ユウナにとっての五年間の意味
ユウナというキャラクターは今作において非常に重要な位置を持つキャラクターとなります。特に以下の事柄が重要になってきます。
- いかにしてレジスタンス活動に身を投じる「意思」を得たか
- いかにしてリヴァイブという組織のリーダーになったのか
「意思」を得る過程
命を拾ったユウナ
ユウナは戦争のどさくさにまぎれて彼個人の存在そのものも奪われてしまいます。Destinyにおけるユウナの最後のシーン以降、彼は大怪我をしながらも、命を取り留めます。しかしここで命を取り留めてしまったことは、もしかするとユウナにとっては、非常につらく悲しい人生の始まりだったのかもしれません。
彼は野戦病院に「正体不明のけが人」として担ぎ込まれます。この時点では戦時中の混乱と彼自身の負った怪我により、誰もが彼を「ユウナ=ロマ=セイラン」であるとは考えもしなかったのです。
政治家であることを失ったユウナ
ユウナにとってC.E.74は最悪の年であったと言えます。自らの力不足により、祖国であるオーブは戦火にさらされ、多くの民は命を落としたことを直感的に感じていました。
さらに、一市民として怪我の治療を受けるユウナは改めて戦火にさらされる市民達の声を体験することになります。その声は自らの直感をさらに裏付けるものとなります。非戦闘員である市民が理不尽に命を奪われ、生き残ったものもあるものは両足を切断され、あるものは精神的なショックで言葉を失ってしまい、あるものは母親のむくろにただ泣きじゃくっている。ユウナはそのことをはじめて直接経験することとなりました。戦略室に集められる数字には表れてこない現実は彼を容赦なく攻め立てます。
しかし、カガリに「国家反逆罪」を言い渡されることにより、ユウナは政治家としてその「失策」を償う手段を奪われてしまいます。国家反逆罪という罪は彼から政治家としての権利と責任の双方を奪う結果となったのです。
このとき初めて、彼は自らの失策の罪をあがないたい。その意思の「種」を得たのです。
アメノミハシラへの過程
自らの無力さを痛切に実感する中、ユウナは野戦病院での治療行為を無心に手伝うようになります。気が狂うほどの無力感から逃げ出したい。そんな気持ちもあったかもしれません。
しかし、そんなユウナを運命は見逃すことはありませんでした。
大怪我に対する治療が表面的な外科治療にとどまっていたため、怪我の影響が視神経に及んでいることを誰も把握できなかったのです。徐々に薄れ行く視界。彼は再び心を絶望に支配されてしまいそうになります。
そんな中、彼の治療を行った医師が彼を戦火の影響の少ない「アメノミハシラ」へ行くことを薦めます。アメノミハシラであれば、戦火の影響を受けずに治療を行えると。
そして、そのために事実上戸籍を失っているユウナに仮の戸籍申請を行った上で、ユウナのアメノミハシラへの道をその医師は開いてくれました。そして、同時に「ロマ=ギリアム」の戸籍を手に入れます。
そして、そのために事実上戸籍を失っているユウナに仮の戸籍申請を行った上で、ユウナのアメノミハシラへの道をその医師は開いてくれました。そして、同時に「ロマ=ギリアム」の戸籍を手に入れます。
ユウナは徐々に薄れ行く視界と共に絶望するしかなかった自分を救ってくれたその医師に感謝を感じます。この感謝こそ、彼が今に至ってまだ生き続けていることの根幹にある感情であるといえるでしょう。この感情は、ユウナにとって初めて人に感謝することが出来た貴重な経験だったのです。
ロンド=ミナ=サハクとの出会い
アメノミハシラにわたったユウナは徐々に薄れ行く視界に対する対応方法を手に入れます。すなわち、仮面のユウナの誕生です。
仮面による視力の矯正と、光の刺激の調整による視神経へのダメージを減らすことによって、視力悪化を食い止めることを得たのです。そのために彼は大仰な仮面を日常的につけることを余儀なくされましたが、これはユウナにとって渡りに船でした。そのときのユウナにはまだ、自分の犯した失政の罪を終えるような状態ではなかったのです。彼はユウナ=ロマ=セイランの名を背負って生きていられるほど強くもなく、また国家反逆罪を受け安易に個人としての罪に甘んじるほど弱くもなかったのです。
そんな中で、彼は運命的と言えるほどの出会いを経験します。そうです。ロンド=ミナ=サハクとの出会いです。
