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萃香4

最終更新:

orz1414

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■萃香4

「バカァ!!」

罵声と共に萃香は俺の家の扉を蹴破って出て行った。
被害にあったのは扉だけでなく、扉の周りの柱も半壊状態。
我が家の存亡の危機である。

と、まあそれはいいのだが。

「はぁ~、まさか見られるとはな、不覚だ」

浮気現場がではない。
アリスと一緒に買い物をしていたのを見られたのだ。
ただ、買い物をしていただけだ。
アリスに浮気などしていない。

もう一度言っておくが決して浮気などしていない。
俺はアリスとバレンタインのお返しを買っていただけなのだ。

それを萃香に見られた。もうしっかりと。
アリスといい感じに歩いていたのを目撃されたのだ。

そして放たれる萃香の殺気。手には数枚のスペルカード。



その時ほど恐怖を感じる瞬間は生涯を通して二度とないだろう。



ま、その時にひと悶着あって冒頭に至るわけだ。



「はぁ~、過ぎたことを悔やんでいてもしょうがない。謝りに行くか」


それもこれも俺がホワイトデーの存在を忘れなければこんなことにはならなかった。
自分の空気の読めなさが恨めしいよ、まったく。

最低限の家の補修をした後、俺は萃香の家にむかった。



----------数十分後-----------


「何しに来たのよぅ」
「謝りに来た」

萃香は泣いていた。
おそらく、俺がアリスといい雰囲気だったのが余程ショックだったのだろう。

「そんなのいらない、よ、ぐすっ、
 とっとと、っ、アリスのとこに、えぐっ、行けばいいじゃない、うぐっ」
「まあそう言うな。それとも何だ?
 謝りに来た恋人におめおめ帰れってのか?」
「帰れ」

萃香は相当怒っていた。
ま、そりゃそうだよな。
俺が逆の立場だったとして怒らないはずがない。

「まずは謝るよ。ホントにごめん」
「っ、謝ったって、うっ、許さないんだから、」

当然だな。俺だってそうだ。

だからこそ言い訳なんかしない。できない。必要ない。

「普通ならここで言い訳とかするだろうけど、
 俺はしないよ。俺は・・・」

そういって、ギュッと萃香を抱きしめた。

「お前が許すまでこうしてるよ」
「・・・っ、怒れないじゃないのよぅ」

萃香の肩の力が抜けていくのがわかる。
やっと落ち着いたみたいだ。

鬼だとかなんだとか言われてるが、今の萃香は紛れも無い一人の女の子だ。

「あぁ、そうだ、今日はホワイトデーだったな。ほい」

差し出したのはアリスと選んでいたとっておきのお酒。
この日のために(忘れていたけど)大枚はたいて購入した名酒だ。

「ほら、顔上げろよ。今日はこれで飲もう」
「・・・うん」

萃香は泣き止んでいた。
かわりに笑顔が浮かんでいた。

「よし!そうと決まれば準備を、ってアレ?何?この鎖?
 宴会の準備ができないのですが?ねえ萃香さん?」
「いいの」

二人仲良く鎖に巻きついた状態。
そんな状態での俺の質問への返答は間髪入れないものだった。

「いいの、宴会とかはいらない。酒も、この幻想郷だっていらない」

明るくて穏やかな萃香の声。

「ただ、あんたが居ればそれでいい。私の傍に居てくれればいいの」

静かで弱い萃香の声。

「あんたを、もう絶対に離さない!」

強く優しい萃香の声。


三月の空の下、二つの影はゆっくりと重なった。

>>新ろだ377

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夜になった。
俺の幻想郷での数少ないお楽しみの時間。

「さて、あいつは今日もいるかな」

身支度をすませ、家をでた。





長い獣道を抜けると小さな森の広場にでた。
そこであいつは一人酒盛りをしている。

「よう、萃香」

あいつは、萃香はこちらの声に気付き振り返る。

「げっ、あんた、また来たの?」

露骨に嫌そうな顔をする。
心外ではあるな。

「なんだよ、お前が寂しい思いをしてはいかんと思いはるばるやってきたのに。
 それより、危険な夜道を一人で歩いてきた勇気を讃えてはくれないか?」
「さ、寂しい思いなんかしてないし。
 それに、勇気を無謀は違う。
 あんたなんか妖怪に見つかったらすぐ食べられちゃうよ?」

