【名前】ゼロ
【出典】ドラッグオンドラグーン3/オールジャンルロワ
【性別】女
【年齢】不明/永遠の17歳
【人物】
DOD3の主人公。ウタウタイの長女でありながら世界を平和に導いたウタウタイの姉妹を殺して回る「裏切りのウタヒメ」。元娼婦で元強盗殺人鬼。
薄紅色の瞳に白髪に近い金髪の長髪に左腕の義手、そして右目に咲き誇る花(災厄の花)が特徴。口が悪いが敬語も使う奇妙な喋り方をし、稀にメタ発言もする。
圧倒的な膂力と剣戟能力を持ち、竜以外の攻撃には常人には致命的な傷を受けても再生して復活、ウタの力を解放すれば更に人知を超えた力を発揮できる。
性格は乱暴で面倒臭がり屋で自己中心的。殺人に関してもブレーキが効いておらず「排泄と同じ」と発言するなど、好きでやってるわけではないが罪悪感も基本的にない危険人物。ただし仲間に関してはその限りではなく、特に竜のミカエルとは親友、幼い竜のミハイルに関しては親子に似た間柄である。

正体は体内に宿る災厄の花によって生かされた死体。
そしてウタウタイ及び彼女らの宿す災厄の花は開花すれば世界を滅ぼす力を秘めており、ゼロの目的は世界破滅を阻止するために自分を含めた姉妹を皆殺しにすることである。また姉妹の正体もゼロが災厄の花を自力で摘出(自殺)しようとした際に花の自己防衛本能の働きによる株分けで増えてしまったゼロのコピーである。
ゲーム中の全てのルートで姉妹を全滅に追いやることには成功する……が、このゼロの場合は……

【元ロワ(オールジャンルロワ)での動向】
自分を除くウタウタイを全滅させたものの、その過程でミハイルが惨死。自分が死ぬ手段と精神の支えをいっぺんに失う作中最悪のバットエンド出身の発狂マーダーとして登場。
本ロワの参加者でもあるウォンカを斬首し、親友である竜のミカエルを幻覚だと思い込んで殺害してしまった。
終盤でデッドプール率いるデップスメンを襲撃するが、対決していたデッドプールによりミカエル・ミハイルなど既に死んでいる者が会場にいる理由や制限により竜以外の参加者でもウタウタイである自分を殺せることを教えられ正気に戻るも、災厄の花が開く可能性や親友をこの手で殺した罪悪感による精神的限界を理由にデッドプールに介錯を頼み込み、ミハイルを託してこの世を去った。

【本ロワでの動向】
自らの死を望み、介錯されて死んだ自分が主催の手によって再び生き返らせられたことに呆然としていたゼロ。
そんな彼女が初めて出会ったのが首を吊って死のうとしていた少女・朝之光希であった。
ゼロは「死にたいなら死ねば?」と赤の他人の自殺の止める気はなく、「自分の意志で自殺できるだけこいつは幸せ」と思いながら傍観していたが、突如、一発の銃弾が光希の首を縛っていたロープを切断した。
銃弾を放ったのはセリュー・ユビキタス(混沌ロワ2)である。
そして目の前に自殺を図った人間がいながら、止める素振りを見せなかったゼロを、光希に自殺教唆をして殺そうとしたマーダーだと勘違いし、ゼロ側も主催に勝手に蘇らせられた苛立ちもあって、そのまま争いに発展してしまう。
だが、セリューの攻撃1つ1つに怯えが見えており、本来の実力を発揮できておらず、支給品のイクサベルトで仮面ライダーイクサに変身するも力を全く使いこなせてない始末。
逆に仲間でもない相手に対しては暴力に迷いのないゼロの方が一方的に優勢であった。
だが、二人の争いはどこからともなく現れた蔓が二人の体を縛り付けたことで中断する。
その蔓は争いを見ていられなくなった光希が異形の戦士・魔闘士ロージィに変身して放ったものであった。
なにはともあれ争いは中断し、両者頭を冷やして話し合った結果、ゼロはセリューを何が何でも殺す気でもなく武器を下ろし、ゼロは殺し合いに乗っていないことがわかるとセリューも武器を下ろした。(もっとも自殺を止めなかったことは間違いなく問題行動だったため、危険視はされたが)
自殺しようとしていた光希もセリューに諭され、自殺はやめることにした。

冷静になった三人が名簿を開くと、光希とセリューには月元やアカメといった仲間や友人がいることがわかり、ゼロも前の殺し合いでミハイルを任せたデッドプールがいることに気づく。
前の殺し合いで竜のミハイルが無事に生還できたかどうかは聞く必要ができたので一先ずの目標にデッドプールを探すことにした。
そのまま一人で探しに行こうとしたが、セリューがゼロのような危険人物に目を離すと何をしでかすかわからず、光希も再び自殺に走る可能性があったので三人で一緒に行動するようにと促す。
ゼロとしてはセリューのようなお堅い人間とは付き合いたくなかったが、以前の殺し合いで自分が殺し合いに乗っていたため悪評が流されている可能性を考慮すると仲間がいた方が面倒事が少なくなる、いざという時の囮や弾除け程度にはなるかと思い、二人と動向することに。
ゼロはあくまでデッドプールに会うまで利用できればいいと、二人に対して仲間意識など微塵もなかった。少なくともこの時は。

こうして三人は行動を共にすることになるのだが全員元ロワの出来事が原因で心に傷を負っており、当初の空気は常にギスギスとして最悪であった。
犯罪者気質のゼロと正義感の強いセリューは度々喧嘩をし、光希が間に入ってうまくなだめなければそのまま殺し合いに発展しそうになるほどである。
そうでなければ抜け殻状態の三人であり、このグループの解散は早かろう……そう、読み手には思われていた。

