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資源低減技術の開発 :TOCと工場生産管理

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資源低減技術の開発(イベント)



リワマヒ国が取り組んだ工場再構築プロジェクト、および採用した理論「TOC」について


このページではリワマヒ国のねじ生産/物流管理ノウハウとして採用した
TOC(Theory Of Constraints:制約条件理論)について紹介します。


TOCとは

TOCは、営利企業共通の目的である、

現在から将来にわたってもうけ続ける

というゴールの達成を妨げる制約条件(Constraints:強制, 束縛; 拘束[制約]するもの)に注目し、改善を進めることによって企業業績に急速な改善をもたらす手法です。

この手法は第七世界人の物理学者、エリヤフ・M・ゴールドラット博士(Dr. Eliyahu M. Goldratt)が1980年代にアメリカで提唱した生産スケジューリングをベースとした経営手法です。

TOCの歴史

1970年代前半、エリヤフ・M・ゴールドラット博士は、

 工場の生産性は制約条件工程(ボトルネック工程)の能力以上は絶対に向上しない

という至極当たり前の原理を提唱しました。ゴールドラット博士はこの原理を元に、

 1.工場の生産性を上げるためにボトルネック工程を見つける
 2.生産性能、資材調達をボトルネック工程に同期させた生産を行う

などを行うことで、生産性が飛躍的に高まり、仕掛かり在庫や製品在庫が劇的に減少することを実証しました。
この理論をゴールドラット博士はTOC(Theory of Constraints:制約条件の理論)と名付けました。

 その後、ゴールドラット博士はTOCの考え方を企業活動全体に広げ、

 (工場の所属する)企業の目標は売ること、つまりお金を作ることである
 お金を作るためにする行為は生産的で、反対にお金を作ることから遠ざかる行為は非生産的である

とこれまた当り前の原理を提唱し、工場という狭い領域に活動を限定せず、企業内外のさまざまな活動を制約条件に着目して分析する考え方を提供し、永続的な改善(On Going Improvement)を主張しました。

その結果、TOCは工場内の改善から企業全体の収益を最大にする経営革新手法に発展しました。
永続的改善プロセスを繰り返したTOCは、今日では大規模サプライチェーンのコントロールや営業・マーケティングの領域をもカバーする統合手法となっています。


TOCの取り組みと利点、欠点

TOCでは以下の改善策を順に行っていきます。

「1.工程の生産管理」
 ・会計基準の見直し(スループット会計の導入)
 ・ボトルネック工程と非ボトルネック工程の割り出し
 ・ドラム、バッファー、ロープの適用
 ・DBRの適正化
「2.顧客満足への結び付け、もうけの生成」
 ・需要予測精度向上の為の仕組みづくり
 ・生産から物流までの業務全体の革新

これらによって得られる利点と欠点は以下のとおりです。

「利点」
 ・リードタイムの短縮と在庫率の低減(それぞれ50%以下に)
 ・生産能力の20%増強
 これらにより副次的に、以下が発生します。
 ・投資された現金の回転が改善される
 ・経営効率が飛躍的に高まる
 ・経費節減よりスピードが重要視されるようになる
 最終的に、以下が発生します。
 ・企業の活力が増す

「欠点」
 ・既存の方針や進め方を変更するリスクを負う
 ・ボトルネック工程を徹底的に酷使することになる
 ・永続的改善が求められるようになる

 既存の方針の変更には、原価計算に基づく従来の財務会計(個別原価計算)の考え方から、工場の生産ポリシー、代理店販売店への出荷納期基準、最終的には物流の仕組みなどが含まれ、これらは段階的に行われます


TOCの基本的考え方


 TOCでは、企業の活動全体もしくはサプライチェーン全体を1本の鎖に例えて考えています。この場合、

受注 → 原材料入手 → 生産 → 納入 → 請求 → 入金

という、最終的にお金が企業に入ってくるまでの個々の活動は鎖の輪の1つ1つに相当し、企業やサプライチェーン全体の収益力は鎖全体の強度としてとらえることができます。鎖の輪の中に1つだけ弱いものがあれば、鎖全体の強度はその弱い輪の強度と等しくなります。


