HAL・スクリーミング・ショウ ◆DiyZPZG5M6
____
/ \
/ ─ ─ \ こんにちは、あなたの隣のやる夫だお……
/ (○) (○) \
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
____
/ \
/ ─ ─ \ ジョジョが壊れてしまったお……
/ (○) (○) \
| (__人__) |
\ ` ⌒´ / やる夫ー>
____
/ \
/ ─ ─ \ ハルヒも……何であんな風になってしまったんだお……
/ (○) (○) \ もうやる夫には何が何だかわからないお……
| (__人__) |
\ ` ⌒´ / やる夫ー!!>
_ ノ ̄ ̄`ヽ、―ニ 二
/ / ´`ヽ _ 三,:三ー二
/ ノヽ--/ ̄ , ` ̄ ̄ ̄
/ } ...| /! 聞いてんのかこの豚ッ!!!>
| _}`ー‐し'ゝL _
\ _,:ヘr--‐‐'´} ;ー------
/ ノ`ヾ:::-‐'ーr‐'"==-
何度目か数えるのも馬鹿らしいぐらいハルヒの拳がやる夫の顔面に叩きつけられる。
殴られ、蹴られ、鞭で尻を叩かれてもなお、やる夫は耐え続ける。
ハルヒを元のハルヒに戻すため、クラスメイトだったハルヒに戻すため。
殴られ、蹴られ、鞭で尻を叩かれてもなお、やる夫は耐え続ける。
ハルヒを元のハルヒに戻すため、クラスメイトだったハルヒに戻すため。
―――ハルヒは恐怖で情緒不安定になってるだけなんだお……
―――やる夫がハルヒを守ってあげないとそれこそ彼女は本当に壊れてしまうお……
―――やる夫がハルヒを守ってあげないとそれこそ彼女は本当に壊れてしまうお……
だからひたすら耐え続ける。
されるがままにハルヒの暴力……否、虐待を受けていた。
目の前にいるハルヒがやる夫の知っているハルヒとは別人で、
目の前のハルヒがとっくの昔に壊れてまっているのも知らずに……
されるがままにハルヒの暴力……否、虐待を受けていた。
目の前にいるハルヒがやる夫の知っているハルヒとは別人で、
目の前のハルヒがとっくの昔に壊れてまっているのも知らずに……
やる夫の脳裏にはある出来事が焼き付けられていた。
やる夫の目の前で起こった惨劇……いや悲劇である。
もう二度とあの悲劇を繰り返したくない。その想いがある種の呪いのように彼の心を縛り付けていた。
やる夫の目の前で起こった惨劇……いや悲劇である。
もう二度とあの悲劇を繰り返したくない。その想いがある種の呪いのように彼の心を縛り付けていた。
あの日……やる夫がこの島に連れて来られる前。彼はまた別の殺し合いに参加させられていた時のこと。
無限とも思える再生力を有し、喰らった人間の能力を自らの物にする怪物でっていうを倒した後だった。
やる夫達がいる場所が禁止エリアに指定された。
五分以内にこのエリアから脱出しないと首輪が爆発してしまう。
やる夫達はすぐにこの場所を離れようとしたのだが……
無限とも思える再生力を有し、喰らった人間の能力を自らの物にする怪物でっていうを倒した後だった。
やる夫達がいる場所が禁止エリアに指定された。
五分以内にこのエリアから脱出しないと首輪が爆発してしまう。
やる夫達はすぐにこの場所を離れようとしたのだが……
『ダメだよぉぉぉぉぉっ!!! お姉ちゃんがこのエリアにいるかもしれない! おねえちゃーん!!!おねえちゃーーーん!!!』
『かがみーーん!!!!』
『かがみーーん!!!!』
かがみがまだこのエリアに残されているかもしれない。
やる夫達と同行していたこなたとつかさはかがみを探すために今来た道を引き返したのだった。
やる夫達と同行していたこなたとつかさはかがみを探すために今来た道を引き返したのだった。
『二人にさせたら危ないお、追いかけるお!』
二人を追いかけるやる夫とデューク・東郷
しかし彼らが前にはあまりにも絶望的で悲劇的な光景が待ち受けていた。
