らき☆ロワ @ ウィキ

Reckless fire

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集

Reckless fire ◆OQfaQnysJI


北の街道を、巨大な黒馬が駆ける。並の人間などとうてい及ばぬ速度で突き進むその馬の名は、黒王号。
世紀末の世界に君臨した豪傑、ラオウが愛馬とした天下無双の馬である。
現在その手綱を握るのは、静かなるChain-情。
揺るぎない正義と愛を胸に、バトルロワイアルへの反逆を試みる青年である。

「っと、そろそろか……。黒王号、いったん止まってくれ」

馬上で時計に目をやったChain-情は、すぐさま手綱を操作して黒王号を停止させる。
時計の針が指し示す時間は、11時58分。二回目の定時放送まで、あとわずかだ。
彼は落ち着いて放送を聞くために、黒王号を停止させたのである。

(出来れば誰にも死んでほしくないけれど……。特にフラグビルドさん、どうかご無事で……)

祈りにも似た思いを胸に抱きながら、Chain-情は馬上で放送の時を待った。


◇ ◇ ◇


そして、放送後。

「くそっ! 僕がもたもたしている間に、13人も!」

平時の彼には似合わぬ叫び声をあげながら、Chain-情は拳を強く握りしめていた。
その胸に渦巻くのは非道な主催者への、そしてふがいない自分への怒りだ。
愛する人の名前が呼ばれなかったのは不幸中の幸いだろうが、それも焼け石に水程度の慰めにしかならない。

「落ち着け、落ち着くんだChain-情……。こんな所で怒りを暴発させても、何の役にも立たない。
 こんな時こそ、冷静になるんだ……」

だが彼も、単に血気盛んな若者ではない。バトルロワイアルのセオリーというものを知っている存在だ。
ゆえに彼は自分を戒め、落ち着いた精神を呼び戻す。

「とりあえず、もう一度死者の顔ぶれを振り返ってみるか……」

大きく深呼吸をすると、Chain-情は手にした名簿に視線を送る。

フラグビルドや、先程出会ったかえるは未だ存命。
ずっと探し続けている二人に関しては、名前がわからないので判断しようがない。
だが、出来れば生きていてほしい。単なる願望でしかないが。
次に、朝倉涼子とフェイト・T・ハラオウンの二人。
彼女たちはChain-情が所属するアニロワにも登場していた。そのため、各自の性格や能力もよく知っている。
二人とも、戦闘力は超人の域に達しているはず。
彼女たちが死んだということは、かなり激しい戦闘が行われたということなのだろう。

そして、死者の中でもっともChain-情と因縁深き名前。
「地球破壊爆弾No.V-7」。
彼(彼女?)は、Chain-情と同じアニロワ書き手だ。本来ならばChain-情は、爆弾の死を悼んだことだろう。
だが実際には、爆弾の死を聞かされたChain-情の中には、少なからず安堵の感情が生まれていた。
それは彼がここに来る前の殺し合い、すなわち「書き手ロワイアル2nd」で経験した事柄に理由がある。

「真の対主催」。

フラグビルドのみならずうっかり侍や残月といったChain-情の大切な仲間たちを死に追いやった憎き男、感電が口にした言葉だ。
Chain-情には結局、彼らの目的が何かを知ることは出来なかった。
確実なのは、「真の対主催」がChain-情の大切な人たちを殺した仇だということ。
そして地図氏……すなわち地球破壊爆弾が「真の対主催」の一員であるということだ。
さらに、爆弾への敵意を深める要素がもう一つ。
Chain-情とその同行者だったネコミミストにジョーカーが接触してきた理由、それは「二人を孤城の主に参加させないため」であった。
「孤城の主」とは、アニロワにおいて地図氏が執筆したアーカードと対主催集団との激戦のことである。
その名前が冠せられている以上、爆弾が惨劇を引き起こした、もしくは引き起こそうとしていたことは疑いようがない。
この二つの要素から、Chain-情は爆弾を「Aランクの危険人物」として認識していた。
人が死ぬことを喜ぶなど、不謹慎極まりないとは思っている。
だがそれでも、Chain-情はもっとも警戒していた人物が死んだことに安堵感を禁じ得なかった。

(けど、だからといって油断は出来ないか……。あの人がこんなにも早く死ぬってことは、このロワがそれだけ過酷な環境ってことだ。
 もう手遅れになったことを後悔しないためにも……。急いだ方がいいな)

