【名前】グラハム・エーカー
【出展】劇場版機動戦士ガンダム00
【性別】男
【職業】地球連邦軍少佐
【名セリフ】
「今目の前に現れた究極の美と呼ぶべき存在に、私は心奪われた! この気持ち……正しく愛だ!」
「これは、死ではない! 我が友たちが、生き残るための……!」
【ロワでの動向】
原作最終局面にて、ELSとの対話の道を切り拓く為にトランザム特攻した直後からの参戦。その為か全体を通じて達観し落ち着きを見せていたが、ある事件で唐突に弾ける。
異種生命との対話を成さんとする少年の道を拓かんとして、同族との殺し合いの舞台に招聘された己が運命に辟易しながらも、今のグラハムに迷い無し。未来を切り拓く為、バトルロワイアルという下衆な催しの打破を早々に決定する。
登場話ですぐに早乙女アルトと遭遇し、お互いに一目で相手が自分と同じかそれ以上に空を愛する男なのだと見抜く。愛って凄いですね。
同じ空を愛する男として意気投合した2人は情報交換を始めるが、アルトから得られた情報はグラハムが目を剥いてしまうようなものばかりだった。中でもある情報は、グラハムにとって天啓にも等しかった。
アルトはバジュラと呼ばれる昆虫のような外見の異種生命体の母星に入植し、生活していたという。バジュラとは当初些細な誤解から敵対し、互いに刃を向け多くの血を流してしまったが、歌を通じて相互理解を成し、共存共生を遂げたのだと。
無垢な心のまま対話の道を信じた少年の志に間違いは無かった。そしてあの少年ならば、必ずや対話を実現してくれている。その確信を得られたグラハムはこの時、後顧の憂いを完全に断ち切った。
この後、遠くない場所での
マスターテリオンと
風鳴翼の超人的な戦闘の一部始終を目撃し、アルトと共に現場へと向かう。
着いた頃には既に翼の他に
海馬瀬人の姿もあり、一先ずは距離を置いて聞き耳を立てていたが、その考察の内容を聞いて足を踏み出す。
自己紹介もそこそこに、グラハムとアルトはそれぞれに自分の持っている情報を惜しみなく伝え、全員がそれぞれ『別世界』という認識へと至る。
グラハム「我々の情報を総合するに、我々は世界を成す重要な要素がそれぞれに異なっているという認識でよいだろうか」
アルト「そうだな。まさか西暦2010年代に統合戦争も何も起きていないなんて、驚いたぜ」
翼「聖遺物がただの博物資料というのは良いが、よもや巨大ロボットが星の大海を駆け巡る世界とはな……」
海馬「ふぅん。貴様らは甚だしい考え違いをしている」
グラハム「どういうことかな?」
海馬「我々の世界はそれぞれに重要な部分が異なっているのではない。
重要な根幹部分は共通しつつも、それに付随する要素こそが大きく異なっているのだ」
アルト「……そうか! 地球と言う舞台は同じで、そこで行われている演目や芝居の道具が違っているということか!」
翼「言われてみれば、その通りだ。最も重要なのは私たちが手にする力ではなく、私たちが生きている場所の在り様だった」
海馬「さながら、俺達の世界とは同じ名前のカードでありながら、記されたテキストやイラストが異なっているというべきだ」
グラハム「完全な異世界ではなく、さりとて量子力学の可能性分岐ほど近縁でもなく……どういうことなのだ、この不気味な符号は」
海馬「そこまではわからん。だが、その謎を解き明かすことに、俺達を無粋な殺し合いに呼び寄せたゲスどもの真意があるはずだ」
グラハム達の認識に待ったを掛け、更に飛躍し精錬させた理論を突き付けた海馬の閃きに、グラハムは素直に敬服した。若くしてこの落ち着きと冴えは只者ではないと。
余談だが、この4人はグラハム以外が全員17歳で、グラハムは倍の34歳という奇妙な接点があったりする。
自らの世界に纏わる情報交換を終えた後は自己紹介ということになった。
歌手であるが同時に防人であるという翼の名乗りには全員が面喰ったが、更にその信念を聞いてグラハムが真っ先に共感の意を示した。
かつてグラハムが全てを失い彷徨っていた頃に、縋り付きながらも遂に極められなかった武士道を正しく心得、歳若くして極みへと達しようとしている翼には素直に敬服していた。
