付随性

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付随性 - (2011/01/19 (水) 19:30:10) の編集履歴(バックアップ)



付随性(ふずいせい、英: Supervenience スーパーヴィーニエンス)は、心の哲学で使われる用語。ある現象の存在が、それと異なる現象に依存している性質。

現象Aが現象Bに付随しているということは、A固有の性質に生じるどんな変化もB固有の性質に生じるある変化に対応しているはずだというように、Aが完全にBに依存しているということである。

心の哲学においては、クオリアなど心的な性質の、ニューロンの活動など脳の物理的な状態に対する付随性を議論する事が多い。すなわち「心的な性質は脳の物理的な状態に完全に依存して生起している」という事を言いたいときに、「心的な性質は脳の物理状態に付随している、(またはスーパーヴィーンしている)」などという風に使う。これには『心的な性質に関して異なりながら、脳の物理状態が同一だ、ということはない』という意味が含意されている。

近年の神経科学の急速な発達により、「心的」とされる性質のほとんどがニューロンの活動など脳の物理状態に付随するものだと一般に考えられるようになった。これは脳状態の変化に対応することなく心的状態が自律的に変化することは無いという考えでもある。

著名な哲学者でこの見解を支持する人物にはジェグォン・キムがいる。このような見解は「非還元的唯物論」ともいわれる。付随説をとればクオリアなど心的現象を消去することなく、人間心理について完全に唯物論的な説明が可能となる。付随説は心身問題を解決した、また解決への第一歩を提供したとと考える学者もいる。

しかし心的な性質の全てについて脳の物理的な状態への付随性が成立しているのかについてはまだよくわかっていない。特に心の哲学の分野ではクオリアの付随性についての議論が非常に盛んで、哲学的ゾンビ逆転クオリアなど、付随性が成り立っていないような状況について考える思考実験が頻繁なされている。