○○ 紅魔館/図書館
村で恐らく俺のような姿になっているであろう父さん、母さん。事件です、俺の上半身と下半身が分裂しそうなんです。
「おーっと!フランドールA選手のキャメル・クラッチだぁー!リトル選手がタッチしようとしていますが○○これを拒むー!」
「ちなみに試合場所は紅魔館図書館、実況、解説はフランドールCとDがお送りいたしまーす!」
しかもタッグマッチなのです。妹様曰く「やっぱりプロレスはタッグマッチが熱いよね!」とのこと。
いきなり4人に分身して、うち二人は選手役、残った二人は実況と解説役。一人でシングルマッチすればいいのにと言おうとしたが、さすがに怖くて言えなかった。
そのおかげでリトルまで無理やりプロレスごっこに参加するハメになった。さすがに俺は死なないからどんな技をキメられても復活できるが、彼女はそうはいかない。
幸いリング(図書館のテーブル)の上にはそれぞれ一人しか参加できないルールだ、理由は四人乗ってプロレスしたら壊れるから。意外ともろいよね、西洋家具。
ともかくタッチしないかぎり交代することはない。今は耐えるしかない!!
「○○さん!私のことはいいから早くタッチを!!」
「だ…だめだぁ…こんなのやられたら死ぬぞぉぉ…俺はもげても元に戻るからリトルはそこで技とか相手の能力の解説しててくれぇぇ…」
「そ、そんな!それじゃ○リーマンみたいで嫌じゃないですか!…も、もとい!○○さんが苦しんでいる姿をただ見ているだけなんてできません!」
「り、リトル…テ…「そーれぃ!!」ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!」
テ○ーマンは確かに地味だが漢だぞリトル。と言おうとした矢先、妹様の締め付けがパワーアップする。
『こんな小さな子にじゃれあってもらって羨ましいぞこの野郎!!』という諸兄らもいるであろうが、正直お勧めできない。妹様の1000万パワーで惨たらしく死ねるから。
それでも本望だという勇者がいそうで怖いが…ん…手にやわらかい感触?…って!リトル!?いつのまにタッチを…
「ごめんなさい○○さん…こうするしかなかったんです…こうすることでしか○○さんの苦しみを解放できなかったんです…」
「ば、ばかだなぁ…俺はもうこの姿になった時点で苦しみにはなれっこなんだぜ…いまさらこれくらい…」
「それでもっ…それでもぉっ!」
リトル…俺のために泣いてくれているのか…すまない…俺がふがいないばっかりに…
ゆっくりとテーブルに上がってくるリトル、それを確認して俺から離れて場外に転がす妹様。そして仁王立ちになり一言。
「二人とも妙にはずかしいセリフ禁止」
「「す、すいません…」」
レミリア・スカーレット 紅魔館/テラス
「ほぅ…文字通り地獄絵図ね、これじゃ」
「地獄のほうがまだマシに思えるわよ、こんな世界…」
「見てて気分が悪くなってきましたわ…」
これが異界と化した○○の故郷か、パチェの言うとおり地獄のほうがマシだろうね。
絶えず血のように赤い雨が降り注ぎ、村の外は赤い海で囲まれ逃げ場なんてものはない。外を出歩くのはヒトをやめてしまった異形のモノたち。
みんな死体のように肌は青白く、目や口から血を流し、それでも何が面白いのか、何が嬉しいのかみんな気持ち悪い笑顔を浮かべている。
大抵の化け物はヒトの姿を保っているが、中にはさながら蜘蛛や犬のように地面に這いつくばり、奇声をあげながら駆けていくヤツや、
不自然なところから羽根が生えていて、空を飛び回るやつまでいる。極めつけは頭や顔がグチャグチャになっていてわけのわからない雄たけびをあげる化け物だ。
そいつらは一人一人個性があり、顔にびっしりと臓物のようなものがへばりついているやつや、イチゴの種のように顔中がボコボコになっているやつ。
どうやったらただの人間たちをこんなおぞましいバケモノに仕立て上げることができるのだろうか?
見ているだけで気分が悪くなってきたのでテレビの画面に向かって殴りつける。パリンともろい音をたてて、異世界を映し出していた箱がその役割を終えた。
「で、どうかしら?感想は?面白かったかしら?」
「別にバケモノになった人間達に同情するつもりはないが…趣味が悪いよお前」
「あら?せっかくがんばって撮影してきたのに。あの地域は現世との境目がグチャグチャだからスキマを使っても入りにくかったのに」
「ああ、そうかいそうかい。おかげで一生赤い飲み物や魚介類が食べられそうにもないよ。」
「血液が飲めない吸血鬼は不便そうですわね…」
いや、あくまでも半分冗談で言ったのよ咲夜。さすがに血は飲めるわよ。
ただ、魚介類はまぁ…うん、しばらくは食べられないとおもう。
「それよりもあのバケモノたちがあなたが言う『屍人』なの?」
「紫色の大図書館さんはアレを見てもあまり堪えていないなんて、本当に勉強熱心ね」
淡々とさっきのバケモノ『屍人』について説明するスキマ。
無駄に長くて面倒くさかったので、パチェがどういうバケモノなのか三行でまとめてくれた。
1 屍人は赤い水(これの正体はさらに上位のバケモノの血液らしい)を取り込んでしまった人間のなれのはて
2 生前の記憶・行動を覚えている者もいるが基本的に理性というものは存在しない。←ポイント
3 人型じゃないやつや魚介類頭のヤツは、特定の条件を満たすことによって進化した屍人らしい
「…というわけよ」
「パーフェクトよ、パチェ。このスキマより短くてわかりやすい説明だったわ」
「感謝の極み」
「ともかく、屍人の危険性がわかってもらえたと思うわ。だから、彼を元の世界に返すかもしくは処…」
「だけどおかしいわね。うちの○○は確かに屍人だけどなぜか理性があるわ」
「…え?」
ははっ!最高だ!こいつのこんな顔が見れるなんてね!まるで新年とともに新品のドロワーズを穿いたときのようにスカッとした気分よ!
咲夜!今夜は宴よ!スキマ赤っ恥パーティーよ!最高だわ!
「そんなはずないわ、屍人になった時点でもう人間としての理性は…」
「パチェ、今○○はなにをしているの?」
「リトルといっしょに本の片付けしているわ」
「ほ、本の片付け? 屍人にやらせてるのよね?」
「そうさ、お前が言う理性のない屍人がやってるのさ!証拠?今からパチェの盗撮水晶玉で見せてあげるわ!」
「盗撮言わないでよ、あくまでも監視用よサボっていないかどうか」
「楽しみですわね、今日はなにをしでかしていることやら」
本当に楽しみだ、さぁ、パチェ早く水晶玉に今の状況を映し出しなさい!さぁ!早く!ハリー!ハリーハリーハリーハリーハリー!!
お楽しみはこれからよ!赤っ恥をかくのはこれからよ!ハリー!ハリー!!
「…本の山が映ってるわ」
「「「はい?」」」
水晶玉を覗き込んでみる、たしかに本の山しか映っていない。○○の姿はおろか、司書の小悪魔すら映っていない。
「…もしかして生き埋めにでもなったのかしら?」
○○ 紅魔館/図書館
「○○~!リトル~!大丈夫~!?」
どこからか妹様の声が聞こえる…あれ?なんか体が重いぞ…しかも身動きできない…でもなんか抱きついてるような…うおっ!?なんか二つのやわらかいものが胸に当たってるぞ!
なんだなんだ?!なにを抱いているんだ俺は!?それにしてもいい匂いだ…このまま抱きしめていたらよく眠れそう…って!?
「あ、き、気がつかれましたか、ま、○○さん!」
ななななななんで至近距離にリトルがいるの?しかも顔が近い!近いよ!!しかもなんで俺たち抱き合ってるの!?そしてリトルの表情が妙に色っぽいよ!
リトルの吐息が俺の顔にかかってるよ!ま、まさか二つのやわらかいものの正体は…あ、いかん、興奮して血涙出てきた。とりあえずそのへんの本でぬぐう…本?
よくみたら俺たち周りには大量の本が覆いかぶさっていた。なにこれ?土砂崩れならぬ図書くずれ?
…なぜこんなラブコメでしか見たことのない状態に?いや、ちょっと待て。だんだん思い出してきたぞ…
数分前
たしかリトルが妹様にパロ・スペシャルを決めていたときだったっけ…いま思えばリトルは戦争男がお気に入りなのだろうか?
でもいいよね、戦争男。スクリュードライバーない方が強いって設定なくなってたけど。
「リトル!油断するな!そのまま締め上げるんだ!!」
「はい!!妹様!お覚悟を!!」
「いたたたたたたたたた!!?ぬ、抜けられない!逃げられない!?く、くやしいっスペカもないリトルにこんなこと…!いたたたた!!」
スペカがなんちゃらってところで、リトルの表情がまるで氷の精神を得たかのように冷たい表情になったのはきっと気のせいだろう。
って!ついに妹様がひざをついた!!これで勝てる!これで第一回図書館タッグマッチ大会は俺達の勝利… タッグマッチ!?
