作成中です・・・

ページ:1 2 3 4

作品





エーテルの反乱



604 名前:エーテルの反乱(0) [] 投稿日:03/10/26(日) 18:10 ID:1WUr1aOq    New!!
(虹の色した月明かり)
(橋をまたいで水面へ)

(排水溝の深い影)
(青緑の水草の)
(間を汚水が泳ぎます)
(濁った水が泳ぎます)

(月明かりは水面で)
(跳ね返されてしまうけど)
(かすかに底にとどきます)
(かすかに底をてらします)

(汚水のあいだを泳ぎます)
(月の光が泳ぎます)

605 名前:エーテルの反乱(1) [] 投稿日:03/10/26(日) 18:23 ID:1WUr1aOq    New!!
アルコールランプの蓋を弄び 部屋に入った
電気はつけない

ダンボールの影にくつわむし
ほうりっぱなしの服にすずむし
クロゼットの闇にこおろぎ

冷蔵庫でたまねぎが芽吹いた

ベランダには
線を抜かれて光れない機械たち
窓の外は
真夜中なのに明るい空
機械たちに
緑色の反射光をつくる

道の真ん中で
アスファルトを必死で砕いてる人がいる
ベランダで
その音を聴きながら
きっと種をまいて、そしてここは森になるんだと
そう思った


(火事だとどこかで誰かがいった)



【コメント】



【得点】 0点





-悲報-



608 名前:-悲報- [] 投稿日:03/10/27(月) 11:34 ID:UPcU5Cc5    New!!
親友tは鳥で、壊すべき立体テレビの中心で、「私ナンシー!!」と叫ぶ。
それは確実に700%幸運になる歌。
不必要な愛が、達成しない血液を印刷していた。
0.5年後にあなたの心の中でタバコは静かに発射され、躯の臓器が心臓と膀胱で99%の少女がで苦しんだ私の頭を引っ掻く。
愛としての義務など、雑音でいっぱいの公衆便所の内部で批判する詩人と同じだ。

IQの底から階段で、彼の希望の頂上が部分と単色によって、主に引き抜かれた。
弱く移動される音楽の列車の気楽さ考慮する場合は常に、他のものの方向に詩の批判を尋ねよう。

天使が単語で言うことは、プロセスを必要としないフレームのない壮大な物語。
弱いその人の中でよく笑い、涙を必要としないフル・カラーに変換できる小説。

涙に強制 ハトの舌癌 疾病 彼の希望 私、そしてその心。

旨いアルコールを飲む喜びに似た、夜を興奮で満たしたコカコーラ。



【コメント】



【得点】 0点





血について



609 名前:血について [sage] 投稿日:03/10/27(月) 13:04 ID:kU3/GN8x    New!!

  僕は戦場で流される血の
  止血帯にはならないで
  僕は街頭で血を流す人の
  絆創膏になるのです

  そして赤い液にまみれます
  それから乾いて黒ずんで
  ばりばりばりと矧がされて
  ひょいと投げ捨てられるのです

  僕は誰の痛みも無くしません
  人が自分を愛するときに
  他の人の仕方のない無知が
  人にため息つかせるのも仕方のないままです

  僕は戦場の仕方ない悲しみや
  あるいは喜びや、理解されない趣味の楽しさや
  親子の血の情けの無さや、有る事や、あるいは愛情にも
  無関係の機会を与え

  そして骨のしんまで血にまみれるむすうのにくたいです
  赤いとろとろした液が
  ぼお くう を ぎちぎち つつみます
  ぎち ぎち ぎち ぎち 煩いくらい なのにまだらで半裸です





【コメント】



【得点】 0点





饗宴



610 名前:饗宴 [] 投稿日:03/10/27(月) 16:04 ID:G7dS3JOc    New!!
引鉄を引け

僕は小さくそう呟くと
目の前に広がる夕食の風景に 小さな物語を創造した
転がる南瓜の上に 鉄槌のように突き刺さるフォーク
その血飛沫を浴びた皿に響く金属音
その音は光速で世界を切り裂いた
さあ始めよう 狂気の晩餐

