◆アポロンメディアが企業としてダメな所
「ライジング」では、ワイルドタイガー(WT)やバーナビーの所属会社であるアポロンメディアに、ライアンやヴィルギルをはじめとする新たなキャラクター達が関わっているが、それに伴いアポロンメディアの「ヒーロー雇用の許された7大企業」としての立ち位置や振る舞いに、幾つかの問題点が見られると同時に、「TV版からの正統な続編」でありながら、TV版の設定その他との矛盾や齟齬も浮き彫りになっている。
『TV版終了~シュナイダー就任直前まで』
【1】前CEOに冤罪を着せられた被害者&会社を救った功労者でもあるWTの市民への正体露呈を阻止できなかった
TV版ではWTの正体はバレた・バレていないについて具体的には明記されず、曖昧なままで終了している。
当時のTV版MONTHLY HEROの記事 wiki以外への転載禁止 |
これって、ワイルドタイガーの素顔!?
それはマーベリックをカメラが追っている時のこと。一時死んだと 思われていたワイルドタイガーが復活を果たしたのだ。ただしマスクがない状態で。 映像は鮮明ではなかったものの、ワイルドタイガーの素顔がテレビで映し出されることになった。
なお、殺人犯として指名手配された男性に似ているとの声が一部で上がっている。 この男性の容疑については、マーベリックの策略によるえん罪だということが判明している。
(TV版MONTHLY HERO内・WTの素顔!?についての記事より) |
大手メディア会社であれば、たとえ半分バレかかっていたとしてもヒーローの安全面や、自分達の会社のトップがやらかした不祥事の尻拭いも兼ねて、WTの正体について徹底的に隠蔽するよう働きかけるのではないだろうか?
【2】マーベリック失脚~シュナイダー就任までの1年数ヶ月もの間、アポロンメディアのCEOはどうなっていたのか?
現実・常識的に考えて長期に渡る企業CEOの不在はありえないので、従来なら社内の幹部が昇進するか、外部から新しい人間を呼ぶケースが多い。
あるいはシュナイダーが就任する前に別のCEOがいたのかも知れないが、作中ではそうした事については一切触れられていない。
【3】経費削減という名の雇用ヒーローに対する怠慢さと杜撰さ
正体と素顔が露呈しているヒーローコンビの2人を公共機関のモノレール通勤させており、住居も以前のままで変更させていない。
(ヒーローは単に有名人というだけではなく、特に犯罪者達の逆恨みを買いやすい立場である)
ヒーローの身を守る&スポンサーロゴのついているTV版スーツのキズ(汚れ?)を放置&そのまま出動させている。
汚れたスーツのまま出動するT&B wiki以外への転載禁止 |
スポンサーがついていなければロゴは外さなければならないし、スポンサーが付いているのであれば最低限のサポートは受けられるので、メンテナンスは十分可能な筈である。
更に言えば、虎徹達と同じ立場である
二部ヒーロー達のヒーロースーツには、一切の汚れも傷も見当たらない。
個人で慈善事業に入れあげて、出動をおろそかに(孤児院への支援が原因で、二部の出動に遅刻)するバーナビーに対して何も言わない。
以前と違ってマーベリックの後ろ盾もないのだから、会社命令で彼の人気や知名度を利用したチャリティやヒーローショーをさせた方が、企業のイメージアップ&孤児院の支援も捗り双方にとって有益である。
『シュナイダー就任~ライジング以降』
【1】コンビ再結成(TV版最終回)から約3ヶ月で再解散&いつのまにか新しいCEOとそのCEOが連れてきたヒーローと入れ替えに、WTを晒し者にするような形で解雇
(HERO-TV内で、シュナイダーに解雇を言い渡されるWTの姿が放送されている)
約3ヶ月という短い期間で解散・解雇させるくらいならはじめから組まさない方が良いし、その間にWTに依願退職の勧告や畑違いの部署に転属させて自ら辞めるよう仕向けた方が、まだ企業としてのイメージが下がらずにすむ。
(ただし、前CEOによる冤罪被害者&正体を露呈されたヒーローを一方的に解雇した時点で、イメージダウンは免れないと思われる)
【2】シュナイダー就任と同時に会社のロゴが一新されている
普通、企業ではCEO変更で会社の顔でもあるロゴを頻繁に変えたりはしない。
企業として犯罪者のマーベリック(個人)とアポロンメディア(企業)は別物前提で役員人事や処分、対外発表しなければいけないのに、新しいロゴ=シュナイダー・TV版時代のロゴ=マーベリックにしてしまったせいで、アポロンメディアはシュテルンビルトの市民達に
「我が社はマーベリック個人の物であり、持ち主がシュナイダーに変わっただけで組織ぐるみで今もウロボロスの手下をしています」
という謎のアピールにもなりかねない。
【3】ヒーローの出動からその他活動・企画等についての最終的な決定を下すのは、アポロンメディアではなく司法局
シュテルンビルトでは、司法局の許可がなければヒーローは出動もできなければ、個人資格すら取得できない。
いくらアポロンメディアの子会社であるOBCが『HERO-TV』を制作・運営しているからとはいえ、『マーベリック事件』で業績も信用も大幅にダウンしたアポロンメディアが、重工や交通網等街の中枢を担う他の6大企業より力がある筈もないのに、「ライジング」では新CEOのシュナイダーが、謎の権力を振りかざすような頓珍漢な発言を繰り返していた。