そんな三人がしばらく会場をうろついていると、何者かに殺され野晒しだった夢無の死体を発見する。
笑顔で死んでいる夢無の顔は「こんな風に笑って死ねるなら、もう一度最後まで抗うのも悪くはないか」とゼロに思い起こさせた。
夢無を埋葬した後、セリューと光希は初めて元ロワでの出来事を口にする。
セリューはとある帝国の一員として働き、帝国の正義を信じて賊を殺し回っていたが、参加者にもいるヒルカワにより真実を突きつけられ、仕えていた帝国こそ民を飢えさせている元凶であり、師匠と慕っていたオーガも自分の知らないところで賄賂欲しさに無実の人間を処刑していたことを知り、自分の振りかざしていた悪を滅ぼすだけの正義に失望。
また敵対し、抹殺するべき対象だった暗殺集団ナイトレイドのアカメが人々を守るために戦っていたところを見て、考えを改め、自分の正義を見つめ直す。
しかし、フェイスレスの放った正義に狂っていた時の自分を模した自動人形との戦いに敗れて自信を完全に失っていたのである。
光希は変身ヒーローとして活動していたが、体内の魔界植物によって自分がどんどん人間離れことに恐怖しており、前の殺し合いにおいて自分が化け物呼ばわりされ弱っていたところを洗脳されてしまう。
そして悪党に手を貸し、その過程で友人の月元すら化け物に変えてしまったことによる強い罪の意識に耐えられず、自殺しようとしていたのだ。
二人共抜け殻状態だったが、夢無の死体を見たことでセリューと光希には名前も知らない参加者の死に嘆き憤り「腑抜けてる場合じゃない。私達が戦わなくちゃ犠牲者が次々と出る」と元の正義感を呼び覚まさせたらしい。
結果として少しではあるが、一人の漢の死に様によって三人の精神は持ち直したのである。
ちなみにゼロは自分の過去(特に災厄の花関連)はあまり話さず、元娼婦で元強盗、変な花が目に寄生する病気にかかり、前のロワで適当に暴れ回っていたら変態に殺された(嘘は言ってない)ので反省して今回は殺し合いに乗らないとだけ言った。
二人からは呆れられた。特にセリューは殺し合いから生還できたらゼロを更生する気満々である。

彼女が次に出会ったのは一夏とマリアのタッグである。
一夏が参加していたアニロワ3でのセリューはトップマーダーであったため、彼女に良い思い出がなく、強く警戒していたが、後で世界線の違う別人だと分かると打ち解けて仲間であるウェイブのことで盛り上がっていた。
一方、ゼロはマリアに馴れ馴れしく話しかけられて困惑する。というのもマリアの参加させられた音楽ロワにもゼロがおり、こちらは乱暴者ではあったが真っ当な対主催としてマリアたちと肩を並べて戦ったらしい。
また、マリアからオーケストラとして音楽で参加者全てが繋がった最後を教えられるが、ゼロはこれに対して唾棄した。
ゼロが元いたDODの世界観が極めてダークでシビアなものであり、その世界の価値観で測るならみんなが歌って仲良しこよしするなど夢物語もいいところであった。
さらにウタウタイ・ウタヒメと呼ばれてはいるが、ウタウタイの持つウタノチカラとは他者への暴力や洗脳を強化するための手段でしかなく、本来は呪われた力であり、「歌」のようにコミュニケーションの役に立つ力ではない。
そんな自分が多くの人間たちとお手手繋いで(しかも殺害対象のトウも交えて)歌っているなど、バカらしくて想像もできなかった。
それでも歌の力を信じるマリアには滑稽としか思えなかった。
そうして一行は一夏たちと情報交換を済ませた後、別れることになる。

次に三人は凶悪宇宙人ぬらりひょんに襲われている少女・恵飛須沢胡桃と遭遇する。
腕をシャベル状に変形させたり、ぬらりひょんの攻撃を躱す身のこなしの早さや常人なら死に至る攻撃を耐える頑丈さから胡桃が普通の人間ではないことを見抜くも、ぬらりひょん相手には頭に血が昇っているのも重なって不利であり、セリューと光希が加勢し、二人に引っ張られる形でゼロも面倒くさがりながらも戦列に加わることになる。

ぬらり「神の存在を感じるか?」
ゼロ「目の前にいたらぶっ殺してやりたいですね」

ぬらりひょんからの質問に応える形で、災厄の花の件を含めて自分にろくな人生を歩ませなかった神に悪態を突きつつ戦うゼロ。
ぬらりひょんほどの強者相手には出し惜しみする余裕はないとウタノチカラを解放して能力が増大するウタウタイモードで対応するゼロ。
共に戦うセリューと光希も少しばかりでも自信が戻ったのか、仮面ライダーイクサと魔闘士ロージィとして戦闘をする。
そこに胡桃も加わり、ぬらりひょんをガンガン押していく。
だが、絶大な再生能力を持つぬらりひょんを殺しきるには打撃力不足であり、殺しきれないと悟った四人は崖から突き落として撃退するのが精一杯であった。

ぬらりひょんを撃退し、助け出された胡桃は三人にお礼を言って立ち去ろうとするが、いくら常人離れした力を持っていても一人で会場を歩き回るのは危険であるとセリューと光希が説得し、仲間に引き入れることになった。
胡桃はセリューも参加していた前の殺し合いで参加者でもある小保方に騙されるような形でSTAP細胞を植え付けられ、t-abyssにも感染した強化人間であり、何も知らない者から見たら恐れられるだろうと胡桃は思っていたが、幸いにもDOD世界にもアカ斬る世界にもオリロワ世界にも胡桃のような異能者は探せば見つかる世界観であるのに加えて、生きた死体、改造人間、植物魔人など経緯は違えど全員が人間をやめている者たちであったため、奇異の視線で見られることなく簡単に打ち解けた。
特に光希とは年齢が近く、胡桃にとっては前の殺し合いで亡くした後輩を彷彿させていたため、先輩と後輩という間柄ですぐに仲が良くなった。
こうして以前の殺し合いで心に傷を負った四人によって構成された『傷心カルテット』なるグループが結成されたのだった。

