしそれはそれで凄く嬉しいけど、
いざという時にもそんなんじゃ流石の私も幻滅するかもしれないわよ? 気をつけてよね?」
「はいはいそうですね、ヘタレですいませんねえ。ちくしょう……」
全面に呆れを押し出すアリスに俺は返す言葉もございません。
でも今ここでキスの先に手を出したら出したで即俺を半殺しにするあげく、むこう一月は家に上げてくれない癖に! とは口が裂けても言えない。
確かにアリスになら苛められてもいいが、本気で絶対零度の視線は流石の俺でも勘弁してほしい。
さてさて、そんなこんなで今ここにさっきまでのちょっと重かったり甘かったりする空気は余韻程度しか無く、二人ともすっかり普段通りだ。
「あーあ、今回のデレタイムは一分にも満たなかったか。この前のは結構長かったのになあ」
思わず笑いながら愚痴ってしまう。
前ってのはアレだ。ほら、アリスが嫌な夢見た時の。
「ご不満?」
「いーえいーえ。滅相もございません。むしろこれくらいが俺達にはちょうどいいのさ。多分な」
「でしょうね、私もそう思うわ」
微笑みながらもしっかりとドライなその言葉に、思わず苦笑。でも、それでいい。
「それにほら、世界一美味しい料理でも、一年中毎日食べてたらきっといつか――」
飽きるだろ? と言おうと振り返ったその瞬間。
――ちゅっ。
唇に、柔らかい、感触が。
「……まったく。女の方からさせるなんて情けない。この次はちゃんと○○の方からしなさいよ?」
突然の出来事に思わず目を丸くする俺を見て溜飲を下げたのか、滅多に見せない悪戯な笑顔を浮かべたまま宴会に戻っていくアリス。
……ほら、な? こういうのがあるからいいんだよ。
そう。四六時中ベタベタしてるのは性に合わない。お互いに気を使いすぎて、きっとすぐに疲れてしまう。
だから。俺は、アリスは。こんな感じでちょうどいい。そう思うんだ。
おしまい。
~~以下、○○によるセーラー服入手の顛末。又の名を蛇足。閲覧注意~~
「こんちわ早苗さん。相変わらず元気そうで何より」
「はいこんにちわ、○○さん。お陰さまで。今日は一体どうしたんです?」
何所からともなく俺、守矢神社に参上。まあ空からな訳だが。この神社立地条件悪すぎるんだよ……。
飛べる理由? 無事にここまで来れる理由? アリスの実家から送られてきた素敵マジックアイテムのおかげです。
さて、突然の客にも礼儀正しく挨拶してくれる早苗さん。ほんとよく出来た子だ。どこかの紅白に見習ってもらいたい。
「ちょっと早苗さんにお願いがあって来たんだ」
「お願い、ですか……?」
「そう。早苗さんにしか頼めないお願い」
「私にしか頼めないお願い!? お任せください○○さん! この東風谷早苗の力を以ってすれば、そこら辺の異変は即解決ですよ!」
なんか今日の早苗さん、妙にテンション高いな……。
ああ、ちなみに俺と彼女の関係であるが、同年代の友人、といった感じである。
同じ「外」出身者故、共通の話題も少なくなく、年が近いという事もあり、彼女との気楽な会話は結構楽しい。
勿論最初は向こうが現人神とかいう大層な人らしいんで、愚鈍な凡人らしく畏まってみたりした。
でもよく考えたら俺の彼女は余裕で人間外なわけで、その母親は魔界神なわけで。
そもそも魑魅魍魎が跋扈する幻想郷で現人神くらい可愛いもんだ。と即断。素で応対する事を決意。
当の早苗さんはいきなり180度変わった俺の態度に俺に数瞬面食らったようだったが、何がお気に召したのかすぐに破顔していた。
以来友達以上恋人未満といった感じの交友関係を築いていると思う。アリスはあまり快く思ってないっぽいが。
「じゃあお言葉に甘えて……」
「はい、どうぞ!」
「早苗さんさ、学校の制服ってこっちに持ってきてる?」
「学校の制服ですか? そりゃまあ、ありますけど。それがどうかしました?
……あ、えっと……い、幾ら○○さんのお願いでも、着ませんよ? こればっかりは色々と恥ずかしいですから」
何か盛大に勘違いしてるな。俯きながらモジモジと指を合わせる早苗さん。
アリスには無い天然成分。
これはこれで中々萌える、ってそうじゃない。
「腋見える巫女服着てるのに?」
「うっ……これは、その、ほら、アレですよ。仕事着ですから! いやらしい目で見たりしちゃいけないんです!」
俺のからかい混じりの指摘に今自分がどんな格好をしているのか思い出したらしく、真っ赤になってうろたえる。可愛いのう。
しかし慣れとは恐ろしいものである。今や何の抵抗もなくこの格好をしているのだから。
今の彼女がもし「外」でこの格好のまま外に出れば、所謂「その筋の人」としてドン引きされる事請け合いだろう。某所を除けば。
……脱線しすぎだな。これだから天然って奴は恐ろしい!
「もう、巫女服の事はどうでもいいじゃないですか! それで、私の制服がどうかしました?」
「貸してくれ」
「はい、いいですよ……ってはい?」
「だから貸してくれ。制服。早苗さんの。必要なんだ」
「…………」
無言。空気が重い。
何かこう、非常に重大なミスを冒したような予感が全身を走り抜ける。
具体的に言うとフラグが全部立ってないのに選んではいけない選択肢を選んだ、みたいな?
