■萃香4
「バカァ!!」
罵声と共に萃香は俺の家の扉を蹴破って出て行った。
被害にあったのは扉だけでなく、扉の周りの柱も半壊状態。
我が家の存亡の危機である。
と、まあそれはいいのだが。
「はぁ~、まさか見られるとはな、不覚だ」
浮気現場がではない。
アリスと一緒に買い物をしていたのを見られたのだ。
ただ、買い物をしていただけだ。
アリスに浮気などしていない。
もう一度言っておくが決して浮気などしていない。
俺はアリスとバレンタインのお返しを買っていただけなのだ。
それを萃香に見られた。もうしっかりと。
アリスといい感じに歩いていたのを目撃されたのだ。
そして放たれる萃香の殺気。手には数枚のスペルカード。
その時ほど恐怖を感じる瞬間は生涯を通して二度とないだろう。
ま、その時にひと悶着あって冒頭に至るわけだ。
「はぁ~、過ぎたことを悔やんでいてもしょうがない。謝りに行くか」
それもこれも俺がホワイトデーの存在を忘れなければこんなことにはならなかった。
自分の空気の読めなさが恨めしいよ、まったく。
最低限の家の補修をした後、俺は萃香の家にむかった。
----------数十分後-----------
「何しに来たのよぅ」
「謝りに来た」
萃香は泣いていた。
おそらく、俺がアリスといい雰囲気だったのが余程ショックだったのだろう。
「そんなのいらない、よ、ぐすっ、
とっとと、っ、アリスのとこに、えぐっ、行けばいいじゃない、うぐっ」
「まあそう言うな。それとも何だ?
謝りに来た恋人におめおめ帰れってのか?」
「帰れ」
萃香は相当怒っていた。
ま、そりゃそうだよな。
俺が逆の立場だったとして怒らないはずがない。
「まずは謝るよ。ホントにごめん」
「っ、謝ったって、うっ、許さないんだから、」
当然だな。俺だってそうだ。
だからこそ言い訳なんかしない。できない。必要ない。
「普通ならここで言い訳とかするだろうけど、
俺はしないよ。俺は・・・」
そういって、ギュッと萃香を抱きしめた。
「お前が許すまでこうしてるよ」
「・・・っ、怒れないじゃないのよぅ」
萃香の肩の力が抜けていくのがわかる。
やっと落ち着いたみたいだ。
鬼だとかなんだとか言われてるが、今の萃香は紛れも無い一人の女の子だ。
「あぁ、そうだ、今日はホワイトデーだったな。ほい」
差し出したのはアリスと選んでいたとっておきのお酒。
この日のために(忘れていたけど)大枚はたいて購入した名酒だ。
「ほら、顔上げろよ。今日はこれで飲もう」
「・・・うん」
萃香は泣き止んでいた。
かわりに笑顔が浮かんでいた。
「よし!そうと決まれば準備を、ってアレ?何?この鎖?
宴会の準備ができないのですが?ねえ萃香さん?」
「いいの」
二人仲良く鎖に巻きついた状態。
そんな状態での俺の質問への返答は間髪入れないものだった。
「いいの、宴会とかはいらない。酒も、この幻想郷だっていらない」
明るくて穏やかな萃香の声。
「ただ、あんたが居ればそれでいい。私の傍に居てくれればいいの」
静かで弱い萃香の声。
「あんたを、もう絶対に離さない!」
強く優しい萃香の声。
三月の空の下、二つの影はゆっくりと重なった。
>>新ろだ377
───────────────────────────────────────────────────────────
夜になった。
俺の幻想郷での数少ないお楽しみの時間。
「さて、あいつは今日もいるかな」
身支度をすませ、家をでた。
長い獣道を抜けると小さな森の広場にでた。
そこであいつは一人酒盛りをしている。
「よう、萃香」
あいつは、萃香はこちらの声に気付き振り返る。
「げっ、あんた、また来たの?」
露骨に嫌そうな顔をする。
心外ではあるな。
「なんだよ、お前が寂しい思いをしてはいかんと思いはるばるやってきたのに。
それより、危険な夜道を一人で歩いてきた勇気を讃えてはくれないか?」
「さ、寂しい思いなんかしてないし。
それに、勇気を無謀は違う。
あんたなんか妖怪に見つかったらすぐ食べられちゃうよ?」
そんなことを言ってきた。
ま、これもいつも同じやり取りだけど。
「なんだ、お前、俺を心配してたのか」
「!な、な、何言ってんのよ!