その傷心カルテットが次に向かったのが会場に設置された駅の一つ。
その構内にて痴漢・鷹取迅の待ち伏せを受ける。
痴漢系エロゲ出典とは思えない計画性・気配を消す・空間把握・観察眼能力でゼロ・セリュー・光希・くるみの四人を軽いボディタッチや甘い言葉で追い詰めていく迅。
このまま四人の女は悪魔の手を持つこの男に(性的な意味で)食べられてしまうのか!?
戦いの内容からして死人は一人も出ないのに無駄に白熱したバトル(心理戦?)が展開され、あやうく体を許しそうになる四人。
おそらく鷹取のテクニックはかつて引き連れていた四人の従者(男)のそれを凌いでるだろうとゼロには予感させた。
最終的に鷹取のことを気に入ったゼロが「性奴隷として連れてくかー」みたいなことを言い出し、セリューが反対して意見の食い違いから二人が喧嘩を始めてしまう。

ゼロ「男も知らなそうな若作りの年増女がなーんかうるさいですねぇ?」
セリュー「あっ?なんか言ったかこのアバズレの白髪頭が(顔芸)」
胡桃「ちょ、やめろよ二人とも!」
光希「まーた始まった……」

結局喧嘩は胡桃と光希が止めに入り、戦い(?)はあやふやになったそうな。
とりあえず鷹取は無害だったので情報交換だけして別れた(セリューは痴漢として捕まえようとしたが、足早に雲隠れした)。
しかし収穫はあり、赤い覆面をした男(なぜか二人いた)が黄色いアフロの男やピエロっぽい風貌の男と一緒に遊園地へ向かうところを鷹取は見たらしい。
赤い覆面の男はゼロの探しているデッドプールの可能性が濃厚と見て一行は一路、電車に乗って遊園地に向かう。

無事に遊園地に到着すると、そこにはゼロのお目当てである二人のデッドプールとボーボボ、メフィストによるハジケリスターズと、遊園地に籠城していたこころ、ノーフェイス、リンディアのグループと接触する。
彼らと情報交換と交流を始める傷心カルテット。
その中でゼロはかつて自分を殺してくれた方のデッドプール(オールジャンル)を誘い、他のメンバーたちには気づかれないところで秘密の会話を始めた。

デッドプールによるとミハイルは殺し合いから無事に生還し、カイムの下で元気にやってると聞き安心するゼロ。
しかし、災厄の花を持ち、かけがえのない竜たちを殺した自分にはミハイルに会うべきではないと彼女は言う。
スリイと同じくサクシャによって齎された技術によって災厄の花が封じられた状態で生きながらえる道もあるが、ゼロはあえてそれを蹴る。
そして主催を討たない限り、自分に安寧の死は永遠に訪れないだろうと思い、主催を殺す対主催として本格的に動こうとしていた。
同時に災厄の花を滅ぼすために戦って死ぬ、悲愴な覚悟を胸に込めて……
そしてゼロは一つの懸念からデッドプールとある契約をする。
それは自分の中にある災厄の花が開花しかけた場合、デッドプールにもう一度自分を殺してもらうという万が一のための保険であった。
デッドプールは金で動く傭兵であり、見返りがなければ契約しないと言ったが、ゼロは代金替わりに自分の体を売ることで契約を成立させた。
契約書へのサインの代わりに唇を重ねる二人。

ゼロ「……連れの三人には黙っておいてくれよ。
   あの甘ちゃん共に知られると、いざという時に止めに入ってきてめんどくさいことになるだろうしな」
デップー「そっちこそ、シクラーとデス、ついでにもう一人の俺ちゃんには内緒にしてくれよ? 絶対僻むから」

そしてゼロがまとっていた衣を脱ぎ出すと一糸まとわぬ白い肌がデッドプールの目の前で顕になり、胸元で豊満に実った、たわわなt――

キ ン グ ク リ ム ゾ ン ! !

――デッドプールとの秘密の会談を済ませたゼロが仲間の元に戻ると、そこにはツッコミ疲れと頭痛で苦しむ胡桃と、自分がいない内にハジケリスターズにミーム汚染されてキバハゲデュエルなる意味不明バトルに興じるセリューと光希の姿があった。
これ以上子安ボイス狂人軍団に絡むと全員まとめてバカになってしまう危険性を感じたゼロはセリューと光希をショック療法(ドロップキック)で正気に戻して遊園地を後にすることにした。
なお、別れ際に餞別としてノー・フェイスから「自分には手に余る支給品」を渡されることになる。それは赤い竜のように見えるポケモン、リザードンであった。
戦闘以外では常に寝ていることが多く、デッドプールたちの言うことも聞かないきかん坊であったが、なぜかゼロには懐いていた。
ゼロは知る由もないが、このリザードンは音楽ロワの方のゼロと共に殺し合いを共に戦い抜いた仲だったのである。故にゼロに懐いていた。
ゼロもリザードンに竜のミハイルを重ねて思い出し、どこか気に入っている様子だった。

リザードンの背に乗り、傷心カルテットは遊園地から飛び立つ。
途中、定時放送にて胡桃にとって戦友と言えた御木津藍の名前が流れて落ち込む胡桃。
そんな彼女を慰めるセリューと光希。友を失う悲しみを知っているゼロもぶっきらぼうなりに慰める一幕もあった。

しばらく空を飛んでいると山奥に鎮座する戦艦ハルバートを発見する。
この戦艦を対主催の移動拠点として活用できると思い、着陸する。
日も暮れてきたので戦艦を動かすのは夜明けに回し、長旅で疲れている光希と胡桃を風呂に入れるなどして休憩させ、ゼロとセリューは見張りについた。
その見張りの最中にセリューはゼロに「自分たちに何か隠し事があるのではないか」と問いかける。
前にゼロは自分を野盗だと言ったが、ぬらりひょん相手に立ち向かえる強さや勇気はそんじょそこらの賊が持ち合わせているものでなく、目に宿る花もただの病気によるものではないと、何か大きな秘密をはらんでいると睨んだのだ。
これはセリューが当初のようにゼロを未だに危険人物扱いしているわけではなく、共に仲間として聞いておくべきことがあるのではないかと思ったのだ。
ゼロは身勝手で粗暴であり、価値観の違いから度々衝突するが、時に仲間に垣間見せる優しさにも気づいており、そんなゼロにセリューは仲間意識を持ち始めていた。
だが、ゼロはセリューに花の秘密を教えようとしなかった……それがセリューに余計な心配をかけたくないためか説明するのが面倒なだけなのか自分でもわからぬまま……
結局ゼロは真実を明かさず適当な嘘をセリューに吹き込もうとする。

