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作品





最後の日



目覚ましに手を伸ばす
カーテンを開ける
陽射しが眩しい
ああ 今日は最後の日

君が味噌汁を作る
ネギを刻む音
僕は朝刊を読む
ああ 今日は最後の日

「あなた、ネクタイが歪んでるわ」
「ん・・・ああ・・・」
「男はもっとびしっとしてないと」
ああ 今日は最後の日

「帰りはいつ」と訊かない君
本当は子供のように心細い
でも「ありがとうな」と微笑む
だって今日は君の夫でいられる最後の日



538 名前:最後の日[] 投稿日:04/07/18 12:43 ID:QWxc7kqh


【コメント】

558 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY [catwalk7@nifty.ne.jp] 投稿日:04/07/23 12:46 ID:HJ4VIGpf
>>538 最後の日
やっぱりネギですか。友人の新婚奥さんが買い物かごに白いネギのをを覗かせている
のを見て、幸せそうだなあ、ともの凄くうらやましく見えたことがあります。
この作者は「ネギを刻む音」ですか。何か、同じ感覚が流れているなあ。


【得点】 2点
  • MUJINA ◆iXws.WGCLY:1点
  • 快楽童子 ◆plhXCa4.HY:1点





満月に照らされた最後の言葉



円満な日々は長くは保たず
新月の姿で終わりを告げる
君に何をしてあげられたかなんて
天照大神にもわからなかったんじゃないのか
須らく無知を装っていたなら
僕さえ我慢すれば、君を傷付けなくて済んだのか
離れ離れになるけれど、どうかお元気で
またどこかで会っても声は掛けないで
最後は無言のまま 瞳は伏せたまま
後ろは振り向かず けれど前も向けず
のどもとから込み上げてくる感情を
言葉にできないまま 舞台は幕を閉じた
葉音がやさしく満月を奏でる夜のことだった・・・



539 名前:満月に照らされた最後の言葉[sage] 投稿日:04/07/18 17:37 ID:pqO6SHA1





さようならグリーン



オレンジ色の空 オレンジ色の砂漠
一体どこからどこまでが空なんだろう
とりあえずその真ん中の白いベッドに貼り付けられてる

10メートル先にマシンガン持った緑の軍人
天然パーマでやたらと頭の大きな 骨太で大柄な軍人
そのマシンガンで守られている気がするの 寡黙な軍人グリーン

私は彼を心でグリーンと呼んでいる 助けてグリーン
今日も列をなして男達がやってくる 助けてグリーン

私 この世で最後の女 一刻も早く次なる女を産み落とす使命
繰り返し繰り返される本当のピストン運動
粘膜はとうに擦り切れて何もないただの穴なの
ねぇグリーン 意味のある行為なんてもう何一つ無いの
舌も何の味も解らなくなるの 知ってる?グリーン

8001人目の男が女に乗った後でようやく孕み
パンパンにはった腹から赤い塊を産み落としました

希望に溢れた赤い子供 腹部には丸い空洞がありました
男達がその穴を不思議顔で覗きこんだ先に 死んでゆく女の景色

オレンジの砂になった彼女と白いベッドの側に 
アンバランスな枝を持つ一本の小さな木 
この世で最後の葉っぱを持つ緑色した小さな木 



540 名前:さようならグリーン[sage] 投稿日:04/07/18 19:58 ID:mnQhsumf


【コメント】

559 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY [catwalk7@nifty.ne.jp] 投稿日:04/07/23 13:05 ID:HJ4VIGpf
>>540 さようならグリーン
感想・雑談スレで誰かが言っていたけれど、壮絶、というならこの詩がまさにソレ。
オレンジ―白―グリーン―赤。原色の強烈なイメージ。なーんか、環境破壊の末路
を歌っているような気がする。女=地球を犯し続ける男たちは文明の擬人化か。
アメリカのコミックのようなドライなタッチでカルカチャライズされた風景がいつまでも
胸い残る。

446 名前:心霊写真 [sage] 投稿日:04/07/27(火) 23:57 ID:wNqrz8Nb
「さようならグリーン」を書きました。MUJINAさん寸評、評価ありがとうございます。
初参加で、意見貰えてとても嬉しかったです。
チャンプ、準チャンプの方おめでとうございます。評価人の方お疲れ様でした。
「さなぎ」にぐっときて「水戸黄門」で笑ってました。


【得点】 2点
  • MUJINA ◆iXws.WGCLY:2点





一日の終わり



車窓より。

屋根瓦の上を夕焼けが歩いてゆき、送電線の上に寂寥(セキリョウ)が鳥のような輪郭をしてとまっている。
雲海を炙る、今日という活性の燃える歯車を押し終えた惑星は、劣化の時を迎え、ありとあらゆる知覚の延長には重たい時間がしがみ付き、ところ構わず錆がふつふつと涌いていた。

