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紡ぐ童歌

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匿名ユーザー

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 それは遠い昔。まだ科学が発展してなく、天災は神々によって起こっているものと信じられていた時。
 とてつもなく大きく、広い、海のような川があったとさ。
 そこに近いある漁村で船の転覆事故が多発したために、ある少女が人身御供として出された。
 川に流された少女が行き着いた島には水銀燈という、ずっと一人で暮らしているという少女がいた。
 二人で暮らしているうちにいつしか彼女達の間には恋心が生まれていた。
 そんな二人のちょっと不思議なお話。

 ──紡ぐ童歌

 大きな満月が見える。いや、それだけではない。その中に漆黒の翼のようなものが見える。
 なんだろう、あれは。そんなはずはない、私はあれを知っている。そう、あれは、
「っ……」
 口を開こうとして、瞳を開け、上体を起こした。夢だったのか。あの大きな月もその中に映る翼も。
 周りはまだ暗い。一度寝て、目が覚めてしまったらしい。隣では水銀燈が規則正しい寝息をたてている。
 以上に寝汗をかいてしまったらしい。体がべとついている。前髪をかきあげ、浅く息を吐いた。
「どうしたのぉ?」
 そんな私の様子に気づいたらしい水銀燈も起きたらしい。
「ごめんなさい、起しちゃったわね。大丈夫よ」
「大丈夫そうじゃないわよぉ? すごい汗」
 そう言いながら水銀燈は私の額に手をよせ、前髪を梳いた。
 怖い夢でも見た? と問いかける彼女の声がなんだか心地よくて、もう一度布団に体を沈めた。
 布団と言っても、カラスの羽のような真黒な大量の羽なのだが。
「なんだか、不思議な夢を見たの」
「へぇ、聞かせて」
 自然に指をからめて、顔を寄せ合い話すのはなんだか幼い子供が悪戯をしているような仕草でくすぐったい。

「大きな満月が見えたの。それはそれはとても大きな。その中に鳥……だったのかしら、分からない。とにかく、真っ黒な翼が見えたわ」
 話しながらなぜか、自然に微笑みさえ浮かんでいた。
「何故だかわからないけれど、その鳥を私は知っている気がしたの。変でしょ? 覚えはまったくないのよ?」
「……………………」
「水銀燈?」
「……えっ?」
「どうしたの? さっきから黙り込んでるじゃない」
「っ、そうだった? 真剣に貴女の話聞いてただけよぉ」
 腰を強く引かれ、自然に水銀燈と体を密着させるかたちになる。水銀燈は私の頭を胸のところに抱えたために、彼女の表情が見えない。
「気をつけてたつもりだけど、」
 だから、そう呟いた彼女の表情を私は見ることができなかった。
「意外に見られてたのかしらねぇ」
 いきなり視界が開けたと思ったら私は水銀燈の奥に天井を見ていた。つまり、彼女に組み敷かれたようになっている。
「私はね、真紅。本当にあなたが好きなのよ」
 そう言いながらちゅ、と手の甲に口づけされて思わずひくりと肩が震えてしまう。
「水銀燈?」
「ごめんねぇ。卑怯なことするかもしれないのぉ」
「な、にを……」
 しようとしているの。と言おうとして唇を塞がれた。

 水銀燈の長いまつげ。いつもは強く光る紅の瞳を閉じた状態では余計にそれが強調される。あぁ、キスされているんだ。
 と分かったのはそのまつげがすごく近くにあったことと、唇を塞いでいるものがいやに柔らかいということからだった。
 私の腰に回っていた手が徐々に帯にまで回ってくる。脱がされるんだ、と頭の片隅で変に冷静な自分がいた。
 するすると帯を奪われて、着物の前を開かれる。
「ふふ、真紅がどこかのお姫様、じゃなくてよかったわぁ」
「何でよ」
「長襦袢や肌襦袢とか重ね着されてちゃ脱がしにくいものぉ」
「あら、その方が面白いものが見れたのかしらね」
「かもねぇ」
 そう言いながら彼女は開いた着物の隙間から私の首筋に唇を寄せて、強く吸いついた。
 着物を脱がされて襦袢一枚にされてしまった。少しだけ恥ずかしくてそっぽを向けば耳を甘噛みされた。
「っ……」
「ふふ、可愛い」
「す、水銀燈も脱ぎなさいよ」
 自分だけこんな状態なのが恥ずかしくて思わずそう口から出ていた。
 そう言われた水銀燈は少しだけ目を丸くしたが、するすると自分の黒の着物を脱いで襦袢までも脱いでいた。
「はい、これでいいでしょう?」
 そう言いながら今度は私の襦袢に手をかける。するりと前を開かれて、続いて裾よけは脚を滑らせていとも簡単に脱がされてしまった。

「ふふ、ちっちゃい」
 小馬鹿にしたような笑みを浮かべながら彼女は私の胸辺りに手を置いた。
「う、るさいわねっ!」
 確かに自分の胸は年齢以下というか、幼い少女のそれと変わりないほどの大きさだった。
 それに対して水銀燈は年齢以上のものを持っていて、彼女が動くたびに柔らかく揺れて女性の象徴そのものだった。
「でも可愛いわよ」
 うわごとのようにそう呟いた水銀燈は私の胸に唇をよせ、その突起に吸いついた。
「ん、……っく」
 強く吸われるたびに体に電流が流れるような感覚がして、体が少しずつ反応してしまう。
 そんな自分が恥ずかしくて、顔を両手で隠すとその腕にキスの感触がした。
「暗いんだから、わざわざ隠さなくてもいいのにぃ」
 まぁ、見えるけどね。と腕を舐めあげた水銀燈が呟いた。
「真紅の全部が見たいわぁ」
 肩口に赤く跡が残るほど吸い付かれて、おそるおそる手をどかして水銀燈の表情を見つめる。
 真っ暗な夜に少しだけ水銀燈が映るのは月明かりが綺麗だから。
 あぁ、今日は満月に近い日なんだ。
 ちゅ、と水音が響いて、水銀燈の唇が私の腹を降りていく。
「あ、そこは、っ……んっ」
 膝を大きく割られ、その奥まで舌で愛撫されて自然と腰がひくつく。

「あぁっ、……ひ、んんっ」
 ぐい、と中が圧迫されたような感覚がしたかと思ったら水銀燈の指が入ってきたらしい。
「痛くなぁい? 大丈夫?」
「ん、ちょっと、……いた、けど」
 きゅうと喉が鳴った。
「痛いより、変な、気持ち悪い……」
「なら大丈夫。最初は仕方ないわねぇ」
 その内ゆるゆると水銀燈の指がゆっくり動き出した。
「んぐっ、……うぅ、ひっあぁ……や、んっ」
 頭が溶けそうで、こんな感覚は当たり前だけど初めてだった。
 でも何だか無性に水銀燈が愛しくなって、夢中で抱きついた。
「すい、ぎんとっ、……水ぎ、んとぉ……あああっ、や、……ひゃああ」
 指のスピード早まったことや質量が増えたことを理解する余裕もなくて、ただ水銀燈を想った。
「真紅、愛してるわぁ。……ずっと、何があっても」
 体がどんどん熱くなって頭も真っ白になって、自分が自分でなくなるくらい溶けてしまうような気がして。
「あ、あああっ……だめっ、ああああ──っ」
 びくびくと体が大きく跳ねて、私は意識を手放してしまった。
 意識を手放す瞬間、水銀燈の背中にあの夢に出てきたような漆黒の翼が見えたような気がした。


続く

  • 傑作ですね。
    続きお願いします。 -- Macury Lampe (2010-07-26 19:00:20)
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