[Chapter 18] しぃ
モララーとギコくんが戦っている。
ギコくんはそこにあった「挫折禁止」の看板で応戦している。
「…なかなか強いぞゴルァ」
「この俺に勝てるかな」
見たくなかったから目を背けていたけど、気がついたら二人が居なくなっていた。
でも上を見上げると、二人がいた。柱の上で戦っている。
かなり激しくなっている。でも持っているのが看板であるギコくんは不利だった。
「…大丈夫かな」
そう呟いた瞬間。
ギコくんが落ちてきた。
モララーに負けた。
「…俺に勝てる奴など居ないのだ」
ギコくんが橋の下にある川に落ちていく。
「ギコくん!!」
[Chapter 19] ギコ
モララーに負けた。
川に落ちる。
これで俺もここから消えていくのだろうか。
もう、奴らとは会えないんだろうか。
川底へと沈んでいく。
諦めかけた。
《それが望んだ結末なのか》
どこからともなく声が聞こえてきた。
そうだ、それが俺が本当に望んでいた結果だったんだろうか。
橋の上ではしぃが待っている。
そして、街ではみんなが戦っている。
俺だけ戦線離脱してどうするんだ。
勢いよく川の中から飛び出す。
と同時に、俺の手に何かが出来ていく。
剣だ。水で出来た剣だ。
何故出来たのかは分からないが、とりあえずはこれを使おう。
「ちっ…生きてたか」
「簡単に諦められるかゴルァ!」
そして、俺はモララーへと向かっていく。
[Chapter 20] しょぼん
日が暮れていく。
屋上で西日を浴びる。
北に向かったギコくん達はログアウトできただろうか。
1さんやおにぎりさんはまだ逃げてるんだろうか。
ここにいない他のみんなが心配だった。
毒男さんとヒッキーさんは相変わらず建物の中で存在感をかき消している。
流石兄弟は1階にいる。疲れたのか、妹者は寝ていた。
兄者はハッキングをまだやっている。
そのとき。
「誰かいる!」
レモナさんが叫ぶ。
指さす方向を見てみると、そこにはフサギコさんがいた。
かなり負傷しているようだった。
よたよたと十字路をまっすぐ進んでいる。
僕らは急いで下に降りた。
「フサギコさん!大丈夫!?」
「…ああ、こんな傷はたいしたことないさ」
「とりあえずここで休んで」
「ああ、ありがとうよ」
「ハッキングできたぞ!」
兄者がそう言ったのは、フサギコさんを休ませた直後だった。
最終更新:2012年08月02日 10:00