◆7大企業の業種と、所属ヒーロー一覧
企業名 |
業種 |
所属ヒーロー |
アポロンメディア |
メディア業 |
T&B、ライアン |
タイタンインダストリー |
重工業系 |
ブルーローズ |
クロノスフーズ |
食品産業系 |
ロックバイソン |
ポセイドンライン |
交通系 |
スカイハイ |
オデュッセウスコミュニケーション |
通信系 |
ドラゴンキッド |
ヘリペデスファイナンス |
金融業 |
折紙サイクロン |
ヘリオスエナジー |
エネルギー系 |
ファイヤーエンブレム |
0394:モニター切り替わり、アポロンメディアを頂点としたピラミッド式の関係図が表示されている。 モニター前に立つシュナイダー。
「ヒーローTVを運営してるOBCはアポロンの子会社、つまり7大企業だって黙らせることもできちゃうの 後は、キミ達司法局が許可してくれるかどうかだけなんだけどなぁ」
(ライジング完成台本より台詞を抜粋) |
他にも、ヒーロー関係の企画を申請するのに、本来司法局に赴かなければならない立場である秘書のヴィルギルが、司法局の管理官であるユーリをアポロンメディアのオフィスに呼びつけただけでなく、彼を社内の会議室に残したまま先に退室してしまっている。
ユーリ達を残して退出するヴィルギル wiki以外への転載禁止 |
0665:アポロンメディア会議室。ヴィルギルと対峙しているユーリ。退席しようとするヴィルギル立ち止まる。
PAN→ヴィルギル(背)「そうですか…」 ユーリ「ええ、やはり倫理上問題があると」 ヴィルギル「オーナーに伝えますまた何かありましたらご助力を」 ユーリ「1ついいですか?」 ヴィルギル「はい?」
0666:手元のモニターを操作しているユーリ。 ユーリ「社員の皆さんはシュナイダーさんの経営理念に 0667:ユーリの手元モニターに表示されるシュナイダーの経歴。 (off)疑問をお持ちではない 0668:シュナイダーの経歴。UP。 のですか?」
0669:ヴィルギル表情を変えずに去っていく。
ヴィルギル「理想を言えばキリがありませんから」 0670:じーっと見送るユーリ。 ユーリ「………」
(ライジング完成台本より抜粋・一部編集) |
【4】自らクビにした人間の新しいヒーロースーツ(スポンサーロゴつき)を用意してるご都合主義さ
上記の通り、作中これでもかと予算削減を謳っているアポロンメディアが、何故復帰の目処も全く立っていないWTの新しいスーツを作っているのだろうか?
自らお払い箱扱いでWTを解雇したのだから会社の方針としてはありえないし、仮にWTやバーナビー達のスーツの開発者であるメカニックの斎藤さんが独断で制作していたとしたら、越権行為に当たる。(制作にかかる予算も、とても彼個人では賄いきれる額ではないだろう)
【5】新ヒーローコンビ『ライアン&バーナビー』の雇用形態の落差
自業自得とはいえ高額のギャラにつられてサインしたバーナビーが契約書に縛られている一方、ライアンの雇用形態がフリーダム過ぎる(
無関係な一般人への能力発動・出動中他社のヒーローを妨害という反則を犯しても一切お咎め無し・個人で勝手に大富豪と契約してアポロンメディアを退社等)事から、ライアンは本当にシュテルンビルトでのヒーローの個人認可を所持したサラリーマンヒーローなのか?という疑惑も浮上している。
(詳細は
ゴールデンライアン/ライアン・ゴールドスミスの項目を参照)
また、MJ版の単行本の書き下ろし漫画では、司法局のユーリを相手に「セルフプロデュースの製品を出すから、管理官のお墨付きがほしい」と賄賂を持ちかけるような真似をしていた。
【6】CEOとその個人秘書という犯罪者を出しておきながら、ライジング以降も平然と会社として営業を続けている
ただし、シュテルンビルトでのシュナイダーの具体的な罪状は不明。
単純に罪の重さでは、私怨で伝説を利用して街を破壊し尽くしたヴィルギルと3人組の方が国際テロリストレベルに相当する。
仮にシュナイダーがヴィルギルの父親殺害に関与していたとしても、それは以前の街の司法の管轄なので、シュテルンビルトのユーリに裁く権利はない。
詐欺だとしても懲役250年は重すぎるし、その場合はクビにされた虎徹以外のヒーロー事業部の関係者は、事情聴取や出廷を命じられる可能性がある。
【7】自社の雇用ヒーローを守る気がまったくない、大企業の法務部
中小企業のTop MaG時代でさえ、虎徹の訴訟案件は10年間で5回程度だったのに、ライジング以降の時間軸で物語が進められているMJ版では、僅か半年で12回も訴訟沙汰を起こしている事が判明している。
本来ならば、賠償金騒ぎだけでなく営業上その他トラブルに対して、出来るだけ訴訟は避けられるよう企業の法務部が示談等で済ませるものではないだろうか?
また、その人気や存在が街の経済をも動かすヒーローならば、上記の事柄に関する専門の保険等も常備・適用されると思われるのだが。
最終更新:2016年02月01日 21:55