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作品
風が吹くとき
284 名前:風が吹くとき[] 投稿日:02/09/01 13:50 ID:6PYq/hsT
工場での作業の合間の昼休みには
その裏手にある河川敷の土手に行って
傾斜した草の上に寝転んでいた
太陽の真っ直ぐな日差しを身体に浴びて
その心地よさを全身で吸い込んでいた
短く刈られた草原を風が通り過ぎていくと
ざわざわという微かな音が
耳を掠めていくのを楽しんでいた
20歳を過ぎたくらいの青年2人が
よく河川敷のグラウンドにやって来て
サッカーボールを蹴る音が遠くに聴こえるのが
気持ち良かった
少しの間私はそこで居眠りをして
仕事場に戻った
その工場で働いている時は
昼休みはひとりで土手に上がって
寝転がるのが習慣であった
草原の上で漸く 自分は
この自然の一部分になった様な気がして
心に束の間の安息を得ていた
この自然のゆったりとした速度は
私が生きるのに急ぎ過ぎているということを
沈黙のままに 気付かせてくれたのだ
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風は笑っているが、すぐに欺く
292 名前:風は笑っているが、すぐに欺く[sage] 投稿日:02/09/02 14:28 ID:Es1mFOLb
煌めく風の下で
ゴミ虫が交尾している
僕はそれを
グロテスクに表現したいわけじゃない
J-POPの歌詞にしたいわけでもない
その証拠に
不吉にざわめく風の上で
子雀の初飛行が今、達成された
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逃げたり逃げなかったりすること
293 名前: 「逃げたり逃げなかったりすること」[] 投稿日:02/09/02 15:04 ID:48NQxvY9
ごめん、悪いとは思ってるんだ
僕はゆっくりと踏みつける
本当なんだ、やりたくてやってるわけじゃない
ごりごりという嫌な音が伝わってくる
そんな声を出さないでくれ
風は過ぎてゆく
僕は部屋の真ん中に寝転がる
罪もない壁はもうでこぼこで
僕はそれを見てまたでこぼこにする
手が痛くってしょうがない
風は過ぎてゆく
大事にし過ぎたのか、粗末にし過ぎたのか
それは分からない
ただ僕のやってきた事がみんな間違っていたのは分かる
風だけがいつも僕の前にいて
僕だけがいつも風を見つめている
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夢見心地
298 名前:夢見心地[] 投稿日:02/09/02 21:44 ID:kV9fRau2
寝てる間に 風鈴を打つ 夏の風
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風神
300 名前:風神(一)[sage] 投稿日:02/09/03 12:29 ID:5vB4hdsS
雷神は見たことがある
真夏の夕方4時過ぎだというのに
いきなり夜がやってきて
町は鈍いグレーに覆われた
「まるで」と思った瞬間、雨が降り出して
まだ世界の終わりじゃないんだ。ってことにだけは安心した
13階の窓から
変貌した地方都市のありさまを眺めていると
隣の屋上に立って
誰かが雷を呼ぼうとしているのに気がついた
金色のたてがみと黒いスーツが
雨なんか降ってないみたいな乾いたばたつき方で
目がないから狙いは定まらないけれど
どれかのビルを間違いなく裂こうとしていた
301 名前:風神(二)[sage] 投稿日:02/09/03 13:12 ID:5vB4hdsS
あたしはデスクの下に潜り込んで
一所懸命ポテトを食べるくらいしかできなかった
風神は見たことがない
台風吹き荒れる最中でも
空を動いて行くのは黒い風の龍だったし
台風のあとの掃除で
落ち葉を散らして遊ぶのは風の精霊だと思った
そういえば雷神が町を狙っていたあの時でも
アルミサッシの窓はかた、とも動かなかった
風神を探そうと思うようになったのは
どうしてもあの雷神のペアが欲しかったから
台風の季節がまたやってきたことだし
今年こそは見たいんだ
まずは電車の中から探してみよう
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無題
305 名前:名前はいらない[sage] 投稿日:02/09/04 01:58 ID:TJtUwVc6
醒めきった空から
発熱する地平は
ほんの三千メートル
と、わかったときには
夏が終わった、と
ほんのすこし気が付いた
ひとりっきりの部屋で
ねむけとあこがれのなかで
頭のなかをつめたくしていた
そんな時に見えたものを
もういい加減捨て去るだろうぼくらは
むかしの写真をみつけても
いまの景色をかき消すことはなく
306 名前:続き[sage] 投稿日:02/09/04 01:58 ID:TJtUwVc6
それでもあのときの前駆症状は
われてこわれゆく
ことばを
震えないように
きこえないようにぼくらに
ぶつけてやろうとした
泣き叫びながら
インド象の突撃が
威圧しながら泥だらけで
ぼくらの家を崩してやろうとして
やってきたはずのそれはしかし
網戸ごしに切り裂かれ
圧縮されたはずのグロテスクな
残塊にぶつかった時には
鋭さと痛みに耐えかねて
いい風だ、と
ぼくらはつぶやいた
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花曇り
309 名前:花曇り(1)[sage] 投稿日:02/09/04 03:12 ID:uHgc2+Pk
春だ 春
物語が始まったり漂ったり
泡のようにはじけて人が死んだり
ためいき その他
あまたあるものの透きとおる季節だ
未来とともにある不安に
買物帰りの主婦さえ
浮き足だち
名も知らぬ花など飾ったりしてしまう
とたんに居間も透きとおる
春だ
春 はなぐもり
せっかちな桜が風をにらんでいる
(三月の満開!)
新しいものはより新しくなり 枯れゆくものも
低くゆっくりとした若い血を肉に注いで
新しい風にそなえる
そしてその先の
雨のために根を育てる
身をよじる
砂絵のようなビル壁
風の通らない路地にも
けだるいぬくもりとくもり空の視線
どこかで誰かが云う
「まんべんなく街はやわらかい」
そして
ようやくポケットから出された
ぼくたちの白い手
310 名前:花曇り(2)[sage] 投稿日:02/09/04 03:13 ID:uHgc2+Pk
新しい物語のための
新しい風が 小さく立つ
花びらはまだ枝を離れようとしない
一瞬 過ぎる倦怠に
屋上の猫があくびをする
若葉のあぶらむしたちもあくびをする
つかのま透きとおる
こもれびにふと
立ちどまる
ぼくもつられて 大あくび
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団扇
314 名前:団扇[sage] 投稿日:02/09/04 08:44 ID:o8iQSeQZ
豚まんベビーはふかしたて
ミルクを飲めばまた発熱
何とかしてよ臨界点
あれ?なんだろ?
ぶわんぶわん気持ちいい
ひらひらさせてる
なにそれ?おかあさん
ごろごろしたくなってきた
ごろごろすーすー夢のカプセル
横溝正史のドラマは終わり
蚊帳の匂いに蚊取線香
何かと父に怒鳴られていた
母のそよ風は水底の肌触り
包まれ金魚の夢を見た
この子の夢は何だろう
滅多に会わぬ母親の
気配を感じる今日この頃
寝かしつける振りをして
ぐうたら女は昼寝する
【コメント】
【得点】 0点
最終更新:2006年11月05日 10:59