胸元に指先が伸びる。

→ON (sogar "apikal blend" /12K)

《エレクトロニカ is 音の桃源郷》のプチプチとはじけるノイズは擽(クスグ)りはじめ、項(ウナジ)を走る波頭に視界は溶解する。
それはまるで建築体の壁面に吹く量子嵐であり、集積回路を長い脚で歩くパルス蟲であり、金属板の上に彫られた阿弥陀模様を上下運動するのに酷似した体験であった。

物思いが使い古された因果の玉をついて拡散してゆく。

「そうか、ヒトは終わりを撒き散らして時間と空間の峰と峰を踏破してゆくのだ。
  レコードは再生を予期されており、再生された瞬間に終焉を予定されるのだ。
  だとすれば、拡張して、全ての行為が誘発するのは終焉であり、すなわち世界では何も起きてこなかったというのか!
「いや、少なくとも我々には繰り返しがある。それは希望の現身(ウツシミ)だ!

かねて聴き込んだ音楽渦の中心に巻き込まれながら視線をプレイヤーの輪郭(フォルム)に沿わせて、縋るように円周=輪廻の象徴を追い求め、その永遠の退廃の陰に雨宿りする。

やがて翻って再びなぞる視線の『始点』に至る思いにもう一度嫌な気分を再生したところで我が町へ到着。
流れ出すともう切迫感は人ごみに溶け出して霧散しまっているのだった。



こうしてヒトは生きているのだ
微かな首肯
胸中にひとつ
そして繰り返しを幾らか含んだ一日が、また終わる



541 名前:一日の終わり[sage] 投稿日:04/07/19 03:39 ID:ifGI7QDQ


【コメント】

559 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY [catwalk7@nifty.ne.jp] 投稿日:04/07/23 13:05 ID:HJ4VIGpf
>>541 一日の終わり
一読して思ったのは、これは宮沢賢治だなあ。賢治の詩には地質学の硬質な理系言葉と仏語が
奇妙に同居しているが、この詩も4,5連目の「量子嵐」「集積回路」「パルス蟲」
「阿弥陀模様」「因果」と現代版宮沢賢治復活! という感がある。それとサイバーパンクっぽい
世界。さらに6連以下はテツガクの世界。作者独特の輪廻観が展開されるが、繰り返しを絶望や
ニヒリズムの陥穽に捕らえられることなく、「希望の現身」とするところは、「シジフォスの神話」
やニーチェの運命愛を思わせる。
ともかく、繰り返し=反復に生の本質、ポエジーの発生を見るところは私も大いに同感するところで
あります。

560 名前:グリーンブック ◆yCYysoyX.A [sage] 投稿日:04/07/23 17:57 ID:HW8+9avF
>541  一日の終わり
内容を正確に把握できませんが、妙に納得させられました(錯覚かもしれません)。なんでしょう、この感覚は。酔いました。

566 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:04/07/25 07:27 ID:BI5+1o+D
2点
>>541 ぼくはイナガキタルホをイメージしたなあ。いずれにしろ、現実のス
リットをちょいとこじあけて、裏側にあるものを見つめる感覚だよね。
ここで言いたいのは、こうした感覚はいわば詩の本流ともいえるものであって
ぼくはこの詩にものすごい既視感を感じた。といっても、もっとハッチャケた
ら、ワケわかんなくなるだろうけどなあ…。

571 名前:人形使い[sage] 投稿日:04/07/27 10:06 ID:T0eIxQyb
次のテーマは「窓」
投稿〆切は8/3いっぱい(8/4午前0時まで)

441 名前:名前はいらない [sage] 投稿日:04/07/26(月) 02:54 ID:pTi/d7Ln
 >本541
「寂寥」のそして磨耗感の「終焉」からのどこか諦めめく「希望」への推移が
「我が町へ到着」するための詩中空間の移動とともにある。
科学的視点を含んだ比喩・象徴イメージが連関をみせるダイナミックな印象の
レトリックが構築するこの時限空間には微妙にエロチックな
音楽批評とそれを人生(一生)の比喩でもある「レコード」で繋いだ
妙に合点がいく、東洋的に浄化する哲学的エッセーとが情景化的に
組み込まれている。また一方で「ふつふつと」→「プチプチと」、
「胸元に」→「胸中に」そして冒頭の「歩いてゆき」→最終の「生きている」
などの呼応関係が詩に安定感とリズムを与えた。


