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〜ローダウンの導入〜

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powerkoil18

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トレーニング中級編(3)〜ローダウンの導入〜


目次



ローダウンの導入


<一瞬カップ>の原理


一瞬カップ>の発生する原理を説明します。

バックスイングがトップにある状態から話を進めます。

5歩目の踏み込みと同時にフォワードスイングを開始しますが、
ここで重要なのはスイングの中に「ボールを引っ張る」という動作を加えることです。
振り子の糸をピンと張るようなイメージです。
この「ボールを引っ張る」ために蹴り足での強いキックが必要になります。
これは<一瞬カップ>のための重要な予備動作です。

次に蹴り足により最大に加速された体が減速をはじめる直前、
先ほどの「ボールを引っ張る」という動作が
「ボールを引っ張り上げる」という動作にかわります。
ガツンと急激に向きが変わるわけでなく、緩やかなベクトルの変化です。
手遅れ>とボールと支点(肩)の位置関係により
自動的に生じる現象で意識しておこなう必要はありません。

これにより球は遠心力からほぼ完全に解放されます。
ボウラーの体とボールは平行に移動し、
カーリングでストーンと選手が一緒に滑っているような状態になります。

この辺りから一般的にフラットスポットといわれる部分に入りますが、
上で述べたように重要なのは「ボールの引き上げ」であって、
「ボールがレーンと平行に移動するように〜」という
よくある解説は仕組みを理解できずに
動作を表面的になぞっているだけなので気にすることはありません。

次に5歩目のブレーキにより体が減速をはじめると、
「ボールを引っ張り上げる」動作の余力によって、
ゴムやバネが縮むように肘が曲がり、
それをきっかけに肘からのスイングがはじまります。
腕力でボールを持ちあげるのではありません。
電車が急ブレーキをかけたときに、
つり革が進行方向にゆれるのと同じ現象です。
あとは肘を伸ばせば勝手にカップができます。

重要なのは体の減速がはじまった時の腕の角度です。
平均的には45度ぐらいでしょう。
腕が遅すぎると肘が曲がりすぎて球速が落ち、
速すぎれば充分にカップを作れません。
投げ込んでジャストな<位置/タイミング>をつかんでください。

ボールをぶら下げただけでは解りにくいかもしれませんが、
常にボールは手のひらによって押されています。
スイング中は常に内側に巻き込もうとする力、
カップリストを作ろうとする力が働いているのです。

球に掛かる遠心力や重力を無視できるくらい
小さくする事でこの作用が際だち、
肘からのスイングと合わせ、<一瞬カップ>を作る助けとなります。
サムのフォワードが大きいほどこの力も大きくなります。
リリースのタイミングがシビアになりますが、
上級者がこのドリルを好むはこのためです。

以上が<一瞬カップ>発生のしくみになります。
まず小さなフォームで一つ一つの作用を感じながら、
少しずつフォームを大きくし徐々にメリハリをつけていくのがいいでしょう。
バックスイングのトップが膝の高さほどの小さなフォームでも、
一連の作用はしっかり感じ取れるはずです。

<一瞬カップ>の動作イメージ


位置/タイミング>でカップリストをつくる
一瞬カップ>の動作イメージを理解しましょう。

まず感覚をつかむためにガチャッとまわして開けるタイプのドアノブを
回転させるときの手の動きを考えてみます。

肩を扉に近づけて逆手に持つように
かるくドアノブをにぎってみましょう。

すこし肘をたわませドアノブをにぎった状態で、
ノブを時計回り(開く方)に回してみます。
そのときノブは扉に固定されているのですから
手の高さは変わっていません。
必然的に肘を伸ばすことになります。
その動きがローダウンの<一瞬カップ>の動作です。

繰り返しますが手首の力でボールを持ち上げているのではありません。
持ち上げればボールの位置が上に移動します。
その逆で肘を伸ばすことで手をボールの下に持っていっているのです。
ボール自体には力を加えてようとしていないことに注意してください。