そんなことを言ってきた。
ま、これもいつも同じやり取りだけど。

「なんだ、お前、俺を心配してたのか」
「!な、な、何言ってんのよ!
 そんなわけないじゃない!
 あんたバカじゃないの!
 鬼の私が人間の心配をするなんてありえない!!
 ほんと、人間てバカね!!!」

ははは、顔を真っ赤にして反論しても説得力は皆無ですよ?萃香さん。

・・・ま、でも人里からここまでの道にいる妖怪をやっつけてるのは、お前だってことを知ってるんだけどな。
お陰で俺はここまで来るのに妖怪に襲われたことは一度もない。

そのことについては感謝してもし足りないくらいだ。

「○○!!ちょっと聞いてるの!?」
「ははは、悪い悪い。
 それで、なんだっけお前は俺のことが心配で堪らないって話だっけ?」
「!!な!!」

怒りとか恥ずかしさとかアルコールとかで顔がもうまっかっか。

なんか角まで赤いし。

「だ か ら、私はあんたのことなんて、」
「なんだ、鬼が嘘つくのか?」
「!!!なっ!!!」

ボンッ!って擬音が聞こえたような。

それにしても、こいつの反応は面白いな。
俺がここに来る理由の一つがこいつの反応を楽しむためである。

ま、要はからかいに来てるんだけどな。

「ち、違う!!! 
 あんたは私の非常食なんだから、他の妖怪に食べられないか心配してるの!!」
「ほれ、心配してるんじゃないか」
「!!!!あっ!!!!」

やっぱ面白いなこいつ。
鬼ってのは皆こうなのだろうか。
だとしたら、是非とも友達になりたい。

「だ、だいたい、あんたはなんで毎日毎日ここに来るのよう!?」
「ん?あぁ、お前が嫌ならもう明日から来ないわ。
 それに、これ以上飲むと明日の仕事に差し支えるし、やっぱもう帰る」
「え・・・・・・?」

途端に泣きそうな顔でこちらを見る。

ま、当然冗談なわけだが。

「・・・くくく、冗談だ」
「!!!!!!!っ騙したなぁ!!!!!!!」

面白いくらい予想通りの反応。
やっぱりベタが最強か。


「もう、なんで、毎日毎日ここに来るのよう!!??」

質問がループしてますぜ、萃香さん。


まあ、そろそろ言ってもいいかな。

俺がここに来る本当の理由。

これ言ったらどんな反応するのかも気になるし。

「ん、ああ、そりゃお前、好きだからな」
「?何が?」

おぉ、意外と鈍感な方だ。

「だから、お前のことが」
「・・・誰が、誰のことを?」
「俺が、お前のことを」

数分の沈黙そして、

「な、ななななななななななななな、何言ってんのよ!!!!????
 わ、わ、私のことが、その、す、すす、す、好きだなんて、そんな、
 だ、だいたいね、あんたは人間で、私は鬼でそれで、ほら、わたしだって、
あんたのことは、その、す、す、す、好きだけど。あ~も~、だから、わたな

~以下123456行にわたり続いたので省略させていただきました~


------------------------------------------以上証明終り!!」

「・・・つまり、お前も俺のことが好きだと解釈して構わないんだな?」
「な、そんなこと言ってないじゃない!!」
「最初の方にズバリ言ってたけどな」
「あ」


そんなこんなで夜は続いていく。
今日の酒盛りはちょいと賑やかなものになりそうだ。 

>>新ろだ382

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