Chain-情は名簿をデイパックに戻し、黒王号の手綱を握り直す。

「待たせたね。行くよ、黒王号!」

主の気迫に呼応するように、黒王号は力強くいななく。
そして、再び弾丸のごとき速さで走り出した。


◇ ◇ ◇


それから数十分。黒王号はただひたすらに走り続けていた。だがその脚が、突如として急停止する。

「おわっと! どうした、黒王号!!」

自分の指示していない行動を取る愛馬に戸惑いつつ、Chain-情は黒王号に声をかける。
指示していない行動を取るということは、それすなわち不測の事態が起きたということ。
急いで周囲の状況を把握しようとするChain-情。その瞬間彼の背筋を、常軌を逸したレベルの悪寒が駆け抜ける。

「それなりの闘気がめまぐるしいスピードで動いているので、進路を変えて様子を見に来たが……。
 まさか闘気の持ち主が馬で、持ち主の方は単なる青びょうたんだったとはな」
「なるほど……。あなたほどの人が現れれば、黒王号も止まるか……。なあ……衝撃のアルベルト!!」

まさに目にも止まらぬ速さで、眼前に現れた怪紳士。彼に向かって、Chain-情は叫ぶ。

「ほう、わしを知っておるか。けっこうけっこう」

名を呼ばれた紳士……衝撃のアルベルトは、葉巻をくゆらせながら口元に笑みを浮かべる。

「さっき、通りすがりのかえるさんに聞いたものでね」

Chain-情の言葉は、嘘ではない。だが、彼はそれよりずっと前からアルベルトのことを知っている。
彼はアニロワ書き手であるが、続くアニロワ2ndにも多少関わっている。
ゆえに、その参加者であるアルベルトのことも知っているのだ。
それに何より、彼の名前に刻まれた言霊がアルベルトと呼応していた。

「あの蛙か……。まあ、そんなことはどうでもいい。単刀直入に要求を出そう」

Chain-情に対して改めて鋭い視線を送りつつ、アルベルトは言葉を紡ぐ。

「その馬、気に入った。わしによこせ。おとなしく渡せば、貴様は無傷で見逃してやる。
 貴様のような素人と戦ってもつまらないのは目に見えているしな」
「お断りします」

アルベルトの要求を、Chain-情は即座に却下する。黒王号は貴重な移動手段。ここで失うにはあまりに惜しいのだ。
だがその返答は、アルベルトの顔を不快感に歪ませる。

「ほう……。蛙のやつからわしの強さは聞いておらんかったようだな!
 おとなしく譲らぬというのなら、力ずくで奪うまでよ!」

アルベルトの四肢に、瞬く間に闘気が満ちる。それは、彼が戦闘態勢に入ったことを示していた。
だがChain-情も、こうなることは想定済み。会話中にデイパックから取り出しておいた武器を、アルベルトに向かって構える。

「ネットアーム!」

Chain-情の抱えた義手から、捕獲用ネットが飛び出した。だがネットが向かう先には、すでにアルベルトの姿はない。

「何ッ!」
「なっちゃいない! 本当になっちゃいないぞ!」

予想以上のスピードに驚くChain-情へ、上空から声が降ってくる。
すぐさま空を見上げるChain-情だったが、その時にはすでにアルベルトの跳び蹴りが彼の胸を捉えていた。

「があっ!」

悶絶の声と共に、Chain-情は黒王号から落馬して地面に叩きつけられる。

「思いっきり手加減してやった蹴りでこの様とは……。話にならんわ!
 まあ、この程度で済んで運がよかったと思うのだな」
「何言ってんですか……。それじゃあまるで、もう決着がついたみたいじゃないですか……」

馬上から自分を見下すアルベルトに対し、Chain-情はゆっくりと体を起こしながら言う。

「まだ僕は、諦めちゃいない! ロープアーム!」

カートリッジを交換された義手から、今度はフックつきロープがアルベルト目がけて射出される。
だがアルベルトは、素早く黒王号の背中から飛び降りそれを回避した。

「ドリルアーム!」

黒王号から降りたアルベルトに、Chain-情はドリルに変形させた義手を槍のように突き出す。
だがその一撃もアルベルトに回避され、ドリルはむなしくうなりを響かせながら空を切る。

「パワーアーム!」

今度は義手の先端を三日月状の刃物に変化させ、横に薙ぐ。アルベルトは後方へ跳び、その攻撃を避ける。

「マシンガン……アーム!!」

距離を空けたアルベルトに対し、Chain-情は銃弾の雨を浴びせた。しかしアルベルトは体から生じさせた衝撃波で、いともたやすく銃弾を吹き飛ばしてしまう。

「ぬるい! ぬるいぞ! その程度の武器で、衝撃のアルベルトが退けられると思ったかぁぁぁぁぁ!!」

雄叫びをあげながら、アルベルトが突進する。開いていた間合いが、一瞬でゼロと化す。
そして何の反応も許すことなく、アルベルトの拳がChain-情の腹に叩き込まれた。

「…………!」

声をあげることすら出来ずに、Chain-情は吹き飛ぶ。彼の体が地面に落ちたときには、彼とアルベルトの距離は10メートルほども開いていた。

(強い……。強すぎる……。覚悟はしていたけど、これほどまでとは……!
 これが……。BF団の十傑集……!)