もし手首の力でボールを持ち上げようとすれば
ボールの重さをまともに受け止めることになります。
それでは途方もなく大きな力が必要です。
一瞬カップ>では肘を伸ばして手を下に入れているので
ボールの位置自体は変わっていませんし、
まともにボールの重さを感じていません。
そのように<一瞬カップ>で手首を勝たせているのは
手首の力ではなく肘を伸ばす動作です。

次はドアノブをがちゃがちゃと軽くすばやく回してみましょう。
手首よりも肘の曲げ伸ばしで回転させている感覚があるはずです。
それがローダウンリリースの動きです。
親指を下に向ける、手首を倒すことでボールに回転を与えています。
リフトアップ>で回しているのではありません。

ドアノブが扉に固定されている以上は
リフトアンドターンのように手首を固定したまま
リフトアップ>で回転させることはできません。
リフトしようとすればドアノブをひきちぎってしまいます。

一瞬カップ>を実現するためには
手首は<脱力>している必要があります。
手首が<脱力>していないと肘を伸ばしたときに
手が肘と一緒に下におりてしまうからです。
脱力>し手首が柔らかい状態になっていることで、
肘を伸ばしたときに手のひらは動かず
手首の関節だけが移動し「カクッ」とボールの下に入ります。

上記の理由から力で手首を勝たせようとすると
手首が固定されてしまい逆にカップリストにならなくなります。
重要なのは手首を<脱力>し下半身をうまく使うことです。

リストを<脱力>する感覚をつかむ


一瞬カップ>の動作をおこなうためには
リストを<脱力>している必要があります。
重いボールでは力んでしまいますから
ボール以外の軽いものを使って練習をします。

手提げのバッグを用意しボールに見立ててスイングします。
スイングの両端でバッグが軽くなることを感じます。

さらにスイングを大きくするとバッグが浮き上がってくることがわかります。
そのときに感覚を鋭くすると自分の肘やリストも
前に振られているのが感じられるはずです。

スイングの端でバッグが浮き上がるタイミングを掴めたら
浮き上がった瞬間にすかさず肘を伸ばします。
するとバッグはさらに跳ねて手のひらの上に来ます。

バッグが手のひらの上にきた瞬間にすばやくリストを倒し手前に引きます。
タイミングが良ければバッグは勢いよく回転するでしょう。

上記の練習には下半身の動きがありません。
ボールはバッグなどよりはるかに重いので
実際の投球ではステップの反動を利用しなければ
浮き上がる効果はほとんど得られませんので注意してください。

ローダウン効果と振り子スイングの関係


ローダウンはボールの落下速度を回転に変えるリリースです。
そのためリリースの前にボールの下に手を入れる必要があります。
ボールの下に手が来るように重心移動をうまくすることが
回転数をあげるためのポイントです。

リストを勝たせるために重要なのは腕の力よりも下半身の力であり
なにより<位置/タイミング>であるといえるでしょう。
ただ良いタイミングというのは人それぞれに違うもので
その感覚は投げながらつかむ他はありません。

そのようにボールの下に深く手が入っているほど回転数は上がりますが、
肘を曲げてボールを抱え込むほどに
ボールの落下速度が回転に変わる<ローダウン効果>が高まるため
振り子の原理がはたらかなくなり球速が下がっていきます。

この現象を実感するためにボールに親指を入れず
手のひらにボールをのせた状態で速いボールを投げてみましょう。

まだ自力でカップリストが作れない人は
2〜3ポンド軽めのハウスボールでおこなってください。
リリース前にボールが落ちてしまわないように
左手をボールに添えサムの代わりにします。
リリースと同時に左手を離してください。
下記のフォームを参考にしてください。

このときリリースは10cmより高くならないようにします。
またアプローチでいつも以上に走ったりせず、
普段の投球となるべく近いフォームで投げてください。
かなりボールを走らせるのが難しいことがわかります。
それが<ローダウン効果>を最大に使っている状態です。

ローダウン効果>によって
ボールの落下速度をすべて回転に変えた場合は
上記のサムレスの投球と同じ状態になります。
通常の投球はスイング、つまり腕によって球速が得られますが、
ローダウンはその速度を回転に変えてしまうので球速がなくなります。
すなわち腕の力以外によって球速を上げなければいけません。
なんらかの方法でのプッシュの動作が必要です。

