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作品





つばさ



283 名前:つばさ [] 投稿日:03/07/04(金) 20:42 ID:nmxrJtJE

黒い翼の堕天使。
その翼は羽ばたかずに、
堕天使は落ちる

その翼は、もう動かない。



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果物のある風景



284 名前:果物のある風景(1/3) [sage] 投稿日:03/07/05(土) 03:24 ID:KCAdEwHS
―林檎

太陽が頭を擡げ 
たわわな赤い実 枝しならせる

濡れた光が 野原に染みて
膨張しつつ また雨降らす

木々は沸き立つ衝動を 
しなる枝に溜め込んで
葉々がこすれる それだけで
焦燥に満ちた声を漏らす

枝はしなって ぐいぐいと
たわわな赤い実 むずむずと

枝から弾けた赤い実が 野原に落ちて
粉砕し 
白い果汁が じっとりと
乾いた土に染み込んだ



285 名前:果物のある風景(2/3) [sage] 投稿日:03/07/05(土) 03:25 ID:KCAdEwHS
―西瓜

砂浜の 潮の香りのただなかを
めくらとなって 彷徨えば

「みぎー、ひだりー」と女たち

ざっざ ざっざと
右 左
燃える砂を素足で踏みしめ

「そこー、そこー」と黄色い声の女たち

ここだと決めて 息止め
棒を振り下ろすと 命中し 
水の波動が手まで伝わる

「あぁー!!」と黄色い声の女たち

顔に巻いた タオルを取ると
太陽眩しく 白む空
焼きつく西瓜の割れ目の赤に
棒を突き刺し
みんなで西瓜を食べるのだ
潮の香りと西瓜の甘味が
なんとも絶妙で
貪り食うのは 少年の夢か



286 名前:果物のある風景(3/3) [] 投稿日:03/07/05(土) 03:26 ID:KCAdEwHS
―みかん

まるい背中で 冬ゴタツ
みかん もぎもぎ 食べましょう
足の先まで
ぢんぢんぢんと温めましょう

みかんを もぎもぎ 食べましょう
だけども あんまり コタツに入っていると
火照った足を 持て余す
そうして 足を 絡ませて
事も無げに 遊んでいると
だんだんだんとエスカレートするのでしょう

みかんを もぎもぎ 食べましょう
女の足が自分より 冷たい感じがするのです
手で確かめようと コタツに手を忍ばせる
そうして 触ってみたならば
女の足は温いだろう
ゆっくり ゆっくり さすりましょう

みかんを もぎもぎ 食べたなら
コタツにもぐって キスをする
何も隠れてすることじゃないけれど
冷たい唇を温めましょう
やがて みかんの皮どもは 奇妙なリズムで 踊るのです

みかんよ みかん おまえのせいだ







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ひとつぶ



287 名前:ひとつぶ [] 投稿日:03/07/05(土) 20:23 ID:zOR+Yycn
サンダルにならべた爪
もぎとってうめこむ しとしと土
空気が熱をかためた

飲み込む水のうえに
すっぱいレモンを積みあげる
なんてことないセンプウキ
風のうえをすべりこむ

ねころんだ肩をつねるのは
いつかみた うそみたいな絵本
頭の中で花火になる
すてきれなかったよ
目にはりついてとれないから
忘れることもできなかった
手のひらにやさしく
「これから」をならべたら
数えきれなくて

そのひとつぶ
空へなげて 夏になる
まちがえないように笑顔
服にならべて模様になるよ

そのひとつだけ照らして
そのひとつだけが手のひら かこむ



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紙のような青春



288 名前: 紙のような青春 1 [] 投稿日:03/07/05(土) 23:24 ID:kDLlW3mQ

  守るものがありますか?
……って聞かれても
フッと何もかも忘れているんです
世界一とぶ紙飛行機作ってるんです
でも、勝てないんです
紙に秘密があると思うんです
負け惜しみですかねぇ

  総合力で負けている
ああ、もうあきらめようかなぁ
試せる紙は全部試しましたよ
カレンダーのアート紙からそれこそ
トイレットペーパーまで

  世界一とぶかなんてどうでもいいんだが
ああ、なんかワカンナクなっちゃうんだなぁ
設計なんかはじめるともう夜が明けちゃう
それから紙を折って微妙なバランス
紙のそりぐあいが大切で
もちろん紙の裏表
表面仕上げ
ちょっと毛羽たたせるとか
銀のスプーンでこするとか
いろいろノウハウが
貯まってるんです


289 名前: 紙のような青春 2 [] 投稿日:03/07/05(土) 23:25 ID:kDLlW3mQ

  守るもありますかなんて
はぁ、聞かれても
あったらいいなぁ
守るもの
世界一とぶ紙飛行機なんか
つまんないですよね
しかも負けっ続け
ご意見無用なんて
温泉土産の
通行手形もらっちゃって

  フッと大切なもの忘れていた
そんな気になるんだけどやっぱり
何もかも
忘れちゃうんですよ
ほら、この飛行機つくるのに
徹夜になっちゃって
でもね、今日こそ世界一になるつもりで
世界一とぶ紙飛行機作ってきたんです
あとはもう
飛ばすだけなんです




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祭り



290 名前:祭り [] 投稿日:03/07/06(日) 00:10 ID:ZEt+nEF4

赤や黄色や緑
いろんな表情が混ざり合っている

そして、いろんな思考がぐちゃぐちゃに混ざり合っている

しかし、俺だけは青で混ざり合えない
どうしてだろうか?

