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変化

最終更新:

rozen-yuri

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だれでも歓迎! 編集

 
 
彼女のすべてを知ろうとは思わないけど

せめて彼女を一番知っているのは、自分でありたかったんだ―――







変化







「・・・・・何、見てるですか?」





桜田家の一階リビング。



いつも通り姉の様子を見に訪れたその場所で、さっきまで彼女はうたた寝をしていた。

きっと時間通りに窓ガラスを叩かなかった僕を待ちくたびれた故なんだろうけど。



「いや・・・頬に、ジャムがついてるよ翠星石。」



そう告げると、彼女はあわあわと頬を抑える。

そんな双子の姉に僕は布巾を渡す。



「ありがとですぅ。蒼星石。」



ようやくジャムを落とした姉はにっこりと微笑みかけてきた。



前ならば、その笑顔さえも見ることができるのは自分だけだと、喜んだのだろう。



「蒼星石?」



しかし今は違う。確かに僕の前でだけ見せる顔があるのは確かだけれど、

僕の前では見せないような顔が増えたのもまた確か。

僕の居ないところで翠星石が見せる表情なんて、

そんなに多くはないものだと思って・・思いこんでいたのだろうか・・・・・



否。桜田家という場所が、そして彼という存在が彼女を変えてしまったのだろう。

それは勿論、良いことなのか悪いことなのかと言えば、やはり良いことなのだ。





でもやっぱり、おもしろくない。





「蒼星石ってば!蒼星石はスコーン、食べないのですか?」

「あ、うん。頂こうかな。」



姉の声によって"こちら側"に引き戻された僕は、

言われるままに目の前の皿からお菓子を取った。



今日のは自信作なのですよと、翠星石は嬉しそうに僕が食べるのを見ていた。



「で、さっきから何を一人で考えていたですか?」



そう言って僕をのぞき込むその目は心配そうに細められていた。

・・・いちいち可愛いなぁ・・・・・



「ううん、別に・・・」



そこで一端言葉をきると、僕は姉の肩に手をかける。

そのまま力を掛ければ、数十分前のようにくっついてしまう、翠星石の背中とソファ。



「え、あっちょ・・・・・!」



最初きょとんとし、その後赤くなっていく姉の頬に手を添え、

そのまま彼女の唇に自分のものを寄せる。





深く長い キス





「・・・・・・ぁぅ・・」



「別に・・・翠星石とこういうことがしたいなーと思ってただけ、かな?」



クスリと笑う僕の顔を、翠星石は頬を染めて睨んでいたけれどしばらくすると、



「蒼星石、元気になったですね。翠星石は蒼星石の肥料みたいなのです。」





そう言って、ちょっとだけはにかんだように、笑った。



僕は少しの間、翠星石の顔を見つめ、そして微笑みを返した。

「どっちかって言うと、水かな。翠星石が居ないと僕は死んじゃうの。」









こんな風に





"新しい彼女"を見つけることが出来るのなら、

変わって行くことも悪くはないのかもしれない。



願わくば、彼女のその笑顔をいつまでも守っていけますように・・・・・・
 
 
 

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