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  • 大崩壊/ユートピア(美しい国)

ラノベ・ロワイアル @ wiki

大崩壊/ユートピア(美しい国)

最終更新:2007年12月03日 20:17

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だれでも歓迎! 編集

第540話:大崩壊/ユートピア(美しい国) 作:◆eUaeu3dols



ダナティアの宣言は島中に響きわたった。
それは多くの者達に意思を届け、波紋を広げ、思索を巡らせる。
様々な者達に。


シャナは悩んでいた。
ずっと悩み、迷い、彷徨い、藻掻いていた。
「ダナティア……もう、正しい道なんて判らないよ」
少女は思いつく限りありったけの物を喪っていた。
喪い、奪い、誤って、正しい道さえも見失ってしまった。
大切な優しい、仲間(と言う事も烏滸がましい)セルティの親友を殺した。
それに悔いて殺さなければ良いのだろうか。
だけどシャナが殺さずに見逃した者によって殺されてしまった誰かが居た。
そしてその見逃した者と同じように、ベルガーが殺さなかったシャナは、人を殺した。
殺す事は死を振りまく事なのか。
それとも殺す事は誰かを助ける事なのか。
そんな事にさえ答えを出せず、シャナは彷徨い続ける。
それなのにダナティアは言ったのだ。悔い改めて進めと。
「それじゃわたしは、どっちに進めばいいの……?」
殺さなければいいのか。殺せばいいのか。
当然のように確かだった答えさえもが失われた。
力強いアラストールの声は聞こえず、弱くとも心強い坂井悠二の言葉は手紙だけに遺される。
ベルガーの言葉もシャナを救うには足りなくて、届けられたダナティアの言葉は遅すぎた。
もう正しい道は、判らない。
……だけど。
どれだけ考えていたかも判らない、長い永い思索の末に。
シャナは唐突に閃いた。

「あの人達はきっと、正しい道を歩んでいる」

ダナティアは。ベルガーは。セルティは。保胤は。
きっと正しい道を進み続けているはずだ。
今もきっと、正しい道を進み続けているはずだ。
だから思いついた。彼らの道を助けようと。
それは独立独歩を尊び何者にも縋らないフレイムヘイズの思考ではなかった。
フレイムヘイズの誇りもまた、少女が失ってしまった物の一つだったのだから。
ただの少女としてのシャナにとって、それは掛け替えのない閃きだった。
「セルティに、謝りに行こう」
ようやくその事を決められた。
そして聞こう。償いの為、前に進む為に自分がどうすれば良いかを聞こう。
その答えを胸に、シャナは前を向いて歩き出した。
その先に見える理想郷の住人達を信じて。


ダナティアの宣言は島中に響きわたった。
それは多くの者達に意思を届け、波紋を広げ、思索を巡らせる。
様々な者達に。


「で、あの放送に対してあたしらが何をするかだけど」
火乃香は未だ船上で、ヘイズとコミクロンを集めて話し合っていた。
「ところでその前に一つ訊きたいんだが」
「何?」
「なんか……さっきより空が明るくなってねえか?」
ヘイズの言うとおり、彼らが船を探索する前より空が明るくなっていた。
少し前まではまだ残っていた雲が吹き消され、星々や月の明かりが差し込んでいるのだ。
更に北東の方、演説の有った方角では地上からの明かりによって空がうっすらと照らされていた。
「ああ、それ? そっか、中に居たからわかんないよね。
 それもさっきのあいつらの放送の時。ほんと凄かったんだから。
 空に向かって紅い光がびーっと伸びて、どーん。起きた風で雲がぶわわーっと吹き散らされてさ」
微妙に頭の悪そうな表現と共に身振り手振りでそれを表現する。