しかし彼らが前にはあまりにも絶望的で悲劇的な光景が待ち受けていた。
硝煙がまだゆれる拳銃を持った手をだらりと落とし呆然と立ち尽くすこなた。
こなたが撃ち殺したモノを見て呆然たち尽くすとつかさ。
そして……二人の傍らで倒れている『何か』の死体。
こなたが撃ち殺したモノを見て呆然たち尽くすとつかさ。
そして……二人の傍らで倒れている『何か』の死体。
やる夫も『それ』が何なのか初めは理解できなかった。
人の形をした『異形』としか形容できなかった。
無残に焼け爛れた顔、何かに殴られたのか全身はボロボロ。
かろうじて体格からしてそれが女だとは理解できた。
人の形をした『異形』としか形容できなかった。
無残に焼け爛れた顔、何かに殴られたのか全身はボロボロ。
かろうじて体格からしてそれが女だとは理解できた。
全てに絶望し、生きる気力を失ったこなたとつかさ。
禁止エリア指定まで一分を切った。
禁止エリア指定まで一分を切った。
『こなたあああああああっ!!! つかさああああああっ!!!!! 生きるんだろおっ!死んじゃ駄目なんだろおっ!』
必死に呼びかけるやる夫。
これまで傷つき死んでいった仲間の想いに報いるためにも『生きろ』と。
これまで傷つき死んでいった仲間の想いに報いるためにも『生きろ』と。
『生き、なきゃ』
『ごめん・・・ごめん・・・ごめん・・・かがみ・・・』
『ごめん・・・ごめん・・・ごめん・・・かがみ・・・』
やる夫の元に走り出す二人。
だけど運命というものは残酷な結末を用意する。
だけど運命というものは残酷な結末を用意する。
『世界さん、三人目』
振り下ろされたチェーンソーがつかさの顔面を砕く。
『四人目、 お願い、誠君』
『ま・・・こ・・・と・・・く・・・』
吹き飛ぶ言葉の頭部。
そして既に動かぬ骸となったこなたも、かがみも、つかさも禁止エリア内に存在する全ての首輪がやる夫の目の前で次々と爆発する。
その終末的な光景をやる夫はその目ではっきりと焼き付けていた。
そして既に動かぬ骸となったこなたも、かがみも、つかさも禁止エリア内に存在する全ての首輪がやる夫の目の前で次々と爆発する。
その終末的な光景をやる夫はその目ではっきりと焼き付けていた。
二度とあんな悲劇は繰り返したくない。
あの出来事はやる夫の心に重く圧し掛かっていた。
あの出来事はやる夫の心に重く圧し掛かっていた。
☆
「こなちゃん……つかちゃん……」
ハルヒに殴られ倒れたやる夫は無意識に二人の名を呟く。
ハルヒはその名前にぴくりと反応をしめす。
「やる夫……今、あんた『つかちゃん』って言ったわね? それってさあ……柊つかさのことかしら」
「ううっ……そうだお……柊つかさだお……ハルヒと同じクラスメイトだったお……」
「へぇ……そうなんだ……あいつがねぇ……」
「ハルヒはずっと気絶したままでわからなかったけど、やる夫はこなちゃんやつかちゃんと一緒に行動してたんだお……でも、でも……」
ハルヒはその名前にぴくりと反応をしめす。
「やる夫……今、あんた『つかちゃん』って言ったわね? それってさあ……柊つかさのことかしら」
「ううっ……そうだお……柊つかさだお……ハルヒと同じクラスメイトだったお……」
「へぇ……そうなんだ……あいつがねぇ……」
「ハルヒはずっと気絶したままでわからなかったけど、やる夫はこなちゃんやつかちゃんと一緒に行動してたんだお……でも、でも……」
目に涙を浮かべやる夫はあの時の悲劇を語り始める。
ハルヒは珍しく静かにやる夫の話を聴いていたのだが……
ハルヒは珍しく静かにやる夫の話を聴いていたのだが……
,-、 nn
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ヽ;:-ィ'´,.、 `㊦、、 ̄´ /='ィ⌒i ←※注ハルヒ
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', '、 \\_,,> ノ::/ } !