翼も地球連邦軍の軍人というグラハムの身の上を、地球全てを守らんとする防人であると、グラハムを先達として敬っていた。
気付いた頃には2人はお互いを「防人」「グラハム」と呼ぶようになっており、性別や歳の差を超えた熱い友情で結ばれていた。
しかし、グラハムが地球連邦軍少佐、アルトが民間軍事プロパイダー所属の中尉であることに、海馬があからさまな不快感を示し、侮蔑すらもしてきた。これにアルトが激昂し、グラハムと翼が止めに入るなど、チームは結成したものの人間関係に不安が残ってしまった。
しかし、海馬はデュエルを通じて同年代の翼やアルトと交流を持ち、少しずつ距離を縮めて行った。グラハムは敢えて自らその輪に加わろうとせず、若人たちがお互いを理解するのを見守っていた。
やがて会場の外周部に位置する飛行場に到着し、海馬のハッキングによって格納庫に戦闘機の類があることが判明し、グラハムとアルトは周辺の警戒を請け負い、海馬にロックの解除を、翼に海馬の護衛を依頼する。
途中でのⅣとの通信デュエルで時間はかかったものの無事にロックが解除され、青眼ジェットとVF-171EXの入手に成功する。
この時に海馬から二手に別れて行動することを打診され、グラハムはこれを快く了承する。未だに軍人への蟠りを捨てきれない海馬が、今は距離を取っておきたいのだろうと慮ってのことであり、何より十二分の戦力を整えたからこそ別行動は能率的であるとの判断だった。
再び見える時には真に肩を並べる戦友となることを誓い、グラハムはオートパイロットで飛来した鬼械神ロードビヤーキーに乗り込み、アルトと共に飛び立った。
グラハムはモビルスーツと根本的に異なる鬼械神の操縦を天性の勘で瞬く間に把握し、傍らのアルトに嫉妬すら覚えさせていた。逆にグラハムは、アルトの若さにあるまじき熟練の操縦センスに舌を巻いており、これらの事を互いに素直に打ち明けて、2人は互いに称えられた気恥しさから笑い合った。
そんな穏やかなフライトも、すぐに終わってしまった。ここから怒涛の機動兵器戦が幕を開けることになる。
初戦の相手は異星の皇子、ジアート。
彼の乗機がかつてグラハムが追い求めた存在――
ガンダムだったこともあり接触を図る。
異星の皇子だという彼に経歴上グラハムもアルトも友好的に接しようとするも、ジアートは剣にてそれを拒絶。
彼らウルガル人はバジュラやELSとは違い明確に地球人を狩ることを目的に襲来した異星人だったのだ。
ジアート「私の遺伝子の高まりを聞け!」
グラハム「やれやれ、昔の自分を見ているようだな、これは!」
言葉も通じない異形の生命体とは心を通わせうるというのに、言葉も通じ人型のジアートとは戦いで語るしかないという皮肉に苦笑するグラハム。
強きものに魅せられ、プライドの高さ故に正面からの決着にこだわり続けるジアートの姿に思うこともあったのだろう。
グラハムも全力を以ってこれに迎え撃つ。
激突するロードビヤーキーとダブルオーライザー(粒子貯蔵タンク型)。
魔力不足の鬼械神とGNドライブが欠けたガンダム。両者ともに不備があり機体は万全には程遠い。
だというのに大空を駆ける二人の超高速戦闘はアルトをもってしても目で追うのがやっとだった。
悔しがりつつも、いつかは自分もと戦いに魅入られ、目に焼き付けるアルトが見守る中、二人は持てる力の全てをぶつけ合う。
TRANSAMをも発動させたジアートに次第に押されるも、トドメのライザーソードが振り下ろされる中、スクリーミングバードで一世一代のカウンターを敢行。
ガンダムを追い求め越えようとしていた過去の自分事ライザーソードを抜き去りジアートを打ち破る。
見事だと称えて散るジアート。
あれだけ執着したガンダムに勝ったというのにグラハムには一切の喜びもなかった。
あの少年ならかつて自分に道を示してくれたように、ジアートにもまた違った道を示せたのでは。
らしくもない葛藤に囚われかけるも、機体が大破したグラハムを迎えに来たアルトの姿に私は私として若者たちの道を切り開こうと誓いを新たにする。