「ってちょっと待て、確かに轟音はしたが……空の雲を吹き散らしたのか!?」
「むむ、それは興味深いな。もっと話せ」
ヘイズとコミクロンが迫る。
「話せって言われても……多分威嚇か力の誇示だろうとは思うけど、それ以上はあたしにもわかんないよ。
 あの辺りがちょっと明るくなったのもそれからかな。高い建物の明かりでも付けたみたいに。
 ここからじゃ殆ど点だったけど、あの辺の上空に飛んで姿を見せたおまけ付きで」
「まるで明かりに照らされた舞台だな。くっ、なぜこの天才コミクロン様が居ない場所でそんな派手な事をっ!」
ちょっとズレたベクトルで悔しがるコミクロンを後目にヘイズは考え込む。
今の時点で判った情報から推測できる事はそう多くはないが……
「…………なんつー無茶苦茶な奴らだ」
「うん、それは間違いないね」
殺し合いの島であれだけ堂々たる演説をし、自らの力を示し、来るなら来いと姿を現した。
それだけを見ると信じがたい暴挙だ。
「だが……」
「うん。それだけじゃないね」
その裏に有るのは自分達の力に対する絶対的自信だけ、ではないような気がする。
殺し合いを否定し仲間を集めるようでいて、高圧的なまでに自らの道を宣言し。
如何なる力にも屈せぬ気高き強さと共に、畏怖を与えるように力を振るう。
所々にある僅かな矛盾に精緻な計算が潜んでいるように感じられるのだ。
「現時点で推測できるケースは大雑把に分けて三つって所か」
ヘイズはまず一本目の指を立てる。
「一つはあのダナティアが実はゲームに乗っていて誘き寄せた奴を皆殺しにする陰謀というケース。
 けど、これなら力を誇示する必要は薄いな。油断させて甘い顔で誘き寄せた方が利口だ」
続けて二本目の指を立てる。
「二つ目は本気で仲間を集めてこのゲームに抗するケース。
 あの演説の迫力からして、内容が全部嘘とも思いにくい。
 素直に信じても外れを引く可能性はそう高くねえ。……もし違ってたら最悪の賭けになるけどな」

そして、三本目の指を立てた。
「三つ目は、一つ目と二つ目の融合。ゲームに抗するのが目的なのは同じ。
 ただし“乗った奴を誘き寄せて始末するつもり”ってケースだ。
 これは割と有り得る上に、のこのこ出向いたらやばい話だな。
 何かの理由で勘違いされて殺されたらシャレにならねぇ」
それで終わり、と思いきやヘイズは五指の全てを広げた。
「あと、現時点で完全に憶測となるケースが幾つか有るな。
 演説に別の目的、例えば人を集めて知り合い捜しや誰かへのメッセージが有るとか、
 あの目印を置いて離れる事で生き延びるつもりだとかな」
(あの最初の意味の判らない一文も何だか気に掛かるからな)
ヘイズは演説の内容を回想する。
『この愚かしいゲームに連れてこられた者達よ』
この一文は言うまでもない。だが次の一文。
(『忌まわしき未知の問い掛けに弄ばれる者達よ』っていうのはどういう意味だ?)
一文目に重ねる形で続けられた謎の第二文。
それは愚かしいゲームという一文目と同じ事を指しているように思えた。
([愚かしいゲーム=この殺し合い=忌まわしき未知の問い掛け]って事か?
 ダナティアは一体何を伝えようとしたんだ?)
判らない。結局の所、現時点の材料でこれを考えた所で……。
「まあ、結局推測だが」
「なにそれ」
憶測にしかならない。
ヘイズと火乃香は二人して溜息を吐いた。
あの放送が何を意味するのか、信じて良いのか不味いのか。
熟考を要する判断に思われた。
――しかしここの天才空気読まない。
「だがなかなかに興味深いな。それでどうする?
 天才的には迷わず行ってみる事を勧めるが」
「……あんた、話聞いてた?」
あんまりすぎるコミクロンの発言に火乃香は思わずジト目になる。
この状況、危険かもしれないから慎重に行動しようという結論に行くのが当然である。
コミクロンの提案は一段か二段跳ばしの内容に聞こえる。

