相互作用二元論

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#contents ---- **概説 相互作用二元論、または単に相互作用説といわれるものは、[[心身問題]]における二元論の一種で、信念や欲求といった心的なものが、脳という物理的なものと因果的に相互作用するものと考える立場である。 歴史上この考えをもっともハッキリと主張したのは、デカルトであり、著書Meditationsにおいて相互作用二元論の考えを明確にした。相互作用二元論は、心的なものと物理的な脳との相互作用のメカニズムが解き難いという重大な弱点があり、20世紀以後においてはこの考え方を擁護する論者は非常に少ない。しかし有名な論者としてカール・ポパー、ジョン・エックルスがいる。 **デカルト デカルトの有名な論証は次のようにまとめられる。 精神は延長を持たない、すなわち長さや重さなどの基準で測定することができない。一方、身体は空間的な延長を持ち、量を測ることができる。このことから、心と身体は根本的に異なった性質を持つのであるから同一ではありえないということが導ける。 しかし、同時に精神の状態(欲求、信念等)が彼の身体に対して因果的な効果を持ち、またその逆に身体が心に因果的な効果を持つことは明白である。たとえば、子供が熱せられたストーブに触れたら(物理的出来事)痛みを引き起こし(心的出来事)、彼は悲鳴をあげ(物理的出来事)、それが次に母親の恐怖と保護の感覚を引き起こす(心的出来事)、などなどといったようにである。 **ポパーとエックルス ジョン・カリュー・エックルス(John Carew Eccles、1903年1月27日 - 1997年5月2日)は、オーストラリアのメルボルン生まれの神経生理学者である。 1963年、抑制性シナプス後電位(IPSP)の発見によりノーベル生理学・医学賞を受賞した。 1977年には、カール・ポパーと『自我と脳』(The self and its brain),という本を一緒に書いて、世界的な話題となった。この中で彼は、精神が脳をコントロールしているという二元論を唱えている。彼は物質世界と独立に精神世界が存在すると考え、従って脳にはそのコントロールに関わる接続部(連絡脳)があるはずだと主張したが、これに対しては批判が多い。 (以下リンク先を要約引用) http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya1059.html 世界は3つある。世界1は物理的な世界である。ここには素粒子、水素、土星、海、すみれ、リンゴ、啄木鳥、チンパンジー、胃腸が含まれる。世界2はわれわれの心や意識の世界である。歓喜、食欲、嫉妬、生きている実感、疲労、劣情、恋、嘔吐感、呆然、死の恐怖が含まれる。世界3は世界2が生み出した所産のすべて、知識のすべてによって構成されている世界である。すべての科学と技術、すべての記号と言語、人間をめぐる大半の哲学と思想と文学と芸術が世界3をつくっている。  これらのうちのどれかが虚偽だとか虚構だということはない。3つの世界はそれぞれ実在していて、それぞれ相互作用をおこしているはずだ。ところが、その相互作用のことをまだ誰も説明しきれていないままにある。 エクルズはそのように見る前に、そもそも世界1の生物世界に世界2の意識が到来したプロセスを注目すべきだと考えている。  植物は土地に固着して、生長と膨圧以外のどんな反応もあらわすことなく生きている。それに対して動物はさまざまな刺激に対して反応をする。この刺激-反応のくりかえしが原始的な神経系を生じさせていった。ついで無脊椎動物や昆虫があらわれて少しは神経系を発達させたけれど、むろん意識などまで生じない。たとえば「痛み」は刺激として反応できるけれど、それを「痛み」とは感じない。  脊椎動物はどうかといえば、たとえば前脳が嗅脳である魚にはとうてい大脳が感知しているようなことはおこっていない。ところが鳥類や哺乳類の脳になると、刺激-反応系をこえたしくみがうっすら見えてくる。しかしエクルズは、これらとてとうていヒトの脳に生じた意識とはまったくちがっていると見る。イヌやサルや類人猿においても神経系はそうとうに発達したとはいえ、ある一点においてヒトの脳がもたらしたものとはまったく異なっている。それは「脳が言葉をつくりあげた」という一点である。  つまり、ヒトにおける自己意識の発生は、世界1のある段階が言葉をもった瞬間に世界2に飛び移った事件と深くかかわっていそうなのである。そう考えざるをえないのだとエクルズは告げる。ということは、いったい言葉は世界2に属するのか、それとも世界3との関係で確立されたのかということになっていく。 ----
#contents ---- 相互作用二元論、または単に相互作用説といわれるものは、[[心身問題]]、特に[[心的因果]]の問題において、[[実体二元論]]を前提にして、[[現象的意識]]や[[クオリア]]といった心的なものが、脳という物理的なものと相互作用すると考える立場である。 歴史上この考えを最初に主張したのは、[[ルネ・デカルト]]であり、著書Meditationsにおいて相互作用二元論の考えを明確にした。彼においては心的現象が物理現象に作用するとする根拠は極めて明快で、「自分の意思で手が動く」というようなものであった。 20世紀以後においては、物理領域の[[因果的閉包性]]が主張されているため、また心的なものと物理的な脳との相互作用のメカニズムが解き難いという問題があるため、相互作用二元論を擁護する論者は非常に少ない。しかし有名な論者としてカール・ポパー、ジョン・エックルスなどがおり、物理学的には[[量子脳理論>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8F%E5%AD%90%E8%84%B3%E7%90%86%E8%AB%96]]が脳と心の因果作用の可能性を示唆している。 ※ポパーとエックルスについては以下のサイトが詳しい。 http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya1059.html ----

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