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レーン摩擦とボールの接地距離

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powerkoil18

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ボールとレーンコンディション(7)


目次



レーン摩擦とボールの接地距離


レーンの読みはホームが基準


レーンを読む能力とはイメージ力です。
そのイメージはホームのセンターのレーンが基準になります。
外の大会で投げる時もホームのイメージとの差異によって
レーンコンディションというのはイメージされるのです。

右から2番目のターゲット、つまりテンボードを直線的に狙うという前提で、
キミはどこにスタンス位置を取るのが一番楽だろうか?
(略)
楽なところはキミにとって、たった1箇所しかないはずだ。
(略)
キミにとって一番楽なその位置は、
キミのボウリングに対する個性的イメージであり、
それはフランチャイズセンターのレーンコンディションに、
影響されているものだといっていい。
「ステップアップボウリング」すみ光保/ボウリングマガジン1985年4月号
http://blog.livedoor.jp/cardinal_300/archives/2007-10.html#20071005

ホームを決めずにあちこちのボウリング場で投げていても
レーンを読む力はつきません。

前述のようにオイルは本当に見えるのです。
とはいえ今日レーンを読もうとしたから
明日オイルが見えるというようなものではありません。
少なくとも数年はかかります。
見ようとしなければ何年投げようと一生見えません。
ですからオイルが本当に見えているボウラーは一握りしかいません。

オイルが見えてこない原因は「見ようとしないから」です。
その理由は色々あるでしょう。

  • レーンコンディションを軽視して投げ方やコントロールだけで打てると考えている。
  • リリースが雑なので軌道のズレが失投かオイルかどちらの原因かわからない。
  • スパットを見ていない、または狙っていない。
  • ボールが実際にスパットを通ったか、何枚ズレたかを見ていない。
  • アドレスの段階からラインのイメージを持っていない。
  • ブレイクポイントのイメージがない、どこで曲がっているかを見ていない。
  • 下手だと思われたくないのでストライクが出ないと勢いでピンを飛ばしにいく。

もっとも厄介なのが最後の原因です。
恥ずかしいからと無理に打とうとすると練習になりません。
ラインだけでポケットに持っていく能力がなければ190アベは超えられません。
またセンターアベレージは最低でも10ピン以上、
ハイスコアレーンのセンターでは20ピン以上のアドバンテージがあります。
4ゲームコンペではインサイドアングルを投げる必要がないですから
実質のアベレージはさらに低いと思った方がいいでしょう。
ボウリングは200アベを超えてからが本当の勝負です。

アマチュアだってプロなみの努力が必要だぜ
アマチュアの全日本チャンピオンクラスは、
もう本当、プロと同じだね。ボウリングを中心として生活を組み立てているといっていい。
それは他のスポーツだってみな同じだろうけれど、
ボウリングの世界だってそのくらいの取り組み方しなけりゃ、
やっぱりアマチュアも駄目なんだよね。
「ステップアップボウリング」すみ光保/ボウリングマガジン1985年7月号
http://blog.livedoor.jp/cardinal_300/archives/2007-10.html#20071023

レーンを読むには実際のゲームでなければいけません。
ですから毎晩の4ゲームコンペになります。
その日のそのレーン、その変化は、その一回限りしかありません。
そのレーンでのその投球というのは後戻りができません。
レーンは生き物です。
投げてから「しまった」と思っても遅いのです。
だからこそ「レーンを読む力」が養われるのです。
一人で投げても投球の練習にしかなりません。

本格的にレーンを読む力をつける練習に取りかかるにしても
いきなりレーン全体のオイルの分布を把握することはできません。
本当に読もうと思うのならまず板目を限定します。
基本となるのは10枚目、2番スパットをまっすぐ通すアングルです。

いまだに最も基本的なアングルは、テンツーテンアングルだと信じている。
一番荒れやすいアングルという欠点はあるものの、
裏返せば、それだけ使う人が多いということなのだ。
まず多様なレーンコンディションに対応し得るアロアランスが、どのアングルよりも多い。
「ステップアップボウリング」すみ光保/ボウリングマガジン1985年4月号
http://blog.livedoor.jp/cardinal_300/archives/2007-10.html#20071005