だがコミクロンは何を当たり前の事をと言わんばかりに答えた。
「結局、調べに行かないと何も判らんのだろう?」
「「………………」」
沈黙するヘイズと火乃香。
その様子にコミクロンの方が怪訝な顔になる。
「何か変な事でも言ったか?」
「いや、正しい。おまえは全くもって正しいよ」
「そだね。真剣に悩んでも答えは出ないだろうし」
考えるには材料が少なすぎる。それなら調べに行くのは当然の帰結である。
だからといって迷わずにそれを選択するのは単純なのか優れた決断なのか判断に迷う所だ。
「よっし、それじゃ船中で見つけた事を纏めたら出発だね。
 あんた達、何か見つけた?」
「ああ、少しはな。後で調べに来た方がいいかもしれねえ」
「フッ、聞いて驚くな! この天才も……似たようなものだが」
そんなこんなで。
三人はその後もしばらく話し合うと、幽霊船を後にした。
目指すは放送の源、煌々と輝くマンションがそびえ立つC-6エリア。
理想郷を示した気高い女の待つ場所へ。


ダナティアの宣言は島中に響きわたった。
それは多くの者達に意思を届け、波紋を広げ、思索を巡らせる。
様々な者達に。


『彼』がダナティアの演説を目にしたのは『女』を取り逃がし苛立っていた時だった。
その『女』はしたたかだった。
『彼』の僅かな油断と哀惜を、ただの口先と怯えた演技だけで長い時間と小さな隙に変換し、
遂には世界の中心である『彼』の目の前から逃げ延びたのだ。
それだけではなく『女』は続く『彼』の追跡を振り切って見せた。

片腕を完全に粉砕しただけだったとはいえ、信じがたい結果だ。
やってくれる。そして赦せない。
世界の中心が、この世界の全てを壊し尽くしてやろうと決めたのだ。
にもかかわらず『女』は『彼』から逃げ延びた。
有り得ない奇跡を起こして見せた。
この世界は有り得ない事ばかりが起こる。
腕の中の、冷たい肉の塊に変じてしまった『彼女』がその極みだ。
何もかもが有り得ない。有り得ない。有り得ない!
……だからその放送も有り得ない事の一つだった。
世界の中心である彼に対して居丈高にルールを命じた『女』。
『女』はまるで自らこそが世界の中心であるかのように振る舞った。
だがそのルールは、『彼』の心を何一つ変えはしない。

『喪った者として告げましょう。奪うな、喪うな、そして過つなと』
ああ、何も奪いはしない。ただ壊すだけだから。
ああ、何も喪いはしない。最早世界の全てを壊しても喪う物は何も無い。
ああ、何も過ちはしないとも。
最早言葉は『彼』の心を変えられない。
『喪われた者達の想いから目を逸らしてはいけません。
 彼らはあなたや誰かを赦さないかもしれません。
 最早、何も考え想う事は無いかもしれません。
 それでも尚、道を見失う事は愚かです』
そう、だからこそ。
『彼女』の無念を晴らすのだ。
騙し討ちで殺された『彼女』を、『彼女』を喪わせたこの世界を。
全て叩き壊して『彼女』の供養にするのだと。
それでも『彼』の心に一瞬だけ、ほんの一抹の疑問は浮かんだ。
『彼女』が生きていたら、『彼女』はそれに喜んでくれただろうか。
『彼』の贈るプレゼントに喜んでくれるだろうか。

(喜ぶに決まっている)
そうでなければどうしてこんな事を書き残す。
『彼女』はその無念を『彼』に書いて遺したのだ。
だから『彼』の憎しみは消えず、ただ前に突き進む。
憎悪のままに。憤怒のままに。激情のままに。
裏返ってしまった想いを受け取って過ちの道をひた走る。
(ああ、おまえは運が悪いな、ダナティア)
『彼』、クレア・スタンフィールドは心の中で独り言つ。
(当たり前のことを宣って、俺の癇に障ったんだからな)
破壊の塊と化した男は次の標的を見定めた。
もう何もなくなったこの世界で嘘っぱちの理想郷を謳った女へと。