空の向こう、愛しのアリスが満面の笑顔で俺を罵った気がした。
「使うんですか? ……私の制服、使っちゃうんですか?」
それまでのご機嫌から急転直下、ドンヨリと涙目になる早苗さん。
その貌に浮かぶのは失望。まるで慕っていた男性の本性が目も当てられないものだと知った時のような。
今、貴女の中で俺は一体どんな男と認識されているのでしょう。
ていうか使うってなんだ使うって。いやいい、みなまで言うな。
「いやいや、勿論着るんだよ」
「……着る?」
「今度博麗神社でハロウィンパーティするだろ? その時に着るんだよ」
アリスがな、と続けて言おうとしたその刹那
「ば、ばかああああああああああああ!」
――バチーン!
「ドゥブッハァ!」
一閃。天狗も真っ青な瞬間速度を叩き出した平手が俺を襲った。
ゴミ箱にブチ込まれた様な悲鳴をあげる俺を尻目に泣きながら遁走する早苗さん。泣きたいのは俺の方だ
何これ。どう見ても変質者扱いです。本当にありがとうございました。それでもボクはやってない。
しかし拙い。これは非常に拙い。このままでは男として何か大事なものを失ってしまう。……あ、早苗さん戻ってきた。
「……信じてた、奇人変人博覧会の幻想郷で、貴方だけは……って信じてたのに!!!
まさか、まさか公衆の面前で女装プレイに走るような人だったなんて!」
「いや誤解だって。話せば分かるから」
「でも、悲しいですけど、これが現実なんですよね……。○○さん、今までありがとうございました。
うぅっ……。本当に楽しかった日々を、早苗は一生忘れません……。私を普通の女の子としてみてくれた最初で最後の異性……。
貴方と話している時だけ、私は自分の仕事を忘れる事が出来ました……っ。さよなら、私の初恋の人!」
「だから聞けよ! いや聞いてくださいお願いします!」
虚ろな笑顔で悲劇のヒロイン早苗さんフルスロットル。色々と気になる単語が聞こえたがきっと気のせいだ。
そんなチルノ以上に一杯一杯な彼女は、必死に弁解しようとする俺を完全スルーしながら大きめの紙袋を投げつけてきた。
危険物かと中身を確認してみる。……なんだかんだ言いながら結局貸してくれるのな。
「どうぞ存分に使ってください! 返却は結構ですから!!!!」
「ああ、うん、ありがとう。でも頼むから話をk」
「いやです! 使い方なんか聞きたくありません! うわああああん! もう神様なんて信じない! 青い空のバカヤロー!!!!」
大泣きしながら引っ込んでしまった。その速さまさしく風の如し。
思わず嘆息する。完全に自分の世界に入ってしまっていた。この様子では暫くは話どころか顔も合わせてくれまい。
まあいいや。会場で借りた服着たアリス見せて誤解解けば……。
――――。
で、当日に至る。
それまでに何があったのか、俺が会った時には完全に泥酔しきった彼女はセーラー服を着たアリスを見て
「なんで私より似合ってるんですか! しかも金髪とか! 整形までしちゃって!
しかも凄く可愛いし! 死ねばいいのに! 死ねばいいのに!」
「ありえません! なんですかその乳は! パッド! パッドですか!」
とかもう見ていられないどころか言葉にするのも憚られるほどにベロンベロングデングデンな状態でクダを巻いていて、
その数分後にはメーターが振り切れたアリスと余りの惨状を見かねた霊夢に張り倒されていた。南無。
あまりにも色々酷かったので後日尋ねてみたのだが、さも当然のようにセーラー服関連の記憶は失っていた。
神様'sがどうにかしてくれたのだろう。……本当にありがとうございます!
~~終わっとけ。普段真面目な子が暴走するのって可愛いよね~~
新ろだ88
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これは一体どういうことなんだろうね。分かる奴が居たらここに来て俺に説明しろ!
始めから事細かく、いや細かくなくてもいいから分かるように教えてくれ。
ここは俺の部屋、狭くて古いアパートながらも楽しい我が家だ!
間違いない!長○秀和じゃないが間違いない!
昨日は仕事の帰りに行きつけの焼き鳥屋で適当なのをいくつか見繕って、会社のボーリングコンペで当てたビール(発泡酒ではないぞ!)を一本空けて、そのまま布団に潜り込んだんだ!
なのに、なのになんで。
なんでアリスが、俺の5センチ隣で寝息を立ててるんだよ!
唐突だが俺は、神隠しってやつにあったんだ。もう半年くらい前の話だけどな。
趣味の廃線探索で、その筋では有名なとある廃トンネルに、わが相棒の姉色号と共に突入したのが運の尽き。
勘違いされる前に注釈を入れさせてもらうが、姉色号ってのは俺のバイクのことだ。なんでそこはかとなく卑猥な名前がついてるかって?
ただバイクの名前をもじっただけさ。深い意味はないんだぜ。
で、話を戻すとだな、トンネルを抜けたらそこは雪国…じゃなくて見知らぬ山の中。振り返ったら大口を開けているはずの坑口は綺麗さっぱりなくなって。
呆然自失となってたところを、このツンツン人形遣い、アリス・マーガトロイドに助けられたってわけさ。
ん?そこはツンデレじゃないのかって?
