作品
たゆたう
出せない手紙が部屋に満ちて
その上でぼくはぷうかぷうか浮かんでいるのです
もうすでに
窓は深く海中に沈み込み
かろうじて
外から聞こえてくる笑い声と
時折団地の向こうを走る電車の音で
まだ間に合うと自分に言い聞かせるのです
部屋は暑く
換気もきかないので
ダラダラと手紙に汗が染み込んで
滲んだインクで
濁った波間に揺れて
上部だけを僅かに覗かせた扉を
横目でぼんやり見つめていると
あの向こうには誰かが立っていて
ノブに手をかけているんじゃないだろうかと
不安に息を殺すのです
聞いてください
それでもここは
どろりとした海中に潜ると
すぐに光は届かなくなり
腐ったような異臭に身を包まれますが
膝を抱えると
とくんとくんと体が揺れて
とても心地よいのです
聞いてください
それでもぼくは
いつか
手紙の海にすっかり溺れてしまう前に
扉を開けて欲しいのです
409 名前:『たゆたう』 1/2[sage] 投稿日:04/06/28 12:37 ID:t7wUechl
410 名前:『たゆたう』 2/2[sage] 投稿日:04/06/28 12:37 ID:t7wUechl
【コメント】
426 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY [mistyage@nifty.ne.jp] 投稿日:04/06/30 09:09 ID:7JYsTx0l
>>409 たゆたう
ゴメン。392の「目覚めず、されども」を読んだあとなんで、この詩はそのエピゴーネンに
見えてしまう。作者の意図はさておき、海、手紙が部屋に満ちる、夢見心地など、イメージが
だいぶかぶっている。これは偶然なんだろうけれど、「目覚めず―」が秀作なだけに、だいぶ
損をしている。こうした投稿順の掲載ではなく、一斉に載せる雑誌の投稿のような形式であったなら
この詩の評価も決して悪くないのだけれど、うーん、難しい。
433 名前:ななほし ◆lYiSp4aok. [] 投稿日:04/07/01 02:17 ID:0pavaQ5Y
3点 >409 :『たゆたう』 1/2 :04/06/28 12:37 ID:t7wUechl
手紙がこんなにも危険なものとは……ガラスのような鋭さがある。泥沼??
434 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY [mistyage@nifty.ne.jp] 投稿日:04/07/02 00:46 ID:j7IE83tl
寸評の補足です。
>>409-410 たゆたう
これも前回の私の寸評はよく読めていなかった。
「手紙の海」はいろんなもののメタファーととれるが、私は、文字の世界、言葉の世界、
作者の頭の中の言葉の煩悩に苛まれる一方で、言葉と戯れることで孤独を癒す自我世界、
と取ってみた。部屋の外の世界=他者の世界への期待と不安の葛藤がうまく描かれていて、
いい詩じゃん。前回の寸評では392の「目覚めず、されども」との類比で言いがかりをつけたけれど、
ごめん。お詫びして訂正いたします。
435 名前:シオン ◆poetsyov/2 [sage] 投稿日:04/07/02 22:02 ID:LVXUME25
【2点】
>409-410 :たゆたう
題名どおり、矛盾した思いの渦に迷い漂うような雰囲気がいいですね。
437 名前:雅 ◆joTrwjtjUg [] 投稿日:04/07/02 23:19 ID:v/odzkPo
【1点】
>>409「たゆたう」
ちょっと泥臭い感じと、緊張感と、暑苦しい感じと…色んなものが交じり合ってる。
でも、その割りに凄くすっきりして上手にまとまってる。
その技量はすごい。
442 名前:豆腐[sage] 投稿日:04/07/03 11:33 ID:ryEsnbh6
『たゆたう』を書いた豆腐です。
評価してくださった皆様に感謝です。
初チャンプ、嬉しくて嬉しくて。
いや、ホントありがとうございます。
てなわけでお題は「庭」。
〆切は7月10日いっぱいでお願いします。
412 名前:豆腐 [sage] 投稿日:04/07/03(土) 11:51 ID:ryEsnbh6