俺がカート・コバーンのTシャツを着ているせいか。

惨めに投げ捨てられたペットボトル
骨が折れるような音を立てて
バイクにひかれた

浴衣を着た少女が俺を見て笑っている気がする

やっぱり、青でカートのTシャツを着ているせいか。

黄色の表情をした男と女が俺を笑った気がする。

やっぱり、俺が青でカートのTシャツを着ているせいか。

俺は笑われる度に黒になっていった。

おかげで、カートの顔が輝いて見える。
初めてカートのTシャツが俺のいろんな部分になじんだ。



292 名前:祭り [] 投稿日:03/07/06(日) 00:14 ID:ZEt+nEF4
カートはひざをつきギターを縦に立ててうつむきながら弾いている

カートが笑ってる。俺にはわかる。
カートが俺以外のやつらを笑っている。
俺のかわりに

花火が打ちあがる
星が輝いていない空に、春先の若々しい草木の芽が一瞬にして
花開いたようだ



293 名前:祭り [] 投稿日:03/07/06(日) 00:14 ID:ZEt+nEF4
カートはその花火を見て 笑っている

無邪気な子供のように

カートは笑っている

カートは笑っている

カートは笑っている

俺は笑えない

カートは笑っている

カートは笑っている

俺は笑っている

カートは笑っている

俺も笑った

カートはずっと昔に死んだ
  そう すっと昔に死んでいたんだ
俺も殺されたんだ




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ひととき



298 名前:ひととき [sage] 投稿日:03/07/06(日) 17:47 ID:nbFWE0qH
長く長く ただ長く
過ぎてゆくおぼつかない日々の中で
刹那に甘く摘み取られた
その仕草や言葉を
時の旬、と
そう称するのでしょうか



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March/Fashion ~リタルダント偽大通り~



299 名前:March/Fashion ~リタルダント偽大通り~ 1/2 [] 投稿日:03/07/06(日) 22:30 ID:kdqB35E6

テレビとラジオとが一緒に喋り始めて4方向からの
ステレオ放送じみた空間の窓側に 「今日も雨だ」
いらない音を雑音として好き勝手に排除してみても
その後には何も残らない 天気予報の確率論

座席に座る人々の色と言葉がみんな同じ風景で
あのマスターは今日も気が触れないのかな と心配する

窓に映る今日の朝御飯はもう旬を過ぎた野菜だけで
何も考えず買い物かごに詰め込んだ言葉とよく似てる
挨拶も手振り身振りも共通の流れでやってきて
わざと違う世界からやってきたことを売りにする人がいた

  あの雨の中一度でも外に出てしまえば同じ流れの中
  化粧施した人間の行進が水溜りをよけて進む
  行き先はいつも2方向だけしかないこの動き方なのに
  この時間はみな同じところへ向かって歩くように 見えるから

300 名前:March/Fashion ~リタルダント偽大通り~ 2/2 [] 投稿日:03/07/06(日) 22:31 ID:kdqB35E6

次の旬が来るまでこの野菜をどこかに諦めてため息をつこう
外に見える雨の流れに反して行進していくのもやめよう
見えるものだけ忘れてしまえば次の罠に見事に引っかかる
あるはずのない金額抱えて人々は物々交換を図る

  春の雨が降った後目立ち始める竹林の凸凹みたいに
   次から次へと染まってしまう 窓の外のアーケード街

    雨は地面に降り注いで鏡になり行進の様子を映し出す
     うつろな目をして歩いていく 手と足も一緒に出ている

      手に取った傘の色だけが気違いじみた色の使い方をしている
       きっと想定してなかったから規則もきっとなかったのだろう

        その色とりどりの傘も雨が止んでから1時間後には
         黒い帽子たちに取って代わられるみたいに 消えていくように



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夏日和



301 名前:夏日和 [] 投稿日:03/07/06(日) 23:59 ID:O38JmQbk
青空がどこまでも続き
それはまるで何も書かれていない
スケッチブックのようでもあった
僕らの夏が始まる
子供の頃思ったそんな日々は
今はもうなくしてしまった
純粋に夏を楽しむ心も
祭りにざわめく鼓動も
今では無くし何も感じない。
行くつもりのなかった今日の祭り
家の窓に入る乾いた風が時折
その祭りの音を運ぶ
太鼓の低音が
心の底を揺らし
僕の中でくすぶっていた何かに
火を轟々と燃やし始めた
仲間への電話をするために
受話器を握っていた
足袋と手ぬぐいを左手にぐっと握り締めながら。