甘い、甘いぜ。お前さんは甘すぎる。そんなんじゃ血糖が高く出ちまうぜ?
このドS魔女、俺にデレたことなんてこれっぽっちもありやがらねえんだ。そりゃあ俺はこいつにゃ助けてもらった恩があるし、こんなこと言えた義理じゃねえ。
けどな、事あるごとに俺を罵るわ、グリ…なんだっけか、とにかくあの百科事典みたいなので殴りかかるわ、仕舞いにゃ魔法だか弾幕だか
分からんが変なもん撃ってくるわで、おっかねえアルティメットなサディスティック魔法使いだったわけさ。
一度事故でこいつの、その、む、胸触っちまった時なんか、はっきり俺は死を覚悟したね。おっと誤解の無い様に言っておくが、事故、事故だからな!
博麗神社の宴会の席でなぜか隣に座りやがったこいつと、いつもどうり素敵にどす黒いオーラをぶつけ合いながら酒を楽しんでいたときに、
誰かが俺の背中を思いっきり押しやがったんだ。未だに犯人が分からねえのが幻想郷に残してきた唯一の心残りだぜ。いつか犯人の目の前で
<ブレアーの午前6時>の瓶開けて、「坊や~よい子だ寝んねしな~」と口ずさみながら犯人の口の中に流し込んでやる!
素敵な夢だろ?最も、返り討ちにされるのがオチだろうけどな!夢見るだけならタダなんだからいいだろ。
とにかくだ!その不幸な事故だっていうのに、こいつときたら……やべ、今思い出しても恐ろしい。ちょっとチビりそう。
平手だとか、踵落としだとか、そんなチャチなもんじゃ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
まあ致命傷で済んだからよかったけどな!
えーりん様々だったのもいい思い出だ。よくないけど。
まあそんなこんなで、俺が迷い込んだ幻想郷っつー摩訶不思議な地獄の一丁目で、俺はこいつのいじめに日々耐えていたんだよ。俺が里に居を借りるようになっても、
こいつはわざわざ里まで来て、俺といがみ合うんだからな。なんだかんだで家に上がり込むし、茶の淹れ方にケチはつけるしで散々だったな。まあ茶菓子は持ってくるから、その辺
魔理沙よりはマシだったぜ。あいつは持ってくる気配さえ感じさせなかったしな。
だが実際、アリスの方が旨い淹れ方するんだよな。ムキになって紅魔館まで行って調べたんだが、結局勝てなかったぜ畜生。しかもあの紫もやしとメイド長とロリ吸血鬼に
「そんな事でここに訪ねてくるなんてあなたが初めてよ」って笑われるし。笑われ損だったぜ畜生。
そういえば、結局こいつに何かで勝ったこと、なーんにもなかったな。何か言われるたびに悔しくて、挑戦してはみるものの、なんつーか、認めるのも癪だが、俺が手伸ばしても
直前で掴み損ねるみたいな、一歩先を行ってたな。本当にこんなこと考えるのも癪だが。こんなこと考える度イライラするんだよなあ、自分でもおかしいと思うくらいに。
そんなこんなでいっつも二人でいたせいか、博麗の腋巫女とか白黒魔女とか、「お熱いぜ」「仲良いわね」なんて意味不明なことを言ってたが、あいつらは何か思いっきり勘違いしてやがる。
現にそう言われるたびに「そんなんじゃない!誰がこいつなんかと!」って一字一句わずかな音ズレもなく二人で否定してたんだからな。
相容れない俺たちだったが、それだけは見解がピッタリ一致してたぞ、見事に。初めてアリスと分かり合えた瞬間だったね。
おっと、思い出に浸っている場合じゃなかったな。
とにかく今は、状況をきっちり把握…しなくてもいいか。そんなもんは必要ない。これは夢だ。睡眠中に脳が見る錯覚ってやつさ。そうに決まってる。
こっち──幻想郷から見れば「外」になるが、こっちにアリスなんているわけないんだ。そう簡単に行き来できるもんじゃないらしいしな。それに恥ずかしい話だが、夢の中に
こいつが出てくるのは初めてじゃない。
まったくどういう訳なのか考えたくも無いが、よく幻想郷に居たころの夢を見るんだ。あっちに居た頃はとにかく帰ることかアリスに勝つことしか考えてなかったし、向こうのメンツに
おもちゃにされて散々な目にあったことばっかりメモリーに記憶されてるのに、なぜなんだろうね。まあなんだかんだで、思い出は美化されやすいから、そんな感じの理由だろう。
しかしこいつは、結構可愛い寝顔してるんだな。まあ黙ってればそれなりに可愛いんだ。黙ってればな!幻想郷にはそういう奴がばっかりだったな、今思い返すと。しかし実態はいろんな意味
でおっかねえ女ばかりだ。不興を買ったらその場で縊り殺しかねんぞあいつらは。今更ながら生きて帰ってこれた自分を褒めてやりたいぜ、マジで。こっちに住めばいいんじゃないとか能天気に
抜かした腋巫女とかスキマ妖怪なんかもいたが、丁重にお断りして正解だったよ。
──俺は迷い鳥さ。いずれ帰ることろに帰らなにゃならん。
これがあの美少女二人、いやあスキマは少女というにはちとキツいか?二人の「お前は一生私達の玩具」的なオーラを纏った熱烈ラブコールをお断りしたときのセリフだ。カッコいいだろ?