しかし、ゼロの喉笛がホラを吹く前に切り裂かれ、首筋から嘘の代わりに赤い血が噴水のように噴き出した。何者かに背後から奇襲を受け、首をかき斬られたのである。
言葉も発せぬまま、ハルバートの床に倒れ力尽きるゼロ。そのゼロが呆気なく殺されたことに衝撃を受けるセリュー。

ゼロの首をナイフで斬ったのは不死身の怪人、ジョン・ドゥ。
彼はアニロワ3出身のセリューに襲撃を受けた報復としてセリューを見かけて復讐に現れた
のである。(もっとも、このセリューは混沌2出身のセリューであって、人違いであるのだが)
セリューは応戦するも、ぬらりひょん並の再生能力を持つジョン・ドゥに苦戦し次第に追い詰められていく。
さらにこれだけの騒ぎが起きているのに光希も胡桃もなぜか助けにこないことが事態に拍車を掛けていた。

ジョン・ドゥ「アッハハハハハっ!!! 俺は無限にコンテニューできるっ!! ゆえに負けはないっ!!」

嘲笑うジョン・ドゥに倒されたセリューがトドメを刺されそうになった。その時、いきなりジョン・ドゥは背後からピーナッツバターの入った瓶を投げつけられる。
割れた瓶からピーナッツバターが溢れ出し、それを頭から被って悶え苦しむジョン・ドゥ。

瓶を投げつけたのは血まみれ全裸の女――死んだと思われたゼロであった。
ジョン・ドゥやぬらりひょんが再生能力を持っているようにゼロにも『ウタウタイの再生』と言われる能力を有しており、竜以外の攻撃や竜の肉体で作った武器を受けない限り、致命傷を受けても目の花から新しい肉体が生えてきて死ぬことはない。
首輪の制限によって竜以外の参加者でも殺すことはできるだろうが、心臓や脳などの急所でない限りは再生はできるようだ。もっともジョン・ドゥが首を裂くのではなく斬り落していれば結果は違っただろうが。
ちなみにピーナッツバターはセリューとの交戦中のジョン・ドゥの台詞から苦手であると分かり、ハルバートのキッチンから持ち出したものである。

そして敵が悶え苦しんでる絶好のチャンスをセリューとゼロが見逃すはずもなく、しこたまボコボコにしたあげく最寄りの大砲に突っ込んで近くの禁止エリアに向けて発射。
いくら不死身のジョン・ドゥでも殺しあいのシステムには逆らえないと見越し、禁止エリアで死亡するのを見届け、片をつけたとホッと胸を撫で下ろそうするが、それより早く二人の前にボロボロの光希が現れて言った。

「セリュー姉、ゼロ姉、助けて!
くるみちゃん先輩が拐われた!」

セリューとゼロがジョン・ドゥの襲撃で手一杯だった頃、胡桃と光希は胡桃を拐いにきた小保方の襲撃を受けていた。これがジョン・ドゥの襲撃の際に助けにこれなかった理由である。
二人は応戦するも、STAP細胞に加えハードスーツを着て戦力を強化していた小保方相手に力及ばずに胡桃は連れ拐われてしまったのだ。
ハルバートの艦内でセリューによる応急処置を受けながらと非常に仲が良かった胡桃が連れ拐われたことをとても嘆き悲しむ光希。
ゼロは再生の際に脱いだ服を着直し、光希の怪我が治り次第、胡桃の救助と小保方の討伐を考える。

しかし、三人が動き出すより早く、事態は急展開を迎えた。
遠方でもはっきり見えるくらいの巨大な小保方――全ての参加者に災厄をもたらす“母”、小保方マザーの出現である。
ゼロの知りうる災厄の花に関する知識や伝承、そして感じた大きな魔力から新たなウタウタイが生まれたと感じたゼロは、あれが自分と同じ災厄の花によるものであると断定する。
全ての参加者に滅びをもたらす開花した災厄の花と対抗できるのは竜の力か同じ災厄の花のみと感じたゼロは思った。(あの女に対抗できるのは、同じ災厄の花を持つ私だけかもしれない)と。

ゼロ「セリュー、光希。キミたちとはここでお別れです。
くるみはおまえたちで助けてやれ。
私はあの馬鹿でかい女を殺しにいく」
セリュー「ゼロさん、無茶です!」
光希「いかないでゼロ姉!」
ゼロ「私にしかできないかもしれないんだ。
あと、キミたちといた時間は何だかんだで楽しかったですよ」

そして、あの小保方相手には対抗できないであろうセリューと光希をハルバートに残し、リザードンの背に乗って小保方の下へ向かうゼロであった。
ちょうど良い死に場所を見つけたかもしれない……そうゼロは考えていた。

向かう途中、ラインハルト率いる対主催連合軍の一団と合流。
対極の位置にいるヤン率いる対主催同盟軍で小保方マザーを包囲して殲滅する作戦を展開するようだ。
その中でゼロは前の殺し合いではマーダーだったので疑われたが、小保方マザーには歌や竜による攻撃が有効な対抗手段であるかもしれないと教え、更に自分は最前線で戦うことを選び、裏切る素振りを見せたら躊躇せず後ろから撃てばいいという条件で連合軍に入ることができた。


