行動主義

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#contents ---- **行動主義 行動主義 は心理学のアプローチの一つで、内的・心的状態に依拠せずとも科学的に行動を研究できるという主張である。行動主義は、唯物論・機械論の一形態であると考えられ、こころ-mind-の独在を認めていない。 多くの行動主義者に共通する一つの仮説は、“自由意志は錯覚であり、行動は遺伝と環境の両因子の組合せによって決定されていく”というものである。 20世紀、精神分析学のムーブメントと同時期に、行動主義学派は心理学に浸透した。 行動主義に影響を与えた主な人物には、 ・条件反射を研究したイワン・パブロフ ・試行錯誤学習を研究したエドワード・ソーンダイク ・内観法を破棄し、心理学の実験法を問い直したジョン・ワトソン ・行動主義にプラグマティズム的な倫理的基点をもたらし、オペラント条件づけの研究を先導したバラス・スキナー  などがいる。 全ての行動主義者にも共通するようなアプローチは存在せず、多様な主張が存在する。 その代表的なものの幾つかを以下にあげておく。 ・行動の観察が心的過程を研究する最高・最善の方法である。 ・行動の観察が心的過程を研究する唯一の方法である。 ・行動それのみが心理学の研究対象である。たとえば「信念」や「性格」といった心的概念を表わす一般的語彙は、単に行動への傾向性を主題とするための方便にすぎず、指示対象として何らかの心的実体を伴うわけではない。 ・哲学における行動主義 行動主義は、心理学のムーブメントであるだけでなく、心の哲学でもある。“徹底的行動主義”では、行動の研究が“科学”であるべきだという基本的前提があり、仮想された内的状態に頼らない。一方、“方法論的行動主義”は、仮想された内的状態を利用するが、精神世界にそれらを位置づけず、主観的経験に頼らない。行動主義は、行動の機能的側面に注目するのである。 分析哲学者の中には、行動主義者と呼ばれる者や、自称する者がいる。 ルドルフ・カルナップやカール・ヘンペルらが称えた“論理的行動主義”では、心理的状態の意味づけは、実行された顕在的行動からなる検証条件である。ウィラード・ヴァン・オーマン・クワインは、スキナーの考えに影響され、言語の研究の中で行動主義を利用した。ギルバート・ライルは、哲学的行動主義に傾倒し、自著『心の概念(The Concept of Mind)』のなかで哲学的行動主義を概説した。そして、ライルは、二元論の例証では、日常言語の使用の誤解による“カテゴリー間違い(category mistakes)”が頻繁に生じていると考えた。ダニエル・デネットもまた、自身の論文『メッセージは;媒介などない』(The Message is: There is no Medium, Dennett, 1993年)の中で、自身を一種の行動主義者であると認めている。 <ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインの哲学>と<論理的行動主義や徹底的行動主義>の間に共通点(たとえば“ 箱の中のカブトムシ”)があると言われ、ウィトゲンシュタインは行動主義者と定義されることがある。しかし、ウィトゲンシュタインは、行動主義者といいきれないし、彼の文体は様々な解釈が可能である。また、数学者のアラン・チューリングは、行動主義者と見なされることがあるか、彼は行動主義者と自称していない。 ----
#contents ---- **全般 行動主義 は心理学のアプローチの一つで、内的・心的状態に依拠せずとも科学的に行動を研究できるという主張である。行動主義は、唯物論・機械論の一形態であると考えられ、こころ-mind-の独在を認めていない。 多くの行動主義者に共通する一つの仮説は、“自由意志は錯覚であり、行動は遺伝と環境の両因子の組合せによって決定されていく”というものである。 20世紀、精神分析学のムーブメントと同時期に、行動主義学派は心理学に浸透した。 行動主義に影響を与えた主な人物には、 ・条件反射を研究したイワン・パブロフ ・試行錯誤学習を研究したエドワード・ソーンダイク ・内観法を破棄し、心理学の実験法を問い直したジョン・ワトソン ・行動主義にプラグマティズム的な倫理的基点をもたらし、オペラント条件づけの研究を先導したバラス・スキナー  などがいる。 全ての行動主義者にも共通するようなアプローチは存在せず、多様な主張が存在する。 その代表的なものの幾つかを以下にあげておく。 ・行動の観察が心的過程を研究する最高・最善の方法である。 ・行動の観察が心的過程を研究する唯一の方法である。 ・行動それのみが心理学の研究対象である。たとえば「信念」や「性格」といった心的概念を表わす一般的語彙は、単に行動への傾向性を主題とするための方便にすぎず、指示対象として何らかの心的実体を伴うわけではない。 **哲学における行動主義 行動主義は、心理学のムーブメントであるだけでなく、心の哲学でもある。“徹底的行動主義”では、行動の研究が“科学”であるべきだという基本的前提があり、仮想された内的状態に頼らない。一方、“方法論的行動主義”は、仮想された内的状態を利用するが、精神世界にそれらを位置づけず、主観的経験に頼らない。行動主義は、行動の機能的側面に注目するのである。 分析哲学者の中には、行動主義者と呼ばれる者や、自称する者がいる。 ルドルフ・カルナップやカール・ヘンペルらが称えた“論理的行動主義”では、心理的状態の意味づけは、実行された顕在的行動からなる検証条件である。ウィラード・ヴァン・オーマン・クワインは、スキナーの考えに影響され、言語の研究の中で行動主義を利用した。ギルバート・ライルは、哲学的行動主義に傾倒し、自著『心の概念(The Concept of Mind)』のなかで哲学的行動主義を概説した。そして、ライルは、二元論の例証では、日常言語の使用の誤解による“カテゴリー間違い(category mistakes)”が頻繁に生じていると考えた。ダニエル・デネットもまた、自身の論文『メッセージは;媒介などない』(The Message is: There is no Medium, Dennett, 1993年)の中で、自身を一種の行動主義者であると認めている。 <ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインの哲学>と<論理的行動主義や徹底的行動主義>の間に共通点(たとえば“ 箱の中のカブトムシ”)があると言われ、ウィトゲンシュタインは行動主義者と定義されることがある。しかし、ウィトゲンシュタインは、行動主義者といいきれないし、彼の文体は様々な解釈が可能である。また、数学者のアラン・チューリングは、行動主義者と見なされることがあるか、彼は行動主義者と自称していない。 哲学的行動主義は20世紀の後半以来、認知主義の興隆と同時に支持を失っていった。]認知主義は行動主義のいくつかの問題点を認識して行動主義を否定した。たとえば、行動主義は、ある人がひどい頭痛を経験しているという出来事について誰かが語るときに、その人の行動について話していることになる、という点で直観に反する主張をしていると言える。 ----

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