惚れちまいそうだろ?だが俺はノンケだ。残念だったな。本当は「俺はお前らの玩具じゃねえんだ!」っていう熱いセリフも考えてたんだが、そんなこと言ってみろ。たちまち簀巻きにされて
口では言えないようなプレイ三昧だぜ。だから俺は、溢れる恐怖心を華麗な仮面の下に隠して渋くキメてみたのさ。
そう、俺は怖かったんだ。
酒の席で、とてつもない気配を俺にぶつけて、ビビる様を楽しんでいた妖怪達が。
俺には理解できない力を持って、俺を翻弄するあいつらが。
俺と全く違う次元に立って、否が応でも俺の矮小さを見せ付ける、彼女達が。
──ビビリって言うな。自分でも分かってるよ。
そういや意外なことに、この目の前ですやすや眠る暴力魔女は、そうやって俺を弄んだことは一度もなかったな。むしろ宴会のときなんか、何回も助けられたことがあったぜ。
しかし俺はだまされねえ。そうやって俺を助けるフリをして、妖怪達に何事か言われると、突然顔を赤くして俺に上海人形IED爆弾を投げつけてきやがるんだ。くそっ、なんて時代だ!
帰るときもそうだった。他のメンツに「もう来ねえよ!ウワァァァァン!」なんて口にしたらヒギられるのは決定事項だったからな。霊夢とアリスにだけ、帰る時挨拶をしていったのさ。
結界は霊夢に開けて貰った。スキマ妖怪になんて頼んだら何されるか分かったもんじゃないしな。お前の野望は潰えたぜ紫!ふははははは!
っと、話戻すか。
あんなんでも一応、命の恩人だしな。数日後に帰る目処がついた、なんて挨拶したら、「あんたの顔見なくて清々できるわ」なんてのたまいやがって。それはこっちのセリフだ!なんて売り言葉に買い言葉で、
結局いつもどおりの大乱闘スマッシュブラザーズだったぜ。主に言葉の。
そんなんだったから、俺は錯覚だと思うことにしたんだ。
帰ると伝えたとき、あいつの声が震えていた事と、
俺の心に浮かんだ、罪悪感みたいなもんを。
それをずっと、ずっと考えないようにしてたのに──。
なんで、なんで何回も夢に出てくるんだよ。頼むよ、もういいだろ俺。あいつらはあっちで、俺はこっちで元通りなんだよ。
今まで通りの暮らしなんだよ。これが正しいんだよ。
それなのに、いつもいつも、アリスの顔ばかり、幻想郷のことばかり夢見やがって。
もう、やめてくれよ──
新ろだ177
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「メリークリスマス、○○」
「メリークリスマス、アリス」
キィン、と黄金色の液体が入ったグラスが綺麗な音を立てる。
今宵はクリスマス。本来、祝うべき対象のことなど忘れ、恋人と甘い一時を過ごす聖なる夜。
「ん……ふぅ、やっぱりお酒は静かに飲みたいわね」
「いつもは大体大騒ぎだしな。」
「全くよ、少しはムードってものを理解しなさいっての」
「でも、アリス、考えてもみろ。
鬼とか天狗とかが、静かに酒飲んでたら、それこそ異変だぜ……」
二人して思い浮かべる。
萃香や文が何もしゃべらず、騒がず、ただ静かに酒を飲む。
○○は想像しきれずに、アリスは気持ち悪そうに顔をしかめる。
「……たしかに」
「ぷっ、あはははははは」
「うふふふ……」
どこからともなく、へくちっ、と聞こえた。
クリスマスに雪が降る。
世界が二人を閉じ込めるかのように。
「俺はやっぱりシャンパンは苦手だな」
「あら、おいしいのに」
「どうも外で飲んだ安物のせいで、悪い印象がな……」
「ふむ、○○」
渋そうな目で○○がグラスを眺めていると、アリスに名前を呼ばれる。
グラスから目を上げると、アリスの綺麗な口が見えた。
そのまま唇を奪われる。
アリスの口から移される液体は、辛いだけでなく、ほんのり甘い味がした。
「んー……んふ……ん……はぁ……これならどうかしら?」
「これはうまい……な、でもこれだと、酒じゃなくアリスに酔いそうだ」
「ふふ、それもいいかも、よ?」
いたずらっぽく笑う。
普段見せる愛らしい笑顔ではなく、艶やかな、色っぽい笑み。
その笑みに○○は、頬がさらに熱くなるのを感じた。
「ねえ○○、そっちに行ってもいいかしら?」
「ん、ああ。ってここかよ」
グラスとボトルを持って、横向きに○○の膝の上に座る。
「……嫌かしら?」
「……まさか」
照れるような、うれしいような、そんな○○の笑顔。
アリスもうれしそうに微笑み返す。
「さ、もう一杯」
再びシャンパンを口に含み、○○に口づける。
アリスが落ちないよう、背中に腕を回し、軽く抱きしめる。
「……ん……ん……ちゅ……んふ…………ぷは」
「ふぅ……こんなにおいしい酒は、なかなか飲めないな」
「何言ってるのよ、○○が望むなら好きなだけ……」
「それは最高だな……」
二度三度と口移しを繰り返す。
だんだんとボーっとしてくる感覚に、違和感を感じつつも受け入れる。
「ああ、なんか妙に暑くなってきた。上着脱ぐか……」
「もう酔っちゃった?」
「……アリスは余裕そうだな、なら今度は」
アリスからボトルを奪い取り、そのまま口に含む。
背中に回してる腕でアリスの腰を引き寄せ、口づける。
「え? あ、ん……んく……んく……ちゅ……はふ……んっ」
口の中の液体を移しきり、口を離す。
少し惚けたアリスに、○○はお返しだ、といたずらっぽい顔を見せる。
「ふふふ、どうだ?」