夜明けと共に、対主催軍団による小保方マザー包囲網作戦が決行された。
ゼロは竜騎士としてリザードンの背に乗り、小保方マザーと彼女によって生み出された大量の『赤ん坊たち』、そして負のエネルギー欲しさに味方する白面一派との熾烈な殺し合い、否、戦争では空戦を担った。
リザードンは竜の姿をしているがどちらかと言えばワイバーンに近い存在であったが、幸運なことに赤ん坊たちは身に宿すウロボロスウィルスの影響で火に弱く、リザードンの火炎放射で大量の赤ん坊を焼き殺し、制空権を奪って連合軍の進軍を助けた。
そして、小保方マザーを前にして己のウタの力や佐村河内の歌の力、多くの対主催たちの力によって小保方マザーを攻撃していく。
だがそこでラー・カイラムの突然の味方への発砲により味方が大打撃を受ける。
直後の放送にて砲手のマーク・ハンターが殺されていたことを知ったため、艦に敵が侵入されたことを知るも助けに行ける余裕はなかった。
同じ頃、同盟軍の旗艦も白面の者の手によって轟沈し同盟軍は指揮能力を喪失。
一度は全員の協力によって沈黙した小保方マザーに一部の対主催がトドメを刺すために突撃するも――

ゼロ「!? まずい! 罠だ! 離れろ!!」

小保方マザーを囲むように地中から五体分の小保方マザーの分身が現れ、破滅を招く舞と歌を始めて多くの対主催が死亡。戦力を大幅に欠いた状態で第二ステージが開始される。
戦いの中でボロボロになっていくゼロを含めた対主催陣営はほぼ壊滅状態だった。
しかし、下ネタ組のピンクゼータによる怒涛の奮起や、ラインハルトのラー・カイラムによる文字通りの決死の特攻によるダメージで、小保方マザーはとうとう沈黙した。
動かなくなった小保方マザーにトドメを刺すべく、リザードンと共に小保方マザーに接近するゼロ。

しかし、ゼロが巨大な小保方に近づくにつれ違和感に気付く。
ゼロが感じていた「花」の気配は小保方からではなかったのだ。
確かに小保方マザーは強大な魔力を持っており、攻撃手段として破滅の歌まで口にしていたが、本来は竜でしか太刀打ちできない存在がそれ以外の攻撃も有効であった。
……その時点で気づくべきだったのだ。小保方マザーは「花」の力は持たぬ、似ているだけの全くの別物であると。
ならば先刻から感じている「花」の気配はどこから来ているのか?
ふと、魔力の気配を感じて地上を見ると……そこには尻から災厄の花を生やした汚そうな男とそれに付き従う四人の男。
そう、ゼロが感じ取っていた災厄の花を宿していたのは、小保方マザーの付近に現れたクッソ汚い野獣先輩と彼に掘られて花を株分けされた一派からだった!

ゼロ「……なんだこれは、たまげたなぁ」

リピロワ2014の野獣先輩ウタウタイ説が立証された瞬間である。なお、支援レス(?)としてDODファンや本ロワ未参戦のウタウタイの姉妹から多大なブーイングと訴訟の嵐を受けたのは言うまでもない。
あまりに汚すぎるウタウタイ・野獣に思わず、戦意を削がれそうになるゼロ。
しかし、こんな汚物でも放置すれば災厄の花が開花して全参加者を滅ぼす可能性があったため、抹殺を決意する。
綾斗を救出するため、野獣一派を追跡していたユリス、ステラ、一輝、錆の四人の剣士もゼロの加勢に入り、野獣と彼に魅せられたベクター、斑一秋、ベガ、ただ一人災厄の花の幻覚によって憎むべき敵(野獣)と守るべき味方(ユリス)の認識が逆になっている綾斗による『ウタウタイの5兄弟』による死闘が始まった。

ゼロが相対するは一派のリーダー格で最も災厄の花と親和性の高くなっているステハゲ野獣先輩。
迫真空手と邪剣・夜(カリバーン)による高い白兵戦能力、帝具「ライオネル」による再生能力、スタンド「サイクロップス先輩」による防御&攻撃能力、さらにはウタのチカラまで使い、ゼロを悪戦苦闘させる。
一瞬の隙をついて腹を一突きして大打撃を与えるも、ゼロのウタウタイの再生が右目に咲いてる花から新しい肉体が生えてくるのに対し、野獣の場合は尻の花から出てきてブッチッパ!と新しい肉体が生えて振り出しに戻るだけであった。(ついでにあまりに再生方法が汚すぎてゼロたちはおろか読み手すらドン引きした)
反対にゼロ側は竜に纏わる武器を誰も持っていなかったので、強者揃いであるにも関わらず誰も野獣一派に有効打らしい攻撃を与えられず、リザードンも竜ではないので火炎攻撃も効果が薄く、死人を出さないだけで手一杯であった。
活路を見いだせぬまま、ウタウタイの5兄弟に苦戦するゼロたち。
しかし、包囲網戦にも参加していたせいぎちゃんと城之内が加勢し、城之内の持つカード「赤眼の黒炎竜」のカードが竜の攻撃であるという判定となり、弱点攻撃として野獣一派に打撃を与え、圧倒的に不利だった戦況を五分五分にまで押し戻した。

戦いながら、ゼロは野獣先輩の異常に気づいた。
災厄の花への親和性が高いということは花の力に飲まれやすいということ。
花の力に飲まれれば人としての理性や精神は、余程強い心を持ってなければ崩壊する。
すなわち、野獣先輩の心はとうに壊れていた……優勝して愛する遠野を蘇生させることしか頭にない殺人機械と化しており、花の力が強くなるにつれて会話も成立しないレベルにまで急速に落ちていた。
理性を失った野獣が口にするのは愛する者の事のみ。

野獣先輩「遠野遠野トオノとおの愛してるアイしてるあいしてる!」
ゼロ「こいつはあの時の私と同じだ。
失いたくなかった大切なもの・・・・・・ミハイルを失って壊れてしまった私と全く同じじゃないか」

そしてゼロは気づく。今戦っている野獣は自分と同じくかつて愛する者を失った者なのだと。
野獣先輩はミハイルを殺されて精神崩壊を起こした過去の自分そのものであると。
花が咲いたときか、先輩のMURを殺した時か、それとも前の殺し合いで遠野が見せしめで殺された時か、この男の心がいつ壊れたのかわからないが、自分も一度は心を失った野獣同然と化していたため、彼の存在に哀れみすら覚え始めていた。
だからといって容赦はしない。ウタウタイに身を落とした以上は討伐するしかない。
むしろ死こそがこの野獣にとっては救いになるだろうと思い、ゼロは同情しつつ剣を振るい続けた。できれば自分の手で野獣に安寧をもたらすために。

ところが、ゼロの思惑とは裏腹に、今まで沈黙していた小保方マザーが再び覚醒し、彼女から伸びてきた触手が、戦闘中だったベガを、綾斗を、ワンフォールを、ベクターを、野獣先輩を捕らえて全員吸収してしまった。
さて、本物の災厄の花と災厄の花によく似たパチモノが合わさった場合、どうなるか……?