どうもです、『たゆたう』を書いた豆腐です。
評価人の皆様、ありがとうございました&お疲れ様でした。
2回目の挑戦で初チャンプ、嬉しすぎます。
そんで、ちょっぴり恥かしいっていうか、照れるっていうか、
なんか不思議な気持ち。
『たゆたう』は、最初の2行がすぐに浮かんで、よしこれで行こう
って思ったんですけど、その後がかなりの難産でして、
いやぁでも、頑張った甲斐がありました。
よし、これからも頑張るぞっと。
【得点】 9点(チャンプ作品)
- ななほし ◆lYiSp4aok.:3点
- MUJINA ◆iXws.WGCLY:1点
- シオン ◆poetsyov/2:2点
- 雅 ◆joTrwjtjUg:1点
- Canopus ◆DYj1h.j3e.:2点
悲しい手紙
愛というのには縁がない
絶対来ないラブレター
いつも届くのは
かなししい手紙
愛のこもってない
中傷の文字
絶対来ないラブレター
思春期の夢はヤブレター
親の染色体のせいにし
世の中のせいにし
自分さえいやになる
次の悲しい手紙は
遺書か自分の死亡通知
411 名前:悲しい手紙[] 投稿日:04/06/28 18:54 ID:co5LHHOf
【コメント】
411 名前:てるあき ◆DDfwggPC.. [] 投稿日:04/07/03(土) 07:20 ID:KVoAKaCs
実は悲しい手紙の作者でした
今お題街
手紙を書こう
手紙を書こう 大好きな人に向けて
下手な文字でいいんだ
気の利いた言葉とか言えたらいいけど
「ありがとう」 だけでも不器用な心は伝わるから
手紙を書こう 大切な人に向けて
メモ帳だっていいんだ
綺麗な便箋なんて用意できたらいいけど
「ごめんね」 って伝える事が一番大事だから
どんなに時代が便利になっても気持ちは伝えなきゃ
思い出す事ができるだろう 大好きな人 大切な人
普段思っていてもいえない事 たくさんある
距離が遠くても 懐かしく思う日がある
手紙を書こう そんな愛する人たちに向けて
君の気持ちが届くように
412 名前:手紙を書こう[sage] 投稿日:04/06/28 22:58 ID:IAzaK2Rm
【コメント】
435 名前:シオン ◆poetsyov/2 [sage] 投稿日:04/07/02 22:02 ID:LVXUME25
【1点】
>412 :手紙を書こう
読んでいたらスナオに手紙を書きたくなってきました。
【得点】 1点
もうひとりのぼくへ
突然の手紙
驚いたでしょう
実はずっと前から
気付いていました
あなたに
ぼくの裏側で色々考えながら
ぼくを見ていたもうひとりのぼくに
ずっと気付いていました
ぼくはどうですか
楽しそうですか
幸せそうですか
そうでもないってこと
あなたは知っていますよね
でもごめんなさい
あなたにごめんなさい
こんなぼくが
あなたをつくってしまった
ごめんなさい
いつもひとりぼっちの時間は
あなたに任せっきりでした
悲しいことがあった日も
ぼくは拗ねて眠ってしまって…
いつもいつも
本当にごめんなさい
ぼくが寝ているとき
あなたが泣いていること
実はずっと前から
気付いていました
その理由も
悲しみしか知らないあなたは
自分を不幸だなんて思わないと
昔はそう思っていました
ぼくはどうですか
楽しそうですよね
幸せそうですよね
そうでもないなんて言ったら
あなたは笑いますよね
字を書けるのかはわかりませんが
いつかお返事を下さい
そしてまたいつか
今度はお話をしましょう
そしていつか
ひとつになりましょう
文字通り
あなたの悲しみは
ぼくの悲しみなのだから
いままで黙っていてごめんなさい
そしてありがとう
―もうひとりのぼくへ
413 名前:「もうひとりのぼくへ」 (1/2)[sage] 投稿日:04/06/29 10:56 ID:1gh1ItMy
414 名前:「もうひとりのぼくへ」 (2/2)[sage] 投稿日:04/06/29 10:57 ID:1gh1ItMy
【コメント】
432 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY [mistyage@nifty.ne.jp] 投稿日:04/07/01 00:07 ID:GVZ0BPpc