荒れやすいというのは変化が早いということです。
さらに応用しやすいアングルなためレーンを読む練習にも最適です。
10枚目を基準にして練習しましょう。

はじめのうちは投げ方は変えてはいけません。

投げ方、つまりフォームとアジャストメントは明確に区別して練習せよ
何球か投げる。ポケットにいかない。
これは投げ方に問題があるのか、
それともレーンコンディションに問題があるのか、それが明確につかめない。
だから投げ方(リリースだとか、スウィングだとか、力の半分だとか)に
工夫をこらそうとする。
そして、それがダメで初めてアジャストメントに移行する。
あるいはその逆、というように、常に混同して練習しているのだ。
迷いながら練習しているのだ。
これじゃどっちも効果があがらないわけである。
今日は苦手アングルの克服がテーマの練習なのだ。
だから、フォームの問題はヨコにおいておいて、
キミの投げ方は完璧だと思うのだ。思えなくとも思うのだ。
キミの投げ方は完璧だヨ。その投げ方、フォームでいいのだ。
あとはアジャストメントの問題なのだ。
「ステップアップボウリング」すみ光保/ボウリングマガジン1985年4月号
http://blog.livedoor.jp/cardinal_300/archives/2007-10.html#20071006

できる限り同じリズムで投げましょう。
4ゲームコンペではレーンを読むことが課題です。
投球練習は別におこないましょう。

ゲーム中はボールの軌道をすべて記憶するようにして投げます。

まず2番スパットをまっすぐ投げポケットにいくラインをイメージし、
そのラインイメージに従って投球します。

それが厚めにいけば立ち位置をを内へ
薄めにいけば外へと立ち位置を変わり、
そのアングルでまたラインをイメージして投球します。
あまりアドレスに時間をかけると他のボウラーに迷惑なので、
調整のイメージはなるべく投球前にボックス内で考えておきましょう。

その投球の結果からイメージのラインと実際のラインの違いを比較します。
イメージに合った動きでポケットに行くまで
アングルとイメージを調整して投球してください。
ラインイメージの通りに動いたなら
はじめに投げたまっすぐのライン、またイメージと違ったライン、
それらとポケットに行ったラインとはどのように軌道が違ったでしょう。
記憶に従って比較してください。

そのラインの違いに従っていま投球している2番スパット付近の
オイルの分布をイメージします。
その分布が正しいかどうかは問題ではありません。
なによりイメージすることが重要です。
イメージするためには投球したボールの動きを
しっかり記憶している必要があります。

投球しているうちにレーンが変化してボールの動きが変わります。
その場合自分がイメージしているラインと違う動きをします。
実際のボールの軌道とアドレス時のラインイメージの違いを比較し、
オイルの分布のイメージを修正します。

はじめのゲーム開始時のオイル分布とイメージと
修正したオイル分布イメージとはどこが違っているでしょう。

その違いによってレーン上のオイルがどのように変化したかがわかります。

上記のような作業を繰り返しゲーム中のレーンの変化を
イメージで記憶していくようにします。
忘れるようならばメモを取るなりしましょう。

帰宅してからもその記憶やメモに従って
つじつまの合わなかった部分や
意味の分からなかった部分を検討します。

はじめからすべての投球を記憶はできません。
1ゲームだけでもかまいません。
まずは記憶しようとすることが重要です。
そういった作業を繰り返すうちにオイルが見えるようになってきます。

ただホームである程度レーンが見えてきても
そのイメージ力は違うセンターではなかなか通じないでしょう。
その場合は基本に帰ってみましょう。

右から2番目のターゲット、つまりテンボードを直線的に狙うという前提で、
キミはどこにスタンス位置を取るのが一番楽だろうか?
(略)
楽なところはキミにとって、たった1箇所しかないはずだ。
(略)
キミにとって一番楽なその位置は、
キミのボウリングに対する個性的イメージであり、
それはフランチャイズセンターのレーンコンディションに、
影響されているものだといっていい。
「ステップアップボウリング」すみ光保/ボウリングマガジン1985年4月号
http://blog.livedoor.jp/cardinal_300/archives/2007-10.html#20071005

ホームでのレーンのイメージ力を養いましょう。
外での試合はそのイメージが基準になります。
はじめのうちは外ではホームの感覚が全然通用しないと感じるでしょうが、
外で気付いた読みの甘さによってホームでも読みかたが厳しくなります。
ホームで読みが鋭くなれば外でも見えるようになります。
さっぱり意味の分からないレーンでもちゃんと考えて投げていれば
自分のレーンのイメージと実際のボールの動きのちぐはぐな状態、
その「わけの分からなさ」は記憶できるはずです。

後になってそのときよりずっとオイルの見え方が鋭くなれば
再びそのレーンと類似したレーンコンディションにあたったときや
なにかのきっかけでふとそのレーンを思い出したときに
「なるほどあれはこうなっていたのか」と意味が分かるはずです。

動摩擦とボールの回転


ボウリングのボールは回転しています。
回転が多いボールは「摩擦が大きくよく曲がる」ように思われます。

動摩擦力はすべっている物体を止めようとする力です。
ボールもすべっていますから、はたらくのは動摩擦力です。
動摩擦力はその物体が重いほど大きくなり
すべる速さに関わらず一定です。

