ジョン・サール

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ジョン・サール - (2009/10/04 (日) 00:08:38) の編集履歴(バックアップ)



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ジョン・サール(John Rogers Searle 1932年7月31日- )は言語哲学および心の哲学を専門とする哲学者。カリフォルニア大学バークレー校教授。

アメリカのコロラド州に生まれる。ウィスコンシン大学に入学する。オックスフォード大学講師を経て、1967年にカルフォルニア大学教授に就任。ニクソン大統領時代には大学問題大統領特別顧問としても活動した。

人工知能批判で知られ、チューリングテストに対する反論として中国語の部屋という思考実験を提案した。また、言語表現が間接的に果たす遂行的機能(間接発話行為)の研究を行い、ジョン・L・オースティンの後継者と称された。

2000年にジャン・ニコ賞を受賞。

心の哲学

心の哲学 [編集]
心の哲学についてサールは多数の主張をおこなっている。サールによれば、意識とは第一者(その意識を所有し、経験している当の本人)からによってのみ接近可能な、存在論的で還元不可能な性質を持っている。たとえば痛みという感覚を挙げると、痛みは誰かの主観性によって感じられない限り存在せず、したがって存在論的な主観性を持っている。サールは、第三者から見て観察可能なデータのみを扱う行動主義や機能主義のようなアプローチを、意識の還元不可能性を無視する姿勢だとして批判している。例えばダニエル・デネットによるヘテロ現象学のような姿勢は、意識の存在自体を否定するものだとサールは言う。

サールによれば、胃が胃液を分泌したり、植物が光合成を行ったりするように、脳の生物学的な条件によって意識が生み出される。このような立場は、生物学的自然主義(biological naturalism)と呼ばれることがある。

その一方でサールは、心と身体は相互排他的なレヴェルで存在しているとする心身二元論を、非科学的な立場だとしてしりぞける。さらに、心的なものと物理的なものとを相互排他的であると考えてきた伝統に対してサールは批判的であり、意識という心的なものは脳の物理的なプロセスによって産出されることは明らかなことであって、心的/物理的というようなカテゴリーはもはや廃棄すべきだと考えている。その一方では、脳と意識の関係を科学的に解明するにあたっては、意識のもつ存在論的で還元不可能な性質(存在論的主観性)を取り残さないことの必要性をサールは強調する。意識は、統一された場(unified field)であるという性質を持つことを指摘したうえで、サールは神経科学に対し、意識に相関した脳活動を見つける上で、ニューロンの活動を個別に調査して徐々に意識へと迫るという、通常採用されるビルディングブロック的なアプローチよりも、意識する状態にある脳と無意識の状態の脳の差異を比較する統一場的アプローチ(unified-field approach)のほうが、より効率的に意識の謎へ接近できるとして推奨している。