「気づいたようね!これはあくまでも…っタッグマッチなのよ!!」
「あうっ!?」
「リトル!!!」
「ぜー… ぜー…そ、そういうこと…」
場外にいた妹様Bがリトルにタックルをしかけ、その衝撃でリトルは場外へとはじき飛ばされた。
おい、これはまずいんじゃないか?リトルは本棚へと向かって飛んでいき、全身をたたきつけてしまった。
だけどおかしい、はじき飛ばされてもリトルは飛べるんだ。本棚にぶつからずに体勢立て直すことが可能なはず…飛ぼうともしないということは…
「やばい!リトルのやつ気絶してる!!」
「「「「えっ!?」」」」
驚きのあまりハモってしまう妹様×4、そんな妹様には目もくれず、俺は今まさに地面に向かって急降下しようとしているリトルに向かって走り出す!
疲れを知らないバケモノの体で本当によかった、全速力で走っても疲れない!間に合え!間に合え!ここからリトルとの距離はけっこう遠いが…そんなの関係ない!
リトルに大怪我なんてさせるか!とってもかわいくて、献身的で、優しくて…こんな俺を…誰が見てもバケモノな俺に…人間として接してくれた彼女を!
「リトルをつぶれたトマトにしちまったら!!漢じゃねえんだよ!!!」
走った勢いでジャンプして、ぐったりとしたリトルをギリギリのところで抱きとめ、勢いを殺せなかったため俺自身も本棚に猛烈にぶつかってしまった。
ちょっと肩がいかれたかもしれんがリトルを助けることができたんだ、これくらいどうってことない! …痛いけどね。
それよりもリトルだ。大丈夫だろうか?ちょっとだけリトルの頬をぺちぺちする。うん、やわらかい。…そうじゃないそうじゃない…まじめにやれ、俺。
「リトル~!しっかりしろ~!」
「…ぅう…○○さ…んっ!?な、なんで○○さんが私を抱きしめて!?」
「いや、それには深い事情が…いてっ!なんか頭にあたった!?…本?」
上を見上げるとぽろぽろと本が落ちてきている。二度のショックのせいで本が落ちてきたんだろう。
あれ?でもこの本棚けっこうなでかさだよね?ということは…
どさっ
どさどさっ
どさどさどさっ
どさどさどさどさどさどさっどさどさどさっ
「本のシャワーだぁぁぁぁ!?」
「ま、○○さん!う、上!!まずいですよ!?」
「あ、ああ本がおちてき… 超スピードで広辞苑ランクの本が落ちてきたー!!?」
ごんっ×2
で、現在
「ちょうどよく広辞苑ランクが二人のあたまに落ちてきて、気絶している間にこうなったわけだ」
「ど、どうしましょう…身動きできませんし…それに…」
うん、この状況はやばい。いまの俺たちはねっころがって抱き合っているかたちになる。
しかもリトルの顔がかなり近い。マジでキスする五秒前とはこんな近さ… き、キス…
ちょっとだけリトルの唇に視線を落とす。リトルの唇はとても柔らかそうで、舐めたら甘い味がしそうなかわいいピンク色なわけで、い、いかん平常心平常心…
「○○さん…」
「いやっ、そっそのっ、やましいことなんて考えてないよ!?」
「本当に…?」
「ほ、ほんとうさ!あはっあはははっ!!」
し、しかしこんな状況が長く続いたらおかしなことをしてしまいそうだ。い、いや!やらないよ!?
この異常な状態でヘンなことやったら確実に嫌われちゃうよ!ヘンなことってなにかって?そこまでよ!
「…○○さん?」
「な、なに?」
「私は小悪魔ですよね」
「う、うん」
「小悪魔と聞いて何をイメージしますか?」
「う~ん…悪戯っ子?」
「そう、ですか…」
あれ?なにこの雰囲気?なんで息が荒いのリトル?
酸素が薄いから?
「じゃあ、その、い、悪戯しますね」
「えっ… むぐっ!?」
リトルの唇がそっと近づいてきたと思ったら、俺の唇をついばむようにくっつけてきた。しかしそれだけじゃ終わらず、こんどは舌を使って俺の口の中をはいずりまわってきた。
「ちゅっ…んっ…ちゅく…ふぁ…ん…」
「んぐっ…っ…ぅ…」
だんだん舌の動きが激しくなってくる、それにあわせるかのように俺の心臓はバクバクいいはじめる。
それでもおかまいなしにリトルは俺の口の中を荒らしまわる。頭がぼーっとしてくる…でも心臓は激しく動いてる。
やがてゆっくりとリトルは俺から顔を離し、一言。
「私…あなたのことが好きです…」
ツヅク
おまけ
○○「そういえば俺の世界には『ムベンベ☆コーラ』って有名な飲み物があるんですよ」
咲夜「む、ムベンベ!?」
○○「さ、咲夜さん!?なんで鼻血だすの!?」
レミリア「ムベンベってあのバケモノのムベンベ?」
○○「そうですよ?」
レミリア「有名ってことはカリスマがあるってことよね」
○○「え、ええ父さんが子供のころからあったっていうし…それなりに人気があったんでしょうね」
翌日
○○「これは…いったい…」
レミリア「ぎゃおー!た~べちゃ~うぞ~! うーん…もう少し迫力をつけるべきかしら…」
そこにはムベンベごっこ(練習)をしているお嬢様の姿が!
咲夜「あぁ…お嬢様…(うっとり)」
○○「お、おら見てはいけないものを見てしまっただ」
──────
○○ 紅魔館/図書館
今…なんと言った?
なんだか…好き…だとかなんとかそういう単語が混じってたようなきがするZE?
「り、リトル。俺は耳が遠くなったみたいだ。今…なんて言った?」
「えっと…あの…もう一度言いますけど…あなたのことが好きです…」
か細い声でそう言うと、リトルは顔をさらに真っ赤にして恥ずかしそうに俺から顔を逸らした。
不可抗力で抱きしめているリトルの体を通して、彼女の心臓の鼓動が伝わってくる。今にも爆発してしまうんじゃないかってくらいドキドキしているのがよくわかる。
だけど俺はそんなことを気にしている場合ではなかった。なんでかって?…ファーストキス+告白という連続コンボを喰らったんだぞ!?しかもこんな俺にはもったいないような娘にだ!!
お、落ち着け俺。うろたえるな!うろたえない!健康優良羽生蛇男児はうろたえない!ここは冷静にリトルを問いただすしかないッ!
「コホン…リトル?」
「はい…?なんですか○○さん…?」
「(上目遣いッ!?)そそそそそそその、さっさっきぶつかったときにですね、頭を強く打ってしまったんじゃないかね?」
父さん。女の子の上目遣いって本当に強いね。しかも赤面上目遣い。俺は健全(ry)だけどこれにはさすがに冷静になれないよ!!
「ど、どういうことですか?」
「だ、だって。お、おかしいだろ」
「…おかしい?」
「そう、そうだよおかしいよ」
あぁ、絶対におかしい。たしかに俺の心は人間のまんま。前リトルのおかげでそれはわかってる。
みんなが喜ぶおいしい料理(とくに羽生蛇蕎麦)の作り方とか、かわいい彼女がほしいなとか考えているような至って普通の男だ。
でもそれ以外は、美鈴さんやパチュリー様のように、一見人間と見分けがつかないような人たちと違って気持ち悪い化け物だ。
顔は死体のように真っ青、気を抜くと穴という穴からとめどなく血が出てくる。ましてやどんな切り刻まれても、つぶされても、元に戻る。
ははっ、自分で自分が最高に気持ち悪い化け物だって再確認しちまったよ…。
そんな俺がリトルのような子にはバチあたりとしか思えない。
「そんな、そんな俺に君は好きだと言ったんだ。…キスもしたんだぞ?」
「はい、わかっています…」
「そんな俺のどこがいいんだ?…同情の…つもりか?」
そう言うとさっきまで伏目がちだったリトルがこちらを睨みつける。その綺麗な金色の両目に涙を蓄えながら。
「同情なわけないじゃないですか!!」
「同情としか思えないんだよ!ありえねえよ!誰がこんな化け物普通に好きになるんだよ!!」
自分でもバカなことを言っているのはわかっていた。リトルはそんな生半可な同情とかするような子じゃないことくらいわかってる。
…わかってるからどうしても疑ってしまう。本当にバカだ、俺…
「じゃ、じゃあ聞くけどさぁ うっく…リトルは俺のどこに…どこに惚れたんだよっ」
嗚咽交じりに言葉を紡ぐ。だけど本来出てくるはずの涙は出ない。出てくるのは真っ赤な血だけ。
目の前にいるリトルは悪魔なのにとても…とても綺麗な涙を流しているのに。
「私は…初めにあなたの綺麗な『目』に惹かれました…」
「目…?」
ふとリトルの顔を見ると微笑みつつも目からは涙を流していた。
そして俺の体を優しく抱きしめ、俺の胸にその顔をうずめた。
「覚えていますか?あの紅い満月の下。湖で私たちが出会ったこと」
「覚え…てる…」
そう、初めて彼女と会ったのはあの目が痛くなりそうなくらい真っ赤な満月の下だ。
化け物になって呆けていた俺が、幻想郷で初めて見た住人。それがリトルだった。
「そして、あなたの目は他のアンデッドと違ってとても綺麗で、まっすぐな目をしていたんです」
「……」
顔をあげ、俺の頬に手を添えるリトル。その手は小さかったけど…あったかくて、やわらかかった。
「そして、私は倒れたあなたを紅魔館で介抱しました」
「ああ…」
「誤解とはいえ、あなたは見ず知らずの私を庇おうとしてくれました」
「咲夜さんが来たときだよな」
「そうです」
頬をつたっていた俺の血を、その手でやさしく拭うリトル。
「あなたはとても優しくて、面白くて…ちょっとエッチな人だということが一緒に働いていてわかってきました」
「なんか余計なのが…」
「そして、とても繊細な心を持っていることも」
「……」
俺は自然とリトルを抱き寄せようとしていた。リトルは俺に身を預け、ゆっくりと、深く抱きついてくる。
「お買い物に行ったときに買ってくれたクマのぬいぐるみ。大切にベットのお供として使わせてもらっていますよ?」
「リトル…」
「そして、さっきあなたは自分の身を省みず私を助けてくれました。」
「リトル…っ…うっ…くぅっ…」
なんだよ、リトル。するとなにか…?