 鎖を切れにくくするには、最も弱い輪を探してそれを強化すればよく、それ以外の輪の強度を高めても鎖の強度は増しません。これと同様に、企業やサプライチェーンの生み出す利益は、最も能力の低い活動の制約を受けるのです。利益を増やすには最も能力の低い活動を強化すべきで、それ以外の活動をいくら強化しても利益には貢献しません。この最も能力の低い活動に当たるのが「制約条件」なのです。

 生産現場で考えた場合、制約条件は能力の一番低い工程や設備ということになりますが、その原因は単なる能力不足だけとは限りません。そこで、TOCでは以下の3つの制約条件を規定しています。


「物理的制約」
純粋に生産能力が不足している場合
「方針制約」
社内の規定・制度や組織構造などマネジメントの仕組み・企業文化・風土に制約がある場合
「市場制約」
生産量が伸びない原因が需要不足にある場合

 この3つを正しく識別すると、制約条件が抱える問題を解決しやすくなります。
このようにして制約条件の発見・解決を繰り返していくのが、TOCの経営革新手法なのです。



既存の工場にある問題

 工程の作業スケジュールを管理するという問題は、TOC開発の出発点です。多くの異なった品種が混流生産される工場でのスケジュール立案は困難を極めます。
TOC導入が特に高い効果を発揮する工場にはおおむね既存の問題として以下があります。

 あ)常時フル稼働体制による想定外対応能力の劣化
 い)変動費のコストダウンを目的とした増産による手持ち資金の圧迫
 う){決算期前の駆け込み発注・大ロット数まわしによる無駄発注・ずれた需要予測によるサバ読み発注}による生産能力への圧迫


常時フル稼働体制の問題

 仕事の遅れは各工程での早期完了がその工程で食いつぶされ伝播しないことと、遅れがそのまま伝播するという2つの要因によってもたらされます。
生産工程に限らず分業を前提とした業務は、それぞれを能力(生産能力)という観点から比較すると、アンバランスになっているのが普通です。
これまでの常識では、この「アンバランス」という事象を好ましくないものと考えてきました。そしてスケジューリングの考え方はすべての工程の能力バランスを追求し、それぞれの工程の稼働率を100%に近づけること、すなわち「誰もが忙しく働くこと」が最適な解を求める近道であると考えられてきました。

しかしその結果、各工程では発生したトラブルに対応する余力が残されておらず、スケジュールの遅れはそのまま次の工程に伝播します。
また、各工程が緊密すぎるスケジュールが組まれているために、スケジュールを進める工程が出たとしても、その余裕を引き継いで作業に入れるべき次の工程が既存業務で手一杯となり、着手が出来ないということにもつながります。

 TOCではまったく違う考え方を取ります。すなわち“早期完了を伝播させる仕組みを作るため”に、能力のアンバランスを「好ましい」ものとして積極的に活用するのです。GUTAITEKIには、それぞれの工程を、

 ・スケジュールの「遅れ」を発生させる工程「ボトルネック工程」
 ・スケジュールの「進み」を伝播させる工程「非ボトルネック工程」

に分けて考えます。
各工程の「遅れ」と「進み」の両方が次の行程に伝播するように組み立てれば、全体を最適にコントロールできると考えます。この考え方が後述するTOCの生産管理手法である「ドラム、バッファー、ロープ」の基本となっています。


変動費のコストダウンに関する問題


 従来の原価計算方式では、直接・間接の人件費や設備の減価償却費などの固定費を個々の製品に割り振って、
製品ごとの原価(単位原価または個別原価という)を計算し、製品の販売価格からそれを差し引いて利益を弾き出します。

しかし、そうやって計算された会計上の利益と実際に生み出されたキャッシュとは必ずしも一致しません。

 簡単な例で考えてみましょう。例えば固定給1000にゃんにゃんで人を雇って、販売価格200にゃんにゃん、材料費100にゃんにゃんの製品を生産するケースを想定してみます。
生産量が月 10個なら1個当たりの製造原価は200にゃんにゃんですが、月20個生産すれば原価は150にゃんにゃんに下がります。
従って、月20個生産すれば1個当たり 50にゃんにゃんの利益が残る計算となりますが、実際の需要が月10個しかなければ、手元の現金は1000にゃんにゃんのマイナスになります。
その一方で、売上高は10個作っても 20個作っても売れているのは10個だけですから一定の2000にゃんにゃん。変動するのは材料費の仕入れ金額のみです。


