たった一人守れないで 生きてゆく甲斐がない ◆nkOrxPVn9c
夢。
夢を見ている。
目に映るのは青いっぱいに広がる空と緑の草原。
そしてそれらをバックに微笑んでいる愛しき女。
彼女は麦わら帽子を押さえながら私の方を振り向く。
そして彼女は私に手を差し出して満面の笑みを浮かべる。
夢を見ている。
目に映るのは青いっぱいに広がる空と緑の草原。
そしてそれらをバックに微笑んでいる愛しき女。
彼女は麦わら帽子を押さえながら私の方を振り向く。
そして彼女は私に手を差し出して満面の笑みを浮かべる。
『ほら、あなたも一緒に行きましょうよ!』
『!?』
その手をとった瞬間に、辺りの景色は一変する。
青と緑で彩られた空間は白の壁に赤の絨毯が敷かれた建物の中へと移り変わる。
彼女の白いサマードレスは純白のウェディングドレスへと変化していて、
かわいさを残していたはずの顔はすっかり艶やかなものになっていた。
されどこの礼拝堂、私たちを祝福するものは誰一人いない。
彼女の美しさは私だけのもの。 たった二人だけの結婚式。
誰にも知ることもない、私たちはそっと唇を重ねる。
青と緑で彩られた空間は白の壁に赤の絨毯が敷かれた建物の中へと移り変わる。
彼女の白いサマードレスは純白のウェディングドレスへと変化していて、
かわいさを残していたはずの顔はすっかり艶やかなものになっていた。
されどこの礼拝堂、私たちを祝福するものは誰一人いない。
彼女の美しさは私だけのもの。 たった二人だけの結婚式。
誰にも知ることもない、私たちはそっと唇を重ねる。
『あぁん、あん!もっと、もっとぉ!!』
また景色が変わる。
白の時間が終わり黒の時間が訪れる。
そこに映っていたのは薄暗い部屋の中。
そして妙な喘ぎ声を出している彼女。
美しかった彼女は妖しげな魅力を晒し出している。
気づけば私は、肌を丸出しにした彼女の尻を叩いているではないか。
白かった尻肉はたちまち赤へと変色し、それに呼応するかのように彼女の表情が赤くなる。
されども私は叩くことをやめることはなく、彼女もそれを拒もうとする様子もない。
彼女との淫猥な時間はまだ始まったばかり。
白の時間が終わり黒の時間が訪れる。
そこに映っていたのは薄暗い部屋の中。
そして妙な喘ぎ声を出している彼女。
美しかった彼女は妖しげな魅力を晒し出している。
気づけば私は、肌を丸出しにした彼女の尻を叩いているではないか。
白かった尻肉はたちまち赤へと変色し、それに呼応するかのように彼女の表情が赤くなる。
されども私は叩くことをやめることはなく、彼女もそれを拒もうとする様子もない。
彼女との淫猥な時間はまだ始まったばかり。
『そういえば、私達がこうしていられるのってつかさ達のおかげよね・・・・・・』
あれから結構時間が経った。
今の私はかがみと結婚20周年のパーティーを行っている。
子供達は空気を読んで外出中だ。
よって今この場にいるのは私と彼女だけ。
私は大分老け込んだが、彼女は母からの遺伝なのか、昔とあまり変わらぬ姿でいる。
料理を食べながら楽しく談笑していたのだが、そんな中彼女が言い放った一言で一変した。
そう、今の私達の幸せは多大な屍によって支えられている。
殺し合いで他の全てを犠牲にして得た幸せ、死んで極楽浄土にいけるかというと疑問が残る。
せめて彼女だけは天に昇ってほしい。
今の私はかがみと結婚20周年のパーティーを行っている。
子供達は空気を読んで外出中だ。
よって今この場にいるのは私と彼女だけ。
私は大分老け込んだが、彼女は母からの遺伝なのか、昔とあまり変わらぬ姿でいる。
料理を食べながら楽しく談笑していたのだが、そんな中彼女が言い放った一言で一変した。
そう、今の私達の幸せは多大な屍によって支えられている。
殺し合いで他の全てを犠牲にして得た幸せ、死んで極楽浄土にいけるかというと疑問が残る。
せめて彼女だけは天に昇ってほしい。
―――おまえら人間じゃねぇ!