そこに転がる死骸は腐乱する 急げ 急げ
水分を蓄えすぎた果肉すら 枯渇した砂漠を潤す
亜種の乳を啜り 大地の胎児を磨り潰せ
躊躇してはいけない 早く 速く

それでも生きていかざるを得まい
全てのものに墓は不要 
やがて極小の生物に食い散らかされるのならば
その血一滴でも憎悪で満たせ

母は笑っているだろう 
父も笑うだろう
それでも僕は笑ってはならない
ひたすらに 我武者羅に
目の前の熱量を全て昇華するのだ

僕は太りゆく宿命にあるだろう
さあ、次はそれを吐き捨てるときだ
いつまでも吐き続けねばならない
その体液全てが腐ってゆくのだから



【コメント】



【得点】 0点





ニブイ音で叩きつける手



614 名前:ニブイ音で叩きつける手 [sage] 投稿日:03/10/27(月) 21:55 ID:oOAHslYL    New!!
思えば万華鏡の中にいたのかもしれない
空は色取々に変化していく 泣 笑 叫 怒
雲は大地に人影を落とす

蜘蛛の巣に絡まる無数の顔よ 何故私を見る
見覚えのある気がする 勝ち誇る? 恨めしむ?
涙流す利き手

うな垂れた頭が乾いた音を鳴らす
ここはやはり万華鏡の中だったのだ
人など居ない

繭に包まれて 退行して行くか 胎内へ
気がつけば影と踊る日々
蜘蛛の巣に絡まる 私



【コメント】



【得点】 0点





私は戦う



616 名前:私は戦う [] 投稿日:03/10/28(火) 15:11 ID:qGI4yILF    New!!
私は戦わない
戦いなどという野蛮なことはしない
だから君たちも戦いをやめよう
やめない奴とは俺は戦ってでも戦いをやめさせる
俺はお前らみたいな野蛮人と戦う
そしてお前らを皆殺しにして戦いを終わらせる
俺は戦う

と、上記のような事を真面目な顔で言う奴と
それに賛同し武器を持って戦う群集の前で、
私は一人カフェに行きコーヒーを頼む
目の前で阿鼻叫喚の地獄絵図が展開されている中、
バリスタに「キャラメルマキアート、トールで」と注文する
赤い回転灯とサイレンが鳴り響き
血みどろの若者が担架で担がれていった頃、
私はバリスタに叫んだ
「キャラメルソースかかってねぇじゃん」

私はバリスタと戦った
そして敗れた
バリスタが使ったスチームで
私の顔は火傷だらけになった
私はキャラメルソースのないキャラメルマキアートを一口飲み、
すぐに捨てて、
今まで座っていた椅子を振りかざし、
目の前の群集に紛れて戦った

数時間後、ニュースキャスターが言った
「飲食店の店員に馬鹿にされていると思い、
むしゃくしゃして犯行に及んだ、と供述しています」
という報道は、あまり正確ではない



【コメント】



【得点】 0点





fractal



618 名前:「fractal」 [sage] 投稿日:03/10/29(水) 21:31 ID:l8an9B07    New!!
  <1>
  とある街道を、二人の男が歩いている。
  それぞれ手には何らかの本を抱えて、それを読みながら歩いているようだ。
  周りには特に人気もなく、彼らの声だけが響いてる。
  そのうち、彼らは本を読みながら議論を始めたのか、二人の話し声はだんだん大きくなってくる。



619 名前:「fractal」 [sage] 投稿日:03/10/29(水) 21:32 ID:l8an9B07    New!!
   <2>
   「……のようなわけで、彼らが夕闇の中で祭りを始めたのにもかかわらず、書き出しがこのようにおとなしいわけだ。」
   「全ては行数を無駄に費やすための行為ってわけだな。」
   「そう、だからこの行については本では次のような結論を出している。」
    彼は目を落として本の該当する部分を読み上げる。