ダナティアの宣言は島中に響きわたった。
それは多くの者達に意思を届け、波紋を広げ、思索を巡らせる。
様々な者達に。


「……佐山みたいな奴だわ」
風見・千里はダナティアの演説を見て真っ先に彼を連想した。
何処が、というのを上げていけばキリが無い。
むしろ違う所を上げていけば、両手の数で何とか足りる程度で収まりそうだった。
【なるほど、彼女がダナティア皇女か。十叶詠子が語った人柄は間違ってはいないようだね】
子爵はそう綴りながら演説の締めとして上空に浮かび上がった彼女の姿を回想した。
といっても特別見上げていたわけではない。
ここは灯台の頂上であり、ダナティアは上空に浮揚して月明かりの中にその姿を見せた。
更にこの灯台とマンションとの距離はそれほど離れてはいるわけではない。
彼らは島の中でも有数の特等席に座して放送を目撃したのだ。
といってもそれでもダナティアの顔を判別する事すら難しい距離が有ったのだが。

「さて、どうしようか。放っておくには気になりすぎるんだけど、さっきの」
【確かにその通り。あの銃撃の最中でも続けられた演説など感動の大スペクタクルだ!
 いやはやこの年でハラハラと手に汗を握らされた物だよ】
手も汗も無い子爵だが、風見はわざわざツッコミを入れずにスルーする。
子爵の言葉にはそういった文面が山ほど有るから全てにツッコミを入れてはいられない。
「あの演説、演技だと思う?」
【もしあれが演技だとすればアカデミー賞間違い無しだとも。
 もっとも、彼女がアカデミー賞を受けた女優だったとしても矛盾は無いのだがね】
「少なくとも銃撃は本物みたいね。一緒に居た少年らしい声も凄い緊迫感だったし」
【あれも演技という可能性も0ではないが、確かに名優が二人とは考えにくい】
あの臨場感が、あの緊迫感が、高らかに主張している。
この演説は本物だ。私達は本気だ。この言葉は本当の言葉だと。
【少なくともあの演説は生半可な物では無い。
 例えあの言葉に嘘や隠し事が有ったとしても、彼女はそれを真実として押し通すのだからね】
「子爵は、彼女を信じるに足ると思ったの?」
【まだそうは言わないとも。しかし評価するに能う人間なのは間違いない。違うかね?】
「……まあ、そうね」
もしも彼女が悪党で演説が全て嘘偽りで有ったとすれば、彼女はただの悪党ではない。
後世に名を残す大悪党だ。
【何にせよ一目会いに行く意味は有るだろう。彼女を見極めねばならない】
「はいはい、やっぱりそうなるのね。じゃあ二人が帰ってくるまで待ちましょ」
EDとBB。出払っている二人を待たなければどうにも動きようがない。
【うむ、彼らも放送を見たら一度帰ってくるはずだ。それ、噂をすれば一人戻ってきた】
重く甲高い金属的な足音が灯台の中に帰ってくる。
ブルーブレイカーが灯台に帰還したのだ。
しかしそれからいつまで待っても、EDが灯台に戻ってくる事は無かった。