Chain-情とて、以前のロワで数々の修羅場をくぐってきた男だ。
戦闘の中で得た経験値も、決して低くはない。
だがそれでも、彼の肉体はあくまでごく一般的な若者でしかないのだ。
巨大ロボとも生身で渡り合うことが可能なアルベルトとは、規格が違いすぎる。
ミニカーが10トントラックに挑むようなものだ。
しかし絶望的な戦力差を見せつけられてもなお、Chain-情の心は折れていなかった。

(スタンドもない今の僕じゃ絶対勝てないなんて……そんな弱い考えに反逆する!)

もうこれ以上動くな、これ以上ダメージを増やすなと訴えかけてくる肉体に反逆し、Chain-情はのろのろと体を起こす。
はっきり言ってしまえば、彼にそこまでして戦う理由はない。
たしかに黒王号を失うことはChain-情にとって大きな損失だが、それを守るために戦って死んでしまっては本末転倒である。
どんな貴重なものがかかっていたとしても、命あっての物種なのである。
もはや彼は、理屈ではなく感情で動いているのだ。
他者からものを強奪するような「悪」に負けたくないという正義感、そしてたびたび味わってきた喪失感への忌避。
そういった非合理的な感情が、今のChain-情を動かしていた。

「お待たせしました……。では、続けましょうか」

完全に体を起こすと、絞り出すような声でChain-情は告げた。

「ほう……」

立ち上がったChain-情を見て、アルベルトは感嘆の声を漏らす。
こんな雑魚に本気を出すのもばかばかしいと、手を抜いていたのは事実。
だがそれでも、先程の一撃は一般人なら数時間は目覚められぬ威力だったはず。
それを受けてすぐさま立ち上がったということは、相手はただの人間ではないということになる。

「……なるほど、そういうことか」

しかしアルベルトは、すぐにその理由を理解する。Chain-情の体から、先程まではなかった緑色のオーラがうっすらと放たれているのに気づいたからだ。
アルベルトは、それに見覚えがあった。前の殺し合いで彼が戦士として育てていた少女・柊かがみ
彼女もまた、殺し合いの中で同じ力に目覚めていた。断定できるほどの根拠はないが、おそらくそれこそが螺旋王の求めていた「螺旋力」だ。

「少々侮りすぎていたか。まさか貴様も覚醒者だったとはな」
「覚醒? なんのことです?」

未だ自分の中に目覚めた力に気づかぬChain-情は、アルベルトの言葉に首をかしげる。

「気づいておらぬのか? まあいい。少しばかり本気を出させてもらうぞ!」

高らかに叫ぶと、アルベルトは再び距離を詰めるべく走り出した。だが、今度はChain-情もみすみすその攻撃を受けたりはしない。

「ロープアーム!」

Chain-情は、再びロープを射出する。だがその標的は、アルベルトではない。たまたま近くに生えていた木だ。
ロープの先のフックが木の枝を捉えるや否や、Chain-情はロープを巻き取る。
そうすることで、自分自身を木に引っ張らせたのだ。

「それがどうしたあ!」

Chain-情の行動に多少は虚をつかれたアルベルトだったが、その程度で動きが鈍るほど彼は未熟ではない。
まったくスピードを落とさぬまま方向転換し、Chain-情に改めて迫る。
そのままなら、Chain-情はすぐにまた追いつめられるはずだった。
だが直後、アルベルトに横から黒い塊が突っ込んできた。

「ぬおっ!」
「よし! ナイスだ黒王号!」

そう、黒い塊の正体は黒王号。主を助けるべく、彼がアルベルトに体当たりを敢行したのだ。
騎英の手綱を直接行使せずとも黒王号の助けを得られたのは、Chain-情の人徳であろうか。
それはさておき、さしものアルベルトも黒王号の巨体にぶつかってこられてはノーダメージというわけにはいかない。
とっさの防御で肉体へのダメージは最小限に抑えたものの、その体は大きく吹き飛ばされる。
その隙に、Chain-情は木の上へ到達していた。カセットアームを手放すと、彼は代わりにあるものを取り出す。
それは彼の手元に残っていた、最後の不明支給品の正体であった。

(出来ればもっと練習してから使いたかったけど……。贅沢は言ってられないか!)