『何者だ!?』
不協和音が響く。
同時に空間に乱れが生じ始める。
人間ではないというのは確かにそのとおりだ。
私は殺人鬼。 人の幸せを奪って手にした殺人鬼。
同時に空間に乱れが生じ始める。
人間ではないというのは確かにそのとおりだ。
私は殺人鬼。 人の幸せを奪って手にした殺人鬼。
―――あぁん?あんかけチャーハン?
―――おいこら、お前らか、私の服を剥ぎ取っt
―――おは☆らっきー!
―――黙れ!
やめろ!やめてくれ!
不協和音は更に大きくなっていく。
消えていく。
目の前の香ばしい匂いを放つ料理も
それに付きたてたフォークも
築き上げた家も
そして愛しき彼女の姿でさえも全てが崩壊してゆく。
手放すものか、
泣きながら助けを呼ぶ彼女に向かって必死に手を伸ばす。
消え行く彼女の身体を、悲しそうな彼女の顔を見るのは辛くて、
それでも彼女と別れることは嫌だから、
私は精一杯、否、全力で彼女の身体に少しでも触れようとする。
しかしいと悲しき、彼女の手に触れようとした瞬間その手までもが消え去ってしまい
不協和音は更に大きくなっていく。
消えていく。
目の前の香ばしい匂いを放つ料理も
それに付きたてたフォークも
築き上げた家も
そして愛しき彼女の姿でさえも全てが崩壊してゆく。
手放すものか、
泣きながら助けを呼ぶ彼女に向かって必死に手を伸ばす。
消え行く彼女の身体を、悲しそうな彼女の顔を見るのは辛くて、
それでも彼女と別れることは嫌だから、
私は精一杯、否、全力で彼女の身体に少しでも触れようとする。
しかしいと悲しき、彼女の手に触れようとした瞬間その手までもが消え去ってしまい
『さようなら・・・・・・』
そう呟いて消え行く彼女の泣き顔を見送ることしかできなかった。
☆ ☆ ☆ ☆
『・・・・・・では次はお待ちかねの死者の発表をしようか』
「む・・・・・・?」
「む・・・・・・?」
耳障りな声によって意識が覚醒する。
嫌な夢だ、寝覚めが悪い。
しかし考えに浸っている暇はなく、上空に流れる巨大な映像に目が向く。
眠け眼を擦りながらそれをぼんやりと眺める。
今の台詞から察するに、どうやら殺し合いの死者の発表をするようだ。
嫌な夢だ、寝覚めが悪い。
しかし考えに浸っている暇はなく、上空に流れる巨大な映像に目が向く。
眠け眼を擦りながらそれをぼんやりと眺める。
今の台詞から察するに、どうやら殺し合いの死者の発表をするようだ。
「かがみん・・・・・・」
死者の発表ということを思い出して、既に死んだ最愛の女性を思い出す。
この殺し合いの中、彼女はどんな顔で死んだのだろうか。
夢で見た時のような哀しげな泣き顔で死んでいったのだろうか。
この殺し合いの中、彼女はどんな顔で死んだのだろうか。
夢で見た時のような哀しげな泣き顔で死んでいったのだろうか。
『えーと死亡者は
まったく知らない名前を頭の中で聞き流していく。
いや高良みゆきというのはかがみんの友人だっただろうか。
彼女の死に関しては私はどうでもいいが、かがみんが生きていたならば悲しんでいたのだろう。
『川田章吾
ピッピ
笑点のピンク
ゴマモン』
いや高良みゆきというのはかがみんの友人だっただろうか。
彼女の死に関しては私はどうでもいいが、かがみんが生きていたならば悲しんでいたのだろう。
『川田章吾
ピッピ
笑点のピンク
ゴマモン』
ゴマモン。
かがみんを殺したという水棲生物の名だ。
先ほど怒りに任せてやつを殺した。 だがただそれだけだ。
かがみんの仇を殺したという達成感も優越感もない。
あるのは彼女に会えないという虚しさだけ。
かがみんを殺したという水棲生物の名だ。
先ほど怒りに任せてやつを殺した。 だがただそれだけだ。
かがみんの仇を殺したという達成感も優越感もない。
あるのは彼女に会えないという虚しさだけ。
『の10名です!』
「何!?」
「何!?」
思わず私は叫ぶ。
周囲に誰がいようと知ったことはない。
何故かがみんの名が呼ばれていないのだ!?
ゴマモンどんは確かにかがみんを殺したと言った。
周囲に誰がいようと知ったことはない。
何故かがみんの名が呼ばれていないのだ!?