「以上です。と、いってもまだまだ語ろうと思えば語れるんですけどね?私があなたを好きになった原因」
「うっ…くっ…ぐ… ず、ずいぶんと、わっ、わかりやすい理由じゃないかよ…」
あぁ、すっごくわかりやすい理由だ。子供でもわかるよこんなの…
つまり、つまりこういうことだろ?
「要するに、要するにぃ… 『俺の全てが好きだ』 ってことだろぉ…?」
リトルはゆっくりと俺の顔に自分の顔を近づけ、悪魔なのに、まるで慈愛に満ちた天使の様な笑顔で答えた。
「はい… 私は… 私は○○さんの全てが、全てが好きです、大好きですっ!」
どちらが先に動いたかはわからない。いつのまにかキスをしていたんだ。
とても甘くて、優しくて、あったかいキス。互いに相手を求め、慰めるようなキス。
「んっ…ちゅ…っ…ふぁっ…」
「はぁ…んっ…ぅ…」
リトルが苦しそうな顔をしたので唇を離そうとしたが、リトルの両手が俺の後頭部を押さえつけ、阻止される。
そのかわり、リトルの舌が俺の口内に入り込み、俺の舌に絡み合ってきた。もうそうなると俺も抑えがきかない。
進入してきた舌を逆に迎撃するかのように責め立てる。
「んちゅっ…ちゅぐっ…ちゅ…んっ…○○…さぁ…ん…」
「はぁっ…はぁっ…んっ…リトっ…ル…」
そして俺は名残惜しみつつもリトルから顔を離す。二人の舌先に銀色の細いアーチが表れては消えた。
「はぁっ…はぁっ…リトル…」
「○○さん…」
「本当にいいんだな?俺が君の恋人になっても」
「えぇ… 私の悪魔としての長い生涯で、あなた以外の伴侶は必要ないです」
「まいったなぁ、俺はどうやら魂と引き換えに彼女を手に入れてしまうみたいだ」
「よかったですね?○○さんの魂は永久そうですし。タダ同然ですよ?」
「まったくだ!はっはっはっ!!」
リトル 紅魔館/図書館
互いの思いをぶつけ合った私たちは無邪気に笑い合いました。
○○さんにはやっぱり笑顔が似合います。その笑顔を絶やしたくない、絶やさせたくない。
たとえどんなことがあろうとも、この人といっしょに歩んで生きたい…
あれ?何か忘れていたよう…なっ!?
「ま、○○さん!よく思ったら私たち生き埋めだったんですよ!?」
「え… アッー!! そうだった!!なーんか狭いなと思ったら!!」
「……ーぃ」
あたりをキョロキョロしつつてごろな本を掴んでは投げ、掴んでは投げをする○○さん。
それでも本は片付く気配はありませんでした。
「ん?なんだこれ…手帳? (ペラ…) !!! 見、見なかったことにしよう」
「(な、なにを見つけたんですか○○さん!?しかもポケットにしまっちゃった!)」
でもいまは手帳どころじゃありません!なんとかして脱出しなきゃ…
「で、でも…ど、どうしましょう…」
「こ、こまったぞ、このままじゃここで永遠に封印されてる状態になってしまう」
「なんかオーバーになってません!?」
「…もぉしもぉーし…?」
「リトル、いざというときは俺を食え」
「さらにオーバーに!?それに○○さんを食べたら変な化学変化起こりそうですよ!?」
「ですよねー」
○○さん、そう言いつつ自分の指をちぎろうとしていたということはいざというとき本気で食べさせる気だったんですね?
あぁ、どうしましょう。高く積みあがったこの本。私たち遭難中~本の雪崩に遭難中~♪
も~う~は~やくき… い、いけないパニックになって永遠亭のお医者さんを呼ぶところでした。
ん?助け…そうだ、助けを呼ばないと!
「○○さん!大きな声で助けを呼びましょう!」
「う、うん、それしかないな」
「おーい」
「だれかー!助けてくださーい!!」
「だれかー!!!リトルが産気づいたんですー!!」
「なにを言ってるんですかあなたは!? わ、わたしはままままままだ、そのっえっと、」
と、その時…
「おーい!!」
「「うわっ!?頭上から声が!?」」
「今まで呼んでたのに~!反応くらいしてよー!!」
こ、この声は妹様。そ、そうでしたそういえばこの図書館には妹様もいたんでした。
…もしかして今までの会話妹様にまるぎこ…
「きゃああああああ!?」
「ま、○○さん!?どうしたんですか!?」
急に裏声で叫びだす○○さん。その両目は硬く閉じられていました…
たしかこれはま、○○さんの能力が発動中のサインだったはず、ということは…
「リトル~!?顔真っ赤にしたメイドさんたちが本を一生懸命片付けてるよ~!?」
「ひぃぃぃぃぃ!?」
「私が呼んだのよ!適当にひとっとびしてかっさらってきたの!10人ほどを2分で」
「「なんて迅速な対応!?」」
ということはすべて聞かれてしまったんでしょうか?最初から最後まで…
「だいじょーぶ!『「(上目遣いッ!?)そそそそそそその、さっさ(ry』って○○が言い始めたころからだし」
「「ほぼ全部だー!?」」
レミリア・スカーレット 紅魔館/テラス
「はっはっはっはっ!!咲夜ぁ!!!実に!!実に愉快だわ!!」
「お、お嬢様 そしてパチュリー様、目が怖いです」
「ふっ、ふふふふふふっ明日からまた面白くなりそうだわ」
あの小悪魔もなかなかやるもんだ。人は中身で選べとはよく言うがあそこまでできるもんじゃない。
普通の女だったらあの見た目で拒絶するだろうに。それがなんだ?全てが好きだと?たいした肝っ玉だわ!
気に入った!私の直筆のサインをくれてやってもいいわ!!
「あらあらうふふ、すごい告白劇でしたわね では私はこれで」
「あっ 逃げましたわ」
「そりゃぁねぇ~ 危険危険と言ってたのが無害だものね~赤っ恥~ハーッハッハッハッ!!」
最高に気分がいい。いいだろう、見届けてやろうじゃないか。この紅い悪魔が、レミリア・スカーレットが!
お前たち二人の運命を!そこまでやったのだからこの私の前でバッドエンドなんて作り出さないようにしてやるわ!
「レミィが萌え…燃えてるわ」
「そ、そうですわね」
「さて、私も図書館に戻らないと ニヤニヤ」
「(あぁ、あの目はきっと嫌がらせをする目だわ…っ)」
○○ 紅魔館/自室
こうして、俺こと○○は数時間後にリトルと共に救出され、それと同時にメイドさんたちから賛辞の弾幕。
妹様とパチュリー様から冷やかし弾幕。どれもルナティックだったので被弾余裕でした。
それからほこりまみれだったので風呂に入ってからやっと自室に戻ってこれた。
それにしても今日は俺にとって特別な日になった。リトルとお互いに通じ合った記念すべき日だ。
ふと窓の外を見ると満月だった。紅くなかったのが残念だったがまぁいっか。
明日に備えて寝よう。
「お休み…リトル」
リトル 紅魔館/自室
お風呂からあがってやっと自分の部屋に戻って来れました…本の海から救出された瞬間メイドさんたちから(ry
その後パチュリー様からあの八雲紫が紅魔館に来たこと、○○さんの種族について説明して恥をかいて去っていったことを教えてもらいました。
これで○○さんが強制送還もしくは処分されるようなことはまずないでしょう。ほっと一安心してベットにもぐりこみ、枕元にある『目に包帯』を巻いたクマのぬいぐるみの口に軽くキスをして…
「お休みなさい…○○さん…」
明日から始まるちょっと新しい生活に備えて寝ることにしました…
ツヅク
おまけ1
射命丸 文 妖怪の山/上空
今日はいつもと違って椛の千里眼を使ってネタを集めます!
