Ansoft Designer で、PCBの各層の厚さや材質の情報を保存するための astyファイル について解析した結果を示します。
注意事項
内容は管理人が勝手に解釈したもので、ほとんどが推測によるものです。情報は自己責任において利用してください。
- '$begin' '$end' で囲まれた情報を「クラス」と呼んでいます。
- クラスに属するデータは「メンバ」と呼んでいます。
- abcd(x,y,z) は「関数」と呼んでいます。
各クラスの内容
AnsoftDesignerTechnologyFileクラス
Topのクラスで、以下の3つサブクラスを持つ。
- CommonSerSymサブクラス ... 材質の情報
- TopLayoutSettingsサブクラス ... 文字フォント情報など
- Layoutサブクラス ... 各レイヤの情報
CommonSerSymクラス
基盤材質の情報として、SubstrateDataサブクラスを持つ。
SubstrateDataクラス
基盤材質のデータを記述するためのクラス。
- Nameメンバ … 材質の名称。
- Typeメンバ … 基盤の種類。0=Microstrip, 1=Stripline, 2= Offset Stripline, 3=Coplanar Waveguide, 4=Grounded Coplanar Waveguide, 5=Suspended Stripline, 6=Slotline, 7=Four-Layer, 8=Five-Layer, 9=Rectangular Waveguide。
- Dielectric()関数、DielectricRef()関数、Metalization()関数を有する。
関数 Dielectric(H, Er, TAND, HU, TANM, MSat, Mrem)
基盤誘電体のパラメータ設定。HU以降は省略して Dielectric(H, Er, TAND) と記述可能。
- H … 高さ(Height)。 長さの単位が使える。
- Er … 比誘電率(relative permittivity)。ガラスエポキシ基盤 FR4 の場合、4.0~4.8程度。
関数 DielectricRef(type, ref)
使用する誘電率のデータを選択する。
type=1でrefに'Dielectric'を指定すると、上記Dielectric()関数で設定したデータが使用される。
type=2とすると、syslibなどで登録されている誘電体のデータ('FR4_epoxy'など)を指定できる。
type=1でrefに'Dielectric'を指定すると、上記Dielectric()関数で設定したデータが使用される。
type=2とすると、syslibなどで登録されている誘電体のデータ('FR4_epoxy'など)を指定できる。
関数 Metalization(SubDef, TRL1, TRL2, TRL3, R)
導電レイヤ情報。
- SubDef … Substration Definition で使用する情報。
- TRL1~TRL3 … Component の TRL (Transition Line) で使用する情報を Metal()関数で指定する。
- R … Roughness。表面の荒さ。
関数 Metal(Name, R, T)
- Name … 金属の名称。
- R … 抵抗値(Resistivity)。
- T … 厚さ(Thickness)。
TopLayoutSettingsクラス
文字フォント情報などが含まれるが詳細は省略。
Layoutクラス
- Layersサブクラスと導体名(copper/goldなど)のサブクラスを持つ。
- Layersサブクラス ... 各レイヤの情報
- 導体名サブクラス ... 導電率の情報
Layersクラス
各レイヤの情報として layerサブクラスと stackup layer サブクラスを持つ。
layerクラス
PCBレイアウト時の詳細なレイヤ情報。インピーダンス計算には使用されない。
- Nameメンバ ... レイヤ名を設定する。例として、「Measures」、「Rats」、「Errors」、「Symbols」、「Assembly」、「Silkscreen」などがある。
stackup layerクラス
インピーダンス計算に使われるレイヤ情報。インピーダンス計算用の情報として Sublayerサブクラスを有する。
- Nameメンバ ... レイヤ名を設定する。例として、「Trace」、「Dielectric」、「Ground」などがある。
- ElevationEditModeメンバ ... 下のレイヤのどの位置に現在のレイヤを配置するかを設定する。 'snap to bottom' で下のレイヤの Upper Elevation の値が、現在のレイヤの Lower Elevation となる。 'snap to middle' の場合、下のレイヤの Upper Elevation の値が、現在のレイヤの中心の高さとなる。
Sublayerクラス
インピーダンス計算用のレイヤ情報として、以下のメンバを持つ。
- Tickness ... 厚さ。長さの単位が使える。
- LowerElevation ... レイヤの高さ。長さの単位が使える。
- Roughness ... 表面の荒さ。長さの単位が使える。
- Material ... 材質
導体名サブクラス
- permittivity ... 誘電率
- conductivity ... 導電率 [Siemens/m]。銅の場合、20℃で 59×106 S/m 0℃で 64.5×106 S/m。
PCBの情報からテクノロジファイルを作る
次のようなPCB基盤でインピーダンスの解析をするためのテクノロジファイルを作成する。
Layer No.1 に信号 (Signal) があり、 Layer No.2 が Ground となっていること部分について、マイクロストリップ線路の解析を行う。 上の図は、PCBレイアウトエディタでのレイヤ設定であるが、 Ansoft Designer ではこのうちの Layer No.1 と Layer No.2 だけをモデリングする。
Layer No.1 は Ansoft Designer では Trace Stackupレイヤ、 Layer No.2 は Ground Stackupレイヤとなり、Ground Stackupレイヤは理論的なレイヤとして厚さを0umとする。(下図参照。)
Layer No.1 は Ansoft Designer では Trace Stackupレイヤ、 Layer No.2 は Ground Stackupレイヤとなり、Ground Stackupレイヤは理論的なレイヤとして厚さを0umとする。(下図参照。)
このようにして作成したテクノロジファイルが MS_FR4_Er44_015mm_1oz_copper.asty である。 Ansoft Designer の userlib か、各ユーザのホームディレクトリにある PersonalLib 内にこのファイルを保存する。
テクノロジファイルの確認
Ansoft Designer を起動後、「Insert Circuit Design」
を行うと、「Choose Layout Technology」ダイアログが表示され、 MS_FR4_015mm_1oz_copper を選ぶことができる。
Project Manager ウィンドウの Circuit1 -> Data の下にある FR4 をダブルクリックすると、 Substrate Definition ダイアログが表示され、テクノロジーファイルの情報が反映されていることが確認できる。(下図、クリックすると拡大します。)
Project Manager ウィンドウの Circuit1 -> Data の下にある FR4 をダブルクリックすると、 Substrate Definition ダイアログが表示され、テクノロジーファイルの情報が反映されていることが確認できる。(下図、クリックすると拡大します。)
また、メニューの Schematic -> Layout Stackup 
を選択すると、 Edit Layers ダイアログが表示され、各レイヤの Lower Elevation と Upper Elevation が意図したとおりに設定されていることが確認できる。(下図)