ヽ,\ ヾ;、.__,/∠_ ノ/
丶丶、ヽ;:::::::;:ィ´ ゙, /
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やる夫の話を聞き終えた途端、腹を抱え目に涙を浮かべながら大爆笑した。
「ハ、ハルヒ……?」
「きひ、きひひひひひひひ!! 何それ!? チョー最高ーっ! つかさざまあwwwwm9(^Д^)プギャーwwwwけひひひひ!!」
「な……何を笑ってるんだお!」
「あの柊つかさが! 神に最後まで逆らい続けた背教者が! そんなキチガイにあっさりと!? やべー腹痛いわwwwきひひひひ!」
ハルヒにとって柊つかさは最大の怨敵。
運命のいたずらとは言え前回の殺し合いにおける柊つかさの行動がハルヒを狂わせる原因(もっともハルヒの逆恨み以外何物でもないが)となり、
やがてハルヒの神への道に立ち塞がることになったのである。
そんな相手が別世界とは言えいとも簡単に殺された。
その事実を聞いては笑わずにはいられない。
「きひ、きひひひひひひひ!! 何それ!? チョー最高ーっ! つかさざまあwwwwm9(^Д^)プギャーwwwwけひひひひ!!」
「な……何を笑ってるんだお!」
「あの柊つかさが! 神に最後まで逆らい続けた背教者が! そんなキチガイにあっさりと!? やべー腹痛いわwwwきひひひひ!」
ハルヒにとって柊つかさは最大の怨敵。
運命のいたずらとは言え前回の殺し合いにおける柊つかさの行動がハルヒを狂わせる原因(もっともハルヒの逆恨み以外何物でもないが)となり、
やがてハルヒの神への道に立ち塞がることになったのである。
そんな相手が別世界とは言えいとも簡単に殺された。
その事実を聞いては笑わずにはいられない。
「そんな……つかちゃんがハルヒに何かしたのかお……ひどいお……ひどすぎるお……」
「あん? やる夫には関係無い話でしょうが」
「そんなことないお……ハルヒもつかちゃんもやる夫の大事な友だち―――」
「いちいちうっさいわねっ!!」
「あん? やる夫には関係無い話でしょうが」
「そんなことないお……ハルヒもつかちゃんもやる夫の大事な友だち―――」
「いちいちうっさいわねっ!!」
/ へ \ }__/ / / ̄ ̄\
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( _ ノ | \´ _ ( (_人_)’∴ ), ’ぐえあ
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ヽ _,, -‐ ''" ノ ヽ r'" ̄
\ , '´ し/.. | J
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\ \ し- '^`-J
ハルヒの強烈なハイキックがやる夫の喉元に叩きつけられる。
普通の人間なら首の骨が折れてしまうのではないかと思うほどの勢い。
やる夫はそのまま二、三メートルほど横に吹っ飛び地面に叩きつけられ、はずみで担いでいたデイバックの中身をぶちまけてしまっていた。
普通の人間なら首の骨が折れてしまうのではないかと思うほどの勢い。
やる夫はそのまま二、三メートルほど横に吹っ飛び地面に叩きつけられ、はずみで担いでいたデイバックの中身をぶちまけてしまっていた。
「あーあ、こんなに散らかしちゃって……ちゃんと片付けなさいよ!」
「わかったお……」
痛みを堪えふらふらになりながらやる夫は地面に散らばったデイバッグの中身を拾い集める。
そんなやる夫を汚い物を見るような視線で見ていたハルヒは地面に転がっている『ある物』を発見した。
「やる夫! ストップ!」
「へ……何かお?」
「今拾った物を見せなさいっ!」
「わかったお……」
痛みを堪えふらふらになりながらやる夫は地面に散らばったデイバッグの中身を拾い集める。
そんなやる夫を汚い物を見るような視線で見ていたハルヒは地面に転がっている『ある物』を発見した。
「やる夫! ストップ!」
「へ……何かお?」
「今拾った物を見せなさいっ!」
ハルヒはやる夫の手から奪い取ったそれをまじまじと見つめてる。
ビー玉ぐらいの大きさの丸くて赤い宝石。