「これは、おいしいわね……」
互いに移しあい、飲ませあい、舌を絡ませ続けた。
それはボトルが空になるまで続けられた……
「はぁ……ふぅ……暑くなってきたわね……」
すっかり酔ってしまったのだろう。
なんの躊躇もなく、アリスも上着を脱ぎ捨てた。
酔ったのは、酒にか、○○にか、それとも……
「お、おいおい、こんなところで脱ぐなよ……」
「ふぅ……なによ、○○、見たくないって言うの?」
「……歯止めが利かなくなってもしらないぜ?」
「……大丈夫よ、私はすでに利かなくなってるから」
「……え?」
グラスを置き、両腕で○○の首を捕まえる。
向かい合うように向きを変え、そのまま密着するかのように、深い口づけをする。
「んむっ、ふ……ん……ん、はあっ! あ、アリス?」
「うふふふふ……、○○、今夜は寝かせないわよ」
アリスの指が、ゆっくりと○○のベルトへ向かっていった……
どこからか、連続したシャッター音が聞こえたような気がしたが、
もはや二人を止める要因には、なりえなかった。
「あいたたたた……昨日はそこまで飲んだつもりはなかったんだがなぁ……」
「あ、○○起きた? おはよう」
「なんとかな……おはよう」
頭を押さえつつ、起き上がる。二日酔いのようだ。
アリスは先に起きていた。
「昨日はやけに積極的だったな……クリスマスだったからか?」
「そうかもね、……嫌だった?」
「あれだけしておいて、いまさら嫌なんて言うはずないだろ?」
「……でも、女の子は言葉で確かめたいものなのよ」
「……そうか……愛してるよ、アリス」
「うん、私も愛してるわ、○○」
再び口づける。
昨日のような深いものでなく、触れるだけの軽いキス。
触れただけなのに、より深い何かを感じれた気がした。
「ふふ、○○~」
甘えるように擦り寄ってくるアリス。
胸元に招きいれ、アリスの髪を撫でる。
「アリスの髪は本当に綺麗だよな……ずっと撫でていたくなる」
「ん……きもちいい……」
撫で続けていると、ゆっくりとしたアリスの寝息が聞こえてくた。
アリスへの「酔い」はいつまでも覚めそうにないな、と自嘲し
○○もまた、ゆっくりと眠りへ落ちていった。
新ろだ209
───────────────────────────────────────────────────────────
「はー」
白い息を、かじかんだ手の中に丸くはく。
時計の針は、すでに今日があと2時間ほどであることを指し示し。
ところどころ豆電球が消えたイルミネーションは、その寿命が間近であるかのように小さく光っている。
「バカ、だなあ……。私」
1人、アリスは呟いた。
クリスマス・イヴ。
恋人たちの聖なる祭典。
しかし、キラキラした広場のクリスマス・ツリーや、趣向を凝らした店々のリースを一緒に眺めるべき、恋人の姿はない。
抜け出してきたパーティーで着ていたライムグリーンのイヴニングドレスは、背と肩が大きく開いていて、余計に寒さを感じさせる。
手持ち無沙汰に、肘までの白いレースの手袋を弄ってみたり。
「はあ……」
大きく、溜息をつく。
周りにいるのは、クリスマスを控えてイチャイチャしているカップルばかり。
商店街の広場なのに、あんなにベタベタして恥ずかしくないのだろうか。
そう思いつつも、羨ましい気持ちが止まらない。
あ、あんなに激しく舌まで入れて!
こっちの男、何でそんなところをまさぐっているのよ! 女も嬉しそうに身体を寄せない!
ふと、我に返った。
……楽しそう。
傍らを、眺める。
自分より、右側の半歩前。彼だけの特等席。
見えたのは、モザイク画をほどこした水色の石畳。
じわり。
涙がこぼれそうになって、慌てて天を見上げる。
はらり。
鼻先に、白いひとひら。
雪。
ホワイト・クリスマスに、周りのカップルも歓声を上げて空を見ている。
パラパラと、きめの細かい粉雪が金髪にまとわり付いた。
「あ……」
彼が褒めてくれた、自慢の髪。
「アリスの髪は、サラサラしてて気持ちいいな。眩しいお日様のような感じがする」
そう言って、唇で前髪をちょっと悪戯にはむ彼の姿が思い出される。
「できれば、濡れる前に会いたいなあ……」
わかっている。
それは、叶わない願い。
だって、クリスマスのデートを自分から断ったのだから。
眼を閉じると、まだその時のやり取りが思い出されるのは、自分が未練がましいからだろうか。
「いいのか?」
「いいの。だって、クリスマスケーキ作りで忙しいんでしょう?」
「そりゃ、俺が広めた責任もあるし、ある程度適当とは言え製法に一番詳しいのは俺だし……。でも、アリスとのデートぐらい時間取れるぞ」
「いいの! あなたに無理させたくないもの。デートはいつでもできるし。それじゃ!」
「お、おい。待てよアリス」
眼を開ける。
少しだけ期待した人物は、やはり目の前にいない。
クリスマスケーキと言う風習を幻想郷に広めた彼は、おそらく今も菓子屋の裏で汗水たらしてケーキを作っている頃だろう。
「何、考えてたんだろう……」
本当は、わかっている。
その時の自分が、少しだけ悲劇のヒロインを演じていたことを。
でも。
「こんな時に、来てくれてこその主役でしょう……」
ぼやけるクリスマス・ツリーのライトアップ。
近くの時計塔から、正確に11回、低い鐘の音が響き渡った。
『アリス?』
彼の声!
