志向性

「志向性」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

志向性 - (2011/02/12 (土) 18:28:10) のソース

#contents
----
**概説
志向性とは、人間の意識が外部の世界の何かに対して心的状態を向ける(注意を向ける)能力、また心的状態を関連付ける能力である。

心の哲学においては特に[[ジョン・サール]]が志向性の問題に注目しており、著書『志向性―心の哲学』において詳細に論じている。サールによればあらゆる言語は志向性をもち、そして言語のもつ表象能力は心の志向性に由来し、この志向性はそもそも心的状態そのものに内在しているという。サールは志向性こそが言語を生み出す原理であるという立場である。

またサールは、人間の心とコンピューターが決定的に異なるのは、外部のものを志向する能力があるか否かであると考える。[[チューリングテスト]]にパスしたような高度な人工知能は、「太陽」や「猫」について人間同様に語ることができるが、実際にはプログラム内で情報を処理しているだけであり、外部に在るものを志向しているわけではない。しかし人間の心は「十年先の未来の世界」を志向し、近くを走っている「車」に注意を向けることができるのだ。

**外在主義と内在主義
外在主義では、志向内容は行為者と世界(外在)との因果関係によって構成されるのであって、心(内在)的な性質ではないとする。この立場の哲学者には[[ヒラリー・パトナム]]がいる。対して内在主義では、私たちの志向内容はもっぱら自分たちの頭の中に存在すると解釈する。ジョン・サールはこの立場である。
----