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想い紡ぐ者

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想い紡ぐ者 ◆nkOrxPVn9c



鳥が囀り草木が風で揺れる。
太陽が森全体を優しく包み込んで木の葉の隙間隙間から光が漏れている。
されど日差しが照らすのは目覚めを迎えた動植物の姿ではない。
映るのは一人の男と巨大な体躯を持った馬、『赤』に染まった地面。


「ここでゆっくり眠っていろよ」

冷たくなっている小さな身体をそれ相応の大きさの穴へと置く。
この動物の名前はわからない。
何を目指していたのか、
誰と行動をしていたのか、
何故このような傷を負ってしまったのか、
その全てがわからない。
彼(彼女だったかも知れない)とは倒れているところを発見しただけだし、
そもそも言葉による意思の疎通すらできずに逝ってしまったのだからわかるはずがなかった。
だけどそれでも彼に伝わったものがある。

「お前から受け取ったもの、無駄にはしないからな」

受け取ったものは騎英の手綱(ベルレフォーン)
彼の支給品であり、自分の命を救ったものである。
彼は最後の力を振り絞り、これの存在を教えてくれた。
そのとき繋いだ手、交わした視線は忘れもしない。

穴を埋め、手ごろな木の枝を十字にして草で結んだものを刺す。
墓というのにはあまりにも簡素なものであるが、線香も活ける花もないのだからしょうがない。

ぶるぶる・・・・・・

「ああ、次はこいつだな」

巨大な体躯を持った馬、黒王号の鳴き声にChain-情は答える。
思わず目を背けてしまうほど酷い”人だった”もの。
錯乱した黒王号によって踏み潰されてしまった命だ。
もしかしたら生きていたかも知れない。
ピッピのように衰弱してどの道死んでしまったかも知れないが、それでも彼は黒王号を責めることはできなかった。
あれは結局事故だったのだ。
参加者だって精神的に追い詰められれば発狂してマーダーになってしまう。
誤射した銃が人を撃ち殺してしまったり、誤解フラグを作ってしまうこともあるだろう。
バトルロワイアルならば仕方の無いことだった。

最早人の形を留めていない男の遺体をかき集め、掘った穴へと入れていく。
彼が何者だったのかはわからない。
ピッピとは違い、受け取ったものは何もない。
死んでしまえば物言わぬ屍だ。
故にChain-情は放っておくことができなかったのだろう。
穴を埋め、ピッピにやったと同じように十字に結んだ木の棒を差す。

そして黙祷をしていたときだ。
放送が聞こえてきたのは―――


☆ ☆ ☆ ☆


「糞っ・・・・・・ふざけるなよ主催者!」

ロワでお約束の定時放送、それは参加者達に死者や禁止エリアといった情報を伝える時間だ。
中に挑発を混ぜて、参加者の動揺や怒りを誘うというのも定番である。
参加者を煽り、死者を冒涜して殺し合いのムードを下げるのはアニロワでもよくやっていたことである。

それでも今回ばかりは酷すぎた。
何が放送事故だ、何がニコ動だ、何が●RECだ、何がロリコンだ!
ちなみに想い人はフラグビルドであるが、別に自分はロリコンではない。
大切な情報を与える時間を馬鹿げたことに使うなど死者に対する侮辱に極まりない。
そして放送自体も娯楽番組のセットみたいな環境で行われていたので、自分達の状況を遊びとしか考えてないのだろう。
何としてでも主催者を倒さなければならない。
Chain-情の主催に対する怒りの感情はますます上がっていくが、先ほどの放送事故の中の映像の一片を思い出す。

「あ、でもさっきの女の子は助かっているみたいだな」

さっきの女の子とは仮面ライダーが抱えて川に飛び込んだ少女のことだ。
顔をチラッと見ただけなので名前はわからないし、気絶していたので声も聴かない。
それならば何故彼はその少女を映像の中の同一人物だとわかったのか。




             |ヽ、
             ,',   ̄` ー 、
             !ヽ、      ヽ
             ' , ヽ、      i
            __,-\___ゝー-----'!<`ー 、
          , '´  ,  '´/`!      `く` 、`ヽ、
       , '´,   , '´,  /.  /      .  !、 ` 、ヽ『おいこら、お前らか、私の服を剥ぎ取っt
      //. /  .  / , ,'       〟 !ヽ    、


(あの頭のウン・・・・・・じゃなかった、生殖kでもないえーと・・・・・・そうだクリームだクリーム!
あんな頭をした女の子なんて他に見たことがない)