ジアートを退けて間も無く、翼の後輩雪音クリスがマスターテリオンに襲われているのを上空から視認し駆けつける。これに対し、マスターテリオンは相手がアンチクロスの鬼械神と見るや気紛れを起こし、自らの鬼械神リベルレギスを召喚し、クリスをゲームの商品と称して人質に取った。
グラハムが先陣を切るが、鬼械神の慣れない巨体と先程のジアートとの戦いでの損傷が仇となり一撃で沈められてしまう。当たり所が良く爆発もせずほぼ無傷だったが、マスターテリオンとリベルレギスの桁外れの脅威を感じ取り、アルトに無理をせず引き下がれと呼び掛ける。
しかし、アルトは退かなかった。目の前で苦しめられている少女を見捨てられない、あんなことをする外道を許しておけないという、あまりにも真っ直ぐな理由で。
アルトは高機動空間戦闘でリベルレギスを翻弄するが、魔術障壁を突破する攻撃力が足りない。やがて致命の一撃を受けてしまい万事休すかと思われたが、VF-171EXに代わる新たなる翼が現れ、アルトを守った。
海馬と別れる前にアルトは餞別としてデュエルモンスターズのカードをデュエルディスクごと受け取っていた。その中に眠っていた機甲部隊の最前線と時空戦闘機と呼ばれるカード達が、アルトの想いに応えたのだ。
アルトは機甲部隊の最前線と時空戦闘機達の力を借りて、幾度となく戦闘破壊されながらも次々と乗り換えて行き、リベルレギスの爪牙を掻い潜りクリスの救出に成功する。
この手練手管にグラハムが称賛の声を上げると、それにマスターテリオンも同調する。ゲームの賞品がそちらの手に渡ったからには、このゲームは貴公らの勝ちだな、と。
アルトの決死の行動を嘲笑うかのようなマスターテリオンの物言いに、グラハムは激しい怒りを覚えた。しかし、今の自分達ではこの魔人を倒すことは出来ないと認め、遊ばれた揚句に見逃されるという屈辱に甘んじて、倒すべき最大の怨敵の姿を目に焼き付けてアルトとクリスと共に立ち去った。
以後の道中はアルトとクリスの微笑ましいやり取りを見守りつつ、時には「若いな、言動の端々に内なる感情が滲み出ている」と主にクリスを茶化しながら、まだ見ぬ仲間を求めて殺し合いの会場を踏破していく。
暫くは穏やかな時間が続いたが、バトルロワイアルという極限の状況下で長く続くはずも無く。大規模な戦闘音を聞き付けて駆けつけると、そこには物言わぬ骸となった戦友の亡骸を前に咽び泣く、痛ましい少女の姿があった。
翼のもう1人の後輩
立花響とは無事に再会できたものの、海馬も認めていた若き決闘者Ⅳが命を落とした事実には、面識の無いグラハムも瞑目せざるを得なかった。その場に居合わせた
アーチャーや九郎を始めとするロリコン一行と情報交換をして、傷ついた体と心を休めようと最寄りの温泉施設へ向かうことになった。
ここで首尾よく海馬たちとも合流し、離れている間に海馬も一皮剥けたことを見抜き、今度こそ真の戦友としてバトルロワイアルを打破する為に共闘することを誓う。
温泉施設の地下には何故か秘密格納庫が存在しており、それを早々に発見した西博士の手によって、YF-29とグラハムの最期の愛機・指揮官用ブレイヴがモーメントを搭載する魔改造を施されていた。
この時、西博士はカードとバルキリーやモビルスーツの互換性と関連について語っていたのだが、常人が付いて行けるはずも無くアルトは早々に立ち去った。が、グラハムは残り「我が翼に最強の剣と最高の速度を持たせ、私色に染め上げて欲しい」と要請し、魔改造に立ち会って微調整に協力した。ついでにYF-29もアルトに合わせたセッティングを施してしまえる辺り、2人の変態さ……ではなく非凡さが窺える。
グラハムが西博士と共に温泉施設へと戻ると、そこではあるイベントが起きていた。それは、アルトと九郎と
一方通行の女装という一大イベント。
女性メンバーが「似合いそうだからやってみよう」と軽いノリで始めたのだが、3人ともそこらへんのアイドルが裸足で逃げだすレベルに仕上がってしまった。
そんなアルトの美しい女装姿を見て、グラハムの中の何かが……――弾けた。
グラハム「抱きしめたいなぁ! アルティ早乙女ぇ!」
クリス「んなっ!? な、何急にバカなこと言ってんだよお前!?」
グラハム「今目の前に現れた究極の美と呼ぶべき存在に、私は心奪われた!