(いずれも単位:百にゃんにゃん)
月10個生産して10個売れた場合
手持資金は20
人件費-10 材料費-10 =原価は2/個
売価は2/個
売上高+20
手持資金は20に(かわらず)
月20個生産して10個売れた場合
手持資金は20
人件費-10 材料費-20 =原価は1.5/個 →利益が0.5/個出た! ←企業会計ではこれは利益が出たと評価する
売価は2/個
売上高+20
手持資金は10に(減ってる)

 これで利益計算をしてみるとどうなるでしょうか? 
売り上げの2000にゃんにゃんに対して、当月売上原価として計上されるのは、販売に対応した10個分の原価1500にゃんにゃんのみで、
計算すると500にゃんにゃんの利益が残ります。
 残った10個はどこへ行ったのかと思われるかもしれませんが、これが企業会計の原則で、残った10個分の製造原価はバランスシート(貸借対照表)に「資産」として計上されます。このため、売れないのに増産しても売上原価は増えません。おかしい話ですね。

 売れない在庫を作ってコストダウン(個別原価の見かけ上の低下)を達成しても、実際の資金繰り、すなわちキャッシュフローは逆に悪化し、会社に深刻なダメージを与えることになります。

つまり、単位原価に着目する原価計算制度は、実際の需要がなくても増産すれば原価が下がって会計上の利益が増えるという、本質的な問題を抱えているといえます。

 工場はコストダウンや生産性向上で評価されるというのが、これまでの私たちの常識でした。生産性、収益率、回収、予算達成度、目標原価など、呼び方は企業によってさまざまですが、実態は同じ「たくさん作れば安くなったように見える」という原価計算のパラダイムに基づいた評価指標です。
このパラダイムは「評価」と連動して企業の隅々まで根を張っている非常に厄介なものなのであり、単なる勘違いだけで済まされる問題ではないのです。

 そして、この個別原価のパラダイムは実際の工場では部門別、工程別に実施されています。そうなると各部門は競って増産に走ります。この個別原価計算のパラダイムでは、ブレーキはあってなきがごとしの意思決定が行われてしまうことになるのです。


 需要に合わせて減産するよりも、増産した方が利益が出るような会計システムでは、真の実態をつかむ経営はできません。
 この本質的な問題に対してTOCが提唱するのは、見かけ上の単位原価を引き下げることを目的としない新しい会計です。
TOCでは、工場での生産活動の目的を「スループットを増大させ、在庫を削減させること」と主張しています。

 スループット(T:Throughput)とは、製品の売上高から原材料などの在庫・投資(I:Inventory & Investment)を引いたもので、製品を1つでも多く販売すれば、その製品のスループット分だけ全体のキャッシュが増加します。
企業の最終利益は全製品のスループット総額から残りの支出である業務費用(OE:Operating Expense)を引いて残った額であり、スループット総額の最大化を目指せば企業が生むキャッシュも最大にできると考えるのです。

先ほどの例をスループット会計で見てみると、スループット上の損がきちんと損としてマイナス評価になっていることがわかります。

(単位:百にゃんにゃん)
月10個生産して10個売れた場合
手持資金は20
人件費-10 =業務費用は10
材料費-10 =在庫・投資は10
売上高は2/個
売上高+20 =スループットは0
手持資金は20に(かわらず)
月20個生産して10個売れた場合
手持資金は20
人件費-10 =業務費用は10
材料費-20 =在庫・投資は20
売上高は2/個
売上高+20 =スループットは-10 ←スループットが減っているため過剰生産はマイナス評価となる
手持資金は10に(減った)

生産能力が圧迫される問題

多くの工場では、顧客の真の需要に関係しない発注によって、生産能力が圧迫されている、という問題があります。
例えば、決算期などの評価が発生する時期に帳尻を合わせるために行われる製造、前述のコストダウンのために行う無駄な製造、顧客や営業マン、工場生産管理者による現実とずれた需要予想によるサバ読み発注などがこれらにあたります。