南千秋は知るよしもないが、彼女の髪型は特殊なのである。
アホ毛とも触覚とも違うそれは一見ただの癖毛に見えるがたまにアンテナやスライムのように動くように見えるのだ(←これ重要)
引っこ抜くと機能が停止するなりより大きくなって復活するなり様々な憶測が出るが理由は謎のままである。
二次元出身の人間はたまに髪型が奇抜なのは皆さんご存知だろう。
某カードゲーム漫画繋がりの作品も主人公の髪型がヒトデだったり蟹だったりするのだ。
しかもそれを回りの人間は『一切』気にしないのだから凄い世界観である。
なんでもカードゲームでケリをつけるという世界観も十分凄いが、それをある意味超越している。
そして南千秋は流石に彼らほどでなくても十分違和感を感じる次元にあるのだ。
姉二人は普通の髪型なのに何処で間違ってしまったのだろう。



ともかくChain-情は彼女が生きていたことにほっとすると気を取り直して黒王号へと乗った。
辺りを確認して誰かいないか見渡してみるが誰もいない。
どうやら自分は取り残されたみたいだ。
そう少し寂しくなってきたChain-情であるが、その時水の流れが聞こえてきた。

(あそこは確か・・・・・・)

その流れの元は川、黒王号が暴走した際に少女を抱えた仮面ライダーが飛び込んだところである。
この流れを追えば彼女の元にたどり着けるかも知れない。
ちょうどその方向はこれから彼が向かおうとしていたところだ。
現在の主を乗せた黒王号は、彼の意思を受け取って彼が求める方角に走っていく。
草原を通り、自分達が入っていた森の中へ。






☆ ☆ ☆ ☆

「ああいたいた」

木々が無残の倒されて、部分的に嵐が通り過ぎ去ったのだろうと
見間違える森の中を潜り抜け、黒王号は辿りつく。


いたとは言っているがそこに生物の姿はない。
あるのは無残に散らかされた“人の形をしていなかった”モノ。
無垢な少年達の願いによって産み出されてしまったモノだ。
それは禁忌によって産まれたから人としての生を受けることはできなかった。
二人の幼い錬金術師が己の身体を代償とした哀れな結果である。

黒王号から降りたChain-情は黒王号に穴を掘るように命じる。
そして辺りに土を払いながら掘り進めていく黒王号の隅で”人の形をしていなかった”モノに手を付け始めた。
僅かに残る肉片を一片も残すまいとかき集める。
血の色が手に付着するがそんなことで意に介する場合ではない。
これは錯乱した黒王号が自分の代わりに踏み潰してしまった命であるが、そうさせたのはChain-情自身だ。
命を救われたと言うのにはあまりにもおこがましいのかも知れない。
Chain-情が破壊してしまったと言うこともできるのだから。

気づけば土をかき分ける音が止み、振り向くと黒王号が佇んでいた。
どうやら穴は掘り終わったみたいだ。
かき集めた肉片を穴に入れ、埋めて新たに一つの墓を作る。

「次生まれる時はちゃんと人間になってくれ」

人の身勝手で生み出され、人の身勝手で潰えてしまった命、
もし次の機会があるのならば、人としての生を受けれらますように―――





 【C-3/北西/1日目-朝】

 【静かなる~Chain-情~@書き手ロワ2nd】
 [状態]:健康、螺旋力覚醒
 [装備]:滝のライダースーツ@漫画ロワ、騎英の手綱(ベルレフォーン)@カオスロワ+黒王号@漫画ロワ
 [持物]:デイパックx3、支給品一式x3、ゼクトバックル(ホッパー)@なのはロワ、サバイブ(烈火)@書き手ロワ2nd
     :カセットアーム(マシンガンアーム)@書き手ロワ2nd、不明支給品x1
 [方針/行動]
  基本方針:バトルロワイアルに反逆する。
  1:河に流されたイクサ(長門)と少女(千秋)を探すために川を辿っていく。
  2:フラグビルドを見つけ、今度こそ守り抜く。

 [備考]
 ※死亡後からの参戦です。



エリアC3には墓が三つの墓がある。
建てた者はもうこの場にはいない。
だがそれらの墓には全て文字が彫られていた。
土に書いた文字なので時間の経過で簡単に消えてしまうだろうが、建てた者、Chain-情はそれでもよかっただろう。
彼の命を救った人々、それを確かに心に刻んだのだから。


―――Chain-情の命を繋いだ恩人、ここに眠る


085:大都会交響楽(後編) 投下順 087:ETERNAL DRAGON
084:たった一人守れないで 生きてゆく甲斐がない 時系列順 087:ETERNAL DRAGON
062:憂鬱アンドロイド 静かなる~Chain-情~ 102:Chain-情は一匹のかえるを前に狼狽する



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