この気持ち……正しく愛だ!」
翼「何故、そこで愛ッ!?」
メタな解説をするならば、スパロボUXで共演した折に見せたある一幕と、ガンダム00の公式CDドラマ(ギャグ風味)にて男色家(人呼んでミスター・シュードー)と化していたのが原因である。
しかし、自体はこれだけでも収まらず……。
グラハム「私は、君が好きだぁ! 君が欲しいぃぃぃぃぃ!!」
アルト「真顔で本気で真剣にそんなことを言うなぁ!!」
グラハム「身持ちが堅いな……口説き甲斐がある。だが、この場は組み伏させて頂こう!」
アルト「ちょっ、待てっ――!? うおああぁぁ!?」
グラハム「正に、眠り姫だ……」
クリス(顔真っ赤にして顔を手で隠しつつもチラチラ見ている)
翼(ガン見)
社長(黙々とデッキ調整)
アルト「助けろよ!?」
響「わたし、別にそういうの嫌いじゃないからッ!」
居合わせた女性陣全員が「ホモが嫌いな女子なんていません」状態となり、あわやアルトの貞操の危機か、三又王が四又王に昇格かと思われたが、騒ぎを聞き付けてやって来た風鳴弦十郎らOTONAたちが制止に入り、事なきを得る。
その後、アルティの女装をパージしていつものアルトに戻ったことで、グラハムは何事も無かったかのように平常運転へと戻った。
グラハム「では行くぞ、早乙女アルト。黄昏の地平に、我らの勝利を刻む為に!」
アルト「……ああ」(キ○ガイに呆れた時と同じ目)
アルトでなくとも誰だってこう思う。なんなの、この人……。
この後は海馬を中心とした指揮官メンバーの討論にも平然と参加し、他のOTONAを差し置いて敢えて死ぬなの号令を発している。
こうして馬鹿馬鹿しくも賑やかな憩いの一時が終わると、自体は急転する。
東方不敗マスターアジアの襲撃を皮切りに、大導師マスターテリオン、覇王
遊城十代ら最強クラスのマーダーとの決戦の火蓋が切って落とされた。
グラハムはクリス救出の一件での因縁、そして機動兵器戦力としてマスターテリオンの迎撃に向かう。マスターテリオンは永年の宿敵、大十字九郎との戦いの前の余興としてまずはグラハムたちの相手をしてやるとのたまう。
かつて敗走を喫した魔人と鬼械神を前にして、自らと仲間達を鼓舞するように紅白と蒼の機械の翼が空を舞う。
マスターテリオン「ほう、空を機械で舞うとは、中々の傾き者のようだな」
アルト「見せてやるさ、この早乙女アルトの一世一代の舞を!」
グラハム「……いや! 悪いが早乙女アルト! この舞台での主演は、このグラハム・エーカーが務めさせていただく!」
アルト「グラハム!? なにを……!」
グラハム「彼らの真の大舞台へと至る花道に、貴様のような木偶が居座るなどとは無粋そのもの!
我が翼の奥義にて、奈落へと落ちて頂こうか!」
マスターテリオン「ふ……面白い。蒼穹と見紛う翼にて、見事余に差し迫って見せよ」
グラハムはマスターテリオンを相手に先陣を務めることはおろか、自分一人で相手をすることを宣言。ギア装者やOTONAたちを覇王軍の
モンスターの迎撃に専念させる狙いの他に、グラハム自身の我が儘があった。
人の命を物と扱う外道を目の前にしながら、おめおめと逃げ延びるしかなかったあまりにも非力だった自分へのけじめとして。
GN粒子と同じく人の意志に感応する遊星粒子を用いた動力機関『モーメント』の搭載により擬似GNドライブとの相乗効果が発揮され、この時のブレイヴは最大出力が3倍超にまでなっており、張り切らずにはいられなかったとも言わせていただこう!