そんなわけないじゃない!
あんたバカじゃないの!
鬼の私が人間の心配をするなんてありえない!!
ほんと、人間てバカね!!!」
ははは、顔を真っ赤にして反論しても説得力は皆無ですよ?萃香さん。
・・・ま、でも人里からここまでの道にいる妖怪をやっつけてるのは、お前だってことを知ってるんだけどな。
お陰で俺はここまで来るのに妖怪に襲われたことは一度もない。
そのことについては感謝してもし足りないくらいだ。
「○○!!ちょっと聞いてるの!?」
「ははは、悪い悪い。
それで、なんだっけお前は俺のことが心配で堪らないって話だっけ?」
「!!な!!」
怒りとか恥ずかしさとかアルコールとかで顔がもうまっかっか。
なんか角まで赤いし。
「だ か ら、私はあんたのことなんて、」
「なんだ、鬼が嘘つくのか?」
「!!!なっ!!!」
ボンッ!って擬音が聞こえたような。
それにしても、こいつの反応は面白いな。
俺がここに来る理由の一つがこいつの反応を楽しむためである。
ま、要はからかいに来てるんだけどな。
「ち、違う!!!
あんたは私の非常食なんだから、他の妖怪に食べられないか心配してるの!!」
「ほれ、心配してるんじゃないか」
「!!!!あっ!!!!」
やっぱ面白いなこいつ。
鬼ってのは皆こうなのだろうか。
だとしたら、是非とも友達になりたい。
「だ、だいたい、あんたはなんで毎日毎日ここに来るのよう!?」
「ん?あぁ、お前が嫌ならもう明日から来ないわ。
それに、これ以上飲むと明日の仕事に差し支えるし、やっぱもう帰る」
「え・・・・・・?」
途端に泣きそうな顔でこちらを見る。
ま、当然冗談なわけだが。
「・・・くくく、冗談だ」
「!!!!!!!っ騙したなぁ!!!!!!!」
面白いくらい予想通りの反応。
やっぱりベタが最強か。
「もう、なんで、毎日毎日ここに来るのよう!!??」
質問がループしてますぜ、萃香さん。
まあ、そろそろ言ってもいいかな。
俺がここに来る本当の理由。
これ言ったらどんな反応するのかも気になるし。
「ん、ああ、そりゃお前、好きだからな」
「?何が?」
おぉ、意外と鈍感な方だ。
「だから、お前のことが」
「・・・誰が、誰のことを?」
「俺が、お前のことを」
数分の沈黙そして、
「な、ななななななななななななな、何言ってんのよ!!!!????
