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トモダチドウシ?

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rozen-yuri

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だれでも歓迎! 編集

トゲトゲのトゲだらけでとても触れたものじゃなかったですよ、
と彼女は出会った頃の私を評する。

ならば何故彼女は私と関わりを持とうと思ったのだろうか。
決して社交的とは言えない彼女が。

「人のことは言えないか」

私だって人嫌いを自認しつつ今まで彼女の友人で居たのだから。
そしてそれはこれからも、きっと。


・・・友人?翠星石が、私の?

自分の思考に自分で疑問符を付ける。
今まで自分と彼女の関係を深く考えたことが無かった。
昼食を共に摂るような関係、と言えば端から見れば間違いなく友人になるのだろうけど。


そもそも、友人とは何なのか。

例えば、休日一緒に出掛けたりとか。
・・・したことは無い。多分。

下校を共にしたりとか。
・・・そもそも、部活をしている彼女と帰宅部の私とでは、下校時刻が合わない。

恋の相談を受けたりとか。
・・・勿論、無い。


「恋、ねぇ・・・」

好きな人、とか。居るのだろうか。
彼女が案外モテる方だということはなんとなくは知っている。
しかし恋人がいる様子も全くと言って良い程ない。

それはただ単に相手に興味がないのか、
それとも恋愛自体に興味がないのか、
はたまた・・・既に思い人が居るのか。

ちくり。

胸の奥に刺すような痛みが走る。
それ以上考えるのを阻止するかのように、私は勢い良く頭を横に振った。

「全く、何だっていうのよ」

こんなことを考えたって意味がない。
そもそも翠星石に恋人や想い人が居ようが居まいが私には関係無いのだから。
―――そう、関係無いのだ。



その時、勢い良く開かれた扉の音に、
私は思わず屋上のフェンスに寄り掛からせていた背中を浮かせた。


「またこんな所でサボっていたんですね、水銀燈」

いつの間に授業が終わったのだろうか。
ドアの向こうから現れたのは紛れもない"彼女"だった。

「翠星石」

此方へ歩み寄ってくる少女に呼び掛ける。
栗色の髪を揺らして彼女は私の目の前でぴたりと足を止めた。

私はたった今思いを馳せていた少女が突然現れたことに
内心かなり驚いていたのだが、そうと悟られるのは何とは無く癪なので、
できる限り"普段通り"を意識しつつ口を開く。

「なあに、何か用なの」

すると、ふっふーんと鼻を鳴らして彼女は得意気に言った。



「メロンパン買って来い!・・・です!」



・・・頭痛がしてきた。何なのこの娘。
私はこんな娘のためにさっきまで頭を悩ませていたのかしら。

私にこんな態度で接してきた娘なんて、今まで彼女を除いてひとりも居なかったのに。

鼻先につきつけられた人差し指を右手で払うように退けて、軽く彼女を睨み付ける。
身長差で自然と若干見下ろす形となった。

そして私は、

「八つ裂きにするわよ」

言い放った。



「じょ、冗談ですよ・・・」

効果は絶大だったようだ。
翠星石は一歩後ろに退いて引き攣った笑みを浮かべている。
私こそ冗談だけど、なんてわざわざ言う心算は毛頭無く、
私はふいと顔を背けることで怒っているフリを継続した。

翠星石は諦めたように、とぼとぼと階段に繋がる扉の元へと歩いていった。
水銀燈のばかちん、とか何とか吐き捨てて行ったような気がするが、
ここは気のせいという事にしておこう。


しかし開いたときとは逆に静かに閉まるその扉を見つめて、
何だかモヤモヤした気持ちが胸を占めていくのに気付く。
申し訳ないような、残念なような・・・寂しいような。

私も付いて行けば良かったかしら。どうせ購買に行くんだろうし。
そんな、急に弱気になっていた私に応えるかのように、再び扉が開かれた。


「水銀燈はハムカツサンドでいいですか?」

ドアの間からひょっこり頭を覗かせた彼女が、
先ほどの落ち込みぶりは何処へやら、屈託無くそんなことを言うものだから、
なんだか色々な事がどうでも良くなってしまって、
私は頬を緩ませないように気を付けながら一歩を踏み出した。

「・・・私も行くわ」

一瞬きょとんとした翠星石も、先に立って階段を降りはじめた私の横に並ぶ。
その表情は何処と無く嬉しそうで、つられて私も唇を綻ばせそうになる。
いけない、いけない。

真紅に紅茶でも買っていきましょうか。
生温いヤツを選んで持っていってやるのなら、賛成よ。
なんて軽口を叩いてふたりで吹き出す。

ああ、なんだろうこの感じ。
ふたりの間に流れるこの空気がトモダチドウシってこと?


「ふふふ・・・既に購買は戦場ですぅ。
ちゃっちゃと大将の首を頂いて帰るですよ、水銀燈!」

再び考え始めた私の腕を強く引いて翠星石がそんな風に急かすものだから、
私は結論を下すのを後回しにして、その暖かな手に抗わずに応えた。



「頂いて帰るのはパンでしょうに。お馬鹿さぁん」



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