ハルヒはまるで旧友と出会ったかのようににやにやと邪悪な笑みを浮かべていた。
ビー玉ぐらいの大きさの丸くて赤い宝石。
ハルヒはまるで旧友と出会ったかのようににやにやと邪悪な笑みを浮かべていた。
「きひひ……久しぶりね……いや私の主観的時間ではあんたと最後にあったのはせいぜい数時間前なんだけど」
「宝石に向かって何ぶつぶつと言ってるんだお……」
「宝石に向かって何ぶつぶつと言ってるんだお……」
_ ノ ̄ ̄`ヽ、―ニ 二
/ / ´`ヽ _ 三,:三ー二
/ ノヽ--/ ̄ , ` ̄ ̄ ̄
/ } ...| /! いいから黙れ!>
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/ ノ`ヾ:::-‐'ーr‐'"==-
「最初にして最後の質問よ、あんたのマスターはこの私、真・神聖究極魔神HALかあのクソッタレの腋巫女のどちらかしら?」
ハルヒの問いに赤い宝石は沈黙を保つ。
ややあって、それは薄く光り輝き電子音声のような声で答えた。
ハルヒの問いに赤い宝石は沈黙を保つ。
ややあって、それは薄く光り輝き電子音声のような声で答えた。
『HHHHhhhAAAaaaaLLLlLLllLLるるるるぅぅぅHAL様万歳HAL様万歳HAL様万歳―――All Hail HAL!!!』
「けひゃひゃひゃひゃひゃッ!! あれだけご主人様に忠実だったあんたも立派なHAL厨よ!」
歓喜に打ち震えるハルヒ。
かつてニコレンジャーが一人、博麗霊夢が所持していたインテリジェントデバイス・レイジングハート。
それが今やハルヒに忠誠を誓うだけのHAL厨へと堕とされてしまっていた。
一緒に生死を分かち合った博麗霊夢の記憶も、
本来の持ち主である高町なのはの記憶さえも失って―――
歓喜に打ち震えるハルヒ。
かつてニコレンジャーが一人、博麗霊夢が所持していたインテリジェントデバイス・レイジングハート。
それが今やハルヒに忠誠を誓うだけのHAL厨へと堕とされてしまっていた。
一緒に生死を分かち合った博麗霊夢の記憶も、
本来の持ち主である高町なのはの記憶さえも失って―――
「さあ私に力を! レイジングハートッ! 否! 『神杖レイジングハート・エターナルHALカスタムゼロ』ッ!!!!」
____
/ \
/ ─ ─ \ (何というひどいネーミングセンスだお……今時小学生でもそんな名前はつけないお)
/ (○) (○) \
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
「神杖レイジングハート・エターナルHALカスタムゼロ! アルティメットフルバーストドライブ! セットアップ!」
『Yes, Your Majesty……Non! Yes, Your GOD』
ハルヒの声と共に神杖レイジングハート・エターナルHALカスタムゼロ(以下レイジングハート)は瞬時に機械的なフォルムを持った杖へと変形する。
そしてハルヒの姿も光に包まれ術者を守護する鎧、バリアジャケットを身に纏う。
「けひひ、なかなかセンスのある服装じゃない。褒めて遣わすわ」
『感謝の極み』
『Yes, Your Majesty……Non! Yes, Your GOD』
ハルヒの声と共に神杖レイジングハート・エターナルHALカスタムゼロ(以下レイジングハート)は瞬時に機械的なフォルムを持った杖へと変形する。
そしてハルヒの姿も光に包まれ術者を守護する鎧、バリアジャケットを身に纏う。
「けひひ、なかなかセンスのある服装じゃない。褒めて遣わすわ」
『感謝の極み』
ハルヒは再び自らの姿を確認する。
彼女のバリアジャケットは北高の制服をベースにやや露出度を多めにしたファンタジーチックな姿(涼宮ハルヒの戸惑、超勇者ハルヒを参照)だった。
彼女のバリアジャケットは北高の制服をベースにやや露出度を多めにしたファンタジーチックな姿(涼宮ハルヒの戸惑、超勇者ハルヒを参照)だった。
「きひひ……どうかしらやる夫、私の新たな甲冑は?」
「す、すごくカッコイイお!(と、とてもダサいなんて言えないお……)」
「大変結構よ!」
「す、すごくカッコイイお!(と、とてもダサいなんて言えないお……)」
「大変結構よ!」