自分の翼で調べるのも大事ですが、よく思ったら千里眼をうまく活用すればいいんじゃないかと思いましてハイ。
「文さま~… これといって面白そうなネタが見つからないんですが~…」
「ええい!根性入れなさいよ!さっき見つけたのも、前の新聞のネタに使った『主人による動物虐待』だし!根性が足りないのよ!」
「それにしても今度はどんなヘマしたんでしょうね~…あの妖狐」
「さあ?おおかた主人に恥でもかかせたんじゃない?」
「はぁ…さいですか… んっ!?吸血鬼の館の外に変なのが…」
と、そのとき。椛の顔がみるみると青ざめていきました
「ど、どうしたの、顔色がわる」
「わ、笑ってる…笑ってこっちに手を振ってる!!すごいにこやかにすごいにこやかに!!」
「も、椛!?」
「むむむむむりです、これいじょうみたらくるってしまいいそうです!わ、わたしはこれで!!」
びゅんっ
「椛ーっ!? い、いったい何を見たの… これは興味深いわ…」
同時刻
○○ 紅魔館/門前
「あれ?どっか行っちゃった」
「どうしたんですか○○さん?」
「いやね、なんとなく能力使ったらこっちをみている人がいたんでフレンドリーに手を振ってたんですよ 風呂入りながら」
「へ~… それにしても○○さん、みんなに気を使ってドラム缶風呂にはいってるんですね」
「だってみんなに変な気を持たせたら悪いし…アンデット出汁が出てるとか」
「変なところで常識人ですね…」
「しゃらっぷ」
────────
○○ 紅魔館/図書館
「リトル~ こっちは片付いたぜ~」
「あ、お疲れ様です○○さん」
今日も"恋人"のリトルと二人で図書館の本の片付け… 言っちゃった恋人って言っちゃった!
なったばっかりなのに俺ってばおませさん!
そう、この間の図書館で遭難事件(仮)のおかげで晴れて俺たちは恋人同士になったわけだ。
あぁ、思い出すだけでも恥ずかしいぜ!顔から火が出そうだ!
「○○さん、出てますよ 目血」
「あ、火じゃなくて血が出てた」
「じっとしててください、今拭いてあげますね…」
「お、おう…」
懐からハンカチを取り出し、俺の頬を丁寧に拭いていくリトル。
あぁ、もうなんか幸せです。ハイ。こんなかわいい子が俺の顔を拭いてるんだぜ?
「ま、○○さん!?血の量が増えてますよ!?」
「え?ご、ごめんちょっとこうふ… いや、なんでもない」
「?」
とりあえず仕事も一通り終わったので休憩タイムに突入… あ、珍しいお嬢様とパチュリー様が雑談してる。
なぜか俺たち二人をみながらニヤニヤしてる。まるでひやかしのネタが来たぞと言わんばかりのニヤニヤ…
パチュリー様、それニヤニヤ通り越して顔芸です。夢に出てきそうです、こっちみんな!
「あらご苦労様、リトル、○○」
「ちょっとパチェ、二人が来ただけで紅茶がものすごく甘くなったわよ。なぜかしらねぇ」
「お嬢様、今ここで俺がリトルとイチャイチャしまくって糖尿病にしてやりましょうか?」
「あの、○○さん、そう言いつつその…私の腰に手を…ってまた目から血が出てますよ!」
いかん、慣れないことはするもんじゃないぜ。ドキドキしてくる。
あ、パチュリー様あきれてる。よかった。いつまでもあの顔芸でいられたらトラウマになるところだったからな。
「おい、私の分の紅茶も淹れてくれ。砂糖はなしでな」
ニヤニヤする黒白参上。いつのまに来たんだ。
射命丸 文 紅魔館/館内
紅魔館に突如現れた異形の存在の正体を確かめるべく、私こと清く正しい射命丸は、
目撃者の椛を(強制的に)同行させ、立ちはだかる門番をかぜおこし(笑)で吹き飛ばし、
現在に至るわけです。ここまで順調に行けたのが逆に怪しいかもしれないけど…
しかし我々は退きません。もしかしたらあの吸血鬼が幻想郷に新たな異変を起こそうと作り出した化け物かもしれません。
つまり異変を未然に防ぐためにか弱い私たちは頑張るのです。 え?か弱くない?
ちょっと飛んでみません?有頂天まで。
「さて、我々特派員は正門にいた門番を見事突破し、この紅魔館に無事潜入することができました!しかし油断せずに…」
「文様…もう帰りましょうよ…私アレをもう一回見たら多分発狂しますよ…」
「だらしないわね椛。そんなことじゃ白狼天狗の面子がたたないわよ」
「だってあんなのがとてもいい顔で手を振って不気味な笑顔で… うっぷ…」
「しっかりしなさい。とりあえず比較的話がわかる魔女に会いに行きましょう ここの厄介な従者に見つかる前に…」
と、そのとき特派員が見たものは!!
すげぇいい笑顔で銀のナイフをちらつかせている噂の瀟洒な従者ではないか!
どうでもいいですけど瀟洒な従者って10回言って噛まない自信あります?私は言えますが。
「ざんねん あなたたちのちょうさは ここでおわってしまった! ってところね」
「これはこれは十六夜咲夜さん。ちょうどあなたにお聞きしたいことが…」
「さっき『厄介な』従者って言わなかった?」
チッ、さすが悪魔の犬。地獄耳ですか?タチわるいですねぇ。
さて、どうしましょう?突破しましょうか?答えはNO。いくら私が早くても時を止められたらお終いです。
ここは悔しいですが誠心誠意を込めて説得すればきっとわかってくれるはずです。
悔しいですが。
「いやこちらの話を聞いてくださいよ、うちの椛が私に黙ってそちらの館に対して盗撮行為をしていたときにバチがあたったのか
なんだか『ものすごいもの』をここの正門で見たと言ったんですよ。私は来たくなかったんですが椛がどうしても、どうしてもと。
その『ものすごいもの』の正体を知りたいとぬかしやがったので後輩思いな私は門番をかぜおこし(笑)でふきとばしてですね、
この館に侵入して調査をですね。あ、重ねて言いますが椛がどうしてもと…」
「文さまぁぁぁ!!?なに責任転嫁してるんですか!?そして私の後ろになぜ隠れるぅぅぅ!?」
「へぇ…ものすごいもの… あぁ、なるほど」
うわっこええっ!ニタァって笑った!夢に出そう!
あ、椛がガタガタいってる。そりゃそうですよね。こんな顔されたら誰でもヒきますよ。
「気が変わったわ。あなたたち。その『ものすごいもの』が見たいんでしょ?」
「ええ、ぜひとも!…と椛が」
「違いますって!」
「まぁ、どっちでもいいけど…その『ものすごいもの』だったら普段は図書館にいるわ」
「ほぅほぅ図書館に…ということは図書館の魔女が作り出した化け物という線も…」
「ちなみにその『ものすごいもの』のつくる料理はなかなかおいしいのよ?特に『彼の故郷の料理は』」
なんと、椛曰くどう見ても死体なのに料理を作る程度の理性と賢さを持っていると。
しかも得意料理が故郷の料理…これはその見た目にもよりますがネタにできますねぇ
それにしてもなぜ料理の部分でまたニタァと…
「かれにあったらごちそうしてもらいなさい。きっとかれよろこんでつくってくれるわ ではわたしはこれで」
「あ、はい。ありがとうございましたー」
「(なぜ棒読みなんだろう…?)」
「さぁ、行くわよ椛!その素敵で知的な死体さんとやらを取材に!あ、これ記事のタイトルに使える」
「わかりましたぁ…」
さぁ、いざ行かん図書館へ。これは大スクープですよ~!