ダナティアの宣言は島中に響きわたった。
それは多くの者達に意思を届け、波紋を広げ、思索を巡らせる。
様々な者達に。


「うーん、誰も通らないなぁ」
「そうだねぇ」
魔女を連れたわるい吸血鬼は茂みの中で……ぼーっとしていた。
彼女にとって放送はありがたそうな物では有ったが、特別何か感じる物ではなかった。
ただ、C-6エリアのマンションに人が沢山集まりそうだという判断は出来た。
C-6エリアは5つもマンションが有って地下駐車場で繋がった要塞のような場所だが、
周囲も禁止エリアや自然の要害が散らばりちょっと近づきづらい位置にある。
その限られたルートの一つがここ、南から向かう時に通る道が有るE-8エリアなのだが。
「南の方、人が少ないのかなあ」
大正解。
今この時間、島の南には殆ど人が居なかったのだ。
その人口密度は過疎村にも匹敵せん程である。
残った者もC-6の大集団に会いたくない者やら地下通路を使う者やらばかりで、
必然的にこの道を通る者などまるで居なくなっていたのだ。
今のところの成果と言えば、D-8の道に転がっていた女の子の死体が一つだけ。
気丈そうで割と可愛い娘だったようだが、如何せん頭が半分吹き飛んでいてエグかった。
しかも半日以上放置され、野ざらしで雨に打たれて色々と嫌な感じになっていた。
ちなみにその近くには胴体が雷撃で焼き斬られ泣き別れた少年の遺体も転がっていた。
そっちは眼中にも入らなかったが。
女の子の血だからと少し飲んでみたが、予想通り不味かった。
少しは腹の足しにはなったけれどその程度で、結局の所はそろそろ限界である。
「もうすぐ飲めそうだからって我慢してたんだけど……ねえ、詠子ちゃん」
「なにかなあ、カルンシュタインさん」
平然と返事をする詠子だが、実は少し引いている。
血に飢えた聖は吸血鬼の衝動に呑まれ――というより身を委ねて理性がアッという間に空っぽになる。
事実、聖の瞳は欲望に呑まれてギラギラしだしたし、気のせいか牙もより鋭く尖って見えてきた。
もういつ襲い掛かってきてもおかしくない緊急事態である。
「ちょっぴり荒っぽくなりそうだけど許してね?」
すごく色んな意味で。

「マンションのエリアに近づいてみたら、誰か見つかるんじゃないかなあ?」
「でもあそこ、苦手な人が多そうなんだよね」
「マンションまで行かなければ良いと思うよ、カルンシュタインさん」
血だけのみならず貞操だとか、割と真面目に命の危険も感じた詠子が聖を説得する。
聖もその言葉に一理あるなと考えて。
「じゃあそうしてみようかな。まあ、お腹減った方がごはんは美味しいものね」
もう少しだけ我慢する事にした。
「でもあまり夜更けに物を食べると美容に良くないんだよね。
 日が変わる前くらいまでにしようかなあ」
ちなみに現在時刻は10時半を回ったくらい。
制限時間はあと1時間と少し程度である。
端から見ると緊迫感はまるで無いが、詠子の色んな危機はまだ継続中であった。
(楽園から来た魔女、優しい女帝さんは理想郷を築いてくれているかなあ)
そこに楽園が有れば次第に人々が集まっているだろう。
この世界を打倒する為に必要な人々は集まっているだろうか。
……ついでに目の前のわるい吸血鬼の目に止まりそうな女の子は居るだろうか。
色々な命運は、まだ見ぬ理想郷へと託された。


ダナティアの宣言は島中に響きわたった。
多くの者達に意思を届け、波紋を広げ、思索を巡らせた。
そして――様々な者達を呼び集めた。

人々の独立を謳ったユートピアに。

運命の圧政に苦しむディストピアに。

全ては一点に圧縮される。



【C-7/平地/1日目・23:00】
【シャナ】
[状態]:吸血鬼(身体能力向上)
[装備]:贄殿遮那/神鉄如意
[道具]:支給品一式(パン6食分・水2000ml)
    /悠二の血に濡れたメロンパン4個&保存食2食分/濡れていない保存食2食分/眠気覚ましガム
    /悠二のレポートその2(大雑把な日記形式)/タリスマン
[思考]:大集団に縋る形で僅かに持ち直した。前に進みたい。前が判らない。
[備考]:体内に散弾片が残っている。
    手術で摘出するまで激しい運動や衝撃で内臓を傷つける危険有り。
    ただし吸血鬼の再生能力と相まって高速で再生する。
     18時に放送された禁止エリアを覚えていない。
     C-8は、禁止エリアではないと思っている。


【G-1/難破船/1日目・22:00】
【戦慄舞闘団】
【ヴァーミリオン・CD・ヘイズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:有機コード、デイパック(支給品一式・パン6食分・水1100ml)
    船長室で見つけた積み荷の目録
[思考]:様子を見に行く。ただし慎重に。
[備考]:刻印の性能に気付いています。ダナティアの放送を妄信していない。