 これら顧客、営業のそれぞれの思惑による「サバ読み」や「勘違い」によって、多くの工場は当面必要のない製品にまで生産能力を割り当てています。
 工場の生産ロットサイズなども、自社内の方針制約によって、当面在庫になることが分かっていても生産している場合があります。
 また、工場から出荷された製品は顧客に納入されても、さまざまな理由ですぐに使われるとは限りません。実は自社で生産された品目が下流の顧客先で実際に消費されるまでの期間には大きなばらつきがあり、また設定されている納期とは必ずしも一致しないのです。

物流管理において顧客の「真の納期」が分かれば、自社の生産スケジュールを顧客の需要に合わせることで、
 ・顧客が必要としないものを売らない
 ・売れないものを工場に作らせない
ができるようになります。
TOC物流管理では、これまで営業、工場、顧客それぞれがサバとして使っていた個々の安全余裕を、バッファーとして集中させることで、全体の変動性(揺らぎ)や不安定性(やノイズ)に対する全体的な予防メカニズムとして使うようにします。これによって、さまざまな変動に対応できる柔軟な仕組みを構築します。



リワマヒ国ねじ工場での導入例


TOCの導入について、リワマヒ国ねじ工場の例を元にリワマヒ国工場がいかに改善されていったかを確認しましょう。


さて、ターン13終了時のリワマヒ国工場には以下の問題点がありました。

「物理的制約」
国民が逃げ出しているため工員数を藩王以下PCでまかなわなければならず、純粋に生産能力が不足している。
「方針制約」
物理的制約に工場の組織構造がついていっていない。
「市場制約」
共和国はターン13の災害で大被害を受けておりリワマヒ国製品に信用がない。

これら問題に対し、リワマヒ国では前述のTOCの手順に乗っ取った対応を行っていきました。


会計基準の見直し(スループット会計の導入)

まず、会計基準を見直しスループット会計を導入しました。
スループット会計とは、見かけ上の単位原価を引き下げることを目的としない新しい会計です。
これまでの生産のうち、売上高に結びついていない生産量については資産として計上していたのをコストとして再計算し、
全ての売上高から売上に結びついていないすべての変動費を引いた粗利(スループット)の増加を目的として経営判断を行います。
導入によりキャッシュフローの改善に着目することにつながり、想定外対応能力を確保します。


ボトルネック工程と非ボトルネック工程の割り出し

次に生産工程において制約条件となる、ボトルネック工程について割り出しを行います。
ボトルネック工程とは、能力が一番弱い工程で、停止してしまうと生産ライン全体のスループットを失ってしまう工程です。

リワマヒ国の場合、生産のための人員が足りないことが最大のボトルネック、ついで、藩国に、ひいては製品に信用がないことが次のボトルネックでした。
TOCではこれらの能力差をむしろ積極的に活用します。そして、そのために「ドラム・バッファー・ロープ(DBR)」という仕組みを構築します。


ドラム、バッファー、ロープの適用

 ドラム、バッファー、ロープと呼ばれる要素の意味はそれぞれ以下のとおりです。

ドラム  (D):生産能力の最も低いボトルネック工程の生産ペース(速度)
バッファー(B):ボトルネック工程を各種の変動(トラブルや生産の揺らぎ)から保護する為の、ボトルネック工程の前に置かれる時間的余裕、仕掛かり在庫
ロープ  (R):ボトルネック工程の生産ペースに同期させて材料を投入する仕組み

 ドラムの音にあわせて行進をしている一団の、一番足の遅い者が歩みにあわせてドラムをたたいている様子を想像して下さい。
集団のそれぞれがねじの製造工程、一団全体が工場の生産ラインにあたります。ドラムをたたいている足の遅い者が能力の一番弱い工程、すなわちボトルネック工程になります。
 このドラム奏者と一団の先頭とはロープでつながっており、先頭の者はロープによりドラム奏者の全力で移動する速度に合わせられています。
ボトルネック工程の全力での生産速度に、最初の材料投入工程からボトルネック工程までのすべての工程を同期させることがこれにあたります。同期を行う手段、すなわちロープの種類としては例えばカンバン方式などが用いられます。