グラハムはブレイヴを自在に操り、リベルレギスを翻弄する。トライパニッシャーの最大出力は魔術障壁の突破にも成功するが、それが限界。喰らいつくのが精一杯で、喉笛を食いちぎることはできそうにも無い。
これでは主演どころか、前座もこなせないではないかと自嘲する。それを読心の魔術でも用いたのか、大導師が冷淡に論う。
マスターテリオン「たかが前座芝居の座興ごときで、余を満たせるはずも無し」
グラハム「笑止! 貴様には前座が似合いと言ったのだよ! 観る側ではなく……演じる側としてな!」
マスターテリオン「何……?」
グラハムにとって、最早マスターテリオンは最大の敵ではなく、最大の障害。仲間達が描いた勝利へのロードに立ち塞がる関門でしかないのだ。だからこそ、1人でも多くの仲間が生きてこの先へと進むために、敢えてグラハムは自らを死地へと置いた。
既に死人同然の我が身を以って、戦友たちの道を拓く為に。
その志を、言葉を交えずとも理解し、同調する者が現れる。
翼「ああ、その通りだ!」
グラハム「防人!?」
翼「我が友よ、何を驚く! 君の窮地に……そして、我らが怨敵を倒す為に、私が馳せ参じるのは当然のこと!」
アルト「グラハム、お前1人じゃ正しく役者不足ってやつさ。俺も行くぞ」
グラハム「……かたじけない」
翼「ならば真の大舞台への花道、我らで切り拓いて見せようか!」
アルト「前座には勿体無さ過ぎるけどな!」
マスターテリオン「言ってくれる……良かろう。大十字九郎が来るまでの間、今暫くの間貴様らの前座芝居に付き合ってやろう。
だが、余を興じさせたくばその命を賭すことが必然と心得よ」
鬼柳京介の命を懸けた策により覇王軍のモンスターたちを壊滅させ、OTONA達とギア装者たち、そして若き2人の戦友が駆けつける。
張り切り過ぎ、そして肩肘を張り過ぎていたのだと悟る。
この若人たちは、自分が思っているよりもずっと強く、逞しく、そして鋭い。そして若者達を導くべき先達は自分だけではなかったのだ。
心強い援軍を得て、グラハムとアルトを中心に大導師の牙城を突き崩さんとする。だがそれでも、リベルレギスという壁を大きく厚く、決定打を欠いてしまう。
やがてマスターテリオン自身も遊びに飽いて来たらしく、今までは出し惜しんでいた必滅奥義ハイパー・ボリア・ゼロドライブを開放。一気に形勢が逆転されてしまう。
この魔人を相手に、犠牲なくして勝利はあり得ない。その事実を改めて痛感したグラハムは、遂に覚悟を決める。
トランザムを発動し、飛行形態へと変形。防御を捨ててリベルレギスへと突貫する。この時、グラハム自身は気付く由も無かったがモーメントを搭載した副次効果により、擬似GN粒子は空と見紛う蒼色へと変化し、ブレイヴの全身を蒼く発光させていた。
グラハム「アルト、防人、君達は生きろ! 生きて未来を切り拓け!」
アルト「グラハァーム!」
飛行形態のままリベルレギスの極低温の刃をかわし、脇をすり抜けたと見せて人型へと変形して急制動を掛け、リベルレギスの背面部に組みつく。そして、トランザムを限界を遥かに超えたオーバーロード状態へと突き抜けさせる。
大導師「くっ……たかが、軍人風情が……!」
グラハム「敢えて言わせてもらおう……私は、地球連邦軍の軍人であると!!」
翼「死ぬな! グラハム!!」
グラハム「これは、死ではない! 我が友たちが、生き残るための……!」
その言葉は、最期まで続かず。人々を守る地球連邦軍の軍人としての誇りを胸に、空を愛した男は、鬼械神を道連れに蒼穹に散った。
舞い散る蒼いGN粒子は、さながら蒼色の桜吹雪のようであり、アルトと翼は、グラハムの最期に防人の歌を贈らずにはいられなかった。
アルト「……敷島の 大和心を 人問わば」
翼「朝日に匂ふ 山桜花……」
この後、最愛の伴侶の手によって生き延びたマスターテリオンも、グラハムの戦友の舞と歌、そして剣によって遂に討ち取られた。
グラハム・エーカーの生き様が、フラッグファイターの魂が、確かに後へ続く者達の未来を切り拓いたのだった。
最終更新:2013年11月22日 21:30