>>414 「もうひとりのぼくへ」
多重人格とか分裂症とか、自我の分裂というディープな内容かと一瞬思ったが、中身
はいたって穏当。その穏当すぎるところが私としては不満、かな。人間の表面的な人格
=ペルソナの奥に隠されたもうひとつのペルソナというテーマなんだけれど、いまひとつ
悲しみが響いてこない。もっとふたつのペルソナの間の緊張感や糾弾する内容であったなら、
気配も違ってくる。そうは言っても、これは私の嗜好。自分の趣味を押し付けちゃあいけない
ってか。
433 名前:ななほし ◆lYiSp4aok. [] 投稿日:04/07/01 02:17 ID:0pavaQ5Y
2点 >413 :「もうひとりのぼくへ」 (1/2) :04/06/29 10:56 ID:1gh1ItMy
白鳥は悲しからずや、消えぬ影に語り掛ける……手紙 こそ悲しさ……かなぁ
435 名前:シオン ◆poetsyov/2 [sage] 投稿日:04/07/02 22:02 ID:LVXUME25
【1点】
>413-414 :「もうひとりのぼくへ」
「ぼく」を想像すると哀しくなってきます。
【得点】 3点
- ななほし ◆lYiSp4aok.:2点
- シオン ◆poetsyov/2:1点
昼下がりの庭
クレジットカードの明細書
健康診断のお知らせ
同窓会の案内状
そしてあなたからのエア・メール
私という海岸に寄せてきたささやかな言葉たち
「庭の合歓木が葉を落とし始めました。
その一葉が私に向けた私信のように感じられること、
それだけでも幸せだと思うのです。」
ぬいぐるみのポケットを縫う時
白いお月様が見守ってくれていることの幸せ
猫が集まる廃船の眠り
貝殻から聴こえてくる旋律
人は誰しも未来に宛てて手紙を書いている
そう思うとき私は方舟の中にいる
415 名前:名前はいらない[sage] 投稿日:04/06/29 18:36 ID:ouwHlF1W
416 名前:名前はいらない[sage] 投稿日:04/06/29 18:37 ID:ouwHlF1W
【コメント】
432 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY [mistyage@nifty.ne.jp] 投稿日:04/07/01 00:07 ID:GVZ0BPpc
>>415 昼下がりの庭
6連からなるが、すべての連の内容、イメージ、技法がバラバラ(少なくとも私にはそう見える)。
最後の連で統合されるか、と期待するも、そういうわけでもなさそう。ただ、第3連や第5連、
とくに「猫が集まる廃船の眠り」という表現、ハッとするほど詩的だねぇ。ビンビンぽえじーを
感じるねぇ。前後の流れがこの部分を生かすようなスタイルになっていれば、最高点をつけられる。
大器の片鱗だけはしっかり見させてもらいました。
434 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY [mistyage@nifty.ne.jp] 投稿日:04/07/02 00:46 ID:j7IE83tl
寸評の補足です。
415 昼下がりの庭
何かこの詩、とても気になるので、再度、全体像を吟味させてもらいます。
ポイントは第6連目の「人は誰しも未来に宛てて手紙を書いている」というフレーズ。
第1連がその即物的な例。第3連が冬の訪れという季節感を出した例。そしてそのまま
作者の幸福観へと話題が移っていき、第4連につながる。この流れが第6連の「私は方舟の中にいる」
というキメ、つまり、生きとし生けるものと同じ時間を共有して生きることの幸せ、というテーマ
に収斂してゆく。先の寸評では全部の連がバラバラ、と酷評したけれど、ごめん、言いすぎ、もしくは
私の読みの浅さだった。それにしても、やはり構成面でもうすこし整理したほうがよさそうなのは
確か。なんか、展開が綱渡りのようで、でもそれがこの詩の魅力でもあるんですよね。なんか、よく
わかんないけれど、この詩を気に入りました。
415 名前:大木人 ◆KMcEIGIRgE [] 投稿日:04/07/05(月) 22:17 ID:BwL+Z6YJ
チャンプの豆腐さんおめでとうございます!