急いで振り返る。
が……。
そこには、誰も居なかった。
急にきびきびと動いたアリスに、隣で抱き合っていたカップルがぎょっとした表情を向けている。
「幻聴、か……。寂しいよ、○○」
滅多に吐かない弱音が出る。
新調したドレスは、すでに水を吸ってじっとりと重くなっていた。
「もう、11時か……。みんな、何しているかな」
抜け出したパーティーに思いを馳せる。
魔界では、神綺様以下、家族総出でクリスマスパーティーだった。
ワイン片手に、久しぶりのお母様や姉妹たちとの歓談は、とても楽しかった。
それでも。
姉妹たちと楽しんで話していても、どこか上の空で。
気が付くと、いないとわかっているのに彼の姿を探していて。
横に彼の笑顔がないことが、どうしようもなく寂しくて。
彼の声で囁いて欲しくて。
いつの間にか、イブニングドレスを着たまま、彼の働いているこの商店街まで、足を運んでいた。
だけれど。
邪魔だと言われるのが怖くて、どうしても彼のお店への一歩が踏み出せない。
「意気地なし」
ひとりごちる。
前も、今も。
クリスマスデートを断られたり、邪険にされたりするかもしれない恐怖に怯えて、思い切ることができなかった。
結果が、これ。
「ほんとに、なにやってるんだろ、私……」
ガラガラ、と。
シャッターの閉まる音が雪空に響く。
クリスマスで営業時間も長めに取ったとは言うものの、もう新しく客が来る時間でもなく。
商店街のお店が、ちらほらと店仕舞を始めているのだ。
それに合わせるかのように、周りが静かになっていく。
1組、また1組と、ホテル街のほうへ消えていくカップルたち。
深夜の静寂を取り戻しつつある広場に、店の片づけを始めた喫茶店から、クリスマスのスタンダード・ナンバーが聞こえてきた。
「きっと貴方は来ない♪ 1人ぼっちのクリスマス・イヴ♪」
自分の境遇に合わせて、微妙に歌詞を変えてみる。
歌よりももっとみじめになった気がして、悲しくて涙がはらはらと流れ落ちた。
すでに周囲にはカップルの姿も、開いている店もなく。
Silent Nightは、冷厳な神聖さを醸し出していた。
マッチ売りの少女、それにパトラッシュやネロ等も、こんな気持ちを味わっていたのだろうか。
「寒い……」
あまり感覚のない手で、ドレスの申し訳程度の襟をかき合わせる。
彼が褒めてくれた髪は雪に濡らされ、街灯の僅かな光でも判別できるほどくすんでいた。
その時。
ファサッ、と。
肩に、無骨な黒い男物のコートが掛けられた。
「おいおい。こんなところにそんな薄着で居たら、風邪をひくぞ」
髪が乱れるのも構わず、慌てて振り返る。
そこには、ずっと考えていた待ち人の彼。
思わず、本物かどうかを確かめるように彼の頬に手を伸ばす。
温かい。
ジョリジョリとした、多少の髭の剃り残しさえも今は愛おしかった。
「アリス?」
困ったような声。
本物であることが嬉しくて。
彼の白いポロシャツに、顔を押し付けてむせび泣いてしまう。
「どうしたんだ……? おい! 凄い冷えてるじゃないか!
いつくらいからいたんだ!」
私を抱き寄せた彼が、身体の冷たさに驚く。
「ん……ちゃんとは覚えていないけど、9時くらいかな」
「バカッ!」
手を振り上げる彼。
平手打ちが来る!?
