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白桃伝説 第十二話『鏡の国の』

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rozen-yuri

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第十二話『鏡の国の』


「お久しぶりね…雛苺…」

真紅の声など、もはや聞こえていなかった

「き…きら…きー」

予想だにしなかった展開
蒼星石はある程度どうなっても、雪華綺晶がこうなる事は雪華綺晶自身も、そして雛苺も思っていなかった

「どう…して…」
「雛苺…」
「きらきー…が…」
「あなたには…聞きたい事がたくさんあるのだわ」
「きらきー…きらきー!!」
「雛苺?聞いて──」
「きら…痛ッ!」

まったく話が耳に入っていない雛苺の肩に、一枚の羽が刺さる
水銀燈がイライラした顔で睨んでいた

「おチビさぁん…このジャンクに大層な思い入れがあるみたいねぇ…」

ゴミでも捨てるかのように雪華綺晶を床へ放り投げ、その頭に足を乗せる水銀燈

「きらきーに触れるななのぉぉぉ!!」 

雛苺とは思えない殺気を出し、水銀燈へと迫る
見たこともない気迫を目の当たりにして、真紅と蒼星石は強張る…が水銀燈は余裕の笑みを見せた

「そこまでよぉ、おチビさぁん」

羽を剣へと変え、雪華綺晶の首へと当てる

「あなたがそれ以上動いたら、次は首が飛んじゃうわよぉ?」

ピタッと歩みを止める雛苺
その言葉から右腕を切り落としたのは水銀燈だと確信する
そして首を落とすというのも、単なる脅しじゃないだろう事を悟る
雛苺は僅かに冷静さを取り戻した

「きらきーを…離して…」
「それで離すバカがいると思うぅ?」
「お願いだから…きらきーを…離して…なの…」
「うぅ…うぅぅ…」

雪華綺晶も必死に何かを伝えようとするが、口を塞ぐ羽に吸収される
その惨めな姿が、さらに雛苺を追いつめた

「翠星石はどこぉ?」
「その扉…その部屋に…」
「翠星石ッ!」

雛苺が指をさすや否や飛んで行く蒼星石
扉ごと鋏で叩き壊した

「ひっ!」

ビクッと震える小さな体
間違いなく翠星石
目隠しや体を拘束されてはいるものの、無事と言える状態だった

「翠星石!」
「そ…蒼星石!?蒼星石なのですか!?蒼星石ぃぃぃぃぃ!!」

目隠しを外し蔓を鋏で切る
翠星石の瞳に蒼星石が映った

「あ…あ…あぁぁぁぅぁぁぁぁ!!蒼星石!蒼星石ぃぃぃ!!」
「よく頑張ったね…もう…大丈夫だから…ね」

二人は力強く抱き合った
その大きな泣き声を聞いて、真紅と水銀燈は翠星石の無事を確認する

「これで…きらきーを…」
「何を勘違いしてるのぉ?」
「え…?」
「返すとは一言も言ってないでしょぉ?」
「う…う…」

泣きそうになる雛苺
その顔を見て真紅が口を開いた

「あなたの目的は私だと…蒼星石とこの子から聞いたのだけれど…どういう事?」 

全ての始まりにして物語の核心
真紅には雛苺と雪華綺晶が組んでる事も、
翠星石が拉致され蒼星石まで言いなりになっていた事もわからないままだった

「最初は…軽い感じの…下克上…なの…」

雛苺は静かに語り始めた
雪華綺晶と出会い、半ば悪ふざけで下克上をしようとしていたこと
そのために翠星石を手込めにしようとしたこと
手違いで蒼星石が乱入したこと
そして今に至ること
全てを聞き終え、しばらくの沈黙…重い空気が漂った

「…そう……でも雛苺…」
「…わかってる…ヒナのしたことはとっても悪いこと…」
「…」
「だから…ヒナは何をされてもいいから…きらきーだけは…」

自然と漏れた言葉
いつしか翠星石が言った言葉に似ている

──何でもするから蒼星石には手を出さないで──

愛するってこういう事なの…?

「…雛苺…」

雛苺を見つめる真紅の表情が曇る
こんな言い方をされては怒るに怒れない
その真紅の表情を察し、やれやれといった感じで水銀燈が口を開いた 

「湿っぽく終わらせるつもりぃ?」
「す、水銀燈?」
「おチビさんは悪い事をしたのよぉ?何も償いなしで丸く納めるなんて都合良すぎでしょ?」
「だけど反省してるみたいだし…雪華綺晶って子は腕取れてるし…」
「おチビさんには関係ない事よぉ。あなたが何もしないなら、私が制裁を下すわぁ」
「何でや」
「ムシャクシャするからぁ…あなただって心の準備は出来てるんでしょ?おチビさぁん」

コクッと頷く雛苺
真紅は反対しながらも、その覚悟を無駄にする事を躊躇った

「だけど水銀燈…ローザミスティカは…」
「わかってるわぁ。そうねぇ…じゃあ手始めに…」

「…オナニーでもしなさぁい」

水銀燈による制裁と言う名の調教が始まった 
 
 
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