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作品





希望



ふるえる指先が
そっと 炎にかざされる

この暗闇を 照らすように
この暗闇を 抜けるために

負けたくはないのだと
揺らぐつもりはないのだと
強い風が吹きすさぶ中
自分に 言い聞かせるように

いつかは抜け出せる
いつかは越えられる
漆黒が占めるばかりの中
自分へ 確かめるように

風で 消えぬように
自身で 消さぬように

ふるえる指先を
そっと 炎にかざす



481 名前:希望[sage] 投稿日:02/05/24 03:36 ID:???


【コメント】






火の人



火の人がいた
私の遠い傍らにいたのだ

黒く重く優しく
まるで死人のような熱さで
火の人は黙りつづけ 生きた

私は知っていた
その 火のような胸を
私は知っていた
その 火のような涙を

火の人がいた
私の遠い傍らにいたのだ



485 名前:火の人[sage] 投稿日:02/05/24 06:20 ID:???


【コメント】






火



怒るべき時に怒れないと
私は火を飲み込んだようになってしまう

いい年してとか
感情的だとか
やさしくないとか
周りの視線を気にして
押し黙るたびに
心が焦げついていく

火は全てを焼き尽くすもの
ごまかしても しまいこんでも
くすぶり続けるもの
たまには解放してあげよう
外に連れ出して大きく燃やしてあげよう
火を味方につける
それが
大人ってもんだわ



486 名前:Kitchen Police[sage] 投稿日:02/05/24 09:02 ID:???


【コメント】






燃える命



ろうそくのようだ

未だ燃える ろうそくのようだ

灯りが 揺れているようだ

ゆらゆらと 揺れているようだ

古いトタン屋根の家で 泣いている子供のようだ

懐かしい場所で 揺れているようだ

随分と孤独な様子だ 幻影を揺らしているようだ

悲しみがたくさん 詰まっているようだ

眠っているようで 張り詰めているようで

静寂が 泣いているようだ

貴方の静かな闘いが 静かに燃えているようだ

マルデ 砂漠を走っているようだ



489 名前:燃える命[] 投稿日:02/05/24 15:26 ID:3OyQW/0K


【コメント】






凍る火



はたしは 火をともしませう

はたしの 火をはなちませう

熱くとろける凍る火をながめませんかいな

なもかもなもかもを抱擁しませう

はたしを 待っているのはたれかしらの

こちこちこちこちこちですわの

はたしの こゑきこゆるかなもし

はてまあ はたしはここにおるで

蒼い火の子や いらしゃいなあ

ひとりはここちわるかろがもし

凍る火のおそばへいらしゃいなも

熱く冷ましてとかしてしもうて

いらしゃいなあ ここちよいよい凍る火のおそばへな




注 はたし→わたし




491 名前:凍る火[sage] 投稿日:02/05/24 20:12 ID:???


【コメント】






世界炎上



双塔の高層建築物が
狂信の翼にふれて
脆くも崩れ去ったあの時から

世界はずっと燃え続けているというのに
目に見えぬ青い業火は
世界を焦土と化そうとしているというのに
今では
あちらこちらで白い煙さえ上がっているというのに
見えない炎を言い訳に
指導者たちはそれを認めることを良しとしない
その衣にすら火は
燃え移ろうとしているのに

熾きた火は止められない
すでに
大地は青く燃えている
その空を青く照らし出す炎の色で
海までも青く照り映えて
自身が炎に追われるのも
時間の問題だというのに
青い炎に炙られても平気な顔で
笑っていられる怠惰な人々に
世界は絶望する

わかりあえぬ事を
当然の結末と諦めて
ただひたすら青い業火に
身を灼かれるのを待つのか従順な人々よ
わかりあう事が
炎を鎮める唯一の手段と知りながら
何もせず
ただ炎の時代の到来を待つ怠惰な人々よ
そんなあなたがたに
世界は絶望し、炎上する


506 名前:世界炎上[] 投稿日:02/05/24 23:00 ID:1we1qfQI


【コメント】






詩人のかなしみ



ぼくは見た 誰かが泣いているのを
やわらかな水音のきこえる小さなしげみで

ぼくは見た 誰かが泣いているのを
ことばの影がおちる迷宮に閉じこめられて

さむさにふるえ
背に大きな矢がささったままで
血をながし いたみに耐えて
ぼろを引きずりながら旅をつづける
小さな小さな
名前もない ひとつの存在

ぼくは見た どこにもいないあなたが
それをやさしくだいて
ささやかな火をその内にともすのを

思いもかけないぬくもりに出会って それは
いまだかつてないほどに
はげしく泣いていた


508 名前:詩人のかなしみ[sage] 投稿日:02/05/24 23:19 ID:???


【コメント】






火蛙



私という木は
草も生えない焦げた丘の上に 立ち
両手を枝として広げ
千の青い林檎を実らせて
待ち望んでいる
ついばむ嘴を
もぎとる手を。

私を仰ぐ蛙どもは
私に実っている林檎の蜜を狙って
喉を鳴らしてずっとそこにいるのだが
彼らのためにひとつとて
落としてやる気にはなれない
自慢の跳躍でもぎとってみろ
そのうち干物となる運命か?

しかし蛙とは
火を吐く動物であったか
丘を焦がしただけでは飽き足らず
私の根元は既に焦げている
しかし侮るな
私の逞しい千本の根は
貴様らごときの火では焦がし尽くせぬ。

しかし私には見えている
蛙どもは木に登ることを覚えるだろう
怒りに我を忘れている蛙どもは
もはや蜜を啜ることなど意中に無く
千の林檎を焼き尽くしにかかるだろう
青い林檎は炎で内から赤く染まり
どす黒い灰を風に飛び散らすだろう。

もしも
私がもしも歩けたなら
前へ進み続ける人間であったなら
そして私の腕の林檎が
蛙の目につかぬところに実っていたなら
彼らは私を馬鹿にして
小便もひっかけぬただの蛙であったろうに。


509 名前:火蛙[] 投稿日:02/05/24 23:19 ID:kU1SONrB


【コメント】






二足歩行の疑問



灯して
定かならぬ
静謐の世界に流れる
たった二つの揺らぎ

手元の熱と脳の熱

おぼろげに
空に交じる灰色の歌

彼らを抱いていた
在りし日の大地へ
俺は一つだけ問うてみたい

何故
人は恐れなかった


515 名前:二足歩行の疑問[] 投稿日:02/05/25 00:59 ID:wj1UUu1X


【コメント】





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最終更新:2006年09月09日 18:11