心身問題

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#contents ---- **全般 心身問題とは哲学の伝統的な問題の一つで、人間の心と体の関係についての考察である。 現代の哲学では[[心の哲学>http://www21.atwiki.jp/p_mind/pages/28.html]]における中心的なテーマであり、科学の領域では心脳問題として研究の対象となっている。 この問題はプラトンの「霊―肉二元論」にその起源を求めることも可能ではあるが、デカルトの『情念論』(1649年)にて、いわゆる心身二元論を提示したことが心身問題の議論を発展させる大きな契機となった。 現在では心身問題は、認知科学・神経科学・理論物理学・コンピューターサイエンスといった科学的な知識を前提とした形で語られることが多い。しかし哲学の一分科である[[現象学]]の立場からの議論もある。 **デカルトの心身二元論 デカルトは心を「私は考える」 (cogito) すなわち意識として捉え、自由意志をもつものとした。一方、身体は機械的運動を行うものとし、かつ両者はそれぞれ独立した実体であるとした。ただし『情念論』でデカルトは精神と身体とは相互作用すると主張している。 **機械論・唯物論の見地 デカルトによる生命の機械論的解釈をさらに徹底化させたラ・メトリー(1709年 - 1751年)ら機械論や唯物論の見地に立てば、感情などの心の現象も生物学・化学的な作用であるため、心と体という分離自体がナンセンスであり、「心」は「体」の脳の機能によって発生したものである以上、心は独立した実体などではないとする。 **心身問題から心脳問題へ 主に英米系の哲学においては、心身問題は心と体の問題ではなく心と脳の関係で論じられている。心脳問題として捉える立場には、機械論的唯物論に近い心脳同一説(あるいは精神物理的一元論、D・M・アームストロングなど)から精神の非物質性を擁護する創発主義的唯物論(M・ブンケ)まで、多くの理論や考察がある。 これらは認知科学、脳科学などの成果を基礎としたものであり、心の発生・作用における中枢神経系の機能を哲学に組み込んだものとして評価される一方、脳に帰すことのできない身体独自の機能を切り捨てた議論であるという批判も多い。 **現象的意識やクオリア 心的現象は主観的であり、私秘的である。[[現象的意識]]や[[クオリア]]と呼ばれるこの側面と、脳に関する客観的で物理的に記述可能な側面とは、説明的なつながりが欠落している。この問題は[[意識のハードプロブレム]]として、[[チャーマーズ]]が1994年当時「意識に関する大きな問題は、もう何も残されていない」と考えていた一部の神経科学者や認知科学者、関連分野の研究者に対する批判として提起された。 それ以降、現象的意識やクオリアの問題は脳科学や心の哲学における重要なテーマとして、再び活発に議論されることになる。 ----
#contents ---- 心身問題とは、哲学において歴史的に最も重要な課題の一つで、人間の心と体がどう関係し合っているのかという問題である。現代の哲学では[[心の哲学>http://www21.atwiki.jp/p_mind/pages/28.html]]における中心的なテーマであり、科学の領域では心脳問題として研究の対象となっている。 哲学における心身問題の議論は紀元前に遡る。西洋哲学ではプラトンが「霊肉二元論」を主張し、それに対しアリストテレスは、心とは身体の特別な性質であるという一元論的な主張をした。そして17世紀の哲学者[[ルネ・デカルト]]が、『情念論』(1649年)にて[[実体二元論]]を主張したことが大きな転換点となり、デカルトの二元論に対する応答として、心身問題についての様々な立場の原型が近代においてほぼ案出されることになる。 その後19世紀末から後20世紀前半は、科学技術と神経生理学の発展によって、心と身体の関係は科学によって解明されるという[[物理主義]]の立場が支配的となり、心身問題についての哲学的議論は停滞することになる。しかし20世紀後半から英語圏諸国の分析哲学において、「可能世界論」や「思考可能性論法」など、さまざまな概念や思考実験が登場したことによって、心の哲学の議論は劇的に変貌し、進展することになる。現代における心の哲学は、その英語圏の哲学を中心に議論されている。 現代の心身問題は、認知科学・神経科学・理論物理学・コンピューターサイエンスといった科学的な知識を前提とした形で語られることが多い。英語圏の大半の学者は「自然主義」を前提として心身問題を論じている。 ちなみに、E・タイラーやB・アンカーマンなどによる文化人類学的な研究調査では、ほとんどの人種・民族が霊魂的なものと肉体的なものを区別する二元論的な人間観を持っているという。 ----

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