その答えは本当の意味で災厄の花と化した“母”の降臨である。

小保方マザーを寄り代として顕現した災厄の母の出現にゼロたちは戦慄する。
だがこれで終わりではなく、素体となった小保方の如く貪欲な“母”は野獣一派に飽き足らず、もう一人の災厄の花の持ち主であるゼロまで取り込まんとする。
ゼロは必死に抵抗するも触手に捕らわれてしまい、ハードスーツと肉体が泥によって一体化し、なおかつウロボロスウイルスの特徴である極太の触手がでたらめに生えた異形の小保方コアがゼロを喰らわんと口を開けた。
そしていざ、喰われかけたその時、触手を切り裂く一人の影が――デッドプールがガンシップに乗って駆けつけてきたのだ。
デッドプールによって助け出され九死に一生を得たゼロ。
しかし“母”はゼロの代わりに他方からエレンに倒された白面の最後の尾から生まれた赤子を触手で絡め取って吸収し、その子宮の中で何かが受胎し始めた。
魔力も大幅に増大しもはや8人の対主催の力では手のつけようがないと見て、その場にいた全員がリザードンやガンシップに乗って止む終えず一時撤退する。

撤退途中の放送で死亡者発表からハジケリスターズの壊滅を知り、セリューの名前が上がる。
セリューは名簿に二人いたが、死んだのは自分の知っているセリューなのかと、内心で心配する。
胡桃も放送でまだ呼ばれてないのでまだ生きてるのだろうが、無事に救助されてるのかどうかは気がかりだった。
もっとも、後に出会うモモンガの話により死んだのは正義にトチ狂ったアニロワ3のセリューの方であると知らされて安堵するのだが。

撤退した先には生き残った多くの対主催が集うアジトがあり、8人はそこに身を寄せることになる。
だが内部はグソクムシや魔王ゼロやモモンガなど、疑心暗鬼から参加者を殺した者や殺し合いに乗った疑惑のある者や、かつて殺し合いに乗っていた者などの処遇を巡って揉めており、ゼロにも元マーダーだったことから疑いの視線を向けられる。
しかし、刹那たちのグソクムシへの悪魔交渉、そして悪党から足を洗ったギガゾンビの言葉により、離散は免れ、全員で手を取り合うことができた。

そして対主催の首輪解除(ゼロは災厄の花を開花させないために制限装置はそのまま)、各員の考察、そして天子と輝美が主催陣営から奪ってきた情報を元に主催の真の目的がわかり、殺し合いはいよいよ終局へと向かう。
この会場の中央には50の殺し合いに関わった世界を滅ぼせるだけの、災厄の花すら超越する力を有したセカイジュと呼ばれる大樹が生えており、主催はそれを使って高次元にいる神々を滅ぼす『神堕とし』を計画している。
殺し合いは参加者という名の肥やしを使ってセカイジュにより強い負のエネルギーを与える畑であり、コントロールするための手段なのである。さらに“母”とフレイヤを放ってくるダモクレスの出現は負のエネルギーの回収を効率よくする促進剤と化しており、これらは必ず打倒すべき存在だった。
ゼロとしては神々がどうなろうと知ったことではなかったが、問題なのは情報によるとセカイジュの中には50の殺し合いで死んだ死者の魂も宿っており、中にはミカエルの魂もいる可能性が大きく、さすれば囚われている彼の魂を解放する必要があった。
それだけでなく主催がセカイジュを支配すれば、気まぐれでどこかの世界を消し飛ばすこともできるようになり、その消し飛ばした世界の中にミハイルがいるとしたら……ゼロは死ぬよりも辛い後悔を味わう羽目になり、そんなことは断固として許せかった。故にゼロが戦う理由は充分にあった。
幸いにもセカイジュはまだ自我を手にしておらず、セカイジュを主催の手に渡さないための最後のチャンスは残されていた。
全ての対主催が一丸となり、それぞれの武器と意志を持ってアジトを後にする。
対主催軍団は“母”を討伐しセカイジュを保護するグループ、ダモクレスを攻略するグループ、主催本営を攻撃するグループにの三つ分かれたが、ゼロはこのうち、セカイジュに向かうグループに入った。