☆
ハルヒとやる夫がいた地点からそう遠く離れてない場所。
園崎魅音は気絶した柊つかさをおぶり街中を歩いていた。
汗が額を伝って目に入っても気にしない。
ひりひりと目が染みるのも我慢して魅音はひたすら歩き続ける。
すぐ後ろにあのウェディングドレス姿の男がいてるような感覚。
少しでも、少しでも遠く離れないと。
今、つかさを守れるのは自分ひとりなのだから……
園崎魅音は気絶した柊つかさをおぶり街中を歩いていた。
汗が額を伝って目に入っても気にしない。
ひりひりと目が染みるのも我慢して魅音はひたすら歩き続ける。
すぐ後ろにあのウェディングドレス姿の男がいてるような感覚。
少しでも、少しでも遠く離れないと。
今、つかさを守れるのは自分ひとりなのだから……
(大丈夫……あの男は追いかけていない)
後ろを振り返り追っ手がいないか確かめる。誰もいない。ほっと胸をなでおろす魅音。
今は放送局へ向かい三村と合流し、そして彼の誤解を解かなくては。
柊かがみはあんたの言うような極悪非道な魔女なんかじゃない、ただ妹思いの姉なんだと。
今は放送局へ向かい三村と合流し、そして彼の誤解を解かなくては。
柊かがみはあんたの言うような極悪非道な魔女なんかじゃない、ただ妹思いの姉なんだと。
だが、さっきのかがみの豹変振りがしこりのように魅音の胸の奥に残り続けている。
突然鋭い目つきとともに口調も変化した柊かがみ。
突然鋭い目つきとともに口調も変化した柊かがみ。
(目つき、ね……)
魅音は園崎の一族が持つ『鷹の目』を思い出していた。
園崎家の頭首が持つ物でその眼光で睨まれた者は心臓が止まりそうなぐらいの強烈なプレッシャーを与える物である。
現頭首のお魎はもちろん次期頭首である魅音、双子の妹である詩音もその瞳を持っていた。
園崎家の頭首が持つ物でその眼光で睨まれた者は心臓が止まりそうなぐらいの強烈なプレッシャーを与える物である。
現頭首のお魎はもちろん次期頭首である魅音、双子の妹である詩音もその瞳を持っていた。
(うーん……鷹の目は交渉とかで相手をビビらすパフォーマンスみたいな物だけど……かがみの場合は……)
まるで別人のような仕草と口調。見た目と声も女性のそれであるかがみだったのだが、
あの男と対峙した時は完全に男のような仕草と口調だった。
わからない。
わからない。
頭の中が????で埋め尽くされる。
本当に三村の言う通り柊かがみは『魔女』なのだろうか?
思考が螺旋の中に囚われていく。
何が真で何が虚なのかもわからない。
あの男と対峙した時は完全に男のような仕草と口調だった。
わからない。
わからない。
頭の中が????で埋め尽くされる。
本当に三村の言う通り柊かがみは『魔女』なのだろうか?
思考が螺旋の中に囚われていく。
何が真で何が虚なのかもわからない。
(あーっダメダメ! 今はつかさを守ることだけを考えないと)
無理矢理疑念を振り払う。
それでも心にまとわりつくそれは煙のように不確かで、払っても払っても立ち込める物だった。
それでも心にまとわりつくそれは煙のように不確かで、払っても払っても立ち込める物だった。
魅音はつかさを背中に担ぎ街を歩く。
つかさはまだ目を覚まさない無かった。
魅音は放送局へ向かうために南東の方角へ歩を進める。
本来なら北東へ向かわないといけないのだが放送局への最短ルートは既に禁止エリアによって閉ざされてしまっていた。
ゆえに南東の橋を経由して放送局へ向かわなくてはならないという事態に陥っていた。
かなりの時間のロスは否めないだろう。
放送の内容によるとこの時間帯に設定される禁止エリアはちょうど島を南北に分断する形になる。
北西に向かうのは比較的楽だが、北東方面には大幅な迂回路をとらなくてはならない。
そしてそれは北東方面にいる人間にも同じ事が言え、島の南側に行くためには南東のF-6地点の橋を通らないといけない。
狭い地域に多数の人間が集中し、ひいては危険人物とも遭遇する確率がぐんと増えてしまうのである。
つかさはまだ目を覚まさない無かった。
魅音は放送局へ向かうために南東の方角へ歩を進める。
本来なら北東へ向かわないといけないのだが放送局への最短ルートは既に禁止エリアによって閉ざされてしまっていた。