十六夜 咲夜 紅魔館/館内
何も知らずにブン屋とその部下が図書館に向かう。
さて、後で私も図書館に行かないと。もちろん、『料理の材料を持って』
あのブン屋にお灸を据えないと駄目だと思っていた矢先にこうなるんだもの。
愉快だわ、ええとても愉快だわ。
「犠牲者2名ご案内~… あっはっはっは!」
続く
おまけ
紅 美鈴 有頂天/天子の部屋
天子「ねぇ、衣玖。これはなんてコメントすればいいのかしら?」
衣玖「そうですね…まさか私と二人さびしく神経衰弱をしていたら、突然畳の下から妖怪さんが飛び出してくるなんて…」
天子「さびしくって言わないでよ!私が友達いないみたいじゃない!」
衣玖「いらっしゃるんですか?」
天子「えっと… と、ともかく何者よあんた!どこから来たのよ!?」
美鈴「そ、それは私が聞きたいですよ!ここどこなんですか!?」
天子「質問を質問で返すなぁーッ!」
衣玖「(きっと一度言ってみたかったんですね そのセリフ)」
現在未完
───────────────────────────────────────────────────────────
村で恐らく俺のような姿になっているであろう父さん、母さん。事件です、俺の上半身と下半身が分裂しそうなんです。
「おーっと!フランドールA選手のキャメル・クラッチだぁー!リトル選手がタッチしようとしていますが○○これを拒むー!」
「ちなみに試合場所は紅魔館図書館、実況、解説はフランドールCとDがお送りいたしまーす!」
しかもタッグマッチなのです。妹様曰く「やっぱりプロレスはタッグマッチが熱いよね!」とのこと。
いきなり4人に分身して、うち二人は選手役、残った二人は実況と解説役。一人でシングルマッチすればいいのにと言おうとしたが、さすがに怖くて言えなかった。
そのおかげでリトルまで無理やりプロレスごっこに参加するハメになった。さすがに俺は死なないからどんな技をキメられても復活できるが、彼女はそうはいかない。
幸いリング(図書館のテーブル)の上にはそれぞれ一人しか参加できないルールだ、理由は四人乗ってプロレスしたら壊れるから。意外ともろいよね、西洋家具。
ともかくタッチしないかぎり交代することはない。今は耐えるしかない!!
「○○さん!私のことはいいから早くタッチを!!」
「だ…だめだぁ…こんなのやられたら死ぬぞぉぉ…俺はもげても元に戻るからリトルはそこで技とか相手の能力の解説しててくれぇぇ…」
「そ、そんな!それじゃ○リーマンみたいで嫌じゃないですか!…も、もとい!○○さんが苦しんでいる姿をただ見ているだけなんてできません!」
「り、リトル…テ…「そーれぃ!!」ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!」
テ○ーマンは確かに地味だが漢だぞリトル。と言おうとした矢先、妹様の締め付けがパワーアップする。
『こんな小さな子にじゃれあってもらって羨ましいぞこの野郎!!』という諸兄らもいるであろうが、正直お勧めできない。妹様の1000万パワーで惨たらしく死ねるから。
それでも本望だという勇者がいそうで怖いが…ん…手にやわらかい感触?…って!リトル!?いつのまにタッチを…
「ごめんなさい○○さん…こうするしかなかったんです…こうすることでしか○○さんの苦しみを解放できなかったんです…」
「ば、ばかだなぁ…俺はもうこの姿になった時点で苦しみにはなれっこなんだぜ…いまさらこれくらい…」
「それでもっ…それでもぉっ!」
リトル…俺のために泣いてくれているのか…すまない…俺がふがいないばっかりに…
ゆっくりとテーブルに上がってくるリトル、それを確認して俺から離れて場外に転がす妹様。そして仁王立ちになり一言。
「二人とも妙にはずかしいセリフ禁止」
「「す、すいません…」」
レミリア・スカーレット 紅魔館/テラス
「ほぅ…文字通り地獄絵図ね、これじゃ」
「地獄のほうがまだマシに思えるわよ、こんな世界…」
「見てて気分が悪くなってきましたわ…」
これが異界と化した○○の故郷か、パチェの言うとおり地獄のほうがマシだろうね。
絶えず血のように赤い雨が降り注ぎ、村の外は赤い海で囲まれ逃げ場なんてものはない。外を出歩くのはヒトをやめてしまった異形のモノたち。
みんな死体のように肌は青白く、目や口から血を流し、それでも何が面白いのか、何が嬉しいのかみんな気持ち悪い笑顔を浮かべている。
大抵の化け物はヒトの姿を保っているが、中にはさながら蜘蛛や犬のように地面に這いつくばり、奇声をあげながら駆けていくヤツや、
不自然なところから羽根が生えていて、空を飛び回るやつまでいる。極めつけは頭や顔がグチャグチャになっていてわけのわからない雄たけびをあげる化け物だ。
そいつらは一人一人個性があり、顔にびっしりと臓物のようなものがへばりついているやつや、イチゴの種のように顔中がボコボコになっているやつ。
どうやったらただの人間たちをこんなおぞましいバケモノに仕立て上げることができるのだろうか?
見ているだけで気分が悪くなってきたのでテレビの画面に向かって殴りつける。パリンともろい音をたてて、異世界を映し出していた箱がその役割を終えた。
「で、どうかしら?感想は?面白かったかしら?」
「別にバケモノになった人間達に同情するつもりはないが…趣味が悪いよお前」
「あら?せっかくがんばって撮影してきたのに。あの地域は現世との境目がグチャグチャだからスキマを使っても入りにくかったのに」
「ああ、そうかいそうかい。おかげで一生赤い飲み物や魚介類が食べられそうにもないよ。」
「血液が飲めない吸血鬼は不便そうですわね…」
いや、あくまでも半分冗談で言ったのよ咲夜。さすがに血は飲めるわよ。
ただ、魚介類はまぁ…うん、しばらくは食べられないとおもう。
「それよりもあのバケモノたちがあなたが言う『屍人』なの?」
「紫色の大図書館さんはアレを見てもあまり堪えていないなんて、本当に勉強熱心ね」
淡々とさっきのバケモノ『屍人』について説明するスキマ。
無駄に長くて面倒くさかったので、パチェがどういうバケモノなのか三行でまとめてくれた。
1 屍人は赤い水(これの正体はさらに上位のバケモノの血液らしい)を取り込んでしまった人間のなれのはて
2 生前の記憶・行動を覚えている者もいるが基本的に理性というものは存在しない。←ポイント
3 人型じゃないやつや魚介類頭のヤツは、特定の条件を満たすことによって進化した屍人らしい
「…というわけよ」
「パーフェクトよ、パチェ。このスキマより短くてわかりやすい説明だったわ」
「感謝の極み」
「ともかく、屍人の危険性がわかってもらえたと思うわ。だから、彼を元の世界に返すかもしくは処…」
「だけどおかしいわね。うちの○○は確かに屍人だけどなぜか理性があるわ」
「…え?」
ははっ!最高だ!こいつのこんな顔が見れるなんてね!まるで新年とともに新品のドロワーズを穿いたときのようにスカッとした気分よ!
咲夜!今夜は宴よ!スキマ赤っ恥パーティーよ!最高だわ!
「そんなはずないわ、屍人になった時点でもう人間としての理性は…」
「パチェ、今○○はなにをしているの?」
「リトルといっしょに本の片付けしているわ」
「ほ、本の片付け? 屍人にやらせてるのよね?」
「そうさ、お前が言う理性のない屍人がやってるのさ!証拠?今からパチェの盗撮水晶玉で見せてあげるわ!」
「盗撮言わないでよ、あくまでも監視用よサボっていないかどうか」
「楽しみですわね、今日はなにをしでかしていることやら」
本当に楽しみだ、さぁ、パチェ早く水晶玉に今の状況を映し出しなさい!さぁ!早く!ハリー!ハリーハリーハリーハリーハリー!!
お楽しみはこれからよ!赤っ恥をかくのはこれからよ!ハリー!ハリー!!
「…本の山が映ってるわ」
「「「はい?」」」
水晶玉を覗き込んでみる、たしかに本の山しか映っていない。○○の姿はおろか、司書の小悪魔すら映っていない。
「…もしかして生き埋めにでもなったのかしら?」
○○ 紅魔館/図書館
「○○~!リトル~!大丈夫~!?」
どこからか妹様の声が聞こえる…あれ?なんか体が重いぞ…しかも身動きできない…でもなんか抱きついてるような…うおっ!?なんか二つのやわらかいものが胸に当たってるぞ!
なんだなんだ?!なにを抱いているんだ俺は!?それにしてもいい匂いだ…このまま抱きしめていたらよく眠れそう…って!?
「あ、き、気がつかれましたか、ま、○○さん!」
ななななななんで至近距離にリトルがいるの?しかも顔が近い!近いよ!!しかもなんで俺たち抱き合ってるの!?そしてリトルの表情が妙に色っぽいよ!
リトルの吐息が俺の顔にかかってるよ!ま、まさか二つのやわらかいものの正体は…あ、いかん、興奮して血涙出てきた。とりあえずそのへんの本でぬぐう…本?
よくみたら俺たち周りには大量の本が覆いかぶさっていた。なにこれ?土砂崩れならぬ図書くずれ?
…なぜこんなラブコメでしか見たことのない状態に?いや、ちょっと待て。だんだん思い出してきたぞ…
数分前
たしかリトルが妹様にパロ・スペシャルを決めていたときだったっけ…いま思えばリトルは戦争男がお気に入りなのだろうか?
でもいいよね、戦争男。スクリュードライバーない方が強いって設定なくなってたけど。
「リトル!油断するな!そのまま締め上げるんだ!!」
「はい!!妹様!お覚悟を!!」
「いたたたたたたたたた!!?ぬ、抜けられない!逃げられない!?く、くやしいっスペカもないリトルにこんなこと…!いたたたた!!」
スペカがなんちゃらってところで、リトルの表情がまるで氷の精神を得たかのように冷たい表情になったのはきっと気のせいだろう。
って!ついに妹様がひざをついた!!これで勝てる!これで第一回図書館タッグマッチ大会は俺達の勝利… タッグマッチ!?