わ、わ、私のことが、その、す、すす、す、好きだなんて、そんな、
だ、だいたいね、あんたは人間で、私は鬼でそれで、ほら、わたしだって、
あんたのことは、その、す、す、す、好きだけど。あ~も~、だから、わたな
~以下123456行にわたり続いたので省略させていただきました~
------------------------------------------以上証明終り!!」
「・・・つまり、お前も俺のことが好きだと解釈して構わないんだな?」
「な、そんなこと言ってないじゃない!!」
「最初の方にズバリ言ってたけどな」
「あ」
そんなこんなで夜は続いていく。
今日の酒盛りはちょいと賑やかなものになりそうだ。
>>新ろだ382
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「バカァ!!」
罵声と共に萃香は俺の家の扉を蹴破って出て行った。
被害にあったのは扉だけでなく、扉の周りの柱も半壊状態。
我が家の存亡の危機である。
と、まあそれはいいのだが。
「はぁ~、まさか見られるとはな、不覚だ」
浮気現場がではない。
アリスと一緒に買い物をしていたのを見られたのだ。
ただ、買い物をしていただけだ。
アリスに浮気などしていない。
もう一度言っておくが決して浮気などしていない。
俺はアリスとバレンタインのお返しを買っていただけなのだ。
それを萃香に見られた。もうしっかりと。
アリスといい感じに歩いていたのを目撃されたのだ。
そして放たれる萃香の殺気。手には数枚のスペルカード。
その時ほど恐怖を感じる瞬間は生涯を通して二度とないだろう。
ま、その時にひと悶着あって冒頭に至るわけだ。
「はぁ~、過ぎたことを悔やんでいてもしょうがない。謝りに行くか」
それもこれも俺がホワイトデーの存在を忘れなければこんなことにはならなかった。
自分の空気の読めなさが恨めしいよ、まったく。
最低限の家の補修をした後、俺は萃香の家にむかった。
----------数十分後-----------
「何しに来たのよぅ」
「謝りに来た」
萃香は泣いていた。
おそらく、俺がアリスといい雰囲気だったのが余程ショックだったのだろう。
「そんなのいらない、よ、ぐすっ、
とっとと、っ、アリスのとこに、えぐっ、行けばいいじゃない、うぐっ」
「まあそう言うな。それとも何だ?
謝りに来た恋人におめおめ帰れってのか?」
「帰れ」
萃香は相当怒っていた。
ま、そりゃそうだよな。
俺が逆の立場だったとして怒らないはずがない。
「まずは謝るよ。ホントにごめん」
「っ、謝ったって、うっ、許さないんだから、」
当然だな。俺だってそうだ。
だからこそ言い訳なんかしない。できない。必要ない。
「普通ならここで言い訳とかするだろうけど、
俺はしないよ。俺は・・・」
そういって、ギュッと萃香を抱きしめた。
「お前が許すまでこうしてるよ」
「・・・っ、怒れないじゃないのよぅ」
萃香の肩の力が抜けていくのがわかる。
やっと落ち着いたみたいだ。
鬼だとかなんだとか言われてるが、今の萃香は紛れも無い一人の女の子だ。
「あぁ、そうだ、今日はホワイトデーだったな。ほい」
差し出したのはアリスと選んでいたとっておきのお酒。
この日のために(忘れていたけど)大枚はたいて購入した名酒だ。
「ほら、顔上げろよ。今日はこれで飲もう」
「・・・うん」
萃香は泣き止んでいた。
かわりに笑顔が浮かんでいた。
「よし!そうと決まれば準備を、ってアレ?何?この鎖?
宴会の準備ができないのですが?ねえ萃香さん?」
「いいの」
二人仲良く鎖に巻きついた状態。
そんな状態での俺の質問への返答は間髪入れないものだった。
「いいの、宴会とかはいらない。酒も、この幻想郷だっていらない」
明るくて穏やかな萃香の声。
「ただ、あんたが居ればそれでいい。私の傍に居てくれればいいの」
静かで弱い萃香の声。
「あんたを、もう絶対に離さない!」
強く優しい萃香の声。
三月の空の下、二つの影はゆっくりと重なった。
>>新ろだ377
───────────────────────────────────────────────────────────
夜になった。
俺の幻想郷での数少ないお楽しみの時間。
「さて、あいつは今日もいるかな」
身支度をすませ、家をでた。
長い獣道を抜けると小さな森の広場にでた。
そこであいつは一人酒盛りをしている。
「よう、萃香」
あいつは、萃香はこちらの声に気付き振り返る。
「げっ、あんた、また来たの?」
露骨に嫌そうな顔をする。
心外ではあるな。
「なんだよ、お前が寂しい思いをしてはいかんと思いはるばるやってきたのに。
それより、危険な夜道を一人で歩いてきた勇気を讃えてはくれないか?」
「さ、寂しい思いなんかしてないし。
それに、勇気を無謀は違う。
あんたなんか妖怪に見つかったらすぐ食べられちゃうよ?」
そんなことを言ってきた。
ま、これもいつも同じやり取りだけど。
「なんだ、お前、俺を心配してたのか」
「!な、な、何言ってんのよ!