ゆえに南東の橋を経由して放送局へ向かわなくてはならないという事態に陥っていた。
かなりの時間のロスは否めないだろう。
放送の内容によるとこの時間帯に設定される禁止エリアはちょうど島を南北に分断する形になる。
北西に向かうのは比較的楽だが、北東方面には大幅な迂回路をとらなくてはならない。
そしてそれは北東方面にいる人間にも同じ事が言え、島の南側に行くためには南東のF-6地点の橋を通らないといけない。
狭い地域に多数の人間が集中し、ひいては危険人物とも遭遇する確率がぐんと増えてしまうのである。
(参ったなあ……あのコスプレ男とまた鉢合わせしなきゃいいんだけど)
つかさを守りつつ戦うなんて不可能。
気絶したままのつかさを背負って逃げる事も不可能。
魅音に出来ることはただウェディングドレス姿の男―――6/と出会わない事を祈ることだけだった。
気絶したままのつかさを背負って逃げる事も不可能。
魅音に出来ることはただウェディングドレス姿の男―――6/と出会わない事を祈ることだけだった。
「魅音さんっ!」
突然背後からの声に魅音は心臓が止まりそうなぐらい驚く。
まさかアイツが―――? いやそんなはずはない、声の主は女の物だしそれに良く知った声だったのだから。
魅音はゆっくりと振り返る。そこには見知った顔。
背中で静かに寝息を立てている柊つかさと似た雰囲気の顔の少女―――柊かがみだった。
まさかアイツが―――? いやそんなはずはない、声の主は女の物だしそれに良く知った声だったのだから。
魅音はゆっくりと振り返る。そこには見知った顔。
背中で静かに寝息を立てている柊つかさと似た雰囲気の顔の少女―――柊かがみだった。
「あ、あの、かがみ……無事だったんだ」
「ええ、何とか逃げる事ができたわ。魅音さんもつかさも無事で何よりね」
「あはは……さすがにおじさんずっとつかさを背負ったままだったから疲れたよ。少しだけ休ませてくれないかな」
「つかさは私に任せて、ありがと……つかさを守ってくれて」
「ええ、何とか逃げる事ができたわ。魅音さんもつかさも無事で何よりね」
「あはは……さすがにおじさんずっとつかさを背負ったままだったから疲れたよ。少しだけ休ませてくれないかな」
「つかさは私に任せて、ありがと……つかさを守ってくれて」
魅音は気絶したつかさをかがみに預けて道路の真ん中で大の字で「疲れたーーーー!」と寝そべる。
かがみもまたデイバックを枕代わりにしてそこにつかさを寝かせてあげた。
かがみもまたデイバックを枕代わりにしてそこにつかさを寝かせてあげた。
「年は取りたくないものだねぇ……この程度でバテるなんて」
魅音はデイバックから水の入ったペットボトルを取り出すと一気に飲み干す。
当然冷蔵庫に入れてあるわけではないので生ぬるい。だけど文句は言ってられない。
魅音はかがみの方に視線をやる。かがみはつかさに寄り添うように膝を抱えて座っていた。
魅音はデイバックから水の入ったペットボトルを取り出すと一気に飲み干す。
当然冷蔵庫に入れてあるわけではないので生ぬるい。だけど文句は言ってられない。
魅音はかがみの方に視線をやる。かがみはつかさに寄り添うように膝を抱えて座っていた。
ふとかがみの姿を見る。
プールに飛び込んだせいで体中が濡れている。
だがそれだけだった。
あんなコスプレ男を相手にしていたのにかがみはかすり傷ひとつ負っていない。
普通に考えたら怪我の一つや二つ負っていてもおかしくない。
プールに飛び込んだせいで体中が濡れている。
だがそれだけだった。
あんなコスプレ男を相手にしていたのにかがみはかすり傷ひとつ負っていない。
普通に考えたら怪我の一つや二つ負っていてもおかしくない。
魅音の背筋に冷たいものが流れ落ちる。
まさか本当に、三村の言う通りかがみは魔女で、
あのコスプレ男と実はグルで自分はおろか実の妹までも騙し、殺害の機会を伺っているのだとしたら―――
まさか本当に、三村の言う通りかがみは魔女で、
あのコスプレ男と実はグルで自分はおろか実の妹までも騙し、殺害の機会を伺っているのだとしたら―――
(まさか! かがみに限ってそんなことあるはずない! そうクールだ……クールになれ園崎魅音ッ! 私ははただ疲れているだけに決まってるだろ!)