   「夕闇に向けて行進を続けていく鉢巻のない行列は
    雲の速度も気にしないで 物理法則を無視して
    太陽の動きと同じ速さで北極点の周りを進んでいきます

    だから夕闇はいつまで経ってもやって来ないので…」


620 名前:「fractal」 [sage] 投稿日:03/10/29(水) 21:32 ID:l8an9B07    New!!
    <3>
    「…と書き出したのはいいけれども、この文章の中で語ることにどんな意味があるの?」
    「別に何の意味もなくていい。問題はその作品が『語られる』ことにあるわけで、それから勝手に意味はついてくる。」
    「意味はついてくる?」
    「つまり僕たちが目の前にあるこの台本、これを『読む』ときに、自ずと意味は生じてしまうだろう。
     この本の中でどんな言葉が並んでいたとしても、僕がこれを声に出して語っていた時に、誰もがそれに意味を見出す。
     それはこの台本がどのように文字を並べていたのかを気にする必要は全く無いわけで、
     ただ僕らの語りが彼らのどのような部分を喚起するのか、ただそれだけでしかない。」
    「では、この台本の存在は?」
    「彼らにとっては僕らのアクセサリー以外のなにものでもない、くらいの認識でいいんではないか?
     ただ僕らにとってはそこでリライトするための大きな道具だ。作者の意図とは関係なく。」
    「それでも作者の意図とは関係ないのか?」
    「関係ない。これから僕たちが演じていくものは、この台本という道具を僕たちが意図して書き直した、別の作品になってしまう。
     いや、『すでに』それはなってしまっている。僕たちの勝手な創作だ。
     そんな創作の繰り返しで……」


621 名前:「fractal」 [sage] 投稿日:03/10/29(水) 21:33 ID:l8an9B07    New!!
     <4>
     「……と、ここで読みは終わってしまうわけだ」
     「どうして?」
     「ここで彼らは気づいてしまうんだ。彼らが読みを始めたときから、その答えは常に作品の中にはない。
      台本の中にある言葉に彼らが疑問を持ち始めた時点で、その台本は用を成さなくなってしまう。
      結局彼らはここで立ち止まるしかない。そこから先にはどこにも行けなくなってしまうんだ。」
     「その先は、じゃあ…」
     「自由に歩くしかないだろう。彼ら自身が読みを行った時に既にそれは始まっていたから。
      それゆえに彼らの存在がこの台本で規定されていたことについて、彼らは戸惑いを隠せなくなってしまう。
      台本を放棄したときに、同時に彼らの演じるものについて意義を失ったことから、
      役を失った自由人としての『役』を、新たに求めていかないといけない。
     「そのために、台本を捨てることがあるようには思えないんだけど。」
     「そう。それに気づきながらも彼らは台本を捨てられない。その矛盾が……」



622 名前:「fractal」 [sage] 投稿日:03/10/29(水) 21:34 ID:l8an9B07    New!!
    <3>
    「また、ずいぶんややこしい台本になったもんだね。」
    「それは仕方がないことだ。全ての記号は外に開かれつつ、それ自体が重層的でありうる存在だからね。
     そうして作られた物語は須らくメタ的な構造を持っているのだけれども、あまりそれを意識的に使う人は少ない。
     このような使い方を『意図的に』行わないと、作品のメタ的な入れ子の構造を意識するのは難しい。
     ただ、それ自体の存在を指摘することはいろんな作品においてできることなんだ。」
    「例えば?」
    「そうだね、例として宮沢賢治の『小岩井農場』を挙げてみよう。この作品は、語り手の一人称で最後まで進んでいく詩だ。
     ところが、その中で語り手自身はある存在を気にしていることがわかる。
     語り手と一緒に動いている「もの」がもう1つある。それは雲であったり、そして…」
    「黒い、オーヴァコートを着た人。」
    「そう、そしてその存在についてある解説によれば『これは作者のドッペルゲンガーである』という見方をしている。
     つまり、作者の一人称の視点に現れるはずのない、作者そのものの姿だ。
     ここに、一人称によるスケッチであるはずの作品にメタ的構造が出現していることがわかるだろう。
     作品の中で語っているのはまぎれもない作者だ。ところが、それ自身が作者によって「書かれている」ことにより、
     この作品は入れ子の構造をはっきりと表している。そうしたら……」