そんなわけないじゃない!
あんたバカじゃないの!
鬼の私が人間の心配をするなんてありえない!!
ほんと、人間てバカね!!!」
ははは、顔を真っ赤にして反論しても説得力は皆無ですよ?萃香さん。
・・・ま、でも人里からここまでの道にいる妖怪をやっつけてるのは、お前だってことを知ってるんだけどな。
お陰で俺はここまで来るのに妖怪に襲われたことは一度もない。
そのことについては感謝してもし足りないくらいだ。
「○○!!ちょっと聞いてるの!?」
「ははは、悪い悪い。
それで、なんだっけお前は俺のことが心配で堪らないって話だっけ?」
「!!な!!」
怒りとか恥ずかしさとかアルコールとかで顔がもうまっかっか。
なんか角まで赤いし。
「だ か ら、私はあんたのことなんて、」
「なんだ、鬼が嘘つくのか?」
「!!!なっ!!!」
ボンッ!って擬音が聞こえたような。
それにしても、こいつの反応は面白いな。
俺がここに来る理由の一つがこいつの反応を楽しむためである。
ま、要はからかいに来てるんだけどな。
「ち、違う!!!
あんたは私の非常食なんだから、他の妖怪に食べられないか心配してるの!!」
「ほれ、心配してるんじゃないか」
「!!!!あっ!!!!」
やっぱ面白いなこいつ。
鬼ってのは皆こうなのだろうか。
だとしたら、是非とも友達になりたい。
「だ、だいたい、あんたはなんで毎日毎日ここに来るのよう!?」
「ん?あぁ、お前が嫌ならもう明日から来ないわ。
それに、これ以上飲むと明日の仕事に差し支えるし、やっぱもう帰る」
「え・・・・・・?」
途端に泣きそうな顔でこちらを見る。
ま、当然冗談なわけだが。
「・・・くくく、冗談だ」
「!!!!!!!っ騙したなぁ!!!!!!!」
面白いくらい予想通りの反応。
やっぱりベタが最強か。
「もう、なんで、毎日毎日ここに来るのよう!!??」
質問がループしてますぜ、萃香さん。
まあ、そろそろ言ってもいいかな。
俺がここに来る本当の理由。
これ言ったらどんな反応するのかも気になるし。
「ん、ああ、そりゃお前、好きだからな」
「?何が?」
おぉ、意外と鈍感な方だ。
「だから、お前のことが」
「・・・誰が、誰のことを?」
「俺が、お前のことを」
数分の沈黙そして、
「な、ななななななななななななな、何言ってんのよ!!!!????
わ、わ、私のことが、その、す、すす、す、好きだなんて、そんな、
だ、だいたいね、あんたは人間で、私は鬼でそれで、ほら、わたしだって、
あんたのことは、その、す、す、す、好きだけど。あ~も~、だから、わたな
~以下123456行にわたり続いたので省略させていただきました~
------------------------------------------以上証明終り!!」
「・・・つまり、お前も俺のことが好きだと解釈して構わないんだな?」
「な、そんなこと言ってないじゃない!!」
「最初の方にズバリ言ってたけどな」
「あ」
そんなこんなで夜は続いていく。
今日の酒盛りはちょいと賑やかなものになりそうだ。
>>新ろだ382
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