「どうしたの魅音さん?」
「あ、いや、何でもちょっと肩が凝っちゃったかなーって、あは、あはははははは」
「どうしたの魅音さん?」
「あ、いや、何でもちょっと肩が凝っちゃったかなーって、あは、あはははははは」
ぎこちない表情で笑い誤魔化す魅音。
かがみは魅音の不自然な仕草が気になったなったものの特にそれ以上聞くつもりは何も無かった。
かがみは魅音の不自然な仕草が気になったなったものの特にそれ以上聞くつもりは何も無かった。
☆
(魅音の奴……どうも様子がおかしい……う~ん、あいつもどこかのロワでかがみと何かあったんだろうか)
魅音の妙な雰囲気にかがみ―――いや、柊かがみの姿をした6/は怪訝な表情をする。
だけど魅音自身がこれ以上何も言ってこないのでヘタに問い詰める訳にもいかない。
正直に自分は柊かがみじゃないことを打ち明けるべきか?
いや、そんなことをしたら余計に話がこじれることになるに決まっている。
しばらくはかがみの役を演じるしかないだろう。
後、魅音がどこのロワからやって来たこともそれとなく聞きださないといけない。
だけど魅音自身がこれ以上何も言ってこないのでヘタに問い詰める訳にもいかない。
正直に自分は柊かがみじゃないことを打ち明けるべきか?
いや、そんなことをしたら余計に話がこじれることになるに決まっている。
しばらくはかがみの役を演じるしかないだろう。
後、魅音がどこのロワからやって来たこともそれとなく聞きださないといけない。
(いつまでかがみになりきればいいだろうな……俺。そういえばもう一人の俺は何やってるんだろう……)
ふとまだ出会っていない三人目の自分のことを考える。
数えるのも面倒くさいぐらいロワに参加し続けた二人目の自分はマーダーになった。
じゃあ三人目の俺は?
相変わらずどこかで誤解フラグをばら撒いているのだろうか……
数えるのも面倒くさいぐらいロワに参加し続けた二人目の自分はマーダーになった。
じゃあ三人目の俺は?
相変わらずどこかで誤解フラグをばら撒いているのだろうか……
「ん……んんっ……おねえ……ちゃん」
静かに眠っていたつかさの表情が動き出す。
ややって瞼を開けぼんやりとした眼で心配そうに覗き込む6/の顔を見つめていた。
ややって瞼を開けぼんやりとした眼で心配そうに覗き込む6/の顔を見つめていた。
「お姉ちゃん……」
上体を起こしたつかさは目をこすりながら6/と魅音の顔を交互に見比べる。
まだ意識が完全に覚醒しているわけではなさそうだ。
が、それも束の間の事。
己の置かれた状況を思い出したつかさは口を開いた。
まだ意識が完全に覚醒しているわけではなさそうだ。
が、それも束の間の事。
己の置かれた状況を思い出したつかさは口を開いた。
「そうだ……ゆきちゃん! ゆきちゃんだよ! お姉ちゃん……ゆきちゃんは……」
すがるような視線で6/を見つめるつかさ。
6/は無言で首で横に振った。
6/は無言で首で横に振った。
「そんな……」
がっくりと項垂れるつかさ。
6/は静かにつかさの震える身体を抱き締めて言った。
6/は静かにつかさの震える身体を抱き締めて言った。
「私はここにいるから……そしてこなたもまだ生きてるから……」
「ううっ……お姉ちゃん」
すすり泣くつかさを赤子のように優しく抱く姉の姿に魅音もまた目頭が熱くなるのを感じていた。
そして、ようやく落ち着いたつかさは二人に自分が見た『映像』についてぽつりぽつりと話し出した。
「ううっ……お姉ちゃん」
すすり泣くつかさを赤子のように優しく抱く姉の姿に魅音もまた目頭が熱くなるのを感じていた。
そして、ようやく落ち着いたつかさは二人に自分が見た『映像』についてぽつりぽつりと話し出した。
首を刈り取られ、かがみに抱きかかえられた自分。
見たことのない少年に愛の言葉をささやいて死んだ自分。
笑いながらアザラシや人を銃で撃ち抜いてゆく自分。
姉に背負われ眠っている自分。
見たことのない少年に愛の言葉をささやいて死んだ自分。
笑いながらアザラシや人を銃で撃ち抜いてゆく自分。
姉に背負われ眠っている自分。
「……タチの悪い夢でも見たのよ、気にする事はないわ」
「そう……だよね」
6/はそう言いながらも別の所でつかさの話は真実だと確信していた。
どういう理由かは不明だが、つかさは別の世界で起きたロワの自分を垣間見ている。
(なぜつかさが……? もしかして他のらき☆すたメンバーも似たような物を?)