623 名前:「fractal」 [sage] 投稿日:03/10/29(水) 21:37 ID:l8an9B07    New!!
   <2>
   「……と、ここまで書いて君は急に筆を止めてしまった。」
   「うん。」
   「それは、なぜ?」
   「それはこうだ。一人称の作品はそれが作者そのものを表すと定義したときでさえ、それのメタ的な部分で作者は別に存在してしまう。
    作品の中で『作者』は明らかに真の作者によって動かされている部品だ。だとしたらこの一人称スケッチという存在はいったい何だろう。
    そしてそのスケッチの中の『作者』は何ゆえに語り、そのメタ的な存在であるドッペルゲンガーを気にする必要があったんだろう。
    もし、この小岩井農場で宮沢賢治が実際にスケッチを目的として経験していたとしたらどうなんだろう。
    そして、それに気づいたときに僕はまた1つ変なことに気がついた。」
   「変なこと?」
   「この台本のそれぞれの章番号を見てみてくれ。最初は連番で大きくなっていった数字が、途中で折り返し、なぜか<3>で止まったままだ。」
   「確かにね。ただ、そういう意図が最初からあったからではないの?」
   「そういう意図が『自分に』あった、と仮定できれば、そうかもしれない。
    しかし、その意図は別の、というより上位の意図によって勝手に上書きされてきた作品に他ならないのが、
    今までの台本から僕が『勝手に読んだ』結論だ。
    だから僕はどうしても気になる。なぜ僕はここでそれに気がつかなければいけないのか。
    もしこれがこれ以上存在しれはいけないと『仮定された』ものだとしたら、僕たちは<2>の住人として決定されてしまうし、
    この台本はこれ以上動かすことができない。書き進めることができなくなってしまっているんだ。
    そう考えると、僕たちのこの『勝手な』語り口そのものが既に決定されたものであって、
    ちょうど小岩井農場である日散歩した宮沢賢治のように……とほら見ろ!」


624 名前:「fractal」 [sage] 投稿日:03/10/29(水) 21:38 ID:l8an9B07    New!!
   「向こうから人が来るね。」
   「しかも二人だ!二人とも黒い服装でうつむいたままだ。あれがドッペルゲンガーだとしてもおかしくないだろう。
    ただし、それにしてはあまりにも都合がよすぎる。まるで貧困な選択肢から否応なく選ばれた外れくじそのものだ。
    しかし、いずれにしろここで僕たちは岐路に立たされた。」
   「岐路?」
   「目の前には今まで存在しなかった物体があるわけだ。この台本にもそんな記述がない。それは<1>を見れば明らかだ。
    僕たちが<2>の存在だとした場合、僕たちがこの台本に「書かれている」間じゅう、ほかの存在は全て無視されてきたんだ。
    ところが今ここで僕たちはもう2人の存在を認識してしまった。記述をしてしまったんだ。
    ここで僕たちは当初の<1>にある上位の記述のみの存在であるというには矛盾が生じてくる。
    <1>にとっては、この矛盾は大きな痛手だ。できることならば書き直されなければいけない。
    ところが僕たちが持っているこの台本はいまだに変えられていない。
    さあ果たして僕たちは『書かれた存在』から逃げられることができるのか。このまま延々と妨害しつつ存在を続けることができるのか。
    それとも……」

625 名前:「fractal」 [sage] 投稿日:03/10/29(水) 21:38 ID:l8an9B07    New!!
  <1>
  とある道に、4人の男がいる。
  2人ずつ歩いている彼らの行き先はそれぞれ反対の方向である。
  片方の男たちは議論を大声で続けていて、もう片方の男たちは黙って歩いている。
  しかし、互いは互いを気にしないだろうし、
  どちらがどちらかなんてことは……どうでもいいことなのだ。




【コメント】



【得点】 0点





バンドネオンの山猫



627 名前:「バンドネオンの山猫」 [] 投稿日:03/10/30(木) 01:04 ID:bbBgPOdh    New!!

山猫の
背中は傷だらけだった

舞台のまんなか 古いイスに腰かけて
バンドネオンをゆっくりと奏でていた
金と銀の瞳が暗闇で光る
山猫の背中は

ぱっくりと肉が割れ 乾いた血糊がこびり付き
パリで ニューヨークで ラプラタ河で
なまなましい幾多もの戦闘よ
記憶のにおいよ 蛆に喰われるがままの
山猫よ

お前の抱えるバンドネオンという宇宙が
あの懐かしいリオの夜が
お前の背中にある傷という傷から
まだしたたり落ちる血のひと雫が
答えるのだ 山猫よ
お前の指がお前の心が走り続けるかぎり

コウベをがくっと垂れて
閉じた
金と銀の瞳



【コメント】



【得点】 0点




ページ:1 2 3 4


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2006年09月25日 23:27