かくして対主催と主催のセカイジュを巡る大戦争が始まった。

セカイジュへ向かう途中でゼロたちに立ちふさがるように、セカイジュの護衛兼栄養源となっている“母”と彼女の胎から再度産み落とされた白面の赤子が現れる。
最初に牙を剥いたのは赤子、それに対し多くの対主催が武力を持って立ち向かう。
……だが全ての攻撃は弾かれた。対主催では最強クラスの戦闘力を持つ悟空の攻撃すら通じず、ゼロのウタのチカラすら例外ではなかった。
この赤子は憎めば憎むだけ破壊を生み、殺す気で挑めば全部自分たちに返ってくるのだ。
ならばどうすれば良いのか?今さら撤退もできず、対主催は八方塞がりになる。
するとそこへ、金糸雀が前に出て赤子に向けて子守唄を歌いだしたのだ。
最初は金糸雀の正気を疑ったゼロだったが金糸雀は啼く赤子のことを可哀想だと言った。
続いて金糸雀に同調した凜々蝶も歌いだした、すると赤子の攻撃が少しではあるが緩やかになった。
「いったい何が起こってるんだ?」と混乱するゼロに隣にいた響が「これが歌の力だよ、さあ!あなたも歌姫って呼ばれているんでしょ?あの子や私と一緒に歌いましょう?」と言い、「いや、私はウタヒメだけど歌なんて……」と困惑するゼロに対して「気持ちがこもってれば大丈夫!」と響は微笑み、歌いだす。
ゼロも響に釣られる形で歌いだした。『ウタ』ではなく『歌』を、相手を殺すよりも泣きじゃくるミハイルをなだめるような気持ちで歌った。
するとどうだろうか、赤子はみるみる内に力を失っていき、その表情は穏やかになっていくではないか。かつてゼロはマリアの言う歌の力を馬鹿にしていたが、歌にも力はあるんだと思い知らされた。
これはエレンが白面本体に打ち込んだ時の傷が、最後の尾から生まれた白面赤子にも残っており、それが歌を届かせるきっかけになったのだ。
そして、破壊ではなく救いを齎すことこそが赤子を攻略するための鍵であった。
傷を発見した潮が真・干将莫邪で傷を広げるが、これは殺すためではなく声をより赤子に響かせるためである。
多くの者が歌いだすが、それでもまだ足りず、赤子を救うため危険を覚悟で内部への突入を決意する金糸雀たち。
だがそれを妨害するように、この前撃退したぬらりひょんやSCP-682、主催の放った星人軍団が現れる。
しかし、今のゼロたちには背中を任せられる心強い仲間がいた。デッドプールたちや遅れてやってきたセリューである。
彼らの援護により、金糸雀とゼロと一部の対主催たちは赤子の内部に入り込むことができ、そして赤子の核に向けて直接歌われた子守唄によって白面の魂は鎮められ、金糸雀の腕の中で安らかに消えていった。
赤子が消滅する際の笑顔を見たとき、それはゼロの中ではミハイルの笑顔を思い出させた。

一方、“母”は狛村の明王で叩き斬ると共に、セリューが全ての異能の力を打ち消す力を持った現実の舌を基部に仕掛けて母を完全消滅させた。さすがに舌単体で母全てを消せるほどのエネルギーはなかったが、合わせ技がうまく機能した。
“母”が消滅する瞬間をゼロは目撃しており、それを成し得たセリューを最初に自分と争った時の腑抜けとは思えないほど逞しくなったと心の中で賞賛した。

同時期にダモクレスも陥落し、残る敵は主催本部のみ……と対主催たちが息を巻いたところで事態は最悪の方向へ向かう。
主催の計らいによってダモクレスがセカイジュと接触し内部にあるダーカー因子などの悪性情報を取り込ませ、自我が芽生えかけたところを星の夢に解析させた。
その結果、生まれたのが主催の待ち望んだ神堕としの魔樹――Evil delusion。
50の殺し合い全ての記憶の負の部分を凝縮したような悪夢の存在。
それは強いなどという次元ではなく、進路上にいた全てを滅ぼす超厄災。
だがそれぞれの想いを胸に宿す対主催たちは諦めはしなかった。ゼロもまた、ミカエルとミハイルを救うためにリザードンの背に乗って決戦に挑む。
死力を尽くした激戦の末、ゼロとリザードンは途中で力尽きるも、対主催の尽力によってEvil delusionがセカイジュに戻り、すんでのところで命は救われた。
そしてジョルノの魂を解放するスタンド・GERIPによってセカイジュが内蔵していた多くの魂が解放された。
その魂の中には大きな白い竜の姿もあり、それを見かけたとき、ゼロは左目から雫を零した。

戦いは終わった。
セカイジュに自由意志が生まれたことによって主催たちの目論見は崩れ、主催戦力も概ね殲滅された。
対主催の大勝利である――そう思った矢先、最後の主催である地獄坂明暗が会場であるこの世界を滅ぼすと告げる。
大急ぎで脱出を急ぐ対主催たちだったが、ゼロは違った。
逃げる対主催の内の誰かのデイパックに、運がよければいつかは元の世界に戻れるだろうとリザードンの入ったモンスターボールをこっそりと仕込み、脱出装置とは反対方向へと歩き出すゼロ。

災厄の花は世界を滅ぼす。故に戦いの中で死ねなかったゼロは己の中にある花を滅ぼすために崩壊する会場に残ろうとしているのだ。
流石の災厄の花も世界の消滅には耐えられないだろうと見越しての判断だった。
これで全てのウタウタイを消し去る目的が達成される……ハズだった。
そこでセリューが引き止めに掛かったのだ。
何が何でも残ろうとするゼロ、何が何でも連れ帰ろうとするセリュー。

ゼロ「どこで死のうが、いつ死のうが私の勝手だろ!」
セリュー「ダメですよ、あなたのような犯罪者を絶対に更生させる! そう何度も言ったじゃないですか!」

何を言っても自分の言い分を聞かない二人は拳を交えた最後の喧嘩を始めた……
ゼロとしては以前に戦ったセリューなら拳で簡単にひねり潰せると思っていた。
だが、拳による戦いはセリューの方が有利であった。
これには理由があり、一つはセリューは殺し合いの中での幾多の戦いを経て自信を完全に取り戻していたこと、一つは仲間としてゼロの戦い方を見て熟知してきたこと、これらがセリューの力になっていた。
一方のゼロの拳は、一撃に一撃に殺さない程度の手加減と配慮をしていたがために鈍り、そもそもウタのチカラを使ってセリューを八つ裂きにして殺せば事足りると頭ではわかっていながら、仲間意識が芽生えているのでそれができないでいた。結果、セリューに押される形になっている。
それでも負けられないゼロは相手の拳を鈍らせるために叫んだ。

ゼロ「私は世界を滅ぼす呪われたウタヒメなんだ!ミハイルの隣にいていいハズがないんだ!」
セリュー「いや、あなた自身は世界の破滅なんて望んでいない。
世界を滅ぼさないでミハイルに会う方法もある。あなたもそれを既に知ってる!
あなたはけじめとうたいながら、友のミカエルを殺した罪の意識から逃げたいだけなんだ」
ゼロ「!」
セリュー「死を逃げ場にするな卑怯者!罪の意識があるなら生きて償え!」