「そう……だよね」
6/はそう言いながらも別の所でつかさの話は真実だと確信していた。
どういう理由かは不明だが、つかさは別の世界で起きたロワの自分を垣間見ている。
(なぜつかさが……? もしかして他のらき☆すたメンバーも似たような物を?)
6/は魅音に視線をやる。
魅音の顔は明らかに引きつっていた。
魅音の顔は明らかに引きつっていた。
「魅音さん?」
「あっ、いや、そうだよ。かがみの言う通りヘンな夢でも見たんだよ。心配しなくても平気だってあは、あはははは……」
「うん……」
「あっ、いや、そうだよ。かがみの言う通りヘンな夢でも見たんだよ。心配しなくても平気だってあは、あはははは……」
「うん……」
(魅音……あれで誤魔化してるつもりか? 一体魅音はどこのロワのつかさと繋がりがあるんだ……)
三人の間に重く圧し掛かる空気。
誰一人として次の言葉を発する者はいない。
そんな空気がしばらく続いた後……
誰一人として次の言葉を発する者はいない。
そんな空気がしばらく続いた後……
「おおーーーい! かがみ~~~ん! つかちゃ~~~~ん! 魅ぃ音~~~! 無事だったんだお~~~!」
と、間の抜けた声が辺りに木霊した。
「だ……誰……?」
突然の声に驚く三人。
声のする方向に視線を向けると……
声のする方向に視線を向けると……
____
/⌒ ⌒\
/( ●) (●)\ こっちだお~~~!
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| |r┬-| |
\ `ー'´ /
「「「……………」」」」
絶句する三人。
人型の白い饅頭としか言いようのない生物が笑顔で腕を振っていた。
人型の白い饅頭としか言いようのない生物が笑顔で腕を振っていた。
「お姉ちゃん……あの人、誰?」
「えーっと……かがみの知り合い?」
「いや、私に聞かれても……(ってやる夫じゃねーか! ん……その隣にいるのは……?」
「えーっと……かがみの知り合い?」
「いや、私に聞かれても……(ってやる夫じゃねーか! ん……その隣にいるのは……?」
やる夫のインパクトでつい見過ごしてしまっていたのだが、
やる夫の隣には一人の少女が気難しい顔でこちらを見つめていた。
やる夫の隣には一人の少女が気難しい顔でこちらを見つめていた。
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|:.|:l:Lト!:.:.ト{  ̄ ,  ̄`|:.|:Lj:l
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lム|:.|::.:ト:..l |\ ´ ̄` /7:/、/ノ′
/|: 「lト::.:|.ヽ:! ` ーァ ´}: : j/ : |「ト.
ハl: l:::l ヽ!: : :ト_- ― <|: :/: : : !!| l
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| ト:ヾヽ : : : l_ノ  ̄ `| : : : : :l:l:l !
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} V ヽヾヽ: :l fYiソ : : /'/ ハ |
| _, --、 }_ヽヾヽ |ljl/: : :/'/ / r‐- |
(ハルヒ……だよな。でも何だあの変なコスプレ姿は)
どこからどうみても涼宮ハルヒその人である。
しかし彼女は妙なコスプレ衣装を身に着けていた。
良く見ると彼女の右手にには見覚えのあるものが握られていた。
しかし彼女は妙なコスプレ衣装を身に着けていた。
良く見ると彼女の右手にには見覚えのあるものが握られていた。
(レイジングハート……じゃああれはバリアジャケットなのか? なんでハルヒがレイジングハートを扱えてるんだ……?)
疑問は尽きないがまずはやる夫達と合流するのが先決だろう。
三人はやる夫達の所に向かう事にした。
三人はやる夫達の所に向かう事にした。
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