「カナ、一緒にポッキー食べよ!」
「食べるかしらー!」
「もぐもぐ……ほぇ、あと一本なの…」
「んー…どっちが食べるかしら?」
「うゆ……あ、そうだ!二人とも食べれば良いのよ!」
「どうやって?そのまま半分こしたら、手がチョコで汚れちゃうかしら」
「えへへ……ん」
「………ふぇ?」
「んー」
「………か、カナもくわえるの?」
「うんうん」コクコク
「(は、恥ずかしいかしら……でも……)」
ポキ
「もぐもぐ……これで半分こなのよ!」
「や、やっぱり恥ずかしいかしらぁ…」カァァァ…
「カナ?どうしたの?」
金「じゃあ夜勤に行って来るかしら。明日の昼頃には帰ってくるかしら」
雛「うん…」
金「…それまで、一人だけど、待っててかしら」
雛「分かってるの。お仕事頑張って…」
金「…うん…それじゃあ…」
雛(しょんぼり…)
金(…うう…やっぱり我慢できない!)「ヒナー!」
雛「カナ!?」
金「やっぱりヒナと離れたくないかしらー!! 今日は仕事休むかしらー!!」
雛「ぎゅぅっ…い、いくらなんでもそれはダメなのよー!」
金「いーやーかしらー! 私はヒナと一緒がいいかしらー!!」
雛「お仕事行くのー! これ以上休むとカナ、クビなっちゃうのよー!」
金「クビになったらずっとヒナ一緒にいられるからそれもまた良いかしらー!」
雛「それは困るのよー!!」
ガチャッ(玄関の開く音)
紅「…遅いから様子を見にこればやっぱり…」
蒼「ほら金糸雀! 夜勤行くよ!」
金「いーやー! ヒナー!!」
バタン(玄関の閉じる音)
雛「…うう…首がまさちゅーせっちゅなのよ…」
「もーいーかしらー?」
「もーいーのー!」
二人きりのかくれんぼ。貴方が私を見付けたら、今度は私が貴方を見付けるの。何度も何度も、見付けて、見付けられて。
でも時々、中々見付けられない事がある。必死に探しても、貴方の姿が見えない事がある。そうなると、なんだか悲しくなってしまう。
でも、見付けられない私より、見付けて貰えない貴方が悲しい。だから、涙を拭いて、一生懸命探すの。
きっと、貴方は見付けられるのを待ってるから
「…雛苺!みーつけた!」
「ぐす…えへへ…見付かっちゃったのよ」
今度は、貴方が私を見付けてね?
『小さなトキメキ』
「雛苺ー?どこかしらー?………あ」
「…すー…すー…」
先程から姿が見えないと思った幼い妹は、出したばかりのこたつに入って眠りについていた。
「こんな所にいたのね………丸くなっちゃって…まるで猫みたい…」
いつも無邪気で人懐っこい妹は、子犬のようだった。けれど、丸くなって眠っている今の姿は、仔猫のように見えた。
「………はっ……こ、このままだと風邪ひいちゃうかしら……」
思わず寝顔に見とれてしまい、はっ、となった。幼い妹――雛苺の肩を揺する。
「雛苺、寝るならベッドで寝るかしら!」
「…うゅ~………」
返事はしたものの、未だ瞼は閉じたまま。暫くすると、再び夢の世界に戻ってしまったようだ。
「雛苺!………もう」
再び起こそうと体を揺するが、返事は無かった。はぁ、と溜め息を溢すと、雛苺の体をこたつから引きずりだし、近くのソファに運ぼうとした。
「……あ……(雛苺って…めちゃくちゃ細いかしら…)」
強く抱き締めれば折れてしまいそうな程、雛苺の体は華奢だった。
不意に、雛苺の寝顔がドアップで金糸雀の視界に入った。
「っ…!」
突然顔が熱くなったような気がした。慌てて視線をずらす。
(か、カナったら、どうしちゃったのかしら……?)
何故か心臓がドキドキしている。雛苺の顔がまともに見れない。
その時。
「……んー……?」
「!!!」
突然雛苺から声が聞こえて、ビックリした金糸雀は雛苺から手を離してしまった。支えを失った雛苺の体はカーペットに激突した。
「うゆ!?い、痛いのよ……」
「あ…ご、ごめんかしら……」
「…あれ?ヒナこたつで寝てたような…」
「か、風邪ひいちゃうと思ってソファに運ぼうとしたら……あ、あははははー……」
「ひ、酷いのよー!」
今はまだまだ無邪気な二人。金糸雀が自分の想いに気付くのは、もうちょっと先の事である。
end
7つに別れた命は残り2つ
その内の1つを取り込んだ体は
私と同じ目線の かわいらしい妹だった
「かなりやー」
「金糸雀かしらー」
「かなりや?」
「…まあ いいかしら」
本当は少し間違っていても呼ばれることが嬉しかった
姉妹の中で、初めて名前を覚えてもらえたから
「えーと…」
「あれは真紅」
「えーと…」
「あれは翠星石」
「ありがとう、かなりやー」
「……構わないかしら!」
雛苺と一緒にいれることが嬉しかった
幸せだった 楽しかった
このことを何と言うのかは知らなかった
最近知った言葉 とっても大切な言葉
「大好き、雛苺」
貴女に伝えたかった言葉
「…だいすき、って なあに?」
「…いつか分かるかしら」
「教えてくれないの?」
「教えるのはちょっと難しいかしらー」
「ふぅーん」
「…雛苺、『大好き』の意味が分かって
もしその時に金糸雀のことを思い出したなら
『大好き』って…言ってほしいかしら」
「? うん、わかったのよ、金糸雀」
「あ…」
「うゆ?」
「今、雛苺きちんと金糸雀って言えてたかしらー!」
何百万秒後に聞けるのかしら
まだ姉妹の名前も覚えられない
貴女の『大好き』
END