             変
こんなに幼かったら、少し かなぁ…



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旬太郎



302 名前:旬太郎(1) [sage] 投稿日:03/07/07(月) 00:00 ID:GNp6qHAD
旬太郎が呼んだような気がして、振り返ったけれど何もなかった。何も。
いいえ。そこには草がありました。草花図鑑を開いてみなければ名前の
ない草たちが、そういえば私を取り囲んでいたのです。梅雨のきまぐれ
で、私は傘を開いたり閉じたりしながらの散歩でした。風が世界を満た
していて、空には穴が開いていました。舗道も田んぼもいつもよりも色
が薄らいでみえました。

こんなところに旬太郎がいるわけないんだよね。

違う6月はカラリと晴れた日が多く、つい私は調子のいいバスに乗せら
れて山へ出かけていった。町を走る見慣れた車道がいつしか白い林に囲
まれて、空気はすこし冷たくなって、滑り抜けるように丘を越えると旬
太郎旅館が見えました。何もない林のなかに一軒だけ、ぴかぴかに白い
モルタル壁の温泉宿の、木々の隙間から覗く姿が私は懐かしい。初めて
訪れるというのに、子供の頃の記憶が甦るのはなぜだろう。

「山のものたちは、皆あなたをお待ちしておりました」旬太郎はそうい
って私を出迎えた。事実、カボチャもトウモロコシも、サトイモもダイ
コンも、町では見たことのないあかるさで、私を待っていてくれました。
私はそこのお風呂がどんなだったかを覚えていません。そこにいる間、
ずっと食事か睡眠かを満喫していました。「なぜお腹が膨れないんでし
ょうね?」私が聞くと、山のものが皆わらいころげました。

鮮やかに赤い屋根の、白木の匂いする旬太郎旅館の中では誰にも出会わ
なかった。廊下を歩くとライムグリーンのカーペットの下の床がぎしぎ
し軋んだ。洋式のトイレに入ると、天井の一隅で小太りの蜘蛛がまるい
繭を回しつづけていた。窓の外で塀の上に体を折りたたんでいる痩せた
猫は、いつ見ても同じ形でそこにいた。壁時計はどれも止まっていた。廊
下の半ばにある従業員以外立ち入り禁止の小さな木扉の向こう側で、葉
擦のような声で会話する老人の気配がしたりした。


304 名前:旬太郎(2) [sage] 投稿日:03/07/07(月) 00:03 ID:GNp6qHAD
「少し外でお話しませんか?」そう旬太郎に誘われて、私は玄関から前庭
へ出た。黒い林が葉擦の音を鳴らし、針みたいな月がかろうじてものの輪
郭を浮き上がらせていました。私はトウモロコシを一本もって、旬太郎の
輪郭を眺めていました。私は旬太郎の姿をそれしか覚えていない。闇のな
か、サツマイモのようにごつごつした腕が、なめらかに月のあかりを浴び
ていました。何も話さなかったようにも思います。それともその会話は
あまりにもゆうるりとしすぎていて大地に水が染み込む音のようで聞き
とれなかったのか、あるいは私が産まれた時に聞いた初めの一音と私が
死ぬ時に聞くだろう最後の一音との間にそれはあって、長すぎる波形を
とらえきれなかったのか。

「ごめんなさい、カボチャは嫌いです」なんて言葉は、その旅館ではい
えなかった。特に醤油で煮つけたカボチャは心から嫌いなはずでした。あ
かるく笑う山のものたちを傷つけないように、私はそこで生まれて初め
てカボチャを食べたのです。おそるおそる、齧った。あんなカボチャは
それ以来食べていない。心から愛するトウモロコシよりも、甘い醤油の
香り漂うカボチャのことがその時だけは好きでした。

歯の間に挟まらないだけの理由じゃなかったんだよね。

そして今、雨が降っている。風に満たされた田園風景を霞ませる小雨が降っ
ている。こんなところであかるく笑うものは何もない。旬太郎もいない。何
もかもが静かで、ただ名前のない草たちが揺れている。私は傘を閉じて、う
ねる時に身を任せる。あの旅館にいた時だけが時だったのじゃなかった。こ
こにも時は、ある。旬太郎の風が草のなかを駆け巡って、今そこにあるすべ
ての草たちを、しゃっきりと笑わせた。私は持ち帰るつもりで、気に入った
草を一本取り、その場で少し、齧ってみました。




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最終更新:2006年10月17日 10:14