審査に参加できなかったのが残念です。
私の作品は「昼下がりの庭」でした。
MUJINAさん、Canopusさんどうもありがとうございました。
MUJINAさんの感じた物足りなさは間違いなく私の推敲不足です。
今回の作品は構想の段階で良いイメージが浮かんだものの、外出前に締め切りに気付いて慌てて投稿したものです。
詰めが甘い作品となってしまったのですが、そのあたりをずばり指摘されたので「ウッ」となってしまいました。
MUJINAさんのひとつひとつの作品について意図を丁寧に汲み取ろうとする批評姿勢には頭が下がります。
次回、自分が審査するときも丁寧な審査を心掛けたいと思います。
では。
416 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY [sage] 投稿日:04/07/06(火) 00:38 ID:8BoAhI9+
>>415 大木人さん
あの、前に何回もチャンプになったことがある、大木人さんですね。過分なお言葉を
いただき、恐縮しております。なにせ、こちらは新参者にして、いまだチャンプを取れず、
にもかかわらず、毎回、生意気なことを書いていて、恥知らずを覚悟のうえ、半ば開き
直っている次第であります。
ところで、「昼下がりの庭」の「猫が集まる廃船の眠り」のフレーズはどこからインスピレーション
されたのでしょうか。詩は意味やメッセージ性にこだわる「意味バカ」の私としては、
イメージを大切にするこうしたフレーズは書けないし、だからこそ、めいっぱい気にいって
しまいます。あの詩については、私はグダグダ意味を書いて、かえってあの詩の持つ豊かな
イメージをだいなしにしてしまったかな、と少々反省しております。
418 名前:大木人 ◆KMcEIGIRgE [] 投稿日:04/07/08(木) 17:19 ID:ZP+tADUW
>MUJINAさん
い、いや何回もってほどではないです…、自分も若輩ですし。
「猫が集まる廃船」を実際に目撃した訳ではないんですが、これは地元の風景や思い出に根差したイメージだと思います。
源風景というのは詩を書く際に無自覚のうちに拠る、土台のようなものなのかもしれません。
作品にコメントをいただけるのはとても嬉しいことですし、良い刺激にもなっています。
お互い切磋琢磨して頑張っていきましょう!
【得点】 4点
- MUJINA ◆iXws.WGCLY:2点
- Canopus ◆DYj1h.j3e.:2点
Love letter
======================================
The 1st three-line love letter
「初恋」
僕は君とここで出会い
君と僕はここで別れる
四月になると他人になる君へ 「じゃあな」
======================================
The 2nd three-line love letter
「流れ星」
君に想いを告げた夜
地上に落ちる流れ星
僕は星に願いをかける 「明日天気になぁれ」
======================================
The 3rd three-line love letter
「ひとりぼっち」
机の上で微笑う君
携帯電話は鳴らないまま
今日が過ぎたらメールしよう 「ごめんな」
======================================
======================================
The 4th three-line love letter
「車窓」
流れる景色を見つめながら
今だけ思い出に浸ろう
泣きやまなかった君へ 「がんばるよ」
======================================
The 5th three-line love letter
「笑顔」
懐かしい空気
セピア色だった街
かわらない君の笑顔 「ただいま」
======================================
The three-line love letter last talk
「Happy end」
真っ白な部屋
インクの匂いのする新聞
珈琲を煎れる君 「おはよう」
======================================
417 名前:「Love letter」 1/2[sage] 投稿日:04/06/29 19:15 ID:uzY8M5/Q
418 名前:「Love letter」 2/2[sage] 投稿日:04/06/29 19:16 ID:uzY8M5/Q
【コメント】
432 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY [mistyage@nifty.ne.jp] 投稿日:04/07/01 00:07 ID:GVZ0BPpc
>>417 「Love letter」
内容はともかく、形式が変わっている。詩群の間に二重破線を入れ、詩群ごとにそれぞれ
タイトルをつける。いまや行き詰まりの感がある現代詩にあって、このような試みは十分
試してみる価値があることのように思う。チャレンジ精神を買いたい。
433 名前:ななほし ◆lYiSp4aok. [] 投稿日:04/07/01 02:17 ID:0pavaQ5Y
1点 >417 :「Love letter」 1/2 :04/06/29 19:15 ID:uzY8M5/Q
確かに新しい表現形式だと感じる。これ、2チャンネルのスレッド形式かな?