反射的に、眼を瞑って歯を食いしばる。
しかし、その次に来たのは。
先ほどよりも強く抱きしめる、彼の胸の感触だった。
「あんまり、心配させないでくれよ。俺にとって、アリスは一番大切な女の子なんだから」
「ごめんなさい……」
顔を上げると、目が合った。
そのまま、どちらからともなく唇を近づけ。
そして、貪るように口付けた。
「ん……ん……くん……」
そんな、激しいキスを交わしていると。
ボーン、ボーンと、12回の鐘の音。さらには、不意に視界が明るくなった。
唇を離すと、さっきまでは申し訳程度にしか光っていなかったツリーの豆電球が、今は力いっぱいに煌々と輝いている。
うっすらと雪化粧が施されたせいで、煌きが倍となって2人を照らしていた。
「商店街の人だけが知っている秘密でね。このツリーは、クリスマスの午前零時に一番綺麗に見えるように仕掛けがしてあったんだ。
今、ここには俺たちしかいないから、独占状態だけどな」
「きれい……」
素直にその光に感動していると、横からくしゃみが聞こえた。
「くしゅん……。ハハ、俺も冷えてきたかな」
「あ、ごめんなさい」
無理もない。
私にコートを掛けてから、ポロシャツという軽装でこの雪の中にいるのだ。
肩に掛けただけのコートをするりと脱ぐと、無理に彼に持たせる。
「ダメだよ。脱いだらアリスが風邪をひいちゃうだろう?」
「大丈夫。私に考えがあるの。だから早く着て」
「あ、ああ」
強引にコートを着せると、すっぽりとその中に滑り込む。
そして、上目遣いに見上げると。
「ね?」
「ああ、そうだな」
微笑を交わした。
やさしい視線が絡み合う。
2人の間に、もう、言葉は要らない。
ツリーに背を向けて歩いていく2人の前に、イルミネーションの不規則な瞬きが1つの影を作り出す。
クリスマス・イヴは終わった。
けれど。
クリスマスは、今、始まったばかり。
新ろだ212
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「母さんは人形使いっ!」作品紹介
<あらすじ>
物語は魔法の森で始まる・・・
魔法使い「アリス・マーガトロイド」は、帰り道に赤ん坊が落ちているのを見つける。
このままでは凶暴な野良妖怪に食われてしまうと危惧した彼女はその赤ん坊を家へと連れ帰ることにする。
帰宅、人形達が見守る中、赤ん坊を調べてみると、その赤ん坊は人里で生まれた人間の子で
「育てられないからあなたを捨てる。育てられなくて本当にごめんね」などと書かれた手紙が入っていた。
子供の境遇を理解し、そしてアリスは自らの意思を固める。
私がこの子の母になる、と。
おしめの取り替え方から離乳食まで必死に勉強したアリスの甲斐もあってか、
人間の子はすくすくと成長し、言葉を話せるまでになった。
魔界に住む母親や、自らの使役する人形は最初はとても心配していたようだが、アリスの固い意志と
のん気に成長する子供を見て安心しているようだ。
だが森でひっそりと暮らしてきたアリスもたびたび家を空ける用事がある。
子供を連れて行くことも難しいし、そのために魔界から親族を呼ぶのも迷惑をかけてしまう。
今居る人形達は単調な言葉しか喋れず、人間の世話をさせるほどの能力もない。
そこで彼女は新たな研究を始める。
上海人形、蓬莱人形。この二体を改造する。
成人と同じような身体、妖怪に引けをとらない思考回路。完全な自立する人形を目指して彼女の指が動く。
かならずや上手く作り上げ、人形を超えた存在、この子・・・○○の「姉」となる存在を作る。
そう、もっと、人間に近い・・・
現在、○○は「青年」と呼ぶのに十分な年齢へと育った。
人間をやめた母親の見た目は変わらないが、○○は背も伸びて、とてもたくましく育った。
空は飛べないものの、簡単な弾幕や魔法も使えるようになった。
母親の言うことをよく聞き、礼儀正しく。
昼間はのん気に森で過ごしたり、母親について行って手伝いをしたり。
家に帰ると、そこには二人の姉がいつものように待っていて温かい言葉をかけてくれる。
たまに魔界から祖母が遊びに来たり、はたまた白と黒の魔女が遊びに来たり、
あるいは神社の巫女やら、花の香りの大妖怪を巻き込んで・・・
「人間」と、「妖怪」と、「人形」と「神」と。
○○の生活は、ゆっくりと流れていく。
<キャラクター紹介>
・○○(あなた)
主人公。種族は人間。魔法の森に捨てられていたところをアリスに拾われ、育てられる。
姓はマーガトロイド。簡単な弾幕は出せるが、空は飛べない。
適度に腰が低く、礼儀正しい。魔理沙曰く「礼儀正しく話す程度の能力」だとか。
美しい二人の姉と、美しい母親に育てられ、特に不自由なく生きてきた。
ゆくゆくは母のように人間を辞め、魔法使いになろうと思っている。
母のことを慕い、恩を感じ、そして愛している。孝行息子。
色々と鈍感。
・アリス・マーガトロイド
主人公からの呼ばれ方:「母さん」
主人公の呼び方:「○○」
主人公の母親。元・人間の魔法使い。○○を育てた。
見た目は○○と同じくらい。でもずっと年上。
○○の話し相手ができるように、と人形を完全に自立させたことがあるが、
そのせいで多大な魔力を失っており、今は空を飛んだり人形を操ったりすることくらいしかできない。
○○を拾ってからというもの、難しい思考を辞め、料理や家事などを覚えなおし
母親らしい性格へと変わっていった。そのため戦闘能力はだいぶ衰えている。
「子供達には私の手料理を食べて育ってもらいたい」と考えるいい母親。
毎日寝坊する○○と蓬莱に手を焼いている。
○○が自分のように人間を辞めようとしていることに最近気づいたが、
○○には人間として最後まで生きてもらいたいために反対している。
・神綺