ただ<ローダウン効果>は<抱え込み>の深さによって変えられます。
ローダウン効果>は常に100%使う必要はありません。
肘をあまり曲げず<抱え込み>を浅くして
ローダウン効果>を減らすことにより
振り子スイングの原理を増やせば
回転は減りますが球速を上げることができます。

  • ローダウン効果を使うほど回転は増え、振り子の要素は減り球速が落ちる
  • ローダウン効果を減らすほど回転は減り、振り子の要素が増え球速があがる

ここでいう球速はあくまで振り子スイングで得られるものに限ります。
腰のひねりなどによるプッシュ効果は含まれていないことに注意してください。

筋力がない場合のローダウン


回転数を上げると曲がりが大きくなるためそれだけ球速も必要になります。

上記のように<ローダウン効果>を使うほどにオールドスタイルのように
振り子の原理によって球速を得ることができませんから、
別の方法で球速を得る必要が出てきます。

その場合はおもに腰の力を使うことになりますが、
そのプッシュ効果については別に述べることにして
ここでは<ローダウン効果>を制限して使用する場合について考えます。

ローダウン効果>を減らした場合は肘曲げが浅くなりますので、
振り子の原理がはたらき、それなりに球速が得られます。
ただし振り子の原理がはたらくと遠心力で腕が下に引っぱられます。
肘をたわめたままスイングするのはかなり腕力が必要です。
あらかじめリストを勝たせているとさらに力が要ります。

ローダウン効果>を得るためにはリリース時に
手がボールの下に入っていればいいのですから
フォワードスイング中はリストがどうなっていてもかまいません。

そこで肘を曲げず、リストもブロークンの状態でスイングするという
もっとも楽な状態からリリース時にボールの下に手を入れる方法について考えます。

ローダウンの基本のとおりに
抱え込み>から<一瞬カップ>をつくるために
手遅れ>の<位置/タイミング>で投球します。

フォーワードスイング中に肘から先が<脱力>できていれば
4歩目からのワンステップ投球の動作で得られる
加速と減速による反動で肘から先が跳ね上がりボールが浮き上がります。

ただし腕がのび切った状態でスイングしていますから
ボールが跳ねあがる具合はかなり小さくなります。
跳ね上がり具合をカバーするため
通常より遅くまでボールを持っているようにします。
それにより<抱え込み>が浅くてもフィンガーはボールの下に来ます。

そうしてリストがあがってきたところで体を沈めます。
そうすると肩の位置が下がって肘を伸ばすのと
同じ作用がおこり<一瞬カップ>になります。

上記の方法であれば上半身の筋力がなくても
そこそこの回転と球速のローダウンリリースがおこなえるでしょう。
球速が足りなければ少しアプローチを走ればいいでしょう。

体が大きい場合のローダウン


次に長身のボウラーが<ローダウン効果>を得る方法を考えます。
体が大きい場合は筋力に恵まれますが、
それだけ体重もあり関節に負担がかかるため
速く走ったり、すばやく動くことが難しい人が多いでしょう。

ワンステップ投球がうまくできなければ
加速と減速によってボールを浮かせないことになります。
一瞬カップ>を作るのが難しくなります。

また速く走れなければアプローチの速度も出せません。
すなわち球速を得る方法が限られます。

しかし身長がある場合はバックスイングが低くても
ボールの位置が高くなるので落下速度が容易に得られます。
ここに回転を得る材料があります。

腕力があれば肘をたわめた状態でも普通にスイングできるでしょう。
つまり振り子の原理をいかして球速をだせるということです。
アプローチはゆっくりでもかまわないことになります。

手が長ければたわめた肘を伸ばした時の落差も大きくなります。
肘を伸ばすことにより<一瞬カップ>からローダウンのリリースをおこなえます。

体が大きいとそれだけ<ローダウン効果>を起こしえる材料が多いということになります。
上記の方法で並のボウラーより球速と回転のあるボールが行くでしょう。
ただし体の使い方が間違っていればローダウンになりません。
もっとも重要なのは<位置/タイミング>であることに注意してください。



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