【得点】 5点
  • グリーンブック ◆yCYysoyX.A:1点
  • MUJINA ◆iXws.WGCLY:2点
  • Canopus ◆DYj1h.j3e.:2点





最後




ケガしたらつまらない
中途ハンパなら やめたほうがいい
自分の気持ちなんかわかってる
わかっていて ちがうから
ハラが立つし わかってないと考えちまう

わかって わかってるどうしようもない
わかっているんだよ

すれ違うのも 終わりになるのも
悲しいけれど
それはそれで
仕方がない

  物語の終わりには必ず望みが
かなう

違っていたら ガッカリだから
いい時間を
楽しもう
今を飛翔び越えて
明日はない
ただ
ただ
ただ
    今が続く




542 名前:最後[] 投稿日:04/07/21 00:31 ID:U9yzO1mk





さなぎ



どんけつを走る駄目な奴が
今まさにゴールする寸前
それまでピーチクパーチクやっていた女どもが
頑張れだのあと少しだの
声援を送るのは多分
偽善からくるものだと思っていたから
ゴールしていた僕はふてくされて
ひと足先に給食に帰った

人は最も優れたものを好み
人は最も劣ったものを好み
そうして中途半端な僕たちは
所詮引き立て役に過ぎないのかもしれない
朝日は赤くて夕日は赤い
そうして真昼の太陽は
明るく照らせども見られない

ベストタイムが出たね
僕は認める
例え誰も気付かなくても

蛹を見ている
今蛹を見ている
サングラス越しに

この世は最初と最後だけじゃないから
だからこそ時は流れるように進んでいく




543 名前:さなぎ[] 投稿日:04/07/21 01:16 ID:aGwlEOve


【コメント】

561 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY [catwalk7@nifty.ne.jp] 投稿日:04/07/24 00:16 ID:myPDsUu2
>>543 さなぎ
何気ない日常の瑣末な出来事を詩的な領域に引っ張り込んで考えてしまう作者の資質
が好きだ。第1連は実景だろう。普通の高校生はここでふてくされて、寝てしまうところ
だが、この作者は違う。「人は最も優れたものを好み/ひとは最も劣ったものを好み」と
鋭いニンゲン観察を見せ、「中途半端な僕たちは/所詮引き立て役に過ぎない」と
大部分の読者の賛同を引き出す一致点を提示する。そして、それだけにとどまらずに、
私たち凡人を「真昼の太陽」に喩え、さらには「蛹」へと飛躍させてしまうのだから。
この飛躍を読者はどう受け止めるか。賽の目は丁と出るか半と出るか。果たして如何に。

441 名前:名前はいらない [sage] 投稿日:04/07/26(月) 02:54 ID:pTi/d7Ln
 >本543
「寸前」、「声援」、「多分」そして「偽善」の踏韻が作文調を救った初連。
対句法と比喩法を駆使した第2連と孤高な前方向性を「ベストタイム」に
凝縮させた第3連を経ると「蛹」が「サングラス越しに」でなければ
「明るく照らせども見られない」「真昼の太陽」のような羽化(成長)するべき
「僕」のことであると分かる第4連はリフレインが現状の苦さや
必ずしも決定的ではない将来への不安と自信との複合を増幅させ
詩のクライマックスとなった。最終連は前連の興奮を鎮めるように
「最初と最後」の前提あるいは内包概念である≪中間≫に「僕」を喩え
現況の肯定となっているけれど若干ぼんやりとした印象を受ける。


【得点】 2点
  • MUJINA ◆iXws.WGCLY:1点
  • 快楽童子 ◆plhXCa4.HY:1点





救いは打ち込む草稿が残ってた事



費やした日々 それがどう報われるのか
そんな事 考えやしなかったけど

とにかく 締め切りは明日で 僕達は徹夜
テンションは限りなくハイ 或いは壊れて

何だって こんな事してるんだろうかなあ 
半笑い 取り合えず終わらせなきゃ眠れない

パワーポイントに打ち込む 打ち込む
プレゼンも考えなきゃって言う彼女に彼は
俺がするわけじゃないしだって 全くだ
出来上がったパワーポイントを使って組み立てろ
そんな風に過ぎた 新聞配達の音が聞こえ

鶏の真似をした彼 後1枚で終わる余裕
命取りだって知らずに 後一行で終わる 終わる

最後の行を変換しようとした時 暗転
停電 現実が想像を越えた瞬間に
終わりは 始まりに変わった 合掌



545 名前:救いは打ち込む草稿が残ってた事[sage] 投稿日:04/07/21 11:42 ID:gcgWTdXl



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最終更新:2007年04月15日 23:27