主人公からの呼ばれ方:「神綺様」
主人公の呼び方:「○○ちゃん」
魔界の神。アリスの母親。つまり○○の祖母にあたる。
だが本人は「祖母」というイメージを嫌い、○○には名前で呼ばせている。
見た目は何故かアリスや○○よりも若く見える。
○○がまだ幼い時はお守りなどにいろいろ借り出されていたが、最近は○○も大人になったので
安心しつつも何か物足りなく感じている。
暇を見つけては魔界をほったらかして遊びに来ては、魔界に、そして幻想郷にも迷惑をかけている。
ただ歩いているだけでつまづいて転んでしまうという困った特技を持つ。
○○を次の魔界の神にすることを密かに考えている。
当の○○はまだ魔界に行ったことが無い。
・上海
主人公からの呼ばれ方:「上海ねぇ」
主人公の呼び方:「○○くん」
人形。アリスに意思を与えられ自立できるようになった。
思考、生理的欲求、肌の質感等は普通の人間・妖怪と変わりない。
アリスのことは母と呼ばず「アリス」と呼ぶ。
得意な弾幕はレーザー系。
○○を弟としてかわいがり、自分も姉としてふるまおうと頑張っている。
○○のことは「かわいくていい弟」くらいに思っている。
背が高い。が、色々と言動が幼いため何かと手のかかる存在。
趣味はマジックアイテム集め。よく○○を手伝わせ香霖堂へ出向く。
牛乳が苦手。チーズも苦手。
美しく長い髪と美しく長い脚を持つ。アリスの自信作。
人里には隠れたファンも多い。
・蓬莱
主人公からの呼ばれ方:「蓬莱ねぇ」
主人公の呼び方:「○○」
人形。上海と同じくアリスに作られ意思を与えられた。
だが上海と蓬莱のどちらが姉、というのは無い。
得意な弾幕は大型弾。
○○を弟として好き、大切な存在として感じている。
○○のことは「言う事を聞くいい弟」くらいに思っている。
あまり口数は多くない。趣味は読書。また、森の妖精と仲がいい。
夜更かしは得意だが朝起きるのが苦手なタイプ。
魅力的で大きい目と魅力的で大きいバストを持つ。アリスの自信作。
人里には隠れたファンも多い。
・霧雨魔理沙
主人公からの呼ばれ方:「まりさん」
主人公の呼び方:「○○」
人間。魔法使い。アリスの友人。
昔からよく○○の世話をしてきた。幼い頃はよく赤ん坊の○○を連れ箒で飛び回り、
○○が魔理沙の子だと誤解されることもしばしばだった。
今は年を重ね、性格も落ち着き、理解ある人物となった。
○○はアリスと喧嘩して家を飛び出すとかならず魔理沙の家へと行く。
また、○○に簡単な魔法を教えたのは彼女。そのため○○は魔理沙に憧れを感じている。
・風見幽香
主人公からの呼ばれ方:「幽香さん」
主人公の呼び方:「貴方」
自称・幻想郷最強の妖怪。アリスの友人。花を咲かせる能力を持つ。
アリスが子を設けたと聞き、ちょっかいを出しにくるうちに○○にも顔を覚えられてしまった。
あまり人と仲良くするタイプではないものの、○○の誕生日(=拾われた日)には
毎年必ず花を贈るなど、几帳面な一面も見せる。
<サンプルボイス>
「朝よー、起きなさい○○。早く起きないと朝ごはん片付けちゃうからね?」
「○○ちゃんもすっかり大きくなっちゃって・・・ねえ、魔界とか、好き?」
「こら!○○くん、お姉ちゃんの言う事はちゃんと聞きなさい!聞きなさいってば!もう!」
「・・・○○、暇でしょ?ちょっと私の肩揉んでくれないかしら?」
「○○、お前はいい子だから魔法使いにならなくてもいいんだ。人間として幸せに生きるんだ、ぜ。」
「どうしたの?貴方、この花は気に入らなかったかしら?・・・黙って受け取りなさい。」
「・・・目の前の異性と積極的に仲良くなるには・・・」
『パチュリー様、がんばって!』
「むきゅう・・・」
「あら、いらっしゃいまた来たの?」
「来たなら来たでお賽銭でも入れていってくれるといいんだけど。」
「そうすれば・・・良くしてあげないこともない、かな?なんて。」
「嫌・・・っ、ダメだよ、○○くぅん・・・」
「いいの?・・・お姉ちゃん・・・人形だよ?やめよ?ね?」
「嫌っ!嫌・・・ぁ・・・!お願い、元の○○くんに戻ってぇ・・・」
「・・・どうしたの?○○。ここまで来て怖いの?」
「・・・意気地なし。」
「人形と人間で子供ってできるのかしら?・・・」
「ねえ、お姉ちゃんと試してみる?」
「ねえねえ○○ちゃん、すごいでしょ?ここが魔界って言うのよ?」
「これ、ぜーんぶ○○ちゃんのだからね?うふふ」
「好きにしていいのよ?」
「嘘・・・嘘よ・・・○○・・・・!」
「幽香・・・あなた、○○に何を・・・!」
『その子が望んだ事よ。貴方みたいに、魔法使いになりたい、って。』
『私は願いを叶える手助けをしてあげただけ。わかる?』
「違う!○○は・・・私の○○は・・・・!」
『違わない!』
『まだわからないの!貴方が、貴方が○○をそう育てたんじゃない!』
『○○は貴方を目指した。ただそれだけよ』
『・・・まだわかってないみたいね、それなら私が目を覚まさせてあげようかしら?』
「幽香・・・」
「貴方、もしかして○○のことを・・・」
「・・・幽香ああああああああ!!」
『"りん"をつけろよデコ娘ええええ!!!』
「ねえ・・・○○」
「○○は、私のこと、好き?」
「母親としてじゃなくて、女として・・・」
新感覚幻想郷アドベンチャーゲーム「母さんは人形使いっ!」
2009年春 発売予定!
こーとしーのーなーつもー おーわりーでえすー
おーもいーでーだーけがー わーたしのものですー
ひーとこーとごめんーねとー かーいてーましたー
ひーとこーとごめんーねとー かーいてえましたー
新ろだ261
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