「気づいたようね!これはあくまでも…っタッグマッチなのよ!!」
「あうっ!?」
「リトル!!!」
「ぜー… ぜー…そ、そういうこと…」
場外にいた妹様Bがリトルにタックルをしかけ、その衝撃でリトルは場外へとはじき飛ばされた。
おい、これはまずいんじゃないか?リトルは本棚へと向かって飛んでいき、全身をたたきつけてしまった。
だけどおかしい、はじき飛ばされてもリトルは飛べるんだ。本棚にぶつからずに体勢立て直すことが可能なはず…飛ぼうともしないということは…
「やばい!リトルのやつ気絶してる!!」
「「「「えっ!?」」」」
驚きのあまりハモってしまう妹様×4、そんな妹様には目もくれず、俺は今まさに地面に向かって急降下しようとしているリトルに向かって走り出す!
疲れを知らないバケモノの体で本当によかった、全速力で走っても疲れない!間に合え!間に合え!ここからリトルとの距離はけっこう遠いが…そんなの関係ない!
リトルに大怪我なんてさせるか!とってもかわいくて、献身的で、優しくて…こんな俺を…誰が見てもバケモノな俺に…人間として接してくれた彼女を!
「リトルをつぶれたトマトにしちまったら!!漢じゃねえんだよ!!!」
走った勢いでジャンプして、ぐったりとしたリトルをギリギリのところで抱きとめ、勢いを殺せなかったため俺自身も本棚に猛烈にぶつかってしまった。
ちょっと肩がいかれたかもしれんがリトルを助けることができたんだ、これくらいどうってことない! …痛いけどね。
それよりもリトルだ。大丈夫だろうか?ちょっとだけリトルの頬をぺちぺちする。うん、やわらかい。…そうじゃないそうじゃない…まじめにやれ、俺。
「リトル~!しっかりしろ~!」
「…ぅう…○○さ…んっ!?な、なんで○○さんが私を抱きしめて!?」
「いや、それには深い事情が…いてっ!なんか頭にあたった!?…本?」
上を見上げるとぽろぽろと本が落ちてきている。二度のショックのせいで本が落ちてきたんだろう。
あれ?でもこの本棚けっこうなでかさだよね?ということは…
どさっ
どさどさっ
どさどさどさっ
どさどさどさどさどさどさっどさどさどさっ
「本のシャワーだぁぁぁぁ!?」
「ま、○○さん!う、上!!まずいですよ!?」
「あ、ああ本がおちてき… 超スピードで広辞苑ランクの本が落ちてきたー!!?」
ごんっ×2
で、現在
「ちょうどよく広辞苑ランクが二人のあたまに落ちてきて、気絶している間にこうなったわけだ」
「ど、どうしましょう…身動きできませんし…それに…」
うん、この状況はやばい。いまの俺たちはねっころがって抱き合っているかたちになる。
しかもリトルの顔がかなり近い。マジでキスする五秒前とはこんな近さ… き、キス…
ちょっとだけリトルの唇に視線を落とす。リトルの唇はとても柔らかそうで、舐めたら甘い味がしそうなかわいいピンク色なわけで、い、いかん平常心平常心…
「○○さん…」
「いやっ、そっそのっ、やましいことなんて考えてないよ!?」
「本当に…?」
「ほ、ほんとうさ!あはっあはははっ!!」
し、しかしこんな状況が長く続いたらおかしなことをしてしまいそうだ。い、いや!やらないよ!?
この異常な状態でヘンなことやったら確実に嫌われちゃうよ!ヘンなことってなにかって?そこまでよ!
「…○○さん?」
「な、なに?」
「私は小悪魔ですよね」
「う、うん」
「小悪魔と聞いて何をイメージしますか?」
「う~ん…悪戯っ子?」
「そう、ですか…」
あれ?なにこの雰囲気?なんで息が荒いのリトル?
酸素が薄いから?
「じゃあ、その、い、悪戯しますね」
「えっ… むぐっ!?」
リトルの唇がそっと近づいてきたと思ったら、俺の唇をついばむようにくっつけてきた。しかしそれだけじゃ終わらず、こんどは舌を使って俺の口の中をはいずりまわってきた。
「ちゅっ…んっ…ちゅく…ふぁ…ん…」
「んぐっ…っ…ぅ…」
だんだん舌の動きが激しくなってくる、それにあわせるかのように俺の心臓はバクバクいいはじめる。
それでもおかまいなしにリトルは俺の口の中を荒らしまわる。頭がぼーっとしてくる…でも心臓は激しく動いてる。
やがてゆっくりとリトルは俺から顔を離し、一言。
「私…あなたのことが好きです…」
ツヅク
おまけ
○○「そういえば俺の世界には『ムベンベ☆コーラ』って有名な飲み物があるんですよ」
咲夜「む、ムベンベ!?」
○○「さ、咲夜さん!?なんで鼻血だすの!?」
レミリア「ムベンベってあのバケモノのムベンベ?」
○○「そうですよ?」
レミリア「有名ってことはカリスマがあるってことよね」
○○「え、ええ父さんが子供のころからあったっていうし…それなりに人気があったんでしょうね」
翌日
○○「これは…いったい…」
レミリア「ぎゃおー!た~べちゃ~うぞ~! うーん…もう少し迫力をつけるべきかしら…」
そこにはムベンベごっこ(練習)をしているお嬢様の姿が!
咲夜「あぁ…お嬢様…(うっとり)」
○○「お、おら見てはいけないものを見てしまっただ」
──────
○○ 紅魔館/図書館
今…なんと言った?
なんだか…好き…だとかなんとかそういう単語が混じってたようなきがするZE?
「り、リトル。俺は耳が遠くなったみたいだ。今…なんて言った?」
「えっと…あの…もう一度言いますけど…あなたのことが好きです…」
か細い声でそう言うと、リトルは顔をさらに真っ赤にして恥ずかしそうに俺から顔を逸らした。
不可抗力で抱きしめているリトルの体を通して、彼女の心臓の鼓動が伝わってくる。今にも爆発してしまうんじゃないかってくらいドキドキしているのがよくわかる。
だけど俺はそんなことを気にしている場合ではなかった。なんでかって?…ファーストキス+告白という連続コンボを喰らったんだぞ!?しかもこんな俺にはもったいないような娘にだ!!
お、落ち着け俺。うろたえるな!うろたえない!健康優良羽生蛇男児はうろたえない!ここは冷静にリトルを問いただすしかないッ!
「コホン…リトル?」
「はい…?なんですか○○さん…?」
「(上目遣いッ!?)そそそそそそその、さっさっきぶつかったときにですね、頭を強く打ってしまったんじゃないかね?」
父さん。女の子の上目遣いって本当に強いね。しかも赤面上目遣い。俺は健全(ry)だけどこれにはさすがに冷静になれないよ!!
「ど、どういうことですか?」
「だ、だって。お、おかしいだろ」
「…おかしい?」
「そう、そうだよおかしいよ」
あぁ、絶対におかしい。たしかに俺の心は人間のまんま。前リトルのおかげでそれはわかってる。
みんなが喜ぶおいしい料理(とくに羽生蛇蕎麦)の作り方とか、かわいい彼女がほしいなとか考えているような至って普通の男だ。
でもそれ以外は、美鈴さんやパチュリー様のように、一見人間と見分けがつかないような人たちと違って気持ち悪い化け物だ。
顔は死体のように真っ青、気を抜くと穴という穴からとめどなく血が出てくる。ましてやどんな切り刻まれても、つぶされても、元に戻る。
ははっ、自分で自分が最高に気持ち悪い化け物だって再確認しちまったよ…。
そんな俺がリトルのような子にはバチあたりとしか思えない。
「そんな、そんな俺に君は好きだと言ったんだ。…キスもしたんだぞ?」
「はい、わかっています…」
「そんな俺のどこがいいんだ?…同情の…つもりか?」
そう言うとさっきまで伏目がちだったリトルがこちらを睨みつける。その綺麗な金色の両目に涙を蓄えながら。
「同情なわけないじゃないですか!!」
「同情としか思えないんだよ!ありえねえよ!誰がこんな化け物普通に好きになるんだよ!!」
自分でもバカなことを言っているのはわかっていた。リトルはそんな生半可な同情とかするような子じゃないことくらいわかってる。
…わかってるからどうしても疑ってしまう。本当にバカだ、俺…
「じゃ、じゃあ聞くけどさぁ うっく…リトルは俺のどこに…どこに惚れたんだよっ」
嗚咽交じりに言葉を紡ぐ。だけど本来出てくるはずの涙は出ない。出てくるのは真っ赤な血だけ。
目の前にいるリトルは悪魔なのにとても…とても綺麗な涙を流しているのに。
「私は…初めにあなたの綺麗な『目』に惹かれました…」
「目…?」
ふとリトルの顔を見ると微笑みつつも目からは涙を流していた。
そして俺の体を優しく抱きしめ、俺の胸にその顔をうずめた。
「覚えていますか?あの紅い満月の下。湖で私たちが出会ったこと」
「覚え…てる…」
そう、初めて彼女と会ったのはあの目が痛くなりそうなくらい真っ赤な満月の下だ。
化け物になって呆けていた俺が、幻想郷で初めて見た住人。それがリトルだった。
「そして、あなたの目は他のアンデッドと違ってとても綺麗で、まっすぐな目をしていたんです」
「……」
顔をあげ、俺の頬に手を添えるリトル。その手は小さかったけど…あったかくて、やわらかかった。
「そして、私は倒れたあなたを紅魔館で介抱しました」
「ああ…」
「誤解とはいえ、あなたは見ず知らずの私を庇おうとしてくれました」
「咲夜さんが来たときだよな」
「そうです」
頬をつたっていた俺の血を、その手でやさしく拭うリトル。
「あなたはとても優しくて、面白くて…ちょっとエッチな人だということが一緒に働いていてわかってきました」
「なんか余計なのが…」
「そして、とても繊細な心を持っていることも」
「……」
俺は自然とリトルを抱き寄せようとしていた。リトルは俺に身を預け、ゆっくりと、深く抱きついてくる。
「お買い物に行ったときに買ってくれたクマのぬいぐるみ。大切にベットのお供として使わせてもらっていますよ?」
「リトル…」
「そして、さっきあなたは自分の身を省みず私を助けてくれました。」
「リトル…っ…うっ…くぅっ…」
なんだよ、リトル。するとなにか…?
