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白桃伝説 第十五話『捕食者』

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rozen-yuri

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第十五話『捕食者』


不安で眠れない夜も、極度の疲労には勝てないもので、今ではすっかり夢の中
どんな夢を見ているのだろう…
苦しい経験が蘇る悪夢か、それとも再び掴んだ平和な夢か
真紅は姉の、けれども自分より幼く感じる翠星石の寝顔を見つめていた

このまま起こさず見ていようか?いやいや、もうお昼だから起こさなければいけない

「起きなさい…翠星石」

そう言える日がまた来た事に感謝し、翠星石の体を揺すった

「ほぁ?ふへぇぁぁぁぁぇ~」

だらしない、大きな欠伸をしながら起き上がる

「よく寝たですぅ~むにゃむにゃ」

そう言う割には、寝足りないオーラを全面的に出しているが、気にしない

「おはようです真紅。蒼星石かと思ったです」
「私で悪かったわね」
「べ、別にそういう意味で言ったんじゃねぇですよ!?」
「そう…もう少ししたら来ると思うわ。蒼星石も」
「まだ来てないですか?」
「寝坊してるんじゃない?どこかの姉と同じように」
「うぅ…今日の真紅は棘があるです…お昼を食べ終わっても来なかったら迎えに行くです」

そんな会話をしながら、二人はリビングへと向かった

―†―†―†―†―†―

眠りから覚めて最初にする事は?
時計を見る?目を擦る?背筋を伸ばす?
その初動が完全に封じられていれば、あなたはどうする?

「───!!」

動かない体、しかし、そのお陰で意識をハッキリと取り戻した
この感覚は、つい最近味わった事がある
忌まわしい記憶、目の前で姉が陵辱される光景

「す…翠星石!?」

…の声はしない
安堵のため息をつくと共に、状況の整理を始めた
ベッドのような台に寝かされ、手を頭上で交差させて柵のようなところに縛られている
足は…自由に動くが、それだけでは何もできない

寝る前、何があったっけ?

思い出す前に、聞き覚えのある声が響いた

「あらぁ…起きて第一声がそれなんて…どんな夢を見てたのぉ?」
「水…銀…燈」

ベッドの横に立って見下ろしている、ローゼンメイデンの長女
クスクスと笑うその顔を見て、全てを思い出した

「くっ…痛っ…!」
「ふふ…今さら抵抗しても無駄よぉ」
「なんで…どうして…!」

暴れる度にギシギシと虚しい音だけが空間を満たす
その時、ドアが開いた

「あっ!起きたの?早いねぇ~」

陽気なテンションで入室する水銀燈のマスター、柿崎めぐ
彼女が蒼星石を眠らせた張本人だが、その際に僅かな攻撃の気配すら感じなかった事を不覚に思う

「よく言うわぁ…看護婦にバレないために、このぐらいに目が覚めるよう調整したんでしょぉ?」

ここは病院
医療関係者が出入りしても不自然ではない
昼過ぎ…ということは病院食も持って来たはず
つまり、拘束されたのはその後…ついさっきという事を蒼星石は悟った

「…なんで…」

計画的であればあるほど、益々意味がわからない
めぐとはたった数分、顔を合わせただけなのだから

「理由は特にないなぁ♪」
「理由が欲しいなら…そうねぇ…"私へのお礼を体でしてもらう"っての事でぇ」

この状況が冗談半分であるかのような軽快さ

あの時キミはお礼は要らないと言ったじゃないか──

もう声にすらならない音
水銀燈が庭師の鋏を手に、蒼星石に跨った

「や…」

僅かな声すら、ジャギジャギと布を切る鈍い音に掻き消される
今まで当然のように武器として他の姉妹に向けてきた鋏が、自分の服を切り刻むという皮肉

「やっ…やめて…!!」

完全に腹部や胸が外気に晒される
その両乳房を無遠慮に触れるめぐ

「おっきくはないけど…悪くはない…かな?」
「この子、感度は良好よぉ」
「そう?じゃあいただきま~す」
「ひっ…!」

右の乳首を舌で味わいながら、左胸を弄くる
水銀燈と同じ乱暴な攻め
今回は薬がないせいか、純粋な不快感のみが蓄積される

「いや…いやだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ようやく出せた叫び声
それも口内に侵入する二本の指によって防がれた
人差し指で舌を押さえ、中指を喉に届きそうな位置まで挿入する

「病院では静かに…ね?」

嘔吐しそうになるのを堪え、苦しそうな表情をする蒼星石とは逆に、加虐の悦楽に恍惚するめぐ
さらに奥へ入れると多量の唾液が溢れ、シーツを濡らし、それがまた興奮を煽った

「もう大声出さない?」
「うぅ…ぐ…んぅ…!!」

頷けば指がより深く入るため、別な方法で意思表示を試みる…が

「よくわからないなぁ」
「んぅぅぅぅぅぅ!!」

思いは伝わらず、口内への攻めは続く
正確には伝わらないのではなく、伝わった上でやめようとしないので、
始めから蒼星石にはどのような手段も残されていないわけだが、

「んっ…ぅぅっ…んぅぅぅ!!」
「ふふ♪いい顔…」

そんな必死さを充分楽しんだめぐは、指を引き抜いた
唾液に塗れ光る指
それを舐め取ると、次は唇を重ねた

「もっとちょうだい…んっ…」
「くっ…ぅ」

口周りや口内に溜まった唾液を啜る行為が、病室を卑猥な音で包み込む
一人、輪から省られている水銀燈は、半ば呆れたようにそれを見つめていた

「…そろそろねぇ…」

そして時計を確認し、呟く
水銀燈のターゲットは蒼星石ではない
だから退屈そうに待っていた
しかし噂をすれば何とやら、
鏡が光り──

「そぉぉせぇぇぇせきぃぃぃぃぃ!!どこですかぁぁぁぁ!!ぐはぁ!!」

けたたましい声と共に、翠星石がすごい勢いで飛び出し、
そのまま壁にぶつかり呻きながら悶えだした

「痛いですぅ…うぅ…」

頭を上げ周囲を確認する
と、同時に痛みを失った
むしろ感じなくなった
ベッドで縛られている蒼星石と、それに跨る人間らしきモノを見て───
有り得ない、有り得て欲しくないその光景

「…そ、蒼星…石…?誰…ですか…お前…」
「翠星石!!来ちゃダメだ!!」

パニックになり、近寄ろうとする翠星石に怒鳴る蒼星石

「えっ…ひゃっ!!」

突如、上から何かに組み伏せられるように倒れる
その背後には水銀燈が乗っていた

「いらっしゃい…1日だけでもいい夢見れたぁ?」

これはあくまで罠
自然界では、蜘蛛の巣にかかる方が悪い

翠星石の耳元で、水銀燈はそう囁いた
 
 
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