ユウナとミナはアメノミハシラの広場の一画で出会います。最初に声をかけたのはミナのほうでした。開口一番、彼女はユウナにこういいます。
「こんなところで何をしている。ユウナ=ロマ=セイラン」
ユウナは驚きます。仮面は自分のことを完全に隠していると思っていましたし、アメノミハシラでユウナの名を直接知るものがいるとも思っていなかったのです。当然、ユウナはなぜわかったのかをたずねますが、「なんとなく」という答えが返ってくるのみでした。
ミナはユウナをつれ、オーブ以外でおきている惨劇について語ります。その状況はユウナの想像通りであり、かつ想像を超えていました。野戦病院での経験とあいまって、その悲惨さがより実体を伴ったものとしてユウナに感じられました。
この情報は当時のユウナにとって大変苦痛を伴うものでした。自らの失政に端を発した悲劇が世界中に広まり、かつての婚約者は明らかに独裁者としての道を歩もうとしていました。その原因が自分にあることをユウナに突きつけているミナ。ユウナはミナを正視することもできませんでした。そんなユウナをみてミナは一言、こう言い放ちます。
「やれやれ、政治家ユウナ=ロマ=セイランは死んだわけだ」
この言葉はユウナを愕然とさせます。自らの責任であるこの惨劇の原因を責められるのではなく、政治家ユウナ=ロマ=セイランに期待出来ることがある。それを突きつけられたようにユウナは感じたのです。ユウナはミナに一礼し、その場を去ります。仮面で隠れていましたが、その瞳にはすでに政治家の光が戻っていました。そんなユウナをミナは微笑みで見送ります。
政治家の目覚め
その日からユウナは徹底的に世界で今起きていることを調査し始めます。併合演説の裏で起きていたプラントのクーデターの実態。旧連合の各地で起きている動乱。その日までの自分であれば、意図的に目を背けていたありとあらゆる情報を寝る間も惜しんで調査していきました。この時期にユウナは政治家としての思想の再構築を行っていったのです。このときにユウナが得たものは、ユウナが施された帝王学とあいまって、政治家としての絶妙なバランス感覚でした。
責任感に押しつぶされそうになりながら、多くの現実を多くの形で収集していくユウナ。その過程でユウナの目を一番引いたのはユーラシア連合の状況でした。特に親プラントであったガルナハンを取り巻く状況は彼の心をつかんで話しませんでした。戦火にさらされ、穀倉地帯に大打撃を受け、飢餓と迫害が民衆に対して様々な悲劇をもたらせていたからです。
そして、そうしているうちに世界は動き始めます。統一連合の発足と西ユーラシア連邦の陥落。ユウナにとってこの事実はある種の危機感を感じさせました。統一連合という価値観の唯一主義は、完全に民衆という実態を無視した行動に見えたためです。
この危機感はユウナに一つの行動を決意させます。地上へ、ガルナハンへ。その思いはユウナをミナの元へといざないました。ユウナの仮戸籍の問題とガルナハンの治安の問題でユウナが正式ルートでガルナハンに行くことは非常に困難であったためです。それまでのユウナであれば五大氏族であるミナに支援を請う事は耐え難い屈辱と捉えたかもしれません。しかし、そのときのユウナは微塵も屈辱は感じていませんでした。ただ、ガルナハンに行く意思のみがありました。
リヴァイブのリーダー
ミナにとってもユウナがアメノミハシラにいることは得策ではありませんでした。統一連合が組織として整理されていく過程で「治安警察省」の設立されるのと情報をつかんだのです。もし治安警察省の発足したのならば、当時、オーブからの独立をしていたイザナギ、アメノミハシラにとって、治安警察省の査察受け入れは独立の維持に当たってどうしても受け入れなければならないことでした。
そして、査察を受け入れるためには身辺にユウナのようなものがいることは問題だったのです。
そのミナの思惑と、ユウナの意思は見事に合致を見せます。その結果、ユウナはミナのつてで当時東ユーラシアで有力組織であった「コーカサスの夜明け」に向かいました。人員不足になりつつあったコーカサスの夜明けにとっても、人員補給はありがたいことであったため、比較的すんなりとユウナは仲間に迎えられます。