【火乃香】
[状態]:健康
[装備]:騎士剣・陰
[道具]:デイパック(支給品一式・パン6食分・水1400ml)
[思考]:様子を見に行く。ただし慎重に。

【コミクロン】
[状態]:右腕が動かない。
[装備]:エドゲイン君
[道具]:デイパック(支給品一式・パン6食分・水1000ml) 未完成の刻印解除構成式(頭の中)
    刻印解除構成式のメモ数枚
[思考]:様子を見に行く。ただし慎重に。
[備考]:かなりの血で染まった白衣を着ています。

[チーム備考]:火乃香がアンテナになって『物語』を発症しました。
[チーム行動予定]:EDとエンブリオを探している。刻印の情報を集める。
          大集団の様子を見に行く。ただし慎重に。


【F-1/海洋遊園地/1日目・21:40】
【クレア・スタンフィールド】
[状態]:健康。激しい怒り
[装備]:大型ハンティングナイフx2/シャーネの遺体(横抱きにしている)
[道具]:デイパック(支給品一式・パン6食分・水2000ml)、コミクロンが残したメモ
[思考]:この世界のすべてを破壊し尽くす。/
    “ホノカ”と“CD”に対する復讐(似た名称は誤認する可能性あり)
    シャーネの遺体が朽ちる前に元の世界に帰る。
[備考]:コミクロンが残したメモを、シャーネが書いたものと考えています。


【A-7/灯台/1日目・21:50】
【灯台組】
【ゲルハルト・フォン・バルシュタイン(子爵)】
[状態]:やや疲労/戦闘や行軍が多ければ、朝までにエネルギーが不足する可能性がある
[装備]:なし
[道具]:なし(荷物はD-8の宿の隣の家に放置)
[思考]:アメリアの仲間達に彼女の最期を伝え、形見の品を渡す/祐巳のことが気になる
    /盟友を護衛する/同盟を結成してこの『ゲーム』を潰す
    /いろいろ語れて嬉しいが、まだDVDの感想については語り足りない
[備考]:祐巳がアメリアを殺したことに気づいていません。
    会ったことがない盟友候補者たちをあまり信じてはいません。

【風見・千里】
[状態]:風邪/右足に切り傷/あちこちに打撲/表面上は問題ないが精神的に傷がある恐れあり
[装備]:懐中電灯/グロック19(残弾0・予備マガジンなし)/カプセル(ポケットに四錠)
    /頑丈な腕時計/クロスのペンダント
[道具]:懐中電灯以外の支給品一式/缶詰四個/ロープ/救急箱/空のタッパー/弾薬セット
[思考]:早く体調を回復させたい/BB・ED・子爵と協力/出雲・佐山・千絵の捜索
    /とりあえずシバく対象が欲しい
[備考]:濡れた服は、脱いでしぼってから再び着ています。
    EDや子爵を敵だとは思っていませんが、仲間だとも思っていません。

【蒼い殺戮者(ブルー・ブレイカー)】
[状態]:精神的にやや不安定/少々の弾痕はあるが、今のところ身体機能に異常はない
[装備]:梳牙(くしけずるきば)、エンブリオ
[道具]:なし(地図、名簿は記録装置にデータ保存)
[思考]:この島で死んだという“しずく”が、己の片翼たる少女だったのか確認したい
    /風見・ED・子爵と協力/火乃香・パイフウの捜索/
    /脱出のために必要な行動は全て行う心積もり


  • 2007/02/10 修正スレ290

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第539話 第540話 第541話
第532話 時系列順 第566話
第517話 十叶詠子 第542話
第538話 ヘイズ 第566話
第538話 火乃香 第566話
第521話 BB 第541話
第559話 クレア 第542話
第521話 子爵 第541話
第517話 佐藤聖 第542話
第521話 風見・千里 第541話
第530話 シャナ 第541話
第509話 コミクロン 第566話



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