ゴマモンどんは確かにかがみんを殺したと言った。
「まさか・・・・・・な?」
思考末、最悪の結果が脳裏に浮かぶ。
かがみんとゴマモンどんは共に行動していたが、
なんかの拍子で喧嘩になり、結果ゴマモンどんが殺してしまった。
しかしかがみんは一命を取り留めており、早とちりしたゴマモンどんが殺したと思い込んだだけではないかと。
かがみんとゴマモンどんは共に行動していたが、
なんかの拍子で喧嘩になり、結果ゴマモンどんが殺してしまった。
しかしかがみんは一命を取り留めており、早とちりしたゴマモンどんが殺したと思い込んだだけではないかと。
かがみんはあの性格の都合上、誤解を受けやすいから口喧嘩になってしまうことは大いに考えられる。
そしてゴマモンどんは殺したと言っているが、頭を打って気絶したり高台から海に落ちたところを勘違いすることもあるだろう。
なんせ水棲動物だ、脈が動いているかどうか調べるだけの知識がなくても不思議ではない。
そんな彼を殺したということはつまり・・・・・・
そしてゴマモンどんは殺したと言っているが、頭を打って気絶したり高台から海に落ちたところを勘違いすることもあるだろう。
なんせ水棲動物だ、脈が動いているかどうか調べるだけの知識がなくても不思議ではない。
そんな彼を殺したということはつまり・・・・・・
「・・・・・・いや私は何を考えているのだ」
頭の中を駆け巡る根拠のない理論。
彼がどうしてかがみんを殺したと言ったのかはわからない。
殺戮者、そんな言葉が彼の頭を回っていく。
それは着実に彼の心を苦しめていく。
かがみんはこんな自分を見てどう思うだろう。
血に塗れた愚かな獣を見てどう思うのだろう。
彼がどうしてかがみんを殺したと言ったのかはわからない。
殺戮者、そんな言葉が彼の頭を回っていく。
それは着実に彼の心を苦しめていく。
かがみんはこんな自分を見てどう思うだろう。
血に塗れた愚かな獣を見てどう思うのだろう。
「かがみん、私はどうすれば良いのだ」
いもしない彼女に向かって問いかける。
そして一つのことに思い当たる。
そして一つのことに思い当たる。
「今、会いに行くぞ」
そうだ。 彼女はまだ生きているかも知れないのだ。
わからないことまみれであったが彼女の名前が呼ばれていない、これだけは確定事項。
わからないことまみれであったが彼女の名前が呼ばれていない、これだけは確定事項。
誰も殺さず殺されず、かがみを探し続ける。
一時しのぎでしかない答えだ。
正直人を殺さない保障はどこにもないし、殺されるぐらいなら殺してやる。
元々自分はかがみんと結ばれるために行動してきた。
だとすればここでもやることは変わらない。
かがみんと合流しよう。
そして愛の告白をしよう。
それからどうするかなんて結婚してから考えればよい。
正直人を殺さない保障はどこにもないし、殺されるぐらいなら殺してやる。
元々自分はかがみんと結ばれるために行動してきた。
だとすればここでもやることは変わらない。
かがみんと合流しよう。
そして愛の告白をしよう。
それからどうするかなんて結婚してから考えればよい。
今はただ 嫁を求めて 旅人に
(詠み人知らず)
【D-3/岸辺/1日目-朝】
【かえる@オールジャンルバトルロワイアル】
[状態]:全身各所に裂傷。失意。疲労(小)
[装備]:和服
[持物]:デイパック、基本支給品一式、不明支給品x1
[方針/行動]
基本方針:かがみんと生還する
1:かがみんを探す
2:かがみんは本当に死んだのだろうか
3:殺し合いについては保留(かがみんと結婚してから)だが襲い掛かる相手には容赦しない。
【D-3/岸辺/1日目-朝】
【かえる@オールジャンルバトルロワイアル】
[状態]:全身各所に裂傷。失意。疲労(小)
[装備]:和服
[持物]:デイパック、基本支給品一式、不明支給品x1
[方針/行動]
基本方針:かがみんと生還する
1:かがみんを探す
2:かがみんは本当に死んだのだろうか
3:殺し合いについては保留(かがみんと結婚してから)だが襲い掛かる相手には容赦しない。
083:私が『私』であるために | 投下順 | 085:大都会交響楽 |
083:私が『私』であるために | 時系列順 | 086:想い紡ぐ者 |
075:湖につつまれて | かえる | 102:Chain-情は一匹のかえるを前に狼狽する |