しかしながら、その仮面とよそ者というレッテルから当初ユウナはあまり信用されませんでした。しかし、その地道な努力と確かな洞察力を認められ、徐々に参謀としての頭角を現していきます。(詳細は下積みって大事だよね参照)
戦略においてユウナの意見が組織として意味を持ってくるようになるころ、コーカサスの夜明けに対するユーラシア連邦政府の行動は徐々に苛烈を極めていきます。そして、コーカサス独立軍は壊滅的なダメージを追い、当時のリーダーが死亡してしまいます。ユウナはその遺志を継ぎ、事実上のリーダーとなりました。
大打撃を受けたコーカサスの夜明けを立て直すために、ユウナは本拠地をガルナハンへ移し、組織名称を変更します。これがリヴァイブの誕生の瞬間でした。
ユウナに関する五年間の軌跡
年号 | 月 | 出来事 |
CE74 | 5月 | メサイア攻防戦終結。併合演説。東ユーラシア共和国樹立 |
6月 | プラント併合実施。統一連合枠組み提唱。統一安全保障条約機構樹立 | |
8月 | 大西洋連合、オーブに宣戦布告 | |
9月 | 大西洋連合オーブ侵攻、ハワイ沖会戦、プラント侵攻全てに敗北 | |
■ユウナ、アメノミハシラに移動 | ||
10月 | 大西洋連合エターナリストによるクーデター勃発。臨時政府発足 | |
11月 | 大西洋連合臨時政府とオーブで講和成立 | |
12月 | 南アメリカ合衆国、東アジア共和国、統一連合へ参加 | |
CE75 | 1月 | ピースガーディアン発足。南アフリカ統一機構、統一連合へと参加 |
■ユウナ、ミナと出会う | ||
2月 | ムスリム共同体、統一連合への参加 | |
3月 | 内戦の沈静化に伴い、赤道連合が統一連合に参加 | |
4月 | ヘリオポリスにイザナギ完成。統一連合参加 | |
5月 | 東ユーラシア共和国、統一連合に参加。同時にレジスタンスに対する圧力激化 | |
西ユーラシア暫定政府樹立 | ||
7月 | 大西洋連合、西ユーラシア新政府、統一連合参加 | |
統一連合、名称を「統一地球圏連合」に改称 | ||
9月 | ピースガーディアン、近衛兵化 | |
オーブ主権返上 | ||
10月 | 赤道連合主権返上 | |
西ユーラシア代表とラクスの会談決裂 | ||
■ユウナ、東ユーラシアへ移動することをミナと合意 | ||
11月 | 西ユーラシアに対する武力行使により西ユーラシアが統一連合直轄地になる | |
■ユウナ、コーカサスの夜明けと合流 | ||
12月 | 旧ロゴス弾圧。ライヒ活躍 | |
CE76 | 1月 | 統一連合軍発足 |
10月 | 統一連合総会パリにて実施。「ローゼンクロイツ」による爆破テロ | |
11月 | 治安警察省設立 | |
ペテルブルグで「バルト独立同盟」がテロ | ||
CE77 | 2月 | 治安警察省、独自に軍備開始 |
4月 | 「バルト独立同盟」壊滅。エターナルフリーダムによる武力解決 | |
5月 | 南半球の飢饉に対応するため北半球の各政府に備蓄食料調達要求 | |
6月 | 大洋州連合、大西洋連邦にて主権返上に対する国民投票実施 | |
7月 | スカンジナビア王国主権返上 | |
9月 | 大西洋連邦にて主権返上 | |
10月 | ユーラシアで歴史的飢饉発生。餓死者500万人 | |
CE78 | 1月 | 大洋州連合、統一地球圏連合参加 |
シドニー爆破テロ。「オセアニア解放軍」 | ||
プラントで宇宙第二艦隊の反乱 | ||
2月 | 反乱軍鎮圧 | |
ローゼンクロイツ、ベルリン、ペテルブルグ占領 | ||
東ユーラシア政府高官はパリに亡命し臨時政府樹立 | ||
3月 | 南米解放同盟、武装闘争を再開 | |
統一連合軍がベルリン、ワルシャワ、キエフ奪還。東ユーラシア政府高官帰国 | ||
■コーカサスの夜明け壊滅。リヴァイブの発足 | ||
4月 | ローゼンクロイツ壊滅的打撃。南米解放同盟活動停止 | |
5月 | 「平和の演説」がラクスにより実施 | |
6月 | イラン高原で赤い三日月が独立闘争開始 | |
8月 | 北アフリカでサハラ解放の虎、再び独立闘争開始 | |
9月 | 9月オノゴロにて統一地球圏連合政府樹立3周年記念式典 | |
連合政府首席カガリ・ユラ・アスハ暗殺未遂事件発生。(第1話) |