「以上です。と、いってもまだまだ語ろうと思えば語れるんですけどね?私があなたを好きになった原因」
「うっ…くっ…ぐ… ず、ずいぶんと、わっ、わかりやすい理由じゃないかよ…」
あぁ、すっごくわかりやすい理由だ。子供でもわかるよこんなの…
つまり、つまりこういうことだろ?
「要するに、要するにぃ… 『俺の全てが好きだ』 ってことだろぉ…?」
リトルはゆっくりと俺の顔に自分の顔を近づけ、悪魔なのに、まるで慈愛に満ちた天使の様な笑顔で答えた。
「はい… 私は… 私は○○さんの全てが、全てが好きです、大好きですっ!」
どちらが先に動いたかはわからない。いつのまにかキスをしていたんだ。
とても甘くて、優しくて、あったかいキス。互いに相手を求め、慰めるようなキス。
「んっ…ちゅ…っ…ふぁっ…」
「はぁ…んっ…ぅ…」
リトルが苦しそうな顔をしたので唇を離そうとしたが、リトルの両手が俺の後頭部を押さえつけ、阻止される。
そのかわり、リトルの舌が俺の口内に入り込み、俺の舌に絡み合ってきた。もうそうなると俺も抑えがきかない。
進入してきた舌を逆に迎撃するかのように責め立てる。
「んちゅっ…ちゅぐっ…ちゅ…んっ…○○…さぁ…ん…」
「はぁっ…はぁっ…んっ…リトっ…ル…」
そして俺は名残惜しみつつもリトルから顔を離す。二人の舌先に銀色の細いアーチが表れては消えた。
「はぁっ…はぁっ…リトル…」
「○○さん…」
「本当にいいんだな?俺が君の恋人になっても」
「えぇ… 私の悪魔としての長い生涯で、あなた以外の伴侶は必要ないです」
「まいったなぁ、俺はどうやら魂と引き換えに彼女を手に入れてしまうみたいだ」
「よかったですね?○○さんの魂は永久そうですし。タダ同然ですよ?」
「まったくだ!はっはっはっ!!」
リトル 紅魔館/図書館
互いの思いをぶつけ合った私たちは無邪気に笑い合いました。
○○さんにはやっぱり笑顔が似合います。その笑顔を絶やしたくない、絶やさせたくない。
たとえどんなことがあろうとも、この人といっしょに歩んで生きたい…
あれ?何か忘れていたよう…なっ!?
「ま、○○さん!よく思ったら私たち生き埋めだったんですよ!?」
「え… アッー!! そうだった!!なーんか狭いなと思ったら!!」
「……ーぃ」
あたりをキョロキョロしつつてごろな本を掴んでは投げ、掴んでは投げをする○○さん。
それでも本は片付く気配はありませんでした。
「ん?なんだこれ…手帳? (ペラ…) !!! 見、見なかったことにしよう」
「(な、なにを見つけたんですか○○さん!?しかもポケットにしまっちゃった!)」
でもいまは手帳どころじゃありません!なんとかして脱出しなきゃ…
「で、でも…ど、どうしましょう…」
「こ、こまったぞ、このままじゃここで永遠に封印されてる状態になってしまう」
「なんかオーバーになってません!?」
「…もぉしもぉーし…?」
「リトル、いざというときは俺を食え」
「さらにオーバーに!?それに○○さんを食べたら変な化学変化起こりそうですよ!?」
「ですよねー」
○○さん、そう言いつつ自分の指をちぎろうとしていたということはいざというとき本気で食べさせる気だったんですね?
あぁ、どうしましょう。高く積みあがったこの本。私たち遭難中~本の雪崩に遭難中~♪
も~う~は~やくき… い、いけないパニックになって永遠亭のお医者さんを呼ぶところでした。
ん?助け…そうだ、助けを呼ばないと!
「○○さん!大きな声で助けを呼びましょう!」
「う、うん、それしかないな」
「おーい」
「だれかー!助けてくださーい!!」
「だれかー!!!リトルが産気づいたんですー!!」
「なにを言ってるんですかあなたは!? わ、わたしはままままままだ、そのっえっと、」
と、その時…
「おーい!!」
「「うわっ!?頭上から声が!?」」
「今まで呼んでたのに~!反応くらいしてよー!!」
こ、この声は妹様。そ、そうでしたそういえばこの図書館には妹様もいたんでした。
…もしかして今までの会話妹様にまるぎこ…
「きゃああああああ!?」
「ま、○○さん!?どうしたんですか!?」
急に裏声で叫びだす○○さん。その両目は硬く閉じられていました…
たしかこれはま、○○さんの能力が発動中のサインだったはず、ということは…
「リトル~!?顔真っ赤にしたメイドさんたちが本を一生懸命片付けてるよ~!?」
「ひぃぃぃぃぃ!?」
「私が呼んだのよ!適当にひとっとびしてかっさらってきたの!10人ほどを2分で」
「「なんて迅速な対応!?」」
ということはすべて聞かれてしまったんでしょうか?最初から最後まで…
「だいじょーぶ!『「(上目遣いッ!?)そそそそそそその、さっさ(ry』って○○が言い始めたころからだし」
「「ほぼ全部だー!?」」
レミリア・スカーレット 紅魔館/テラス
「はっはっはっはっ!!咲夜ぁ!!!実に!!実に愉快だわ!!」
「お、お嬢様 そしてパチュリー様、目が怖いです」
「ふっ、ふふふふふふっ明日からまた面白くなりそうだわ」
あの小悪魔もなかなかやるもんだ。人は中身で選べとはよく言うがあそこまでできるもんじゃない。
普通の女だったらあの見た目で拒絶するだろうに。それがなんだ?全てが好きだと?たいした肝っ玉だわ!
気に入った!私の直筆のサインをくれてやってもいいわ!!
「あらあらうふふ、すごい告白劇でしたわね では私はこれで」
「あっ 逃げましたわ」
「そりゃぁねぇ~ 危険危険と言ってたのが無害だものね~赤っ恥~ハーッハッハッハッ!!」
最高に気分がいい。いいだろう、見届けてやろうじゃないか。この紅い悪魔が、レミリア・スカーレットが!
お前たち二人の運命を!そこまでやったのだからこの私の前でバッドエンドなんて作り出さないようにしてやるわ!
「レミィが萌え…燃えてるわ」
「そ、そうですわね」
「さて、私も図書館に戻らないと ニヤニヤ」
「(あぁ、あの目はきっと嫌がらせをする目だわ…っ)」
○○ 紅魔館/自室
こうして、俺こと○○は数時間後にリトルと共に救出され、それと同時にメイドさんたちから賛辞の弾幕。
妹様とパチュリー様から冷やかし弾幕。どれもルナティックだったので被弾余裕でした。
それからほこりまみれだったので風呂に入ってからやっと自室に戻ってこれた。
それにしても今日は俺にとって特別な日になった。リトルとお互いに通じ合った記念すべき日だ。
ふと窓の外を見ると満月だった。紅くなかったのが残念だったがまぁいっか。
明日に備えて寝よう。
「お休み…リトル」
リトル 紅魔館/自室
お風呂からあがってやっと自分の部屋に戻って来れました…本の海から救出された瞬間メイドさんたちから(ry
その後パチュリー様からあの八雲紫が紅魔館に来たこと、○○さんの種族について説明して恥をかいて去っていったことを教えてもらいました。
これで○○さんが強制送還もしくは処分されるようなことはまずないでしょう。ほっと一安心してベットにもぐりこみ、枕元にある『目に包帯』を巻いたクマのぬいぐるみの口に軽くキスをして…
「お休みなさい…○○さん…」
明日から始まるちょっと新しい生活に備えて寝ることにしました…
ツヅク
おまけ1
射命丸 文 妖怪の山/上空
今日はいつもと違って椛の千里眼を使ってネタを集めます!