心中で愚痴をこぼしながら、Chain-情はそれをアルベルト目がけて投擲した。
Chain-情の手から放たれたのは、陰と陽を示す印をかたどった玉。
その名は陰陽玉。幻想郷の守護者・博麗霊夢の武器である。

「いっけええええ!!」

陰陽玉は物理法則を無視した不規則な軌道を描きながら、アルベルトに向かって飛んでいく。
本来陰陽玉は、霊夢の専用武器。他の人間が使うことは不可能とはいわないが、そうそうできるものではない。
ではなぜ、Chain-情はこれを使うことが出来るのか。その理由は三つ挙げられる。
一つ。螺旋力補正。
二つ。Chain-情が「支給品を扱うのが上手い」というスキルを持っていること。
そして三つ。彼の外見モデルが、「自らが作り出した球状の物体を操る」能力の持ち主であるということ。

「これが僕の切り札! 『疑似エタニティエイト』だ!」

アルベルトの隙をうかがうかのように、陰陽玉はさらに複雑な軌道を描く。だが、それを見つめるアルベルトの目は冷ややかだった。

「こんなものが切り札だと? わしを失望させるつもりか、小僧!」

もし一般人が重力も慣性の法則も無視した陰陽玉の動きを見れば、それは戸惑うだろう。
だが、アルベルトは一般人ではない。敵も味方も「超能力」と呼ぶに値する異能を持つ者だらけの世界で生きてきた男だ。

ある者は指を鳴らしただけであらゆるものを両断し。
ある者は上空に射た一本の矢を数百本に増殖させ。
またある者は命を持つもの全てを使役する。

そんな異能の数々を見てきたアルベルトにとって、玉を空中で自在に操る程度の技など児戯に等しい。

「こんな玉コロ一つで何が出来る! わしを倒したければ、大怪球の一つや二つ持ってこい!」

空中を駆けめぐる陰陽玉に対し、アルベルトは自ら突進。神速の手刀で、陰陽玉を叩き落とす。
だがその光景を目の当たりにしても、Chain-情の顔に落胆の色はなかった。

「玉が一つだなんて、僕は言ってませんよ」
「何?」

「僕の玉は、二つある!」

直後、アルベルトの後頭部に「もう一つの陰陽玉」が命中した。

「ぐっ……! しまった、一個目はわしの目を引きつけるための囮か……!」

そう、Chain-情も端から正攻法でこの技が通用するとは考えていなかった。
そのため一投目をわざと派手に動かしてアルベルトの目を引きつけ、その隙にひっそりともう一つの陰陽玉を放っていたのだ
種を明かせば、存外に単純。
だがアルベルトはそのチープな技に警戒を怠り、気付いてしかるべき単純な策にも気付けなかった。
己の油断に、アルベルトは苦渋の表情を浮かべる。

「今だ!」

さすがのアルベルトも、頭部に直撃を受けたことでわずかな間ながら動きが止まっていた。
そのかすかな隙に、Chain-情は勝負を賭ける。
木の枝を強く蹴り、Chain-情は空中へ飛び出した。その肉体が作り出す姿勢は、跳び蹴り。
彼の右脚で螺旋の力が活性化し、緑色のまばゆい光を放つ。
アルベルト目がけ降下しながら、Chain-情は叫ぶ。
身にまとったライダースーツにわずかながら込められた、真の持ち主の「魂」が告げるままに。

「ライ……ダァァァァァ! キィィィィィック!!」

「ぬうっ!」

後頭部への打撃が予想以上に堪えたのか、アルベルトの動きは鈍い。Chain-情の渾身の一撃を捌ききれない。
緑の矢と化したChain-情が、アルベルトの胸に突き刺さった。

「……やるな」

アルベルトは、ニヤリと笑う。

「だが、この程度ではわしの首は取れん!」

いかに螺旋力の力を借りようとも、所詮は一般人の蹴り。百戦錬磨の強者であるアルベルトを倒すには、あまりに威力が足りない。
Chain-情の足が地を踏みしめるよりも早く、反撃の拳がアルベルトから放たれる。
その一撃はChain-情の顔を捉え、頭蓋骨を粉々に砕いた。


◇ ◇ ◇


「さて……」

戦いを終えたアルベルトは、己の身だしなみを整える。
すでに着用するスーツはボロボロで、身だしなみも何もあったものではない。
だがそれでも、出来る限り整えておかねば気持ちが悪いのが人情というものだ。