アクセントのせりふでは「明日天気になぁれ」がよかった。
435 名前:シオン ◆poetsyov/2 [sage] 投稿日:04/07/02 22:02 ID:LVXUME25
【1点】
>417-418 :Love letter
断片的な三行詩を一つの流れとして巧くまとめた構成がいいですね。
437 名前:雅 ◆joTrwjtjUg [] 投稿日:04/07/02 23:19 ID:v/odzkPo
【1点】
>>417-418「Love letter」
構成が面白い。
負けました。
短編連作小説のような試みですね。
【得点】 4点
- ななほし ◆lYiSp4aok.:1点
- MUJINA ◆iXws.WGCLY:1点
- シオン ◆poetsyov/2:1点
- 雅 ◆joTrwjtjUg:1点
Messege In A Poem.
名前を知らないあなたへ
宛先のない手紙を贈る
行き場所のない想いがいつか
届くべき人へ届くようにと
しなやかなボトルに包んで
ネットの海に流してみる
夢見る詩人の戯れ言を
あなたは愚かと笑うでしょうか
それでも嵐の海原に
あるいは氷の岸壁に
漂うそれを見つけたなら
あなたは拾ってくれるでしょうか
固く閉ざした封印を
手慰みにでも紐解いて
あなたの心の片隅に
そっと置かせてくれるでしょうか
いいえ
応えは要りません
宛先のない手紙の主は
名前のいらない夢見る詩人
名前を知らないその人が
君ではないと知っているから
君よその手を差し伸べないで
割ったボトルの鋭さに
優しいその手を傷つけぬように
漂うボトルは漂うままに
波間で夢見て居たいのです
419 名前:Messege In A Poem.[] 投稿日:04/06/29 20:36 ID:xj0plDHx
瑞夫さん
土曜日の午後は絵本を抱いて、瑞夫さんの団地にいく。
瑞夫さんはいつも家にいて、
甘くてミルクたっぷりの紅茶をいれてくれる。
瑞夫さんの弱さを、わたしは見抜いている。
床を埋めた幼い手紙に、威嚇されて優しいこと。
俯せればカーテンの残像は、知らない音楽に揺れている。
裸足のつまさきが、猫みたいに動きはじめるのは、
タオルケットが滑り落ちたから。
蛇口から滴った水が途中から90度折れて、便箋を黒く濡らす。
不幸な家族なみに嫌いな夕方には縮んで、
うちに帰るとすぐに、手紙を書きはじめる。
いつもと同じ文面。
UFOの本買ってくれたから、全部秘密にしてあげる。
わたし、いつも起きてたんだよ。
420 名前:瑞夫さん[sage] 投稿日:04/06/29 21:12 ID:cseasTgd
あら、そうなの?でもここ日本だし・・・
みなさん何やってんですか?
手紙に文字を書いてんですか?
手紙に思いを託しているんですか?
そーんなまさーかねー
ハハハ
私の生まれた国では
手紙=トイレットペーパーですよ
何にも書かないでいい、流すだけでいい
むしろ流しきってしまいたいですね
日々の汚れを、体中についてしまった
こびりついた言葉や文字の垢を
手紙は読まずに捨てなさい
相手の狙いは貴方が死んだ時に残る
遺産だけですよ、きっと
相続税をいっぱい払って腹黒く笑いたいだけ
それでも
手紙を書き続けてしまうのですか?読んでしまうのですか?
そーんなまさーかねー
ハハハ、ハハハハハ・・・・
421 名前:あら、そうなの?でもここ日本だし・・・[sage] 投稿日:04/06/29 21:28 ID:Q54YHtql
手についた紙
手についた紙がどうしても取れない
言いたいことは一つに足りない
なんだかいきおい余ってボールペンが便箋を突き破ってしまった
あなたとはめったに会わない
たまに出くわしておあいそ言ったり無視したり
それだけ
もう翌朝便とかバイク便とか自転車便とか
似たような人にいっぱい会って
いびつななにかを梱包するのにつくづく疲れた
一筆添えるだけのために小さな紙切れにいろいろ書いたりして
これは手についたまま漂っている
ぬれたティッシュペーパーのように
ぺったりと頭蓋の裏側に貼りついている
そのようにここに余っている心がある
運んでくれ
わたしに入れるだけのあなただ
たまには持ち去ってくれ
どっさりと
行ってくれ
もう梱包する気力も
422 名前:手についた紙[sage] 投稿日:04/06/30 00:04 ID:fxaJ/7zY
最終更新:2007年05月16日 02:02