※カンバン方式…ジャストインタイム生産システムとも呼ばれている。工程間の仕掛在庫を
最少に抑えることを目的とし、カンバン(部品納入時間や数量を書いた作業指示票)を用い、
必要なモノを必要な時に生産する方式。


 先頭とドラム奏者とを結ぶロープは少し長めにつないであり、先頭とドラム奏者の間の者がつまづいたり、予期しない遅れで立ち止まったりしても大丈夫なようになっています
また、2者の間で歩く者はドラム奏者より足が速いので、ロープ内での遅れについてはすぐリカバーすることが可能です。
 言い換えれば、非ボトルネック工程が持つ「能力的なゆとり」=保護能力(=想定外対応能力)と、ボトルネック工程が資材切れを起こして停止することを避けるための仕掛かり、すなわち「時間的なゆとり」=バッファーが、これにあたります。

リワマヒ国のねじ工場の場合、人員不足の状態でもまわせる生産ペースがドラム、それに合わせた生産管理方式がロープ、ねじ製造工程の前に置かれた仕掛かり在庫がバッファーにあたります。



DBRの適正化


 実際にドラム、バッファー、ロープを生産ラインに適用する際は以下にまとめた「5つの重点化ステップ」を実践していきます。

1. 制約条件を見つける

 5ステップの最初は、ボトルネック工程を探すことから始めます。ボトルネック工程は能力の一番低い工程、設備のことで、TOCでは生産性とリードタイムを決定付けている最も重要な工程と考えます。

 正確にボトルネック工程を見つけるための第一歩は、各工程の正確な能力を把握することです。通常は実際の処理能力を基本に考え、生産能力に対して負荷の比率が100%を超え、しかも値が一番大きい工程を制約条件とします。

 負荷と能力のデータが整理されていれば、正確に制約条件を識別することが可能ですが、多品種少量生産の環境などでは正確に計算できない場合もあります。この場合、簡便な方法として、ボトルネック工程の前には仕掛かりが滞留する特性を利用して、実際の仕掛かり量で判断してもよいのです。しかし仕掛かり量は工程設計上のバランスや前後工程の信頼性で増減するため、必ず現場の管理監督者の意見を参考にして、能力的な側面も検討したうえでボトルネック工程を決定するようにします。

ボトルネック工程は必ずしも1つとは限りません。負荷がおおむね80%を超える工程は、バッファーによる保護を必要としている場合が多く、この保護を必要とする工程をそれぞれボトルネック工程とします。ただし、その場合にメインのボトルネック工程を1つに絞り、それ以外は主制約工程に従属するサブ・ボトルネック工程と考えます。

リワマヒ国のねじ工場の場合では、人員不足の状態に陥った製造工程がボトルネックでした。


2. 制約条件を徹底活用する

 第2ステップでは、ボトルネック工程の生産能力を最後の一滴まで余すことなく使い切り、隠れた生産能力を引き出すことを実践します。
その根底には、ネック工程といえどもさまざまな要因で現実には能力を100%発揮しておらず、ボトルネック工程が休止することは、サプライチェーン全体が産出するキャッシュを損失させるという事実があります。
このステップでは従来から適用されてきた改善手法をボトルネック工程に集中的に展開します。
 徹底活用を行うに当たっては、もう一段踏み込んだボトルネック工程の詳細な稼働調査が必要になります。これによって給材待ち、試運転、調整、空運転などスループットに結び付いていない部分からすぐに改善を行います
 この第2ステップは、われわれが通常行っている改善活動をボトルネック工程に集中的に適用することにほかならず、従来のIE、QC、PM、5S活動などの生産性向上プログラムを上手に併用することで、さらに大きな効果が実現できるのです。