「それでは、戦利品をいただくとするかな」

儀式にも似た行為を終えたアルベルトは、大きくジャンプして直接黒王号の背に飛び乗る。
先程はアルベルトに攻撃を仕掛けた黒王号だったが、今はおとなしく彼に従っていた。
アルベルトに騎英の手綱を握られたというのもあるが、彼の雰囲気に本来の主・ラオウに近いものを感じたというのも理由の一つだろう。

「足を得たのはいいが、どこに行くか……。そういえば、もともとはホテルに向かっていたのだったな。
 よし、改めてあそこを目指すか」

そのまま黒王号を走らせようとするアルベルト。だが彼は直前に思いとどまり、今一度自分が倒した男に視線を向ける。
彼の目には、ドクロ……「頭蓋骨」が描かれたヘルメットを砕かれ、素顔を晒すChain-情が映っていた。
割れた額から溢れた血が顔面を赤く染めているが、命に別状はないだろう。
アルベルトの目的はあくまで「闘争」であり、「殺戮」ではない。
それ故すでに戦えぬ相手に止めを刺すこともないだろうと考え、そのまま放置しているのだ。
だが彼がChain-情を殺さずにおいたのは、それだけが理由ではない。

(最後の顔面への一撃……。あれは100%の力とは言わぬが、殺すつもりで放った拳だ。
 いくらヘルメットが威力を軽減したとはいえ、それを受けて軽傷で済むとは……。
 おそらくは、これも螺旋力の恩恵……。やつの中で螺旋力がさらに強まれば、このわしを楽しませてくれるだけの強さになるやもしれん。
 それを期待して、ここでは命を奪わずにいてやろう。
 まあ、他のやつらに殺されるようならそれまでの男と思うまで。そこまで責任は持てん。
 せいぜいわしを失望させないように頑張るがいい、小僧)

アルベルトの口元に、少しばかりの笑みが浮かぶ。

「そういえば、最後の跳び蹴りはなかなかのものだったな。ライダーキックなどと口走っていたようだが……。
 あのまばゆい光と合わせて、『閃光ライダーキック』といったところか。フフフ……。
 まあ、技の名前などどうでもいいことだがな」

そんな戯れ言を口にしつつ、アルベルトは改めて黒王号を走らせた。

残されたのは、無惨に打ち倒された敗者のみ。
その後彼が立ち上がれたかどうかは、また次の話である。


【A-5/1日目-日中】

 【衝撃のアルベルト@アニロワ2】
 [状態]:疲労(小)、ダメージ(中)、上半身のスーツがボロボロ
 [装備]:衝撃のアルベルトのアイパッチ@アニロワ2、騎英の手綱(ベルレフォーン)@カオスロワ+黒王号@漫画ロワ
 [持物]:デイパック、基本支給品一式、葉巻のケース@なのはロワ、ベリーなメロン@アニロワ2(残り12個)
 [方針/行動]
 基本方針:闘争に身を殉じる。勝利よりも『戦うこと』を優先。
 1:人が集まっていそうなホテルへとりあえず向かう。
 2:強者を求め徘徊。誰であろうと手当たりしだいに勝負を挑む。


 【静かなる~Chain-情~@書き手ロワ2nd】
 [状態]:気絶、ダメージ(大)、螺旋力覚醒
 [装備]:滝のライダースーツ(ヘルメットは破壊)@漫画ロワ、陰陽玉×2@ニコロワ
 [持物]:デイパック×3、支給品一式×3、ゼクトバックル(ホッパー)@なのはロワ、サバイブ(烈火)@書き手ロワ2nd
     :カセットアーム(ロープアーム)@書き手ロワ2nd、打ち上げ花火@漫画ロワ×2
 [方針/行動]
  基本方針:バトルロワイアルに反逆する。
  1:河に流されたイクサ(長門)と少女(千秋)を探す。
  2:柊かがみも探す。
  3:フラグビルドを見つけ、今度こそ守り抜く。

 [備考]
 ※死亡後からの参戦です。


※支給品紹介
【陰陽玉@ニコロワ】
「東方Project」の主人公・博麗霊夢が用いる、陰陽印をかたどった武器。
博麗の血をひく者にしか使えない……ということはないらしい。
ニコロワでは支給品としては登場しておらず、隠し施設である神社に鬼狩柳桜@ひぐらしのなく頃にと共に安置されていた。


117:第2回放送 投下順に読む 119:mind crash
117:第2回放送 時系列順に読む 119:mind crash
115:Survivor Series 衝撃のアルベルト [[]]
102:Chain-情は一匹のかえるを前に狼狽する 静かなる~Chain-情~ [[]]


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
ウィキ募集バナー