自分の翼で調べるのも大事ですが、よく思ったら千里眼をうまく活用すればいいんじゃないかと思いましてハイ。
「文さま~… これといって面白そうなネタが見つからないんですが~…」
「ええい!根性入れなさいよ!さっき見つけたのも、前の新聞のネタに使った『主人による動物虐待』だし!根性が足りないのよ!」
「それにしても今度はどんなヘマしたんでしょうね~…あの妖狐」
「さあ?おおかた主人に恥でもかかせたんじゃない?」
「はぁ…さいですか… んっ!?吸血鬼の館の外に変なのが…」
と、そのとき。椛の顔がみるみると青ざめていきました
「ど、どうしたの、顔色がわる」
「わ、笑ってる…笑ってこっちに手を振ってる!!すごいにこやかにすごいにこやかに!!」
「も、椛!?」
「むむむむむりです、これいじょうみたらくるってしまいいそうです!わ、わたしはこれで!!」
びゅんっ
「椛ーっ!? い、いったい何を見たの… これは興味深いわ…」
同時刻
○○ 紅魔館/門前
「あれ?どっか行っちゃった」
「どうしたんですか○○さん?」
「いやね、なんとなく能力使ったらこっちをみている人がいたんでフレンドリーに手を振ってたんですよ 風呂入りながら」
「へ~… それにしても○○さん、みんなに気を使ってドラム缶風呂にはいってるんですね」
「だってみんなに変な気を持たせたら悪いし…アンデット出汁が出てるとか」
「変なところで常識人ですね…」
「しゃらっぷ」
────────
○○ 紅魔館/図書館
「リトル~ こっちは片付いたぜ~」
「あ、お疲れ様です○○さん」
今日も"恋人"のリトルと二人で図書館の本の片付け… 言っちゃった恋人って言っちゃった!
なったばっかりなのに俺ってばおませさん!
そう、この間の図書館で遭難事件(仮)のおかげで晴れて俺たちは恋人同士になったわけだ。
あぁ、思い出すだけでも恥ずかしいぜ!顔から火が出そうだ!
「○○さん、出てますよ 目血」
「あ、火じゃなくて血が出てた」
「じっとしててください、今拭いてあげますね…」
「お、おう…」
懐からハンカチを取り出し、俺の頬を丁寧に拭いていくリトル。
あぁ、もうなんか幸せです。ハイ。こんなかわいい子が俺の顔を拭いてるんだぜ?
「ま、○○さん!?血の量が増えてますよ!?」
「え?ご、ごめんちょっとこうふ… いや、なんでもない」
「?」
とりあえず仕事も一通り終わったので休憩タイムに突入… あ、珍しいお嬢様とパチュリー様が雑談してる。
なぜか俺たち二人をみながらニヤニヤしてる。まるでひやかしのネタが来たぞと言わんばかりのニヤニヤ…
パチュリー様、それニヤニヤ通り越して顔芸です。夢に出てきそうです、こっちみんな!
「あらご苦労様、リトル、○○」
「ちょっとパチェ、二人が来ただけで紅茶がものすごく甘くなったわよ。なぜかしらねぇ」
「お嬢様、今ここで俺がリトルとイチャイチャしまくって糖尿病にしてやりましょうか?」
「あの、○○さん、そう言いつつその…私の腰に手を…ってまた目から血が出てますよ!」
いかん、慣れないことはするもんじゃないぜ。ドキドキしてくる。
あ、パチュリー様あきれてる。よかった。いつまでもあの顔芸でいられたらトラウマになるところだったからな。
「おい、私の分の紅茶も淹れてくれ。砂糖はなしでな」
ニヤニヤする黒白参上。いつのまに来たんだ。
射命丸 文 紅魔館/館内
紅魔館に突如現れた異形の存在の正体を確かめるべく、私こと清く正しい射命丸は、
目撃者の椛を(強制的に)同行させ、立ちはだかる門番をかぜおこし(笑)で吹き飛ばし、
現在に至るわけです。ここまで順調に行けたのが逆に怪しいかもしれないけど…
しかし我々は退きません。もしかしたらあの吸血鬼が幻想郷に新たな異変を起こそうと作り出した化け物かもしれません。
つまり異変を未然に防ぐためにか弱い私たちは頑張るのです。 え?か弱くない?
ちょっと飛んでみません?有頂天まで。
「さて、我々特派員は正門にいた門番を見事突破し、この紅魔館に無事潜入することができました!しかし油断せずに…」
「文様…もう帰りましょうよ…私アレをもう一回見たら多分発狂しますよ…」
「だらしないわね椛。そんなことじゃ白狼天狗の面子がたたないわよ」
「だってあんなのがとてもいい顔で手を振って不気味な笑顔で… うっぷ…」
「しっかりしなさい。とりあえず比較的話がわかる魔女に会いに行きましょう ここの厄介な従者に見つかる前に…」
と、そのとき特派員が見たものは!!
すげぇいい笑顔で銀のナイフをちらつかせている噂の瀟洒な従者ではないか!
どうでもいいですけど瀟洒な従者って10回言って噛まない自信あります?私は言えますが。
「ざんねん あなたたちのちょうさは ここでおわってしまった! ってところね」
「これはこれは十六夜咲夜さん。ちょうどあなたにお聞きしたいことが…」
「さっき『厄介な』従者って言わなかった?」
チッ、さすが悪魔の犬。地獄耳ですか?タチわるいですねぇ。
さて、どうしましょう?突破しましょうか?答えはNO。いくら私が早くても時を止められたらお終いです。
ここは悔しいですが誠心誠意を込めて説得すればきっとわかってくれるはずです。
悔しいですが。
「いやこちらの話を聞いてくださいよ、うちの椛が私に黙ってそちらの館に対して盗撮行為をしていたときにバチがあたったのか
なんだか『ものすごいもの』をここの正門で見たと言ったんですよ。私は来たくなかったんですが椛がどうしても、どうしてもと。
その『ものすごいもの』の正体を知りたいとぬかしやがったので後輩思いな私は門番をかぜおこし(笑)でふきとばしてですね、
この館に侵入して調査をですね。あ、重ねて言いますが椛がどうしてもと…」
「文さまぁぁぁ!!?なに責任転嫁してるんですか!?そして私の後ろになぜ隠れるぅぅぅ!?」
「へぇ…ものすごいもの… あぁ、なるほど」
うわっこええっ!ニタァって笑った!夢に出そう!
あ、椛がガタガタいってる。そりゃそうですよね。こんな顔されたら誰でもヒきますよ。
「気が変わったわ。あなたたち。その『ものすごいもの』が見たいんでしょ?」
「ええ、ぜひとも!…と椛が」
「違いますって!」
「まぁ、どっちでもいいけど…その『ものすごいもの』だったら普段は図書館にいるわ」
「ほぅほぅ図書館に…ということは図書館の魔女が作り出した化け物という線も…」
「ちなみにその『ものすごいもの』のつくる料理はなかなかおいしいのよ?特に『彼の故郷の料理は』」
なんと、椛曰くどう見ても死体なのに料理を作る程度の理性と賢さを持っていると。
しかも得意料理が故郷の料理…これはその見た目にもよりますがネタにできますねぇ
それにしてもなぜ料理の部分でまたニタァと…
「かれにあったらごちそうしてもらいなさい。きっとかれよろこんでつくってくれるわ ではわたしはこれで」
「あ、はい。ありがとうございましたー」
「(なぜ棒読みなんだろう…?)」
「さぁ、行くわよ椛!その素敵で知的な死体さんとやらを取材に!あ、これ記事のタイトルに使える」
「わかりましたぁ…」
さぁ、いざ行かん図書館へ。これは大スクープですよ~!
十六夜 咲夜 紅魔館/館内
何も知らずにブン屋とその部下が図書館に向かう。
さて、後で私も図書館に行かないと。もちろん、『料理の材料を持って』
あのブン屋にお灸を据えないと駄目だと思っていた矢先にこうなるんだもの。
愉快だわ、ええとても愉快だわ。
「犠牲者2名ご案内~… あっはっはっは!」
続く
おまけ
紅 美鈴 有頂天/天子の部屋
天子「ねぇ、衣玖。これはなんてコメントすればいいのかしら?」
衣玖「そうですね…まさか私と二人さびしく神経衰弱をしていたら、突然畳の下から妖怪さんが飛び出してくるなんて…」
天子「さびしくって言わないでよ!私が友達いないみたいじゃない!」
衣玖「いらっしゃるんですか?」
天子「えっと… と、ともかく何者よあんた!どこから来たのよ!?」
美鈴「そ、それは私が聞きたいですよ!ここどこなんですか!?」
天子「質問を質問で返すなぁーッ!」
衣玖「(きっと一度言ってみたかったんですね そのセリフ)」
現在未完
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