リワマヒ国ねじ工場の場合、現在のねじ製造機械を常時稼動させるために人員配置を工夫することで生産能力を改善させました。


3. 制約条件以外を制約条件に従わせる

 第3ステップでは、工程内の仕掛かりを最小限にして、生産スピードを向上させるために先頭の資材投入をボトルネック工程の生産スピードに同期させてコントロールします。さらに、さまざまな生産の揺らぎから、ボトルネック工程を守るために計画的な在庫(バッファー)を設置し、それ以外の工程は稼働率を高めるという考え方をやめ、仕掛かり在庫を持たないようにします。
 このようにしてボトルネック工程と先頭の投入工程だけを重点的に管理すれば、全工程の能力をバランスさせることなしに、生産性向上と仕掛かりの最小化を実現できます。
バッファーの仕掛かり量の決め方は、最初から難しい解析や予測を行うのではなく、まず現状の仕掛かりの推移を分析します。過去3カ月程度の仕掛かり推移から若干余裕を持って「この程度あれば大丈夫」という値を設定しバッファー管理を始めます。その後は、日単位のバッファーコントロールを行い余剰分を段階的に削減してゆくのです。

リワマヒ国ねじ工場の場合、常時稼動を実現したねじ製造機械の生産ペースにあわせて資材投入ペースを同調させ、製造機械材料の前にある程度の資材ストックと予備人員を置くようにしました。
バッファストックと人員については現状で3ヶ月稼動させた場合の予測から余裕ある状態を推定し、数を調整しました。実稼動後は日単位でバッファ数の余剰を段階的に調整します。



4. 制約条件を強化する(能力を向上させる)

 そして第4ステップの段階になっても依然としてボトルネック工程が変動しなければ、初めて投資を伴った改善や人の採用を実施し、ボトルネック工程の能力を向上させるのです。この継続的改善ステップの実践が、多くのサプライチェーンソフトが採用するTOCの生産スケジューリング理論であるドラム・バッファー・ロープ(DBR)なのです。

リワマヒ国の場合、ねじ製造機械を回す要員が足りないことがボトルネックでした。そこで、バッファ人員に補助として猫士たちを導入することで生産ライン数を強化して対応しました。


5. 惰性に注意しながら繰り返す

 こうして活動を進めてゆけば、必ず「方針制約」による活動の停滞と、生産能力が需要を上回った状態である「市場制約」が大きな障害になります。従って収益を最大限にするためには、生産部門の改善と並行して、方針制約の解消と市場拡大の手法が何としても必要ということになります。
このため最後の第5ステップでは、制約条件がどこに変化したかを注意深く見極めたうえで、第1ステップに戻ります。



さらなる利益創造へ


こうしたDBRの仕組みは、素早く、確実に企業内のリードタイム、在庫を削減し、隠れた生産能力を引き出します。しかしこの範囲の取り組みでは、一般的にどこの企業にも存在する改善運動と大差なく、多くの場合、企業業績に直結することはまれです。
 実はTOCの真価はここから発揮されます。そもそもTOCとは、個々に存在する改善努力を制約条件に集中させることによって「企業の力」へと転化させ利益に変換する触媒の役割を果たすものであり、個別の改善をひたすら積み重ねることではないのです。真に業績を向上させるために必要なことは、生産性を最大にしつつ、その一方で顧客の特急オーダーや急な変更にもフレキシブルに対応できる生産システムを構築することなのです。
 高い稼働率を目指して、生産能力ギリギリいっぱいに生産計画を立ててしまえば、緊急オーダーに対応することは極めて難しくなります。TOCでは、もうけるための高い稼働率と、顧客対応のための余裕というジレンマを両立させるために、DBRを活用した工場改善と生産管理業務の革新活動を同時に実施します。


 リワマヒ国ねじ工場の場合、物理的制約についてはこれまでの取り組みによりカバーされましたが、方針、市場の制約として

「方針制約」
物理的制約に工場の組織構造がついていっていない。
「市場制約」
共和国はターン13の災害で大被害を受けておりリワマヒ国製品に信用がない。

が問題となっていました。
 そこでリワマヒ国は、まずねじ生産工場を国営とし、運営を藩王直轄として組織の上下関係を大胆に圧縮しました。
また、市場制約については時を同じくして「整備士プロモーション活動」に提案活動を行い、整備に用いられるねじ材等の規格を共和国・帝國での共通規格とし、国内外の需要を掘り起こしました。
これと同時に、元リワマヒ国民らに呼びかけを行い、独自の流通ルートを構築、各国の工場にタイムリーに供給できるようにしました。これについては後述します。

リワマヒ国が取り組んだ流通改革についてはこちら(「資源削減技術の開発」内ページです)