自分の事情についてはデッドプールが教えたのだろう。
セリューの言葉通り、ゼロはデッドプールの話から妹のスリイが主催の制限装置を活用して世界に滅びをもたらさないまま生きながらえているのを知っていた。
自分を含めたウタウタイを殺すのは元いた世界では殺す以外の対処法がなかったからである
が、そんな自分に生きてもいい道が開示されている。
だのにミカエルを殺した罪とミハイルに会うことで彼を再び殺してしまうかもしれない恐れが、ゼロをけじめという言葉で着飾った自殺志願者に変えていた。
しかもミハイルに会いたいと願うたびに、かつて殺したワンの呪いの言葉が反芻する……『おまえの剣になったものはみんな死んだ』『おまえは呪われたウタヒメなんだよ』と。心の傷がゼロに生きることをためらわせる。
しかし、そのためらいとワンの呪いの言葉を打ち砕くようにゼロの顔面にセリューの仲間を守るための渾身の拳が入り、ゼロはノックアウトした。

朦朧とする意識の中で、ゼロは親友の夢を見た。夢の中のミカエルは彼女の全てを許すように微笑んでいた。

ゼロが目覚めると、そこにはセリューと心配になって脱出装置から引き返してきた光希と胡桃、勝手にモンスターボールから出てきたのかリザードンの姿までもあった。
ゼロ自身もボコボコに叩きのめされたハズなのに気分はビックリするぐらいスッキリしており、心配する仲間たちに微笑みかけてさえいた。心を深く抉っていた傷の痛みも感じなくなった気がする。
そしてゼロ自身も「生きるのも罪を償うのも面倒くさいけど、負けた以上は従ってやるか」と、セリューに負けを認め、自殺の意志は捨てたのである。
その言葉にパアッと仲間たちの表情も明るくなった。
さあ、会場の崩壊まで時間がないと、脱出装置へ急ごうとする四人と一匹。

だが、そこへ最後の障害が立ちはだかった。
ウタウタイにして野獣一派のマーダー・ベガである。
“母”から解放されたウタウタイの中でベガはただ一人しぶとく生き残るも、“母”と融合していた反動で他の野獣一派と同じく自分の肉体が長くはないことを悟っていた。
しかしベガには肉体を移し替える方法を持っており、ゼロたち四人のうち誰かの肉体を代替ボディとして奪って生きながらえるつもりなのだ。
そしてあわよくば自らに宿った災厄の花を自分のものにし、世界を征服する気なのだ。
最後に立ちふさがった壁であるベガの肉体はボロボロであったがその強力なサイコパワーは健在に加えてウタのチカラまで使え、四対一でも負ける気はないと自負していた。
反対にゼロ側は全員満身創痍、武器は先の戦いでだいたい使い物にならなくなった、リザードンはとても戦闘ができる状態ではなく、胡桃に至っては遊矢による救出の過程でただの女子高生に戻っていた。
さらに多くの仲間は先に脱出していて助けにこられない可能性や、会場が崩壊する時間も残されていない悪条件下で戦わなくてはならなくなった。
それでも誰ひとり絶望しなかった。全員で生きて帰る望みを捨ててはいなかった。
ここまで四人全員が生き延びたんだ、最後まで誰ひとり欠けることなく帰ろうと。

ゼロ「……正直、言うのは恥ずかしいけど、みんなに言いたいことがある。
   最後まで付き合ってくれて……本当に、本当にありがとうございました」

それだけ仲間に言ってゼロは戦いの狼煙を上げるが如く、思い思いのウタを歌い、先陣を切ってベガに突撃した。


――これがウタウタイゼロの、最後のウタになった。


時は流れ、生還したデッドプールがDOD世界に遊びにいった際にオールジャンルロワでの仲間だったカイムとミハイルに今回のロワの出来事を土産話として持っていった。
その話の中にはゼロも登場するが「ビッチな姫様」という名前に置き換えられている。(カイムはその女の正体に勘付いたが、ミハイルは誰か気づいてない様子)

「――という話だったのさ。
あっそうそう、ミハイルには俺ちゃんからお土産があるぜ」
「お土産!なにそれ?なにそれ?」
「後ろを見てごらん」

どんなお土産なんだろうとミハイルがウキウキした気持ちで後ろを振り返ると。

「えっ、どうして……?」

そこにいたのはどんなに会いたいと願っても、二度と会えないと思っていた、『大切な人』がいた。
それを見たミハイルの瞳から涙が溢れて出てくる。
そんなミハイルをデッドプールは「サプライズ大成功」と笑い、カイムは喋れない代わりに彼の背中を優しく押して前に進めるようにした。
そして『彼女』に駆け寄るミハイル。





「立派になったな……ミハイル」
「ばか……ゼロの、ばかぁ……」





以上が調査対象ゼロについての報告であります。
『E分岐』の世界におけるウタウタイが付けている物と同じ、『サクシャ』の技術によって作られた首輪を元に作られた花のブレスレット状の制限装置によって、ゼロは災厄の花の成長は抑止されています。
花の成長が止まっただけで花の驚異は依然消えていません。いつの日か花が制限を打ち破る可能性もあります。
しかし、『E分岐』では異世界の協力の下、スリイを初めとする、ウタウタイの生存に必要な部分を除いた災厄の花を摘出する研究が進められ、『F分岐』においては異世界に旅に出たトウとセントが一定の収穫を得たとの報告もありました。
数多の異世界との接触によるイレギュラーな事態の発生により可能性が広がり、彼女たちが悲劇的な死を迎えずに災厄の花が無力化される日は近いのかもしれません。

記録者として正しく機能していないかもしれませんが――私はゼロの第三の人生がより良いものであるようにと私は願っています。

C分岐 M5140 記録終了

【称号:唄う再起の竜騎士】
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最終更新:2024年01月16日 12:24