動摩擦力は速度によらず一定である

回転数もレーンから見れば速度です。
回転が増えても、つまり速く回っていても
摩擦は大きくならないことになります。

本当に摩擦が大きくなるかどうかを考えてみましょう。

考えるには「摩擦」がなにを意味するかが問題です。
まずそれを「摩擦係数」として考えてみます。

  • 摩擦を摩擦係数と考えてみる

P:ボールの重さ、μ:比例定数、F:摩擦力とすると

  F=μP となる。


ボールが回転していても、重さPは変わりませんから摩擦係数は一定です。
回転数で摩擦係数は大きくなりません。

次に「摩擦」をボールのエネルギーのことと考えてみます。

  • 摩擦によって失われる(もしくは得られる)エネルギーと考える

摩擦によるエネルギーが全て熱に変換されると仮定する

q:単位時間・単位面積当たりの発熱量、μ:摩擦係数、p:接触部の圧力、v:すべり速度とすると

  q=μpvとなる。


ボールのエネルギーは「すべり速度:v」によって
すなわち「どのぐらい空回りしているか」で変わります。

ボールは進む方向にまっすぐ転がっているものとします。

ボールの最大円周は68.6cmです。
ボールが空回りせずに転がっているとすると
時速30kmの時に730rpm(一分間に730回転)となります。

ボールが時速30kmで一定に進んでいるとすると

  • 730rpmを上回ったら「空回り」しているのでドライゾーンでボールが噛んで球速は増す。
  • 730rpmならばドライゾーンに突入しても球速は変わらない。
  • 730rpmを下回れば「空すべり」しているのでドライゾーンでボールが噛んで球速は減少する。


ボールが「空回り=球速のわりによく回っている」か
「空すべり=球速のわりにあまり回っていない」かしていると
ドライゾーンで摩擦がはたらいて回転が増えることがわかります。

球速30km/hのボールの回転数がちょうど730rpmとなったとき
すべり速度v=0となって摩擦ははたらかずに
レーンをそのまま転がり、エネルギーの変化はおこりません。

以上のように「すべり速度」の絶対値が大きくなるとき「摩擦」も大きくなります。
つまりボールの摩擦力は回転数の多さだけでは決まらず、
ボールが「空回り」もしくは「空すべり」している度合いが強いほど
ボールが噛む=摩擦が大きいということになります。

また以下のことがいえます。

  • ボールが「空回り」しているときは加速フック(アクセル曲がり)になる。
  • ボールが「空すべり」しているときは減速フック(ブレーキ曲がり)になる。

加速フックはローダウンのボウラーのフッキングに見られる
「ボールが自力でポケットに向かって動いていく」ような曲がりです。
減速フックの典型はナチュラルフックです。

現実の投球ではドライゾーンまでずっとボールがすべるわけではなく
レーンを進むにしたがいボールの回転力は減少します。
実際のレーン上のように「複雑」な環境下での作用は
かならず数値どおりになるわけではありません。

また最近の研究では動摩擦係数には速度依存性があるとわかっています。
ただほとんどの素材で速度10倍になれば2倍になるという程度の変化です。
ボウリングの投球のように20〜30%程度の範囲の速度差では、
動摩擦係数は一定とみなした方が現実的です。

【参考リンク】

キャリーダウンを利用できる条件


メンテナンスしたばかりのレーンはキャリーダウンしたオイルがないため
奥のフッキングが鋭くボールの動きが安定しません。
レーン奥にキャリーダウンしたオイルがあるときには
少しラインを開きキャリーダウンしたオイルの外半分あたりに
ラインをかけることで先のフッキングを安定させることができます。
そのようにレーンは少しゲームが進んでからの方が安定します。

ただキャリーダウンのオイルはどんどん奥へと薄く伸ばされ、
同時にリリースポイントのオイルも減少していきますので、
早く曲がりすぎたり、ロールアウトしたりして
そのラインは徐々に使えなくなってきます。

その場合はラインをしぼるか内に平行移動するなりして
新しいキャリーダウンのゾーンを利用するようにしましょう。
そうすることで新しいゾーンでは内ミスは滑って曲がらず、
外ミスは薄いキャリーダウンのゾーンでやんわりと曲がり
ポケットに戻ってきて幅をとることができます。

上記のことからもわかるようにキャリーダウンのオイルを利用するときには
リリースポイント付近のオイルの量とキャリーダウンのオイルとの
比率に注意する必要があります。

リリースポイントとキャリーダウンともに速いゾーンの組み合わせでは
ボールが曲がらないので使えません。

またオイルのなくなったリリースポイント付近と
キャリーダウンしたゾーンの組み合わせも使えません。
投げようにもまずポイントまで届きません。
たとえ図の緑のラインのように球速を上げたり、
ドライ用ボールで走らせてポイント付近まで持っていったとしても
手前はウォーンアウト*1状態、奥はキャリーダウンです。
それでは「どこにもオイルがない=オイルの高低差がない」ので、
スパットミスという横の誤差だけでなく、球速の縦の誤差も補正されません。
そのようにオイルの濃淡がないゾーンを投げても
どこで曲がり始めるかわからないためスコアになりません。
そういうライン取りはオイルの多いところから
少ないところに投げるという原則から外れています。

ボールはオイルのあるところでは滑ってまっすぐ進みます。
オイルのないところで摩擦がかかり曲がり始めます。
そのようにオイルのあるところからオイルのないところに
向かって投げるから軌道が予想できるのです。
オイルの濃淡がまったくないゾーンを投げてはいけません。

「オイルのないところ」というのは完全にないのではなく
リリースポイントから相対的に少ないという意味です。
落とすところより曲がるところのほうがオイルが少なければいいのです。
そこにフッキングがありラインのイメージがとれれば
たとえキャリーダウンのきついところを狙ってもかまいません。
ゆっくり投げるなり、オイリー用ボールを使うなりして
まずは安定してポケットに運べるラインに入るようにしましょう。

もっとも理想的にキャリーダウンのオイルが利用できるのは
オイルが伸び始めてから少し時間がたって
ほどよく「薄く広がった状態にキャリーダウンしたゾーン」と
体が温まってきていい感じにボールが走っているときに使う
「少し遅めのリリースポイント」のオイルの量との組み合わせです。

ボウラーによって球質は異なるので使うラインは違ってきますが
上記のフィーリングにはそれほど差はないはずです。

【参考リンク】

ロフト


レーンの変化が進みファールライン上からどのようにリリースしても
望んだポイントへ運べないようなオイルの分布状態になっているときは
意図的にロフトすることでポイントに持っていける場合があります。

ボールの摩擦はレーンに接触したところから始まります。
ロフトすることは飛ばした距離だけオイルがあることと同じになります。

図のようにラインを開くと曲がりすぎる、ロールアウトする、
ラインを絞ると裏に行ったり薄めにいったりし、
無理に走らせるとノーヘッドするなどと安定しない状態があります。
ピンク色で示されたポイントが安定することがわかっていても
ファールラインからではどのアングルでもポイントに行きません。

そこでガターを超えてロフトして投げ
適度な量のオイルがある付近に落とし
スキッドさせポイントまで運びます。
奥のキャリーダウンしたゾーンと
球速と回転がマッチしていれば打てるでしょう。

ロフトする場合は入射角度に気をつけましょう。
高く放り投げてドンと落とすと落ちたところのオイルに影響されすぎます。
レーンに落ちたところのオイルが少なすぎると
たちまちグリップし内のガターに落ちてしまいます。

逆にオイルが多すぎるところに落とすと
ボールが外へ飛び出していき薄めにノーヘッドしたり、
外のオイルのないところに触れて曲がり過ぎ
真ん中に行ってスプリットになったりするので注意しましょう。

ですからロフトする場合は「レーンが短くなった」、
「ファールラインが奥に移動した」というようにイメージし、
なるべく低くできる限り通常の投球と同じように投げましょう。

多段ブロックレーン


リサーフェースされず中央付近が痛んでいるレーンでブロックレーンや
中央付近のオイルがあまり多くない扁平なクラウンレーンを敷くと
実際の投球では中央付近にほとんどオイルを感じず
内壁(ブロック)が複数存在するレーンになります。

ゲームのはじめのうちは外の方を投げられますが、
曲がるボウラーはキャリーダウンと手前のオイルの減少によって
すぐにアングルが合わなくなります。
しかしインサイドにも入れないためラインのとりようがありません。

さらにインサイドに入りもう一つのブロックから投げる手もありますが、
まだキャリーダウンのオイルも小さく濃いために
のせるとワッシャーやバケットになるので利用できませんし、
内ミスや外ミスがクリーニング状態のエリアにいった場合は
ヘッドピンを直撃しスプリットになる可能性もあります。

そこでこの場合もアングルを合わせロフトして投げ
適度な量のオイルがある付近に落としスキッドさせポイントまで運びます。

その状態でしばらく投げていれば、
曲げないボウラーが外のブロックを削って、
キャリーダウンのオイルを薄く広げてくれるので
頃合いを見て外に出て球速をあげて投げれば良いラインが出るでしょう。

そうして外のオイルを使い切れば通常のインサイドと同じ状態になります。

【参考リンク】



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注釈

*1 worn out 着古した、使い古したの意